(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記読取再生感度機能の二次元プロットは、前記データトラックの横軸に関して凹状の第1の境界を有し、前記横軸は、前記読取再生感度機能の二次元プロットの少なくとも一部に交差する、請求項2に記載のシステム。
前記磁性部分は、ニッケル−鉄合金および鉄−コバルト合金の少なくとも一方を含み、前記非磁性部分は、炭素、酸化アルミニウム、および二酸化シリコンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
前記読取再生感度機能の二次元プロットは、複数のビット領域の並び方向に実質的に直交する前記第2の軸に関して凹状の第1の境界を有し、前記第2の軸は、前記ビット領域の少なくとも一部に交差する、請求項8に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な説明
一般に、本開示内容は、たとえば磁気記憶用途に関連した磁場を検知するためのシステム、装置および方法に向けられる。たとえば、適合された読取再生感度機能を提供するように構成された磁気読取ヘッドが説明される。読取ヘッドは、読取ヘッドに関連付けられた読取再生感度機能に応じて、磁気記憶媒体から発出する磁場を検出し得る。そのような読取ヘッドは、ハードディスクドライブで利用される1つ以上の磁気記録ヘッドに実装され得る。しかし、本開示内容の実施例ではハードディスクドライブで用いられる読取ヘッドに関する磁場の検知について説明するが、実施例はそのような用途に制限されず、磁場を正確に検出することが望ましい用途などの他の好適な用途にも採用され得る。
【0007】
図1は、本開示内容の1つの局面に係る例示的な磁気記録ヘッド112を含む例示的な磁気ハードディスクドライブ100を示す。ディスクドライブ100は、ベース102、および部分的に切取られて示されるトップカバー104を含む。ベース102はトップカバー104と組合されて、ディスクドライブ100の筐体106を形成する。ディスクドライブ100はまた、磁気記憶媒体を含む1つ以上の磁気記憶部材を含み、これは
図1では、磁気記憶媒体を含む1つ以上の回転可能な磁気データディスク108である。データディスク108はスピンドル114に取付けられており、スピンドル114はディスク108を中心軸を中心に回転させるように動作する。磁気記録ヘッド112はデータディスク108に隣接している。アクチュエータアーム110は、磁気記録ヘッド112がデータディスク108の各々と通信できるように磁気記録ヘッド112を運ぶ。
【0008】
磁気記録ヘッド112は、データディスク108の磁気記憶媒体の離散領域を磁化させるのに十分な磁場を発生させることによってデータディスク108にデータを書込むことができる書込ヘッド(図示せず)を含む。本明細書中で用いられるように、磁気媒体上のこれら離散領域の各々は、磁気ビット領域として公知であり得る。データディスク108の磁気記憶媒体は、磁気ビット領域が並んでいる複数の同心円状データトラックに分割される。
【0009】
磁気記録ヘッド112はまた、磁気記憶媒体のビット領域の磁場を検出可能な読取ヘッド(図示せず)を含む。たとえば、読取ヘッドは、ビット領域の磁場を検知する読取センサを含み得る。読取センサによって検知される磁場が変化するにつれて、読取センサの両端に印加される電流の抵抗も変化する。抵抗の変化に基づいて、読取ヘッドは、「0」または「1」の値のいずれか一方に対応し得る磁気記憶媒体のビット領域の磁気方位を検出することができる。このように、データディスク108は磁気的に方位付けられたビットとして情報を格納し得、これが記録ヘッド112によって書込まれ、読取られ得る。
【0010】
図2Aおよび
図2Bは、2つの例示的なデータトラックの一部を示す概略図である。具体的に、
図2Aはデータトラック200の一部を示し、
図2Bはデータトラック250の一部を示す。データトラック200および250は、たとえば
図1の磁気データディスク108などの磁気記憶媒体を分割し得るデータトラックの例である。
【0011】
図2Aを参照して、データトラック200は、磁気データディスクの磁気記憶媒体を分割する複数の同心円状データトラックのうちの1つである。したがって、データトラック200の辺202および204は、磁気記憶媒体を分割する他の同様のデータトラックの隣にあり得るか、それらの辺を形成し得る。示されるように、個別の磁気ビット領域210A−210Gを含む複数の磁気ビット領域210がデータトラック200上に並んでいる。複数の磁気ビット領域の各々は、トラックピッチとも称され得るデータトラック200の全幅212に及ぶ。
【0012】
さらに、各ビット領域(210A−210G)は、たとえば書込ヘッドによって磁気的に方位付けられた結果、2つの磁気方位のうちの実質的に1つの方位の磁場を示す。たとえば、磁気ビット領域210Cは、矢印尾部206および矢印頭部208によって示されるように(たとえば
図2Bの平面に向かうか平面から出てくる)、磁気ビット領域210Dの磁気方位と実質的に反対の磁気方位を有する。
【0013】
磁気ビット領域210Cおよび磁気ビット領域210Dは、境界214によって分離されている。ビット領域210Cおよび210Dのそれぞれの磁気方位に従うと、境界214は、同様の磁気方位を有する磁気ビット領域210Bと210Cを分離する境界220と比較して境界214が1つの磁気方位から実質的に反対の方位への転移を表す点で、転移境界であると考えられ得る。同様に、境界218および216も、
図2Aのそれぞれの磁気方位標識によって示されるように転移境界である。
【0014】
図2Bを参照して、データトラック250は、たとえば
図1のデータディスク108などのデータディスクの磁気記憶媒体を分割する複数の同心円状データトラックのうちの1つである。したがって、データトラック250の辺252および254は、磁気記憶媒体を分割する他の同様のデータトラックの隣にあり得るか、それらの辺を形成し得る。示されるように、個別の磁気ビット領域260A−260Gを含む複数の磁気ビット領域260がデータトラック250上に並んでいる。複数の磁気ビット領域の各々は、データトラック250の全幅262に及ぶ。
【0015】
磁気ビット領域210A−210Gと同様に、トラック250内の各ビット領域260A−260Gは、たとえば書込ヘッドによって磁気的に方位付けられた結果、2つの磁気方位のうちの実質的に1つの方位の磁場を示す。たとえば、磁気ビット領域260Cは、矢印尾部256および矢印頭部258によって示されるように(たとえば
図2Bの平面に向かうか平面から出てくる)、磁気ビット領域260Dの磁気方位と実質的に反対の磁気方位を有する。
【0016】
磁気ビット領域260Cおよび磁気ビット領域260Dは、境界264によって分離されている。ビット領域260Cおよび260Dのそれぞれの磁気方位に従うと、境界264は、同様の磁気方位を有する磁気ビット領域260Bと260Cを分離する境界270と比較して境界264が1つの磁気方位から実質的に反対の方位への転移を表す点で、転移境界であると考えられ得る。同様に、境界268および266も、
図2Bのそれぞれの磁気方位標識によって示されるように転移境界である。
【0017】
図2Aおよび
図2Bは、転移境界214、216、218、264、266および268を、1つの磁気方位のビット領域を他のビット領域から分離する明確で滑らかな境界線として示しているが、磁気ビット領域同士の間の磁気境界はそのように方位付けられているとは限らないことが認識される。たとえば、場合によっては、磁気ビット領域は、実質的にすべての磁気方位が同じである複数の磁性グレインを含み得る。転移境界は、個別のグレインによって形成される境界の形状に従って、反対に方位付けられたグレインの境界に沿って形成され得る。したがって、いくつかの例では、転移境界は滑らかな線ではなく、
図2Aおよび
図2Bに示されるような滑らかな線によって近似される曲折境界であり得る。このため、境界214、216、218、264、266および268は、データトラック上に並んでいる実質的に反対の磁気方位を有する個別の磁性グレインによって形成される磁気ビット領域同士の間の磁気転移の一般的な形状を表しているに過ぎない。
【0018】
とりわけ、
図2Aに示されるように、転移境界214、216および218は、実質的に直線でデータトラック200の幅212全体に広がる。逆に、
図2Bに示されるように、転移境界264、266および268は、データトラック250の幅262全体に実質的に直線で広がっておらず、代わりにデータトラック2
50の幅262に及ぶ湾曲転移境界を形成している。このような曲線は、転移湾曲として一般に周知であり得る。
【0019】
湾曲転移境界の別の例として、
図3は、湾曲転移境界を有する例示的な磁気データトラック300を示すマイクロ磁気シミュレーション図である。データトラック300は複数の磁気ビット領域302を含み、磁気ビット領域302内では、それぞれの磁気ビット領域の磁気方位が実質的に反対の磁場同士の間で順次交互になっている。複数の磁気ビット領域302に関連付けられた磁場は
図3に示される相対的な色によって近似的に示され、暗い領域は、2つの実質的に反対の磁気方位のうちの1つの方位の相対的に強い磁場を示しており、明るい領域は、転移境界に対応する個別の磁気ビット領域を分離している。
【0020】
各転移境界、たとえば磁気ビット領域308と磁気ビット領域310を分離する転移境界306は、データトラック300の幅304全体に広がる。さらに、各転移境界は直線境界ではなく、代わりに転移湾曲を示す。この場合、転移境界は、データトラック300の読取方向312(データトラック200および250に関して以下により詳細に説明される)において湾曲している。
図3の例に示されるように、各転移境界の転移湾曲の程度は、データトラック全体に亘って実質的に等しい。
【0021】
この場合、データトラック300上に並んでいる複数の磁気ビット領域302は、垂直書込ヘッドによって方位付けられた可能性がある。しかし、湾曲転移境界は垂直書込ヘッド以外の種類の書込ヘッド、たとえば湾曲転移境界を生成するビット密度のデータトラック上の磁気ビット領域を方位付けることが可能な書込ヘッドによって書込まれる磁気ビット領域によっても示され得る。いくつかの例では、スクリュー角度制御のない書込ヘッドによって、湾曲転移境界が示されるように磁気領域が方位付けられる。なぜなら、スクリュー角度の精密な制御は非常に困難であり得るからである。
【0022】
一般に、湾曲転移境界は、並んでいる磁気ビット領域を含むデータトラックによって示され得る。湾曲転移境界の存在、およびデータトラック上の転移湾曲の程度は、多数の要因に起因し得る。場合によっては、磁気ビット領域同士の間の湾曲転移境界は、磁気ビット領域が並んでいるデータトラックの幅に関連し得る。たとえば、
図2Aおよび
図2Bを参照して、トラック250の幅262はトラック200の幅212よりも相対的に小さい。いくつかの実施例では、トラック200の幅262は約10ナノメートルから約150ナノメートルであり得、たとえば約10ナノメートルから約100ナノメートル、または約30から約60ナノメートル、または約75ナノメートルから約150ナノメートルであり得る。
【0023】
さらに、転移湾曲の程度はデータトラックの幅に関連し得る。場合によっては、湾曲転移境界の湾曲の程度は、データトラックの相対幅が減少するにつれて増大し得る。たとえば、データトラック上の磁気ビット領域同士の間の湾曲転移境界は、トラック幅が相対的に大きいデータトラック上の湾曲転移境界によって示される湾曲の程度と比べて大きな湾曲の程度を示し得る。
【0024】
いくつかの例では、磁気ビット領域同士の間の転移境界によって示される転移湾曲の程度は、
図2Bに示される長さ274と276の比較に関連して示され得る。示されるように、長さ274は、読取方向における転移境界に沿った任意の点に関する最大距離、たとえば境界266がトラック辺254に出会う読取方向における近似点から最も遠い湾曲転移境界266のネクサスにほぼ対応する。長さ276は、個別のビット領域寸法の全長、たとえば読取方向における磁気ビット領域210Fの近似長さにほぼ対応する。
【0025】
磁気記憶媒体に含まれるデータトラック上の磁気ビット領域によって示される転移湾曲は、本開示内容の実施例において異なり得る。たとえば、
図2Bのデータトラック250上の長さ274および276に関して、本開示内容の1つの実施例における長さ276に対する長さ274は、本開示内容の他の実施例における長さよりも長くてもよいし、等しくてもよいし、短くてもよい。いくつかの例では、長さ274は長さ276の約5パーセントから約300パーセントであり得、たとえば長さ276の約20パーセントから約300パーセント、または長さ276の約30パーセントから約50パーセントであり得る。
【0026】
上述のように、磁気読取/書込ヘッドは典型的に、磁気記憶媒体上のそれぞれのビット領域の磁場を検出する読取ヘッドを含む。たとえば、
図2Aおよび
図2Bを参照して、データトラック200および250にそれぞれ並んでいる複数の磁気ビット領域210および260から発出する磁場は、それぞれのデータトラックを含むデータディスクのエアベアリング面に近接して配置される読取ヘッドによって検出され得る。データトラック200および250は、たとえば、
図1に示されるようにスピンドル114に取付けられたデータディスク108を記録ヘッド112に対して中心軸を中心に回転させることによって、矢印222および272によってそれぞれ示される実質的な読取方向において読取ヘッドに対して動かされ得る。上述のように、読取ヘッドは読取センサを含み得、読取センサは、データトラック200および250に対して適切に位置合わせされると、たとえばデータトラック200および250上のそれぞれの複数の磁気ビット領域210および260などのビット領域の磁場を検知する。データトラック200または250を読取ヘッドに対して、したがって読取ヘッドの読取センサに対して動かすことによって、読取センサは、複数の磁気ビット領域210または260のそれぞれの磁気方位の違いに起因する磁場の変化を検知する。たとえば、読取センサは、データトラック200が読取ヘッドに対して動かされると磁場の変化を検知し得、これによって、読取センサによって検知される磁場がビット領域210Cの磁場からビット領域210Dの磁場に変化する。
【0027】
一般に、読取ヘッドは、読取ヘッドに関連付けられた読取再生感度機能に従って磁場を検知する。たとえば、読取再生感度機能は、読取センサに対する位置に関して磁気記憶媒体から発出する磁場に対する読取センサの相対感度を表し得る。場合によっては、読取ヘッドは、データトラックと位置合わせされると、データトラックの縦軸、およびトラックピッチ方向、すなわち横方向の両方に関してほぼ対称の読取再生感度機能に従って、磁気記憶媒体から発出する磁場を検知し得る。
【0028】
図4は、例示的な読取再生感度機能を示すプロットである。プロット400に示される例示的な読取再生感度機能は、第1の軸402および第2の軸404に沿って実質的に対称である。一般に、
図4の読取感度機能に従って磁場を検知する読取ヘッドの感度の相対程度は、プロットの相対色に基づいて表される。プロット400に示されるように、プロット400の読取再生感度機能に従って磁場を検知する読取ヘッドの相対感度は、読取感度機能のほぼ中心406で最大であり、この場合、これは第1の軸402と第2の軸404とのほぼ交差点である。また、示されるように、読取ヘッドの感度は、プロット400に示される相対色に従って読取再生感度機能の中心406から離れながら異なる割合で減少する。
【0029】
プロット400と一致する読取再生感度機能は、たとえば読取方向およびトラック幅方向の両方に関してほぼ対称である磁気ビット領域などの磁気ビット領域から発出する磁場を検知するのに好適であり得る。たとえば、プロット400に示される読取再生感度機能に従って磁場を検知する読取ヘッドが、
図2Aのトラック200上の複数の磁気ビット領域210の磁場を検知するように位置決めされ得る。場合によっては、プロット400に示される読取再生感度機能に従って磁場を検知する読取ヘッドが、読取再生感度機能の中心406がデータトラック200の幅212のほぼ中心に置かれ、かつ方向408が読取方向222と一致するように方位付けられるように、位置決めされ得る。したがって、第1の軸402はデータトラック200に関して縦軸であり得、第2の軸404は横軸であり得る。
【0030】
しかし、プロット400に示されるような読取再生感度機能に従って磁場を検知する読取ヘッドが常に望ましいとは限らない。場合によっては、磁気ビット領域は、読取方向およびトラック幅方向の両方に関して実質的に対称であるとは限らない。たとえば、
図2Bに示されるように、湾曲転移境界264は、それぞれのビット領域の形状がトラック250の横軸に沿って対称にならないように、磁気ビット領域210Bおよびビット領域210Cに影響を及ぼす。
【0031】
このため、データトラック上に並んでいる磁気ビット領域の形状および/またはそれぞれのビット領域同士の間の転移境界の形状と一致しない読取再生感度機能に従って磁場を検知する読取ヘッドは、磁気ビット領域を含むデータトラックに格納されたデータを適切に読取るのに十分な読取解像度を有していない場合がある。いくつかの例では、そのような場合の信号対雑音比によって読取ヘッドが磁気ビット領域同士の間の転移を適切に検知することができないため、磁気データトラックに格納されたデータを読取ヘッドが正確に読取ることができないことがある。たとえば、湾曲転移境界と一致しない読取再生感度機能に従って磁場を検知する読取ヘッドは、個別の磁気ビット領域に近接した1つ以上の磁気ビット領域の望ましくない磁場の量を検知し得る。その結果、読取ヘッドの読取センサの両端に印加される電流の抵抗の全体的な変化は、データトラック上のそれぞれの磁気ビット領域の磁気方向またはその転移を検出するのに適切でなく、誤り率の増大につながり得る。
【0032】
本開示内容の局面に従うと、少なくとも1つの湾曲転移境界を有する磁気ビット領域に、より好適に対応する読取再生感度機能に従って磁場を検知する読取ヘッドが提供され得る。
【0033】
上述のように、1つの局面では、本開示内容は磁気記憶媒体を有するデータ記憶部材を含むシステムに関し、磁気記憶媒体は、少なくとも1つのデータトラック上に並んでいる複数の磁気ビット領域を有し、それぞれの磁気ビット領域同士の間の転移境界が転移湾曲を規定する。当該システムはさらに、第1のシールド層と、第2のシールド層と、第1および第2のシールド層に近接して設けられた読取センサとを有する磁気読取ヘッドを含み、読取ヘッドは、読取再生感度機能に従って複数の磁気ビット領域の各々の磁場を検知し、少なくともシールド層および読取センサスタックは、それぞれの磁気ビット領域の形状に実質的に対応する読取再生感度機能を提供するように構成される。
【0034】
別の局面では、本開示内容は磁気記憶媒体を有するデータ記憶部材を含むシステムに関し、磁気記憶媒体は、少なくともデータトラック上に並んでいる複数の磁気ビット領域を有する。当該システムはさらに、第1のシールド層と、第2のシールド層と、第1のシールド層と第2のシールド層との間に実質的に設けられた読取センサとを有する磁気読取ヘッドを含み、シールド層および読取センサは読取再生感度機能を提供するように構成され、読取ヘッドは、読取再生感度機能に従って、磁気記憶媒体に含まれるそれぞれの磁気ビット領域の磁場を検知し、読取再生感度機能は、データトラックの横軸に沿ってほぼ非対称である。
【0035】
さらに別の局面では、本開示内容は磁気記憶媒体を有するデータ記憶部材を含むシステムに関し、磁気記憶媒体は、少なくとも1つのデータトラック上に並んでいる複数の磁気ビット領域を有し、それぞれの磁気ビット領域同士の間の転移境界が転移湾曲を規定する。当該システムはさらに、磁気読取ヘッドに関連付けられた読取再生感度機能をもたらすための手段を有する読取ヘッドを含み、読取再生感度機能は、それぞれの磁気ビット領域の形状に実質的に対応する。
【0036】
図5は、本開示内容に係る例示的な読取再生感度機能を示すプロットである。本開示内容のいくつかの実施例に従うと、プロット500に示される読取感度機能は、少なくとも1つの湾曲転移境界を有する磁気ビット領域に対応する。示されるように、プロット500に示される読取再生感度機能は、第1の軸502に関して実質的に対称である。
図4のプロット400に示される読取再生感度機能とは反対に、プロット500に示される読取再生感度機能は、第2の軸504に関して実質的に非対称である。
【0037】
プロット500に示されるように、プロット500の読取再生感度機能に従って磁場を検知する読取ヘッドの相対感度は、だいたい読取感度機能の点506において最大であり、点506からプロット500の外側境界に向かって離れながら異なる割合で減少する。プロット400によって表される読取再生感度機能とは反対に、プロット500の外側境界の部分510は、第2の軸50
4に関して実質的に凹状である。いくつかの実施例では、そのような湾曲境界部は、磁気ビット領域の転移湾曲に実質的に対応し得る。
【0038】
プロット500と一致した読取再生感度機能は、1つ以上の湾曲転移境界を有する磁気ビット領域から発出する磁場を検知するのに好適であり得る。一般に、読取ヘッドは、1つ以上の湾曲転移境界を有する磁気ビット領域の形状に実質的に対応する読取再生感度機能を提供するように構成され得る。たとえば、プロット500と一致した読取再生感度機能に従って磁場を検知する読取ヘッドが、
図2Bのデータトラック250上に並んでいる複数の磁気ビット領域260から発出する磁場を検知するために提供され得る。いくつかの実施例では、そのような読取ヘッドは、読取再生感度機能の中心506がデータトラック250の幅262のほぼ中心に置かれ、かつ方向508が読取方向272と一致するように方位付けられるように、位置決めされ得る。そのように方位付けられた場合、第1の軸502はデータトラック250に関して縦軸であり得、第2の軸504は横軸であり得る。
【0039】
図6は、本開示内容の1つの実施例に従った例示的な読取ヘッドを示す概略図である。読取ヘッド600は第1のシールド層602、第2のシールド層604、シールド層602、604に近接した読取センサスタック606、絶縁層
622A、
622Bおよび永久磁石(PM)層
620A、
620Bを含む。示されるように、読取センサスタック606は、実質的に第1のシールド層602と第2のシールド層604との間に設けられる。絶縁層622A、622Bは、読取センサスタック606とPM層
620Aとの間、読取センサスタック606とPM層
620Bとの間にそれぞれ設けられる。絶縁層622A、622Bはまた、第2のシールド層604とPM層620Aとの間、第2のシールド層604とPM層620Bとの間にそれぞれ設けられる。
【0040】
説明されるように、読取ヘッド600は、たとえば
図2Bの磁気データトラック250などの、磁気ビット領域同士の間の転移境界が転移湾曲を規定する磁気記憶媒体に含まれるデータを読取るための磁気読取/書込ヘッドで利用され得る。データトラック250は、データトラック250に対する読取ヘッド600の位置を概念的に示すために
図6に示される。読取ヘッド600はデータトラック250の表面上を飛行し、データトラック250上に並んでいるそれぞれの磁気ビット領域の磁場を検出することによって、磁気記憶媒体に格納されたデータを読取り得る。たとえば、
図6に構成されるように、磁気読取ヘッド600は、磁気読取ヘッド600に関連付けられた読取再生感度機能をもたらすための手段を提供し得、この読取再生感度機能は、磁気記憶媒体のデータトラック上に並んでいるそれぞれの磁気ビット領域の形状に実質的に対応する。いくつかの実施例では、読取再生感度機能は、
図5のプロット500によって表される機能と同様であり得る。
【0041】
一般に、読取ヘッド600がデータトラック250からの磁場を検知する際に従う読取再生感度機能は、第1および第2のシールド層602、604の位置によって影響され得る。
図6に示される実施例では、第1および第2のシールド層602、604は、たとえばデータトラック250上の隣接する磁気ビット領域からの磁場などの外来磁場を減少させるか、外来磁場が読取センサスタック606に影響を及ぼすことを実質的に阻止する。
【0042】
絶縁層622Aおよび622Bは、酸化アルミニウムおよび/またはいずれかの他の好適な材料を含み得る。PM層620Aおよび620Bは、たとえばパーマロイなどのニッケル−鉄(NiFe)合金、および/またはいずれかの他の好適な材料を含み得る。また、示されるように、読取センサスタック
606は複数の個別層610−615を含むが、層の正確な数および各層の機能は本開示内容の実施例において異なり得る。本例では、たとえば、層610および611は参照層であり得、層613および層614は自由層であり得る。
【0043】
とりわけ、読取センサスタック606は、第1のシールド層602に近接したキャップ層615も含む。キャップ層615は、磁性部分618Aと618Bとの間に配置された非磁性部分616を含む。一般に、非磁性部分616は、透磁率が相対的に低い材料を含み得る。たとえば、非磁性部分616の好適な材料は、カーボンもしくは酸化アルミニウム、およびそれらの組合せ、またはいずれかの他の好適な酸化物、たとえば二酸化珪素などのシリコンの酸化物、窒化物および/もしくは炭化物を含み得る。対照的に、磁性部分618A、618Bは、透磁率が相対的に高い材料を含み得る。たとえば、磁性部分618A、618Bの好適な材料は、たとえばパーマロイなどのニッケル−鉄(NiFe)合金、および/または鉄−コバルトを含み得る。したがって、いくつかの実施例では、磁性部分618A、618Bの透磁率は非磁性部分616の透磁率よりも高い。
【0044】
キャップ層615内の磁性部分618A、618Bの場所は、これらの部分がデータトラック250のほぼ端縁において読取ヘッド600の感度に影響を及ぼすように、データトラック250の端縁に実質的に対応する。さらに、キャップ層615内の非磁性部分616の場所は、非磁性部分616がデータトラック250のほぼ中心部において読取ヘッド600の感度に影響を及ぼすように、データトラック250の中心部に実質的に対応する。一つには、データトラック250の端縁に対応するキャップ層615の部分618A、618Bの相対的に高い透磁率、およびデータトラック250の中心部に対応するキャップ層615の部分616の相対的に低い低透磁率が原因で、読取ヘッド600の有効ギャップ長さ感度が減少し得る。このように、キャップ層615は、少なくともシールド層602、604と組合されて、読取ヘッド600に関連付けられた読取再生感度機能に影響を及ぼす。
【0045】
全体的に、
図6に構成されるように、読取ヘッド600に関連付けられた読取再生感度機能は、データトラック250上に並んでいるそれぞれの磁気ビット領域の形状に実質的に対応し得る。たとえば、読取ヘッドは、
図5に示されるプロット500によって表されるような読取再生感度機能に従って磁場を検知し得る。いくつかの実施例では、キャップ層615は、データトラック250上に並んでいる磁気ビット領域の湾曲転移境界に対応する少なくとも1つの境界を有する読取再生感度機能を提供し得る。
【0046】
読取ヘッド600は、
図6に実質的に示されるような構造を可能にするいずれかの好適な技術を用いて製造され得る。たとえば、
図7A−7Fは、
図6の読取ヘッド600を製造するために利用され得る例示的な技術を示す。
【0047】
図7Aを参照して、複数の材料をシールド層704の表面に堆積して、
図6の読取センサスタック606を形成する個別層610−614および層615の非磁性部分616に対応する複数の層706を形成する。シールド層704は、図
6の読取ヘッド600の第2のシールド層604に対応する。個別層は、たとえば当該技術において公知のいずれかの好適な技術によって、
図7に示されるように堆積され得る。
【0048】
いくつかの実施例では、層716は炭素を含み、CMP停止層として機能し得る。層716の厚み710は、製造プロセスに起因する読取ヘッドに対する所望の特性を含む多数の要因に依存して異なり得る。たとえば、場合によっては、層716の厚み710は約1ナノメートルから約50ナノメートルであり得、たとえば約5ナノメートルから約10ナノメートルであり得る。
【0049】
レジスト層708は、フォトレジスト層702と層716の表面712との間に配置される。
図7Aに示されるように、レジスト層708の幅730はフォトレジスト層702の幅728よりも小さいため、レジスト層
708はフォトレジスト層702に対するアンダーカット層である。このような構成は、いずれかの好適な技術を利用して達成され得る。たとえば、層716の表面712に高溶解度ポリジメチルグルタルイミド(PMGI)がコーティングされ得、PMGIコーティングの表面には次にフォトレジストがコーティングされ得る。場合によっては、PMGIおよび/またはフォトレジストコーティングは、スピンコーティング法を用いて塗布され得る。フォトレジストは次に、層702の所望の幅728に従って露光され、PMGIに沿って現像されて、
図7Aに示されるようなアンダーカット構造を有する、この場合はPMGIを含むフォトレジスト層702およびレジスト層708が形成され得る。
【0050】
図7Bを参照して、複数の層
706の残りの部分が、製造プロセスから形成される読取ヘッドの読取センサスタックに対する所望の幅に対応する幅724を有するように、アルゴンイオンミリングを用いて層
706の一部が除去され得る。イオンミリングプロセスによって除去される層材料の一部が再堆積した結果、再堆積層718Aおよび718Bが形成される。
図7Bに示されるように、再堆積層718A、718Bは、レジスト層708およびフォトレジスト層702によって形成されるアンダーカット領域を占める。幅734は、読取スタック706の残りの層の端縁からの層の716の凹部を表す。このような寸法に限定されないが、いくつかの例では、長さ724は約50ナノメートルから約100ナノメートルであり得、長さ734は約5ナノメートルから約15ナノメートルであり得る。
【0051】
図7Cを参照して、絶縁材料を堆積して絶縁層722Aおよび722Bを形成し、その後PM材料を堆積して、
図7Cに示されるようにPM層720Aおよび720Bを形成する。
【0052】
図7Dを参照して、たとえばプラズマアッシングおよび/またはリフトオフ法を用いて、フォトレジスト層702およびレジスト層708を除去する。
【0053】
図7Eを参照して、タッチアップCMP法を用いて、PM層720A、720Bおよび再堆積層
718A、
718Bの一部を除去する。
【0054】
図7Fを参照して、シールド材料を露出面732に堆積して、
図6の第1のシールド層602に対応するシールド層702を形成する。その結果得られる読取ヘッド700は、実質的に
図6の読取ヘッド600の構成を有する。したがって、
図7A−7Fに示される例示的な技術を用いて、
図6の読取ヘッド600を製造することができる。
【0055】
図8は、
図7A−7Fに示される例示的な技術を用いた
図6に示される読取ヘッド600と実質的に同様の、例示的な読取ヘッド800の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
図8の顕微鏡写真は、第1のシールド層802と、第2のシールド層804と、キャップ層815を有する読取センサスタック806とを含む読取ヘッド800を示す。キャップ層815は、非磁性部分816ならびに磁性部分818Aおよび818Bを含む。構成されるように、読取ヘッド800は、たとえば
図5のプロット500に示される読取感度機能などの、湾曲転移境界を有する磁気ビット領域の形状に実質的に対応する読取再生感度機能に従って、磁場を検知し得る。
【0056】
いくつかの実施例では、読取ヘッドの読取センサスタックの構造および/または組成は、読取ヘッドに関連付けられた読取感度再生機能が少なくとも1つの湾曲転移境界を有する磁気ビット領域の形状に対応するように提供され得る。たとえば、
図6の読取ヘッド600の読取センサスタック606は、上述のように磁性部分618A、618Bおよび非磁性部分616を有するキャップ層615を含む。しかし、いくつかの実施例では、読取センサスタックに近接した読取ヘッドのシールド形状が、読取感度再生機能が少なくとも1つの湾曲転移境界を有する磁気ビット領域の形状に対応するように提供され得る。そのような構成は、上述のような読取感度再生機能を可能にするように読取ヘッドの読取センサスタックの1つ以上の層の組成および/または構造を提供するのに加えるものであってもよいし、その代わりであってもよい。
【0057】
図9は、本開示内容の1つの実施例に係る別の例示的な読取ヘッドを示す概略図である。示されるように、読取ヘッド900は、第1のシールド層902、第2のシールド層904、読取センサスタック906、絶縁層922A、922BおよびPM層920A、920Bを含む。絶縁層922A、922BおよびPM層920A、920Bは、
図6の読取ヘッド600に関して説明された層と実質的に同様である。
【0058】
図9に示されるように、第1のシールド層902および第2のシールド層904に関する読取センサスタック906に近接した読取ヘッド900のシールド形状は、
図6の読取ヘッド600の構成のシールド形状とは異なる。たとえば、第2のシールド層904は、読取センサスタック906と第2のシールド層904との間に湾曲境界934を形成する部分932を含む。構成されるように、第2のシールド層904は、たとえば
図10に関して説明されたようなプロセスを用いることによって、好適な製造プロセスを用いて形成され得る湾曲面を有するとして説明され得る。
【0059】
読取センサスタック906は、
図6の読取センサスタック606の層610−614に関して説明されたものと実質的に同一である層910−914を含む。しかし、
図9に示されるように、読取センサスタック906の構造は、読取センサスタック606の構造とは異なる。特に、個別層910−914の各々は、読取センサスタック906と第2のシールド層904との間の湾曲境界934の湾曲と一致する湾曲を示す。読取センサスタック906の全体構造は、実質的に同様の湾曲を示す。この結果、読取センサスタック906は、読取センサスタック906と第1のシールド層902との間に湾曲境界936を提供する。
【0060】
読取ヘッド600と同様に、読取ヘッド900は、たとえば
図2Bの磁気データトラック250などの、磁気ビット領域同士の間の転移境界が転移湾曲を規定する磁気記憶媒体に含まれるデータを読取るための磁気読取/書込ヘッドで利用され得る。読取ヘッド900はデータトラック250の表面上を飛行し、データトラック250上に並んでいるそれぞれの磁気ビット領域の磁場を検出することによって、磁気記憶媒体に格納されたデータを読取り得る。たとえば、磁気読取ヘッド900は、磁気読取ヘッド900に関連付けられた読取再生感度機能をもたらすための手段を提供し得、この読取再生感度機能は、磁気記憶媒体のデータトラック上に並んでいるそれぞれの磁気ビット領域の形状に実質的に対応する。いくつかの実施例では、読取再生感度機能は、
図5のプロット500によって表される機能と同様であり得る。
【0061】
図9の湾曲境界934は滑らかな弓形の境界として示されているが、そのような形状を有しない構成であっても、読取ヘッド900は、たとえば
図5と同様の読取再生感度機能を可能にすることによって、磁気ビット領域同士の間の転移境界が転移湾曲を規定する磁気記憶媒体に含まれるデータを読取可能であることが認識される。いくつかの実施例では、シールド層904の部分932は、境界934のすべてまたは一部が弓形ではないが、依然として効果的に、読取ヘッド900が、たとえば
図5と同様の読取再生感度機能に従って湾曲転移形状を示す磁気ビット領域および/または転移を適切に検出できるように、突出し得る。
【0062】
図10A−10Dは、
図9のシールド層904のような湾曲面を有する例示的なシールド層を製造するための例示的な技術を示す。
図10Aに示されるように、たとえば100nmの薄いフォトレジストなどのフォトレジストが、シールド層1004の表面の一部がフォトレジスト層1002によって被覆されるように、シールド層1004に堆積され得る。一般に、フォトレジスト層1002によって被覆されるシールド層1004の表面の一部は、湾曲面を含むことになるシールド1004の領域にほぼ対応する。いくつかの実施例では、フォトレジスト層1002は、所望の湾曲面の1つ以上の局面、たとえばシールド層の湾曲面の形状を制御可能であるように堆積され得る。
【0063】
図10Bを参照して、層1002の材料が所望通りに流れることができるように、フォトレジスト層1002を焼成する。適切な時間に、たとえば
図10Bに示されるのと同様に、希釈酸素プラズマトリミング法がフォトレジスト層1002を形作るために適用され得る。
【0064】
図10Cを参照して、酸素プラズマトリミングを用いた反応性イオンビームミリングを利用して、
図10Cに示されるように、シールド層1004の一部に加えてフォトレジスト層1002の少なくとも一部が徐々に除去され得る。
【0065】
図10Dを参照して、フォトレジスト層1002のすべての残余部分が除去されて、湾曲面を有するシールド層1004が残され得る。
図10Dに示されるように、シールド層1004の形状は、
図9のシールド層904と実質的に同様である。シールド層1004が
図10Dに示されるように構成される場合、シールド層1004を用いて、
図9の読取ヘッド900のような湾曲読取センサスタックを有する読取ヘッドが形成され得る。たとえば、シールド層の表面に読取センサ層が堆積されることによって、シールド層1004の湾曲面に対応する湾曲読取センサスタックがもたらされ得る。
【0066】
図10A−Dの例示的な技術を用いて上述のような湾曲面を有するシールド層が製造され得るが、そのようなシールド層の製造はそのような技術に限定されない。むしろ、シールド層904および/または1004と同一または同様の構成を有するシールド層を製造するためのいずれの好適な技術も利用され得る。
【0067】
また、シールド層の湾曲面によって湾曲読取スタックがもたらされると説明したが、
図9の第1のシールド層902によって示されるように、表面に突出部ではなく凹みを有するシールド層に読取スタック層を堆積することによって、同様の構成が達成され得ることが認識される。
【0068】
図11は、本開示内容の1つの実施例に係る別の例示的な読取ヘッド1100を示す概略図である。示されるように、読取ヘッド1100は、第1のシールド層1102、第2のシールド層1104、読取センサスタック1106、絶縁層1122A、1122BおよびPM層1120A、1120Bを含む。絶縁層1122A、1122BおよびPM層1120A、1120Bは、
図6および
図9の読取ヘッド600および900に関してそれぞれ説明された層と実質的に同様である。
【0069】
図11に示されるように、読取センサスタック1106は、シールド層1102と1104との間に実質的に設けられる。読取センサスタック1106は、
図6の読取ヘッド600の層610−614に関して説明されたものと実質的に同一の個別層1110−1114を含む。さらに、読取センサスタック1106は、第1のシールド層1102に近接したキャップ層1115を含む。キャップ層1115は、本明細書中に説明されるような読取感度機能を可能にするいずれかの好適な材料を含み得る。いくつかの例では、キャップ層材料は、実質的に非磁性であるが導電性の材料を含み得る。たとえば、キャップ層1115は、ルテニウム(Ru)、クロム(Cr)、金(Au)、銀(Ag)などのうちの1つを含み得る。
【0070】
一般に、キャップ層1115は、第1のシールド層との境界1135に沿った湾曲を示す。この結果、キャップ層1115と第1のシールド層1102との間の境界1135は、湾曲を示さない読取センサスタック1106の境界1134とは異なり、キャップ層1115の形状と一致した湾曲を示す。したがって、シールド形状は、第1のシールド層1102の境界1135と第2のシールド層1104の境界1134との間の距離が読取センサスタック1106に近接して変化するような形状である。たとえば、
図11に示されるように、読取センサスタック1106のほぼ中心における距離1138は、読取センサスタック1106のほぼ端縁における距離1136よりも大きい。
【0071】
読取ヘッド600および読取ヘッド900と同様に、読取ヘッド1100は、たとえば
図2Bの磁気データトラック250などの、磁気ビット領域同士の間の転移境界が転移湾曲を規定する磁気記憶媒体に含まれるデータを読取るための磁気読取/書込ヘッドで利用され得る。読取ヘッド1100はデータトラック250の表面上を飛行し、データトラック250上に並んでいるそれぞれの磁気ビット領域の磁場を検出することによって、磁気記憶媒体に格納されたデータを読取り得る。たとえば、磁気読取ヘッド1100は、磁気読取ヘッド1100に関連付けられた読取再生感度機能をもたらすための手段を提供し得、この読取再生感度機能は、磁気記憶媒体のデータトラック上に並んでいるそれぞれの磁気ビット領域の形状に実質的に対応する。いくつかの実施例では、読取再生感度機能は、
図5のプロット500によって表される機能と実質的に同様であり得る。
【0072】
図9のキャップ層1115の形状は、滑らかな弓形の境界である湾曲境界1135をもたらすとして示されているが、そのような形状を有しない構成であっても、読取ヘッド900は、たとえば
図5と同様の読取再生感度機能を可能にすることによって、磁気ビット領域同士の間の転移境界が転移湾曲を規定する磁気記憶媒体に含まれるデータを読取可能であることが認識される。いくつかの実施例では、読取センサスタック1106のキャップ層1115は、境界1135のすべてまたは一部が弓形ではないが、依然として効果的に、読取ヘッド1100が、たとえば
図5と同様の読取再生感度機能に従って湾曲転移形状を示す磁気ビット領域および/または転移を適切に検出できるように、構成され得る。たとえば、
図11に示されるように読取センサスタック1106の端縁からほぼ中心までの距離が連続的に増加していなくても、読取センサスタック1106のほぼ中心における距離1138が読取センサスタック1106のほぼ端縁における距離1136よりも大きいように、シールド層1102に近接するキャップ層1115の形状は、境界1135に沿った1つ以上の直線の段と同様であり得る。
【0073】
図12は、例示的な読取センサ1200の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。読取センサ1200は、
図11に関して説明されたものと同様のキャップ層1204を有する読取センサスタック1202を含む。読取センサはまた、読取センサスタック1202の辺に近接した絶縁層1208Aおよび1208Bを含む。たとえば
図11のシールド層1102および1104などのシールド層は
図12の例に示されていないが、読取センサスタック1202のキャップ層1204に近接してシールド層を形成して、読取センサスタック1202とキャップ層1204に近接したシールド層との間の境界がキャップ層1204の形状に従って湾曲するようにしてもよい。そのような構成では、読取センサ1200は、
図11の読取ヘッド1100に関して説明されたものと同一または同様の読取ヘッドで利用され得る。
【0074】
さらに、
図12の例では、読取センサ1200の読取接合部は、薄いカーボンをハードマスク層として用いて形成された。イオンミリングプロセス時に材料を再堆積して読取センサスタック1202を形成することによって、読取センサスタック1202、および特にキャップ層1204の辺に近接してチャネル1206Aおよび1206Bがもたらされる。構成されるように、チャネル1206Aおよび1206Bは、たとえば本明細書中に説明されるように磁場を検知するために利用される際に、読取センサ1200に対して磁気側面シールドを提供し得る。
【0075】
本開示内容のさまざまな実施例が説明された。これらおよび他の実施例は、以下の請求項の範囲内にある。