【実施例1】
【0040】
本発明の故障検知機能付きATS−P地上子の実施例1(三現示G,Y,R情報切替形)について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図1は、(a)が複数の故障検知機能付きATS−P地上子40,40a,40bを設置した地上設備の概要ブロック図、(b)がそのうちの一台の地上子40のブロック図、(c)が送信される電文フレームの構成図である。また、
図2は、照合回路45と出力回路46の詳細ブロック図であり、
図3は、電文選択手段41の詳細ブロック図であり、
図4は、選択回路42の判別表と電文記憶部43の記憶領域の割付表である。
【0041】
故障検知機能付きATS−P地上子40は(
図1(a)参照)、使い易い従来例2の電文照査機能付きATS−P(N)地上子30をベースにして、安全性の高い従来例1の中継器故障検出機能付きATS−P地上装置と同等のレベルまで故障検知機能を向上させたもので、しかも地上子30と同じく三現示情報切替形のもので、地上子30と同様、信号機13までの距離や信号機13の現示といった情報を車上装置へ提供する情報提供対象の信号機13と同じ軌道11に単独で又は同一構成の他の地上子40a,40b等と適宜離れて設置され、信号機13の器具箱14から信号機現示リレーGR,YRを入力して、その現示に対応した適宜な情報を含んだ電文を軌道11上へ1.7MHzの電波で送出するが、地上子30と異なり、器具箱14から直流電力DC135Vの給電を受けて常時動作する有電源地上子になっているので、列車12の車上装置から245kHzの電波を受けなくても良く、さらに正常か異常かの照合結果・故障検知結果をリレーNRM1(地上子40a,40bではNRM2,NRM3)の動作/落下状態として器具箱14へ常時出力するようになっている。
【0042】
内部構造を述べると(
図1(b)参照)、地上子40は、列車停止制御用の情報を含んだ送信用電文Maを軌道11上へ電波で送出する送信手段21,22としての変調回路21及び送信コイル22と、その電波を受信して受信電文Mbを生成する受信手段23,24としての受信コイル23及び復調回路24とを、既述した中継器故障検出機能付きATS−P地上装置から引き継いでいる。また、既述した電文照査機能付きATS−P(N)地上子30からは電文選択手段31や照合回路35等の基本構成を踏襲しているが、そのまま引き継ぐのでなく、故障検知機能の強化と構成の簡素化のために改造しており、地上子40は、以下に詳述する構成のものとなった電文選択手段41と照合回路45と出力回路46とを具えている。有電源化のため電源回路47も具えている。
【0043】
電文選択手段41は(
図1(b)参照)、リレー回路からなり信号機13の現示リレーGR,YRの接点出力を中継リレーGPR,YPRで受けてその現示G,Y,Rに対応した送信用電文Maを選出する選択回路42と、例えばEEPROMからなり送信用電文Maおよびそれと同一内容の非送信用電文Mcを異なる記憶領域に保持している電文記憶部43と、例えばカウンタ主体の回路からなりそのカウント値を送信用電文Maの変調タイミングに合わせてインクリメントする等のことで電文記憶部43の読出アドレスを生成する読出回路44とを具備していて、電文記憶部43から送信用電文Maを読み出して送信手段21,22の変調回路21へ送るとともに、その送信用電文Maの読出と並行して同一内容の非送信用電文Mcの読出も行うようになっている。なお、電文記憶部43からの両電文Ma,Mcの読出がビット単位であればラッチ等でタイミング調整を行うが(
図3参照)、バイトやワード等の複数単位であればシフトレジスタ等でパラレル−シリアル変換を行うようにもなっている。
【0044】
選択回路42は(
図4の左半分を参照)、リレーGPRの第1接点GPR1とリレーGPRの第2接点GPR2とリレーYPRの第1接点YPR1とリレーYPRの第2接点YPR2とがそれぞれ動作状態(↑)なのか落下状態(↓)なのかに応じて“1”か“0”かの一ビットを各接点に対応させることで、16進数で一桁分の部分アドレスを生成するようになっている。具体的には、信号機13がG現示のときには、各接点GPR1,GPR2,YPR1,YPR2が正常であれば、その接点状態が↑↑↓↓になるので、部分アドレス“C”を生成する。また、信号機13がY現示のときには、各接点GPR1,GPR2,YPR1,YPR2が正常であれば、その接点状態が↓↓↑↑になるので、部分アドレス“3”を生成する。
【0045】
さらに、信号機13がR現示のときには、各接点GPR1,GPR2,YPR1,YPR2が正常であれば、その接点状態が↓↓↓↓になるので、部分アドレス“0”を生成する。また、既述したYRリレー落下延伸による一時的な現示リレーGR,YRの動作重複時と、それら両リレー信号の伝送線が混触したときのような継続的な故障が発生したときには、各接点GPR1,GPR2,YPR1,YPR2が正常であれば、その接点状態が↑↑↑↑になるので、部分アドレス“F”を生成する(図では★印の付いた所を参照)。そして、それ以外の接点状態は、接点不良その他の故障時に発現する継続的な異常状態と考えられるので、部分アドレスとして他の値を生成するようになっている。
【0046】
電文記憶部43は(
図4の右半分を参照)、そのような選択回路42の部分アドレス生成に対応して、16進数のアドレス表示で記憶領域“0C0”〜“0CF”及び記憶領域“1C0”〜“1CF”のそれぞれにG現示に対応した正常電文であるG電文を保持し、記憶領域“030”〜“03F”及び記憶領域“130”〜“13F”のそれぞれにY現示に対応した正常電文であるY電文を保持し、記憶領域“000”〜“00F”及び記憶領域“100”〜“10F”のそれぞれにR現示に対応した正常電文であるR電文を保持している。また、記憶領域“0F0”〜“0FF”にはG現示とY現示とのうち相対的に下位のY現示に対応した正常電文であるY電文を保持するが、記憶領域“1F0”〜“1FF”には照合成立阻止用電文“0…0”を保持している(図では★印の付いた所を参照)。
【0047】
さらに、電文記憶部43は、他のアドレスの記憶領域については、アドレス“0**”の所には照合成立阻止用電文“1…1”を保持し、アドレス“1**”の所には照合成立阻止用電文“0…0”を保持している。
G電文とY電文とR電文は、軌道11上へ送信されて車上装置が正常受信すると受理されて列車停止制御に供される有効電文であり、照合成立阻止用電文“1…1”は、軌道11上へ送信されて車上装置が受信してもCRCエラーで受理されない無効電文であり、照合成立阻止用電文“0…0”は、Y電文その他の正常電文と一致しないばかりか無効電文の照合成立阻止用電文“1…1”とも一致しない不一致電文である。
【0048】
また、電文選択手段41では、上記の電文記憶部43に対する16進数で三桁のアドレスのうち上位の一桁と下位の一桁を読出回路44が生成するとともに中間の一桁に選択回路42の生成した部分アドレスを嵌め込むことで、一方の記憶領域たとえば“000”〜“0FF”からは送信用電文Maが読み出され、他方の記憶領域たとえば“100”〜“1FF”からは非送信用電文Mcが読み出されるので、電文記憶部43は、送信用電文Maと非送信用電文Mcとの組を複数保持したものとなっている。
しかも、その送信用電文Maと非送信用電文Mcとの複数組の電文のうち、地上子40が正常なときには継続的に読出対象となりうる正常電文同士の組については、組内同士では同一内容であるが、組間では信号機13の現示の種類すなわちG現示かY現示かR現示かに対応して情報が異なるものとなっている。
【0049】
さらに、上記の送信用電文Maと非送信用電文Mcとの複数組の電文のうち、地上子40が正常なときには一時的な読出対象となりうる電文組であって混触等の故障時には継続的な読出対象となりうる正常電文と照合成立阻止用電文との組については(図では★印の付いた所を参照)、正常電文の方は、一時的な現示リレーGR,YRの動作重複に含まれる複数の現示G,Yのうち相対的に下位のY現示に対応した情報を含んだY電文となっており、照合成立阻止用電文の方は、Y電文と内容の異なる不一致電文となっている。また、選択回路42は、送信用電文Maと非送信用電文Mcとの複数組の電文のうちから信号機13の現在の現示に対応したものを電文選択手段41の読出対象にするものとなっている。なお、この地上子40では選択回路42が電文選択手段41に組み込まれた形になっているが、選択回路42を電文選択手段41の前段や後段に付加した形になっていても良い。
【0050】
さらに、電文記憶部43は、その記憶領域であって読出対象となりうる記憶領域のうち、継続的であれ一時的であれ正常時に読出対象となりうる送信用電文Maと非送信用電文Mcとの組を保持している記憶領域は別として、それ以外の記憶領域には、各ビット毎に反転した値を持つことで組内同士で内容の異なるものとなっている照合成立阻止用電文同士の組“1…1”,“0…0”を記憶保持している。また、選択回路42が信号機13の現示の種類に対応しないものを電文選択手段41の読出対象に選出したときには、電文記憶部43から上記の照合成立阻止用電文同士の組“1…1”,“0…0”が読み出されるようになっている。そして、全ビット“1”の照合成立阻止用電文“1…1”は送信用電文Maと同じく変調回路21へ送出され、,全ビット“0”の照合成立阻止用電文“0…0”は非送信用電文Mcと同じく照合回路45へ送出されるようになっている。
【0051】
照合回路45は(
図2参照)、復調回路24から受信電文Mbを受けるとともに電文記憶部43から非送信用電文Mcを受けて、適宜な同期回路等で両電文Mb,Mcのタイミングをビットレベルまで同期させてから、両電文Mb,Mcを比較して、一致していれば照合結果を正常とし、不一致であれば照合結果を異常とするようになっている。しかも、照合回路45は、既述した公知で実績のある振り子回路を具備したフェールセーフな比較回路(FS比較回路)を主体に構成されていて、比較回路での比較結果が一致している状態が継続している間は、一定周期で交互に値の変化する交番信号を出力するが、比較結果に不一致が検出されると、値の変化しない一定信号を出力するものとなっている。
【0052】
出力回路46は(
図2参照)、やはり公知で実績のあるフェールセーフなリレードライバからなり、照合回路45の照合結果を交番信号から直流信号のリレー駆動信号Bに変換してリレーNRM1を駆動するようになっている。また、出力回路46の出力するリレー駆動信号Bが照合回路45での短時間不一致に起因して一時的に落下状態(0)になっただけでリレーNRM1が感応するような不都合を回避するため、リレー落下延伸用のCR充放電回路14aがリレーNRM1の電磁コイルに並列接続されて、リレーNRM1が故障状態と過渡状態・遷移状態とを切り分ける緩放リレーになっている(
図1(b),
図2参照)。充放電回路14aの時定数は、リレーNRM1の感度を例えば数百ms程度まで緩和させるように設定されており、少なくとも、既述したYRリレー落下延伸に起因して生じる一時的な現示リレーの動作重複によるリレー駆動信号Bの一時落下にはリレーNRM1が感応しないようになっている。このような状態切り分けは出力回路46で行うようにしても良いが、本例は、慣用されている緩放リレーにて状態切り分け機能を簡便に具現化したものとなっている。
【0053】
電源回路47は(
図1(b)参照)、器具箱14から直流電力DC135Vの給電を受けて各部21〜24,41〜46の動作電力を常時発生するようになっている。例えば、電文選択手段41や照合回路45にはDC5Vの直流電力を継続して供給し、出力回路46のトランジスタにはDC48Vの直流電力を継続して供給し、出力回路46の最終段がDC24Vの直流電力を継続して供給できるようにしている。
【0054】
なお(
図1(c)参照)、G現示かY現示かR現示の情報を含んだ送信用電文Maのフレーム構成は、基本的に既述の従来例と同じHDLCフォーマットであるが、受信電文Mbと非送信用電文Mcとの同期採りが容易かつ確実に行えるよう、例えば二進数で“11111111”のアボートコード(ABT)が付加されている。また、送信用電文Maの代わりに送信手段21,22を介して軌道11上へ送信される可能性のある照合成立阻止用電文“1…1”は、上述したように、例え列車12の車上装置が受信したとしても不所望に受理されることがないよう、サイクリックリダンダンシーチェックコードCRCが不正な無効電文になっている。
【0055】
この実施例1の故障検知機能付きATS−P地上子40について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。
図1は、(a)が複数の故障検知機能付きATS−P地上子40,40a,40bの設置状況図、(b)が地上子40のブロック図、(c)が送信用電文MaとなりうるG電文とY電文とR電文と無効電文“1…1”のフレーム構成図である。また、
図3は、電文選択手段41の詳細ブロック図であり、
図4は、選択回路42の判別表と電文記憶部43の記憶領域の割付表である。
【0056】
さらに、
図5は、(a),(b)何れも信号波形のタイムチャートであり、
図6は、(a)〜(d)何れも列車走行状態の模式図である。そのうち、
図5(a)と
図6は、正常時の地上子40の動作例と列車12の走行状態を示しており、
図5(b)は、混触故障時の地上子40の動作例を示している。
地上子40は、情報提供対象の信号機13と同じ軌道11に沿って同一構成の他の地上子40a,40bと適宜離れて設置され(
図1(a)参照)、信号機13の器具箱14とケーブルで接続され、器具箱14からDC135Vの直流電力を受けて常時動作する。
【0057】
そして、随時、器具箱14から信号機現示リレーGR,YRの信号がケーブルを介して地上子40に送られ、地上子40に異常が無ければ現示リレーGR,YRの動作/落下状態に基づいて信号機13の現示に対応した適宜な情報を含んだ送信用電文Ma(
図1(c)参照)が地上子40によって生成され(
図1(b)参照)、更にその電文が軌道11上へ1.7MHzの電波で送出される(
図1(a)参照)。そのため、軌道11を走行する列車12が地上子40に接近して、列車12の車上装置が上記電波を受信すると、受信電文から信号機13までの距離や信号機13の現示といった情報が車上装置に取得されて、その信号機現示がG現示なのかY現示なのかR現示なのかに応じて適切な速度照査パターンPが車上装置で生成され、それに基づいて列車12の列車停止制御が行われる。
【0058】
先ず、地上子40における送信用電文Maの生成や送信などについて詳述すると(
図1(b),
図3参照)、電文選択手段41に入力された信号機現示リレーGRの信号は選択回路42のリレーGPRの第1接点GPR1と第2接点GPR2にて二ビットの部分アドレスにされて電文記憶部43のアドレス指定に組み入れられ、信号機現示リレーYRの信号は選択回路42のリレーYPRの第1接点YPR1と第2接点YPR2にてやはり二ビットの部分アドレスにされて電文記憶部43のアドレス指定に組み入れられ、電文記憶部43のアドレス指定のうち残ビットの部分が読出回路44によって補われて、電文記憶部43の記憶領域のうちから読出対象が選出される。そして、異なる記憶領域の一方“000”〜“0FF”から送信用電文Maが読み出され他方“100”〜“1FF”から非送信用電文Mcが読み出される(
図4参照)。
【0059】
このとき、信号機13がG現示であって、その信号に選択回路42が正しく応じれば、電文記憶部43の異なる記憶領域から送信用電文Maと非送信用電文Mcが読み出され、両電文Ma,Mcの内容は同じG電文(正常電文)になる。Y現示やR現示の場合も同様に同じY電文や同じR電文になる。また、YRリレー落下延伸にて一時的に現示リレーGR,YRの動作が重複したときには(図では★印の付いた所を参照)、送信用電文Maの内容が、下位の正常電文であるY電文になる一方、それと組をなす非送信電文Mcの内容は、不一致電文の照合成立阻止用電文“0…0”になる。さらに、リレーGPR,YPRに接点不良などの継続的な不具合がある場合には、送信用電文Maの内容が無効電文の照合成立阻止用電文“1…1”になるとともに、その電文とはビット反転状態で異なっている不一致電文の照合成立阻止用電文“0…0”が非送信用電文Mcの内容になる。何れの場合も(
図1(a),(b)参照)、送信用電文Maは送信手段21,22によって軌道11上の列車12へ向けて送信され、それと同時に受信手段23,24によって受信電文Mbにされる。
【0060】
こうして送信用電文Maの生成に伴って非送信用電文Mcが生成されるとともに送信用電文Maの送信に応じて受信電文Mbが生成されると、両電文Mb,Mcは(
図2参照)、照合回路45によって、ビット単位で同期が採られ、対応ビット毎に比較されて、総てが一致していれば照合結果が正常とされ、そうでなく不一致があれば照合結果が異常とされる。また、その照合結果は、出力回路46によってリレー駆動信号Bに変換されてから、ケーブルを介して器具箱14へ送出される。地上子40はケーブル接続先の器具箱14から供給されるDC135Vの直流電力を電源回路47で受けて常時動作することから、送信用電文Maの送信も、受信電文Mbと非送信用電文Mcとの照合による故障検知も、その照合結果の出力も、随時行われるので、故障が発生した時点で故障検知と外部通知ができるため、安全のためのバックアップ措置や地上子の取り替えが迅速にできる。
【0061】
また、信号機13の現示に対応したリレーGPR,YPRの動作/落下で送信する電文を切り替える点は従来のP(N)地上子の機能を踏襲しているが、送信用電文Maの候補がG電文とY電文とR電文だけでなく無効電文の照合成立阻止用電文“1…1”にも拡張され、非送信用電文Mcの候補が同一内容で正常時のG電文とY電文とR電文だけでなく反転内容で選択異常時の照合成立阻止用電文“0…0”にも拡張されている。そのため、選択回路42にリレー接点の不具合などが生じると、照合成立阻止用電文同士の組“1…1”,“0…0”が照合されて、異常の照合結果が出るので、故障が検出される。
【0062】
さらに、選択回路42が正常でも、電文記憶部43に不具合が生じて電文データが損なわれたときには、その電文が送信用電文Maや非送信用電文Mcとして読み出されるが、両電文Ma,Mcの記憶領域が異なるため、両電文Ma,Mcが同時に同一態様で損傷する確率は片方損傷や不同損傷に比べて無視できるほど小さいことから、両電文Ma,Mcが一致しない故障状態を考慮すれば足りるので、そうすると、受信信号から送信用電文Maを復元した受信電文Mbも非送信用電文Mcと一致しなくなって、異常の照合結果が出るので、電文記憶部43の不具合についても、故障が検出される。
【0063】
また、電文選択手段41が総て正常であっても、送信手段21,22や受信手段23,24に不具合が生じれば、送信用電文Maから受信電文Mbを得る過程で電文内容が損なわれて、受信電文Mbが送信用電文Maと同じでなくなり、送信用電文Maと同一内容の非送信用電文Mcとも受信電文Mbが同じでなくなるため、照合回路45から異常の照合結果が出されるので、送信手段21,22や受信手段23,24の不具合についても、故障があればそのことが検出される。
【0064】
さらに、照合回路45には電文比較用にフェールセーフな比較回路が採用されているが、その電文比較回路は、俗に振り子回路と呼ばれ、電子連動装置のバス・データ比較回路などで実績もあり、自身の回路故障で誤って交番信号を出す確率はゼロ(0)と言える。
しかも、出力回路46にはフェールセーフなリレードライバが採用されているので、出力回路46が自身の回路故障で誤って所定電圧を出力する確率もゼロ(0)と言える。
そのため、この故障検知機能付きATS−P地上子40は地上子全体がフェールセーフなものと言える。
【0065】
以上で信号機現示リレーGR,YRに応じたその時々の地上子40の動作を詳述したので、次に、信号機現示が、最下位(危険状態・停止指示)のR現示から、中間の位(注意状態・徐行指示)のY現示を経て、最上位(安全状態・進行指示)のG現示へ、変化した場合について説明する。地上子40も器具箱14も両者間のケーブルも総て正常な場合(
図5(a)参照)と、ケーブルに混触が発生していて現示リレーGRと現示リレーYRのうち何れか一方でも動作状態になると中継リレーGPR,YPRが共に動作状態になってしまう継続的な故障の場合(
図5(b)参照)について、以下、詳述する。
【0066】
地上子40等が正常な場合、信号機13がR現示のときには、現示リレーGR及び中継リレーGPRも現示リレーYR及び中継リレーGYRも落下状態であり(
図5(a)の左側部分を参照)、地上子40では送信用電文MaがR電文で非送信電文McもR電文なのでリレー駆動信号Bが動作状態(1)になってリレーNRM1が動作状態を維持して正常であることを示し、列車12の車上装置では速度照査パターンPが確実な停止を確保しうるP(R)であり(
図6(a)参照)、列車12ではR現示を目視確認した運転士が列車速度Vを下げて列車12を停止させる。
【0067】
それから、信号機13がY現示に上位変化すると(
図6(b)参照)、現示リレーGR及び中継リレーGPRは落下状態を維持するが現示リレーYR及び中継リレーGYRが動作状態になり(
図5(a)の中央部分を参照)、地上子40では送信用電文Maも非送信電文Mcも内容が切り替わるが何れもY電文になるのでリレー駆動信号Bは動作状態のままでリレーNRM1が動作状態を維持して正常であることを示し、列車12ではY現示を目視確認した運転士が列車速度Vを上げて列車12を信号機13に向けて進行させ始めるが(
図6(b)参照,なお、信号機13aは信号機13の一つ先の信号機である)、未だ地上子40と列車12の車上子とが結合する所まで列車12が進行していない場合、速度照査パターンPがY現示対応のP(Y)に上位更新されないでR現示対応のP(R)のままであるが、列車速度Vが小さいうちは速度照査パターンPに規制されることなく列車12が加速しながら信号機13に向かって進行する。
【0068】
そして、列車12が進行してその車上子が地上子40と結合すると、車上装置の速度照査パターンPがY現示対応のP(Y)に上位更新される(
図6(c)参照,なお、信号機13bは信号機13の二つ先の信号機である)。解決課題の欄で既述したのと同様、地上子40と列車12の車上子とが結合する所まで列車が進行したときに、たまたま、信号機13がY現示からG現示へ上位変化して、YRリレー落下延伸の期間に入ってしまった場合でも(
図5(a)において★印の付いた所を参照)、地上子40から車上子へ向けて送信される電文Maは有効に受信されるY電文になるため、速度照査パターンPはR現示対応のP(R)からY現示対応のP(Y)に上位更新される(
図6(c)参照)。このように速やかに速度照査パターンPが上位更新されるので、G現示を目視確認した運転士が列車速度Vを速やかに上げる操作を行ったとしても、直ちに列車速度Vが速度照査パターンP(R)に規制される可能性はほとんどない。
【0069】
また、YRリレー落下延伸時に地上子40では(
図5(a)において★印の付いた所を参照)、現示リレーGR及び中継リレーGPRも現示リレーYR及び中継リレーGYRも動作状態になって、送信用電文Maの内容が上述したように正常電文のY電文になるのに対し、非送信電文Mcの内容は不一致電文の照合成立阻止用電文“0…0”になるので、リレー駆動信号Bが数百msほどの短時間だけ落下状態になるが、リレーNRM1はそれに応動しない緩放リレーなので動作状態を維持して正常であることを示し続ける。
【0070】
そして、瞬く間にYRリレー落下延伸の期間が過ぎると(
図5(a)の右側部分参照)、現示リレーGR及び中継リレーGPRは動作状態を維持するのに対し現示リレーYR及び中継リレーGYRが落下状態になり、地上子40では送信用電文Maも非送信電文Mcも内容が切り替わるが何れもG電文になるのでリレー駆動信号Bは動作状態に戻りリレーNRM1が動作状態を維持して正常であることを示す。
【0071】
一方、ケーブル等に混触が発生していて現示リレーGRと現示リレーYRのうち何れか一方でも動作状態になると中継リレーGPR,YPRが共に動作状態になってしまう継続的な故障の場合(
図5(b)参照)、信号機13がR現示のときには、現示リレーGR及び中継リレーGPRも現示リレーYR及び中継リレーGYRも落下状態であり(
図5(b)の左側部分を参照)、地上子40では送信用電文MaがR電文で非送信電文McもR電文なのでリレー駆動信号Bが動作状態になってリレーNRM1が動作状態を維持して正常であることを示すので、この現示状態では未だ混触故障が潜在化しているが、地上子40から軌道11上へ送信される電文がR電文なので列車運行の安全性は維持されている。
【0072】
そして、信号機13がR現示からY現示に上位変化すると(
図5(b)の左側から中央寄りの部分を参照)、現示リレーGRが落下状態を維持したまま現示リレーYRが動作状態になるが、混触のため地上子40の中継リレーGPR,YPRはリレーYPRばかりかリレーGPRまで動作状態になる。そして、地上子40では、送信用電文Maも非送信電文Mcも内容が切り替わり、送信用電文Maの内容は有効電文のY電文になるが、非送信電文Mcの内容は不一致電文の照合成立阻止用電文“0…0”になるので、リレー駆動信号Bが落下状態になる。この落下状態は、リレー落下延伸時のような一時的なものでなく、Y現示がなされている間さらにはG現示になっても維持されるので、大抵、CR充放電回路14aで決まるリレーNRM1の落下時素より長く維持され、その落下時素の経過後にリレーNRM1が落下するので、故障状態が顕在化する。