【文献】
Bastin RJ et al,Org Process Res Dev,2000年,Vol.4,p.427−435
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
p−トルエンスルホン酸N−[4−クロロ−2−ヒドロキシ−3−(ピペラジン−1−スルホニル)フェニル]−N’−(2−クロロ−3−フルオロフェニル)尿素である、化合物。
p−トルエンスルホン酸N−[4−クロロ−2−ヒドロキシ−3−(ピペラジン−1−スルホニル)フェニル]−N’−(2−クロロ−3−フルオロフェニル)尿素および医薬上許容される担体または希釈剤を含む、喘息、慢性閉塞性肺疾患または成人性呼吸窮迫症候群の処置用の医薬組成物。
ケモカイン介在疾患の治療に用いるための薬剤の製造における、p−トルエンスルホン酸N−[4−クロロ−2−ヒドロキシ−3−(ピペラジン−1−スルホニル)フェニル]−N’−(2−クロロ−3−フルオロフェニル)尿素の使用。
喘息、慢性閉塞性肺疾患または成人性呼吸窮迫症候群の治療に用いるための薬剤の製造における、p−トルエンスルホン酸N−[4−クロロ−2−ヒドロキシ−3−(ピペラジン−1−スルホニル)フェニル]−N’−(2−クロロ−3−フルオロフェニル)尿素の使用。
慢性閉塞性肺疾患の治療に用いるための薬剤の製造における、p−トルエンスルホン酸N−[4−クロロ−2−ヒドロキシ−3−(ピペラジン−1−スルホニル)フェニル]−N’−(2−クロロ−3−フルオロフェニル)尿素の使用。
p−トルエンスルホン酸N−[4−クロロ−2−ヒドロキシ−3−(ピペラジン−1−スルホニル)フェニル]−N’−(2−クロロ−3−フルオロフェニル)尿素と1以上の付加的治療成分を含む、喘息、慢性閉塞性肺疾患または成人性呼吸窮迫症候群の処置用の医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、p−トルエンスルホン酸N−[4−クロロ−2−ヒドロキシ−3−(ピペラジン−1−スルホニル)フェニル]−N’−(2−クロロ−3−フルオロフェニル)尿素および本化合物と医薬上許容される担体または希釈剤を含む組成物に関する。
【0013】
本発明はまた、本化合物と1以上の付加的治療成分を含む組合せに関する。
【0014】
本発明はさらに、ケモカインがIL−8αまたはβ受容体と結合するものであるケモカイン介在疾患を治療する方法に関し、その方法は、有効量の本化合物を投与することを含む。
【0015】
本発明はまた、それを必要とする哺乳類、特にヒトにおいて、IL−8の、その受容体への結合を阻害する方法に関し、その方法は有効量の本化合物を投与することを含む。
【0016】
本発明はさらに、喘息、慢性閉塞性肺疾患および成人呼吸器系疾患を治療する方法に関する。特に、本発明は、本化合物を用いた閉塞性肺疾患の治療に関する。
【0017】
製造方法
p−トルエンスルホン酸N−[4−クロロ−2−ヒドロキシ−3−(ピペラジン−1−スルホニル)フェニル]−N’−(2−クロロ−3−フルオロフェニル)尿素
【化1】
【0018】
化合物1の製造
3,4−ジクロロアニリン(100g)をテトラブチルメチルアミン(TBME)(660mL)に溶解させ、10〜15℃に冷却した。水酸化ナトリウム(30%水溶液94g)を加え、この溶液を機械的攪拌機で激しく攪拌した。塩化トリメチルアセチル(84mL)を、内部温度が35℃までに維持されるような速度で加えた。添加が完了したところで(10〜15分、この混合物を30〜35℃で約30分維持した後、30〜40分かけて0〜5℃に冷却した。この反応混合物を0〜5℃で1時間維持した後、濾過し、まず90:10水/メタノール(400mL)で、次に水(600mL)ですすいだ。真空下、50〜55℃で乾燥させ、生成物を灰白色結晶として得た。収量127gを得た。
【0019】
化合物2の製造
化合物1の溶液(300mL)を窒素の不活性雰囲気下で−50〜−40℃に冷却した。N−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、179mL)を、溶液の内部温度が−45〜−30℃の間に維持されるような速度で加えた(およそ15〜30分の添加)。HPLCが最初の反応が完了したことを示すまで、この溶液を約−35〜−25℃で保持した。次に、この溶液を再び−45〜−40℃に冷却し、この溶液に、内部温度をおよそ−14℃までに維持しつつ、溶液が酸性となるまで、二酸化硫黄(〜16.9g)の泡を通じた。反応が完了したところで、この混合物を−10〜0℃に温めた。次に、−2〜3℃で始め、塩化スルホニル(25.2mL)をテトラヒドロフラン溶液に、温度をおよそ22℃までに維持しつつ、5〜15分かけて滴下した。5分後、HPLCによって、反応が完了したことを確認し、この間、溶液は10〜15℃前後に維持した。この混合物の溶媒を減圧下でα,α,α−トリフルオロトルエンに交換し、濾過し、部分的に真空濃縮した(〜100mL)後、ジクロロメタン(350mL)を加えた。この混合物に、溶液の内部温度を15〜27℃に維持しつつ、周囲温度でジクロロメタン(625mL)中ピペラジン(61.2g)の溶液を滴下した(2時間添加)。この反応を完了するまで20〜24℃で保持した。この混合物を脱イオン水(200mL)で洗浄し、有機層を濃縮した後、ヘプタン(450mL)を加えた。生成物(70.5g)を濾過により単離し、ヘプタン(50〜100mL)で洗浄し、50〜55℃で真空乾燥させた。
【0020】
化合物3の製造
化合物2(30g)を〜16%(水中w/w)の硫酸(300mL)に加えた。得られた混合物を99〜103℃で〜6時間加熱還流した。反応が完了したところで、この溶液を40〜50℃に冷却し、その後、減圧下で〜60mLまで濃縮した。アセトニトリル(225mL)を加え、得られた懸濁液を20〜25℃で〜1時間攪拌した。生成物を濾過により単離し、アセトニトリル(135mL)で洗浄し、45〜50℃で真空乾燥させた。収量33.34gを得た。
【0021】
化合物4の製造
化合物3(20g)を脱イオン水(200mL)に加えた。得られた溶液のpHを、内部温度を20〜30℃の間に維持しつつ50%水酸化ナトリウム水溶液(〜6.35mL)を加えることで6.5〜7.0に調整した。次に、酢酸エチル(80mL+20mLすすぎ)中、二炭酸ジ−tert−ブチル(8.9g)の溶液を加えた。得られた混合物のpHを、内部温度を20〜30℃の間に維持しつつ50%水酸化ナトリウム水溶液(2.45mL)を加えることで6.8〜7.0に調整した。反応が完了したところで、反応溶液を濾過して少量の沈殿を除去した。濾液を二層に分け、水層を酢酸エチル(140mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル層を水(40mL)で洗浄し、100mLまで濃縮した。ヘプタン(100mL)を加え、得られた懸濁液を60mLまで濃縮した。このプロセスをもう一度繰り返した。その後、ヘプタン(140mL)を加え、得られた懸濁液を20〜25℃で〜1時間攪拌した。生成物を濾過により単離し、ヘプタン(80mL)で洗浄し、40〜45℃で真空乾燥させた。収量15.3gを得た。
【0022】
化合物5の製造
化合物4(10g)をジメチルホルムアミド(20mL)およびアセトニトリル(80mL)に加えた。内部温度を20〜30℃の間に維持しつつ、イソシアン酸2−クロロ−3−フルオロフェニル(4.77g)を加えた後、10mLのアセトニトリルですすいだ。得られた混合物を20〜25℃で〜2時間攪拌した。反応が完了したところで、メタノール(50mL)を加えた。得られた懸濁液を20〜25℃で〜10分間攪拌した。脱イオン水(150mL)を加え、得られた懸濁液を20〜25℃で〜1時間攪拌した。生成物を濾過により単離し、脱イオン水(100mL)およびメタノール(15〜20mL)で洗浄した後、40〜45℃で真空乾燥させた。収量14.15gを得た。
【0023】
化合物6の製造−手法1
化合物5(50g)をテトラヒドロフラン(THF、200mL)に溶解させ、33〜37℃に加熱し、33〜37℃で保持した。別の反応で、アセトニトリル(250mL)、THF(50mL)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(43.9g)の溶液を調製した。得られた溶液を33〜37℃に加熱し、33〜37℃で保持した。このp−トルエンスルホン酸溶液を濾過し、温度を33〜37℃に維持しつつ、化合物5とTHFの入った反応槽に移した。出発材料が消費された後、生成物の微粉シード(0.5g)を最少量のアセトニトリル(5mL)に入れた。次に、この反応混合物を〜40分にわたって53〜57℃に加熱し、この温度で少なくとも4時間保持した。反応物を0〜5℃に冷却し、生成物を濾過により単離し、アセトニトリル(250mL)で洗浄し、55〜60℃で真空乾燥させた。収量52.24gを得た。
【0024】
化合物6の製造−手法2
化合物5(500g)を反応槽1に入れた後、アセトニトリル(CAN、3750mL)およびテトラヒドロフラン(THF、1250mL)を入れた。次に、この溶液を60〜65℃に加熱し、透明な溶液が得られたところで、反応槽2へ明澄化濾過を行う。反応槽1に、p−トルエンスルホン酸一水和物(TsOH・H
2O、439g)、次いでACN(750mL)およびTHF(250mL)を加える。この混合物を40〜45℃で加熱し、透明な溶液が得られたところで、明澄化濾過を行い、反応槽2の温度を50〜60℃に維持しつつ、この溶液を反応槽2(出発材料溶液を含む)に加えた。この混合物を加熱還流し、反応が完了するまで70〜80℃で保持した。〜3500mLの溶媒を常圧蒸留によって除去した。次に、この反応槽に2.5Lの水、次いで4LのACNを入れ、温度を70〜80℃に調節した。溶解が見られた後、得られた溶液を64〜68℃に冷却した。5〜10分後、粉砕した生成物シード(5g)を最少量のアセトニトリルに加え、64〜68℃で1時間保持した。この混合物を2時間かけて0〜5℃に冷却し、0〜5℃で〜30分間保持した後、生成物を濾過により単離した。この固体生成物を2.5Lのアセトニトリルで洗浄し、50〜60℃で真空乾燥させた。収量480gを得た。
【0025】
治療方法
本化合物は、限定されるものではないが、単球および/またはマクロファージなどの哺乳類細胞による過剰な、または調節を欠いたIL−8サイトカイン、またはIL−8αもしくはβ受容体(I型もしくはII型受容体とも呼ばれる)と結合する他のケモカインの産生によって悪化または発生するヒトまたは他の哺乳類の病態の予防的または治療的治療を目的とした薬剤の製造において有用である。
【0026】
よって、本発明は、ケモカインがIL−8αまたはβ受容体と結合するものである、ケモカイン介在疾患を治療する方法を提供し、その方法は有効量の本化合物を投与することを含む。特に、ケモカインはIL−8、GROα、GROβ、GROγ、NAP−2またはENA−78である。
【0027】
本化合物は、正常レベルの生理学的機能まで、または場合によっては病態を改善するために正常より低いレベルまで生物学的にダウンレギュレーションされるように、サイトカイン機能、特に、IL−8、GROα、GROβ、GROγ、NAP−2またはENA−78を阻害するのに十分な量で投与される。本発明において、IL−8、GROα、GROβ、GROγ、NAP−2またはENA−78の異常なレベルとは、例えば、(i)遊離IL−8が1ピコグラム/mL以上のレベル;(ii)細胞関連IL−8、GROα、GROβ、GROγ、NAP−2またはENA−78が正常な生理学的レベルを超える;または(iii)IL−8、GROα、GROβ、GROγ、NAP−2またはENA−78のが産生される細胞および組織における、それぞれIL−8、GROα、GROβ、GROγ、NAP−2またはENA−78の存在が基本レベルを超える、というものである。
【0028】
過剰な、または調節を欠いたIL−8産生が疾病の悪化および/または発生に関与している多くの病態が存在する。ケモカイン介在疾患としては、乾癬、アトピー性皮膚炎、骨関節炎、関節リウマチ、喘息、慢性閉塞性肺疾患、成人性呼吸窮迫症候群、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、脳卒中、敗血性ショック、内毒素ショック、グラム陰性敗血症、毒性ショック症候群、心臓および腎臓の再潅流傷害、糸球体腎炎、血栓症、移植片対宿主反応、アルツハイマー病、同種移植片拒絶、マラリア、再狭窄、脈管形成、アテローム性動脈硬化症、骨粗鬆症、歯肉炎、ライノウイルスなどのウイルス病または望ましくない造血幹細胞放出が挙げられる。
【0029】
特に、本発明の化合物は、喘息、慢性閉塞性肺疾患および成人性呼吸窮迫症候群の治療に有用である。好ましくは、本化合物は慢性閉塞性肺疾患の治療に有用である。
【0030】
本発明の疾患は、主として著しい好中球浸潤、T細胞浸潤または血管新生成長を特徴とし、炎症部位への好中球の走化性または内皮細胞の方向性成長を担うIL−8、GROα、GROβ、GROγ、NAP−2またはENA−78産生の増強に関連している。他の炎症性サイトカイン(IL−1、TNFおよびIL−6)とは対照的に、IL−8、GROα、GROβ、GROγ、NAP−2またはENA−78は、好中球の走化性、限定されるものではないがエラスターゼの放出などの酵素の放出、ならびにスーパーオキシドの産生および活性化を促進する独自の特性を有する。α−ケモカイン、特に、I型またはII型IL−8受容体を介して働くGROα、GROβ、GROγ、NAP−2またはENA−78は、内皮細胞の方向性成長を促進することによって腫瘍の新血管新生を促進し得る。従って、IL−8により誘発される走化性または活性化の阻害は、好中球浸潤の直接的減少をもたらす。
【0031】
また、最近の証拠は、HIV感染の治療におけるケモカインの役割を含意しているLittleman et al.,
Nature 381, pp. 661 (1996)およびKoup et al.,
Nature 381, pp. 667 (1996)。
【0032】
最近の証拠はまた、アテローム性動脈硬化症の治療におけるIL−8阻害剤の使用を示している。最初の参考文献Boisvert et al.,
J. Clin. Invest, 1998, 101:353-363は、骨髄移植を通じて、幹細胞上に(従って、単球/マクロファージ上に)IL−8受容体が存在しないと、LDL受容体欠損マウスにおいてアテローム斑の発生が軽減されることを示す。
【0033】
本発明はまた、CNS損傷を治療する手段を提供する。このような治療は救急時に、また、損傷を受けるおそれのある個体において損傷を予防するために提供される。
【0034】
本明細書で定義されるCNS損傷としては、外科術によるものなどの開放性または穿孔性双方の頭部外傷、または頭部領域への損傷によるものなどの閉鎖性頭部外傷を含む。また、特に脳領域に対する虚血性脳卒中もこの定義内に含まれる。
【0035】
虚血性脳卒中は、通常は血栓、塞栓または血管のアテローム変性閉鎖の結果としての、特に脳領域への血液供給が不足することから起こる局部的な神経障害として定義することができる。この領域における炎症性サイトカインの役割は明らかになっており、本発明はこれらの損傷の可能性のある治療に向けた手段を提供する。
【0036】
TNF−αは、内皮細胞白血球接着分子の発現を含めた炎症性作用を有するサイトカインである。白血球は脳の虚血部位に浸潤し、従って、TNFを阻害するか、またはそのレベルを低下させる化合物が虚血性脳損傷の治療に有用となる。Liu et al.,
Stroke, Vol. 25., No. 7, pp. 1481-88 (1994)(この開示は出典明示により本明細書の一部とされる)参照。
【0037】
閉鎖性頭部損傷および5−LO/CO混合薬による治療のモデルが、Shohami et al.,
J. of Vaisc & Clinical Physiology and Pharmacology, Vol. 3, No. 2, pp. 99-107 (1992)に述べられている。浮腫の形成を軽減する治療は、被治療動物における機能的転帰を改善することが分かった。
【0038】
本化合物は、好中球の走化性および活性化の低下によって明らかなものなど、IL−8αまたはβ受容体に結合するIL-8が、これらの受容体と結合するのを阻害するのに十分な量で投与される。本化合物はIL−8結合の阻害剤であるという発見は、これらのアッセイにおける本化合物の作用に基づくものである。
【0039】
本明細書において、「IL−8介在疾患または病態」とは、IL−8、GROα、GROβ、GROγ、NAP−2またはENA−78が、IL−8、GROα、GROβ、GROγ、NAP−2またはENA−78自体の産生によるか、または限定されるものではないがIL−1、IL−6もしくはTNFなどの他のモノカインの放出を引き起こすIL−8、GROα、GROβ、GROγ、NAP−2またはENA−78によって役割を果たす、いずれか、また全ての病態を指す。従って例えば、IL−1が主成分であり、その産生または作用がIL−8に応答して激化または分泌される病態は、IL−8が介在する病態であると考えられる。
【0040】
本明細書において「ケモカイン介在疾患または病態」とは、限定されるものではないがIL−8、GRO−α、GRO−β、GROγ、NAP−2またはENA−78など、IL−8αまたはβ受容体と結合するケモカインが役割を果たす、いずれか、また全ての病態を指す。これには、IL−8が、IL−8自体の産生によるか、または限定されるものではないがIL-1、IL−6もしくはTNFなど他のモノカインの放出を引き起こすIL−8によって役割を果たす病態が含まれる。従って例えば、IL−1が主成分であり、その産生または作用がIL−8に応答して激化または分泌される病態は、IL−8が介在する病態であると考えられる。
【0041】
本明細書において「サイトカイン」とは、細胞の機能に影響を与え、免疫応答、炎症応答または造血応答における細胞間の相互作用を変調する分子である、分泌型ポリペプチドを指す。サイトカインとしては、限定されるものではないが、モノカインおよびリンホカインが含まれ、どの細胞がそれらを産生するかにはよらない。例えばモノカインは、一般に、マクロファージおよび/または単球などの単核細胞によって産生および分泌されるとされている。しかし、ナチュラルキラー細胞、繊維芽細胞、好塩基球、好中球、内皮細胞、脳星状細胞、骨髄間質細胞、表皮ケラチノサイトおよびBリンパ球などの他の多くの細胞もモノカインを産出する。リンホカインは一般に、リンパ球細胞によって産出されるとされている。サイトカインの例としては、限定されるものではないが、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−8(IL−8)、腫瘍壊死因子α(TNF−α)および腫瘍壊死因子β(TNF−β)が含まれる。
【0042】
本明細書において「ケモカイン」とは、上記の「サイトカイン」という用語と同様に、細胞の機能に影響を与え、免疫応答、炎症応答または造血応答にける細胞間の相互作用を変調する分子である、分泌型ポリペプチドを指す。ケモカインは、主に細胞のトランスメンブランを介して分泌され、特定の白血細胞(white blood cell)および白血球(leukocyte)、好中球、単球、マクロファージ、T細胞、B細胞、内皮細胞および平滑筋細胞の走化性および活性化を生じる。ケモカインの例としては、限定されるものではないが、IL−8、GRO−α、GRO−β、GRO−γ、NAP−2、ENA−78、IP−10、MIP−1α、MIP−β、PF4、ならびにMCP1、2および3が含まれる。
【0043】
本化合物を治療で使用するためには、通常、それを、標準的な製薬慣行に従って医薬組成物へと処方する。従って、本発明はまた、有効な非毒性量の本化合物と医薬上許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物に関する。
【0044】
本化合物およびそれを配合した医薬組成物は、薬剤投与、例えば、経口、局所、非経口または吸入による投与に通常使用される経路のいずれかによって好都合に投与することができる。本化合物は、通常の手順に従って本化合物を標準的な医薬担体と組み合わせることによって調製された通常の投与形として投与することができる。本化合物は、第2の既知の治療上有効な化合物と組み合わせて、通常の投与形で投与することもできる。これらの手順は、所望の製剤に適するように、成分の混合、造粒および圧縮または溶解を含み得る。医薬上許容される種類または希釈剤の形態および特徴は、それが組み合わされる有効成分の量、投与経路および他の周知の変数によって定められると考えられる。担体は、その処方物の他の成分と適合し、かつ、そのレシピエントに対して有害ではないという意味で「許容され」なければならない。
【0045】
使用される医薬担体は、例えば、固体でも液体でもよい。固体担体の例としては、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などがある。液体担体の例としては、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、水などがある。同様に、担体または希釈剤としては、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなど当技術分野で周知の遅延材料を単独で、またはワックスとともに含み得る。
【0046】
多様な医薬形を使用することができる。従って、固体担体が使用される場合には、この製剤は、粉末またはペレットの形態で打錠またはゼラチン硬カプセルに入れるか、あるいはトローチまたはロゼンジの形態とすることができる。固体担体の量は多様であるが、好ましくは、約25mg〜約1gである。液体担体が使用される場合には、製剤は、シロップ、エマルション、ゼラチン軟カプセル、アンプルなどの無菌注入液体、または非水性液体懸濁剤の形態となる。
【0047】
本化合物は、局所的に、すなわち非全身投与によって投与することができる。これには、本化合物の表皮または口腔への外用、このような化合物の、耳、目および鼻への滴注が含まれ、この場合には本化合物はあまり血流に入り込まない。これに対し、全身投与は、経口、静脈内、腹腔内および筋肉内投与を指す。
【0048】
局所投与に適した処方物としては、皮膚を介して炎症部位に浸透させるのに適したリニメント剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏またはペースト剤などの液体または半液体製剤、ならびに目、耳または鼻への投与に適した滴剤が含まれる。有効成分は、局所投与については、処方物の0.001%〜10%w/w、例えば1重量%〜2重量%を含み得る。処方物の10%w/wも含むことができるが、好ましくは5%w/w未満、より好ましくは0.1%〜1%w/wを含む。
【0049】
本発明のローション剤には、皮膚または目への適用に適したものが含まれる。目薬は、殺菌剤を所望により含有する滅菌水溶液を含むことができ、滴剤の調製方法と同じ方法によって調製することができる。皮膚に適用するためのローション剤またはリニメント剤は、アルコールまたはアセトンなど、乾燥を促進し皮膚を冷却するための薬剤、ならびに/あるいはグリセロールまたはヒマシ油もしくは落花生油といった油などの保湿剤を含むこともできる。
【0050】
本発明のローション剤としては、皮膚または目への適用に適したものが含まれる。目薬は、所望により殺菌剤を含有する滅菌水溶液を含むことができ、滴剤の調製と同様の方法によって調製することができる。皮膚に適用するためのローション剤またはリニメント剤は、アルコールまたはアセトンなどの、乾燥を促進し皮膚を冷却するための薬剤、ならびに/あるいはグリセロールまたはヒマシ油もしくは落花生油といった油などの保湿剤を含むこともできる。
【0051】
本発明のクリーム剤、軟膏またはペースト剤は、外用の、有効成分の半固体処方物である。それらは、適切な機械の助けで、油脂性基材または非油脂性基材を用いて、微細分割されたまたは粉末の形態の有効成分を単独で、あるいは水性または非水性流体中の溶液または懸濁液として混合することによって調製することができる。基材は、硬質、軟質または液体パラフィンなどの炭化水素、グリセロール、蜜蝋、金属石鹸;漿剤;アーモンド油、トウモロコシ油、落花生油、ヒマシ油またはオリーブ油などの天然源の油;羊毛脂またはその誘導体、あるいはプロピレングリコールなどのアルコールを伴うステアリン酸またはオレイン酸などの脂肪酸;あるいはマクロゲルを含むことができる。この処方物は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤、例えば、ソルビタンエステルまたはそのポリオキシエチレン誘導体などの好適な界面活性剤を配合することができる。天然ゴム、セルロース誘導体または珪質シリカなどの無機材料などの懸濁化剤、およびラノリンなどの他の成分も含むことができる。
【0052】
本発明の滴剤は、無菌の水性もしくは油性溶液または懸濁液を含むことができ、有効成分を、殺菌剤および/または殺真菌剤および/または他の好適な任意の保存剤(好ましくは界面活性剤を含む)の好適な水溶液に溶解させることによって調製することができる。次いで、得られた溶液を、濾過によって明澄化し、好適な容器に移した後、それを密閉し、高圧蒸気殺菌によって滅菌するか、または98〜100℃で30分間維持する。あるいは、溶液を濾過除菌し、無菌法で容器に移してもよい。滴剤に入れるのに適した殺菌剤および殺真菌剤の例としては、硝酸フェニル水銀または酢酸フェニル水銀(0.002%)、塩化ベンザルコニウム(0.01%)および酢酸クロルヘキシジン(0.01%)がある。油性溶液の調製に適した溶媒には、グリセロール、希釈アルコールおよびプロピレングリコールが含まれる。
【0053】
本化合物は、非経口、すなわち、静脈内、筋肉内、皮下、鼻腔内、直腸内、膣内または腹腔内投与によって投与することができる。このような投与に適当な投与形は、通常の技術によって調製することができる。また、本化合物は、吸入によって、すなわち鼻腔内および経口吸入投与によって投与することもできる。エアゾール処方物または定量吸入器など、このような投与に適当な投与は、通常の技術によって調製することができる。
【0054】
本化合物に関して本明細書で開示される全ての使用方法で、1日経口投与計画は、好ましくは約0.01〜約80mg/全体重kgである。1日非経口投与計画は、約0.001〜約80mg/全体重kgである。1日局所投与計画は、好ましくは0.1mg〜150mgであり、1日に1〜4回、好ましくは2回または3回投与される。1日吸入投与計画は、好ましくは1日当たり0.01mg/kg〜約1mg/kgである。当業者であれば、本化合物の個々の投与の最適な量および間隔は、治療される症状の性質および程度、投与の形態、経路および部位、治療される具体的な患者によって決定されること、ならびにこのような最適条件は通常の技術によって決定できることが分かるであろう。当業者であれば、最適な治療コース、すなわち規定の日数、1日当たり与えられる本化合物の投与回数は当業者が通常の治療決定試験コースを使用して確定可能であることも分かるであろう。
【0055】
組合せ:
本化合物および本発明の医薬処方物は、例えば、抗炎症薬、抗コリン作用薬(特にM
1/M
2/M
3受容体アンタゴニスト)、β
2−アドレナリン受容体アゴニスト、抗生物質、抗ウイルス薬などの抗感染薬、または抗ヒスタミン薬から選択される1以上の他の治療薬と組み合わせて使用すること、またはこれらを含むことができる。よって、本発明は、さらなる態様において、本化合物または生理学上機能のある本化合物の誘導体を、例えば、コルチコステロイドもしくはNSAIDなどの抗炎症薬、抗コリン作用薬、β
2−アドレナリン受容体アゴニスト、抗生物質もしくは抗ウイルス薬などの抗感染薬、または抗ヒスタミン薬から選択される1以上の他の治療上有効な薬剤とともに含む組合せを提供する。本発明の一実施形態は、本化合物またはその生理学上機能のある誘導体をβ
2−アドレナリン受容体アゴニスト、および/または抗コリン作動薬、および/またはPDE−4阻害剤、および/または抗ヒスタミン薬とともに含む組合せを包含する。
【0056】
当業者には、適当であれば、治療成分の活性および/または安定性および/または溶解度などの物理的特性を最適化するために、他の治療成分を、塩(例えば、アルカリ金属塩もしくはアミン塩または酸付加塩)、またはプロドラッグ、またはエステル(例えば、低級アルキルエステル)、または溶媒和物(例えば、水和物)の形態で使用することができることが明らかである。また、適当であれば、治療成分を光学的に純粋な形態で使用することができることも明らかである。
【0057】
一実施形態において、本発明は、本化合物をβ
2−アドレナリン受容体アゴニストとともに含む組合せを包含する。β
2−アドレナリン受容体アゴニストの例としては、サルメテロール(salmeterol)(ラセミ体またはR−鏡像異性体などの単一の鏡像異性体であり得る)、サルブタモール(salbutamol)(ラセミ体またはR−鏡像異性体などの単一の鏡像異性体であり得る)、フォルモテロール(formoterol)(ラセミ体またはR,R−ジアステレオマーなどの単一のジアステレオマーであり得る)、サルメファモール(salmefamol)、フェノテロール(fenoterol)、カルモテロール(carmoterol)、エタンテロール(etanterol)、ナミンテロール(naminterol)、クレンブテロール(clenbuterol)、ピルブテロール(pirbuterol)、フレルブテロール(flerbuterol)、レプロテロール(reproterol)、バムブテロール(bambuterol)、インダカテロール(indacaterol)、テルブタリン(terbutaline)およびその塩、例えば、サルメテロールのキシナホ酸(1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸)塩、サルブタモールの硫酸塩もしくは遊離塩基、またはフォルモテロールのギ酸塩が含まれる。一実施形態において、β
2−アドレナリン受容体アゴニストは長時間作用性のβ
2−アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、約12時間以上有効な気管支拡張をもたらす化合物である。他のβ
2−アドレナリン受容体アゴニストとしては、WO2002/066422、WO2002/070490、WO2002/076933、WO2003/024439、WO2003/072539、WO2003/091204、WO2004/016578、WO2004/022547、WO2004/037807、WO2004/037773、WO2004/037768、WO2004/039762、WO2004/039766、WO2001/42193およびWO2003/042160に記載されているものが含まれる。
【0058】
β
2−アドレナリン受容体アゴニストのさらなる例としては、
3−(4−{[6−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド;
3−(3−{[7−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}−アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノール;
4−{(1R)−2−[(6−{4−[3−(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノール;
N−[2−ヒドロキシル−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[2−4−[[(2R)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミド;
N−2{2−[4−(3−フェニル−4−メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2(1H)−キノリノン−5−イル)エチルアミン;および 5−[(R)−2−(2−{4−[4−(2−アミノ−2−メチル−プロポキシ)−フェニルアミノ]−フェニル}−エチルアミノ)−1−ヒドロキシ−エチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン
が挙げられる。
【0059】
β
2−アドレナリン受容体アゴニストは、硫酸、塩酸、フマル酸、ヒドロキシナフトン酸(例えば、1−または3−ヒドロキシ−2−ナフトン酸)、桂皮酸、置換桂皮酸、トリフェニル酢酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ナフタレンアクリル酸、安息香酸、4−メトキシ安息香酸、2−または4−ヒドロキシ安息香酸、4−クロロ安息香酸および4−フェニル安息香酸から選択される医薬上許容される酸とともに形成される塩の形態であり得る。
【0060】
好適な抗炎症薬としては、コルチコステロイドが含まれる。本発明の化合物との組合せ使用が可能なコルチコステロイドの例としては、経口および吸入コルチコステロイド、ならびに抗炎症活性を有するそれらのプロドラッグが含まれる。
【0061】
例としては、メチルプレドニゾロン(methyl prednisolone)、プレドニゾロン、デキサメタゾン(dexamethasone)、プロピオン酸フルチカゾン(fluticasone propionate)、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−[(4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボニル)オキシ]−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル(フロ酸フルチカゾン)、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3S−イル)エステル、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−(2,2,3,3−テトラメチシクロプロピルカルボニル)オキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−シアノメチルエステルおよび6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−(1−メチシクロプロピルカルボニル)オキシ−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル、ベクロメタゾン(beclomethasone)エステル(例えば、17−プロピオン酸エステルまたは17,21−二プロピオン酸エステル)、ブデソニド(budesonide)、フルニソリド(flunisolide)、モメタゾン(mometasone)エステル(例えば、フロ酸モメタゾン)、トリアムシノロンアセトニド(triamcinolone acetonide)、ロフレポニド(rofleponide)、シクレソニド(ciclesonide)(16α,17−[[(R)−シクロヘキシルメチレン]ビス(オキシ)]−11β,21−ジヒドロキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン)、プロピオン酸ブチキソコルト(butixocort propionate)、RPR-−106541およびST−126が挙げられる。一実施形態において、コルチコステロイドとしては、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−[(4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボニル)オキシ]−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−(2,2,3,3−テトラメチシクロプロピルカルボニル)オキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−シアノメチルエステルおよび6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−(1−メチシクロプロピルカルボニル)オキシ−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステルが挙げられる。一実施形態において、コルチコステロイドは6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステルである。
【0062】
コルチコステロイドの例としてはまた、WO2002/088167、WO2002/100879、WO2002/12265、WO2002/12266、WO2005/005451、WO2005/005452、WO2006/072599およびWO2006/072600に記載されているものが含まれる。
【0063】
トランス抑制に対してトランス活性化を超える選択性を持ち得、併用療法に有用であり得るグルココルチコイド増強作用を有する非ステロイド系化合物としては、次の公開特許出願および特許にわたるものが含まれる:WO2003/082827、WO1998/54159、WO2004/005229、WO2004/009017、WO2004/018429、WO2003/104195、WO2003/082787、WO2003/082280、WO2003/059899、WO2003/101932、WO2002/02565、WO2001/16128、WO2000/66590、WO2003/086294、WO2004/026248、WO2003/061651、WO2003/08277、WO2006/000401、WO2006/000398およびWO2006/015870。
【0064】
トランス抑制に対してトランス活性化を超える選択性を持ち得、併用療法に有用であり得るグルココルチコイド増強作用を有する非ステロイド系化合物としては、次の特許にわたるものが含まれる:WO2003/082827、WO1998/54159、WO2004/005229、WO2004/009017、WO2004/018429、WO2003/104195、WO2003/082787、WO2003/082280、WO2003/059899、WO2003/101932、WO2002/02565、WO2001/16128、WO2000/66590、WO2003/086294、WO2004/026248、WO2003/061651およびWO2003/08277。
【0065】
抗炎症薬の例としては、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が含まれる。
【0066】
NSAIDの例としては、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(例えば、テオフィリン、PDE4阻害剤またはPDE3/PDE4混合阻害剤)、ロイコトリエンアンタゴニスト、ロイコトリエン合成阻害剤(例えば、モンテルカスト)、iNOS阻害剤、トリプターゼおよびエラスターゼ阻害剤、β−2インテグリンアンタゴニストおよびアデノシン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト(例えば、アデノシン2aアゴニスト)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、CCR3アンタゴニストなどのケモカインアンタゴニスト)またはサイトカイン合成阻害剤、または5−リポキシゲナーゼ阻害剤が含まれる。一実施形態において、本発明は、経口投与用のiNOS(一酸化硝酸シンターゼを含む)阻害剤を包含する。iNOS阻害剤の例としては、WO1993/13055、WO1998/30537、WO2002/50021、WO1995/34534およびWO1999/62875に開示されているものが含まれる。CCR3阻害剤の例としては、WO2002/26722に開示されているものが含まれる。
【0067】
一実施形態において、本発明は、例えば吸入に適した処方物の場合、本化合物とホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤との併用を提供する。本発明のこの態様に有用なPDE4阻害剤は、例えば、PDE4Bおよび/またはPDE4Dの阻害剤など、PDE4阻害剤として知られている、またはPDE4阻害剤として働くことが発見されている化合物であり得る。
【0068】
PDE4阻害化合物としては、
シス−4−シアノ−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸、
2−カルボメトキシ−4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン−1−オンおよび
シス−[4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン−1−オール]
が含まれる。また、シス−4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]シクロヘキサン−1−カルボン酸(シロミラスト(cilomilast)としても知られる)およびその塩、エステル、プロドラッグまたは米国特許第5,552,438号に記載されている物理形態が含まれる。
【0069】
他のPDE4阻害化合物としては、Elbion (Hofgen, N. et al. 15th EFMC Int Symp Med Chem (Sept 6-10, Edinburgh) 1998, Abst P.98; CAS reference No. 247584020-9)からのAWD−12−281(N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−1−[4−フルオロフェニル)メチル]−5−ヒドロキシ−α−オキソ−1H−インドール−3−アセトアミド);NCS−613と命名された9−ベンジルアデニン誘導体(INSERM);Chiroscience and Schering-PloughからのD−4418;CI−1018(PD−168787)として識別され、Pfizerに属すベンゾジアゼピンPDE4阻害剤;Kyowa HakkoがWO99/16766で開示しているベンゾジオキソール誘導体;Kyowa HakkoからのK−34;Napp (Landells, L.J.
et al. Eur Resp J [Annu Cong Eur Resp Soc (Sept 19-23, Geneva) 1998] 1998, 12 (Suppl. 28): Abst P2393)からのV−11294A;ロフルミラスト(roflumilast)(3−(シクロプロピルメトキシ)−N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−4−(ジフルオロメトキシ)ベンズアミド)(Byk Gulden LombergのEP0706513B1、例えば、その実施例5参照);Byk-Guldenからのフタラジノン(phthalazinone)(WO1999/47505);Byk-Gulden、現在のAltanaにより製造され、公開されているPDE3/PDE4混合阻害剤である、プマフェントリン(Pumafentrine)、(−)−p−[(4aR
*,10bS
*)−9−エトキシ−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロ−8−メトキシ−2−メチルベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル]−N,N−ジイソプロピルベンズアミド;Almirall-Prodesfarmaが開発中のアロフィリン(arofylline);VernalisからのVM554/UM565;またはT−440(Tanabe Seiyaku; Fuji, K.
et al. J Pharmacol Exp Ther,1998, 284(1): 162)およびT2585が含まれる。
【0070】
さらなるPDE4阻害化合物は、公開国際特許出願WO2004/024728、WO2004/056823、WO2004/103998(例えば、そこに開示されている実施例399または544)、WO2005/058892、WO2005/090348、WO2005/090353およびWO2005/090354(全て、Glaxo Group Limitedの名称)に開示されている。
【0071】
抗コリン作用薬の例としては、ムスカリン性受容体においてアンタゴニストとして作用する化合物、特に、M
1またはM
3受容体のアンタゴニスト、M
1/M
3またはM
2/M
3受容体の二重アンタゴニスト、あるいはM
1/M
2/M
3受容体の汎アンタゴニストである化合物がある。吸入を介する投与のための化合物例としては、イプラトロピウム(ipratropium)(例えば、Atroventの名称で販売されている臭化物CAS 22254−24−6として)、オキシトロピウム(oxitropium)(例えば、臭化物CAS 30286−75−0として)およびチオトロピウム(tiotropium)(例えば、Spirivaの名称で販売されている臭化物CAS 136310−93−5として)が挙げられる。また、レバトロパン酸(例えば、CAS 262586−79−8臭化水素酸塩として)およびWO2001/04118に開示されているLAS−34273が注目される。経口投与用の化合物例としては、ピレンゼピン(pirenzepine)(CAS 28797−61−7)、ダリフェナシン(darifenacin)(Enablexの名称で販売されている臭化水素酸としてのCAS 133099−04−4またはCAS 133099−07−7)、オキシブチニン(oxybutynin)(Ditropanの名称で販売されているCAS 5633−20−5)、テロジリン(terodiline)(CAS 15793−40−5)、トルテロジン(tolterodine)(Detrolの名称で販売されている酒石酸塩としてのCAS 124937−51−5またはCAS 124937−52−6)、オチロニウム(otilonium)(例えば、Spansmomenの名称で販売されている臭化物としてのCAS 26095−59−0)、塩酸トロスピウム(trospium chloride)(CAS 10405−02−4)およびソリフェナシン(solifenacin)(YM−905としても知られ、Vesicareの名称で販売されているコハク酸塩としてのCAS 242478−37−1またはCAS 242478−38−2)が含まれる。
【0072】
さらなる化合物はWO2005/037280、WO2005/046586およびWO2005/104745に開示されている。本組合せとしては、限定されるものではないが、
(3−エンド)−3−(2,2−ジ−2−チエニルエテニル)−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニルエチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド;および
(1R,5S)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニルエチル)−8−メチル−8−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド
が含まれる。
【0073】
他の抗コリン作用薬としては、米国特許出願60/487981(出典明示により本発明を実施するのに必要な程度まで本明細書の一部とされる)に開示されている化合物が含まれる。これらには例えば、
(エンド)−3−(2−メトキシ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオニトリル;
(エンド)−8−メチル−3−(2,2,2−トリフェニル−エチル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオンアミド;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオン酸;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロパン−1−オール;
N−ベンジル−3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオンアミド;
(エンド)−3−(2−カルバモイル−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
1−ベンジル−3−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−尿素;
1−エチル−3−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−尿素;
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−アセトアミド;
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−ベンズアミド;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−プロピオニトリル;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−ベンゼンスルホンアミド;
[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−尿素;
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−メタンスルホンアミド;および/または
(エンド)−3−{2,2−ジフェニル−3−[(1−フェニル−メタノイル)−アミノ]−プロピル}−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド
が含まれる。
【0074】
さらなる化合物としては、
(エンド)−3−(2−メトキシ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(エンド)−3−(2−カルバモイル−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;および/または
(エンド)−3−{2,2−ジフェニル−3−[(1−フェニル−メタノイル)−アミノ]−プロピル}−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド
が含まれる。
【0075】
一実施形態において、本発明は、本化合物をH1アンタゴニストとともに含む組合せを提供する。H1アンタゴニストの例としては、限定されるものではないが、アメレキサノックス(amelexanox)、アステミゾール(astemizole)、アザタジン(azatadine)、アゼラスチン(azelastine)、アクリバスチン(acrivastine)、ブロムフェニラミン(brompheniramine)、セチリジン(cetirizine)、レボセチリジン(levocetirizine)、エフレチリジン(efletirizine)、クロルフェニラミン(chlorpheniramine)、クレマスチン(clemastine)、サイクリジン(cyclizine)、カレバスチン(carebastine)、シプロヘプタジン(cyproheptadine)、カルビノキサミン(carbinoxamine)、デスカルボエトキシロラタジン(descarboethoxyloratadine)、ドキシラミン(doxylamine)、ジメチンデン(dimethindene)、エバスチン(ebastine)、エピナスチン(epinastine)、エフレチリジン(efletirizine)、フェキソフェナジン(fexofenadine)、ヒドロキシジン(hydroxyzine)、ケトチフェン(ketotifen)、ロラタジン(loratadine)、レボカバスチン(levocabastine)、ミゾラスチン(mizolastine)、メキタジン(mequitazine)、ミアンセリン(mianserin)、ノベラスチン(noberastine)、メクリジン(meclizine)、ノルアステミゾール(norastemizole)、オロパタジン(olopatadine)、ピクマスト(picumast)、ピリラミン(pyrilamine)、プロメタジン(promethazine)、テルフェナジン(terfenadine)、トリペレナミン(tripelennamine)、テメラスチン(temelastine)、トリメプラジン(trimeprazine)およびトリプロリジン(triprolidine)、特に、セチリジン、レボセチリジン、エフレチリジンおよびフェキソフェナジンが含まれる。さらなる実施形態において、本発明は、本化合物をH3アンタゴニスト(および/または逆アゴニスト)とともに含む組合せを提供する。H3アンタゴニストの例としては、例えば、WO2004/035556およびWO2006/045416に開示されている化合物が含まれる。本発明の化合物と組み合わせて使用することができる他のヒスタミン受容体アンタゴニストとしては、H4受容体のアンタゴニスト(および/または逆アゴニスト)、例えば、Jablonowski et al., J. Med. Chem. 46:3957-3960 (2003)に開示されている化合物が含まれる。
【0076】
一実施形態において、本発明は、本化合物を、4,4−ジフルオロ−N−((1S)−3−{3−[3−メチル−5−(1−メチルエチル)−4H−1,2,4−トリアゾl−4−イル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル}−1−フェニルプロピル)シクロヘキサンカルボキサミド:
【化2】
などのCCR5受容体アンタゴニストとともに含む組合せを提供する。
【0077】
一実施形態において、本発明は、本化合物を、N−((1R)−1−{3−[4−(エチルオキシ)フェニル]−4−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イル}エチル)−N−(3−ピリジニルメチル)−2−{4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}アセトアミド:
【化3】
などのCXCR3受容体アンタゴニストとともに含む組合せを提供する。
【0078】
よって本発明は、さらなる態様において、本化合物をPDE4阻害剤とともに含む組合せを提供する。
【0079】
よって本発明は、さらなる態様において、本化合物をβ
2−アドレナリン受容体アゴニストとともに含む組合せを提供する。
【0080】
よって本発明は、さらなる態様において、本化合物をコルチコステロイドとともに含む組合せを提供する。
【0081】
よって本発明は、さらなる態様において、本化合物を非ステロイド系GRアゴニストとともに含む組合せを提供する。
【0082】
よって本発明は、さらなる態様において、本化合物を抗コリン作用薬とともに含む組合せを提供する。
【0083】
よって本発明は、さらなる態様において、本化合物を抗ヒスタミン薬とともに含む組合せを提供する。
【0084】
よって本発明は、さらなる態様において、本化合物をPDE4阻害剤およびβ
2−アドレナリン受容体アゴニストとともに含む組合せを提供する。
【0085】
よって本発明は、さらなる態様において、本化合物を抗コリン作動薬およびPDE−4阻害剤とともに含む組合せを提供する。
【0086】
上記に述べた組合せは、医薬処方物の形態で使用するために便宜に提供することができ、よって、上記で定義された組合せを医薬上許容される希釈剤または担体とともに含む医薬処方物は本発明のさらなる態様を表す。
【0087】
このような組合せの個々の化合物は順次、または別個の、または組み合わせられた医薬処方物として同時に投与することができる。一実施形態において、個々の化合物は組み合わせられた医薬処方物として同時に投与される。当業者であれば、既知の治療薬の適当な用量が容易に分かるであろう。
【0088】
よって本発明は、さらなる態様において、本化合物と別の治療上有効な薬剤との組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0089】
よって本発明は、さらなる態様において、本化合物とPDE4阻害剤との組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0090】
よって本発明は、さらなる態様において、本化合物とβ
2−アドレナリン受容体アゴニストとの組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0091】
よって本発明は、さらなる態様において、本化合物とコルチコステロイドとの組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0092】
よって本発明は、さらなる態様において、本化合物と非ステロイド系GRアゴニストとの組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0093】
よって本発明は、さらなる態様において、本化合物と抗コリン作動薬との組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0094】
よって本発明は、さらなる態様において、本化合物と抗ヒスタミン薬との組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0095】
よって本発明は、さらなる態様において、本化合物とCXCR3受容体アンタゴニストとの組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0096】
よって本発明は、さらなる態様において、本発明とCCR5受容体アンタゴニストとの医薬組合せを提供する。
【0097】
以下、本発明を書きの生物学的実施例により説明するが、これらは単に例示であって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0098】
生物学的実施例
本発明の化合物のIL−8およびGRO−αケモカイン阻害作用は、以下のin vitroアッセイによって測定される。
【0099】
受容体結合アッセイ:
比活性が2000Ci/mmolの[
125I]IL−8(ヒト組換え体)は、GE Healthcareから入手する。他の化学物質は全て分析級のものである。高レベルの組換えヒトCXCR1(IL−8α型)およびCXCR2(IL−8β型)受容体を、これまでに記載されているように(Holmes, et al., Science, 1991, 253, 1278)、非接着チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で個々に発現させる。ホモジナイゼーションバッファーを40mM Tris−HCL(pH7.5)、1mM MgSO
4、0.5mM EGTA(エチレン−グリコール−ビス(2−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’四酢酸)、1mM PMSF(フッ化α−トルエンスルホニル)、2.5mg/Lロイペプチンおよび0.1mg/mlアプロチニンに変更すること以外は、これまでに記載されているプロトコール(Haour, et al., J. Biol. Chem., 249 pp 2195-2205 (1974)(出典明示により本膜の調製に必要な程度まで本明細書の一部とされる))に従って膜を調製する。細胞をホモジナイズし、2,000rpmで10分遠心分離する。上清を100,000xgで1時間遠心分離する。上清を廃棄し、膜を−80℃で保存する。膜タンパク質濃度は、ウシ血清アルブミン(BSA)を標品として用い、製造者のプロトコールに従ってBioRad試薬を用いて測定する。
【0100】
IL−8の結合は全て、96ウェルプレート形式で、麦芽凝集素ビーズを用いるシンチレーション近接アッセイ(SPA)を用いて行う。膜CHO−CXCR1またはCHO−CXCR2を結合バッファー中、4℃で30分間、ビーズとともにプレインキュベートする。バッファーは、1mM MgSO
4、0.1mM EDTAおよび25mM NaClを含有する20mMのビス−トリスプロパンバッファーpH8.0を含む。化合物をDMSOで最終希釈溶液(最終化合物濃度1nM〜30μMの間、最終DMSO濃度5%)の20倍に希釈する。アッセイは、96ウェルプレート(optiplate 96、Packard)にて、室温、膜と0.04%CHAPS(3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート)、0.0025%BSAおよび0.23nM[
125I]IL−8を含む0.1ml結合バッファー中で行う。プレートをプラットフォーム上で1時間振盪させ、インキュベーションが終了したところで、これらのプレートを2,000rpmで5分回転させ、Top Countカウンターで計数する。組換えIL−8Rα、CXCR1またはI型受容体は本明細書では非許容型受容体、組換えIL−8Rβ、CXCR2またはII型受容体は許容型受容体とも呼ばれる。
【0101】
化合物は、本アッセイにおいて30μM未満のIC
50値を示す場合に活性があるとみなされる。本化合物は本アッセイにおいてIC
50値が約13nMで有効であると判定されると思われる。
【0102】
走化性アッセイ:
好中球走化性アッセイを行う。ヒト一次好中球を、パーコール不連続勾配遠心分離、デキストラン沈降および低張溶解を用い、抹消全血から単離する。走化因子IL−8(CXCL8)またはGRO−α(CXCL1)を96マルチウェルチャンバー(ChemoTx System, Neuro Probe, Gaithersburg, MD)の下方のチャンバーに入れる。用いるアゴニスト濃度はEC80濃度である。この2つのチャンバーを5μMポリカーボネート膜で分離する。供試化合物を、フィルターの上部に置く前に細胞とともにプレイキュベートする。走化因子を5%CO
2で加湿したインキュベーター中、37℃で45分間進行させる。このインキュベーションの終了時に、膜を取り外し、下方のチャンバーに移動した細胞を96ウェルプレートに移す。これらの細胞を、発光細胞生存アッセイ(ChemoTx System, Neuro Probe, Gaithersburg, MD)を用いて測定する。各サンプルを2回試験し、各化合物は少なくとも3回繰り返す。陽性対照細胞は化合物を添加しない細胞であり、最大走化性応答に相当する。陰性対照(無刺激)は下方のチャンバーにケモカインを添加しないものである。陽性対照と陰性対照の間の差は、細胞の走化活性を表す。
【0103】
化合物は、5μM未満のIC
50を示す場合に活性があるとみなされる。
【0104】
CD11bヒト全血アッセイ:
ヒト全血において、化合物の好中球に対する、GROαに誘発されるインテグリンCD11bの発現を阻害する能力を試験する。
【0105】
バタフライラインと有効ナトリウムヘパリン0.2mlの入った10mlシリンジを用い、血液を抜き取る(9ml)。血液を以下の工程5で氷上に置くまで、37℃で維持する。次に、化合物保存溶液を最大終濃度120μMの12倍に希釈する。その後、ビヒクルで半対数連続希釈を行う。そして、10μLの化合物希釈液またはビヒクルを適当な12×75ポリプロピレン試験管に加える。試験管1本当たり100μLの全血を加え、37℃の水浴中でまず振盪させながら(穏やかに)10分、そして再び5分インキュベートする。GROα保存液を120nMの「12倍」濃度まで、0.1%BSA−DPBS中で1:166.66希釈し、このGROα希釈溶液または0.1%BSA−DPBS 10μlを、最終GROα濃度が10nMとなるように、適当な試験管に加える。これらの試験管を37℃にて、手で穏やかに振盪させながら10分、そして再び5分インキュベートする。次に、サンプルを氷上に置き、250μlの氷冷CellFix実施希釈溶液を加えた後、氷上で1分インキュベートする。1.5mlのエッペンドルフ管を、適当な抗体を加えることにより、GROαインキュベーション中に準備する。各管には、CD11bの代わりに10μlのIgG2a−FITCを入れたイソ型対照以外は、10μlのCD11b−FITCと5μlのCD16−PEを入れる。各管からさらに50μlの固定血液を適当なエッペンドルフ管に加える。次に、サンプルを暗所にて4℃で20分間インキュベートする。この血液/抗体混合物を500μlの冷DPBSに加えたものを、適宜ラベルを付けた12×75ポリスチレン管に加える。得られた混合物を氷上で維持する。LDS保存液(10μl)を加え、この混合物を4℃で10分インキュベートした後、フロー分析を行う。サンプルを遮光環境で維持する。全てのサンプルがLDS添加後10〜20分に流れるように、LDSの添加とフローサイトメーターでのサンプルの回収とを交互に行う。
【0106】
フロー回収には中程度の流速を用い、LDSシグナルを用いた分析から赤血球を排除するためにFL3閾値を高める。色調補正は、PEへ流出したLDS、およびFITCへ流出したPE、およびPEへ流出したFITCを差し引くために非標識サンプルと1色サンプルを用いて適宜設定する。BD LSRサイトメーターでは、LDS=FL3、PE=FL2、FITC=FL1。SSC対FSCによる顆粒球ゲートを満たし、かつ、FL2シグナルによりCD16陽性である最低2000〜3000事象を採集する。
【0107】
化合物は、本明細書において5μM未満のIC
50値を示す場合に活性があるとみなされる。
【0108】
CXCR2およびGα16を安定発現するCHO−K1細胞におけるカルシウムの可動化合物:
CXCR2およびGα16を安定発現するCHO−K1細胞を、5%CO
2インキュベーター内で37℃に維持しつつ、DMEM/F12(HAMの)1:1、w/10%FCS(熱不活化)、w/2mM L−グルタミン、w/0.4mg/ml G418中で集密度80%まで増殖させる。アッセイ24時間前に、細胞を採取し、96ウェル黒壁、透明底プレート(Packard View)内に40,000細胞/ウェルで平板培養し、CO
2インキュベーターに戻す。アッセイ当日、化合物を所望のアッセイ濃度の300倍まで、100%DMSOで連続希釈する。培地を細胞から吸引し、100μlのロード培地(Earlの塩とともにw/L−グルタミン、0.1%BSA(Bovuminar Cohen Fraction V from Seriologicals Corp.)、4μMフロ−4−アセトキシメチルエステル蛍光指示色素(Fluo−4 AM、Molecular Probes製)および2.5mMプロベネシドを含むEMEM)に置き換え、CO
2インキュベーター内にて37℃で1時間インキュベートする。ロード培地を吸引し、Earlの塩とともにw/L−グルタミン、0.1%ゼラチンおよび2.5mMプロベネシドを含む100μLのEMEMに置き換え、さらに10分インキュベートする。DMSOで300倍に連続希釈した化合物(3μl)を、297μlのKRH(120mM NaCl、4.6mM KCl、1.03mM KH
2PO
4、25mM NaHCO
3、1.0mM CaCl
2、1.1mM MgCl
2、11mMグルコース、20mM HEPES(pH7.4))、w/2.5mMプロベネシドおよび0.1%ゼラチン(化合物はこの時点で3倍)の入った96ウェルプレートに移す。細胞から培地を吸引し、細胞をKRH w/2.5mMプロベネシド、w/0.1%ゼラチンで3回洗浄する。KRH(100μl) w/2.5mMプロベネシド、0.1%ゼラチンをウェルに加えた後、50μlのKRH w/2.5mMプロベネシドおよび0.1%ゼラチン中3倍の化合物をウェルに加え(化合物はこの時点で1倍)、CO
2インキュベーター内にて37℃で10分インキュベートする。これまでに記載されたように分析するため(Sarau et al., 1999)、プレートをFLIPR(Fluorometric Imaging Plate Reader, Molecular Devices, Sunnyvale CA)上に置く。CXCR2に関しては、1.0nM IL−8によって誘発される最大ヒトIL−8誘発Ca
2+可動化%、すなわちEC
80濃度を各化合物濃度で求め、IC
50を、1.0nM IL−8によって誘発される最大応答の50%を阻害する試験化合物の濃度として算出する。化合物は、本アッセイにおいて10μM未満のIC
50値を示す場合に活性があるとみなされる。
【0109】
ラットへの経口投与後の好中球CD11b刺激
Lewisラット(250〜300gm)に本化合物またはビヒクルを経口投与し、1時間後にそれらをCO
2窒息により安楽死させた。ラット全血3mlを心臓穿刺により、100μlの0.25M EDTA(GIBCO, Grand Island, NY)の入ったシリンジに抜き取った。ラットCXCL2(PeproTech, Rocky Hill, NJ)保存液を、Kreb’s/0.1%BSA(KBSA)中に10μMで再構成することにより作製した。この保存液をDPBS(GIBCO)で最大使用濃度の「11倍」まで希釈し、KBSA/DPBSビヒクルで連続希釈した。適当な濃度(1.2〜100nM)の本化合物またはビヒクル10μlを12×75mmのポリプロピレン試験管に加えた後、100μlの全血を加えた。これらの試験管を37℃浴で30分、10分ごとに手で穏やかに振盪させつつインキュベートした。次に、これらのサンプルを氷上に10分置いた後、10μlの抗ラットCD11b−FITCまたはFITC標識マウスIgG2aイソ型対照(双方ともAntigenix America, Huntington Station, NY)を加え、氷上で30分インキュベートした。FACS溶解溶液(Becton Dickinson, San Jose, CA)(1ml、1倍)を加え、すぐに激しくボルテックスにかけ、その後、最後のサンプルに溶液を加えた後にさらにボルテックスにかけた。サンプルを室温で10分インキュベートし、白血球を〜300xgでペレット化し、DPBSで洗浄した。細胞を650μlの1%パラホルムアルデヒドに再懸濁させた。このFACS溶解溶液はラット赤血球を完全には溶解させない。従って、フローサイトメトリー分析に関しては、残っている赤血球をゲートアウトするために、フロー分析の1〜2分以内に各サンプルにLDS−751(Exciton, Dayton, OH)の1.67mg/mlエタノール溶液(過飽和;遠心分離により明澄化)3.5μlを加えた。サンプルデータは、CellQuestソフトウエアおよびLSRフローサイトメーター(Becton-Dickinson)を低流速設定で用い、LDS−751陰性赤血球を排除した後、前方散乱に対する側方散乱のプロットで好中球集団に対してゲーティングを行う。次に、この集団のFL1(緑色FITC蛍光、CD11b含量に直接関連)を、CellQuestソフトウエアを用いた分析により、平均チャネル蛍光として測定した。
【0110】
本アッセイでは、本化合物は、Lewisラットに10mg/kgを経口投与した後、全血好中球CD11b発現の阻害に有効であると判定された。本化合物は、CXCL2濃度応答曲線のEC50を、ビヒクル治療ラットにおける4.7nM(1.9〜7.4;95%C.I.)から12.3nM(10.0〜14.7)へと有意にシフトさせた(p<0.001、各群n=6)。
【0111】
上記で本発明をその好ましい実施形態を含めて十分開示した。本明細書に具体的に開示される実施形態の変更および改変は特許請求の範囲の範囲内にある。当業者であれば、さらに詳述しなくとも、前記の記載を用いて、本発明を完全に利用することができると考えられる。従って、本明細書の実施例は、単なる例示にすぎず、本発明の範囲を何ら限定するものではないと解釈されるべきである。独占的権利または特権が特許請求される本発明の実施形態は、特許請求の範囲に定義されている。