特許第5711392号(P5711392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5711392PDN−GW内のNAT/NAPTを伴うシナリオについてのPCCサポートのための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5711392
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】PDN−GW内のNAT/NAPTを伴うシナリオについてのPCCサポートのための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/70 20130101AFI20150409BHJP
   H04L 12/749 20130101ALI20150409BHJP
【FI】
   H04L12/70 B
   H04L12/749
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-552110(P2013-552110)
(86)(22)【出願日】2011年2月1日
(65)【公表番号】特表2014-504834(P2014-504834A)
(43)【公表日】2014年2月24日
(86)【国際出願番号】EP2011051356
(87)【国際公開番号】WO2012103931
(87)【国際公開日】20120809
【審査請求日】2013年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】ロメール,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ガーネイジュ、フレードリク
【審査官】 永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−267522(JP,A)
【文献】 特表2011−509610(JP,A)
【文献】 特表2012−511846(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0207759(US,A1)
【文献】 Cisco,NAT in EPC[online], 3GPP TSG-SA WG2♯81 S2-104656,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_81_Prague/Docs/S2-104656.zip>,2010年10月 5日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26、
H04L 12/00−12/26、12/50−12/955、
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ機器(UE;2)、ポリシー及び課金実施機能(PCEF;4)を備えるゲートウェイ(GGSN;PDN GW;3)、アプリケーション機能(AF;5)、ポリシー及び課金制御機能(PCRF;6)並びにネットワークアドレス変換部(NAT;7)を含むネットワーク通信システムのための方法であって、
前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF;6)は、前記ポリシー及び課金実施機能(PCEF;4)並びに前記アプリケーション機能(AF;5)と通信し、
前記ユーザ機器(UE;2)は、ネットワークに接続し、Gxセッションが前記ポリシー及び課金実施機能(PCEF;4)と前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF;6)との間で開始され、
前記ユーザ機器(UE;2)は、サービスシグナリングが前記アプリケーション機能(AF;5)を経由するように、前記アプリケーション機能(AF;5)とのサービスセッション(SS)を開始し、
前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF;6)と前記アプリケーション機能(AF;5)との間で、Rxセッションが生成され、
前記ネットワークアドレス変換部(NAT;7)は、前記サービスセッション(SS)をハンドリングするために前記ユーザ機器(UE;2)と前記アプリケーション機能(AF;5)との間に位置し、
前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF;6)は、前記ユーザ機器(UE;2)の任意のネットワークアドレス変換部(NAT;7)バインディングを認識し、
新たなネットワークアドレス変換部(NAT;7)バインディングが生成され又は古いネットワークアドレス変換部(NAT;7)バインディングが削除される都度、メッセージが前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF;6)へ送信され
前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF;6)は、ユーザ機器(UE;2)へどのポート番号が割当てられるかを決定するために、前記ゲートウェイ(GGSN;PDN GW;3)又は前記ネットワークアドレス変換部(NAT;7)と共通的なアルゴリズムを使用すること、
を特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ネットワークアドレス変換部(NAT;7)は、特定のグローバルIPアドレスを使用し、PDN接続が生成される際に前記ユーザ機器(UE;2)にポート範囲を予め割当てるように構成されることと、当該特定のグローバルIPアドレス及び当該ポート範囲は、前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF;6)へ提供されることと、
前記ゲートウェイ(GGSN;PDN GW;3)は、IP−CANセッションの確立において、前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF;6)へ、前記グローバルIPアドレスと共に前記ポート範囲を提供することと、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ユーザ機器(UE;2)、ポリシー及び課金実施機能(PCEF;4)を備えるゲートウェイ(GGSN;PDN GW;3)、アプリケーション機能(AF;5)、ポリシー及び課金制御機能(PCRF;6)並びにネットワークアドレス変換部(NAT;7)を含むネットワーク通信システムであって、
前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF;6)は、前記ポリシー及び課金実施機能(PCEF;4)並びに前記アプリケーション機能(AF;5)と通信し、
前記システムは、前記ユーザ機器(UE;2)がネットワークに接続する際に、Gxセッションが前記ポリシー及び課金実施機能(PCEF;4)と前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF;6)との間で開始されるように構成され、
前記システムは、サービスシグナリングが前記アプリケーション機能(AF;5)を経由するように、前記ユーザ機器(UE;2)が前記アプリケーション機能(AF;5)とのサービスセッション(SS)を開始するように構成され
前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF;6)と前記アプリケーション機能(AF;5)との間で、Rxセッションが生成され、
前記ネットワークアドレス変換部(NAT;7)は、前記サービスセッション(SS)をハンドリングするために前記ユーザ機器(UE;2)と前記アプリケーション機能(AF;5)との間に位置し、
前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF;6)は、前記ユーザ機器(UE;2)の任意のネットワークアドレス変換部(NAT;7)バインディングを認識し、
新たなネットワークアドレス変換部(NAT;7)バインディングが生成され又は古いネットワークアドレス変換部(NAT;7)バインディングが削除される都度、前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF;6)はメッセージを受信
前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF;6)は、ユーザ機器(UE;2)へどのポート番号が割当てられるかを決定するために、前記ゲートウェイ(GGSN;PDN GW;3)又は前記ネットワークアドレス変換部(NAT;7)と共通的なアルゴリズムを使用すること、
を特徴とする、ネットワーク通信システム。
【請求項4】
前記ネットワークアドレス変換部(NAT;7)は、特定のグローバルIPアドレスを使用し、PDN接続が生成される際に前記ユーザ機器(UE;2)にポート範囲を予め割当てるように構成されることと、当該特定のグローバルIPアドレス及び当該ポート範囲は、前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF;6)へ提供されることと、
前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF;6)には、前記ゲートウェイ(GGSN;PDN GW;3)によって、IP−CANセッションの確立において、前記グローバルIPアドレスと共に前記ポート範囲が提供されることと、
を特徴とする、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ機器(user equipment)と、ポリシー及び課金実施機能(Policy and Charging Enforcement Function)を備えるゲートウェイと、アプリケーション機能と、ポリシー及び課金制御機能(Policy and Charging Control Function)と、ネットワーク及びポートアドレス変換部と、を含むネットワーク通信のための方法及びシステムに関する。ポリシー及び課金制御機能は、ポリシー及び課金実施機能及びアプリケーション機能と通信する。ユーザ機器はネットワークへ接続し、その後、ポリシー及び課金実施機能とポリシー及び課金制御機能との間のGxセッションが開始される。そして、ユーザ機器は、サービスシグナリングがアプリケーション機能を経由するように、アプリケーション機能との間のサービスセッションを開始する。Rxセッションは、ポリシー及び課金制御機能とアプリケーション機能との間に生成される。ネットワーク及びポートアドレス変換部は、サービスセッションをハンドリングするために、ユーザ機器とアプリケーション機能との間に位置する。
【0002】
[略語]
本出願では、以下の略語が使用される。
AF Application Function
AVP Attribute-value pair
BNG Broadband Network Gateway
GW GateWay
IMS IP Multimedia Subsystem
IMSI International Mobile Subscriber Identity
IP−CAN IP Connectivity Access Network
NAPT Network and Port Address Translator
NAT Network Address Translator
NAT44 IPv4 - IPv4 NAT
PCC Policy and Charging Control
PCEF Policy and Charging Enforcement Function
PCRF Policy and Charging Control Function
P−CSCF Proxy Call Session Control Function
PDN Packet Data Network
PDN GW Packet Data Network Gateway
UE User Equipment
URI Uniform Resource Identifier
3GPP 3rd Generation Partnership Project
Rx Reference Point between a PCRF and an AF
Gx Reference Point between a PCEF and a PCRF
【背景技術】
【0003】
利用可能なパブリックIPv4アドレスの急速な枯渇化に伴い、3GPP(3rd Generation Partnership Project)及び事業者のコミュニティにおいて、パブリックIPv4アドレスの不足に起因する影響を低減する技法についての注目が再確認されてきた。それら技法は、IPv6の配備と共に、プライベートIPv4アドレス及びNAT(Network Address Translator)又はNAPT(Network and Port Address Translator)の使用を含む。
【0004】
3GPPにおけるIPv6への移行についての最近の議論では、IPv4の枯渇化の問題は大きな注目を受けており、複数の事業者及びベンダがNAT44の使用に関する議論を提起した。NAT並びにポリシー及び課金制御(PCC)を使用する際の配備のシナリオ及び問題の説明は、TR23.975において文書化されている。しかしながら、これまでのところ、識別された問題についての新しい解決策を提供することについて3GPPが何らかの規範的な作業をすべきか否かは決定されていない。
【0005】
PCCを使用する際、ネットワーク内のNAT/NAPTの存在は、ある問題を引き起こす。それら問題の1つは、ポリシー及び課金制御機能(PCRF)内のRxセッションとGxセッションとの間のセッションバインディングが、ユーザ機器(UE)とアプリケーション機能(AF)との間にNAT/NAPTがある場合には期待されるようには動作しないことである。
【0006】
よって、UEとAFとの間にNAT/NAPTが存在する場合の、Rxセッション及びGxセッションの間のセッションバインディングに伴う上記問題を解決する方法についてのニーズが存在する。
Ciscoによる“NAT in EPC”(3GPP TD S2-104656,3GPP TSG SA WG2 Meeting #81)は、請求項1のプリアンブルに係るシステムを教示しているが、上述した問題を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上で識別した問題についての解決策を見出し、それにより、UEとAFとの間にNAT/NAPTが存在する場合にRxセッション及びGxセッションを期待されるように動作させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
基本的なアイディアは、PCRFにUEのNATバインディングを認識させることである。
【0009】
本発明の第1の観点によれば、ユーザ機器(UE)、ポリシー及び課金実施機能(PCEF)を備えるゲートウェイ(例えば、GGSN又はPDN GWである)、アプリケーション機能(AF)、ポリシー及び課金制御機能(PCRF)並びにネットワークアドレス変換部(NAPT)を含むネットワーク通信システムのための方法が提供され、前記PCRFは、前記PCEF及び前記AFと通信する。前記ユーザ機器は、ネットワークに接続し、その後、Gxセッションが前記ポリシー及び課金実施機能と前記ポリシー及び課金制御機能との間で開始される。前記UEは、サービスシグナリングが前記アプリケーション機能を経由するように前記AFとのサービスセッション(SS)を開始する。前記PCRFと前記AFとの間で、Rxセッションが生成される。NAPTは、前記SSをハンドリングするために前記UEと前記AFとの間に位置し、前記PCRFは前記UEの任意のNATバインディングを認識するようになる。
【0010】
本方法は、さらに、前記NATの外部においてIPアドレス及びポートが割当てられ/割当て解除される都度、メッセージが前記PCRFへ送信されるというステップを含んでもよい。NATがGWと共設されるケースでは、グローバルIPアドレス及びポート情報がGWによってGxを介してPCRFへ提供される。スタンドアローン型のNATのケースでは、当該情報は、NAT機能とPCRFとの間の新たなインタフェース上で、NATにより提供される。
【0011】
本方法は、さらに、PDN接続が生成される際に前記NATの外部に前記GW/NATがポート範囲を予め割当てるステップと、前記PDN GWがIP−CANセッションの確立において前記PCRFへグローバルIPアドレスと共に前記ポート範囲を提供するステップと、を含んでもよい。この手法では、PCRFがグローバルIPアドレスと共にUEに割り当てられ得る全てのポートを知得し、当該情報に基づいて適切なセッションバインディングを作成することができる。
【0012】
本方法は、さらに、前記NATの外部におけるUEへどのポート番号が割当てられるかを決定するための共通的なアルゴリズムを前記GW/NAT及び前記PCRFが使用するステップを含んでもよい。そうすることにより、PCRFへシグナリングされなければならないのはグローバルIPアドレスのみとなり、これは既存のGxプロトコルを使用すれば可能である。
【0013】
本発明の他の観点によれば、ユーザ機器(UE)、ポリシー及び課金実施機能(PCEF)を備えるゲートウェイ(GGSN;PDN GW)、アプリケーション機能(AF)、ポリシー及び課金制御機能(PCRF;6)並びにネットワークアドレス変換部(NAT;7)を含むネットワーク通信システムが提供され、前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF)は、前記ポリシー及び課金実施機能(PCEF)並びに前記アプリケーション機能(AF)と通信する。前記ユーザ機器(UE)がネットワークに接続する際にGxセッションが前記ポリシー及び課金実施機能(PCEF)と前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF)との間で開始されるように、本システムは構成される。さらに、サービスシグナリングが前記アプリケーション機能(AF)を経由するように前記ユーザ機器(UE)が前記アプリケーション機能(AF)とのサービスセッション(SS)を開始するように、本システムは構成される。前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF)と前記アプリケーション機能(AF)との間で、Rxセッションが生成される。ネットワーク及びポートアドレス変換部(NAPT)は、前記サービスセッション(SS)をハンドリングするために前記ユーザ機器(UE)と前記アプリケーション機能(AF)との間に位置する。前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF)は、前記ユーザ機器(UE)の任意のネットワークアドレス変換部(NAT)バインディングを認識する。
【0014】
本システムは、前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF)が前記ネットワークアドレス変換部(NAT)の外部においてIPアドレス及びポートが割当てられ/割当て解除される都度メッセージを受信するように構成されてもよい。
【0015】
前記ゲートウェイ(GGSN;PDN GW)及びネットワークアドレス変換部(NAT)がゲートウェイ(GGSN;PDN GW;3)のPDN接続の生成の際に前記ネットワークアドレス変換部(NAT)の外部にポート範囲を予め割当てるように構成されるように、本システムは構成されてもよい。前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF)には、前記ゲートウェイ(GGSN;PDN GW)によって、IP−CANセッションの確立において、グローバルIPアドレスと共に前記ポート範囲が提供される。
【0016】
前記ネットワークアドレス変換部(NAT)の外部におけるユーザ機器(UE;2)へどのポート番号が割当てられるかを決定するための共通的なアルゴリズムを前記ゲートウェイ(GGSN;PDN GW)、ネットワークアドレス変換部(NAT)並びに前記ポリシー及び課金制御機能(PCRF)が使用するように構成されるように、本システムは構成されてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、その利点の中でもとりわけ、PCEFとAFとの間のNAT/NAPTの存在下でPCCのサポートのための解決策を呈示する。
【0018】
さらに、本発明は、一般的なAFと共に動作し、アプリケーション及びAFによるNATの認識という前提を要しない。
【0019】
本発明は、スタンドアローンのNAPT及びGWと共設されるNAPTの双方と共に動作する。
【0020】
GWと共設されるNATについて、本解決策は、既存のインタフェースを再利用し、シグナリングの負荷への影響は小さい/無い。
【0021】
本発明は、PDN接続のためのポート範囲を動的に増加させ又は減少させる余地を可能にする。
【0022】
全ての解決策を、共設型のNAT又はスタンドアローンのNATと共に使用することができる。共設型のケースでは、シグナリングは、Gx上になるであろう。スタンドアローンのNATでは、シグナリングは、NATとPCRFとの間の新たなインタフェース上になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来技術の第1の観点に係るネットワーク通信システムを概略的に示している。
図2】従来技術の第2の観点に係るネットワーク通信システムを概略的に示している。
図3】本発明の第1の観点についての呼フローを概略的に示している。
図4】本発明の第2の観点についての呼フローを概略的に示している。
図5】本発明の第3の観点についての呼フローを概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1図5において、同様の特徴のために同じ参照番号が使用される。
【0025】
前に述べたように、ポリシー及び課金制御(PCC)を使用する際、ネットワーク内のNAT/NAPTの存在が、ある問題を引き起こす。それら問題の1つは、UEとAFとの間にNAT/NAPTが存在する場合に、PCRF内のRxセッションとGxセッションとの間のセッションバインディングが期待されるようには動作しないことである。
【0026】
図1は、ネットワーク通信システム1を概略的に例示しており、ネットワーク通信システム1は、ユーザ機器(UE)2、ポリシー及び課金実施機能(PCEF)4を備えるゲートウェイ(GW)3、アプリケーション機能(AF)5、ポリシー及び課金制御機能(PCRF)6並びにネットワーク及びアドレス変換(NAT)機能7を含み、NAT機能7はこの場合にはネットワーク及びポートアドレス変換部(NAPT)であり、PCRF6は、PCEF4及びAF5と通信する。図1において、NAT機能7は、GW3と共設される。GW3は、例えば、GGSN又はPDN GWであってよい。ネットワーク通信システムが3G標準を使用する場合、GGSNが使用され得る。ネットワークが4G標準(又は3GPP LTE若しくは3GPP LTE Advanced)を使用する場合、PDNゲートウェイが使用され得る。図1において、PCEF4もまた、GW3と共設される。GW3は、IP−CANセッションのGxの確立の間に、PCRF6へのPDN接続IP@1に割当てられるものとしてのIPアドレスをUE2へ提供する。UE2がサービスセッション(SS)を開始し、当該サービスシグナリングがAF5を経由する場合、AF5は、しかしながら、IP@1を見るのではなく、NAT機能7により提供される変換後のIPアドレスIP@2と、NAT機能7により提供される変換後のポートP2とをむしろ見ることになるであろう。AF5は、恐らくは、PCRF6へP2を提供し得る。PCRF6は、セッションバインディングを実行するためには使用可能ではなく、即ち、IPアドレスIP@1を使用中の対応するIP−CANセッションに、IP@2についてのRxリクエストを関連付けられないであろう。図1は、IPネットワークであるPDN8をも概略的に例示しており、PDN8では、サービスが提供され、SSのためのユーザプレーンのトラフィック9もまた提供される。
【0027】
図2は同様のケースを例示しており、NAT機能7はスタンドアローンでGW3の外部にあり、AF5はNATボックス7の外部に位置する。PCEF4は、依然としてGW3と共設される。図1に関連して説明したものと同様の問題が、この構成についても存在する。図2もまた、IPネットワークであるPDN8を概略的に例示しており、PDN8では、サービスが提供され、SSのためのユーザプレーンのトラフィック9もまた提供される。
【0028】
NATに伴う問題への1つの“解決策”は、そもそもの問題を回避することである。例えば、GWとAFとの間にNATが存在しないようにAFを配置すれば、PCCの適用に伴う課題は存在しない。この配備は、事業者により配備されるアプリケーションについては合理的であり得るが、例えば事業者のネットワークの外部にAFが位置するサードパーティのアプリケーションについては適切でないであろう。
【0029】
他の解決策は、アプリケーション及びAFを“NAT認識型(NAT aware)”にすることである。これは、3GPP IMSのために仕様化されたタイプの解決策である。この解決策は、AFがプライベートアドレスとパブリックアドレスとの間のNATバインディングを認識している(aware of)ことを前提とする。そして、AF、例えばIMSについてのP−CSCFは、Rxを介してPCRFへ、プライベートIPアドレスIP@1を提供することができる。PCRFは、通常通りセッションバインディングを実行することができる。このアプローチの欠点は、それがアプリケーション及びAFに要件を課すことである。これは、IMSなどの、3GPPにより定義され事業者により制御されるアプリケーションにとっては合理的であり得るが、一般的なアプリケーションにとってはあまり現実的でない。
【0030】
また別の解決策は、UEのIPアドレスとは異なる、Gx及びRxインタフェースの双方にわたって利用可能な何らかの識別子に基づいて、セッションバインディングを実行することである。例えば、Gxメッセージ及びRxメッセージにおいて利用可能な加入者アイデンティティに基づいてセッションバインディングを実行することが可能であり得る。この解決策に伴う問題は、AFにとって加入者アイデンティティが常に利用可能とは限らないことである。また、AFが加入者アイデンティティを認識しておりRx上でそれを提供するとしても、それは例えばURIのようなアプリケーションレイヤのアイデンティティであるかも知れず、Gx上で使用されるアクセスレイヤアイデンティティ、即ちIMSIとは異なる。
【0031】
NATがGWと共設される場合に選択可能な他の可能性は、GW内のPCEF機能がNAT内のNATバインディングの状態へのアクセスを有することである。これは、GWにおいて内部的に解決される。そして、PCRFは、プライベートIPアドレスIP@2の代わりに、Gxを介してPCRFへパブリックIPアドレスIP@2を提供することができる。このアプローチに伴う問題は、パブリックIPアドレスとプライベートIPアドレスとの間の1対1のマッピングが存在する場合にのみそれが動作する点である。NAPTが使用される場合、パブリックIPアドレスIP@2は、多くのUEの間で共有され、PCRF内のセッションバインディングは不明瞭になる。
【0032】
本発明は、上述した問題に対する、関連するが異なる解決策を提案する、基本的なアイディアは、PCRFにUEのNATバインディングを認識させることである。
【0033】
図3は、本発明の第1の観点についての呼フローを概略的に示している。ここでは、ネットワーク通信システム1の異なるエンティティが、図1及び図2と同じエンティティを参照する同じ番号を有する垂直のラインによって示されている。参照番号3/7は、図1に見られるように、NAT機能7がゲートウェイ3と共設されることを示している。NAT機能7及びゲートウェイ3は、図2に見られるように分離されてもよい。これは、本発明の全ての観点についてその通りである。PCRF6は、新たなNAT7バインディングが生成され又は古いNAT7バインディングが削除される都度、PCRF6へメッセージが送信されることによって、NAT7バインディングを認識するようになされる。NAT7がGW3と共設されるケースでは、この情報はGx上でGW3により送信される。スタンドアローン型のNAT7のケースでは、当該情報は、NAT機能7とPCRF6との間の新たなインタフェース上でNAT7により送信される。そして、PCRF6は、Rxの承認(Rx authorization)において受信されるIPアドレス及びポート情報に基づいて、正確なGxセッションでセッションバインディングを実行することができる。
【0034】
図3におけるアイテムI〜IVは、次の通りである:
I:PDN接続/PDPコンテキストが確立されている。UEのIPアドレス“P1”が割り当てられている。
II:IP−CANセッションがUEのIPアドレス“IP@1”と共に確立されている。
III:NATバインディングを生成:(IP@1,P1)←→(IP@2,P2)
IV:PCRFは、セッションバインディングを作成し、正確なIP−CANセッションへRxの承認をバインディングすることができる。
【0035】
アイテムI〜IVは、本発明が意図した通りに実行されるために、必須ではなく好適に取り入れられる。アイテムI及びIIは、IP接続ごとに1回のみ発生する。アイテムIII及びIVは、IP接続ごとに1回よりも多く起こり得る。
【0036】
図4は、本発明の第2の観点についての呼フローを概略的に示している。この代替手段において、NAT機能7は、特定のグローバルIPアドレスを使用し、PDN接続が生成される際にUE2のためにあるポート範囲を予め割り当てる。グローバルIPアドレス及びポート範囲は、UEに割り当て得るIPアドレス及びポートをPCRF6に認識させるために、PCRF6へ提供される。ポート範囲の代わりに、GW3は、PDN接続のためにどのポート範囲を使用すべきかを決定することをPCRF6に可能とするためのインデックスを、PCRF6へ提供することもできる。
【0037】
PCRF6は、IPアドレス及びポート番号を含むRx承認リクエストを受信すると、当該IPアドレス及びポートを当該Gxセッションのために提供されたIPアドレス及びポート範囲と照合することにより、セッションバインディングを実行する。グローバルIPアドレスが複数のUE2により共有され得るとしても、予め確保される各ポート範囲は、1つの特定のUE2にのみ割り当てられる。
【0038】
ポート範囲を、PDN接続及びIP−CANセッションが確立された後に起こり得る初回のNAT7バインディングの生成の際に予め確保することもできる。但し、原理は上述したものと同じである。
【0039】
また、GW/NAT 3/7は、PDN接続(IP−CANセッション)のライフタイムの間に、PCRF6へ追加的なポート範囲及び/又は修正されたポート範囲を提供することにより、ポート範囲を更新することもできる。また、GW/NAT 3/7は、割り当てられたポート範囲を減少させてPCRF6へ通知することもできる。
【0040】
図4におけるアイテムI〜Vは、次の通りである:
I:PDN接続/PDPコンテキストが確立されている。UEのIPアドレス“P1”が割り当てられている。
II:NATがパブリックIPアドレス(IP@2)及びポート範囲(X…Y)を予め割り当てる。
III:IP−CANセッションがUEのIPアドレス“IP@1”と共に確立されている。NATバインディング情報は、IP@2及びポート範囲X…Yを含む。
IV:NATバインディングを生成。ポートは、予め割り当てられたポート範囲から選択される:(IP@1,P1)←→(IP@2,P2)
V:PCRFは、セッションバインディングを作成し、正確なIP−CANセッションへのRxの承認をバインディングすることができる。
【0041】
アイテムI〜Vは、本発明が意図した通りに実行されるために、必須ではなく好適に取り入れられる。アイテムI、II及びIIIは、IP接続ごとに1回のみ発生する。アイテムIV及びVは、IP接続ごとに1回よりも多く起こり得る。
【0042】
図5は、本発明の第3の観点についての呼フローを概略的に示している。現行のGxインタフェースに影響を与えないアプローチは、GW/NAT 3/7及びPCRF6が、NAT7の外部におけるUE2にどのポート番号が割り当てられるかを決定するための共通のアルゴリズムを使用することである。そうすることで、PCRF6へシグナリングされなければならないのはグローバルIPアドレスのみとなり、これは既存のGxプロトコルを使用して可能である。
【0043】
GW3は、特定のPDN接続にどのポート番号が許容されるかを決定するための当該共通のアルゴリズムを使用する。NAT機能7は、そのPDN接続のためにNAT7バインディングを生成し、当該共通のアルゴリズムによって生成されるポート番号群(port numbers)のみが使用され得る。同様に、PCRF6もまた当該共通のアルゴリズムを使用して、所与のPDN接続にどのポート番号が許容されるかを決定する。
【0044】
PCRF6は、IPアドレス及びポート番号を含むRx承認リクエストを受信すると、当該IPアドレス及びポートを、IP−CANセッションのためにGW3により提供されたIPアドレス、及び共通のアルゴリズムに従って許容されるポート番号群と照合することにより、セッションバインディングを実行する。グローバルIPアドレスが複数のUE2により共有され得るとしても、共通のアルゴリズムによって生成されるポート番号群は、ある特定のPDN接続についてのみ使用される。
【0045】
例えば、アルゴリズムの一例は、単調増加するカウンタ/ウィンドウに基づいてポート範囲を生成することである。特定のIPアドレスについてIP−CANセッションが生成される度に、GW/NAT 3/7及びPCRF6は、このカウンタを1つ増加させる。カウンタの値が既にアクティブなIP−CANセッションにより使用されていれば、GW3及びPCRF6は、アクティブなPDN接続により使用されない次の値を選択する。一例として、各PDN接続についてN個のポートという最大数が利用可能とされる場合、PDN接続に割当てられるカウンタの値をXとすると、ポート範囲は、N×X…256×(N+1)−1とすることができる。カウンタは、X=256に達すると、ゼロへリセットされる。
【0046】
Gxプロトコルの仕様にやはりインパクトを有しない他の例は、既存のAVPを再利用して、PDN接続のために選択されたポート範囲についてPCRF6へ通知することである。例えば、変化するIDの下位8ビットが適切なポート範囲についてのインデックスとして使用され得る一方で、全体としての32ビットは変化するIDを構成することになる。
【0047】
図5におけるアイテムI〜VIは、次の通りである:
I:PDN接続/PDPコンテキストが確立されている。UEのIPアドレス“P1”が割り当てられている。
II:NATがパブリックIPアドレス(IP@2)を予め割り当てる。
III:IP−CANセッションがUEのIPアドレスIP@2と共に確立されている。
IV:PCRFが共通のアルゴリズムを用いて当該IP−CANセッションのために使用され得るポートの値を決定し得る。
V:NATバインディングを生成。ポートは、共通のアルゴリズムを用いて選択される:(IP@1,P1)←→(IP@2,P2)
VI:PCRFは、UEのIPアドレス(IP@2)を認識しており、当該UEにNATによりどのポート値が割当てられるかを判定することができるため、セッションバインディングを作成し、正確なIP−CANセッションへRxの承認をバインディングすることができる。
【0048】
アイテムI〜VIは、本発明が意図した通りに実行されるために、必須ではなく好適に取り入れられる。アイテムI〜IVは、IP接続ごとに1回のみ発生する。アイテムV及びVIは、IP接続ごとに1回よりも多く起こり得る。
【0049】
当然ながら、本発明の範囲内で、他のアルゴリズムもまた可能である。
【0050】
図5に示した解決策は、図5に示した解決策がGxへの影響無くNATを伴うPCC動作を可能にする既定の方法として使用されるという意味において、図4に示した解決策と組み合わせられてもよい。そして、PDN接続のライフタイムの間にUEに割当てられたポート範囲を更新する必要がある場合、GWは、ポート範囲についての明示的なシグナリングを伴う図4に示した解決策を使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5