特許第5711822号(P5711822)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5711822ラビウイルス科ウイルスの治療薬の調製におけるキナゾリン系化合物の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5711822
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】ラビウイルス科ウイルスの治療薬の調製におけるキナゾリン系化合物の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/517 20060101AFI20150416BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20150416BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20150416BHJP
   C07D 239/95 20060101ALI20150416BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   A61K31/517
   A61P31/14
   A61P1/16
   C07D239/95
   C07D401/12
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-542355(P2013-542355)
(86)(22)【出願日】2011年12月2日
(65)【公表番号】特表2014-502277(P2014-502277A)
(43)【公表日】2014年1月30日
(86)【国際出願番号】CN2011083357
(87)【国際公開番号】WO2012075908
(87)【国際公開日】20120614
【審査請求日】2013年6月7日
(31)【優先権主張番号】201010581618.3
(32)【優先日】2010年12月9日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512148861
【氏名又は名称】シャンハイ インスティチュート オブ マテリア メディカ,チャイニーズ アカデミー オブ サイエンシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】ツオ チアンピン
(72)【発明者】
【氏名】フ ユホン
(72)【発明者】
【氏名】タン ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チャオ ボ
(72)【発明者】
【氏名】トン シャンクン
(72)【発明者】
【氏名】リ デウェン
(72)【発明者】
【氏名】チ フェイホン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ ペイラン
【審査官】 磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−229950(JP,A)
【文献】 特表2000−514806(JP,A)
【文献】 特表2008−504292(JP,A)
【文献】 特表2008−543888(JP,A)
【文献】 特表2009−511459(JP,A)
【文献】 特表2009−523163(JP,A)
【文献】 国際公開第2000/004901(WO,A1)
【文献】 国際公開第1994/018980(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/147962(WO,A1)
【文献】 Indian Journal of Pharmaceutical Sciences,1995年 7月,Vol.57, No.4,pp.148-150
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry,1990年,Vol.33, No.1,pp.434-444
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry,2009年 9月 9日,Vol.52, No.24,pp.7911-7926
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry,2012年 3月26日,Vol.55,pp.3135-3143
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラビウイルス科ウイルスに対する治療薬の調製における、一般式(I)
【化1】
(式中、
R1は、水素、未置換又は置換された炭素数1〜10のアルキル基、未置換又は置換された炭素数3〜10のシクロアルキル基、トリフルオロメチル基、未置換又は置換されたフェニル基、未置換又は置換された複素環基、或いは、未置換又は置換された縮合環基であり、
前記置換における置換基は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、炭素数6〜10のアリール基、フェノール基、アミノ基、炭素数1〜10の炭化水素基で置換されたアミン基、複素環基及びトリフルオロメチル基からなる群より選択され、
前記複素環基は、3〜7員環の単環又は8〜10員環の二環であり、N、O及びSからなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子を含むことができる)
で表されるキナゾリン系化合物、又は生理的に許容されるその塩の使用。
【請求項2】
前記式(I)のキナゾリン系化合物中、R1は、未置換又は置換された炭素数1〜10のアルキル基、未置換又は置換された炭素数3〜10のシクロアルキル基、トリフルオロメチル基、或いは、未置換又は置換されたフェニル基であり、
前記置換に用いられる置換基は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、炭素数6〜10のアリール基、フェノール基、アミノ基、炭素数1〜10の炭化水素基で置換されたアミン基、複素環基及びトリフルオロメチル基からなる群より選択され、
前記複素環基は、3〜7員環の単環又は8〜10員環の二環であり、N、O及びSからなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子を含むことができる、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記式(I)のキナゾリン系化合物は、
【化2】
からなる群より選択される、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記フラビウイルス科ウイルスは、デング熱ウイルス及びC型肝炎ウイルスからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
治療有効量の請求項1〜3のいずれか1項に記載の式Iのキナゾリン系化合物又は生理的に許容されるその塩と薬学的に許容される担体とを含む、抗フラビウイルス科ウイルス活性を有する、医薬組成物。
【請求項6】
前記フラビウイルス科ウイルは、デング熱ウイルス及びC型肝炎ウイルスからなる群より選択される、請求項5に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物学分野に属するものであって、2,4−ジアミノキナゾリンを骨格とする化合物の医用用途に関し、具体的に、ラビウイルス科ウイルスによる疾患の治療薬における2,4−ジアミノキナゾリン系化合物の使用、特に、C型肝炎ウイルス及びデング熱ウイルスの抵抗における2,4−ジアミノキナゾリン系化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスが最も小さい病原微生物であり、ウイルスによる感染性疾患は、人類健康を脅かす重大な疾患の一つとなっており、高い発病率、速い伝播速度、広い流行性と大きい変異性等の特徴を有する。ラビウイルス科(Flaviviridae)は、フラビウイルス属(flavivirus)、ペスチウイルス属(pestivirus)、C型肝炎ウイルス属(hepacivirus)といった三つのウイルス属を含み、合計60種類以上のウイルスを含む。
【0003】
デング熱ウイルス(dengue fever virus,DV)がラビウイルス科、フラビウイルス属のプラス鎖RNAウイルスに属し、四つの血清型がある。蚊を媒介として伝播するデング熱(Classical dengue fever,DF)及びデング出血熱/デング熱ショック症候群(dengue henorrhagic fever/Dengue Shock Syndrome,DHF/DSS)は急性伝染病であり、その病原体が人体に多種の疾患を誘発させることができ、重症患者が死亡する可能性もある。この疾患が広く分布しており、近年、DF病例が速く増やしているので、この致死性伝染病が三分の一の世界人口の健康安全を脅かしている。目前、該疾患が東南アジア、太平洋島嶼、カリブ海及び中南米等の地域の重要な公共衛生問題となっている。
【0004】
現在、世界でデング熱を予防できる有効的なワクチンが無く、デング熱を治療できる抗ウイルス特効薬も無い。DVによる発病の特殊性、即ちDV感染の抗体依存性感染増強及びウイルスの進化変異活躍等の問題により、多年にわたってDVワクチンの開発の方面で突破口を開くことができない。
【0005】
C型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus,HCV)がラビウイルス科、肝炎ウイルス属に属し、一本鎖プラス鎖RNAウイルスであり、ウイルス粒子が球形を呈している。1989年にC型肝炎ウイルスは非A非B型輸血肝炎の病原体HCVであると確認され、該ウイルスが多種の臨床症状を誘発することができ、その中、大部分の症状が良性又は次急性の症状である。従って、多くの患者は、C型肝炎ウイルスを感染してから10〜30年後、だんだん慢性肝損傷の症状が見られるようになってきた。
【0006】
適当な実験体系及び動物モデルが欠乏するのは、相関薬物の開発を妨げる阻害の原因となっている。従って、現在、すべての亜型のC型肝炎ウイルスに用いられるワクチン又は治療方法がない。
【0007】
この場合、低毒性、有効及び安価等の特性を有する抗ラビウイルス科ウイルスの治療薬、特にデング熱ウイルスとC型肝炎ウイルスに対する治療薬を開発することは、重要となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、2,4−ジアミノキナゾリン系化合物が抗デング熱ウイルスの活性及び抗C型肝炎ウイルスの活性を有することが見出した。
【0009】
従って、本発明は、ラビウイルス科ウイルスの感染による疾患の治療薬の調製における、2,4−ジアミノキナゾリン系化合物の使用を提供することを目的とする。
【0010】
ビウイルス科ウイルスによる疾患を治療する医薬組成物、特にデング熱ウイルス及びC型肝炎ウイルスを治療する医薬組成物を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願の上記目的を達成するために、本発明の一つの様態によれば、本発明は、抗フラビウイルス科ウイルス、特に抗C型肝炎ウイルスと抗デング熱ウイルスの治療薬の製造における、下記一般式(I)で表されるキナゾリン系化合物又は生理的に許容される塩の使用を提供し、
【化1】
その中、
R1は、水素、未置換又は置換された炭素数1〜10のアルキル基、未置換又は置換された炭素数3〜10のシクロアルキル基、トリフルオロメチル基、未置換又は置換されたフェニル基、未置換又は置換された複素環基、或いは、未置換又は置換された縮合環基であり、
前記置換に用いられる置換基は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、炭素数6〜10のアリール基、フェノール基、アミノ基、炭素数1〜10の炭化水素基で置換されたアミン基、複素環基及びトリフルオロメチル基からなる群より選択される一種であり、
前記複素環基は、3〜7員環の単環又は8〜10員環の多環であり、N、O及びSからなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子を含む。
【0012】
本発明におけるキナゾリン系化合物は、下記式
【0013】
【表1】
で表される化合物からなる群より選択されるものであることが好ましい。
【0014】
本発明におけるキナゾリン系化合物は、下記のような合成方法で
【化2】
合成することができ、
その中、R1は上記の通りであって、
上記合成方法は、
求核置換反応で一般式(II)で表される化合物に、相応的な置換基であるアルコキシ基を導入し、一般式(III)で表される化合物が得られるステップ1と、
加温条件で一般式(III)で表される化合物とグアニジンを閉環反応させ、一般式(I)で表される化合物が得られるステップ2と、
を含む。
【0015】
上記ステップ1において、求核置換反応で一般式(II)で表される化合物に相応的な置換基であるアルコキシ基を導入する反応条件は、当業者の通常の選択である。一般的に、求核置換反応がアルカリ性又は中性条件で行われる。反応に用いられるアルカリは、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム及びトリエチルアミン等の当業者が公知されたアルカリであってもよい。
【0016】
上記ステップ2において、加温条件で一般式(III)で表される化合物とグアニジンを閉環反応させる条件は、当業者の通常の選択である。一般的に、該反応は、アルカリ性又は中性条件で加温して行われる。反応に用いられるアルカリは、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム及びトリエチルアミン等の当業者に公知のアルカリであってよい。加温条件は、当業者に公知の条件であって、例えば120〜180℃に加熱してもよく、またはマイクロ波で加熱してもよい。
【0017】
本発明におけるキナゾリン系化合物は、生理的に許容される塩を含み、キナゾリン系化合物の生理的に許容される塩が、当該化合物を相応的な酸の飽和アルコール溶液に溶かせて反応させることで調製されることができ。例えば、本発明のキナゾリン系化合物を塩酸の飽和メタノール溶液に溶かせ、室温で3時間攪拌し、溶媒を蒸発して、相応的な塩酸塩が得られる。
【0018】
本発明の他の様態によれば、本発明は、抗フラビウイルスの医薬組成物、特にデング熱ウイルス及びC型肝炎ウイルスを治療するための、治療有効量の一般式(I)で表されるキナゾリン系化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供している。
【0019】
薬学的に許容される担体とは、薬学領域の通常の薬学担体を指し、例えば水等の希釈剤、澱粉、蔗糖等の充填剤、セルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン等の結合剤、グリセリン等の湿潤剤、寒天、炭酸カルシウムと炭酸水素ナトリウム等の崩壊剤、第4アンモニウム化合物等の吸収促進剤、パルミチルアルコール等の界面活性剤、カオリンとベントナイト等の吸着担体、滑石粉、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール等の潤滑剤が挙げられる。また、組成物に芳香剤、甘味剤等の他の補助添加剤を添加しても良い。
【0020】
本発明におけるキナゾリン系化合物は、組成物として経口投与、腸管内投与又は腸管外投与等の方式で治療必要の患者に投与されてよい。経口投与の場合に、該化合物が、例えば、錠剤、粉末製剤、粒剤、カプセル等の通常の固体製剤、水懸濁剤又は油懸濁剤等の液体製剤、或いは、シロップ剤等の他の液体製剤に製造されてよい。腸管外投与の場合に、該化合物が、注射用の溶液、水懸濁剤又は油懸濁剤に製造されてよい。
【0021】
細胞モデルでフラビウイルス科ウイルス(デング熱ウイルス及びC型肝炎ウイルス)の活性の抑制実験を行う結果、本発明におけるキナゾリン系化合物又は生理的に許容される塩は、強いフラビウイルス科ウイルスの抑制活性を有し、フラビウイルス科ウイルスの感染、特にデング熱ウイルス及びC型肝炎ウイルスの感染による疾患の治療薬の調製に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
下記の実施例により、本発明における化合物の調製、及びフラビウイルス科ウイルス、特にデング熱ウイルス及びC型肝炎ウイルスの生物活性を抑制するための該化合物の使用を具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0023】
実施例1 化合物Yhhu−0967(5−メトキシ−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
0℃で、メタノール2.53g(79.08mmol)を40%水素化ナトリウム5.18g(86.27mmol)のテトラヒドロフラン懸濁液(150ml)に滴下し、10分間攪拌した後、2,6−ジフルオロベンゾニトリル10.0g(71.89mmol)のテトラヒドロフラン溶液100mlを滴下する。室温で10時間攪拌した後、完全に反応させる。水200mlを加えて過量の水素化ナトリウムを破壊し、エチルアセテート500mlを加えて抽出を行い、無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥させる。有機層を蒸発して乾燥させた後、カラムクロマトグラフィーにより中間産物が得られる。中間産物と炭酸グアニジン17.41g(143.78mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド300mlに入れて140℃に加熱し、8時間反応し、完全に反応させる。溶媒を蒸発して乾燥させた後、水200mlとジクロロメタン400mlを加えて抽出を行う。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、有機層を蒸発して乾燥させ、カラムクロマトグラフィーにより化合物Yhhu−0967 9.85gが得られる(2段階反応の合計収率:72%)。
1HNMR(300MHz, CHLOROFORM−d)d ppm 3.97(s, 3H)4.83(br.s.,2H)5.68(br.s.,1H)6.53(d, J=8.06Hz, 1H)7.03(d, J=8.55Hz, 1H)7.45(t, J=8.18Hz, 2H)
【0024】
実施例2 化合物Yhhu−0968(5−(4−クロロフェノキシ)−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
2,6−ジフルオロベンゾニトリル10.0g(71.89mmol)、4−クロロフェノール10.17g(79.08mmol)及び炭酸カリウム19.87g(143.78mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド300mlに加える。50℃で10時間攪拌した後、完全に反応させる。溶媒を蒸発して乾燥させた後、水200mlとエチルアセテート400mlを加えて抽出を行う。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、有機層を蒸発して乾燥させ、カラムクロマトグラフィーにより中間産物が得られる。中間産物と炭酸グアニジン17.41g(143.78mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド300mlに入れて140℃に加熱し、8時間反応し、完全に反応させる。溶媒を蒸発して乾燥させた後、水200mlとジクロロメタン400mlを加えて抽出を行う。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、有機層を蒸発して乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによりYhhu−0968 13.7gが得られる(2段階反応の合計収率:67%)。
1HNMR(300MHz, CHLOROFORM−d)ppm 2.06(br.s., 2H)5.09(br.s.,2H)6.33(dd, J=7.98, 1.10Hz, 1H)7.05〜7.11(m, 2H)7.15(dd, J=8.53, 1.10Hz, 1H)7.34〜7.43(m, 3H)
【0025】
実施例3 化合物Yhhu−0969(5−(2−メトキシフェノキシ)−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
4−クロロフェノールの代わりに2−メトキシフェノールを使用する以外は、実施例2と同様な方法により調製する。
1HNMR(300MHz, CHLOROFORM−d)ppm 5.26(s, 3H)7.54(d, J=7.98Hz, 1H)7.67(br.s., 2H)8.36(d, J=8.25Hz, 1H)8.54(td, J=7.50, 1.79Hz, 1H)8.62〜8.85(m, 4H)8.89(br.s., 1H)
【0026】
実施例4 化合物Yhhu−0970(5−フェノキシ−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
4−クロロフェノールの代わりにフェノールを使用する以外は、実施例2と同様な方法により調製する。
1HNMR(300MHz, CHLOROFORM−d)ppm4.83(br.s., 2H)6.30〜6.37(m, 1H)7.13(t, J=7.84Hz, 3H)7.21〜7.29(m, 1H)7.36(t, J=8.25Hz, 1H)7.39〜7.47(m, 2H)
【0027】
実施例5 化合物Yhhu−1035(5−(4−t−ブチルフェノキシ)−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
4−クロロフェノールの代わりに4−t−ブチルフェノールを使用する以外は、実施例2と同様な方法により調製する。
1HNMR(300MHz, CHLOROFORM−d)ppm1.35(s, 9H)3.56(br.s., 1H)4.80(br.s., 2H)5.57(br.s., 1H)6.35(d, J=8.25Hz, 1H)7.02〜7.13(m, 3H)7.35(t, J=8.11Hz, 1H)7.43(d, J=8.80Hz, 2H)
【0028】
実施例6 化合物Yhhu−1036(5−t−ブチルオキシ−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
メタノールの代わりに4−t−ブチルアルコールを使用する以外は、実施例1と同様な方法により調製する。
1HNMR(300MHz, CHLOROFORM−d)ppm1.54(s, 9H)4.87(br.s., 2H)5.62(br.s., 1H)6.67(d, J=7.15Hz, 1H)7.08(d, J=7.43Hz, 1H)7.41(t, J=8.25Hz, 1H)7.79(br.s., 1H)
【0029】
実施例7 化合物Yhhu−1041(5−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
メタノールの代わりに2−(1−ピロリジニル)エタノールを使用する以外は、実施例1と同様な方法により調製する。
1HNMR(300MHz, CHLOROFORM−d)ppm1.70〜1.89(m, 4H)2.49〜2.69(m, 4H)2.95(t, J=5.64Hz, 2H)4.22(t, J=5.64Hz, 2H)5.34(br.s., 2H)5.68(br.s., 1H)6.56(d, J=7.98Hz, 1H)7.05(d, J=7.70Hz, 1H)7.45(t, J=8.25Hz, 1H)8.56(br.s., 1H)
【0030】
実施例8 化合物Yhhu−1046(5−フェニルメトキシ−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
メタノールの代わりにベンジルアルコールを使用する以外は、実施例1と同様な方法により調製する。
1HNMR(300MHz, CHLOROFORM−d)ppm5.16(s., 2H)5.53(br.s., 2H)6.11(br.s., 1H)6.62(d, J=7.98Hz, 1H)7.03(d, J=8.53Hz, 1H)7.28〜7.49(m, 6H)7.57(br.s., 1H)
【0031】
実施例9 化合物Yhhu−1053(5−(3−クロロフェノキシ)−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
4−クロロフェノールの代わりに3−クロロフェノールを使用する以外は、実施例2と同様な方法により調製する。
1HNMR(300MHz, CHLOROFORM−d4)ppm6.46(d, J=7.98Hz, 1H)7.05(d, J=8.53Hz, 1H)7.12(dd, J=8.11, 2.34Hz, 1H)7.25(t, J=2.20Hz, 1H)7.28〜7.34(m, 1H)7.42〜7.54(m, 2H)
【0032】
実施例10 化合物Yhhu−1056(5−シクロペンチルオキシ−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
メタノールの代わりにシクロペンタノールを使用する以外は、実施例1と同様な方法により調製する。
1HNMR(300MHz, CHLOROFORM−d4)ppm1.81(m, 4H)2.00(m, 4H)5.00〜5.10(m, 1H)6.67(d, J=8.25Hz, 1H)6.86(d, J=8.25Hz, 1H)7.45(t, J=8.25Hz, 1H)
【0033】
実施例11 化合物Yhhu−1145(5−n−ブトキシ−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
メタノールの代わりにn−ブチルアルコールを使用する以外は、実施例1と同様な方法により調製する。
1HNMR(300MHz, DMSO−d6)ppm0.94(t, J=7.33Hz, 3H)1.38〜1.50(m, 2H)1.71〜1.87(m, 2H)4.11(t, J=6.16Hz, 2H)5.99(s, 2H)6.54(d, J=7.92Hz, 1H)6.75(d, J=8.80Hz, 1H)7.25(s, 2H)7.34(t, J=8.06Hz, 1H)
【0034】
実施例12 化合物Yhhu−1146(5−(1−アダマンチルオキシ)−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
メタノールの代わりに1−アダマンチル アルコールを使用する以外は、実施例1と同様な方法により調製する。
1HNMR(300MHz, CHLOROFORM−d)ppm1.67(d, J=1.93Hz, 6H)2.07(m, J=2.75Hz, 6H)2.23(m, 4H)5.08(br.s., 2H)5.64(br.s., 1H)6.83(dd, J=7.98, 0.83Hz, 1H)7.13(dd, J=8.39, 0.96Hz, 1H)7.42(t, J=8.11Hz, 1H)7.99(br.s., 1H)
【0035】
実施例13 化合物Yhhu−1147(5−シクロヘキシルオキシ−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
メタノールの代わりにシクロヘキサノールを使用する以外は、実施例1と同様な方法により調製する。
1HNMR(300MHz, CHLOROFORM−d)ppm1.31〜1.54(m, 2H)1.54〜1.71(m, 2H)1.72〜1.88(m, 2H)2.02〜2.21(m, 2H)2.49〜2.85(m, 2H)4.42〜4.56(m, 1H)5.22(br.s., 2H)5.65(s, 1H)6.57(d, J=8.25Hz, 1H)7.01(d, J=8.25Hz, 1H)7.43(t, J=8.25Hz, 1H)7.80(s, 1H)
【0036】
実施例14 化合物Yhhu−1148(5−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
メタノールの代わりに2,2,2−トリフルオロエタノールを使用する以外は、実施例1と同様な方法により調製する。
1HNMR(300MHz, DMSO−d6)ppm4.97(q, J=8.70Hz, 2H)6.23(br.s., 2H)6.68(d, J=7.92Hz, 1H)6.88(d, J=8.21Hz, 1H)6.96(br.s., 1H)7.42(t, J=8.06Hz, 1H)7.53(br.s., 1H)
【0037】
実施例15 化合物Yhhu−1149(5−エトキシ−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
メタノールの代わりにエタノールを使用する以外は、実施例1と同様な方法により調製する。
1HNMR(300MHz, DMSO−d6)ppm1.41(t, J=7.04Hz, 3H)4.17(q, J=7.13Hz, 2H)6.07(s, 2H)6.55(d, J=7.92Hz, 1H)6.77(d, J=8.50Hz, 1H)7.27〜7.43(m, 3H)
【0038】
実施例16 化合物Yhhu−1150(5−(4−アミノフェノキシ)−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
メタノールの代わりにエタノールを使用する以外は、実施例1と同様な方法により調製する。
1HNMR(300MHz, DMSO−d6)ppm5.07(br. s., 2H)5.97〜6.12(m, 3H)6.60(m, J=8.80Hz, 2H)6.79(d, J=7.33Hz, 1H)6.85(m, J=8.50Hz, 2H)7.25(t, J=8.21Hz, 3H)
【0039】
実施例17 化合物Yhhu−1151(5−(3−ピリジルメトキシ)−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
メタノールの代わりに3−ピリジルメタノールを使用する以外は、実施例1と同様な方法により調製する。
1HNMR(300MHz, DMSO−d6)ppm5.33(s, 2H)6.15(br.s., 2H)6.68(d, J=7.92Hz, 1H)6.79(d, J=8.21Hz, 1H)7.28〜7.39(m, 2H)7.39〜7.47(m, 1H)7.92(s, 1H) 8.51〜8.61(m, 1H)8.73(s, 1H)
【0040】
実施例18 化合物Yhhu−1152(5−(4−メトキシフェノキシ)−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
4−クロロフェノールの代わりに4−メトキシフェノールを使用する以外は、実施例2と同様な方法により調製する。
1HNMR(300MHz, DMSO−d6)ppm3.77(s, 3H)6.32(d, J=7.92Hz, 1H)6.96〜7.07(m, 3H)7.12〜7.21(m, 2H)7.34(br.s., 2H)7.50(t, J=8.21Hz, 1H)8.17(br. s., 1H)8.59(br. s., 1H)
【0041】
実施例19 化合物Yhhu−1411(5−n−オクチルオキシ−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
メタノールの代わりにn−オクタノールを使用する以外は、実施例1と同様な方法により調製する。
1HNMR(300MHz, CHLOROFORM−d)ppm0.82〜0.94(m, 3H)1.22〜1.43(m, 6H)1.43〜1.57(m, 2 H)1.84〜1.95(m, 2H)1.96〜2.09(m, 2H)4.12(t,J=6.60Hz, 2H)4.93(br. s., 2H)5.62(br. s., 1H)6.53(d, J=8.21Hz, 1H)7.02(d,J=8.50Hz, 1H)7.44(t, J=8.21Hz, 1H)7.58(br. s., 1H)
【0042】
実施例20 化合物Yhhu−1412(5−イソペンチルオキシ−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
メタノールの代わりにイソペンタノールを使用する以外は、実施例1にと同様な方法により調製する。
1HNMR(300MHz, CHLOROFORM−d)ppm1.01(d, J=6.60Hz, 6H)1.45〜1.73(m, 1H)1.73〜1.89(m, 2H)4.15(t, J=6.46Hz, 2H)4.92(br. s., 2H)5.59(br. s., 1H)6.54(d, J=7.70Hz, 1H)7.03(d, J=9.08 Hz, 1H)7.44(t, J=8.25 Hz, 1H)7.61(br. s., 1H)
【0043】
実施例21 化合物Yhhu−1413(5−ネオペンチルオキシ−2,4−ジアミノキナゾリン)の調製
メタノールの代わりにネオペンタノールを使用する以外は、実施例1と同様な方法により調製する。
1HNMR(300MHz, CHLOROFORM−d)ppm1.03〜1.19(m, 9H)1.86(br. s., 2H)3.79(s, 2H)4.87(d, J=2.20Hz, 2H)6.53(d, J=7.98Hz, 1H)7.03(d, J=8.53 Hz, 1H)7.44(t, J=8.25Hz, 1H)
【0044】
フラビウイルス科に属するII型デング熱ウイルス及びC型肝炎ウイルスを抑制する、本発明におけるキナゾリン系化合物の活性の実験:
フラビウイルス科に属するII型デング熱ウイルス及びC型肝炎ウイルスを抑制する、本発明におけるキナゾリン系化合物の活性の実験のテスト結果を表1に示す。
表1:II型デング熱ウイルス及びC型肝炎ウイルスを抑制する活性の結果
【0045】
【表2】
【0046】
BHK−DV2の複製レベルの検測:
BHK細胞を96穴プレート中に接種し、24時間後、DVウイルスを加入して2時間感染させ(MOI=0.05)、次に洗浄してウイルス液を除去し、新鮮な培地を入れ替えて異なる濃度の化合物を加入するとともに、化合物を添加していない対照群、及びBHK細胞が感染されていない正常な対照群を設ける。続いて4日培養した後、細胞培養液の上清を吸い取って1000RCFで5分間遠心分離して細胞沈殿を除去してから、上清からキットでウイルスRNAを抽出し、cDNAに逆転写した後、qPCR方法で上清中のウイルスのゲノムの複製数を測定する。
【0047】
Huh7.5.1−HCVの検測:
Huh7.5.1細胞は、現在、HCVウイルスの体外感染を達成できる唯一の細胞モデルであり、体外でHCVウイルスに感染されるとともに感染性がある子孫ウイルスを生じることができる。J399EMは、EGFPを導入したHCV全長突然変異体であり、JFH-l野生型と同様な感染能力を有するウイルスを生じることができ、また、NS5A区域にEGFPコード配列を挿入することにより、感染された細胞内でNS5A−EGFP融合タンパク質蛍光を直接に観察することができる。本実験において、Huh7.5.1細胞を96穴プレート中に接種し、37℃且つCO2 5%の条件で、24時間培養する。J399EMウイルスの上清(MOI=0.1)でHuh7.5.1細胞を感染させるとともに、感染されていない細胞対照孔を設けて、8時間感染させた後、PBSで洗浄を行う。J399EMウイルスで感染されたHuh7.5.1細胞に、異なる濃度のサンプルを加入し、各濃度に対して二重孔を設け、且つサンプルを添加していない対照孔を設ける。受験サンプルを6つの濃度に勾配希釈し、それぞれ添加して、72時間培養する。サンプルが72時間処理された後、蛍光マイクロプレートリーダーによって、励起波長488 nm、放射波長516nmの条件で、相対蛍光強度(RFU)を読み取り、HCVに対するサンプルの抑制作用の検測を行う。公式に従ってHCVウイルスの抑制率を算出する。
【0048】
試験結果によれば、本発明における化合物は、II型デング熱ウイルス及びC型肝炎ウイルスに対して強い抑制活性を有する。DV2に感染されたBHK培養上清中のウイルス複製数に対する化合物の抑制作用は、子孫ウイルスの産生に対する該化合物の抑制作用を直接に反映できる。HCV検測において、蛍光法で直観的にHCVウイルスの細胞内複製に対する抑制作用を検測することができる。また、現在、体外感染を達成する唯一の細胞モデルとして、HCVウイルスを採用してHuh7.5.1細胞を感染するモデルは、最大にC型肝炎ウイルスの体内感染や複製過程を再現することができる。上記試験により、表1における化合物は、いずれも二種類のウイルスに対して良い抑制作用を有し、そのIC50<1μM。従来の通用の対照化合物、例えば広域抗ウイルス治療薬であるリバビリン(Ribavirin)及びミコフェノール酸と比較して、HCVウイルスの体外試験に対する、本発明における化合物の半有効濃度はそれぞれ1.25μMと20μMである。II型デング熱ウイルス及びC型肝炎ウイルスは、ともにフラビウイルス科に属するので、本発明における化合物はラビウイルス科ウイルスに対して優れる抑制活性を有する。
【0049】
本発明における化合物は、フラビウイルス科ウイルスに対して優れる抑制活性を有する。本発明における化合物によれば、フラビウイルス科ウイルスの治療薬を製造することができ、特にC型肝炎ウイルスやデング熱ウイルスによる疾患の治療薬を製造することができる。