【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明は、各部分が、以下では流路と呼ばれ、流動プレートの任意の適切なパターンまたは密集したパターンであってもよい1つ以上の流体用の流路、チャネル、溝、または通路を露出させるように開放することができる平坦に構成された多目的流れモジュールを、より小さな、積み重ね可能であり、かつ外部または内部に接続可能である部分すなわち「二次元」部分に設けることによって上述の問題に対する解決策を提供する。従って、本発明は、材料をモジュール内に連続的に流しかつ材料または生成物をモジュールから連続的に流す流路を有する、積み重ね可能であり、かつ外部または内部に接続可能である部分の、適応性が高いかまたは柔軟性に富んだ多目的流れモジュールを提供する。多目的流れモジュールは、水平方向と鉛直方向の両方に積み重ね可能である。
【0010】
よって、本発明は、流路および1つ以上の接続ポートを有する、積み重ねられた流動プレートおよび/または熱交換プレートを有する多目的流れモジュールに関する。各流動プレートまたは熱交換プレートには1枚以上の障壁プレートを取り付けることができる。本発明は更に、多目的流れモジュールにおける抽出、反応、分離、混合、またはそれらの組み合わせの方法、および多目的流れモジュールの使用に関する。
【0011】
多目的流れモジュールの各部分は、プロセス流体材料用の流路を有する流動プレートと、1枚以上の障壁プレートあるいは1枚以上の端プレートとを有してよい。1枚以上の流動プレートに取り付けられるか、あるいは少なくとも2枚の流動プレート間に配置され少なくとも2枚の熱交換プレートを分離する1枚以上の熱交換プレートがあってもよい。各部分は、互いに直列または並列に接続された流路を有してよい。
【0012】
本発明の一態様によれば、流れモジュールは、流れ部を形成する、流動プレート、障壁プレート、端プレート、圧力プレート、そして最後にガスケットを有してよい。1つ以上の流れ部は、流路が互いに直列または並列に接続できるように配置することができる。よって、多目的流れモジュールは、少なくとも1つの流れ部を有し、任意に、1つ以上の熱交換部を任意の流れ部に取り付けることができる。熱交換部は、熱交換プレートと、共に取り付けられた1枚以上の障壁プレートあるいは端プレートとを有してよい。流れ部および/または熱交換部は、外部手段または内部手段によって取り付けることができる。
【0013】
本発明の一態様によれば、分離部である、少なくとも1つの一体化された流れ部を有してよい。一体化された流れ部は、流動プレート側に流路を有し、熱交換プレート側に熱交換部を有する一体品として製造された流動プレートおよび熱交換プレートを有する。流路は、流路の各端部に接続された1つの入口および1つの出口を有する。1つ以上の接続ポートは、一体化された流れ部の少なくとも一方の外側側面に沿って配置され、流路と連通している。ガスケットおよびプレートは、流動プレート上に配置され、流路を密封する。一態様による挿入要素およびプレートは、熱交換プレート側に配置され、流れ部の熱交換部を密封する。一体化された流れ部の流路は、屈曲部または湾曲部の形態の1つ以上の混合区間を有する。本発明の一態様によれば、混合区間は、流路の屈曲部または湾曲部の隅部の形態である。
【0014】
本発明の他の態様によれば、流れ部または一体化された流れ部は、流動プレート、1枚以上の障壁プレート、ガスケット、端プレート、および1枚以上の熱交換プレートを有してよく、各流れ部を、他の流れ部または他の一体化された流れ部に接続し、互いに積み重ねて、流れ部の流路を互いに直列または並列に接続させることができる。従って、この多目的流れモジュールは、外部手段または内部手段によって共に取り付けられた1つ以上の流れ部を有する。
【0015】
本発明の他の態様によれば、多目的流れモジュールは、流動プレート、障壁プレート、および/またはガスケットの部分であって、1枚以上の熱交換プレートを有する部分の数より多くの部分を有し、各部分を、他の部分に取り付けて互いに積み重ね、各部分の流路を互いに直列または並列に接続させることができる。従って、この多目的流れモジュールは、流路の1つ以上の部分と、外部手段または内部手段によって共に取り付けられた1つ以上の熱交換プレート部とを有する。
【0016】
本発明の他の態様によれば、多目的流れモジュールは、流動プレート、障壁プレート、端プレート、そして最後にガスケットを含む部分であって、1枚以上の熱交換プレートを有する部分の数より少ない部分を有してよく、各部分は、他の部分に接続して互いに積み重ね、各部分の流路を互いに直列または並列に接続させることができる。従って、この多目的流れモジュールは、1つ以上の流れ部と、外部手段または内部手段によって共に取り付けられた2つ以上の熱交換プレート部とを有する。
【0017】
本発明の他の態様によれば、多目的流れモジュールは、熱交換部と同数の流れ部を有してよい。各部分を、他の部分に取り付けて互いに積み重ね、各部分の流路を外部手段または内部手段によって互いに直列または並列に接続させて互いに取り付けることができる。
【0018】
本発明の流動プレートは、流体材料用の流路を有してよく、この流路は、流動プレートを切り込むかまたは掘り込むか、溝またはくぼみ状に設けるか、エッチングによって設けるか、あるいは定義済みの技術の組み合わせによって流動プレートに設けることができる。この流路は、流動プレートにおける二次元パターンを構成することができる。この流路は、所望の滞留時間、流量、反応時間などに応じて、密なパターンでできるだけ長く延ばすか、できるだけ短くするか、あるいは任意の適切な長さを有することができる。流路の長さは、所望のプロセスに適するように最適化し設計することができる。流路パターンの形状は、例えば、迷路状、ジグザグ状、曲がりくねった流路状、または任意の他の適切な形状であってもよい。入口および出口は、各流動プレートの流路の各端部に接続されている。多目的流れモジュールは、様々なプレート上にそれぞれの異なるサイズの流路を備えたプレートで組み立てることができる。流路の長さは異なっていてよく、流路は長くても短くてもよい。流路は、各プレート間で幅が異なるものであってもよい。使用などに応じて、あるプレートが広い流路を有し他のプレートがより細い流路を有してよい。
【0019】
各流路は、少なくとも0.1mm2の断面積を有してよい。一態様によれば、断面積は少なくとも0.5mm2であってもよい。他の態様によれば、断面積は少なくとも1mm2であってもよい。断面積は1000mm2程度または10000mm2程度であってもよいが、所望のプロセスに適した任意のサイズを適用可能である。一態様によれば、流路の断面積は、約0.5mm2から約100mm2の範囲内であってもよい。他の態様によれば、流路の断面積は約1mm2から約75mm2の範囲内であってもよい。
【0020】
流動プレートの各外側側面に沿って、流動プレートの外側側面と、流動プレートの少なくとも1つの側面、2つの側面、3つの側面、またはすべての4つの側面上の流路との間に1つ以上の接続ポートを配置することができる。接続ポートに任意の種類の機能を接続することができ、これは例えば、反応物質用の入口、他のまたは追加的な流体用の入口、所望のプロセスに必要な任意の他の媒質用の入口、プロセス流体用の出口、後の段階で流路に送り込まれる中間生成物用の出口、流路からのプロセス流体の試験サンプル用の出口、中間生成物または物質を識別しかつ「プロセス分析技術」(PAT)に従ってプロセス性能を制御するために紫外光(UV)分光計、赤外光(IR)分光計、ガスクロマトグラフィー、質量分光計(MS)、核磁気共鳴NMRなどによってオンラインで連続的にまたはバッチサンプルごとに分析すべきサンプル用の出口であってもよい。接続ポートは、流路に接触した任意の種類のセンサユニット、熱電素子などを有し、コンピュータまたは制御装置に情報を送信することができる。接続ポートは、流路に特別な機能を接続する必要がない場合、使用しないときには塞いでおくことができ、あるいは接続ポートは、瞬間的にまたは制御しながら圧力を解放するための安全装置を備えてもよい。本発明の一態様によれば、1つ以上の接続ポートは注入ポートまたは分散ポートであってもよい。
【0021】
流動プレートの材料は、任意の耐食性材料から選択することができる。この材料は、ステンレスチール、鉄系合金、ニッケル系合金、チタン、チタン合金、タンタル、タンタル合金、モリブデン系合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、ガラス、石英、黒鉛、強化黒鉛、PEEK、PP、PTFEなどであるか、あるいは流れ部の材料は、軟質PEEK、PP、PTFEなどの軟質材料、またはViton(登録商標)、Teflon(登録商標)、Kalrez(登録商標)などであってよく、従って、多目的流れモジュールではガスケットを無くすことができる。
【0022】
一態様によれば、圧力プレートは、流路に対応し、流路を覆い、ガスケットに作用して流動プレートを密封するパターンを有してよい。
【0023】
本発明の他の態様によれば、流路の周囲に沿った突出部を流路に隣接する各側面上に配置し、ガスケットが流動プレートを端プレートまたは障壁プレートまたは熱交換プレートに対して密閉して漏れを防止することができる。
【0024】
ガスケットは、流動プレートを密封または密閉して漏れを防止することができ、ガスケットは、端プレート、障壁プレート、断熱材、または熱交換プレートに対して流路を覆うかまたは密閉するように配置されている。
【0025】
ガスケットは、流動プレートより柔らかい材料であってもよい。従って、流路または圧力プレートに沿った突起は、十分な接触圧力によって流動プレートを端プレート、障壁プレート、他の流動プレート、または熱交換プレートに対して密封するのを可能にする。
【0026】
ガスケットは、適切な材料の平坦な1枚のシートまたは多層シートであってよく、このような材料の例は、多層膨張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロエラストマまたはフルオロエラストマ、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリプロペン(PP)などであってもよい。ガスケットの材料は、軟質PEEK、PP、PTFEなどの軟質材料、またはViton(登録商標)、Teflon(登録商標),Kalrez(登録商標)などであってよく、ガスケットは適切な金属材料の金属Oリングまたは密封要素であってもよい。ガスケットの材料は、プロセスに応じて良好な耐化学薬品性を有すべきであるが、プロセスが良好な耐化学薬品性を必要としない場合は他の材料で十分である。ガスケット材料は、クランプ力によって構造が密閉されるまで軟質であってよく、この材料は変形可能であり、ごくわずかに横方向に膨張することができる。従って、ガスケットは密封面の欠陥を埋めることができる。一態様によれば、ガスケットは、例えば印刷工具によって形成された流路に対応する形状を有してよく、あるいはガスケットは、流路内のガスケットの膨張を最小限に抑え、従って、断面が変化せず、ガスケットにおける流体の吸収が少なくなるような所望の形状に、外力によって圧縮することができる。
【0027】
一態様として、密封面同士の間に膜を付加することができる。多目的流れは、本発明の一態様によれば、少なくとも1枚の障壁プレートまたは少なくとも1つのガスケットが膜であってもよい。他の態様によれば、ガスケットの表面または流路に触媒を付加することができる。
【0028】
障壁プレートは、熱伝導性を有し、流動プレートへの熱伝達または流動プレートからの熱伝達を可能にすることができ、あるいは障壁プレートは、断熱材料であってよく、これにより、流動プレートを断熱することができる。障壁プレートは、ガスケットの一方の側に位置することができ、障壁プレートは、熱伝導性を有し、例えば近傍の熱交換プレート、近傍の流動プレート、またはその両方からガスケットの他方の側面上の流動プレートへのガスケットを通じた熱伝達を可能にすることができ、あるいは障壁プレートは、断熱材であってよく、流動プレートおよびガスケットを他の熱伝達源から断熱することができる。
【0029】
障壁プレートは、流動プレートのプロセス流体を熱交換プレートの熱伝達流体から物理的に分離し、プロセス流体を他の流動プレートから物理的に分離するか、または熱交換プレートの熱伝達流体と他の流動プレートの両方から物理的に分離する。障壁プレートは、例えばろう付け、溶接、接着、またはそれらの組み合わせによって流動プレート、熱交換プレート、またはその両方に組み込むかまたは永久的に取り付けることができる。
【0030】
本発明の一態様によれば、障壁プレートは、流動プレートの両側、熱交換プレートの両側、またはその両方を密封または密閉することができる。
【0031】
障壁プレートは、任意の耐食性材料でできていてもよく、障壁プレートは、金属、プラスチック、ポリマー材料、セラミック、ガラスなどでできていてもよい。障壁プレートまたはカバープレートは、ステンレスチール、鉄系合金、ニッケル系合金、チタン、チタン合金、タンタル、タンタル合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、モリブデン系合金、任意の耐食性合金、ガラス、石英、黒鉛、強化黒鉛、PEEK、PP、PTFEなどから選択することができる。
【0032】
熱交換プレートは、非流体熱交換プレートまたはペルチェ素子であってよく、あるいは複数のくぼみ、複数の流路、または複数の溝を有するか、流動プレートの流路の領域を覆う切断領域を有するか、あるいは複数の切断流路を有することができる。
【0033】
各流路、くぼみ、流路、溝、または切断領域は、本発明の一態様によれば、複数のフィン、複数の翼、構造化されたパッケージ部材、複数の金属発泡体などを有し、熱伝達面積を広くし、かつ熱交換流体の乱流を強めて熱伝達を向上させることができる。
【0034】
熱交換プレートは、本発明の一態様によれば、ろう付け、溶接、接着、またはそれらの組み合わせによって流動プレートを障壁プレートに組み込むかまたは永久的に取り付けることができる。他の態様によれば、各熱交換プレートは、複数の障壁プレートまたは複数のカバープレートを有するか、あるいは1枚の障壁プレートおよび1枚のカバープレートを熱交換プレートの各側面上に有してよく、各プレートは、ろう付け、溶接、接着、またはそれらの組み合わせによって熱交換プレートに永久的に取り付けることができる。
【0035】
本発明の一態様によれば、熱交換プレートは、熱交換プレートの各側面上で障壁プレートに永久的に取り付けることができる。
【0036】
熱交換プレートは、任意の耐食性材料で作ることができ、かつステンレスチール、鉄系合金、ニッケル系合金、チタン、チタン合金、タンタル、タンタル合金、モリブデン系合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、ガラス、石英、黒鉛、強化黒鉛、PEEK、PP、PTFEなどで作ることができる。
【0037】
本発明の一態様によれば、熱交換プレートの各端部に入口および出口を接続することができる。
【0038】
本発明の他の態様によれば、入口または出口は複数のセンサまたは複数の熱電素子を密閉することができる。
【0039】
本発明の一態様によれば、熱交換プレートは、複数の切断流路、複数のくぼみ、複数の流路、または複数の溝を有し、熱交換プレートの両側の入口チューブ、出口チューブ、またはその両方に挿入することができる。入口チューブ、出口チューブ、またはその両方は、例えばコンピュータまたは同様の装置、あるいはその両方で分析される信号を生成する挿入された複数のセンサ、挿入された複数の熱電素子、またはその両方を有する。
【0040】
流動プレート、熱交換プレート、障壁プレート、カバープレート、および端プレートは、同じ材料で作ることもあるいはいくつかの異なる材料で作ることもでき、この材料は、任意の耐食性材料から選択するか、ガラス、セラミクス、黒鉛、強化黒鉛、ポリマー、プラスチックなどで作ることができる。一態様によれば、材料は、ステンレスチール、鉄系合金、ニッケル系合金、チタン、チタン合金、タンタル、タンタル合金、モリブデン系合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、ガラス、石英、黒鉛、強化黒鉛、PEEK、PP、PTFEなど、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0041】
多目的流れモジュール内の材料が金属または合金でできているとき、モジュールの各部分を互いに溶接、ろう付け、または接着するか、あるいはこれらの方法の組み合わせを各部分に対して実施することができる。各部分をろう付けする場合、ろう付け材料は、鉄系ろう付け材料、ニッケル系ろう付け材料、銅系ろう付け材料、または多目的流れモジュール内の材料と同様の、任意の他の適切な材料から選択することができる。
【0042】
多目的流れモジュールは、所望の流体またはプロセスあるいはそれらの組み合わせの適切な特性に対応する様々なプロセス信号を生成するようになっている複数の熱電素子、複数の電極、様々なセンサを用いて調節および/または制御することができる。プロセス信号は、適用されるプロセス、化学反応を自動的に制御することのできる制御信号を生成するか、あるいは流量、温度、気体の放出、注入、圧力、分散など、またはそれらの組み合わせを最適化し、従って、所望のプロセスおよび多目的流れモジュールからの生成物の生成を最適化するコンピュータまたは任意の他の評価手段を用いて評価することができる。
【0043】
流動プレートの出口と入口との間、または熱交換プレートの出口と入口との間のすべての継手は、漏れが生じないようにしっかりと安定する必要がある。この目的を十分に満たすいくつかの異なる種類の継手が市販されている。本発明の一態様によれば、この継手は、2つの半部および2本のネジを有する分割可能なクランプ継手であってもよい。分割可能なクランプ継手の直径および深さは、ライナの外径よりわずかに大きくてよい。クランプは、各分割部の同じ側または各分割部の両側に2本のネジを備えた、2つの同一の半部または2つのミラー半部として作ることができる。継手半部同士の間または各半部と管との間に接触点を形成することができ、このことは、ネジの中心線が密封平面からずれて配置されるために可能になる。本発明の一態様によれば、ネジを保持リング、スパイクのような何らかの保持手段によって、例えばネジ穴を通してクランプ継手半部に取り付けることができる。
【0044】
不混和液体を制御された安全な方法で高速に流路内のプロセス流に導入することによって微細分散液を生成する際、ノズルが適切な構成を有することが重要である。設計ノズルは、分散器または注水器であってもよい。ノズルは、流動プレートの各側面と流路との間の接続ポートのいずれかに取り付けることができ、あるいはノズルは、プロセス流が流路に導入される流路の入口または流路の入口の近くに配置することができる。1つ以上の不混和液相をノズルを通して同時に送ることができる。設計ノズルは、穴直径(D)を有する閉じた端部における単一の穴領域を含む閉じたチューブの形態のマウスピースを有するか、または穴の全面積をノズルの穴の数nで割った値に相当し、好適にはノズルの穴の長さまたは深さ(T)より大きい直径(D)を有する複数の穴が存在する分散器であってよく(
図17を参照されたい)、この比は、穴の長さが穴の直径よりずっと小さくなるように選択することができる(T<<D)。分散器の使用時には、分散器から液滴が噴射され、プロセス流中に液滴の円錐形状が形成される。形成される液滴のサイズは、ノズルのまさに出口での圧力差および主流導管内の圧力によって決まる。穴(T)の長さが長い場合、その点に所望の圧力条件を確立することは非常に困難になる。
【0045】
小形のノズルの場合、長さ(T)および直径(D)は非常に小さく、製造上の制限が生じる。このようなノズルを製造する好ましい方法は例えば、薄板上でエッチング、レーザ穿孔、マイクロドリリングを使用し、次いで薄板をレーザまたは電子線によってチューブに軌道溶接することである。ノズルは液滴を生成することができ、液滴サイズは、流れおよび選択されるノズル直径によって決まる。
【0046】
1つのノズルを通る流量を増やすには、より大きい穴を作るかまたはノズルを貫通する穴を増やすことが可能である。1つの大きい穴ではなく多数の小さい穴を使用することによって、より小さい液滴を形成することが可能である。各穴で確実に同じ圧力条件を有するには、ノズルが軌道溶接されたチューブの主軸に対して各穴を軸対称的に配置することが好ましい。穴のいくつかの列を同心円状に配置することができる。穴のサイズは、同心円の半径に対する流速または穴から出る流体の粘度に応じて選択することができる。ノズルからの材料の噴射は、パルスモードで行うか、連続的に行うか、または特に多目的流れモジュールの使用に適合された間隔で行うことができる。
【0047】
流体をノズルに供給しかつ流体をノズルに対して加圧するポンプを接続することができる。流体は、ノズルから円錐状に噴射することができる。ポンプは、流体をノズルに対して連続的に汲み出すかまたはノズルにパルスモードで送ることができる。パルスは例えば、ポンプの仕事サイクルを制御することによって、あるいはノズルへの供給ライン内の弁によって生成することができる。ポンプは、好適には所与の圧力レベルを維持するように制御される。本発明の一態様によってノズルに流体がパルスモードで供給される場合、ノズルとパルス弁との間の体積が圧力によって変化することがないことが重要である場合がある。弁のデューティサイクル、すなわち開時間は、総期間の100%以下で0%ではなく、以下を見ると分かるように所与の流量を与えるように制御することができる。
【0048】
【表1】
ノズルは、パルスモードまたは非パルスモードの下で動作させることができ、所与の平均流量で流体噴射を生成するのに使用される。
【0049】
利用可能な圧力で十分な流量を与えるようにノズルサイズを選択し、ある液滴サイズを与えるように圧力レベルを設定した。このことは、一定の流量でポンプ圧力を変化させることによって液滴サイズを調整できることを意味する。開いた弁を通じて、すなわち非パルスモードで、設定された流量を与えるようにポンプ速度を調節した。
【0050】
プロセス流体に含まれるかまたはプロセス流体に発生したあらゆる気体を、膜面からガスケットの縁部に至るガスケット内の導管によって流路から排気またはガス抜きすることができる。ガス抜きシステムは、流路の出口、流路の入口、またはその両方に接続することができ、あるいはガス抜きシステムは流動プレートの各側面上の接続部に接続することができる。任意の種類のガス抜きシステムを多目的流れモジュールに接続することができる。
【0051】
圧力解放装置は、任意の数の接続ポートまたは流路入口、流れ部出口に接続するか、あるいは流れ部出口と流れ部入口との間に接続することができる。圧力解放は受動的なものであっても、あるいは能動的なものであってもよい。受動的な圧力解放装置は、破裂箔であってもよいが、任意の適切な受動圧力解放装置を使用してよい。能動的な圧力解放装置は、監視プログラムおよび制御プログラムを備えたコンピュータからのコマンドで動作することのできる焼き入れ材料または物質用の任意の数の注入ユニットであってもよい。他の能動的な圧力解放装置は、やはり監視プログラムおよび制御プログラムを備えたコンピュータからのコマンドで動作することのできる熱交換流体の流量調節装置であってもよい。更に他の能動圧力解放装置は、やはり監視プログラムおよび制御プログラムを備えたコンピュータからのコマンドで動作することのできるプロセス材料または追加材料用の流量調節装置であってもよい。
【0052】
多目的流れモジュールは、柔軟性が重要な特徴である実験を実施する実験室で使用することができる。多目的流れモジュールは、パイロットプラントとして使用するか、フルスケール多目的流れモジュールとして使用するか、またはフルスケール設計流れモジュールとして使用することができる。多目的流れモジュールは、プロセスを構成する反応器、抽出器、分離工具、混合装置などとして使用するか、またはそれらの組み合わせとして使用することができる。
【0053】
以下では原則的に多目的流れモジュールの性能について説明する。流路の構成は、好適には所望のプロセスの目的を満たす柔軟性に富んだ構成である。多くのプロセスでは、混和流体を所望の流量で混合することによって、所望のプレート当たりの圧力降下に相当する一様で小さい微量混合タイムスケールが得られることが好ましい。従って、各流動プレートまたは流れ部の流路はコンパクトな構成を有し、各流路の長さは、流れモジュールの目的に合わせて設計される。流路は、屈曲部または湾曲部の形態の1つ以上の混合区間を有する。本発明の一態様によれば、混合区間は流路の屈曲部または湾曲部での隅部の形態でもよい。混合区間は微量混合区間であってもよい。多目的流れモジュールの構成は良好な熱伝達を可能にし、このことは化学反応の調節、流体の混合、抽出などに好ましい。高熱伝達性能は、利用流体への従来の対流熱伝達と多目的流れモジュールの熱伝導性材料を通した伝導熱伝達との組み合わせによって得られる。流路内の流体の良好な混合および再分散と高い熱伝達率との組み合わせによって、流動媒質の良好な温度制御が可能になる。
【0054】
多目的流れモジュールは、例えば下流に流れ制限装置を組み込むことによって通常の圧力および高圧で動作することができる。流れ最高圧力は、様々なガスケット材料ごとに異なり、多目的流れモジュールの選択される構成および選択される材料に応じて変化することができる。
【0055】
ある所望のプロセス用の多目的流れモジュールを定義する他の特性は、滞留時間分布であり、滞留時間分布は、流量、流体粘度などの範囲のような他の特性によって決まる。
【0056】
非層流は、本発明の多目的流れモジュールの流路では、同様の面積の円形断面を有する円筒管より低い流量で確立される。流路内の流れパターンは、低流量でも高流量でも同様である。これは、円筒管の場合は当てはまらない。本発明の多目的流れモジュールの流路における低流量での大規模またはマクロスケールの混合は、円筒管の場合より大規模であるか、高速であるか、または大規模でかつ高速である。実験室スケール、パイロットスケール、またはフル生産スケールの多目的流れモジュールは、同様の流れ特性を有し、従って、混合メカニズムも同様である。
【0057】
本発明の多目的流れモジュールを動作させるには、モジュールの流路内に、非層流によって確立される栓流を形成する。流路内の材料の流れは、流路の構成によって混合にさらされ、材料の流れ内に大きい渦または小さい渦が形成される。流路の構成をより集約的なものにすると、流体流における乱流がより激しくなる。栓流の原理は、各液滴、粒子、分子などごとに、流れの各部分が「先入れ先出し」されることによる。
【0058】
本発明の一態様による多目的流れモジュールは、抽出、反応、混合、またはそれらの組み合わせに使用することができ、このモジュールを動作させる方法は、材料の第1の流れを1つ以上の入口手段を通して流路に導入するステップと、第1の流れ材料を流路を通して移動させるステップと、任意に、1つ以上の追加材料を1つ以上の他の接続ポートを通して第1の流れ材料に導入するステップと、1つ以上のセンサユニットからの変調信号によって制御されることも制御されないこともある入口分散器、入口弁、出口弁、またはそれらの組み合わせを用いて材料の流れ、流量、滞留時間、またはそれらの組み合わせを調節するステップと、1つ以上の熱電素子を用いて温度を測定するステップと、1枚以上の熱交換プレートからの熱伝達を制御するステップとを有する。
【0059】
本発明の他の態様によれば、多目的流れモジュールにおける抽出、反応、混合、またはそれらの組み合わせの方法は、材料の第1の流れを1つ以上の入口手段を通して流路に導入するステップと、第1の流れ材料を流路を通して移動させるステップと、任意に、1つ以上の追加材料を1つ以上の他の接続ポートを通して材料の第1の流れに導入するステップと、流路内に材料の栓流を形成するステップとを有してもよい。
【0060】
この方法は、流路内の材料の流れが多目的流れモジュールを通る材料の栓流を形成するように調節されるように構成することができる。栓流は混合区間を用いて形成することができる。
【0061】
1つ以上のセンサユニットは、コンピュータまたはデータ処理ユニットに信号を送信することができ、コンピュータまたはデータ処理ユニットは、流れ調節ユニットおよび温度調節ユニットを制御し、流れ調節ユニットおよび温度調節ユニットに情報を送信することができる。
【0062】
多目的流れモジュールは、反応器、抽出器、または混合器として使用するか、あるいは薬剤用のまたは薬剤として使用すべき化学物質または化学製品の製造に使用することができ、あるいは特別に設計された化学製品の製造にこのモジュールを使用することができる。
【0063】
多目的流れモジュールの使用として、実験装置、パイロットプラント装置、またはフルスケールプロセス装置として使用することができる。