特許第5711805号(P5711805)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5711805
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】半導体デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/20 20060101AFI20150416BHJP
   H01L 21/324 20060101ALI20150416BHJP
   H01L 21/76 20060101ALI20150416BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20150416BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   H01L21/20
   H01L21/324 X
   H01L21/76 L
   H01L21/90 K
   H01L21/90 M
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-224437(P2013-224437)
(22)【出願日】2013年10月29日
【審査請求日】2014年6月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591060898
【氏名又は名称】アイメック
【氏名又は名称原語表記】IMEC
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・ブルンコ
(72)【発明者】
【氏名】ヘールト・エネマン
【審査官】 桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−146684(JP,A)
【文献】 米国特許第04819040(US,A)
【文献】 特表2010−508676(JP,A)
【文献】 特開平10−256169(JP,A)
【文献】 特開2014−131028(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/067212(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/101931(WO,A1)
【文献】 V. Destefanis , J.M.Hartmann et al,Selective epitaxial growth of Ge(110) in trenches using the aspect ratio trapping technique,Journal of Crystal Growth,米国,2010年 3月15日,312,p.918-925
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/20
H01L 21/324
H01L 21/76
H01L 21/768
H01L 23/532
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの活性層から欠陥を低減する方法であって、活性層はデバイス中の半導体の一部であり、かつゲルマニウム含有層であり、活性層は少なくとも横方向に分離構造で規定されて、かつ分離構造と接続界面物理的に接続され、分離構造と活性層は共通の実質的に平坦な表面上で隣接し、この方法は、
少なくとも活性層の上にパターニングされた応力誘起層を形成し、応力誘起層は活性層中に応力場を誘起するために形成され、誘起された応力場は活性層中に存在する欠陥に対して剪断応力となる工程と、
パターニングされた応力誘起層と共通の実質的に平坦な表面との間に少なくとも1つの遮蔽層を形成し、遮蔽層はパターニングされた応力誘起層により誘起された応力場の一部を遮蔽するために形成される工程と
少なくとも活性層の上にパターニングされた応力誘起層を形成した後に、アニールを行う工程と、を含み、
これにより接続界面に向かって欠陥を移動させ、
活性層中の応力場は、アニール工程中に、接続界面に向かって活性層中の欠陥を動かす符号および大きさであり、更に、
共通の実質的に平坦な表面からパターニングされた応力誘起層を除去する工程、を含む方法。
【請求項2】
パターニングされた応力誘起層は、SiNを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パターニングされた応力誘起層は、5nmから100nmまでの間の膜厚である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの遮蔽層は、パターニングされない完全な層である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの遮蔽層は、シリコン酸化物を含む請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの遮蔽層は、例えばSiNのような主としてSiとNを含む第1の堆積層と、例えばSiOのような主としてSiとOを含む第2の堆積層とを含む請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
共通の実質的に平坦な表面上にパターニングされた応力誘起層を形成する工程は、パターニングされない応力誘起層を形成する工程と、パターニングされない応力誘起層をエッチングによりパターニングする工程とを含み、遮蔽層または複数の遮蔽層の上層は、パターニングされた応力誘起層をパターニングするエッチに対してエッチストップを提供するために形成される請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの遮蔽層の全膜厚は、5nmから50nmまでの間である請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
パターニングされた応力誘起層は、SiN層を含み、またはSiN層であり、上部遮蔽層はSiOを含み/またはSiOからなり、下部遮蔽層はSiNを含み/またはSiNからなる請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
活性層は、SiGe1−x含有層であり、xは0から0.8までの間である請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
アニール工程は、450℃から1100℃までの間の温度で行われる請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
パターニングされた応力誘起層を形成する工程は、応力誘起層を形成する工程と、応力誘起層をパターニングする工程とを含み、パターニングされた応力誘起層のパターニング工程は、活性層の境界に実質的に平行な境界を有するように、共通の実質的に平坦な表面上に、形状を規定する請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
更に、活性層の上部部分を除去する工程を含む請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体デバイスの製造方法について記載する。特定の形態では、本発明は、例えば欠陥の量を減らし特性を改良したトランジスタデバイスのチャネル層のような、半導体デバイスの活性層の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体材料(例えばSiGeまたはGe)を他の半導体材料(例えばSi)の上に成長するヘテロエピタキシャル成長は、例えば格子定数の不整合により、例えば転位のような欠陥となる。
【0003】
アスペクト比トラッピング(Aspect Ratio Trapping: ART)の技術を用いて行うような、限定された空間での成長は、(例えば、シャロートレンチ分離(STI)に向かうような)限定された空間の端部近傍で成長する欠陥を低減できる。例えば、“Study of the defect elimination mechanism in aspect ratio trapping Ge growth”, Bai, J. et al., Applied Physics Letters, Volume 90, Issue 10, id. 101902 (2007) ”参照。この技術は、例えば活性デバイスや活性デバイス層の中央近傍の転位のような欠陥を低減する解決策にはならない。例えばトランジスタデバイスのチャネル層のような活性デバイス層中の、例えば転位のような欠陥の存在は、特に、高移動度チャネル材料がSiウエハ状に集積された、FiNFETや類似のデバイスで懸念される。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、少なくとも1つの活性層から、例えば転位のような欠陥を低減するための方法を提供するものであり、活性層は、デバイス中の半導体の一部であり、活性層は、少なくとも横方向には分離構造により規定され、接続界面の手段によりそれと物理的に接続され、分離構造と活性層は、共通の実質的に平坦な表面上で隣接する。
【0005】
この目的は、第1の独立請求項の技術的特徴を示す方法を用いた発明により達成される。即ち、
共通の実質的に平坦な表面の上にパターニングされた応力誘起層を形成し、この応力誘起層は活性層中の応力場を誘起するために設けられ、誘起された応力場は、活性層中に存在する、転位のような欠陥に対して剪断応力となり、
共通な実質的に平坦な表面の上にパターニングされた応力誘起層を形成した後に、アニール工程を行い、
これにより、転位のような欠陥が、接続界面に向かって移動するのを誘起し、そして、
共通の実質的に平坦な表面からパターニングされた応力誘起層を除去する。
【0006】
本発明の特徴は、例えば転位のような欠陥が、半導体デバイスの活性層から大きく低減でき、または完全に除去できることである。
【0007】
本発明の更なる特徴は、活性半導体デバイス層の中央領域から欠陥を大きく低減でき、または完全に除去できることである。半導体デバイスの活性デバイス層は、1つの電極から他の電極に、電荷キャリアが流れる層であり、この流れは、本質的にダイオードのように制御され、または電界効果トランジスタのソースとドレインのように明確に制御され、これにより電荷の流れがゲートにより制御される。活性層または層のスタックは、半導体材料のような電気的に制御可能な材料を含み、ダイオード特性のような電気的機能を提供し、またはその電気伝導性がゲートのような制御電極で変調することができる。
【0008】
本発明の目的のために、転位は、結晶構造中の、結晶学的線欠陥、または不規則である。本発明の更に詳細な記載は、例えば、Derek HullとD.J.Baconによる書籍“Introduction to Dislocations”から得られる。
【0009】
実際に必要とされる応力は、デバイスの大きさ、材料、およびアニール温度に依存すると考えられる。好ましい具体例では、パターニングされた応力誘起層中の内部応力は100MPaから5GPaまでの間である。圧縮応力と引張り応力の双方が用いられる。
【0010】
本発明の好適な具体例では、活性デバイス層は、ゲルマニウム層であり、またはゲルマニウムを含む。それはSiGe層でも良い。好適な具体例では、活性層はSiGe1−xであり、またはこれを含み、xは0から0.8までの間、または0から0.7までの間、または0から0.6までの間、または0から0.5までの青だ、または0から0.4までの間、または0から0.3までの間、または0から0.2までの間である。
【0011】
代わりの具体例では、活性デバイス層は、シリコン層であり、またはシリコンを含んでも良い。代わりの具体例では、活性デバイス層は、GeSn合金、GaN、GaAs、InAs、InSb、InPのようなIII−V材料、3元系または4元系のIII−V化合物であり、またはこれを含む。
【0012】
本発明の好適な具体例では、パターニングされた応力誘起層はSiNを含む。本発明の具体例では、パターニングされた応力誘起層は、SiN、TiN、W、SiO、HfO、Alのいずれかの組み合わせ、およびハフニウムシリケイトおよび/またはハフニウムアルミナイトのような混合酸化物を含む。
【0013】
本発明の好適な具体例では、パターニングされた応力誘起層の厚さは、5nmから100nmまでの間であり、更に好適には10nmから30nmまでの間である。
【0014】
好適な具体例では、本方法は更に、パターニングされた応力誘起層と、共通の実質的に平坦な表面との間に、少なくとも1つの遮蔽層を形成する工程を含んでも良く、この遮蔽層は、パターニングされた応力誘起層により誘起される応力場の一部を遮蔽して、活性層中の応力場は、アニール工程中に活性層中を接合界面に向かって(例えば転位のような)欠陥が移動するのに貢献する符号および大きさとなる。1つ、2つ、または複数の遮蔽層が形成されても良い。
【0015】
少なくとも1つの遮蔽層を用いることにより、活性層中に、パターニングされた応力誘起層により誘起される応力場は、例えばその方向および/または均一性が、より制御される。
【0016】
少なくとも1つの遮蔽層と応力誘起層とを適切に選択することにより、所定の活性デバイス層に対して、活性領域の関係部分で実質的に単一方向性の剪断応力場を、所定の具体例では実質的に均一に、形成することが可能である。
【0017】
好適な具体例では、少なくとも1つの遮蔽層は、パターニングされない完全な層である。少なくとも1つの遮蔽層は、好適には、下層の基板の表面全体を覆っても良い。
【0018】
1またはそれ以上のパターニングされた遮蔽層と比較した場合に、そのような層は改良された性能を提供することが分かる。
【0019】
好適な具体例では、少なくとも1つの遮蔽層は、シリコン酸化物を含む。シリコン酸化物層は、CVDまたはALDタイプのプロセスにより堆積できる。シリコン酸化物は、更に、ヤング率や剛性率のような酸化物の機械的特性に影響を与える、1またはそれ以上の他の元素を含んでも良く、これは、酸化物の最適膜厚に影響する。それらの他の元素は、例えば、C、H、N、Fの1またはそれ以上を含んでも良い。
【0020】
好適な具体例では、遮蔽層は、例えばSiNのように、主にSiとNを含む第1堆積層と、例えばSiOのように、主にSiとOを含む第2堆積層を含んでも良い。
【0021】
好適な具体例では、共通の実質的に平坦な表面の上にパターニングされた応力誘起層を形成する工程は、パターニングされていない応力誘起層を形成する工程と、パターニングされていない応力誘起層をエッチングでパターニングする工程とを含み、遮蔽層または複数の遮蔽層の上層が、パターニングされた応力誘起層のパターニングエッチのためのエッチストップ層として働くように適用されても良い。
【0022】
好適な具体例では、1またはそれ以上の(複数の)遮蔽層の組み合わせた全膜厚は、5nmから50nmまでの間である。
【0023】
この範囲内にある膜厚は、最高の性能を示すことが示される。しかしながら、他の膜厚を排除するものではない。
【0024】
好適な具体例では、パターニングされた応力誘起層は窒化物層を含み/であり、上部遮蔽層はSiOを含み/からなり、下部遮蔽層はSiNを含む/からなる。
【0025】
本発明の目的のために、SiN層またはSiN応力誘起層について述べた場合、それらの層は主にシリコンと窒素を含む。シリコン窒化物は、おおよそSiの化学量論であっても良いが、これは異なってもよい。それらの層は、更に、例えばC、H、Oのような不純物元素を含んでも良く、これは一般には工業的に標準の化学気相堆積技術により堆積された膜の場合である。
【0026】
好適な具体例では、アニール工程は、450℃から1100℃までの間の温度で行われる。好適な具体例では、アニール工程は、500℃から650℃までの間の温度で行われる。
【0027】
好適な具体例では、アニール工程の時間が、おおよそ例えば転位のような欠陥が接合界面に移動するのに十分な時間を有するように選択される。この時間は、1またそれ以上のミリ秒から、例えば6時間のような数時間までである。一般には比較的低い温度では、比較的長い時間が必要となる。この時間は、活性層の寸法、および典型的な欠陥または転位の移動速度の関数である。
【0028】
好適な具体例では、この方法は更に、リン酸を含む水溶液中でSiNのパターニングされた応力誘起層を除去する工程と、フッ化水素酸を含む水溶液中で上部遮蔽層を除去する工程と、リン酸を含む水溶液中でSiNの下部遮蔽層を除去する工程とを含む。特別な具体例では、2つの遮蔽層(SiO/SiN)が、SiNのパターニングされた応力誘起層と組み合わされる。上部遮蔽層(SiO)は、SiNのパターニングされた応力誘起層のエッチストップとして形成される。
【0029】
下部遮蔽層(SiN)は、上部遮蔽層SiOのエッチストップとして形成され、その下の分離酸化物を保護する。最後にSiN下部遮蔽層が、熱いリン酸中で、短時間エッチングで除去される。
【0030】
好適な具体例では、分離構造はSiNを含む。分離構造は、例えばシャロートレンチ分離構造(STI構造)を含み、またはからなる。STI構造は、シリコン酸化物を含む、またはからなる。
【0031】
好適な具体例では、共通の平坦な表面は、化学機械研磨により準備される。
【0032】
好適な具体例では、パターニングされた応力誘起層を形成する工程は、応力誘起層を形成する工程と、応力誘起層をパターニングする工程とを含み、パターニングされた応力誘起層のパターニング工程は、活性層の境界に実質的に平行な境界を有する、共通の実質的に平坦な表面の特徴を規定する。
【0033】
それらの実質的に平行な境界は、活性層の境界から、例えば30nmより小さい距離以内のような、近い距離にある。
【0034】
他の観点では、共通の実質的に平坦な表面上のパターニングされた応力誘起層の突起部は、活性層の境界に対して少なくとも部分的に平行に、または実質的に平行な境界を規定し、この実質的に平行な境界は、活性層の境界から、30nmより小さい距離の範囲内のような、近い距離に配置される。突起部は、好適には、共通の主面に対して垂直な突起部である。突起部は、下層の基板の主面に対して垂直な突起部でも良い。
【0035】
パターニングされた応力誘起層は、複数の応力誘起構造を形成しても良い。それらの構造のいくつかは、他の応力誘起構造と接続される。接続された応力誘起構造にとって、それらのそれぞれの応力場は依存することが理解される。それらの構造のいくつかは、他の応力誘起構造とは接続されない。パターニングされた応力誘起層は、複数の接続されない構造を形成しても良い。接続されない応力誘起構造にとって、それぞれの応力場は実質的に独立であることが理解される。
【0036】
有利なことには、応力誘起層、またはそれぞれの応力誘起構造は、活性デバイス層の境界に近い位置に形成され、最良の効果を与える。好適な具体例では、応力誘起層、または応力誘起構造は、その境界が、活性デバイス層の境界に平行になる突起物の境界を形成する。活性デバイス層は、トランジスタデバイスのチャネル層でも良いことが理解される。トランジスタデバイスは、プレーナータイプまたは非プレーナータイプでも良い。非プレーナータイプのトランジスタデバイスは、例えばFINFETタイプ、または当業者に知られた類似のタイプのトランジスタで良い。それは、一般には、細長い形状を有する。共通の主面上、または仮想の基板に主面上の、活性デバイス層の突出した境界は、例えば矩形、角が丸い矩形、楕円形、または当業者に適切として知られている他の形状を有する。
【0037】
パターニングされた応力誘起層の突出した境界は、活性デバイス層のそれぞれの境界に対して実質的に平行、または少なくとも部分的に実質的に平行でも良く、例えばチャネル層長さのような活性デバイス層長さに対応する長さを有する複数の平行部分を含んでも良い。
【0038】
好適な具体例では、パターニングされた応力誘起層の隣接する突出した実質的に平行な境界は、異なる隣接した隣のチャネル層から30nmより小さい距離の範囲内に配置される。
【0039】
これは、以下で説明するような、アライメントの要求が比較的に緩和されるという長所を提供する。隣接するチャネル領域(例えば活性デバイス層)は、細長い突起部で実質的に矩形の形状を有し、長さ方向に沿ったいくつかのまたは異なるチャネル領域の境界は平行であると考えても良い。1つの応力誘起構造(例えば突起部が矩形)が提供され、異なる隣接したチャネル領域の長さ方向の境界上で機能しても良い。パターニングされた応力誘起層の隣接する突出した実質的に平行な境界は、異なる隣接した隣のチャネル層から、例えば30nmより小さい距離の範囲内のような、近い距離内に配置される一方、1つの応力誘起構造はそれ自身、隣接するチャネル領域の少なくとも1つを超えて延びても良い。応力誘起構造は、このように、2つの隣接する活性チャネル領域の間に距離と等しいか、またはより大きな幅を有しても良い。応力誘起構造は、2つの隣接するチャネル領域の幅とその間の距離(即ち、2つの隣接したチャネル領域の間の距離)を組み合わせた幅より大きな幅を有しても良い。チャネル領域の境界、および応力誘起層/応力誘起構造の境界から、例えば30nmより小さい範囲内に配置するという要求のような、「近さ」の要求は、それぞれの境界に独立して与えられる。更に、この範囲内での偏差は、本発明の形態にかかる方法の効果に実質的に影響しない。
【0040】
好適な具体例では、パターニングされた応力誘起層は、例えばSTI構造のような分離構造の上全体に形成される。好適な具体例では、パターニングされた応力誘起層は、活性領域の上に少なくとも部分的に、例えば活性領域と少なくとも部分的に重なるように形成される。
【0041】
好適な具体例では、応力誘起構造は、少なくとも2つの隣接する活性層の上に延びる。
【0042】
本発明の更なる具体例では、先の具体例のいくつかにかかる方法が、更に、
共通の実質的に平坦な表面上にパターニングされた応力誘起層を形成し、この応力誘起層は活性層の上で応力を誘起するために適用され、誘起された応力は、活性層の中に存在する例えば転位のような欠陥に対して剪断応力となる工程と、
アニールを行う工程と、
共通の平坦な表面からパターニングされた応力誘起層を除去する工程と、の1またはそれ以上の反復を含む。
【0043】
好適な具体例では、それぞれのパターニングされた応力誘起層は、異なる予めパターニングされたパターンを含み、連続する応力誘起層により誘起された応力の組み合わせは、例えば転位のような欠陥を、接続界面に向かって移動させる。
【0044】
好適な具体例では、この方法は、更に、パターニングされた応力誘起層と(該当する場合は)任意的に遮蔽層を除去する最後の反復の後に、CMPプロセスを行う工程を含んでも良い。
【0045】
好適な具体例では、この方法は、更に、パターニングされた応力誘起層の除去後、またはそのそれぞれの反復時に、CMPプロセスを行う工程を含んでも良い。
【0046】
好適な具体例では、それらの方法は、更に、活性層の上部部分を除去する工程を含んでも良い。これは、例えば、過剰に高い応力や、間違った方向に適用された応力により、活性層の上部部分に残った欠陥が、効果的に除去できるという長所を提供する。このように、残った、活性層の高い結晶品質の部分が、デバイスの作製のために得られる。
【0047】
本発明の目的のために、いつ範囲が決定されても、閉じられた、開かれた、および2つの半開きの形態中のそれらの範囲を開示することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本発明は、更に、以下の記載や添付された図面の手段により説明される。
【0049】
図1】標準的なシャロートレンチ分離モジュールのプロセス後のウエハを示す
図2】本発明の第1の具体例を示す。
図3】本発明の更なる具体例を示す。
図4】本発明の更なる具体例を示す。
図5】本発明の具体例を支持するシミュレーション結果を示す。
図6】本発明の具体例を支持するシミュレーション結果を示す。
図7】本発明の具体例を支持するシミュレーション結果を示す。
図8】本発明の具体例を支持するシミュレーション結果を示す。
図9】本発明の具体例を支持するシミュレーション結果を示す。
図10】本発明にかかる具体例を示す。
図11】本発明にかかる具体例を示す。
図12】本発明にかかる具体例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明は、特定の具体例に関して、所定の図面を参照して記載されるが、これらに限定されるものではなく、請求の範囲によってのみ限定される。記載された図面は、単に模式的であり、限定的ではない。図面において、いくつかの要素の大きさは、図示目的で拡大され、縮尺通りには記載されていない。寸法と相対寸法は、発明の実施の実際の縮小に対応する必要はない。
【0051】
更に、説明や請求の範囲中の第1、第2、第3等の用語は、類似の要素間で区別するために使用され、順番の、または年代順の順序を記載する必要はない。用語は、適当な状況で交換可能であり、発明の具体例は、ここに記載されまたは図示されたものとは他の順序で動作可能である。
【0052】
更に、説明や請求の範囲中の上、下、上に、下に等の用語は説明目的に使用され、相対的な位置を記載する必要はない。そのように使用された用語は適当な状況下で交換可能であり、ここに記載された発明は、ここに記載や図示されたものとは異なる位置で動作可能である。
【0053】
更に、「好ましい」と言及された様々な具体例は、本発明の範囲を限定するよりも、むしろ本発明が実施可能な例示の手段として解釈される。
【0054】
請求の範囲で使用される「含む(comprising)」の用語は、それ以降に列挙される手段に限定して解釈すべきではなく、他の要素や工程を排除しない。このように、言及された特徴、数字、工程、または成分は、その通りに解釈され、1またはそれ以上の他の特徴、数字、工程、または成分、またはこれらの組み合わせの存在または追加を排除してはならない。このように、「手段AおよびBを含むデバイス」の表現の範囲は、構成要素AとBのみを含むデバイスに限定されるべきではなく、寧ろ本発明に関しては、以下に列挙されるデバイスの構成要素が単にAとBであり、更に、請求の範囲は、それらの構成要素の均等物を含むものと解釈されるべきである。
【0055】
図1は、標準的なシャロートレンチ分離フロー後の、模式的なウエハ断面を示す。これは、例えばシリコン基板のようなベース基板1、例えばシリコン酸化物層のようなベース基板1の第1主表面上に形成された誘電体層2、およびベース基板に接続された誘電体層中の活性ライン3のセットを含む。活性ラインは、誘電体層2の部分の手段により、互いに電気的に分離されている。プロセスフローのこの点において、活性ライン3は、一般にはベース基板と同じ材料からなり、これは一般にはSiである。
【0056】
図2は、本発明の具体例にかかるプロセスフローを開示する。図1の活性ライン3は、例えばトレンチのシリコンをエッチングすることにより、窪みが形成される。次に、ゲルマニウムまたはシリコンゲルマニウムの選択エピタキシャル成長がトレンチ中で行われ、活性デバイス領域30の、層または構造を形成する。任意的に、アニール工程が行われても良い。例えばCMP(化学機械研磨)工程のような平坦化工程が行われ、トレンチ開口部の上のSiGe(またはGe)の過剰成長を除去し、および平坦な表面23を形成し、この表面23は、活性デバイス層または活性層のための共通の実質的に平坦な表面として見られる。例示目的で、1つの貫通転位線31が、活性デバイス領域30毎に示される。
【0057】
次に、応力誘起層4が共通の平坦な表面23の上に形成される。例えば応力のかかったSiN層または膜を堆積させても良い。次に、応力のかかったSiN層が、標準的なリソグラフィやエッチング技術を用いてパターニングされる。
【0058】
次に、活性領域または層30と分離構造2との間で、界面32に向かって貫通転位31が移動するのに十分な温度で、アニール工程が行われる。しかしながら、アニール温度は、パターニングされた応力誘起層が過度に緩和されるように高くすべきではない。一般的なアニール温度は、450℃から1100℃までの間であり、構造の形状や活性ラインの組成に依存する。次に、パターニングされた応力誘起層が、例えばSiN応力膜に対しては熱いリン酸を用いたエッチング手段により、除去または剥離される。任意的に、CMPプロセスのような平坦化工程が行われ、挿入された工程からの形状やダメージを除去しても良い。次に、標準的な後処理工程(downstream processing)が行われても良い。
【0059】
図3では、更なる具体例が記載され、ここでは、単一の遮蔽層5は、応力誘起層4と共通の実質的に平坦な表面23との間に形成される。遮蔽層は、例えばシリコン酸化物またはシリコン窒化物でも良く、これらを含んでも良い。
【0060】
図4では、更なる具体例が記載され、ここでは、例えば2つの遮蔽層51、52のような複数の遮蔽層が、応力誘起層4と共通の標準的な平坦な平面23との間に形成される。
【0061】
図5では、例えば図4に対応する、応力誘起層4により誘起された剪断応力場の性質を示すシミュレーション結果が記載される。ここでは、シリコン酸化物誘電体層2中のゲルマニウム活性層30が、シリコン窒化物からなる20nm膜厚の応力誘起層により、2Paの内部応力で応力誘起される。第1遮蔽層51はシリコン窒化物を含み、10nmの膜厚を有する。第2遮蔽層52はシリコン酸化物を含み、同じく10nmの膜厚を有する。
【0062】
遮蔽層が応力場の一部を遮蔽して、活性層3中の補充部分は、大きく一定の符号(この場合は負)の剪断応力状態となる。与えられた剪断応力の符号により、転位が移動する方向が決定されるため、活性層の深さ方向に実質的に一定の符号を有することは、活性ラインの深さに沿って同じ方向(左または右のいずれか、転位のバーガーズベクトルに依存する)に転位が一貫して移動することを確実にする。
【0063】
応力誘起層4の下の遮蔽層51、52(例えばSiO、SiN)はパターニングされず、剪断応力の上部の符号をより良好に「取り入れ(absorb)」、活性層中の剪断応力について、単一の符号のみを許容する。活性層は、例えばFINFETデバイスに対しては、トランジスタデバイスのフィンでも良い。
【0064】
好適な具体例では、遮蔽層の総膜厚は約20nmであり、これで十分と思われるが、20nmより厚くても、または薄くても良い。図6は、遮蔽窒化物が5nmまで薄くされて、遮蔽層の総膜厚が15nmであることを除き、図5と同じ条件である。応力誘起層の前に、シリコン窒化物を含む第1の遮蔽層51を堆積し、次に、シリコン酸化物を含む第2の遮蔽層52を堆積することにより、シリコン酸化物が応力誘起層の除去のためのエッチストップになり、シリコン窒化物が例えばSTIのような誘電体層を保護しながら、遮蔽酸化物の除去のためのエッチストップになる。
【0065】
図7は、10nmの遮蔽酸化物と10nmの遮蔽窒化物が無い以外は、図5と同じ条件でのシミュレーション結果を示す。ここで、例えばチャネル層30のような活性層中で、大きな値の正および負の剪断応力が見られる。遮蔽層の除去により、活性層のより深い、低い部分で剪断応力が誘起されるようになり、活性層の上部または上方部分での剪断応力の方向は、ラインの残部における方向とは異なる。本発明の所定の具体例では、方法は、更に、活性層のこの上部を除去する工程を含んでも良い。この部分は、エッチングまたは研磨(例えばCMP)により除去できる。
【0066】
任意的に、活性層の上部部分は異なる材料で置き換えても良く、即ち、下部部分の上に新しい上部部分が形成されても良い。異なる材料は、例えば、高い電子移動度および/またはホール移動度を有する高移動度のチャネル材料を含む。除去は、例えば、応力誘起層の除去後、またはもし存在するのであれば遮蔽層の除去後に行われる。
【0067】
好適には、パターニングされた遮蔽層5、51、52を有する応力誘起層4のマスクの境界が、活性層の上(例えばフィンの上)に形成されるが、例えばフォトリソグラフィ描画エラー(photolithography registration errors)による、小さなずれによっては実質的に影響されないことが特徴である。応力誘起層4のそれぞれの境界の、界面32とのアライメントは、図8では図5に比較して10nm右にずれている。
【0068】
条件は、図5と同じである。フォトリソグラフィ描画の10nmのずれにも関わらず、Ge活性層中の応力場は同じである。
【0069】
図9は、更に、単一のパターニングされない遮蔽層を用いた具体例のシミュレーション結果を示し、ここでは、遮蔽層がパターニングされないシリコン酸化物である。ここでは、単一の20nmSiOの遮蔽層を用いる以外は、図5で用いられたのと同じ条件である。再度、Ge層中の剪断応力の大きさは、図5の大きさと同じである。
【0070】
図10図11、および図12では、本発明の異なる具体例が記載され、ここでは、応力誘起層4と、活性層または活性領域30との、異なる相対配向(relative orientation)と寸法が考慮される。図10では、剪断応力が活性層30中で最大となり、これにより応力誘起層(又は層構造)4が2つの隣接する活性層または領域30と部分的に重なる。応力誘起層4の境界は、これにより、例えばそれぞれの活性層3の中央に配置される。
【0071】
図11では、応力誘起層(または層構造)4は、2つの隣接する活性層または領域30と完全に重なる。そのような重なりは、活性層3に対して非対称である。
【0072】
図12は、更なる具体例が記載され、ここでは、応力誘起層4が、活性層の間にのみ形成され、即ち、分離または誘電体層の上にのみ形成される。
【0073】
図10図11、および図12に記載された具体例と他の具体例との共通点は、リソグラフィ、集積、および転位の低減の制限の最適化の問題である。
【0074】
当業者は、予め決められたプロセスで、適当な時間のアニール工程を行えることが理解されるであろう。これは、例えば、活性層の材料および寸法、使用される材料系、誘起される剪断応力の大きさ、およびアニールの温度に基づく。
【0075】
背景の情報は、例えば、J.R.PatelとP.E.Freelandの、“Velocities of Individual Dislocations in Germanium”, Journal of Applied Physics, 42, 3298-3303 (1971) (“PATEL”)に記載されている。
【0076】
表1は、「PETEL」のモデルとデータに基づいた。500℃と580℃の温度での、ゲルマニウム中の転位速度計算を示す。ここでは、v=v(tau/tauが使用される。式において、vは転位速度、tauは消滅した応力場、v、tau、およびmは、フィッティングパラメータである。V、tau、およびmの値は、温度および材料に依存する。例えば、500℃において、ゲルマニウムに対する約1.5MPaの剪断応力で、1nm/sの転位移動速度が達成される。同じ材料系で、580℃の温度では、同じ1nm/sの転位移動速度が、50kPaの剪断応力のみで達成できる。
【0077】
【表1】
【要約】      (修正有)
【課題】半導体デバイスの活性層から欠陥を低減する方法を提供する。
【解決手段】活性層はデバイス中の半導体の一部であり、活性層は少なくとも横方向に分離構造で規定されて、これと接続界面の手段により物理的に接続され、分離構造と活性層は共通の実質的に平坦な表面上で隣接し、共通の実質的に平坦な表面上にパターニングされた応力誘起層4を形成し、応力誘起層4は活性層中に応力場を誘起するために形成され、誘起された応力場は、活性層中に存在する欠陥に対して剪断応力となり、アニール工程を行いこれにより接続界面に向かって欠陥を移動させ、共通の実質的に平坦な表面23からパターニングされた応力誘起層4を除去する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12