【課題を解決するための手段】
【0012】
本請求項1に係る発明は、マイクロチャネル構造を有する成形体を成形材料から製造する成形体製造方法であって、マイクロチャネル構造モールドを内部に設けた成形キャビティを有している容器内へ成形材料を流入させ、成形材料がマイクロチャネル構造モールドのマイクロチャネル構造中に完全に入り込むまで容器に遠心力を作用させ、成形材料を硬化させてマイクロチャネル構造を成形体に形成し、マイクロチャネル構造モールドおよび容器から成形体を除去し、成形体が、それぞれマイクロチャネル構造面を有して互いに離間して配置された第1の表面と第2の表面とを備え、第1の表面では、成形材料を遠心力によって第1のモールドに圧入し、第2の表面では、遠心力によってスタンプ要素を成形材料の層に押し付けるものである。
【0013】
本発明は、一方で材料の加圧を可能にし、他方で材料の脱気を可能にする大きな力を遠心分離機である遠心力作用機によって加えることができるという所見に基づいている。
【0014】
本発明の成形体製造方法は、以下に述べられるステップを備える。
本発明に係る成形体製造方法は、微細構造モールドを備える容器内へ成形材料を充填することを含む。
また、容器の遠心分離が行なわれる。
成形材料は、容器の底部から始まり、容器の開口へと向かう方向に少しずつ圧縮される。
このようにして、所定の微細構造モールドが比較的高い密度の成形材料で満たされる。
成形体の輪郭は、マイクロメートルの範囲でも一定の厚さを確保する容器の形状によって与えられる。
十分大きい力によって成形材料が成形キャビティ内へ圧入されるため、力の明確な作用を無視することができる。
また、成形体を得るために成形材料が硬化される。
更に、本発明に係る成形体製造方法は、微細構造を有する成形体を微細構造モールドおよび容器から除去することを含む。
【0015】
この成形体製造方法は、遠心分離によって成形材料が高圧で微細構造モールドの微細構造中へ押し込まれるという利点を有する。
また、成形材料は、高圧によってキャビティのエッジへと完全に圧入される。
これは、材料分離の密度依存性に起因して、キャビティ内に存在するガスが追い出されるからである。
これは、高い表面品質を有する最適に成形された微細構造を与える。
【0016】
したがって、成形材料の脱気が遠心分離中に行なわれる。
ガスは、密度に依存する材料分離という意味で押し出される。
ガスは、構造体のキャビティから追い出されるだけでなく、更に、材料自体からも追い出される。
ガスは、最初は、遠心分離機の近傍の容器壁へと移動され、その後、この容器壁に沿って成形領域全体の外へと移動される。
成形材料が容器内すなわち成形キャビティ内へ供給されることは不可欠である。
これは、この成形体製造方法によってのみ一定の層厚の正確な成形が保証されるからである。
【0017】
この成形体製造方法は、所望の微細構造のより高速な製造を明らかに行なう。
これは、今まで、一般的な真空製造およびそれに関連する脱気が非常に時間のかかるものだったからである。
更に、本発明の成形体製造方法では、真空装置を省くことができるため、技術的努力が著しく小さい。
【0018】
本発明の更なる態様によれば、遠心分離中に成形材料が容器内へ供給される。
これは、成形材料自体の脱気および微細構造のキャビティの脱気を改善する。
遠心分離中に、ガスは完全に容器から抜け出し、容器は成形材料で完全に満たされる。
【0019】
硬化のために、成形材料に熱を供給することもまた有益である。
これは、一般に、硬化時間を短くする。成形材料の材料特性に応じて、熱の供給が特別な意味を有する。
材料が所定の温度基準値でのみ硬化する場合、成形材料は、低粘度状態で供給されて、時間とは無関係に処理された後、所望の時点で容器を加熱することによって硬化される。
容器は、基準温度を僅かに下回るまで遠心分離中に加熱される。
この場合、硬化を開始させるためには、高速で行なうことができるほんの僅かな温度ステップだけで済む。
【0020】
これに加えてあるいはこれに代えて、放射線またはUV線を印加することによっても材料を硬化させることができる。
この場合、放射線は、放射線透過容器壁を介して成形材料中へ導入される。
この手順は、成形材料が所望の時点で硬化されるという利点を有する。
【0021】
更に、遠心分離中に硬化が行なわれることが有益である。
これにより、成形材料は、ガスの再封入を回避する圧縮下で硬化するとともに、コンパクトな構造を確保する。
したがって、これは、成形材料から形成される成形体上の微細構造の高品質に寄与する。
【0022】
成形キャビティ内では、特に、その外面に第1および第2の表面を備える成形体が製造される。
2つの表面は互いに離間して配置される。第1の表面は、遠心力によって成形材料が微細構造モールド中に圧入されるように構造化される。第2の表面に対しては遠心力によってスタンプ要素が押し付けられる。
それにより、スタンプ要素の表面は、成形キャビティの側面の表面の一部を形成する。
スタンプ要素を成形材料に対して押し付けることにより、第2の表面の成形を行なうことができる。
また、スタンプ要素の質量に起因して、更なる圧力が成形材料に対して及ぼされる。
【0023】
更なる有利な態様によれば、成形体に圧入される構造化された表面をスタンプ要素が備えているため、第2の表面の微細構造化がスタンプ要素によってもたらされる。
これにより、成形体の複合表面微細構造化が1つのプロセスステップで達成される。
【0024】
微細構造が形成されるように硬化された成形体は、微細構造モールドまたは容器のそれぞれから除去された後、仕上げ手順あるいは更なる処理へとそれぞれ移行されうる。
これにより、要件に応じて所望の成形体を製造することができる。
【0025】
本請求項9に係る発明は、マイクロチャネル構造を有する成形体を成形材料から製造する成形体製造装置であって、遠心力作用機に接続可能に構成されて回転軸を中心に回転する容器を備え、容器が、成形材料を受ける成形キャビティを有し、成形キャビティが、成形材料を受けるマイクロチャネル構造面を形成したマイクロチャネル構造モールドを有し、容器が、成形キャビティを有するキャビティを形成するように互いに接続された上側部品および下側部品を備えているものである。
【0026】
微細構造を有する成形体を製造する成形体製造装置は、成形材料を構造化する役目を果たす微細構造面を備える微細構造モールドを備えている。
本発明によれば、成形キャビティを有する容器が設けられ、容器は遠心分離機に接続されるように構成されている。
成形キャビティ内には少なくとも1つの微細構造モールドが設けられている。
【0027】
本発明に係る成形体製造装置の更なる態様によれば、容器は上側部品と下側部品とを備える。
これは、上側部品と下側部品を別個に製造した後に互いに組み付けることができるため、製造方法を容易にする。
上側部品と下側部品は、組み付け時にそれらがキャビティを形成するように成形される。
また、上側部品と下側部品との間にはシールが設けられ、該シールは、成形材料の望ましくない漏れを回避する。
【0028】
本発明の更なる態様によれば、上側部品および下側部品を備える容器は、下側部品が遠心分離機の回転軸から上側部品よりも更に離間して配置されるように、遠心分離機に固定される。
【0029】
特に、回転軸に至るまでの微細構造モールドの垂直方向の距離が底部から上端へ向けて次第に減少されるように、微細構造モールドが動作中に配置されることが有益である。
【0030】
これは、下側から、したがって、回転軸から最も離れたエッジから上端へ向かって、成形材料がそれぞれ成形キャビティ内で充填されあるいは圧縮されるという利点を有する。
これにより、微細構造モールドのキャビティが完全に満たされ、封入されているガスが底部から上端へと追い出される。
この実施例において、微細構造モールドは、排気開口が印加力の方向とほぼ反対に向けられるように方向付けられる。
これにより、高分子の特に効率的な脱気が可能になる。
これは、特に微細構造の製造において非常に重要である。
【0031】
微細構造モールドが上側部品および下側部品に対して平行に配置されることが特に有益である。
【0032】
下側部品には、微細構造モールドのためのモールド受け入れ手段が設けられることが好ましく、このモールド受け入れ手段は凹部として形成される。
微細構造モールドは微細構造面を備える。
このように、微細構造モールドは、成形キャビティの側面の一部を形成する。
遠心分離機の回転時、微細構造モールドは、遠心力によって下側部品に対して押し付けられ、それにより、ロックされる。
したがって、微細構造モールドの更なる機械的なロックは不要である。
モールド受け入れ手段は、異なる微細構造モールドを容器内に挿入することができ、それにより、柔軟性の度合いが高くなるという利点を有する。
製造されるべき成形体の体積に対する影響は、微細構造モールドの厚さおよび凹部の深さによってもたらされ得る。
成形体の体積に関しては、より詳細には、容器の上側部品の形状も役割を果たす。
平坦な上側部品の場合には、微細構造モールドの厚さ及び所定サイズの微細構造モールドのみを伴う凹部の深さのパラメータによって体積を制御することができる。
【0033】
特に、下側部品自体に微細構造面が設けられる。
これは、成形キャビティの側面である下側部品の一部に形成される。
これは、硬化された成形材料を容易に分離できるという利点を有する。
【0034】
また、上側部品をスタンプ要素として形成することもでき、また、上側部品がスタンプ要素のためのスタンプ受け入れ手段を備えることもできる。
この場合、スタンプ要素は、遠心力によって下側部品へ向かう方向に移動できるように支持される。
これは、流入される成形材料の形成を可能にする。
また、更なる移動可能なスタンプ塊は、成形材料に対して加えられる圧力を増幅する。
【0035】
スタンプ要素は、成形材料に対するその接触面に微細構造を更に備えることができる。
スタンプ要素が成形材料に対して加える圧力によって、成形体への微細構造の刻設が行なわれる。
下側部品での第1のモールド中への成形材料の圧入とスタンプ要素による微細構造のスタンピングとの組み合わせによって、成形体の複合表面構造化が1つの処理ステップで可能になることが有益である。
【0036】
スタンプ要素のための受け入れ手段すなわちスタンプ受け入れ手段には解放可能なロック手段が設けられることが好ましい。
このロック手段により、スタンプ要素は、成形キャビティが未だ完全に成形材料で満たされなければ成形キャビティを塞がないことが確実になる。
ロック手段は、所定の時点で遠心分離中に解放することができる。
【0037】
特に、上側部品は、成形キャビティの充填および成形キャビティからのガスの排出を可能にする材料受け入れ手段を備える。
これは、遠心分離中に成形材料を成形キャビティ内へと流入させることができるという利点を有する。
回転軸の方向に配置される開口、容器の斜めの方向に起因して、成形材料は、しばらくして、遠心力により成形キャビティ内へと押し込まれる。
【0038】
実施例の更なる利点によれば、成形キャビティの容積は変えられるように適合されている。
更なる受け入れ手段すなわちモールド受け入れ手段が下側部品の凹部内へ挿入される。
これは、ネジによって下側部品と協働接続する。
ネジを回すことによって受け入れ手段すなわちモールド受け入れ手段が持ち上げられ、そのようにして、受け入れ手段は、凹部によって形成される成形キャビティの容積を変える。
【0039】
容器は加熱されるように適合されていてもよい。
容器の加熱は、硬化処理が加速されるという利点を有する。これにより、特定の硬化温度を有するそれぞれの成形材料を使用すると、温度が硬化のための閾値を超えて上昇されるまで問題なく処理を進めることができる。
【0040】
また、処理中は高温も可能である。
これは、成形材料が、加熱状態で成形されて冷却により硬化される溶融塊である場合に有益である。
【0041】
更なる有利な実施例では、容器は放射線透過材料から形成される。
これは、放射線によって、またはUV線によって硬化され得る成形材料を使用できるという利点を有する。
このため、本発明の成形体製造装置は、放射線放射体、またはUV放射体を含んでいてもよい。
【0042】
また、微細構造モールドは、加熱されるように構成されるのが好ましい。
これは、例えば、熱可塑性材料COC−シクロ−オレフィン−コポリマーまたはPS−ポリスチレンの成形を可能にする。
この場合、特定の利点は、優れた生体適合性および血液同調性によって特徴付けられる熱可塑性材料COC−シクロ−オレフィン−コポリマーの使用である。
【0043】
微細構造モールドを微細構造シリコンウエハとして形成することが特に有益である。
シリコンには、標準的な方法によって、高い表面品質を有する微細構造を形成することができる。
処理の標準化によって、これは比較的費用効率が高くなる。
無論、微細構造モールドの品質が成形体の品質にも影響を与える。
【0044】
本発明の更なる有利な実施例において、成形材料は、高分子として形成され、特に2成分PDMSとして形成される。
高分子は、光学または流体工学などの多くの分野で用途を見出し、良好に処理されるべく適合される。
PDMSの特定の利点は広範囲に及ぶ生体適合性である。
また、PDMSは、不活性であり、シール特性を処理する。
【0045】
更に、容器は、容器支持体によって遠心分離機のロータに接続されてもよい。
これは、容器支持体を用途の要件に適合させることができ、また、容器支持体が容器と遠心分離機との取り外し可能な接続を可能にするという利点を有する。
任意の適合する容器を容器支持体内へ挿入してそこから取り出すことができる。
【0046】
また、容器が容器支持体に対して取り外し可能に接続されることが有益である。
これにより、例えば微細構造モールドを交換するため、あるいは製造された成形体を遠心分離機から除去するために、容器を分離することができる。
これは、取り扱いをかなり容易にする。
【0047】
特に、容器支持体を予めテンションをかけて固定し、それにより、遠心力が容器支持体の形状に影響を及ぼさないようにすることが有益である。
プレテンションにより、とにかく、低重量および安定性を有する解決法が得られる。
【0048】
有利な方法において、容器受け入れ手段は、容器をその下側で重力に対して本質的に受け入れ及び/又は取り囲んでもよい。
これは、一方では、カップと容器支持体とを取り外し可能に接続し、他方では、材料を節約し、それにより、不必要な場所で重量を節約するという利点を有する。
【0049】
更に、容器は、遠心分離機の回転軸に対して斜めに配置されてもよい。
これは、一方では、成形キャビティ内での成形塊の分配が傾斜によって最適化されるため、他方では、脱気のための最適な支持位置を設定できるため、有益である。
【0050】
本発明の更なる有利な特徴および適用可能性は、図面に示される実施例に関連する以下の説明から理解できる。
【0051】
以下、図面に示される実施例を参照して本発明について説明する。
明細書、特許請求の範囲、要約書、および、図面では、以下の符号の説明で用いられる用語および関連する参照符号が使用される。