特許第5711382号(P5711382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5711382インターフェース・ユニット、測定システム及びインターフェース・ユニットにおける方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5711382
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】インターフェース・ユニット、測定システム及びインターフェース・ユニットにおける方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0215 20060101AFI20150409BHJP
   G01L 9/00 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   A61B5/02 331A
   G01L9/00 E
【請求項の数】26
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-538177(P2013-538177)
(86)(22)【出願日】2011年11月9日
(65)【公表番号】特表2014-502857(P2014-502857A)
(43)【公表日】2014年2月6日
(86)【国際出願番号】EP2011069728
(87)【国際公開番号】WO2012062797
(87)【国際公開日】20120518
【審査請求日】2013年5月24日
(31)【優先権主張番号】1150174-9
(32)【優先日】2011年2月25日
(33)【優先権主張国】SE
(31)【優先権主張番号】61/446,568
(32)【優先日】2011年2月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/413,012
(32)【優先日】2010年11月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512333663
【氏名又は名称】セント ジュード メディカル システムズ アーベー
【氏名又は名称原語表記】ST JUDE MEDICAL SYSTEMS AB
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099597
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 賢二
(74)【代理人】
【識別番号】100119208
【弁理士】
【氏名又は名称】岩永 勇二
(74)【代理人】
【識別番号】100124235
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100124246
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 和光
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】サミュエルソン,マグナス
【審査官】 福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−504357(JP,A)
【文献】 特表平10−505269(JP,A)
【文献】 特開2009−136675(JP,A)
【文献】 特表2000−504249(JP,A)
【文献】 特開平10−267779(JP,A)
【文献】 特開2001−033330(JP,A)
【文献】 特開平06−186103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/0215
G01L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内の生理学的又はその他の変数を測定する血管内測定システムに用いられ、前記変数に対応するセンサ信号を生成するように構成された体外インターフェース・ユニット(8)であって、
生体内に挿入されるように構成され遠位領域に1つ又は多数のセンサ素子を備えたセンサ・ワイヤとインターフェース接続するように構成されたセンサ・インターフェース回路(6)であって、前記変数の測定データをセンサ信号として生成するように構成された測定ユニット(9)を備えるセンサ・インターフェース回路(6)を備え、
前記センサ・インターフェース回路(6)は、少なくとも2箇所の接続点(CP1,CP2・・・CPn)を介して前記センサ素子に通電し、それぞれ異なる温度特性を有して温度ドリフトにより対称となる温度オフセット電流を出力するように構成された2つの電流源ユニット(CSU1,CSU2)と切替ユニット(10)とを備え、前記切替ユニット(10)は、各接続について略同一の接続時間(Tc)を有する予め設定されたスイッチング周波数を用いて、前記2つの電流源ユニット(CSU1,CSU2)と複数の接続点(CP1,CP2・・・CPn)のうちの少なくとも2箇所との間の接続を交互に切り替えるように構成され、前記測定ユニット(9)は、前記複数の接続点(CP1,CP2・・・CPn)のうちの2箇所で、前記変数に関連するセンサ変数値(Vdiff)を決定するように構成されていることを特徴とするインターフェース・ユニット(8)。
【請求項2】
前記センサ信号は、少なくとも2つの接続時間(Tc)から得られた前記センサ変数値(Vdiff)の平均値に関連する請求項1記載のインターフェース・ユニット(8)。
【請求項3】
前記センサ変数値(Vdiff)は、1つの接続時間(Tc)における、前記接続された複数の接続点(CP1,CP2・・・CPn)間の電圧差の絶対値である請求項1又は2に記載のインターフェース・ユニット(8)。
【請求項4】
前記変数は、前記センサ変数値(Vdiff)と前記2つの電流源ユニット(CSU1,CSU2)により生成された電流とに関連する値として決定される請求項1〜3のいずれか1項に記載のインターフェース・ユニット(8)。
【請求項5】
前記スイッチング周波数は、約400Hzである請求項1〜4のいずれか1項に記載のインターフェース・ユニット(8)。
【請求項6】
記接続時間(Tc)は、約2.5秒である請求項1〜5のいずれか1項に記載のインターフェース・ユニット(8)。
【請求項7】
前記測定ユニット(9)は、所定の測定期間を有する前記接続時間(Tc)のうちの予め設定された部分で、前記センサ変数値(Vdiff)を決定するように構成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載のインターフェース・ユニット(8)。
【請求項8】
前記接続時間(Tc)は、複数の測定期間に分割され、各期間に予め設定された作業が指定される請求項1〜7のいずれか1項に記載のインターフェース・ユニット(8)。
【請求項9】
前記測定ユニット(9)は、前記切り替えが行われた後の所定の時間(Tm)の間に、前記変数に関連する前記センサ変数値(Vdiff)を決定するように構成される請求項1〜8のいずれか1項に記載のインターフェース・ユニット(8)。
【請求項10】
前記切り替えが行われた後の前記所定の時間(Tm)は、前記接続時間(Tc)の10%未満である請求項1〜9のいずれか1項に記載のインターフェース・ユニット(8)。
【請求項11】
前記切替ユニット(10)は、MOSFETスイッチである請求項1〜10のいずれか1項に記載のインターフェース・ユニット(8)。
【請求項12】
前記複数の電流源ユニット(CSU1,CSU2)は、100〜1000μAの範囲の、好ましくは約250μAの電流をそれぞれ生成するように構成されている請求項1〜11のいずれか1項に記載のインターフェース・ユニット(8)。
【請求項13】
前記複数の電流源ユニット(CSU1,CSU2)は、略等しい大きさの電流を生成するように構成された請求項1〜12のいずれか1項に記載のインターフェース・ユニット(8)。
【請求項14】
前記ユニットは、無線接続を介して前記センサ信号を外部装置に送信するように構成された送受信ユニット内に配置される請求項1〜13のいずれか1項に記載のインターフェース・ユニット(8)。
【請求項15】
前記ユニットは、ケーブル接続を介して前記センサ信号を外部装置に送信するように構成されたコネクタ・ユニット内に配置される請求項1〜13のいずれか1項に記載のインターフェース・ユニット(8)。
【請求項16】
生体内の少なくとも1つの生理的又はその他の変数を血管内で測定するための測定システム(12)であって、
生体内に挿入されるように構成され、遠位領域にセンサ素子を備えたセンサ・ワイヤ(7)と、
測定データを受信するように構成された外部装置(13)を備え、
前記センサ・ワイヤ(7)の近位端に接続されるように構成された請求項1〜15のいずれか1項に記載の前記体外インターフェース・ユニット(8)を備えることを特徴とする測定システム(12)。
【請求項17】
少なくとも2箇所の接続点(CP1,CP2・・・CPn)を介して測定センサに通電するように構成された2つの電流源ユニット(CSU1,CSU2)により2つの電流を生成する工程と、
各接続について略同じ接続時間(Tc)を有する予め設定されたスイッチング周波数を用いて、前記電流源ユニット(CSU1,CSU2)と前記複数の接続点(CP1,CP2・・・CPn)の間の接続を切替ユニット(10)により交互に切り替える工程と、
前記複数の接続点(CP1,CP2・・・CPn)でセンサ変数値を測定ユニット(9)により決定する工程を含む方法であって、請求項1〜15に記載の体外インターフェース・ユニット(8)により実行される方法。
【請求項18】
少なくとも2つの接続時間(Tc)から前記センサ変数値(Vdiff)の平均値に関連するセンサ信号を生成する工程を含む方法であって、請求項17に記載の体外インターフェース・ユニット(8)により実行される方法。
【請求項19】
1つの接続時間(Tc)の間に、前記接続された複数の接続点(CP1,CP2・・・CPn)間の電圧差の絶対値から前記センサ変数値(Vdiff)を決定する工程を含む方法であって、請求項17〜18のいずれか1項に記載の体外インターフェース・ユニット(8)により実行される方法。
【請求項20】
前記センサ変数値(Vdiff)と前記2つの電流源ユニット(CSU1,CSU2)により生成された電流とに関連する値として生体内の生理学的又はその他の変数を決定する工程を含む方法であって、請求項17〜19のいずれか1項に記載の体外インターフェース・ユニット(8)により実行される方法。
【請求項21】
所定の測定期間を備える前記接続時間(Tc)のうちの予め設定された部分で、前記センサ変数値(Vdiff)を決定する工程を含む方法であって、請求項17〜20のいずれか1項に記載の体外インターフェース・ユニット(8)により実行される方法。
【請求項22】
前記接続時間(Tc)を、複数の測定期間に分割し、各期間に予め設定された作業を指定する工程を含む方法であって、請求項17〜21のいずれか1項に記載の体外インターフェース・ユニット(8)により実行される方法。
【請求項23】
前記切り替えが行われた後の所定の時間(Tm)の間に、前記変数に関連する前記センサ変数値(Vdiff)を決定する工程を含む方法であって、請求項17〜22のいずれか1項に記載の体外インターフェース・ユニット(8)により実行される方法。
【請求項24】
無線接続を介して前記センサ信号を外部装置に送信する工程を含む方法であって、請求項17〜23のいずれか1項に記載の体外インターフェース・ユニット(8)により実行される方法。
【請求項25】
ケーブル接続を介して前記センサ信号を外部装置に送信する工程を含む方法であって、請求項17〜23のいずれか1項に記載の体外インターフェース・ユニット(8)により実行される方法。
【請求項26】
前記スイッチング周波数は100〜1000Hzの範囲内である請求項1に記載のインターフェース・ユニット(8)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターフェース・ユニット、前記インターフェース・ユニットを備えた測定システム及び独立クレームの前文記載のインターフェース・ユニットにおける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医療処置では、体腔内の様々な生理学的状態を監視する必要がある。これら生理学的状態とは、通常は圧力、温度、流体流速など本質的に身体的なものであり、医師又は医療技術者に患者の容体の状況に関する重要な情報を提供する。
【0003】
容体を監視するために広く用いられる装置の1つに、血圧センサがある。血圧センサは患者の血圧の高さを検知し、それを示す電気信号に変換して患者の体外へと送信する。
【0004】
従来技術では、所謂センサ・ワイヤの遠位部にセンサを搭載し、生体の血管内でセンサ・ワイヤを用いてセンサを配置して血圧や体温等の物理的パラメータを検出することが知られている。センサは、直接的又は間接的にパラメータを感知する要素を含んでいる。
【0005】
公知のセンサ・ワイヤの1つは、通常長さが1.5〜2メートルであり、外径が0.25〜0.5mmの範囲内、通常約0.35mmであってワイヤの大部分に沿って延びる中空管を有する。心線は管内に配置され、管に沿って延び、多くの場合に管の遠位開口部から出て延びている。好ましくは、単数又は複数のセンサは、例えば、センサ・ワイヤの遠位端において、心線の遠位部と接続して配置される。
【0006】
本発明は、例えば、上述したタイプのセンサ・ワイヤに対して適用可能である。
【0007】
一応用において、上述したタイプのセンサ・ワイヤは、血管内、特に心臓の冠状血管内の圧力の測定、例えば、冠状血管の収縮を確認するために用いられる。これは、いわゆる血管の冠血流予備量比を決定することによって実施することができる。通常、センサ・ワイヤは、挿入カテーテルを用いて、順次、大腿静脈又は橈骨動脈を介して挿入され、挿入したカテーテルにより測定部位まで誘導される。
【0008】
センサに電力を供給し、測定した生理学的変数を示す信号を外部生理機能モニタに通信するために、一本以上の信号送信用ケーブル又はリード線(マイクロケーブルの場合が多い)がセンサに接続され、センサ・ワイヤに沿って、血管から物理的ケーブル又は無線を介して外部生理機能モニタまで配設される。
【0009】
センサ素子は、一般的にホイートストン・ブリッジ型の配置で、薄膜上に設けられた1つ又はいくつかの圧電抵抗素子に接続された電気回路を更に備える。当分野で周知のように、周囲の媒体から薄膜にかかる一定の圧力が、薄膜の一定の伸張又は撓みに対応し、その上に実装された圧電抵抗素子の一定の抵抗となり、そして、センサ素子からの一定の出力となる。
【0010】
その全体が本願に組み込まれ、本譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2006/0009817A1号は、かかるセンサ及びガイド・ワイヤ・アセンブリの例を開示する。そのシステムは、体内に位置するように配置されたセンサと、体外に位置するように配置された制御ユニットと、センサと制御ユニットの間の有線接続を備え、制御ユニットからセンサに電圧を供給し、それらの間で信号の通信を行う。制御ユニットは、受信したセンサ信号を変調する変調器と、変調信号の無線通信のための通信インターフェースを更に有する。
【0011】
その全体が本願に組み込まれ、本譲受人に譲渡された米国特許第7724148B2号は、かかる圧力測定装置の他の例を開示する。圧力センサ・ワイヤは、その近位端で、外部装置と接続するように配置された通信ユニットと通信信号により無線通信するように構成された送受信ユニットに接続されるように構成されている。
【0012】
その全体が本願に組み込まれ、本譲受人に譲渡された米国特許第6112598A号と、米国特許第7207227B2号は、そのようなセンサ及びガイド・ワイヤ・アセンブリの更なる例を開示する。
【0013】
このように、本発明に係るインターフェース・ユニット、システム及び方法は、上記で参照した特許及び特許出願に開示されるようなセンサ・ワイヤ・アセンブリに適用可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述したような送受信ユニット、例えば、AerisTM(出願人保有の商標)トランスミッタに接続するように配置される現在の使い捨て無線センサ・インターフェース回路は、ブリッジ型回路内において電圧源で励起される高精度に整合した一対の抵抗器を用いている。しかし、これらの抵抗器は高価であり、容易に単一のチップインタフェース回路に一体化することができない。
【0015】
本発明の目的は、単一のチップ構成に一体化することができ、よって安価で物理的サイズが大幅に低減した測定精度の高い改良型血管内センサ用インターフェース回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的は、独立請求項に係る本発明により達成される。
【0017】
好適な実施形態が、従属請求項に記載される。
【0018】
第1の態様によれば、本発明は、生体内の生理学的又はその他の変数を測定する血管内測定システムに用いられ、変数に対応するセンサ信号を生成するように構成された体外インターフェース・ユニットに関する。インターフェース・ユニットは、生体内に挿入されるように構成され遠位領域に1つ又は多数のセンサ素子を備えたセンサ・ワイヤとインターフェース接続するように構成されたセンサ・インターフェース回路を備える。更に、センサ・インターフェース回路は、変数の測定データをデジタル・センサ信号として生成するように構成された測定ユニットを備える。センサ・インターフェース回路は、少なくとも2箇所の接続点CP1,CP2・・・CPnを介してセンサ素子に通電するように構成された2つの電流源ユニットCSU1,CSU2と切替ユニットとを備え、この切替ユニットは、各接続について略同一の接続時間を有する予め設定されたスイッチング周波数を用いて、複数の電流源(電源)ユニットと複数の接続点のうちの少なくとも2箇所との間の接続を交互に切り替えるように構成されている。測定ユニットは、接続点CP1,CP2・・・CPnのうちの2箇所で、変数に関連する差動電圧Vdiffを介してセンサ変数値を決定するように構成されている。
【0019】
本発明は、現在使用されている複数の抵抗器に代えて複数の電流源を使用するという考えに基づいている。複数の電流源を使用することにより、所定のセンサ電流に対する電圧出力感度が高められ、コスト及び物理的サイズを低減したシングル・チップ・インターフェース回路用のCMOSに容易に実装できる。精密なインターフェース回路に必要な測定、即ち、2つの電流源で存在し得る異なる温度係数の観察に必要な高精度を実現するために、電流源の温度ドリフトを、血管内センサ用インターフェース回路とユニットに適用される方法でキャンセルする。
【0020】
第2の態様によれば、本発明は更に、かかる体外インターフェース・ユニットを備える測定システムに関する。
【0021】
第3の態様によれば、本発明は、体外インターフェース・ユニットにおける方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、整合した一対の抵抗器を用いた公知のセンサ・インターフェース回路を示す。
図2図2は、複数の電流源を用いたセンサ・インターフェース回路を示す。
図3図3は、本発明に係るインターフェース・ユニット内に配置されるように構成されたセンサ・インターフェース回路を示す。
図4図4は、本発明に係るインターフェース・ユニットを概略的に示すブロック図である。
図5図5は、インターフェース・ユニットの連続した2回の接続時間を示すサンプリング・スキームである。
図6図6は、送受信ユニット内に配置されたインターフェース・ユニットを備えた本発明に係る測定システムを示す。
図7図7は、コネクタ・ユニット内に配置されたインターフェース・ユニットを備えた本発明に係る測定システムを示す。
図8図8は、インターフェース・ユニットにおける方法を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、定電圧源3により励起されるホイートストン・ブリッジ型回路内に一対の整合した抵抗器2を用いた公知のセンサ・インターフェース回路1を示す。センサ・インターフェース回路1は、例えば、送受信ユニット内に配置されるように構成され、この送受信ユニットは、生体内の変数を測定するためのセンサを遠位端に備えたセンサ・ワイヤ5(図1に概略的に図示)の近位端に接続点4を介して接続されるように構成される。ホイートストン・ブリッジ型回路は、一対の整合した抵抗器2(R,R)と、能動抵抗器Rと、受動抵抗器Rを備える。センサ素子は、薄膜上に実装された複数の圧電抵抗素子を備え、図1に示すホイートストン・ブリッジ型回路に接続される。センサ素子が体腔内に流体連通して配置されると、周囲の媒体から薄膜にかかる一定の圧力が、薄膜の一定の伸張又は撓みに対応し、その上に実装された圧電抵抗素子の一定の抵抗に対応し、そして、センサ素子からの一定の出力となる。
【0024】
図2は、2つの電流I,Iを生成し、2箇所の接続点CP1,CP2を介してセンサ・ワイヤ7のセンサ素子(図示せず)に通電するように構成された2つの電流源を用いたセンサ・インターフェース回路6を示す。
【0025】
=R+raかつR=R+rpであれば、Vdiff=I−I(rcによる電圧がキャンセルされるため)である。
【0026】
温度ドリフトに起因する対称オフセット電流I及びIを代入する。
=I+ΔI
=I−ΔI
したがって、Vdiff=R−R(R+R)ΔIとなる。
【0027】
したがって、図2に示すセンサ・インターフェース回路6においては、Vdiffが、電流源の温度ドリフト(ΔΙ)に起因するオフセット電流の影響を受ける。
【0028】
図3は、体外インターフェース・ユニット内に配置されるように構成された本発明の好適な一実施形態に係るセンサ・インターフェース回路6を示す。センサ・インターフェース回路6は、少なくとも2箇所の接続点CP1,CP2を介して、生体内の生理学的又はその他の変数を測定するためのセンサを遠位端に備えたセンサ・ワイヤ7の近位端に接続されるように構成されている。センサ・インターフェース回路6は、接続が2箇所の接続点CP1,CP2の間で交互に切り替えられる(図3に点線で示される)、第1及び第2の電流I,Iを生成する2つの電流源CSU1,CSU2を備え、連続した複数のスイッチング状態の間の平均測定値Vdiffを取得することにより、温度ドリフトに起因するオフセット電流の影響がキャンセルされる。
【0029】
図3に示すセンサ・インターフェース回路6において、R=R+raかつR=R+rpであるとする。複数のスイッチを用いることにより、2箇所の分岐間で複数の電流源を交互に用いる。連続した2つのスイッチング状態の平均出力電圧は、

となり、

とすることができる。
【0030】
温度ドリフトに起因する対称オフセット電流I及びIを代入する。
=I+ΔI
=I−ΔI
したがって、

となり、

に約され、これは、Vdiffがオフセット電流の温度ドリフト(ΔI)に依存しないことを意味する。
【0031】
本発明に係る体外インターフェース・ユニット8を概略的に示すブロック図を、図4に示す。体外インターフェース・ユニット8は、変数に対応するデジタル・センサ信号を生成するように構成されている。インターフェース・ユニット8は、生体内に挿入されるように構成され遠位領域に1つ又は多数のセンサ素子を備えたセンサ・ワイヤ(図示せず)とインターフェース接続するように構成されたセンサ・インターフェース回路6を備える。更に、センサ・インターフェース回路6は、変数の測定データをデジタル・センサ信号として生成するように構成された測定ユニット9を備える。センサ・インターフェース回路6は、少なくとも2箇所の接続点CP1,CP2・・・CPnを介してセンサ素子に通電するように構成された2つの電流源ユニットCSU1,CSU2と、切替ユニット10を備え、切替ユニット10は、各接続について略同一の接続時間Tを有する予め設定されたスイッチング周波数を用いて、電流源ユニットCSU1,CSU2と接続点CP1,CP2・・・CPnのうちの少なくとも2箇所との間の接続を交互に切り替えるように構成されている。測定ユニット9は、接続点CP1,CP2・・・CPnのうちの2箇所における変数に関連するセンサ変数値Vdiffを決定するように構成されている。図4に示すように、インターフェース・ユニット8は、インターフェース・ユニット8に通電するためのエネルギー源11も備える。
【0032】
一実施形態によれば、測定ユニット9は、切り替えが行われた後の所定の時間Tの間に、センサ変数値Vdiffを決定するように構成されている。
【0033】
一実施形態において、切り替えが行われた後の所定の時間Tは、接続時間Tの10%未満である。しかし、切り替えが行われた後の所定の時間Tは、接続時間Tの10%以上でもよい。Tは、測定が初期化される前に切替手順が終了するように選択される。
【0034】
好適な一実施形態において、切替ユニット10は、MOSFETスイッチである。しかし、その他の任意の固体半導体スイッチ又はスイッチとして使用できる半導体素子を用いてもよい。
【0035】
センサ変数値Vdiffは、1回の接続時間Tの間における、接続された複数の接続点CP1,CP2・・・CPn間の電圧差の絶対値である。変数は、センサ変数値Vdiffと電流源CSU1,CSU2により生成された電流に関連する値として決定される。
【0036】
好適な一実施形態において、センサ信号は、少なくとも2つの接続時間Tから得たセンサ変数値Vdiffの平均値に関連する。接続時間Tを、連続的な時間周期としてもよい。よって、Vdiffは、複数の接続時間Tから決定してもよく、

によって与えられ、ここでnは、1回の測定期間の間のVdiffを計算するために用いられる偶数の接続時間Tであることが好ましい。
【0037】
x[i]が、時間離散デジタル・センサ信号Vdiffであるとする。平均信号y[i]は、

で与えられる移動平均フィルタを介してx[i]を実行することにより生成することができる。
【0038】
かかる構成は、オフセット電流ドリフトをキャンセルするだけでなく、平滑化低域フィルタとして作用して、デジタル・センサ信号x[i]の不要なノイズを低減する。かかるフィルタの周波数応答は、fが相対周波数であるところの

により与えられる。
【0039】
周波数応答とそれに伴うノイズ低減量は、フィルタ長nを選択することにより選ぶことができる。好ましくは、nの値は偶数として選ばれ、通常2〜128の間である。
【0040】
印加圧力に対する典型的なセンサ応答は、R=RA0(1+PCRA(p−p))により与えられ、ここで、RA0は圧力p=pでの絶対抵抗であり、PCRAはセンサ素子の圧力感度であり、pは絶対印加圧力であり、pは絶対基準圧力(通常は大気圧)である。
【0041】
diffはRの直接代表値であり、印加圧力の代表値でもある。
【0042】
好適な一実施形態によれば、スイッチング周波数は約400Hzであり、約2.5秒の所定の接続時間Tに対応する。しかし、100〜1000Hzの範囲内の別のスイッチング周波数を用いてもよい。
【0043】
測定ユニット9は、所定の測定期間を有する接続時間Tのうちの予め設定された部分で、センサ変数値Vdiffを決定するように構成される。図5は、インターフェース・ユニットの連続した2つの接続時間Tを示すサンプリング・スキームを示す。接続時間Tは、複数の測定期間に分割されてもよく、それぞれ予め設定された作業が指定される。例えば、2つ以上のセンサが用いられる場合、各センサには個別の測定期間が指定される。図面には、3つの異なる測定期間M,M及びMが示されている。測定は、切り替えが行われた後の所定の時間Tの間に行われ、Tは上述した切替手順に関連する。
【0044】
全ての接続期間毎に測定を行う必要はない。場合によっては、第2、第3又は第4の接続期間毎に測定を行えば十分であり、測定の間の期間が更に長くてもよい。これは当然、測定される変数の性質によって決まる。例えば、温度が測定される場合、多くの場合、圧力を測定する場合より少ない回数の測定で十分である。通常、温度は圧力より遥かにゆっくりと変化するからである。図4は、どの変数を測定するかによって複数の接続点CP1,CP2・・・CPnを切り替えるように構成された測定切替ユニット15を示す。
【0045】
電流源(電源)ユニットCSU1,CSU2は、100〜1000μAの範囲の、好ましくは、約250μAの電流をそれぞれ生成するように構成される。電流源ユニットCSU1,CSU2は、略等しい大きさの電流を生成するように構成される。
【0046】
一実施形態によれば、図6に示すように、インターフェース・ユニットは、無線接続を介してセンサ信号を外部装置13に送信するように構成された送受信ユニット16内に配置される。
【0047】
別の実施形態において、図7に示すように、インターフェース・ユニット8は、ケーブル接続18を介してセンサ信号を外部装置13に送信するように構成されたコネクタ・ユニット17内に配置される。
【0048】
図6は、生体内の生理学的又はその他の変数のうち少なくとも1つを血管内で測定するための測定システム12を、概略的に示す。測定システム12は、生体内に挿入されるように構成され、遠位領域にセンサ素子(図示せず)を備えたセンサ・ワイヤ7と、測定データを受信するように構成された外部装置13とを備える。測定システム12は、センサ・ワイヤ7の近位端14に接続されるように構成された体外インターフェース・ユニット8を備える。図6に示すように、インターフェース・ユニット8は、変数に対応するセンサ信号を生成するように構成され、測定データは、外部装置13に送信される。図6では、インターフェース・ユニット8は送受信ユニット16内に配置され、測定データは無線リンクで送信される。しかし、上述したように、センサ信号は、図7に示すようにケーブル接続を介して外部装置13に送信してもよい。
【0049】
更なる態様によれば、本発明は、図8に概略的に示される体外インターフェース・ユニット8における方法にも関し、
少なくとも2箇所の接続点CP1,CP2・・・CPnを介して測定センサに通電するように構成された2つの電流源ユニットCSU1,CSU2により生成された2つの電流を導入し、
各接続について略同一の接続時間Tを有する予め設定されたスイッチング周波数を用いて電流源ユニットCSU1,CSU2と複数の接続点CP1,CP2・・・CPnの間の接続を交互に切り替え、
複数の接続点CP1,CP2・・・CPnでセンサ変数値を決定する工程を含む。
【0050】
好適な一実施形態において、前記の方法は、少なくとも2つの接続時間(T)のセンサ変数値(Vdiff)から平均値に関連するセンサ信号を生成する工程を含む。
【0051】
一実施形態において、前記の方法は、1つの接続時間(T)における、接続された複数の接続点(CP1,CP2・・・CPn)間の電圧差の絶対値から前記センサ変数値(Vdiff)を決定する工程を含む。
【0052】
更なる実施形態において、前記の方法は、センサ変数値(Vdiff)と前記電流源(CSU1,CSU2)により生成された複数の電流とに関連する値として前記変数を決定する工程を含む。
【0053】
一実施形態において、前記の方法は、所定の測定期間を有する前記接続時間(T)のうちの予め設定された部分で、前記センサ変数値(Vdiff)を決定する工程を含む。
【0054】
更に、前記の方法は、前記接続時間(T)を複数の測定期間に分割し、各期間に予め設定された作業を指定する工程を含んでもよい。
【0055】
一実施形態によれば、前記の方法は、前記切り替えが行われた後の所定の時間(T)の間に、前記変数に関連する前記センサ変数値(Vdiff)を決定する工程を含む。
【0056】
一実施形態において、前記の方法は、無線接続を介して前記センサ信号を外部装置に送信する工程を含む。
【0057】
別の実施形態によれば、前記の方法は、ケーブル接続を介して前記センサ信号を外部装置に送信する工程を含む。
【0058】
本発明は、上記の好適な実施形態に限定されない。様々な代替、変形、均等物を用いてもよい。従って、上記の実施形態が、添付の請求項に規定する発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8