特許第5711532号(P5711532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5711532
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 23/04 20060101AFI20150416BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20150416BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   H02K23/04
   H02K5/22
   H02K7/116
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2010-291610(P2010-291610)
(22)【出願日】2010年12月28日
(65)【公開番号】特開2012-139078(P2012-139078A)
(43)【公開日】2012年7月19日
【審査請求日】2013年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】水谷 伸生
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−154659(JP,A)
【文献】 特開2010−051134(JP,A)
【文献】 特開2009−195030(JP,A)
【文献】 特開2008−061430(JP,A)
【文献】 特開2004−007947(JP,A)
【文献】 特開2010−142028(JP,A)
【文献】 特開2003−018794(JP,A)
【文献】 特開2002−315256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
H02K 7/116
H02K 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整流子に対する電力供給用の給電ブラシと電気部品と前記給電ブラシ及び前記電気部品と電気的に接続された導電部材とを保持するブラシホルダがヨークハウジングの軸方向出力側の開口端部に設けられたモータ部と、
前記ヨークハウジングの前記開口端部に組み付けられたギヤハウジング内に前記モータ部の回転駆動力を減速して出力するための減速機構を有する減速部と、
前記ギヤハウジングに組み付けられ、前記導電部材と電気的に接続される接続端子を有するコネクタ部と
を備え、
前記整流子、前記給電ブラシ及び前記電気部品は、前記ヨークハウジングの外側に配置されており、
前記導電部材は、軸直交方向と平行に延び互いに同方向を向く第1端子部及び第2端子部とそれらを繋ぐ中間部とから略U字状に形成され、前記第1端子部には前記コネクタ部の接続端子が、前記第2端子部には前記給電ブラシから延びる導線がそれぞれ接続され
前記ブラシホルダは、前記整流子の軸方向の反ヨークハウジング側の端面を覆うカバー部を有し、
前記第1端子部は前記カバー部と軸方向に重なる一方、前記第2端子部は前記カバー部と軸方向に重ならない位置に配置されていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のモータにおいて、
前記導電部材は板状をなすとともに、その板面が前記モータ部の軸線と平行となるように配置されていることを特徴とするモータ。
【請求項3】
整流子に対する電力供給用の給電ブラシと電気部品と前記給電ブラシ及び前記電気部品と電気的に接続された導電部材とを保持するブラシホルダがヨークハウジングの軸方向出力側の開口端部に設けられたモータ部と、
前記ヨークハウジングの前記開口端部に組み付けられたギヤハウジング内に前記モータ部の回転駆動力を減速して出力するための減速機構を有する減速部と、
前記ギヤハウジングに組み付けられ、前記導電部材と電気的に接続される接続端子を有するコネクタ部と
を備え、
前記整流子、前記給電ブラシ及び前記電気部品は、前記ヨークハウジングの外側に配置されており、
前記導電部材は、軸直交方向と平行に延び互いに同方向を向く第1端子部及び第2端子部とそれらを繋ぐ中間部とから略U字状に形成され、前記第1端子部には前記コネクタ部の接続端子が、前記第2端子部には前記給電ブラシから延びる導線がそれぞれ接続され、
前記導電部材は板状をなすとともに、前記第1端子部及び前記第2端子部の板面が前記モータ部の軸線と平行で、前記第1端子部及び前記第2端子部が前記モータ部の軸方向に並び軸直交方向から見て略U字状をなすように配置されていることを特徴とするモータ。
【請求項4】
請求項3に記載のモータにおいて、
前記ブラシホルダは、前記第1端子部及び前記第2端子部を保持するターミナル保持部を有することを特徴とするモータ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータにおいて、
前記導電部材は、前記給電ブラシ及び前記電気部品よりも前記ヨークハウジングとは反対側の位置に配置されていることを特徴とするモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパワーウインド装置等の駆動源として用いられるモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のモータは、ヨークハウジング内にロータを有するモータ部と、モータ部の出力側端部に設けられ該モータ部の回転駆動力を減速する減速部と、電気信号の入力・出力や給電を行うための外部コネクタに接続されるコネクタ部とから構成されている(例えば特許文献1参照)。モータ部は、ヨークハウジングの軸方向出力側の開口端部からロータの回転軸が減速部側に突出するように構成されるとともに、ヨークハウジングの前記開口端部には、ロータの整流子に電力を供給する給電ブラシと雑防素子等の電気部品を保持するためのブラシホルダが設けられている。減速部は、ヨークハウジングの出力側端部にネジ等により固定されるギヤハウジングを有する。ギヤハウジングの内部には、減速機構を構成するウォームギヤ及びウォームホイール等が収容されており、モータ部の回転駆動力は減速機構により減速されて出力されるようになっている。また、コネクタ部は、ギヤハウジングに対して組み付けられるものであり、ブラシホルダに保持された給電ブラシ及び電気部品と電気的に接続される接続端子を有している。
【0003】
また、例えば特許文献1のモータでは、モータ部の整流子、給電ブラシ及び電気部品がヨークハウジングの外側に配置されている。このような構成によれば、金属製のヨークハウジングの形状をブラシホルダを収容するための複雑な形状とする必要がなくなるため、ヨークハウジングを低コストで容易に製造することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−18794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなモータにおいて、モータの軸直交方向と平行な直線状の導電部材をブラシホルダに保持させ、該導電部材にて給電ブラシ及び電気部品とコネクタ部の接続端子との間の電気的な導通を図る構成が考えられる。このような構成では、導電部材の長手方向の一端部の接続部が給電ブラシから延びる導線と接続されるとともに、長手方向の他端部の接続部がコネクタ部の接続端子と接続され、また、導電部材の所定の位置の接続部がブラシホルダの電気部品と接続される。しかしながら、導電部材の各接続部の近傍に給電ブラシ、電気部品及びコネクタ部の接続端子を配置してその間の接続の容易化を図る場合、それらの配置が導電部材の長手方向(モータの軸直交方向と平行な方向)に延びてしまい、その結果、モータが軸直交方向に大型化してしまう虞があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、整流子、給電ブラシ及び電気部品がヨークハウジングの外側に配置されたモータにおいて、給電ブラシ、電気部品及びコネクタ部の接続端子と導電部材との接続容易化を図りつつも、軸直交方向への大型化を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、整流子に対する電力供給用の給電ブラシと電気部品と前記給電ブラシ及び前記電気部品と電気的に接続された導電部材とを保持するブラシホルダがヨークハウジングの軸方向出力側の開口端部に設けられたモータ部と、前記ヨークハウジングの前記開口端部に組み付けられたギヤハウジング内に前記モータ部の回転駆動力を減速して出力するための減速機構を有する減速部と、前記ギヤハウジングに組み付けられ、前記導電部材と電気的に接続される接続端子を有するコネクタ部とを備え、前記整流子、前記給電ブラシ及び前記電気部品は、前記ヨークハウジングの外側に配置されており、前記導電部材は、軸直交方向と平行に延び互いに同方向を向く第1端子部及び第2端子部とそれらを繋ぐ中間部とから略U字状に形成され、前記第1端子部には前記コネクタ部の接続端子が、前記第2端子部には前記給電ブラシから延びる導線がそれぞれ接続され、前記ブラシホルダは、前記整流子の軸方向の反ヨークハウジング側の端面を覆うカバー部を有し、前記第1端子部は前記カバー部と軸方向に重なる一方、前記第2端子部は前記カバー部と軸方向に重ならない位置に配置されていることを特徴とする。
【0008】
この発明では、給電ブラシ及び電気部品とコネクタ部の接続端子との間の電気的導通を図るための導電部材が、軸直交方向と平行に延び互いに同方向を向く第1端子部及び第2端子部とそれらを繋ぐ中間部とから略U字状に形成され、第1端子部がコネクタ部の接続端子と、第2端子部が給電ブラシから延びる導線とそれぞれ接続される。これにより、導電部材の第1端子部及び第2端子部の近傍にコネクタ部の接続端子及び給電ブラシをそれぞれ配置し、電気部品を導電部材との接続部分の近傍に配置して接続容易化を図りつつも、それら給電ブラシ、電気部品及びコネクタ部の接続端子の全てを軸直交方向と平行な方向に並べて配置する必要がなくなるため、モータの軸直交方向への大型化を抑えることが可能となる。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載のモータにおいて、前記導電部材は板状をなすとともに、その板面が前記モータ部の軸線と平行となるように配置されていることを特徴とする。
【0012】
この発明では、導電部材はその板面がモータ部の軸線と平行となるように配置されるため、導電部材を軸直交方向に小型化することが可能となり、その結果、モータの軸直交方向への大型化をより好適に防ぐことが可能となる。
【0015】
請求項に記載の発明は、整流子に対する電力供給用の給電ブラシと電気部品と前記給電ブラシ及び前記電気部品と電気的に接続された導電部材とを保持するブラシホルダがヨークハウジングの軸方向出力側の開口端部に設けられたモータ部と、前記ヨークハウジングの前記開口端部に組み付けられたギヤハウジング内に前記モータ部の回転駆動力を減速して出力するための減速機構を有する減速部と、前記ギヤハウジングに組み付けられ、前記導電部材と電気的に接続される接続端子を有するコネクタ部とを備え、前記整流子、前記給電ブラシ及び前記電気部品は、前記ヨークハウジングの外側に配置されており、前記導電部材は、軸直交方向と平行に延び互いに同方向を向く第1端子部及び第2端子部とそれらを繋ぐ中間部とから略U字状に形成され、前記第1端子部には前記コネクタ部の接続端子が、前記第2端子部には前記給電ブラシから延びる導線がそれぞれ接続され、前記導電部材は板状をなすとともに、前記第1端子部及び前記第2端子部の板面が前記モータ部の軸線と平行で、前記第1端子部及び前記第2端子部が前記モータ部の軸方向に並び軸直交方向から見て略U字状をなすように配置されていることを特徴とする。
【0016】
この発明では、給電ブラシ及び電気部品とコネクタ部の接続端子との間の電気的導通を図るための導電部材が、軸直交方向と平行に延び互いに同方向を向く第1端子部及び第2端子部とそれらを繋ぐ中間部とから略U字状に形成され、第1端子部がコネクタ部の接続端子と、第2端子部が給電ブラシから延びる導線とそれぞれ接続される。これにより、導電部材の第1端子部及び第2端子部の近傍にコネクタ部の接続端子及び給電ブラシをそれぞれ配置し、電気部品を導電部材との接続部分の近傍に配置して接続容易化を図りつつも、それら給電ブラシ、電気部品及びコネクタ部の接続端子の全てを軸直交方向と平行な方向に並べて配置する必要がなくなるため、モータの軸直交方向への大型化を抑えることが可能となる。
また、導電部材は第1端子部及び第2端子部の板面がモータ部の軸線と平行となるように配置されるため、導電部材を軸直交方向に小型化することが可能となり、その結果、モータの軸直交方向への大型化をより好適に防ぐことが可能となる。
また、導電部材の第1及び第2端子部はモータ部の軸方向に並んでいるため、導電部材は軸直交方向から見て略U字状をなす。このため、給電ブラシ、電気部品及びコネクタ部の接続端子と導電部材との接続容易化を図りつつも、モータの軸直交方向への大型化を好適に抑えることが可能となる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のモータにおいて、前記ブラシホルダは、前記第1端子部及び前記第2端子部を保持するターミナル保持部を有することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータにおいて、前記導電部材は、前記給電ブラシ及び前記電気部品よりも前記ヨークハウジングとは反対側の位置に配置されていることを特徴とする。
この発明では、導電部材が電気部品又は給電ブラシと軸方向に重なるように配置可能となるため、電気部品又は給電ブラシの軸直交方向の側方に導電部材を配置することによるモータの軸直交方向への大型化を防ぎつつも、電気部品又は給電ブラシと導電部材との接続をより容易にすることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
従って、上記記載の発明によれば、整流子、給電ブラシ及び電気部品がヨークハウジングの外側に配置されたモータにおいて、軸直交方向への大型化を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態のモータの側面図。
図2】モータの分解側面図。
図3】モータの断面図。
図4図3におけるブラシホルダ付近を拡大して示す断面図。
図5】モータ部の斜視図。
図6】モータ部を軸方向出力側から見た平面図。
図7】ギヤハウジングを軸方向から見た平面図。
図8】別例のブラシホルダを説明するための斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示す本実施形態のモータ1は、車両のウインドガラスを電動で昇降させるパワーウインド装置の駆動源として用いられるものである。本実施形態のモータは、図1において上部に位置するモータ部2と、モータ部2の出力側(下側)に設けられた減速部3と、減速部3の側方(図1において右側箇所)に組み付けられたコネクタ部4とから構成されている。モータ1は全体として軸線L1と直交する方向に扁平な形状をなし、軸方向から見たときの長手方向(図1において左右方向)を扁平方向とし、短手方向(図1において紙面直交方向)を厚さ方向とする。即ち、モータ1の軸方向、扁平方向及び厚さ方向は、それぞれ互いに直交する方向である。
【0020】
[モータ部の構成]
図1図2及び図3に示すように、モータ部2のヨークハウジング11(以下、単にヨーク11とする)は、軸方向一端部(図1において上側の端部)が閉塞された筒状をなしている。一方、同ヨーク11の軸方向他端部(出力側端部)は開口端部11aとなっており、この開口端部11aには、径方向外側に向かって延びるフランジ部11bが形成されている。
【0021】
図3に示すように、ヨーク11の内周面に固着されたマグネット12の内側には、円柱状をなす回転軸13を有する電機子14が配置されている。電機子14の回転軸13は、ヨーク11の径方向の中央部に配置されるとともに、回転軸13の基端部(図1において上側の端部)はヨーク11の底部中央に設けられた軸受15により回転可能に支持されている。電機子14は、回転軸13の軸線L1を回転中心としてその回転軸13と一体回転するように構成されている。また、回転軸13の先端部は、ヨーク11の開口端部11aから同ヨーク11の外部に突出しており、その突出部分には整流子16が固定されている。即ち、整流子16はヨーク11の外側の位置に配置されている。整流子16と回転軸13の先端部は、減速部3を構成する樹脂製のギヤハウジング61内に入り込んでいる。
【0022】
[ブラシホルダの構成]
図3及び図4に示すように、ヨーク11の開口端部11aにはブラシホルダ21が設けられている。ブラシホルダ21は、ヨーク11の開口端部11aの外側に位置する平板状の基部22を有しており、この基部22は、軸直交方向のサイズがヨーク11の開口端部11aよりも若干大きく形成されている。基部22には、ヨーク11の内周面に沿って軸方向に延びる固定壁部23が形成され、該固定壁部23は開口端部11aからヨーク11の内部に挿入されて固定されている。また、基部22の外縁部には、エラストマよりなるシール部材Sが設けられている。シール部材Sは、基部22の外縁部を軸方向に挟持する断面コ字状をなしている。このシール部材Sは、ヨーク11のフランジ部11bとギヤハウジング61とに軸方向に挟持されている。これにより、シール部材Sは、ヨーク11の開口端部11aとギヤハウジング61のヨーク11側開口部をシールしており、ヨーク11の内部とギヤハウジング61の内部への液体の浸入が防止されるようになっている。
【0023】
基部22には、その下端面(ヨーク11とは反対側の端面)から軸方向に延びて整流子16の外周を略覆う外周壁部24aと該外周壁部24aの軸方向端部(下端部)に形成されて整流子16の軸方向端面を覆う円形壁部24bとからなるカバー部24が形成されている。円形壁部24bは、カバー部24の軸方向反ヨーク側端面を構成しており、該円形壁部24bの中心部には、回転軸13を回転可能に支持する軸受24cが設けられている。また、基部22の下端面には、図5及び図6に示すように、カバー部24の外周壁部24aから径方向外側に延出するブラシ収容部25が、周方向に90度間隔を空けて一対形成されている。より詳しくは、図6に示すように、回転軸13の軸線L1に対して直交且つモータ1の扁平方向に沿う直線L2(以下、扁平線L2という)に対して周方向両側にそれぞれ45度離れた位置にブラシ収容部25が設けられている。
【0024】
図5及び図6に示すように、各ブラシ収容部25は径方向両側に開口する四角箱状をなしている。換言すれば、各ブラシ収容部25はカバー部24の内外を連通する中空状をなしている。この各ブラシ収容部25の内部には、略直方体状の給電ブラシ26が径方向に移動可能に収容されている。給電ブラシ26の先端部(径方向内側端部)は、ブラシ収容部25からカバー部24の外周壁部24aの内周側に突出するとともに、カバー部24内の整流子16の外周面に当接するように構成されている。尚、カバー部24は、整流子16との摺接により給電ブラシ26が削れて生じるブラシ粉の落下を抑えている。
【0025】
一対のブラシ収容部25の周方向の間には、基部22の下端面から軸方向の反ヨーク側に突出する一対の支持柱部27が形成されている。各ブラシ収容部25及び各支持柱部27は、回転軸13の軸線L1に対して扁平方向の片側に集めて配置されるとともに、扁平線L2に対して線対称に形成されている。
【0026】
各支持柱部27は断面円形をなすとともに、その基端部の大径部27aと、該大径部27aから軸方向に延出された支持部27bとを有する。支持部27bには、付勢部材としてのトーションばね28のコイル部分が外挿されて保持されている。大径部27aは支持部27bよりも大径をなしている。即ち、支持部27bから大径部27aに移行する箇所は段差状に形成され、その段差にてトーションばね28の軸方向への位置決めが可能となっている。
【0027】
支持柱部27の先端部27c(軸方向端部)は、軸線L1と直交する平面状に形成されるとともに、該先端部27cの中心部には軸方向に突出する第1の位置決め凸部27d(ギヤハウジング側位置決め部)が形成されている。位置決め凸部27dは支持柱部27よりも小径の円柱状をなしている。位置決め凸部27dの中心軸と支持柱部27の中心軸は一致しており、位置決め凸部27dから支持柱部27に移行する箇所は段差状に形成されている。
【0028】
支持柱部27に支持されたトーションばね28の一端部は、カバー部24の外周壁部24aに保持され、トーションばね28の他端部は、給電ブラシ26の基端部と径方向に当接して該給電ブラシ26を径方向内側に押圧するようになっている。これにより、給電ブラシ26は径方向内側に付勢され、その給電ブラシの先端部がカバー部24内の整流子16の外周面に圧接されるようになっている。
【0029】
カバー部24の扁平方向の側方であって各ブラシ収容部25及び各支持柱部27が設けられた側とは反対側の部位には、基部22の下端面から軸方向の反ヨーク側に突出する突出柱部31が形成されている。突出柱部31は、扁平方向におけるカバー部24側の側面が一部切り欠かれた断面D字状をなしている。突出柱部31は、扁平方向において回転軸13と並んでおり、その突出柱部31の中心軸線L3は回転軸13の軸線L1に対して平行、且つ扁平線L2に対して直交している。即ち、前記各支持柱部27、各ブラシ収容部25及び各給電ブラシ26は、軸方向視で突出柱部31の中心軸線L3と回転軸13の軸線L1とを通る直線(本実施形態では扁平線L2)に対して線対称となるように構成されている。
【0030】
突出柱部31の先端部31aは、軸線L1と直交する平面状をなしており、該先端部31aの中心部には、軸方向に突出する第2の位置決め凸部31b(突出柱部側位置決め部)が形成されている。位置決め凸部31bは突出柱部31よりも小径の円柱状をなしている。この位置決め凸部31bの中心軸と突出柱部31の中心軸は一致しており、位置決め凸部31bから突出柱部31に移行する箇所は段差状に形成されている。
【0031】
突出柱部31の周方向両側には、コンデンサ収容部32の一部を構成する保持壁部33がそれぞれ立設されている。この各保持壁部33と突出柱部31とカバー部24で構成されるコンデンサ収容部32内にコンデンサ34が軸方向反ヨーク側から組み付けられるようになっている。各保持壁部33のコンデンサ34とは反対側には、チョークコイル35が保持されている。各チョークコイル35は、その軸線がモータ部2の軸線L1と平行となるように設けられている。尚、各保持壁部33及び各チョークコイル35はそれぞれ、扁平線L2に対して線対称となるように構成されている。
【0032】
ブラシホルダ21には、カバー部24よりも軸方向の反ヨーク側に配置された一対のターミナル40a,40b(導電部材)を保持する第1〜第3ターミナル保持部41〜43が一対のターミナル40a,40bにそれぞれ対応して2つずつ形成されている。この各第1〜第3ターミナル保持部41〜43及び各ターミナル40a,40bはそれぞれ、モータ1の扁平線L2に対して線対称となるように構成されている。
【0033】
第1ターミナル保持部41は、モータ1の回転軸13を挟む厚さ方向両側の位置においてカバー部24の円形壁部24bから軸方向にそれぞれ延出形成されている。各第1ターミナル保持部41は、平板状のターミナル40a,40bを板厚方向に挟持可能な二股形状に形成されている。各第2ターミナル保持部42は、各チョークコイル35の扁平方向のカバー部24側において基部22の下端面に立設されている。各第2ターミナル保持部42の軸方向先端面には、第1及び第2固定凹部42a,42bがモータ1の厚さ方向に並んで凹設されている。尚、第1及び第2固定凹部42a,42bのうち、モータ1の厚さ方向の内側に位置するものを第1固定凹部42aとし、外側のものを第2固定凹部42bとする。第3ターミナル保持部43は、一対のブラシ収容部25とそれぞれ周方向に隣り合う位置であって支持柱部27とは反対側の位置に設けられている。第3ターミナル保持部43は、基部22の下端面から軸方向に延出形成されており、その第3ターミナル保持部43の軸方向先端部は、前記第1ターミナル保持部41と同様に平板状のターミナル40a,40bを板厚方向に挟持可能な二股形状に形成されている。
【0034】
各ターミナル40a,40bは、導電性の金属板材をプレス加工により所定の形状に打ち抜いた後に複数箇所を屈曲して形成されるものである。各ターミナル40a,40bは軸方向から見てU字状をなし、そのU字の先端がモータ1の扁平方向を向くように設けられている。また、ターミナル40a,40bは、モータ1の厚さ方向において回転軸13の両側にそれぞれ配置されている。即ち、回転軸13は、厚さ方向に並ぶ各ターミナル40a,40bの間に挿通されている。また、ターミナル40a,40bは、その板面が回転軸13の軸線L1と平行となるように設けられている。また、ターミナル40a,40bは、第1〜第3ターミナル保持部41〜43に対して反ヨーク側から組み付け可能となっている。
【0035】
各ターミナル40a,40bは、チョークコイル35の軸方向反ヨーク側に位置する屈曲部50と、軸方向視で屈曲部50から扁平方向に直線状に延出された第1端子部51及び第2端子部52とを有し、この屈曲部50と各端子部51,52とから軸方向視でU字状に構成されている。第1及び第2端子部51,52は、モータ1の厚さ方向(軸直交方向)に並ぶとともに、互いに同方向(扁平方向であって後述の接続端子72aの挿入方向と対向する方向)を向くように構成されている。また、第1端子部51はカバー部24の円形壁部24b及び整流子16と軸方向に重なる一方、第2端子部52はカバー部24と軸方向に重ならない位置に配置されている。
【0036】
第1端子部51は、軸方向に二股に分割された音叉状をなし、モータ1の厚さ方向から見て扁平方向に向かって開口するような形状となっている。詳述すると、第1端子部51は、その基端部51aから扁平方向(接続端子72aの挿入方向と対向する方向)に向かって延びる一対の第1及び第2延出部51b,51cを有する二股状をなしている。第1及び第2延出部51b,51cは、互いに軸方向に並ぶように形成されるとともに、その各延出部51b,51cの先端部には、互いに接近する方向に突出する当接凸部51dが形成されている。
【0037】
そして、この第1端子部51の第1及び第2延出部51b,51cは、ブラシホルダ21の第1ターミナル保持部41によってモータ1の厚さ方向に挟持されている。即ち、第1端子部51は、その二股に分かれる基端部51aよりも先端側の部位で第1ターミナル保持部41にて保持されている。また、一対の延出部51b,51cのうち、ヨーク11側の第2延出部51cには、軸方向のカバー部24側に突出する係止凸部51eが形成され、この係止凸部51eは第1ターミナル保持部41に対してモータ1の扁平方向(接続端子72aの挿入方向)に当接可能となっている。
【0038】
また、第1端子部51において第2ターミナル保持部42に対応する部位には、軸方向のカバー部24側に突出する図4に示す凸部51fが形成され、この凸部51fが第2ターミナル保持部42の第1固定凹部42aに嵌合されることで第1端子部51が第2ターミナル保持部42に対して保持されるようになっている。また、第2端子部52にも図5に示す同様の凸部52aが形成され、この凸部52aが第2ターミナル保持部42の第2固定凹部42bに嵌合されることで第2端子部52が第2ターミナル保持部42に対して保持されるようになっている。上記のような凸部51fの第1固定凹部42aへの嵌合と、凸部52aの第2固定凹部42bへの嵌合とによって、ターミナル40a,40bの扁平方向の移動が規制されるようになっている。また、第2端子部52は、第3ターミナル保持部43の軸方向先端部によってモータ1の厚さ方向に挟持されている。
【0039】
このようにブラシホルダ21に保持された各ターミナル40a,40bにおいて、第2端子部52におけるモータ1の扁平方向の端部には、最寄りの給電ブラシ26から延びるピッグテール26aが溶接されている。これにより、第2端子部52は、ピッグテール26aを介して給電ブラシ26と電気的に接続されている。
【0040】
また、コンデンサ34から延びる一対の接続端部34aはそれぞれ、ターミナル40a,40bの第1端子部51の基端部51a(第1端子部51と屈曲部50との境目部分)に形成された接続部51gに溶接されて電気的に接続されている。また、各チョークコイル35の接続端部35aは、最寄りのターミナル40a,40bの第2端子部52に溶接されて電気的に接続されている。尚、一方のターミナル40b(図6において下側のターミナル)の第2端子部52には、その厚さ方向の外側に配置されたサーミスタ36が電気的に接続されている。
【0041】
[減速部の構成]
図3に示すように、減速部3は、ギヤハウジング61と、ギヤハウジング61内に収容された減速機構62とを有する。
【0042】
図7に示すように、ギヤハウジング61のヨーク11側の端面61aには、図7に示す3個のねじ穴61bが形成されている。この端面61aは、ヨーク11のフランジ部11bと軸方向に当接されるとともに、フランジ部11bに形成された図6に示す各ねじ挿通孔11cを介して各ねじ穴61bに螺着される3個のねじ63(図1図4において2つのみ図示)にて該フランジ部11bと固定されている。
【0043】
ギヤハウジング61のヨーク11側の端面61aにおいて各ねじ穴61bの径方向内側には、軸方向のヨーク11側に向かって開口するホルダ収容部64が形成されている。ホルダ収容部64には、モータ部2のブラシホルダ21の一部と整流子16と回転軸13が入り込むように構成されている。
【0044】
ホルダ収容部64は、モータ1の厚さ方向に対向する一対の対向壁部64aと、モータ1の扁平方向に対向する一対の対向壁部64b,64cとを有している。軸方向視において、厚さ方向の各対向壁部64aは扁平方向に直線状をなし、扁平方向の各対向壁部64b,64cは径方向外側に凸となる湾曲状をなしている。
【0045】
図2図3及び図7に示すように、扁平方向の対向壁部の一方(コネクタ部4側の対向壁部64b)には、該ホルダ収容部64の内側に軸直交方向に突出する一対の突出壁部65が形成されている。尚、各突出壁部65は、扁平線L2に対して線対称となるように形成されている。各突出壁部65は、モータ1の厚さ方向に対して直交する平面状をなす第1の端面65aと、該第1の端面65aに対して直交する第2の端面65bとを有している。各突出壁部65の軸方向ヨーク11側の端面(軸方向端面65c)は、軸線L1と直交する平面状をなしている。各突出壁部65の軸方向端面65cは同一平面上に位置している。
【0046】
各突出壁部65の第1の端面65aは、互いに厚さ方向に対向している。この各突出壁部65の軸方向端面65cには、円形の第1の位置決め凹部65dが凹設されており、その位置決め凹部65dにはブラシホルダ21の一対の第1の位置決め凸部27dがそれぞれ嵌入されている。また、突出壁部65が設けられた側とは反対側の対向壁部64cには、その厚さ方向の中央部から径方向内側に突出する突出部66が形成されている。この突出部66の軸方向ヨーク11側の端面66aは、突出壁部65の軸方向端面65cと同一平面上に位置し、該端面66aには、円形の第2の位置決め凹部66bが凹設されており、その位置決め凹部66bにはブラシホルダ21の第2の位置決め凸部31bが嵌入されている。上記のように、ブラシホルダ21の各第1の位置決め凸部27d及び第2の位置決め凸部31bが、ギヤハウジング61の各第1の位置決め凹部65d及び第2の位置決め凹部66bにそれぞれ嵌入されることで、ブラシホルダ21とギヤハウジング61とが軸直交方向に位置決めされるようになっている。
【0047】
尚、図7に示すように、各突出壁部65の軸方向端面65cには、第1の位置決め凹部65dの周囲を盛り上げて形成された基準面65eが形成されている。また、突出部66の軸方向端面66aには、第2の位置決め凹部66bの周囲を盛り上げて形成された基準面66cが形成されている。各基準面65e,66cは、平面状をなすとともに、回転軸13の軸線L1と直交する同一平面上に位置するように形成されている。各突出壁部65の基準面65eは各支持柱部27の先端部27cと、突出部66の基準面66cは突出柱部31の先端部31aとそれぞれ軸方向に当接し、これにより、ブラシホルダ21が軸方向に位置決めされている。尚、この各基準面65e,66cの軸方向の突出量は極僅かであり、図2及び図3においてはその図示を省略している。この各基準面65e,66cは局所的に形成されるため、各基準面65e,66cの軸方向位置及び平面度の検査が行いやすくなり、また、各基準面65e,66cを同一平面とするための調整も行いやすくなっている。
【0048】
図2図3及び図7に示すように、ギヤハウジング61においてモータ1の扁平方向の反ホイール収容部側の側面には、コネクタ取付部67が形成されている。このコネクタ取付部67には、扁平方向からコネクタ部4が着脱可能に組み付けられている。コネクタ取付部67には、扁平方向の反ホイール収容部側の側に開口する差込口68が形成されている。差込口68のモータ部2側の壁部は前記突出壁部65にて構成されており、この差込口68はギヤハウジング61の内部でホルダ収容部64と連通されている。即ち、ホルダ収容部64は、差込口68を介してギヤハウジング61の外部と連通されている。尚、差込口68は、その開口方向から見た形状が四角形状をなしている。
【0049】
図2及び図3に示すように、コネクタ部4は、コネクタ取付部67に固定される固定部71と、差込口68に挿入される制御IC72と、電気信号の入力・出力や給電を行うための外部コネクタ(図示略)が接続される外部接続部73とを有している。固定部71は、一対の係止片71aがコネクタ取付部67の軸方向の両端部に形成された係止凸部67aにそれぞれ係止されることにより、コネクタ取付部67に対して固定されている。尚、コネクタ取付部67とコネクタ部4の固定部71との間は、液体の浸入を防止すべくシールされている。
【0050】
固定部71には、直方体状の制御IC72がモータ1の扁平方向に延出するように設けられている。制御IC72の先端部(扁平方向の端部)には、平板状の接続端子72aがモータ1の扁平方向に突出するように設けられている。この接続端子72aは、モータ1の厚さ方向に並んで一対設けられている(図2図4において1つのみ図示)。制御IC72は、コネクタ取付部67の差込口68に扁平方向に挿入されている。そして、制御IC72の一対の接続端子72aは、ホルダ収容部64内において、ブラシホルダ21に保持された一対のターミナル40a,40bの音叉状の第1端子部51の第1及び第2延出部51b,51c間に圧入されている。これにより、接続端子72aは、第1端子部51の第1及び第2延出部51b,51cの弾性力にてその各先端部の当接凸部51dに軸方向に挟まれて電気的に接続されている。また、コネクタ部4の外部接続部73には、図3に示す開口部73aが形成されており、該開口部73aには、制御IC72と電気的に接続された外部側接続端子73bが設けられている。この外部側接続端子73bは、外部接続部73に装着される前記外部コネクタと電気的に接続されるようになっている。
【0051】
ギヤハウジング61には、差込口68の反モータ部側の壁部68aに形成された図7に示す内部側開口部81aから外部に連通する通気孔81が形成されている。通気孔81の内部側開口部81aは、モータ1の厚み方向に並ぶ突出壁部65同士の間の間隙部Gと軸方向に重なる位置に形成されている。このため、ギヤハウジング61の成形時において、通気孔81の内部側開口部81aを成形するためのスライド型(図示略)を突出壁部65同士の間の間隙部Gから軸方向に抜くことができるように構成しつつも、ギヤハウジング61の軸直交方向への大型化が抑えられるようになっている。
【0052】
この通気孔81は、ギヤハウジング61の内外の気圧差を解消して該ギヤハウジング61をシールするシール部(例えばシール部材S)に局部的に力が集中することを防ぐためのものである。また、通気孔81には、ギヤハウジング61の内外の通気を図りつつもギヤハウジング61内部への浸水を防止する防水シート(図示略)が設けられている。尚、ホルダ収容部64と後述のホイール収容部61eとは、突出部66の周方向両側にそれぞれ形成された軸方向に貫通する連通孔64dにて連通されている。
【0053】
ホルダ収容部64は、その軸方向下部(反ヨーク側部分)のクラッチ収容部61cと、その更に軸方向下部のウォーム収容部61dと連通している。ウォーム収容部61dにはウォーム軸82が軸線L1を中心に回転可能に支持されており、該ウォーム軸82とモータ部2の回転軸13とは、クラッチ収容部61cに収容されたクラッチ83を介して連結されている。クラッチ83は、回転軸13の回転力をウォーム軸82に伝達する一方、ウォーム軸82側からの回転力が入力されると、制動力が生じて自身の回転が規制されるように作動するものである。尚、クラッチ83は、回転軸13と接続される側の連結部分がブラシホルダ21の各ターミナル40a,40b間に位置するように構成されている。これにより、モータ1の軸方向の大型化が抑えられるようになっている。
【0054】
ウォーム収容部61dの軸直交方向の側方には、該ウォーム収容部61dと連通するとともに、ウォーム軸82と噛合される円板状のウォームホイール84が収容されたホイール収容部61eが形成されている。ウォームホイール84は、モータ1の厚さ方向と平行な軸を中心として回転可能に支持されている。これらウォーム軸82とウォームホイール84が減速機構62を構成しており、回転軸13の回転力はウォーム軸82及びウォームホイール84にて減速されてウォームホイール84と一体回転する図1に示す出力軸85から出力されるようになっている。尚、出力軸85は、ギヤハウジング61の外部に突出するとともに、図示しないウインドレギュレータを介して車両のウインドガラスが連結される。
【0055】
次に、上記実施形態の作用について説明する。
コネクタ部4に取り付けられた前記外部コネクタから供給される電力は、制御IC72の接続端子72aから各ターミナル40a,40b及び各給電ブラシ26を介して電機子14の整流子16に供給される。すると、電機子14(回転軸13)が回転駆動され、その回転軸13の回転駆動力は、クラッチ83を介してウォーム軸82に伝達されるとともに、該ウォーム軸82及びウォームホイール84にて減速されて出力軸85から出力される。すると、出力軸85の回転方向に応じて、該出力軸85に連結されたウインドレギュレータを介してウインドガラスが下降若しくは上昇されるようになっている。
【0056】
また、本構成では、ターミナル40a,40bは、整流子16よりもヨーク11とは反対側の位置であって該ターミナル40a,40bの少なくとも一部が整流子16と軸方向に重なる位置でブラシホルダ21に保持されている。これにより、モータ1の軸直交方向への大型化が抑えられるようになっている。また、ターミナル40a,40bは、軸直交方向(扁平方向)と平行に延び互いに同方向を向く第1及び第2端子部51,52とそれらを繋ぐ屈曲部50とから略U字状に形成されている。これにより、各ターミナル40a,40bの第1端子部51及び第2端子部52の近傍にコネクタ部4の接続端子72a及び給電ブラシ26をそれぞれ配置し、また、ターミナル40a,40bと接続される各種電気部品(コンデンサ34及びチョークコイル35)をターミナル40a,40bとの接続部分(接続部51g等)の近傍に配置することが可能となっている。そして、このように近接配置することによる接続容易化を図りつつも、給電ブラシ26、コンデンサ34、チョークコイル35及びコネクタ部4の接続端子72aの全てを軸直交方向と平行な方向に並べて配置する必要がなくなるため、モータ1の軸直交方向への大型化が抑えられるようになっている。
【0057】
尚、上記のようなモータ1において、モータ部2をギヤハウジング61に対して組み付ける際には、各支持柱部27の第1の位置決め凸部27d及び突出柱部31の第2の位置決め凸部31bが、ギヤハウジング61の各突出壁部65の第1の位置決め凹部65d及び突出部66の第2の位置決め凹部66bにそれぞれ嵌入される。これにより、ブラシホルダ21とギヤハウジング61とが軸直交方向に位置決めされる。尚、突出壁部65は、ブラシホルダ21側から落下してきたブラシ粉を受け止める役割もなしている。
【0058】
また、各支持柱部27の先端部27c及び突出柱部31の先端部31aはそれぞれ、各突出壁部65の軸方向端面65c(詳しくは基準面65e)及び突出部66の軸方向端面66a(詳しくは基準面66c)と軸方向に当接している。これにより、ブラシホルダ21が軸方向に位置決めされてブラシホルダ21の軸方向への移動が規制され、その結果、ブラシホルダ21が安定して支持されるようになっている。
【0059】
ここで、第1の位置決め凸部27dは支持柱部27の先端部27cに設けられているため、該位置決め凸部27dの配置スペースを作るためにブラシホルダ21を軸直交方向に大型にする必要がなくなる。このため、ブラシホルダ21に位置決め凸部27dを設けつつも軸直交方向への大型化が防止されるようになっている。
【0060】
また、ギヤハウジング61の差込口68には、コネクタ部4の制御IC72が挿入されており、その差込口68を構成する突出壁部65における制御IC72とは反対側の軸方向端面65cに第1の位置決め凹部65dが形成されている。これにより、差込口68に挿入された制御IC72よりもモータ部2側でブラシホルダ21とギヤハウジング61との軸直交方向の位置決めがなされるため、ブラシホルダ21側の第1の位置決め凸部27dと制御IC72との干渉が防止されるようになっている。
【0061】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)本実施形態では、ブラシホルダ21に保持されたターミナル40a,40bは、軸直交方向(扁平方向)と平行に延び互いに同方向を向く第1及び第2端子部51,52とそれらを繋ぐ屈曲部50とから略U字状に形成されている。そして、第1端子部51にはコネクタ部4の接続端子72aが、第2端子部52には給電ブラシ26から延びるピッグテール26aがそれぞれ接続される。これにより、各ターミナル40a,40bの第1端子部51及び第2端子部52の近傍にコネクタ部4の接続端子72a及び給電ブラシ26をそれぞれ配置し、また、ターミナル40a,40bと接続される各種電気部品(コンデンサ34及びチョークコイル35)をターミナル40a,40bとの接続部分(接続部51g等)の近傍に配置することが可能となる。そして、このように近接配置することによる接続容易化を図りつつも、給電ブラシ26、コンデンサ34及びチョークコイル35及びコネクタ部4の接続端子72aの全てを軸直交方向と平行な方向に並べて配置する必要がなくなるため、モータ1の軸直交方向への大型化を抑えることが可能となる。
【0062】
(2)本実施形態では、ターミナル40a,40bは、給電ブラシ26及びコンデンサ34及びチョークコイル35よりもヨーク11とは反対側の位置に配置される。これにより、ターミナル40a,40bがコンデンサ34及びチョークコイル35又は給電ブラシ26と軸方向に重なるように配置可能となる。このため、コンデンサ34及びチョークコイル35又は給電ブラシ26の軸直交方向の側方にターミナル40a,40bを配置することによるモータ1の軸直交方向への大型化を防ぎつつも、コンデンサ34及びチョークコイル35又は給電ブラシ26とターミナル40a,40bとの接続をより容易にすることが可能となる。
【0063】
(3)本実施形態では、ターミナル40a,40bは板状をなすとともに、その板面がモータ部2の軸線L1と平行となるように配置される。このため、ターミナル40a,40bを軸直交方向に小型化することが可能となり、その結果、モータ1の軸直交方向への大型化をより好適に防ぐことが可能となる。
【0064】
(4)本実施形態では、ターミナル40a,40bの第1及び第2端子部51,52は、モータ部2の軸直交方向に並ぶように構成されるため、ターミナル40a,40bは軸方向から見て略U字状をなす。このため、給電ブラシ26、コンデンサ34及びチョークコイル35及びコネクタ部4の接続端子72aとターミナル40a,40bとの接続容易化を図りつつも、モータ1の軸直交方向への大型化を好適に抑えることが可能となる。
【0065】
(5)本実施形態では、整流子16及び給電ブラシ26は、ヨーク11の外側に配置され、ターミナル40a,40bは、整流子16よりもヨーク11とは反対側の位置であって該ターミナル40a,40bの少なくとも一部が整流子16と軸方向に重なる位置に配置されている。このため、モータ1の軸直交方向への大型化を抑えることが可能となる。
【0066】
(6)本実施形態では、ブラシホルダ21には、ターミナル40a,40bを軸方向の反ヨーク11側から組み付け可能な第1〜第3ターミナル保持部41〜43が設けられる。これにより、ターミナル40a,40bをブラシホルダ21に軸方向の反ヨーク11側から組み付けることができるため、整流子16及び給電ブラシ26がヨーク11の外側に配置されたモータ1において、組み付け性の向上に寄与することができる。
【0067】
(7)本実施形態では、ブラシホルダ21は、整流子16の軸方向の反ヨーク11側の端面を覆うカバー部24を有する。これにより、ブラシホルダ21のカバー部24が整流子16の軸方向の反ヨーク11側の端面を覆っているため、整流子16との摺接により給電ブラシ26が削れて生じるブラシ粉が飛散してしまうことを抑えることができる。また、ターミナル40a,40bをそれぞれ保持する一対の第1ターミナル保持部41がカバー部24に設けられるため、整流子16よりもヨーク11とは反対側の位置であって少なくとも一部が整流子16と軸方向に重なる位置にターミナル40a,40bを配置しやすくなる。
【0068】
(8)本実施形態では、ターミナル40a,40bは、二股状をなす第1端子部51を有し、コネクタ部4の接続端子72aは、第1端子部51の二股部分(第1及び第2延出部51b,51c間)に挿入されて該二股部分の弾性力にて挟まれて接続されている。このため、コネクタ部4の接続端子72aとターミナル40a,40bとを溶接等なしで容易に接続することが可能となる。
【0069】
(9)本実施形態では、ブラシホルダ21の各第1ターミナル保持部41は、第1端子部51をその二股に分かれる基端部51aよりも先端側の部位で保持している。このため、接続端子72aを挟む第1端子部51の二股部分の姿勢が保持され、これにより例えば第1端子部51の二股部分(第1及び第2延出部51b,51c)の振動を抑えることができる。その結果、ターミナル40a,40bと接続端子72aとの接続安定性を向上させることができる。
【0070】
(10)本実施形態では、ターミナル40a,40bは、接続端子72aの接続方向においてブラシホルダ21と当接可能な係止凸部51aを有する。これにより、接続端子72aの接続方向へのターミナル40a,40bの移動をブラシホルダ21に当接可能な係止凸部51aにて規制可能となる。このため、接続端子72aをターミナル40a,40bに接続する時にその接続方向へのターミナル40a,40bの移動が抑えられ、その結果、ターミナル40a,40bと接続端子72aとを確実に接続させることができる。
【0071】
(11)本実施形態では、ターミナル40a,40bは板状をなすとともに、その板面がモータ部2の軸線と平行となるように配置されている。このため、ターミナル40a,40bを軸直交方向に小型化することが可能となり、その結果、モータ1の軸直交方向への大型化をより好適に防ぐことが可能となる。
【0072】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ターミナル40a,40bの第1及び第2端子部51,52がモータ部2の軸直交方向に並ぶ(ターミナル40a,40bが軸方向から見て略U字状をなす)ように構成されたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、ターミナル40a,40bの第1及び第2端子部51,52がモータ部2の軸方向に並ぶ(ターミナル40a,40bは軸直交方向から見て略U字状をなす)ように構成してもよい。このような構成においても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。尚、図8に示す構成では、上記実施形態における第1ターミナル保持部41を省略し、第3ターミナル保持部43で第1端子部51(第1及び第2延出部51b,51c)と第2端子部52とを保持する構成となっている。また、上記実施形態の第1及び第2固定凹部42a,42bを省略した第2ターミナル保持部42に軸方向に延びる挟持部42cを立設し、該挟持部42cにて第1及び第2端子部51,52を板厚方向に挟持する構成となっている。
【0073】
・上記実施形態では、ターミナル40a,40bは、整流子16よりもヨーク11とは反対側の位置であって該ターミナル40a,40bの少なくとも一部が整流子16と軸方向に重なる位置に配置されているが、これに特に限定されるものではない。例えば、ターミナル40a,40bを整流子16の軸直交方向の側方に配置してもよい。
【0074】
・上記実施形態では、ターミナル40a,40bにおいて接続端子72aとの接続部である第1端子部51が音叉状に形成されたが、これに特に限定されるものではなく、第1端子部51の形状及び接続端子72aとの接続構成は、仕様に応じて適宜変更してもよい。
【0075】
・上記実施形態では、ターミナル40a,40bは、その板面がモータ部2の軸線L1と平行となるように配置されたが、これ以外に例えば、板面が軸線L1と直交するように配置してもよい。
【0076】
・上記実施形態において、第1〜第3ターミナル保持部41〜43の配置、形状及び各ターミナル40a,40bを保持する構成は、仕様に応じて適宜変更してもよい。例えば、第1〜第3ターミナル保持部41〜43を全てカバー部24に設けてもよい。
【0077】
・上記実施形態では、コネクタ部4の制御IC72を差込口68に挿入する構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、コネクタ部4において差込口68に挿入される挿入部の構成は、仕様に応じて適宜変更してもよい。また、制御IC72を備えずターミナル40a,40bに接続される接続端子を備えるコネクタ部としてもよい。
【0078】
・上記実施形態では、給電ブラシ26を押圧する付勢部材にトーションばね28を用いたが、これ以外のばねを用いてもよい。
・上記実施形態では、減速機構62がウォーム軸82とウォームホイール84とから構成されたが、特にこれに限定されるものではなく、例えば平ギヤ等から構成してもよい。
【0079】
・上記実施形態では、パワーウインド装置の駆動源に用いるモータ1に本発明を適用したが、特にこれに限定されるものではなく、パワーウインド装置以外の駆動源に用いるモータに適用してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…モータ、2…モータ部、3…減速部、4…コネクタ部、11…ヨークハウジング(ヨーク)、11a…開口端部、13…回転軸、16…整流子、21…ブラシホルダ、24…カバー部、26…給電ブラシ、26a…ピッグテール(導線)、34…コンデンサ(電気部品)、35…チョークコイル(電気部品)、40a,40b…ターミナル(導電部材)、41〜43…第1〜第3ターミナル保持部、50…屈曲部(中間部)、51…第1端子部、51a…第1端子部の基端部、51e…係止凸部(係止部)、52…第2端子部、61…ギヤハウジング、62…減速機構、72a…接続端子、L1…モータ部(回転軸)の軸線、L2…扁平線。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8