(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5711863
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】らせん状に巻いたストリップ材を含む工業用布
(51)【国際特許分類】
D21F 7/08 20060101AFI20150416BHJP
D21F 3/00 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
D21F7/08 Z
D21F3/00
【請求項の数】32
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2011-540899(P2011-540899)
(86)(22)【出願日】2009年12月10日
(65)【公表番号】特表2012-512335(P2012-512335A)
(43)【公表日】2012年5月31日
(86)【国際出願番号】US2009067531
(87)【国際公開番号】WO2010068778
(87)【国際公開日】20100617
【審査請求日】2012年12月3日
(31)【優先権主張番号】61/246,812
(32)【優先日】2009年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/246,801
(32)【優先日】2009年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/147,637
(32)【優先日】2009年1月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/121,998
(32)【優先日】2008年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597098947
【氏名又は名称】オルバニー インターナショナル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100088029
【弁理士】
【氏名又は名称】保科 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】イーグルス,デーナ
(72)【発明者】
【氏名】カールスソン,ジョーナス
(72)【発明者】
【氏名】ストウ,ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ボスエルホ,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ムラッド,サブリ
(72)【発明者】
【氏名】オコナー,ジェリー
(72)【発明者】
【氏名】モンクリーフ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,ロバート
【審査官】
中尾 奈穂子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−510896(JP,A)
【文献】
特開平05−195473(JP,A)
【文献】
特開平05−179595(JP,A)
【文献】
特表2012−512334(JP,A)
【文献】
特表2012−502200(JP,A)
【文献】
特表2012−502201(JP,A)
【文献】
特表2012−502202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B 1/00− 1/38
D21C 1/00−11/14
D21D 1/00−99/00
D21F 1/00−13/12
D21G 1/00− 9/00
D21H 11/00−27/42
D21J 1/00− 7/00
D04H 1/00−18/04
D03D 1/00−27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1あるいは2以上の高分子材料からなるストリップをらせん状に巻くことにより得る工業用の布、ベルトあるいはスリーブ(ただし、エアレイド、メルトブローン、スパンボンド、あるいはハイドロエンタングルのプロセスで用いるベルトを除く)であって、前記1あるいは2以上の高分子材料からなるストリップが工業用ストラップあるいはリボン材料であり、しかも、前記工業用ストラップあるいはリボン材料は、単一軸配列、つまり一軸延伸であり、フィルムである2軸配列材料、つまり2軸延伸材料の少なくとも2倍のMD方向の引張応力があり、その引張応力の大きさは押出し材料、つまり成形品の10倍に達する、工業用の布、ベルトあるいはスリーブ。
【請求項2】
前記布、ベルトあるいはスリーブは、成形ベルト、プレス布、乾燥布、通し風乾(TAD)布、シュープレス、トランスファーあるいはカレンダーベルト、またはシートトランスファーベルト、ロングニッププレス(LNP)あるいはカレンダーベルト、コルゲータベルト、サンフォライズ加工ベルト、皮革なめし(タンネリ)ベルト、パルプ成形あるいはパルププレスベルト、ダブルニップシックナー(DNT)脱インク機械上の脱水ベルト、あるいはスラッジ脱水ベルトに用いるための基材である、請求項1の布、ベルトあるいはスリーブ。
【請求項3】
前記工業用ストラップあるいはリボン材料は、厚さが0.30mm以上であって、幅が10mm以上である、請求項1の布、ベルトあるいはスリーブ。
【請求項4】
前記ベルトあるいはスリーブは、空気および/または水に対して透過性あるいは不透過性である、請求項1の布、ベルトあるいはスリーブ。
【請求項5】
前記布、ベルトあるいはスリーブは、空気および/または水に対して透過性であり、しかも、前記布、ベルトあるいはスリーブに機械的あるいは熱的な手段を用いて形成した貫通空所あるいは穴がある、請求項4のベルトあるいはスリーブ。
【請求項6】
前記貫通空所あるいは穴は、所定の大きさ、形状あるいは配列をもつ、請求項5の布、ベルトあるいはスリーブ。
【請求項7】
前記貫通空所あるいは穴は、開口の呼び径が0.005〜0.01インチ(つまり、0.013cm〜0.025cm)の範囲あるいはそれよりも大である、請求項6の布、ベルトあるいはスリーブ。
【請求項8】
織りあるいは不織の材料、MDあるいはCD糸配列、ベルトあるいはスリーブの幅よりも狭い幅の織り材料によるらせん巻きストリップ、繊維性ウェブ、フィルム、あるいはそれらの組合せからなる、1あるいは2以上の層をさらに含む、請求項1の布、ベルトあるいはスリーブ。
【請求項9】
一方の面あるいは両方の面にテクスチャーをもつ、請求項1の布、ベルトあるいはスリーブ。
【請求項10】
前記テクスチャーは、サンド加工、彫り、エンボス加工あるいはエッチングによるものである、請求項9の布、ベルトあるいはスリーブ。
【請求項11】
前記ベルトあるいはスリーブは、一方の面あるいは両方の面にナックルがない滑らかさである、請求項1の布、ベルトあるいはスリーブ。
【請求項12】
前記布、ベルトあるいはスリーブは、互いに反対方向にあるいはMD方向に傾斜するようにらせん状に巻いたストラップ材からなる少なくとも2層を備える、請求項1の布、ベルトあるいはスリーブ。
【請求項13】
前記ベルトあるいはスリーブの一方の面あるいは両方の面に機能性の被膜をさらに備える、請求項1の布、ベルトあるいはスリーブ。
【請求項14】
前記1あるいは2以上の層は、前記布、ベルトあるいはスリーブの一方の面あるいは両方の面に、またはストラップの2層の間に、配置されている、請求項8の布、ベルトあるいはスリーブ。
【請求項15】
工業用の布、ベルトあるいはスリーブ(ただし、エアレイド、メルトブローン、スパンボンド、あるいはハイドロエンタングルのプロセスで用いるベルトを除く)
を製造するための方法であり、その方法は次の各工程を備える、工業用の布、ベルトあるいはスリーブの製造方法。
・1あるいは2以上のらせん巻きの高分子材料からなるストリップであり、その1あるいは2以上の高分子材料からなるストリップが工業用ストラップあるいはリボン材料であり、しかも、前記工業用ストラップあるいはリボン材料は、単一軸配列、つまり一軸延伸であり、フィルムである2軸配列材料、つまり2軸延伸材料の少なくとも2倍のMD方向の引張応力があり、その引張応力の大きさは押出し材料、つまり成形品の10倍に達するものを、複数のロール周りにらせん状に巻く工程。
・所定の技術を用いて隣接するストリップ材の端部を接合する工程。
【請求項16】
前記所定の技術は、レーザ、赤外あるいは超音波による溶接である、請求項15の方法。
【請求項17】
前記工業用ストラップあるいはリボン材料は、厚さが0.30mm以上であって、幅が10mm以上である、請求項15の方法。
【請求項18】
前記布、ベルトあるいはスリーブは、空気および/または水に対して透過性あるいは不透過性である、請求項15の方法。
【請求項19】
前記布、ベルトあるいはスリーブは、空気および/または水に対して透過性であり、しかも、前記布、ベルトあるいはスリーブに機械的あるいは熱的な手段を用いて形成した貫通空所あるいは穴がある、請求項15の方法。
【請求項20】
前記貫通空所あるいは穴は、所定の大きさ、形状あるいは配列をもつ、請求項19の方法。
【請求項21】
前記貫通空所あるいは穴は、開口の呼び径が0.005〜0.01インチ(つまり、0.013cm〜0.025cm)の範囲あるいはそれよりも大である、請求項20の方法。
【請求項22】
前記布、ベルトあるいはスリーブの上面あるいは下面に1あるいは2以上の層を付ける工程をさらに備え、その1あるいは2以上の層が、織りあるいは不織の材料、MDあるいはCD糸配列、ベルトあるいはスリーブの幅よりも狭い幅の織り材料によるらせん巻きストリップ、繊維性ウェブ、フィルム、あるいはそれらの組合せからなる、請求項15の方法。
【請求項23】
高分子材料からなる隣接するストリップは、機械的にかみ合っている、請求項1の布、ベルトあるいはスリーブ。
【請求項24】
高分子材料からなる隣接するストリップは、機械的にかみ合っている、請求項15の方法。
【請求項25】
前記布、ベルトあるいはスリーブは、一方の面あるいは両方の面にテクスチャーをもつ、請求項15の方法。
【請求項26】
前記テクスチャーは、サンド加工、彫り、エンボス加工あるいはエッチングによるものである、請求項25の方法。
【請求項27】
前記布、ベルトあるいはスリーブは、一方の面あるいは両方の面にナックルがない滑らかさである、請求項15の方法。
【請求項28】
前記布、ベルトあるいはスリーブは、互いに反対方向にあるいはMD方向に傾斜するようにらせん状に巻いたストラップ材からなる少なくとも2層を備える、請求項15の方法。
【請求項29】
前記布、ベルトあるいはスリーブの一方の面あるいは両方の面に、機能性の被膜を形成する工程をさらに備える、請求項15の方法。
【請求項30】
前記1あるいは2以上の層は、前記布、ベルトあるいはスリーブの一方の面あるいは両方の面に、またはストラップの2層の間に、配置されている、請求項22の方法。
【請求項31】
前記機能性の被膜は、その上面にテクスチャーをもつ、請求項13の布、ベルトあるいはスリーブ。
【請求項32】
前記機能性の被膜にテクスチャーを付与する工程をさらに備える、請求項29の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
この出願は、2009年9月29日出願の米国仮特許出願第61/246,812号、
2009年9月29日出願の米国仮特許出願第61/246,801号、2009年1月27日出願の米国仮特許出願第61/147,637号、および2008年12月12日出願の米国仮特許出願第61/121,998号を基礎にするものであり、それらによる優先権の利益を主張する。
【0002】
ここで引用するすべての特許、特許出願、文書、文献、製造者の使用説明書、解説、製品仕様書、およびここで述べる製品についての製品説明書を引用によってここに組み入れ、しかもまた、この発明を実施する上で使用する。
【技術分野】
【0003】
この発明は製紙技術に関する。さらに詳しくは、この発明は、製紙機布、すなわち、成形、プレス、乾燥布、および通し風乾(TAD)布、また、製紙機クロージングとして知られ、その上で紙を製造する布(ファブリック)に関する。この発明は、また、シュープレス、トランスファーあるいはカレンダーベルトに用いることができ、いずれも製紙機械で用いることができる。さらに、この発明は、材料から脱水するために工業用ベルトを用いる他の工業用の装置に適用することができる。さらにまた、この発明は、エアレイド、メルトブローン、スパンボンド、およびハイドロエンタングルなどのプロセスによる不織布の製造に用いるベルトおよび/またはスリーブとして使用することができる。
【背景技術】
【0004】
製紙プロセスにおいて、セルロースを含む繊維状のウェブは、製紙機械の成形部分を移動する成形布上に、繊維状のスラリー、つまり、セルロース繊維の水に富む分散剤を堆積することによって形作られる。スラリーからは、成形布を通して多量の水が排水され、成形布の表面にセルロースを含む繊維状のウェブを残す。
【0005】
新しく形作られた繊維状のウェブは、成形部分からプレス部分へと移る。プレス部分には、一連のプレスニップがある。セルロースを含む繊維状のウェブは、プレス布、多くの場合には2つのプレス布間に支えられるプレスニップを通過する。プレスニップにおいて、セルロースを含む繊維状のウェブは、圧縮力を受けて水が取り除かれる。それにより、ウェブ中のセルロース繊維が互いに付着し、セルロースを含む繊維状のウェブは紙シートへと転換する。水は、プレス布(単一か複数)に受け入れられ、理想的には、紙シートへは戻らない。
【0006】
紙シートは、最後に乾燥部分に移る。そこには、少なくとも一連の回転乾燥ドラムあるいはシリンダがあり、その内部はスチームによって加熱されている。新しく形作られた紙シートは、乾燥布によって一連のドラムのそれぞれの周りを順次曲がりくねるように進む。乾燥布は、ドラムの表面に紙シートをぴったりと保持する。加熱ドラムは、蒸発によって紙シートの水分量を必要なレベルまで低減する。
【0007】
成形、プレスおよび乾燥の各布は、製紙機械上で無端のループの形態であり、コンベヤのように機能することを理解されたい。さらに、紙の製造は、かなりのスピードで生じる連続的な処理であることを理解されたい。すなわち、繊維のあるスラリーは、成形部分で成形布上に連続的に堆積し、同時に、新しく製造された紙シートは、乾燥部分から出た後ロールに連続的に巻かれる。
【0008】
また、広大な大きさの成形、プレスおよび乾燥の布は、あるいは少なくとも構成部分として含むものは、その周りを縦方向に測る際の特定の長さと、それを横切るように横に測る際の特定の幅とをもつ無端ループの形態の織り布である。製紙機械の相対的な配置は大きく異なるので、製紙機械布を製造する場合、成形、プレスおよび乾燥の布の大きさを、お客の製紙機械における成形、プレスおよび乾燥の各部分の特定の位置に適合するように作ることが必要である。言うまでもないが、この要求があるため、各布を一般に注文に合うよう作らなければならず、製造プロセスを合理化することが困難である。
【0009】
さらにまた、布のある方向に横たわる糸が布上別の方向に横たわる糸を取り囲む個所に作られるナックル
によって、織り布の表面は必然的にある程度でこぼこしているため、紙製品にシート模様(マーキング)を全く生じないようにすることは困難である。
【0010】
いくつかの先行技術が、これらの問題を解決しようとしている。たとえば、ボーモントほかの米国特許第3,323,226号は、1または2層以上のポリエステルフィルムを備える合成繊維の乾燥ベルトに関する。そのベルトに対し、機械的な穴あけによって、貫通穴をあけるようにしている。また、ベックの米国特許第4,495,680号は、製紙ベルトを作るために用いる縦糸だけで構成したベース布を形成する方法および装置を示す。本質的に、縦糸は2つのロール周りにらせん状に巻かれる。その次に、縦糸のらせん配列に対し、繊維状の綿あるいは他の不織材料をあてがい付着し、横糸のない製紙ベルトを得る。いうなれば、横方向の糸をもたないベルトである。
【0011】
アルバートの米国特許第4,537,658号は、細長く、連結した、穴のあいた複数のエレメントから作った製紙機械布を示す。細長いエレメントは、一体化タングあるいはピントル連結部材のいずれかによって、あるものを次のものに連結する。ピントル連結部材は、ある細長いエレメントから隣接するエレメントまで伸びる。細長いエレメントは、開示された製紙機械布の横方向に広がり、平らで平行な上面および下面をもつ。
【0012】
アルバートの米国特許第4,541,895号は、複数の不織シートを積層し、布あるいはベルトを形作った製紙機械布を示す。不織シートは、レーザ穴あけによって穴があけられている。そのようなシートは、非配列の樹脂材料から構成される。それを紙の製造に必要とされる細かさで作ると、製紙機械上で無端ベルトとして作動するためには、寸法的な安定性を欠くであろう。
【0013】
ステックの米国特許第4,842,905号は、モザイク式の製紙機械布およびその布を作るためのエレメントを示す。エレメントは、メスあるいは凹部材と組み合うオスあるいは凸部材を含むように形作る。製紙機械布は、モザイク式の複数のエレメントを備え、それらを相互に連結し、必要な長さおよび幅のモザイクを作り出す。
【0014】
ロマンスキの米国特許第6,290,818号は、ベース布を穴あけ可能なエキスパンドフィルムの無端チューブで作ったシュープレスベルトを示す。
【0015】
ハンセンの米国特許第6,630,223号は、形のある(断面が非円)モノフィラメントをらせん状に巻いたものの複数から作った工業用ベルトを示す。モノフィラメントは、互いが隣接する巻きの側面同士を接触させ、適切な手段で互いに固定する。
【0016】
また、ハンセンの米国特許第6,989,080号は、原綿からなるMDベース層をらせん状に巻き、同様のあるいは同様でない原綿からなるCD層を上乗せし、適切な手段で結合した不織の製紙機械布を示す。
【0017】
セイヤーズの米国特許公開第2007/0134467A1は、フィルム材料からなる一連の層を積層する工程と、積層体に穴あけ加工して多数の穴がある布を得る工程とを備える方法を提案している。
【0018】
現代の製紙機械の布は、幅が5フィート(1m50cm)から33フィート(10m)を越え、長さが40フィート(12m)から400フィート(120m)を越え、そして、重さは約100ポンド(45kg)から3,000ポンド(1360kg)を越える。それらの布はすり減るので、交換が必要である。布を交換するとき、機械を休ませ、すり減った布を取り除き、布を取り付けるための準備をし、新しい布を取り付ける。多くの布が無端であるのに、今日用いられる布の多くは機械上で縫い合わせを行う。布を取り付けるとき、布の本体を機械に引っ張り、布の端部を連結して無端のベルトに形作る。
【0019】
いろいろな長さや幅の布をより速くかつ効率的に製造するという要求に応えるため、最近では布をらせん巻き技術を用いて製造するようになっている。その技術は、この出願人に譲渡された、レックスフェルトほかの米国特許第5,360,656号(以下、「‘656特許」)に示されている。その特許の内容を参照によって、ここに一体に組み込む。
【0020】
‘656特許は、その層の中に縫い通したステープル(短繊維)材料を含む1あるいは2以上の層をもつベース布を備える布について示している。ベース布は、織り布をらせん状に巻いたストリップ(細長い片)から構成される少なくとも1層を備える。そのストリップの幅はベース布の幅よりも小さい。ベース布は、縦方向すなわち紙の進行方向に無端である。らせん状に巻いたストリップの縦糸が、布の縦方向と角度をもつ。織り布のストリップは、織り機のパイルなしの織りにすることができる。その織り機は、製紙布の製造で一般に用いるものよりも狭い。
【発明の概要】
【0021】
この発明は、以上に述べたような先行特許/特許出願によって検討した問題を解決する代わりの解決策を提供する。
【0022】
したがって、この発明の一実施例は、工業用の布、あるいは製紙機械の通し風乾(TAD)を含む成形、プレスおよび乾燥の各部分のベルトに関する。この発明の布あるいはベルトは、また、シートトランスファー、ロングニッププレス(LNP)あるいはカレンダーベルト、またはコルゲータベルトのような他の工業用処理ベルトに用いることもできる。布は、また、たとえばサンフォライズ加工ベルトあるいは皮革なめし(タンネリ)ベルトなどのテキスタイル仕上げベルトの部分として用いることができる。さらに、この発明の布は、工業用ベルトを材料の脱水に用いる他の工業設備(セッティング)に用いることができる。たとえば、布をパルプ成形あるいはパルププレスベルト、たとえばダブルニップシックナー(DNT)脱インク機械上の脱水ベルトなどの、脱インク処理時にリサイクル紙の脱水に用いるベルト、または、スラッジ脱水ベルトに用いることができる。この発明のベルトは、エアレイド、スパンボンド、メルトブローン、あるいはハイドロエンタングルなどのプロセスによる不織布の製造に用いるベルトおよび/またはスリーブとして使用することができる。ベルトおよび/またはスリーブは、無端のループ形態であり、内側面と外側面とがある。
【0023】
一つの実施形態において、無端のベルトは、側面同士を隣接させた2つのロール周りにらせん巻きしたストリップ材によって形成する。ストリップ材は、適正な手法で互いにしっかりと取り付けられ、それにより、特定の用途に応じた必要な長さおよび幅で無端のループを形作る。スリーブの場合、ストリップ材は、単一のロールあるいはマンドレルの周りに巻くことができる。そのロールあるいはマンドレルは、スリーブを用いるべきドラムの直径およびCD長さとほぼ同じである。用いるストリップ材は、工業用ストラップ材として一般に製造されるものである。ストラップ、特にプラスチックストラップ材は、比較的に薄いプラスチックバンドとして形作られ、対象物を一緒に固定したり留めたりするために用いる。驚くべきことに、このタイプのプラスチック材がこの発明のベルトを構成するストリップ材としての適切な特性をもつことを見出した。
【0024】
(プラスチック)ストラップ材とモノフィラメントとの間の定義における違いは、サイズ(大きさ)、形および用途にある。ストラップ材およびモノフィラメントは両方ともに、押出し処理によって作られ、その押出し処理は押出し、単軸の配列および巻取りという同じ基本工程をもつ。モノフィラメントは、一般に、ストラップ材よりも大きさが小さく、形が丸い。モノフィラメントは、たとえば釣り糸、製紙機械布を含む工業用布など広範囲ないろいろな用途に用いられる。ストラップ材は、一般に、モノフィラメントよりも大きさがはるかに大きく、しかも、主要な軸線に沿って基本的に常により広く、たとえば、ねらいとする目的に適う長方形である。
【0025】
プラスチックストラップ材を押出し処理で作ることは、押出し分野で良く知られている。また、その処理には、押出し材料を単軸配列することを含むことも良く知られている。また、単軸配列を用いる2つの基本的な押出し処理があることも良く知られている。一つの処理は、個々のストラップに切断する幅広のシートに関する押出しおよび配列である。もう一方の処理は、配列すべき個々のストラップの押出しである。この第2の処理は、モノフィラメントを作る処理に非常に似ている。その点、両方の処理のための装置が類似していることが証拠となる。
【0026】
モノフィラメントに代わるものとしてストラップ材を用いる利点の一つは、布を製造する上で必要ならせん巻きの数である。モノフィラメントは、通常、それらの最大の軸が5mmより大きくない糸と考えられる。製紙機械布および上述した他の用途に用いる単軸モノフィラメントは、それらの最大の軸が1.0mmを超えることはまれである。ストラップ材として用いるものは、通常、幅が少なくとも10mmであり、幅が100mmを超えることもある。幅が1000mmに達するようなストラップ材を用いることも考えられる。使用するストラップ材の供給元には、たとえばSignode(シグノード)などの会社がある。
【0027】
この発明は、在来のベルトあるいはスリーブに代わる改良したそれらを提供するものであり、その上に製造する不織製品に対し、たとえばバルク、外観、織りの感じ(テクスチャー)、吸収性、強度、および手触りなどの必要な物理的な特性を与える。
【0028】
他の利点として得られるものには、それに限定されないが、基本の繊維をトラップする糸の交差がないことから、今までの織り布よりすぐれた繊維のサポートおよび取外し性(取り残し無し)、ならびに、より容易な清掃性などがある。ベルト/スリーブが表面テクスチャーをもつ場合、より有効な模様(パターン)/テクスチャーを不織物に移すことができ、その結果、バルク(比容積)/吸収性などの物理特性をも良好にすることができる。
【0029】
さらに他の利点は、厚さ対引張応力の特性である。今までのポリエステル(PET)フィルムは、たとえば長軸(あるいは、縦方向−MD)の引張応力が約3.5GPaである。それに対し、PETストラップ(あるいはリボン)材の引張応力は、10GPa〜12.5GPaの範囲である。同じ引張応力をフィルムで得るためには、厚さを3〜3.6倍になるように構成しなければならないだろう。
【0030】
したがって、この発明は、一つの実施形態によれば、それらのらせん巻きリボン製の単一あるいは多層の構造として作った布、ベルトあるいはスリーブである。その布、ベルトあるいはスリーブは、平らで、滑らかな上面および下面をもつ。その布、ベルトあるいはスリーブは、また、たとえば、サンド加工、彫り、エンボス加工あるいはエッチングなどの公知の方法を用いてテクスチャー付けすることができる。そのベルトは、空気および/または水に不透過性とすることができる。また、そのベルトは、ある機械的な手段あるいは熱的な(レーザ)手段によって穴をあけることができ、そうすれば、空気および/または水に透過性となる。
【0031】
他の実施形態において、リボンは、重なり合う形になるように形成する。ベルトは、それらの重なり合うストリップをらせん状に巻くことにより形成し、隣接するリボンストリップが平行および/または垂直な側をちょうど隣接させたものよりも大きな完全性をもつことになるだろう。このベルトは、また、空気および/または水に不透過性とすることができるし、あるいは、穴あけして透過性となるようにすることができる。
【0032】
この発明の布、ベルトあるいはスリーブは、任意ではあるが、その表面の一方あるいは両方に機能性の被膜を設けることができる。機能性の被膜は、上面が平らか滑らかにすることができるし、あるいはまた、たとえば、サンド加工、彫り、エンボス加工あるいはエッチングなどの公知の方法を用いてテクスチャーを付けることができる。機能性の被膜の材料として、たとえばポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、または他の高分子樹脂材料あるいはゴムなど、この分野で知られたものを用いることができる。また、機能性の被膜には、任意ではあるが、微小の(ナノ)充てん材(フィラー)などの粒子を含ませることができ、それにより、この発明の布、ベルトあるいはスリーブの曲げ疲労、割れの拡大あるいは摩耗特性の耐性を向上させることができる。
【0033】
さらに、この発明の布、ベルトあるいはスリーブは、成形ベルト、プレス布、通し風乾(TAD)布、シュープレス、トランスファーあるいはカレンダーベルト、エアレイド、メルトブローン、スパンボンド、あるいはハイドロエンタングルに用いる処理ベルト、シートトランスファー、ロングニッププレス(LNP)あるいはカレンダーベルト、コルゲータベルト、サンフォライズ加工ベルト、皮革なめし(タンネリ)ベルト、パルプ成形あるいはパルププレスベルト、ダブルニップシックナー(DNT)脱インク機械上の脱水ベルト、または、スラッジ脱水ベルトにも用いることができる。
【0034】
上述の実施例あるいは実施形態では、らせん巻きのリボンのストリップを単一の層にしているが、いろいろな地形的な特徴を伴うストリップを用いて、2層あるいは3層以上のベルトあるいはスリーブを形成するという利点がある。したがって、一つの典型的な実施形態によれば、ベルトあるいはスリーブは2層あるいは3層以上であり、ストリップは、2層あるいは3層以上に機械的に重なり合うよう、あるいは公知の方法で一緒に取り付けるように形成する。繰り返しになるが、構造物は、空気および/あるいは水のいずれかに対して不透過性、あるいは穴あけをした透過性のいずれかである。
【0035】
他の実施形態は、ベルトあるいはスリーブの完全性を改良するために、「溶接ストリップ」の考え方を用いて形成した多層の構造物である。その構造物は、空気および/あるいは水のいずれかに対して不透過性、あるいは穴あけをした透過性にすることができる。
【0036】
布および布構造物という用語を用いているが、布、ベルト、コンベヤ、スリーブ、サポート部材、および布構造物は、この発明の構造物を述べる上で、相互に交換可能である。同様に、ストラップ、リボン、ストリップ材、ストリップ材料は、明細書を通して交換可能に用いている。
【0037】
この発明を特徴づける新しさをもついろいろな特徴について、特にクレームの中に指摘した。クレームは、添付するものであるが、この発明の開示の一部を構成する。この発明、ならびに、それを使用することによって得る作用効果および特定の目的をより良く理解するため、詳細な説明を参照されたい。そこには、この発明の好ましい実施形態(これに限定されない)が図面に示されている。図面には、対応する構成部分に対し、同じ参照番号を付けるようにしている。
【0038】
この中で用いる用語「備えている(comprising)」および「備える(comprises)」は、「含んでいる(including)」および「含む(includes)」という意味になるし、あるいは米国特許法におけるそれらの意味にもなる。また、「本質的に有している(consisting essentially of)」および「本質的に有する(consists essentially of)」の用語は、クレームで用いるときには、米国特許法におけるそれらの意味である。この発明の他の考え方(形態)については、以下の説明に記載されているか、その記載から自明である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】この発明の一実施形態による布、ベルトあるいはスリーブの斜視図である。
【
図2】この発明の布、ベルトあるいはスリーブを構成するために用いる方法を示す図である。
【
図3(a)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材の実施例の横方向の断面図である。
【
図3(b)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材の実施例の横方向の断面図である。
【
図3(c)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材の実施例の横方向の断面図である。
【
図3(d)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材の実施例の横方向の断面図である。
【
図3(e)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材の実施例の横方向の断面図である。
【
図3(f)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材の実施例の横方向の断面図である。
【
図3(g)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材の実施例の横方向の断面図である。
【
図3(h)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材の実施例の横方向の断面図である。
【
図3(i)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材の実施例の横方向の断面図である。
【
図4(a)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材の別の実施例の横方向の断面図である。
【
図4(b)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材の別の実施例の横方向の断面図である。
【
図4(c)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材の別の実施例の横方向の断面図である。
【
図4(d)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材の別の実施例の横方向の断面図である。
【
図5(a)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材のさらに別の実施例の横方向の断面図である。
【
図5(b)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材のさらに別の実施例の横方向の断面図である。
【
図5(c)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材のさらに別の実施例の横方向の断面図である。
【
図6(a)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材の他の実施例の横方向の断面図である。
【
図6(b)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材の他の実施例の横方向の断面図である。
【
図6(c)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材の他の実施例の横方向の断面図である。
【
図6(d)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材の他の実施例の横方向の断面図である。
【
図7(a)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材のさらに他の実施例の横方向の断面図である。
【
図7(b)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材のさらに他の実施例の横方向の断面図である。
【
図7(c)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材のさらに他の実施例の横方向の断面図である。
【
図7(d)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材のさらに他の実施例の横方向の断面図である。
【
図8(a)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材のさらなる実施例の横方向の断面図である。
【
図8(b)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材のさらなる実施例の横方向の断面図である。
【
図8(c)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材のさらなる実施例の横方向の断面図である。
【
図9】単一軸配列の材料(ストラップ/リボン)を用いた場合の利点を示す棒グラフであり、2軸配列材料(フィルム)および押出し材料(成形品)との比較をしている。
【
図10(a)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いる方法の中の工程図である。
【
図10(b)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いる方法の中の工程図である。
【
図10(c)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いる方法の中の工程図である。
【
図10(d)】この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いる方法の中の工程図である。
【
図11(a)】この発明の一実施形態による布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いる装置の模式図である。
【
図11(b)】この発明の一実施形態による布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いる装置の模式図である。
【
図12】この発明の一実施形態による布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いる装置の模式図である。
【
図13】この発明の一実施形態による布、ベルトあるいはスリーブの断面図である。
【
図14】この発明の一実施形態による布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いる装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
さて、図に目を向けると、
図1は、この発明の工業用布、ベルトあるいはスリーブ10の斜視図である。その布、ベルトあるいはスリーブ10は、内側の面12と外側の面14とを備える。そして、それは、たとえば工業用ストラップ材などのストリップ状の高分子材料16を、複数が重なり互いに隣接するように回転するようらせん状に巻くことによって形作る。ストリップ材16は、その布、ベルトあるいはスリーブ10を構成するらせん形に基づいて、布10の周囲に実質的に長さ方向にらせん巻きする。
【0041】
布、ベルトあるいはスリーブ10を製造するための典型的な方法を
図2に示す。装置20は、第1の処理ロール22および第2の処理ロール24を含み、それらの各ロールはその縦軸の回りを回転可能である。第1の処理ロール22および第2の処理ロール24は、互いに平行であり、ある距離だけ離れている。その距離は、その回りの長さを測るとき、そこに製造すべき布、ベルトあるいはスリーブ10の全長を定めるものである。第1の処理ロール22の側部に供給リール(図示しない)が備わっている。その供給リールは、軸回りに支持され、処理ロール22,24に対し平行かつ取り外し可能になっている。供給リールは、たとえば10mmあるいはそれ以上の幅のストリップ材16をリール巻きして供給することができる。供給リールは、はじめには、たとえば第1処理ロール22の左手に位置し、その後、所定の速度で右側あるいは他方の側へと連続的に位置を変える。
【0042】
布、ベルトあるいはスリーブ10を製造するため、ストリップ状の高分子材料16の最初の部分を、第1の処理ロール22からぴんと張った状態で第2の処理ロール24へと向かわせ、第2の処理ロール24を回り、第1の処理ロール22へと戻り、閉じたらせん26からなる第1のコイルを形成する。閉じたらせん26からなる第1のコイルを閉じるため、ストリップ状の高分子材料16の最初の部分を端部28で第1のコイルの端に接合する。次に述べるように、ストリップ材16のらせん巻きの隣接する回転(巻き)同士は、機械的および/あるいは接着手段によって互いに接合する。
【0043】
したがって、閉じたらせん26からなる引き続くコイルは、ストリップ材16を第1の処理ロール22に供給しつつ、
図2の矢が示すように、第1の処理ロール22および第2の処理ロール24を共通の方向に回転させることによって製造する。同時に、第1の処理ロール22上に新しく巻かれるストリップ材16は、第1の処理ロール22および第2の処理ロール24上にすでにあるものと連続的に接合する。その接合は、たとえば、機械的および/あるいは接着手段またはその他の適切な手段により行い、それにより、閉じたらせん26からなる追加のコイルを製造する。
【0044】
このプロセスあるいは処理は、第1の処理ロール22あるいは第2の処理ロール24に沿って軸方向に測るとき、閉じたらせん26が求める幅に達するまで続ける。達したその時点で、第1の処理ロール22および第2の処理ロール24上にまだ巻かれていないストリップ材16は切断し、それによって製造した閉じたらせん26を第1の処理ロール22および第2の処理ロール24から取り外し、この発明の布、ベルトあるいはスリーブ10を得る。
【0045】
ここでは2つのロールの組立てを述べているが、単一のロールあるいはマンドレルの表面にストリップを巻き、この発明の布、ベルトあるいはスリーブを形作ることができるのは明らかである。ロールあるいはマンドレルの大きさは、製造すべき布、ベルトあるいはスリーブの必要な大きさに基づいて適正に選択されるべきである。
【0046】
布、ベルトあるいはスリーブ10を製造するためのこの方法は、きわめて融通性があり、縦方向および横方向の大きさがいろいろな製紙機械および/または工業用の布、ベルトあるいはスリーブの製造に適用することができる。すなわち、製造者は、この発明を実施することにより、与えられた製紙機械の長さおよび幅の織り布をもはや製造する必要がない。むしろ、製造者は、第1の処理ロール22および第2の処理ロール24を適正な距離だけ離すだけで良く、それにより、布、ベルトあるいはスリーブ10の大体の長さを定め、閉じたらせん26が求める幅に達するまでそうした第1の処理ロール22および第2の処理ロール24上にストリップ材16を巻けば良い。
【0047】
布、ベルトあるいはスリーブ10は、ストリップ状の高分子ストラップ材16をらせん状に巻くことにより製造され、織り布ではないので、布、ベルトあるいはスリーブ10の外側の面12はなめらかで連続的であり、ナックル(knuckle)がない。ナックルは、織りのサポート部材の表面が完全には滑らかにならないようにするものである。しかし、この発明の布、ベルトあるいはスリーブは、その上に製造する紙あるいは不織製品に対し、増大した地形およびバルクを与える幾何学的特徴をもつ。このサポート部材の他の利点は、ウェブの取外しが容易であること、汚れに対する耐性が向上すること、および繊維の取残しが減少することである。さらにまた、他の利点は、今までの織り機という束縛およびその必要性を避けることができることである。というのは、貫通する空所が必要な位置あるいはパターンの中に置かれているからである。また、布、ベルトあるいはスリーブの一面あるいは両面にテクスチャーをもたせることができる。そのようなテクスチャーを得るには、たとえば、サンド加工、彫り、エンボス加工あるいはエッチングなどの公知の方法を用いることができる。あるいはまた、布、ベルトあるいはスリーブの一面あるいは両面を滑らかにすることができる。
図3(a)〜3(i)は、この発明の布、ベルトあるいはスリーブの製造に用いるストリップ材のいくつかの実施例の横方向の断面図である。各実施例は、上部面および下部面を含み、それらの面は平ら(平坦)かつ互いに平行であるか、あるいは、特定の用途に適う外形(プロフィール)をもつ。
図3(a)に戻ると、この発明の一実施例によれば、ストリップ材16は上部面15、下部面17、第1の平坦側面18および第2の平坦側面19をもつ。上部面15および下部面17は、平ら(平坦)かつ互いに平行であり、そして、第1の平坦側面18および第2の平坦側面19は平行な方向に傾斜している。それにより、らせん巻きする各ストリップ材16の第1の平坦側面18がすぐに続く巻きの第2の平坦側面19にぴったりと接触する。ストリップ材16の各巻きは、それに隣接する巻きに対し、それぞれの第1および第2の平坦側面18,19がたとえば接着剤によって互いに接合する。その接着剤としては、たとえば、熱活性(熱硬化)、室温硬化(RTC)あるいは熱溶融接着剤を用いることができ、さらには、他の適正な手段によって接合することができる。
【0048】
図3(b)において、ストリップ材16は、らせん状に形成した布、ベルトあるいはスリーブにおける、隣接するストリップ材16を機械的な組合いによって連結することができる断面構造をもつ。隣接するストリップ材16は、大きさおよび/あるいはプロフィールを同じにするか、あるいは異ならせることができるが、
図3(b)に示すように、それぞれが組合い(ロック)位置をもつ。機械的な組合い構造の他の例を、個々のストリップ材16の断面を
図3(c)〜3(g)に示す。各例において、ストリップ材16の一方の側を隣接するストリップ材16の他方の側に機械的に組合せあるいは連結するようにしている。たとえば、
図3(g)に示す実施例を見ると、ストリップ材16は、上部面42、下部面44、一方側の凸部46、および他方側の対応する溝48をもつ。凸部46は溝48の大きさに対応する大きさであり、それにより、らせん巻きの各ストリップ16の凸部46がすぐ後に続く巻きの溝48の中にかみ合う。ストリップ材16の各巻きは、凸部46を溝48の中に固定することにより、隣り合う巻きと結合する。上部面42および下部面44は、平ら(平坦)かつ互いに平行であるか、あるいは、用途に応じて非平面状かつ非平行であるか、または、
図3(f)に示すように、幅方向に凸状あるいは凹状に丸くなっている。同様に、ストリップの一方の側部は、凸の柱状あるいは同じ曲率半径の凹状である。
図3(h)は、この発明の他の実施例を示す。
【0049】
対立する半球あるいは上述したプロフィールを伴う押出し成形によるストリップ材をもつことに加え、他のいろいろな形を押出し成形し、あるいは長方形の押出し品を機械加工することにより、盛り上がったレールの相手になる端部をもたせることができる。レールは、機械的および/または接着手段によって結合することを助ける。この発明の典型的な実施例によるそのような一つの構造を
図3(i)に示す。あるいはまた、ストリップ材について、相手となり一緒に結合するものが右側および左側にあることは必要ではない。たとえば、
図4(a)に示すように、ストリップ材16は、その上面あるいは上側にかみ合い溝をもつ断面とすることができるし、あるいは、ストリップ材16は、
図4(b)に示すように、その下面あるいは下側にかみ合い溝をもつことができる。
【0050】
図4(c)は、たとえば、かみ合い(組合い)位置にある
図4(a)および4(b)のストリップ材を示す。
図4(c)の中の矢印は、たとえば、溝にかみ合わせ2つのストリップを組み合わせるために、各ストリップ材16を動かす方向を示している。
図4(d)は、2つのストリップ材16が組み合って一緒に結合した後の状態を示す。この実施例には、ストリップ材を2つだけ示すが、最終的な布、ベルトあるいはスリーブは、一緒にかみ合わせた2つ以上のいくつかのものから形成されることは勿論である。また、らせん巻きの処理におけるストリップ材をかみ合わせることによって、無端のループ形態のシート材を形成することができることも明らかである。また、機械的なかみ合いを示すが、たとえば、熱ボンディング、特には、「クリアウェルド(Clearweld)」と称される処理(URL:www.clearweld.com参照)によって結合を行うことによって、かみ合いあるいは結合の強度を高めることができる。
【0051】
図5(a)は、上側および下側の両方に溝をもつストリップ材16の断面図を示す。
図5(b)は、
図5(a)に示す断面形状をもつ2つのストリップ材16がいかにかみ合うかについて示す。このようなかみ合った構造によれば、最終製品の上部面および下部面に溝が結果として生じる。
【0052】
図5(c)に示す実施例を見ると、
図5(c)は、
図5(a)および
図4(b)に示す2つのストリップ材16を示す。これによると、下面に溝をもち、上面が平らなシート製品を結果として得る。同様に、上面にみぞをもち、下面が平らな構造にすることもできる。
【0053】
他の例は、ノブ状のかみ合いあるいは「積極的な」ロックをもつストリップ材16から製造した布、ベルトあるいはスリーブである。それによれば、機械的な設計に起因して、より強いかみ合いを得ることができる。その設計は「積極的な」かみ合いであり、ピンとそのピンのためのレセプターが機械的な締め代をもつ。その締め代は、リボンを結合するため、あるいはそれらを分離するためのいずれにもかなりの力を必要とする。
図6(a)は、たとえば、個々のリボン状ストリップ材16におけるノブ状のかみ合いの特徴を示す。
図6(b)は、反対の形状であり、
図6(a)に示す構造のものとかみ合うようになった形の個々のリボン状ストリップ材16におけるノブ状のかみ合いの特徴を示す。
図6(c)は、かみ合い位置にある
図6(a)および6(b)の個々のリボン状ストリップ材16を示す。ここで留意すべきは、上部および下部のリボンが互い違いに配され、それによって、反対形状の他のストリップ材16に適応させている点である。最後に、
図6(d)は、これらの同じストリップを押してかみ合い構造を形成したものを示す。最終的な布、ベルトあるいはスリーブを形作るためには、このようなリボン状ストリップ材のいくつかのものをかみ合わせる。
【0054】
他の典型的な実施例は、たとえば、
図7(a)に示すように、上側および下側の両方に溝をもつストリップ材16から形成した布、ベルトあるいはスリーブである。これらの2つのリボン状ストリップ材16は、
図7(b)に示すように、積極的なかみ合いを形成するように結合するようになっている。ここで留意すべきは、上面および下面の両方がそれぞれの面に溝を保持している点である。また、
図7(a)および7(b)を見ると、3あるいは4以上のストリップを組み合わせることにより、多層の構造を得ることができることは明らかであり、また、2つのストリップを用いるとしても、上部のストリップにおける溝の形状を下側のものと同じにするか、あるいは異ならせることができる。同様に、下側のストリップにおける溝の形状を、どちらかの側と同じにするか、あるいは異ならせることができる。先に述べたように、ここに述べた実施例は、リボンあるいはストリップをらせん状に巻いた単一の層に対するものであるが、2層あるいは3層以上のベルトを形成するいろいろな幾何学的配列を伴うストリップを用いることにも利点がある。したがって、典型的な実施例の一つのベルトは、2層あるいは3層以上であり、それらの層を機械的にかみ合わせることにより構成している。各層は、反対の方向にあるいはMD方向に傾斜するようにらせん状に巻き、追加的な強度を得る。
【0055】
例を示すと、
図7(c)は、溝をもつ下面と平らな上面とを結果として生じるかみ合い構造を示し、それに対し、
図7(d)は、平らな下面と溝をもつ上面とを結果として生じるかみ合い構造を示す。
【0056】
当業者にとって明らかなことであるが、上述したように、積極的なかみ合いにするために、いろいろな形状が考えられる。たとえば、すでに述べたいくつかの実施例では、丸いノブ状の凸部と丸いレセプターとに焦点を当てている。しかし、同じ効果を得るために、たとえば台形のような他の形状を用いることもできる。そのような形の積極的なかみ合いについての一例を
図8(a)に示す。あるいはまた、形をミックスさせることにより、積極的なかみ合いを得ることができる。ミックスさせた形の一例を
図8(b)および8(c)に示す。
【0057】
上の実施例に述べたように、隣接するストリップ材の間に形成した機械的なかみ合いは、らせん巻きのベース布を作るのを容易にする。なぜなら、そのようなロックがなければ、らせん巻きの布を作る処理の際、隣接するストリップ材があっちこっちと動き離れてしまう可能性があるからである。隣接するらせん一巻き同士を機械的にかみ合わせることによって、それらの隣接するものがあっちこっちと動き離れることを防ぐことができる。さらに、結合強度を得るために、機械的なロックによる強度にのみ頼るのではなく、布の機械的なロック域に熱的な溶着をも形成することができる。これを達成する場合、この発明の一実施例によれば、オス/メスのロックをするに先立って、近赤外あるいは赤外、またはレーザを吸収する染料を設置し、その後に機械的なロックに対し、近赤外あるいは赤外、またはレーザソースを当て、機械的なロック領域の外の材料を溶融することなく、機械的なロック部分を熱溶着する。
【0058】
上の実施例に述べたストリップ材は、当業者に知られた高分子樹脂材料から押出し成形することができる。その樹脂材料として、たとえば、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの樹脂がある。工業用ストラップは単一軸配列のベース材料として魅力的であり、その引張応力は2軸配列材料(フィルム)の少なくとも2倍であり、押出し材料(成形品)の10倍に達する。しかし、他の適切な材料を用いることができる。すなわち、単一軸配列の構造によるものの厚さは、2軸配列材料(フィルム)のものの半分以下、押出し材料(成形品)のものの1/10以下の厚さを要求されるだけである。この特徴を
図9が示しており、決まった幅に対し、特定の力およびひずみを得るようにした部分品についての結果を示す。これを得る上で用いた式は、次の式1に示すとおり、応力(力)とひずみとの関係である。
【0059】
[式1]
力 = (引張応力xひずみ)
(幅x厚さ)
【0060】
この実例において、力(あるいは荷重)は幅およびひずみと一緒に一定に保った。式1は、必要な厚さが材料の引張応力に反比例することを示す。この式1は、製紙機械布を寸法的安定性をねらって設計する際の問題を表現している。すなわち、製造機械布は、荷重が分かり、最大ひずみが分かり、機械の幅が一定である。その結果は、使用する材料の引張応力に応じて必要とされる部分の最終的な厚さによって示される。明らかなことであるが、ストラップあるいはリボンのような単一軸材料は、
図9から分かるように、フィルムや成形高分子に比べて大きな利点がある。しかし、この発明のサポート部材、ベルトあるいはスリーブは、単一軸あるいは2軸に配列したストラップに限定されない。この発明を実施する際、それらの一方、あるいは両方の配列を用いるからである。
【0061】
ストラップは、通常、長方形断面をもつ製品として連続した長さをもって供給される。それは、丈夫で用途が広く、通常、取扱い特性に優れた未処理のポリエステルストリップである。そこで、多くの工業分野に適している。先に指摘したように、それは機械的な強度および寸法的な安定性にすぐれ、通常の状況では、経年的にもろくなることがない。ストラップは、湿気およびたいていの化学薬品に対する耐性があり、−70℃〜150℃あるいはそれ以上の温度に耐えることができる。この発明で用いるストラップの典型的な断面寸法は、たとえば、厚さが0.30mm(あるいは、それ以上)で幅が10mm(あるいは、それ以上)である。ストラップをらせん状に巻くが、一緒に保持すべきかみ合いがない隣接の巻きを何らかの手段で溶接あるいは結合することが必要である。そのような場合、レーザ溶接あるいは超音波溶接を用いることにより、隣接するリボンあるいはストリップ材を固定あるいは溶接して横方向(「CD」)の強度などの特性を向上させることができ、しかもまた、隣り合うストリップ材が分離するおそれを低減することができる。
【0062】
単一軸ストラップが最大のMD引張応力をもつことが判明しているが、引張応力以外の特性もまた重要である。たとえば、スラップ材のためのMD引張応力が大きすぎると、最終構造のひび割れや曲げ疲労耐性を容認しがたい。あるいはまた、最終構造のCD特性もまた重要である。たとえば、PET材料および同じ厚さのストリップ材に言及すると、非配列のストリップの典型的なMD引張応力は約3GPaで強度は約50MPaである。他方、2軸配列のストリップのMD引張応力は約4.7GPaで強度は約170MPaである。単一軸ストラップの処理についてMD引張応力を6〜10GPaの間に、しかも、強度を250MPaと等しいかあるいはそれよりも大きくするように加減すると、ストリップのCD強度が約100MPaに近づくことが分かった。さらに、その材料は壊れにくく、すなわち、曲げを繰り返しても割れないし、ストリップを結合するとき処理が良好である。ストリップ間の接着もまた、製造機械上で用いる際、分離に耐える。
【0063】
この発明の一実施例において、隣接するストリップ同士を保持する一つの方法は、隣接するストリップに横の圧力を加えて端と端とを互いに接触させつつ、それら隣接するストリップの端と端とを超音波で溶接する方法である。たとえば、溶接装置の一方の部分で一方のストリップ(好ましくは、すでにらせんに巻いたもの)を支持ロールの下方に保持し、そしてまた、溶接装置の他方の部分で他方のストリップ(好ましくは、巻いてないもの)を下方に保持したストリップに対して押し上げる。この端と端との溶接について、たとえば、
図11(a)に示す。
【0064】
超音波ギャップ溶接を適用すると、結果として特に強い結合を生じる。対照してみると、時間モードあるいはエネルギーモードのいずれかによる超音波溶接(これもまた、一般的な超音波溶接として知られている)は、壊れやすいと言うことができるような結合を生じる。したがって、一般的に知られる超音波溶接と比較して、超音波ギャップ溶接によって形成する結合の方が好ましいと言うことができる。
【0065】
この発明の一実施例において、隣接するストリップを保持するための他の典型的な方法は、隣接するストリップ16,16の端部34,36に接着剤30を付け、それらを
図10(a)〜10(d)に示すように接合する方法である。留意すべきは、充填材料を用いることにより、ストリップ同士が互いに接触しないギャップあるいは部分を充填することである。
【0066】
この発明の一実施例において、隣接するストリップ材あるいは機能的ストリップを保持するための別の方法は、ストリップ材と同じベース材からなる「溶接ストリップ」を用いる方法である。この溶接ストリップは、たとえば、
図11(b)の中にストリップ材の上および下に薄い材料として表現されている。そのような配列において、溶接ストリップは、溶接材料として、ストリップ材が
図11(a)に示す端部対端部の溶接に依存しないような組立て構造を得るような溶接を提供する。しかし、溶接ストリップを用いることにより、端部対端部の溶接は、必要でもなく、好まれもしない。溶接ストリップを用いることにより、「サンドイッチ」あるいはラミネートタイプの構造が形成され、そこには、
図11(b)に示すように、溶接ストリップの水平面に溶接したストリップ材の水平面を溶接した構造を伴う。ここで留意すべきは、溶接ストリップをストリップ材の上および下の両方に配置しなければならないことはなく、溶接ストリップをストリップ材の上あるいは下のいずれかに配置すれば良い、ということである。一つの実施形態によると、溶接ストリップをストリップ材の上および/あるいは下に配置しつつ、溶接ストリップをサンドイッチ構造の中央部分に位置させることもできる。さらに、溶接ストリップをストリップ材より薄く、そして、ストリップ材と同じ幅で示しているが、それは単なる例示にすぎない。溶接ストリップをストリップ材よりも充分に狭くあるいは広くすることができるし、ストリップ材と同じ厚さあるいはむしろ厚くすることができる。また、溶接ストリップは、もっぱら溶接ストリップとして特別な材料にするよりも、ストリップ材の片割れの部品とすることができる。さらにまた、溶接ストリップの一面に接着剤を塗布することにより、溶接作業のとき、溶接ストリップを正しい位置に保持することを助けることができる。しかし、そのような接着剤を用いるとき、接着剤を溶接ストリップの全面よりも部分的に塗布する方が良い。なぜなら、部分的な塗布によって、ストリップ材と溶接ストリップとの間の同様材料(たとえば、ポリエステル対ポリエステル)が超音波あるいはレーザ溶接による強い溶接を助長するからである。
【0067】
溶接ストリップを非配列の押出し成形高分子で作るとき、その溶接ストリップをストリップ材よりもずっと薄くするのが好ましい。なぜなら、非配列の押出しによる溶接ストリップは、最終的な構造の寸法的な安定性を維持しにくいからである。その点、この中で先に示したとおりである。しかし、溶接ストリップを配列した高分子で作るときには、ストリップ材と組み合わせる溶接ストリップをできるだけ薄くするのが好ましい。先に述べたように、溶接ストリップは、ストリップ材とは別の部品にすることができる。しかし、そうした場合、個々の材料の厚さについて、サンドイッチあるいはラミネートの全体の厚さが最小になるように選択するのが好ましい。これも先に述べたように、溶接ストリップに接着剤を塗布し、もっと先の処理に際し構造を保持するようにすることができる。一つの実施形態において、接着剤を塗布した溶接ストリップを用いることにより、たとえば、穴あけ工程に直接向かう構造を作り出している。その穴あけ工程は、超音波接合なしのレーザによる穴あけ工程であり、レーザによる穴あけあるいはせん孔によって、サンドイッチ構造を保持することができるスポット溶接を生じる。
【0068】
この発明の一実施例において、隣接するストリップ材同士を保持するさらに別の方法は、レーザ溶接技術によって隣接ストリップを溶接する方法である。
【0069】
図14は、この発明の一つの実施形態によって、レーザ溶接処理に用いる典型的な装置320を示す。この処理において、
図14に示す布、ベルトあるいはスリーブ322は、その最終的な布、ベルトあるいはスリーブの全体長の短い一部であると理解されたい。布、ベルトあるいはスリーブ322は無端(エンドレス)であり、図には示さないが、当業者には良く知られているように、実際は一対のロール周りに支持されている。そのような配列の中で、装置320は、2つのロール間の布322の2面の一方、最も好都合には上部の面に配置されている。無端であろうがなかろうが、布322は、処理の間、妥当な程度の張力をかけておくのが好ましい。さらに、自重による垂下を防ぐために、布322が装置320を通って動くとき、布322を下から水平に支えることができる。
【0070】
さて、
図14をさらに詳しく見ると、この発明の方法を実行するとき、布322は装置320を通して上方に動くように示されている。溶接処理に用いるレーザヘッドは、布がMDあるいは「Y」方向に動くのに対し、布をCDあるいは横の「X」方向に横切っていく。また、機械的に固定したレーザ溶接ヘッドに対し、布を3次元に動かすようにシステムを構成することも可能である。
【0071】
超音波溶接に対してレーザ溶接の有利な点は、超音波溶接の先端速度が約10m/分であるのに対し、レーザ溶接は100m/分の範囲の速度で達成することができることである。また、ストリップの端部に光吸収性の染料あるいはインクを加えると、レーザの熱的作用の集中を助けることができる。吸収材料は、黒インク、あるいは人の目には見えない近赤外染料であり、たとえば、「クリアウェルド(Clearweld)」(URL:www.clearweld.com参照)として入手可能なものがある。
【0072】
最終的な布、ベルトおよびスリーブを作り、その布、ベルトおよびスリーブにおける隣接ストリップを何らかの方法で溶接あるいは接合した後、布の一方側から他方側へと流体(空気および/または水)を通す穴あるいは孔をレーザ穴あけなどによって設けることができる。留意すべきは、布の一方側から他方側へと流体を通すこれらの貫通穴あるいは貫通空所については、らせん巻きおよび接合処理の前あるいは後のいずれにも形成することができる。そのような穴あるいは貫通空所は、レーザによる穴あけ、または、たとえば機械的あるいは熱的な手段などのその他の適切な穴/孔形成処理によって行うことができ、ねらいとする用途に応じた大きさ、形状、配置方向、形態および/またはパターン(模様)とすることができる。貫通空所あるいは穴の開口の呼び径は、0.005〜0.01インチ(つまり、0.013cm〜0.025cm)の範囲あるいはそれよりも大である。典型的な実施例を
図13に示す。
図13は、この発明の布80の横断面、つまり横方向の断面図であり、ストリップ材82の全長にわたり、空気および/または水を通すための多数の穴84が設けられている。
【0073】
この発明の布は、先に述べたように、成形ベルト、プレス布、乾燥布、通し風乾(TAD)布、シュープレス、トランスファーあるいはカレンダーベルトに用いる基材、またはエアレイド、メルトブローン、スパンボンド、あるいはハイドロエンタングルに用いる処理ベルトとして用いることができる。この発明の布、ベルトあるいはスリーブは、ストリップ材を用いて形成した基材の上あるいは下に1あるいは2以上の付加的な層(たとえば、テクスタイル層)を含むことができる。付加的な層は、単に機能性を与えるものであり、補強するものではない。たとえば、MD糸配列をベルトあるいはスリーブの裏側にラミネートし、空所を作り出すことができる。あるいはまた、1あるいは2以上の層をストラップの2層間に設けることができる。付加的な層については、織りあるいは不織の材料、MDあるいはCD糸配列、布の幅よりも狭い幅の織り材料によるらせん巻きストリップ、繊維性ウェブ、フィルム、あるいはそれらの組合せを用いることができ、当業者に知られた適切な技術を用いて基材に取り付けることができる。ニードルパンチ、熱接合や化学接合などがその例である。
【0074】
先に述べたように、この発明の工業用の布、ベルトあるいはスリーブは、製紙機械の通し風乾(TAD)を含む成形、プレス、乾燥の各部分で用いることができる。その布、ベルトあるいはスリーブは、また、シートトランスファー、ロングニッププレス(LNP)あるいはカレンダーベルト、またはコルゲータベルトのような他の工業用の処理ベルトとしても用いることができる。また、この発明の布、ベルトあるいはスリーブの一面あるいは両面にテクスチャーをもたせることができる。そのようなテクスチャーを得るには、たとえば、サンド加工、彫り、エンボス加工あるいはエッチングなどの公知の方法を用いることができる。また、その布をたとえばサンフォライズ加工ベルトあるいは皮革なめし(タンネリ)ベルトなどのテキスタイル仕上げベルトの部分として用いることができる。さらに、この発明の布、ベルトあるいはスリーブは、工業用ベルトを材料の脱水に用いる他の工業設備(セッティング)に用いることができる。たとえば、布、ベルトあるいはスリーブをパルプ成形あるいはパルププレスベルト、たとえばダブルニップシックナー(DNT)脱インク機械上の脱水ベルトなどの、脱インク処理時にリサイクル紙の脱水に用いるベルト、または、スラッジ脱水ベルトに用いることができる。この発明の布、ベルトあるいはスリーブは、エアレイド、スパンボンド、メルトブローン、あるいはハイドロエンタングルなどのプロセスによる不織布の製造に用いるベルトとして使用することができる。
【0075】
この発明の一実施形態によれば、この発明の布、ベルトあるいはスリーブについて、任意ではあるが、その表面の一方あるいは両方に機能性の被膜を設けることができる。機能性の被膜は、上面が平らか滑らかにすることができるし、あるいはまた、たとえば、サンド加工、彫り、エンボス加工あるいはエッチングなどの公知の方法を用いてテクスチャーを付けることができる。機能性の被膜の材料として、たとえばポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、または他の高分子樹脂材料あるいはゴムなど、この分野で知られたものを用いることができる。また、機能性の被膜には、任意ではあるが、微小の(ナノ)充てん材(フィラー)などの粒子を含ませることができ、それにより、この発明の布、ベルトあるいはスリーブの曲げ疲労、割れの拡大あるいは摩耗特性の耐性を向上させることができる。
【0076】
この発明の布、ベルトあるいはスリーブは、成形ベルト、プレス布、乾燥布、通し風乾(TAD)布、シュープレス、トランスファーあるいはカレンダーベルト、またはエアレイド、メルトブローン、スパンボンド、あるいはハイドロエンタングルに用いる処理ベルト、シートトランスファーベルト、ロングニッププレス(LNP)あるいはカレンダーベルト、コルゲータベルト、サンフォライズ加工ベルト、皮革なめし(タンネリ)ベルト、パルプ成形あるいはパルププレスベルト、ダブルニップシックナー(DNT)脱インク機械上の脱水ベルト、あるいはスラッジ脱水ベルトなどにおいて、補強ベースあるいは基材として用いることもできる。
【0077】
この発明の好ましい実施例およびそれらの変形例について詳しく説明したが、この発明は、それらの実施例や変形例に限定されるわけではない。当業者は、他の変形や修正をすることができるが、それらの変化はこの発明の考え方を示すクレームの内容を越えることはない。
【符号の説明】
【0078】
10 布、ベルトあるいはスリーブ
12 内側の面
14 外側の面
15 上部面
16 ストリップ材
17 下部面
18,19 側面
20 製造装置
22,24 ロール
26 らせん
30 接着剤
34,36 端部
42 上部面
44 下部面
46 凸部
48 溝