【実施例】
【0031】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。ところが、下記実施例は説明の目的で本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
本発明のマイケル付加生成物の一部分を表面に塗布することにより、紫外線光重合を証明した。組成物を10μm以下の厚さで表面に塗布した。樹脂をドローダウン(draw down)技法でガラス基板に塗布した。硬化反応は照射量500mJ/cm
2の紫外線を照射して「無粘着」硬化させた。
【0032】
実施例1:水酸基を含むマイケル受容体の合成
【0033】
還流冷却器、窒素流入器、攪拌器および加熱装置付きの4口ガラスフラスコ反応器内に2−カルボキシエチルアクリレート(28.826g、0.2 mol)、グリセロールジグリシジルエーテル(20.433g、0.1 mol)、トリエチルアミン(グリセロールジグリシジルエーテルの2wt%)を順次仕込み、60℃に昇温して維持しながら4時間重合禁止剤なしで反応させた。
反応の後、室温に冷却して分液漏斗に移し、残っている触媒を中性化させるために5%HCl水溶液を添加して除去した後、さらに蒸留水で2〜3回水洗を繰り返し行い、50℃で減圧して透明な液体状の水酸基を含むマイケル受容体を得た。マイケル受容体の生成物を分離・分取して副反応物を除去した主生成物を得た。
実施例1で得たマイケル受容体の生成物のFT−IRモニタリング結果を
図1に示し、
1H−NMRスペクトルを
図2に示し、
13C−NMRスペクトルを
図3に示し、prep−LC結果を
図4に示した。
【0034】
prep-LC(収率): 83%
IR (KBr, cm
-1) : 3421 (-OH), 2919 (脂肪族 C-H), 1727 (C=O), 1635 & 1618 (C=C), 1186 & 1122 (C-O-C), 984 (=CH
2(ねじれ振動))
1H-NMR (CDCl
3, 300 MHz), δ (ppm) : 5.80〜6.33 (m, 3H, -C
H=C
H2), 4.13 & 4.31〜4.41 (m, 5H, -CH
2C
HOHC
H2OOCCH
2C
H2-), 3.98 (m, 1H, -CH
2C
HOHCH
2-), 3.55 & 3.70 (m, 4H, -C
H2OC
H2-), 2.61〜2.72 (m, 2H, -C
H2COO-)
13C-NMR (CDCl
3, 75 MHz), δ (ppm) : 173.63 (-CH
2COO-), 165.99 (CH
2=CH
COO-), 131.20 (
CH
2=CH-), 127.97 (CH
2=
CH-), 65.14〜73.05 (-COO
CH
2CHOH
CH
2O
CH
2CHOH-), 59.83 (CH
2=CHCOO
CH
2-), 33.18 (CH
2=CHCOOCH
2CH
2-)
【0035】
実施例2:水酸基を含むマイケル受容体の合成
【0036】
還流冷却器、窒素流入器、攪拌器および加熱装置付きの4口ガラスフラスコ反応器内に2−カルボキシエチルアクリレート(28.826g、0.2 mol)、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(25.634g、0.1 mol)、トリエチルアミン(グリセロールジグリシジルエーテルの2wt%)を順次仕込み、60℃に昇温して維持しながら4時間重合禁止剤なしで反応させた。
反応の後、室温に冷却して分液漏斗に移し、残っている触媒を中性化させるために5%HCl水溶液を添加して除去した後、さらに蒸留水で2〜3回水洗を繰り返し行い、50℃で減圧して透明な液体状の水酸基を含むマイケル受容体を得た。マイケル受容体の生成物を分離・分取して副反応物を除去した主生成物を得た。
実施例2で得たマイケル受容体の生成物のFT−IRモニタリング結果を
図5に示し、
1H−NMRスペクトルを
図6に示し、
13C−NMRスペクトルを
図7に示し、prep−LC結果を
図8に示した。
【0037】
prep-LC(収率): 73%
IR (KBr, cm
-1) : 3421 (-OH), 2919 (脂肪族 C-H), 1727 (C=O), 1635 & 1618 (C=C), 1186 & 1122 (C-O-C), 984 (=CH
2(ねじれ振動))
1H-NMR (CDCl
3, 300 MHz), δ (ppm) : 5.80〜6.33 (m, 3H, -C
H=C
H2), 4.32〜4.40 (m, 2H, -COOC
H2CH
2COO-), 3.91〜4.17 (m, 3H, -COOC
H2C
HOHCH
2-), 3.22〜3.57 (m, 4H, -CHOHC
H2OC
H2-), 2.60〜2.68 (m, 2H, -C
H2COO-), 0.85〜2.60 (m, 5H, -C
HC
H2C
H2CH-(cyclohexane))
13C-NMR (CDCl
3, 75 MHz), δ (ppm) : 173.54 (-CH
2COO-), 165.54 (CH
2=CH
COO-), 130.93 (
CH
2=CH-), 127.54 (CH
2=
CH-), 68.13〜74.42 (-COO
CH
2CHOH
CH
2O
CH
2CH-), 59.41 (CH
2=CHCOO
CH
2-), 37.53 (cyclohexane, -
CHCH
2-), 33.00 (-
CH
2COO-), 28.72 (cyclohexane, -CH
CH
2CH
2CH-)
【0038】
実施例3:内蔵光硬化型マイケル付加生成物の合成
【0039】
還流冷却器、窒素流入器、攪拌器および加熱装置付きの4口ガラスフラスコ反応器内に、実施例1の水酸基を含むマイケル受容体(20.19g、0.04 mol)、エチルアセトアセテート(2.64g、0.02 mol)、グリシジルメタクリレート(0.46g、2wt%)およびテトラブチルアンモニウムブロマイド(0.12g、0.5wt%)を置いた。反応器内で機械的攪拌器を用いて適切に攪拌させながら配合した。反応器内の反応物を1℃/分の速度で80℃まで加熱し、3時間維持した。3時間後、樹脂を反応器から排出し、冷却させて内蔵光硬化型マイケル付加生成物を得た。
マイケル付加生成物を10μmの厚さでガラス基板に塗布し、照射量500mJ/cm
2で露出させて「無粘着」硬化させた。硬化した被覆層は、柔らかく、艶が出るうえ、軟質であった。
【0040】
IR (KBr, cm
-1) : 3421 (-OH), 2919 (脂肪族 C-H), 1727 (C=O), 1635 & 1618 (C=C), 1186 & 1122 (C-O-C), 984 (=CH
2(ねじれ振動))
13C-NMR (CDCl
3, 75 MHz), δ (ppm) : 208.7 (CH
3C=OC-), 173.63 (-CH
2COO-), 172.7 (-C
COOCH
2CH
3), 165.99 (CH
2=CH
COO-), 131.20 (
CH
2=CH-), 127.97 (CH
2=
CH-), 65.14〜73
.05 (-COO
CH
2CHOHCH
2OCH
2CHOH-), 61.6 (-COO
CH
2CH
3), 59.83 (-COO
CH
2CH
2COO-), 33.18 (-COOCH
2CH
2COO-), 26.9〜28.4 (-OOC
CH
2CH
2CCH
2CH
2COO-), 25.9 (
CH
3C=OC-), 14.1 (-COOCH
2CH
3)
【0041】
実施例4:内蔵光硬化型付加生成物の合成
【0042】
還流冷却器、窒素流入器、攪拌器および加熱装置付きの4口ガラスフラスコ反応器内に、実施例2の水酸基を含むマイケル受容体(21.78g、0.04 mol)、エチルアセトアセテート(2.64g、0.02 mol)、グリシジルメタクリレート(0.50g、2wt%)およびテトラブチルアンモニウムブロマイド(0.12g、0.5wt%)を置いた。反応器内で機械的攪拌器を用いて適切に攪拌させながら配合した。反応器内の反応物を1℃/分の速度で80℃まで加熱し、3時間維持した。3時間の後、樹脂を反応器から排出し、冷却させて内蔵光硬化型マイケル付加生成物を得た。
マイケル付加生成物を10μmの厚さでガラス基板に塗布し、照射量500mJ/cm
2で露出させて「無粘着」硬化させた。硬化した被覆層は、柔らかく、艶が出るうえ、軟質であった。
【0043】
IR (KBr, cm
-1) : 3421 (-OH), 2919 (脂肪族 C-H), 1727 (C=O), 1635 & 1618 (C=C), 1186 & 1122 (C-O-C), 984 (=CH
2(ねじれ振動))
13C-NMR (CDCl
3, 75 MHz), δ (ppm) : 208.7 (CH
3C=OC-), 173.54 (-CH
2COO-), 172.7 (-C
COOCH
2CH
3), 165.54 (CH
2=CH
COO-), 130.93 (
CH
2=CH-), 127.54 (CH
2=
CH-), 68.13〜74
.42 (-COO
CH
2CHOH
CH
2OCH
2CH-), 61.6 (-COO
CH
2CH
3), 59.41 (-COO
CH
2CH
2COO-), 37.53 (cyclohexane, -
CHCH
2-), 33.00 (-
CH
2COO-), 28.72 (cyclohexane, -CH
CH
2CH
2CH-), 25.9 (
CH
3C=OC-), 14.1 (-COOCH
2CH
3)
【0044】
実施例5:内蔵光硬化型マイケル付加生成物の合成
【0045】
還流冷却器、窒素流入器、攪拌器および加熱装置付きの4口ガラスフラスコ反応器内に、実施例3のマイケル付加生成物(30g、0.027 mol)、アセトン50gおよびジブチル錫ジラウレート0.1gを置いた。反応器内で機械的攪拌器を用いて適切に攪拌させ、20分にわたって加熱させて温度を45℃に昇温させた。温度を45℃に維持させながらイソホロンジイソシアネート(35.88g、0.161 mol)を1時間にわたって滴下した。イソホロンジイソシアネートの添加後、温度を3時間にわたって60℃に昇温した。
前記反応はFT−IRでモニタリングした。3400cm
-1(−OHバンド)における強度が一定の最小値となったときまで反応混合物を45〜50℃に降温させた。その後、ペンタエリトリトールトリアクリレート(48.02g、0.161 mol)を添加し、反応混合物をさらに攪拌し加熱した。ゲル化を防止するためにフェノチアジン0.01gを本段階の間添加した。
前記反応はFT−IRでモニタリングした。2300cm
-1(−NCOバンド)における強度が一定の最小値となったとき、アセトンを60℃、圧力100mmHgの真空蒸留で除去してウレタンアクリレートタイプのマイケル付加生成物を得た。
マイケル付加生成物を10μmの厚さでガラス基板に塗布し、照射量500mJ/cm
2で露出させて「無粘着」硬化させた。硬化した被覆層は、柔らかく、艶が出るうえ、硬質であった。
【0046】
実施例6:内蔵光硬化型マイケル付加生成物の合成
【0047】
還流冷却器、窒素流入器、攪拌器および加熱装置付きの4口ガラスフラスコ反応器内に、実施例3のマイケル付加生成物(30g、0.025 mol)、アセトン50gおよびジブチル錫ジラウレート0.1gを置いた。反応器内で機械的攪拌器を用いて適切に攪拌させ、20分にわたって加熱させて温度を45℃に昇温させた。温度を45℃に維持させながらイソホロンジイソシアネート(32.81g、0.148 mol)を1時間にわたって滴下した。イソホロンジイソシアネートの添加後、温度を3時間にわたって60℃に昇温した。
前記反応はFT−IRでモニタリングした。3400cm
-1(−OHバンド)における強度が一定の最小値となったときまで反応混合物を45〜50℃に降温させた。その後、ペンタエリトリトールトリアクリレート(48.02g、0.148 mol)を添加し、反応混合物をさらに攪拌し加熱した。ゲル化を防止するためにフェノチアジン0.01gを本段階の間添加した。
前記反応はFT−IRでモニタリングした。2300cm
-1(−NCOバンド)における強度が一定の最小値となったとき、アセトンを60℃、圧力100mmHgの真空蒸留によって除去してウレタンアクリレートタイプのマイケル付加生成物を得た。
マイケル付加生成物を10μmの厚さでガラス基板に塗布し、照射量500mJ/cm
2で露出させて「無粘着」硬化させた。硬化した被覆層は、柔らかく、艶が出るうえ、硬質であった。