特許第5711857号(P5711857)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5711857
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】エアフィルタ
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/52 20060101AFI20150416BHJP
   F02M 35/024 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   B01D46/52 B
   F02M35/024 511B
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-543860(P2014-543860)
(86)(22)【出願日】2012年11月27日
(65)【公表番号】特表2015-500735(P2015-500735A)
(43)【公表日】2015年1月8日
(86)【国際出願番号】EP2012073689
(87)【国際公開番号】WO2013079467
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2014年6月2日
(31)【優先権主張番号】102011087526.3
(32)【優先日】2011年12月1日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン アレクサンダー カイザー
【審査官】 二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−196314(JP,A)
【文献】 特開2011−027088(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102006039952(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアフィルタであって、
第1ハウジングシェル(5)と第2ハウジングシェル(6)とを有するハウジング(2)と、
前記ハウジング(2)内において未処理室(7)と清浄室(8)とを仕切り、エア通過開口部(9)を有する中間パネル(3)と、
前記エア通過開口部(9)に設置されるフィルタエレメント(4)と、を備え、
前記フィルタエレメント(4)は、その周囲にシール部材(15)を有し、
前記中間パネル(3)は、前記エア通過開口部(9)を規定する内周縁部(17)にシール形成部(18)を有し、前記シール部材(15)が、前記シール形成部(18)上に設置されており、
前記中間パネル(3)、前記両ハウジングシェル(5,6)、及び、前記フィルタエレメント(4)とは別部材である固定枠(19)を更に備え、
前記固定枠(19)は、前記シール部材(15)の前記シール形成部(18)とは反対側において、前記フィルタエレメント(4)に沿って延び、前記中間パネル(3)に固定されることを特徴とするエアフィルタ。
【請求項2】
請求項1記載のエアフィルタにおいて、
前記固定枠(19)は、前記シール形成部(18)との間で前記シール部材(15)に圧力をかけることを特徴とするエアフィルタ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のエアフィルタにおいて、
前記シール部材(15)は、前記フィルタエレメント(4)に対して固く接続されていることを特徴とするエアフィルタ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエアフィルタにおいて、
前記固定枠(19)は、前記フィルタエレメント(4)に対して緩く接続されていることを特徴とするエアフィルタ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエアフィルタにおいて、
前記フィルタエレメント(4)は、前記固定枠(19)よって、前記中間パネル(3)に固定されることを特徴とするエアフィルタ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエアフィルタにおいて、
前記固定枠(19)は、クリップエレメント(20)によって、前記中間パネル(3)に固定されることを特徴とするエアフィルタ。
【請求項7】
請求項6記載のエアフィルタにおいて、
前記中間パネル(3)は、前記固定枠(19)の前記クリップエレメント(20)と協働して前記固定枠(19)を前記中間パネル(3)に固定する対向クリップエレメント(21)を有することを特徴とするエアフィルタ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のエアフィルタにおいて、
前記シール形成部(18)は、前記シール部材(15)が挿入される溝(23)を有することを特徴とするエアフィルタ。
【請求項9】
請求項1記載のエアフィルタにおいて、
前記シール形成部(18)は、前記シール部材(15)が挿入される溝(23)を有し、
前記固定枠(19)は、外形が前記溝(23)の外側壁(25)の内側形状に合う周縁部を有することを特徴とするエアフィルタ。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のエアフィルタにおいて、
前記中間パネル(3)は、その外周縁部(12)において、前記第2ハウジングシェル(6)に対面する、前記第1ハウジングシェル(5)の縁部(13)に溶接されていることを特徴とするエアフィルタ。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のエアフィルタにおいて、
前記中間パネル(3)は、その外周縁部(12)において、前記第1ハウジングシェル(5)に対面する、前記第2ハウジングシェル(6)の縁部(14)に、クリップエレメント(26)によって固定されることを特徴とするエアフィルタ。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のエアフィルタにおいて、
前記中間パネル(3)の内周縁部(17)は、その全周に亘って、該中間パネル(3)の外周縁部(12)から離間していることを特徴とするエアフィルタ。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載のエアフィルタにおいて、
前記シール部材(15)の温度安定性が、前記両ハウジングシェル(5,6)及び前記中間パネル(3)の温度安定性よりも低いことを特徴とするエアフィルタ。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のエアフィルタ(1)の製造方法であって、
前記中間パネル(3)を前記第1ハウジングシェル(5)に固定する工程と、
前記フィルタエレメント(4)を、前記シール部材(15)が前記シール形成部(18)に対して接触して置かれるように、前記エア通過開口部(9)内に設置する工程と、
前記フィルタエレメント(4)を前記中間パネル(3)に固定するために、前記固定枠(19)を実装する工程と、
前記第2ハウジングシェル(6)を前記中間パネル(3)に固定する工程と、を備えることを特徴とするエアフィルタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフィルタに関し、好ましくは、自動車の特に内燃機関のフレッシュエアシステム用のエアフィルタに関する。さらに、本発明は、エアフィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1に記載されているように、ハウジングと、中間パネルと、フィルタエレメントと、を備えるエアフィルタが知られている。前記ハウジングは、第1ハウジングシェルと、第2ハウジングシェルと、を備える。前記中間パネルは、前記ハウジングにおいて未処理室と清浄室とを仕切るとともに、エア通過開口部を有する。前記フィルタエレメントは、前記エア通過開口部に設置される。中間パネルをフィルタエレメントの保持部として使用することによって、フィルタエレメントの形状に関わりなく、ハウジングを、その形状が大きくなるように構成することができる。これにより、形成される構造空間を有効に使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006039952号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記ハウジング内においては、未処理室と清浄室とを気密状に仕切ることが課題となっている。
【0005】
本発明は、冒頭において述べられた種類のエアフィルタについて、特に効果的なシールを特徴とする改良実施形態を提供することを目的とする。また、本発明は、エアフィルタの容易な組み立ても目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上述の課題は、独立請求項に記載の特徴に係る発明によって解決される。有利な実施形態については、従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明は、フィルタエレメントが、その周囲にシール部材を備えるという概念に基づいており、組立状態において、そのシール部材は、中間パネルのエア通過開口部を規定する内周縁部に設けられるシール形成部に対して気密状に接触して置かれる。このように、フィルタエレメントがエア通過開口部を気密状に閉鎖し、それにより、エアが未処理室から清浄室に流れる際にフィルタエレメントを必ず通過する。
【0008】
上述の中間パネルを使用することにより、特に、同一のフィルタエレメントを異なるハウジングに配置するか、又は、異なるフィルタエレメントを同一のハウジングに配置することが可能となる。このような場合において、中間パネルは、アダプターとして機能する。
【0009】
ここにおいて、中間パネルは、2つのハウジングシェルに対して別部材であることが好ましい。シール部材が実装されたフィルタエレメントは、中間パネル及び2つのハウジングシェルに対して別部材である。ハウジングは、2つのハウジングシェルのみから成る二重シェル構造を有し、2つのハウジングシェルは、中間パネルと共に、ハウジングを構成することが好ましい。この場合において、清浄室は、中間パネル及び一方のハウジングシェル(又は第1ハウジングシェル)によって区画される一方、未処理室は、中間パネル及び他方のハウジングシェル(又は第2ハウジングシェル)によって区画される。
【0010】
また、前記シール部材の前記シール形成部とは反対側において、前記フィルタエレメントに沿って延び、前記中間パネルに固定される固定枠を更に備え。このような固定枠を用いることによって、信頼性の向上と共に、気密性も確保できる。これは、固定枠を用いることによって、シール部材の領域において支持安定性が得られるからである。固定枠の設置によって、シール部材は、シール形成部と固定枠との間に配置される。
【0011】
固定枠は、中間パネル及び2つのハウジングシェルに対して別部材である。固定枠は、シール部材を備えるフィルタエレメントに対しても別部材である。
【0012】
前記固定枠は、前記シール形成部との間で前記シール部材に圧力をかけることが有利である。これにより、シール効率が向上する。
【0013】
前記シール部材は、前記フィルタエレメントに対して固く接続されていることが更に有利である。一方、前記固定枠は、フィルタエレメントに対して緩く接続されていることが好ましい。これにより、固定枠によって、フィルタエレメントを中間パネルに固定することができる。すなわち、フィルタエレメントは、エア通過開口部の領域において、中間パネルにシール部材によって設置され、これにより、中間パネル上においてフィルタエレメントの位置決めがなされる。そして、固定枠の実装によって、フィルタエレメントの中間パネルへの固定がなされる。従って、中間パネルにフィルタエレメントを別途固定することや、中間パネルにフィルタエレメントを直接固定することを省略することができる。その結果、特に、フィルタエレメントは、固定枠のみによって、中間パネルに固定することができる。
【0014】
前記固定枠は、クリップエレメントによって、中間パネルに固定されることが好都合である。これにより、別の固定手段が省略されるため、設置が簡略化される。特に、ここでは、クリップエレメントは、固定枠に一体形成されてもよく、これにより、製造費用が削減される。
【0015】
前記中間パネルは、前記固定枠の前記クリップエレメントと協働して前記固定枠を前記中間パネルに固定する、クリップエレメントに対して相補的な対向クリップエレメントを有していてもよい。このような対向クリップエレメントにより、設置が簡略化される。また、ここにおいても、製造費用を削減するために、対向クリップエレメントを中間パネルに一体形成することが好都合である。
【0016】
前記シール部材に、前記シール形成部とは反対側において、全周に亘る溝を形成してもよく、その溝は、特に、U字状の断面形状を有する。これにより、シール部材は、径方向に一定の弾力性を有する。従って、シール部材を、前記シール形成部との間で径方向に圧力をかけた状態で、シール形成部に対して径方向に接触して配置することができる。さらに、固定枠の周縁部を、少なくとも部分的に、前記シール部材の前記溝内に突出させるように形成することが基本的に可能である。前記周縁部を介して、前記シール部材に軸方向の力を伝達することができる。前記溝に対して相補的な周縁部が形成されている限り、径方向の力も、前記周縁部を介して、前記シール部材に伝達することができる。
【0017】
利な実施形態によれば、前記シール形成部に、全周に亘る溝を形成してもよく、この溝は、U字状の断面形状を有することが好ましい。シール部材は、そのシール形成部の溝内に挿入される。この溝によって、シール部材の設置部が構成され、これにより、設置が簡略化され、効率的なシールも容易に実現可能となる。特に、前記シール部材及びシール形成部の溝は、シール部材が、その軸方向、径方向内側及び径方向外側においてシール形成部に接触するように、互いに幾何学的に対応していてもよい。これにより、特に高いシール効果が得られる。オプションとして、シール部材は、シール形成部に軸方向に接触して配置されるように、前記溝内に挿入されていてもよい。
【0018】
前記固定枠は、全周に亘る周縁部を有し、この周縁部の外形は、前記シール形成部の溝の外側壁の内側形状に合うように形成されることが好ましい。この結果、固定枠は、その周縁部により、シール部材が設置された状態でシール形成部の溝を閉鎖することができる。特に、ここでは、固定枠の周縁部は、少なくとも部分的にシール形成部の溝内に挿入されるようにすることができる。
【0019】
の実施形態によれば、前記中間パネルは、その外周縁部において、前記第2ハウジングシェルに対面する、前記第1ハウジングシェルの縁部に溶接されていてもよい。このような溶接接続は、比較的容易に実現可能であり、その結果として、第1ハウジングシェルと中間パネルとの間を効率よくシールすることができる。
【0020】
更に別の実施形態によれば、前記中間パネルは、その外周縁部において、前記第1ハウジングシェルに対面する、前記第2ハウジングシェルの縁部に、クリップエレメントによって固定されていてもよい。すなわち、第2ハウジングシェルは、第1ハウジングシェルに直接固定されておらず、中間パネルに直接固定されている。一方、中間パネルは、第1ハウジングシェルに直接固定されることが好都合である。特に、中間パネルは、第1ハウジングシェルに対しては着脱不可に接続される一方、第2ハウジングシェルに対しては、クリップエレメントによって、着脱可能に接続されていてもよい。クリップエレメントは、中間パネルに一体形成されることが好ましい。
【0021】
更に別の実施形態によれば、前記中間パネルの内周縁部は、その全周に亘って、該中間パネルの外周縁部から離間していてもよい。中間パネルの内周縁部は、エア通過開口部の周囲を囲んでいるのに対して、中間パネルの外周縁部は、互いに対面する、両ハウジングシェルの縁部間の軸方向に配置される。内周縁部と外周縁部との間が離間することによって、外周縁部の形状寸法に一切関わりなく、内周縁部の形状寸法を決定することができる。また、フィルタエレメントは、ハウジング内において、一定量のエアによって完全に囲まれることになる。このエアは、フィルタエレメント、特にシール部材にとって断熱体を構成する。
【0022】
ここに記載される構成の特定の効果は、温度安定性がハウジングシェル及び中間パネルの材料よりも低い(悪い)材料がフィルタエレメントのシール部材に使用される場合に現れる。高品質のシール材料は、ハウジングシェルに使用される一般的な樹脂に比べて、温度安定性が低い材料である。通常、エアフィルタは、内燃機関の運転中に、そのエアフィルタの領域において、シール材料が安定する閾値温度を確実に超える温度となるように、車両のエンジン室に配置される。ここにおいて述べられているように、フィルタエレメントを、中間パネルによってフィルタハウジング内に位置させることにより、シール部材の熱負荷を大幅に低下させることができる。これは、特に、中間パネルの内周縁部が外周縁部から離間している場合にも同様である。また、内燃機関の運転中に外気を永続的に取り込むことによって、フィルタエレメント及びシール部材が冷却される。内燃機関の作動が停止したときには、一定量のエアがフィルタエレメントのシール部材を囲む断熱体を構成し、外部から作用する熱からシール部材を保護する。これは、特に、内燃機関の作動停止直後の状態であるポスト加熱状態において有利に働く。このポスト加熱状態においては、内燃機関が先の燃焼過程に起因して未だ高温状態にある一方、外気の取り込みが停止することにより、多量の熱が放出される。
【0023】
更に別の有利な実施形態によれば、前記フィルタエレメントは、平坦状に形成されていてもよい。平坦なフィルタエレメントは、パネルフィルタとして設計されていてもよい。このようなフィルタエレメントは、矩形状の外形を有していてもよく、折り畳み状のフィルタ材料を有することが好都合である。前記中間パネルは、前記内周縁部に隣接する領域において平坦状に形成されていてもよい
【0024】
また、本発明は、上述のエアフィルタの製造方法に関する。本発明の製造方法によれば、まず、前記中間パネルを、溶接法等を用いて前記第1ハウジングシェルに固定する。そして、前記フィルタエレメントを、前記シール部材が前記シール形成部に対して接触して置かれるように、前記エア通過開口部内に設置する。その後、前記フィルタエレメントを前記中間パネルに固定するために、前記固定枠を実装する。ここで、前記固定枠が、前記中間パネルに対してクリップ留めされることが好都合である。最後に、前記第2ハウジングシェルを、好ましくはクリップ留めにより、前記中間パネルに固定する。
【0025】
本発明の更に重要な作用及び効果については、下位クレーム、図面、及び図面を参照して説明している明細書の記載において述べられている。
【0026】
上述の特徴及び以下で説明される特徴は、それぞれ、本発明から逸脱しない範囲で、示された組み合わせだけでなく、その他の組み合わせ又は単独でも実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】エアフィルタを側方から見た部分断面図である。
図2】エアフィルタの分解斜視図である。
図3】製造工程の或る段階におけるエアフィルタの斜視図である。
図4】製造工程の別の段階におけるエアフィルタの斜視図である。
図5】製造工程の更に別の段階におけるエアフィルタの斜視図である。
図6】製造工程の更に別の段階におけるエアフィルタの斜視図である。
図7】製造工程の更に別の段階におけるエアフィルタの斜視図である。
図8】製造工程の更に別の段階におけるエアフィルタの斜視図である。
図9】製造工程の更に別の段階におけるエアフィルタの斜視図である。
図10】製造工程の更に別の段階におけるエアフィルタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の好ましい例示的な実施形態について、図を参照して、以下により詳細に説明する。尚、同一、同様、又は機能的に同様の構成要素については、同一の参照符号を付している。
【0029】
図1乃至図10に示すように、エアフィルタ1は、好ましくは自動車における内燃機関のフレッシュエアシステムに好適に使用されるものであって、ハウジング2と、中間パネル3と、フィルタエレメント4と、を備える。ハウジング2は、第1ハウジングシェル5と、第2ハウジングシェルと、を有する。中間パネル3は、ハウジング2内において未処理室7と清浄室8とを仕切るとともに、エア通過開口部9を有する。フィルタエレメント4は、エア通過開口部9に設置される。第1ハウジングシェル5は、清浄側でエア吹出口10を有する。第2ハウジングシェル6は、未処理側でエア吸込口11を有する。中間パネルの外周縁部12は、第1ハウジングシェル5の縁部13と第2ハウジングシェル6の縁部14との間に配置される。
【0030】
フィルタエレメント4は、その周囲にシール部材15を有し、このシール部材15は、好適なシール材料によって適宜構成される。シール部材15は、注入又は発泡により、フィルタエレメント4のフィルタ本体16上に形成されてもよい。フィルタ本体16は、特に網状に形成可能でかつ折り畳み可能なフィルタ材料から成る。フィルタ材料とシール材料とは、互いに異なる材料であることが好ましい。例えば、シール部材15は、ポリウレタンから成り、特にポリウレタンフォームから成る。
【0031】
中間パネル3は、エア通過開口部9を囲みかつシール形成部18を有する内周縁部17を有する。組立状態において、シール部材15は、シール形成部18に対して接触して置かれる。
【0032】
ここに開示されるエアフィルタ1は、固定枠19を更に備える。固定枠19は、シール部材15のシール形成部18とは反対側に配置される。固定枠19は、例えば内周縁部17の領域において、中間パネル3に固定される。また、固定枠19は、周方向に全周に亘ってフィルタエレメント4に沿って延びる。組立状態において、シール部材15は、シール形成部18と固定枠19との間に配置される。固定枠19は、シール形成部18との間でシール部材15に圧力をかけることができるように構成されていることが好ましい。
【0033】
シール部材15は、フィルタエレメント4に対して固く接続されていることが好ましい。既に述べたように、シール部材15は、注入又は発泡によって、フィルタ本体16上に形成されてもよい。固定枠19は、フィルタエレメント4に対して緩く接続されており、従って、固定枠19とフィルタエレメント4とは固定接続されていない。この状態において、フィルタエレメント4は、固定枠19によって、中間パネル3に固定される。ここにおいて、固定枠19は、好ましくは、複数のクリップエレメント20によって、中間パネル3に固定されてもよい。本実施形態において、これらのクリップエレメント20は、固定枠19に一体形成される。本実施形態において、クリップエレメント20は、固定枠19を中間パネル3に固定するために、中間パネル3に設けられた対向クリップエレメント21と協働する。対向クリップエレメント21もまた、中間パネル3に一体形成されることが好ましい。本実施形態において、対向クリップエレメント21は、内周縁部17の領域に配置される。
【0034】
シール部材15は、シール形成部18とは反対側において、U字状又はV字状の断面形状を有する、全周に亘る溝22を有する。
【0035】
同様に、シール形成部18は、U字状の断面形状を有する、全周に亘る溝23を有する。シール部材15は、シール形成部18の溝23内に挿入される。シール部材15とシール形成部18の溝23とは、シール部材15が、径方向内側及び径方向外側においてシール形成部18に接触するように、互いに幾何学的に対応していることが好ましい。シール部材15の溝22により、シール部材15の径方向の伸縮が可能となり、この伸縮により、シール形成部18に接触しているシール部材15に対して径方向内側及び外側に圧力がかかることとなる。本実施形態においては、図1に示すように、シール部材15及びシール形成部18は、軸方向に接触しないように、互いに軸方向に離間している。しかしながら、シール部材15がシール形成部18に対して軸方向に接触するように構成されていてもよい。
【0036】
固定枠19は、全周に亘る周縁部24を有し、この周縁部24の外形は、シール形成部18の溝23の外側壁25の内側形状に合っていることが好ましい。これにより、組立状態において、固定枠19は、その周縁部24により、シール形成部18の溝23を閉鎖することができる。また、周縁部24の少なくとも一部が、溝23内に挿入されていてもよい。
【0037】
完全な組立状態において、中間パネル3は、その外周縁部12において、第1ハウジングシェル5の縁部13に溶接されている。また、この中間パネル3は、その外周縁部12において、複数のクリップエレメント26によって、第2ハウジングシェル6の縁部14に固定されている。これらのクリップエレメント26は、中間パネル3に一体形成されていることが好ましい。
【0038】
特に図4において示すように、中間パネル3の内周縁部17は、その全周に亘って、中間パネル3の外周縁部12から離間している。また、フィルタエレメント4は、図1に一点鎖線で示すフィルタ面27に沿って配置されるように、平坦なフィルタエレメント、特にパネルフィルタエレメントとして構成される。中間パネル3は、内周縁部17に隣接しかつ内周縁部17を囲む周囲領域28が、図1に一点鎖線で示すパネル面29に沿って配置されるように、該周囲領域28において平坦状に形成されている。図示されるように、フィルタ面27及びパネル面29は、互いに傾斜して延びている。
【0039】
エアフィルタ1の全ての構成要素が樹脂から成ることが好ましく、ハウジングシェル5,6、中間パネル3、及び固定枠19には同一の樹脂を使用してもよい。フィルタエレメント4のフィルタ本体16は、シール部材15のシール材料とは異なる樹脂で構成されることが好ましく、少なくともシール部材15のシール材料は、ハウジングシェル5,6、中間パネル3、及び固定枠19とは異なった樹脂から成る。
【0040】
シール部材15のシール材料は、ハウジングシェル5,6及び/又は中間パネル3の材料よりも低い耐熱性を有する。過度の熱の作用からシール部材15を保護するために、シール部材15は、外周縁部12がシール部材15を囲むように、外周縁部12から距離をあけて配置される。これにより、一定量のエアがシール部材15を囲むように外周縁部12とシール部材15との間に存在し、該エアが、特に内燃機関の作動停止後のポスト加熱状態において、過度の熱の作用からシール部材15を保護する。特に図4において示すように、上述のエアは、前記周囲領域28に存在する。
【0041】
上述のエアフィルタ1の製造方法について、図3乃至図10を参照して、以下に更に詳細に説明する。
【0042】
最初に、図3に示すように、中間パネル3を、第1ハウジングシェル5に固定する。ここにおいて、溶接、特に摩擦溶接又はレーザー溶接が好ましい。
【0043】
図4に示すように、清浄室8を形成するように、第1ハウジングシェル5及び中間パネル3が組み立てられる。
【0044】
図5に示すように、フィルタエレメント4を、そのフィルタ本体16でエア通過開口部9を閉鎖するように設置する。これと同時に、シール部材15を、シール形成部18の溝23内に設置する。
【0045】
図6に示すように、第1ハウジングシェル5、中間パネル3、及びフィルタエレメント4が組み立てられる。
【0046】
次に、図7に示すように、固定枠19を設置する。クリップエレメント20が対向クリップエレメント21と協働して、固定枠19は、中間パネル3に固定、即ちクリップ留めされる。
【0047】
図8に示すように、第1ハウジングシェル5、中間パネル3、フィルタエレメント4、及び固定枠19が組み立てられる。
【0048】
次に、図9に示すように、第2ハウジングシェル6を上述の組立体に設置する。このために、第2ハウジングシェル6を、クリップエレメント26によって、中間パネル3に固定、即ちクリップ留めする。
【0049】
最終的に、図10に示すような、第1ハウジングシェル5と、中間パネル3と、フィルタエレメント4と、固定枠19と、第2ハウジングシェル6と、を備えるエアフィルタ1が完成する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10