(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ゲノムDNAの遺伝子座の一組を同時に分析するためのキットであって、各遺伝子座をフランキングするオリゴヌクレオチドプライマーを含み、前記プライマーが、1以上の容器にあり、かつ少なくとも16個の遺伝子座の一組を共増幅し、前記少なくとも16個の遺伝子座の組が、D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、HUMCSF1PO及びS159を含むことを特徴とするキット。
ゲノムDNAの遺伝子座の一組を同時に分析するためのキットであって、各遺伝子座をフランキングするオリゴヌクレオチドプライマーを含み、前記プライマーが、1以上の容器にあり、かつ少なくとも16個の遺伝子座の一組を共増幅し、前記少なくとも16個の遺伝子座の組が、D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、S159、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、HUMCSF1PO及びC221を含むことを特徴とするキット。
【背景技術】
【0003】
DNAタイピングは、一般に、人間の子供の親であることを特定するのに使用され、またウマ、イヌ、他の動物及び農作物の系統を確認するのにも使用される。また、DNAタイピングは、一般に、人間の残留物の特定を要求する犯罪現場や他の現場で見つかった、血液、唾液、精液及び他の組織のソースを特定するのに使用される。また、DNAタイピングは、臨床的場面で使用され、骨髄移植の成功又は失敗及び特定の癌組織の存在を決定する。DNAタイピングは、一般に「マーカー」と呼ばれる、重要な特徴を持つゲノムDNAの対立遺伝子の分析を含む。今日使用されている多くのタイピング方法は、集団の中で少なくとも2つの異なる形態を表すことが知られている1以上のDNAマーカー領域の長さ及び/又は配列の違いを検出及び分析するように特別に設計されている。このような長さ及び/又は配列の変異は、「多型」と呼ばれる。このような変異が生ずるDNA領域(即ち、遺伝子座)は、「多型遺伝子座」と呼ばれる。本発明の方法と材料は、DNAの複数の遺伝子座の検出で使用するために設計され、DNAの複数の遺伝子座のいくつか又はすべては、多型遺伝子座である。
【0004】
長さ又は配列に関して十分な多型の遺伝子マーカーにおいて、親子鑑定や法医学的分析のために集められた組織サンプルの同定といった、同一性用途での使用が長く捜し求められていた。このようなマーカー及びマーカーを分析するための方法の発見と開発は、この数年に渡っていくつかの開発段階を経てきた。
【0005】
最初に特定されたDNA変異マーカーは、単一の塩基置換であり、即ち単一配列多型性であり、サザンハイブリダイゼーションアッセイによってしばしば検出された。制限酵素消化DNAを放射性プローブで分析するのに使用されるように設計されている、このようなマーカーの同定を記述する参考文献の例については、Southern、E.M.(1975)、J.Mol.Biol.98(3):503−507;Schummら(1988)、American Journal of Human Genetics 42:143−159;及びWyman,A.and White,R.(1980)Proc.Natl.Acad.Sci,U.S.A.77:6754−6758を参照されたい。
【0006】
次世代のマーカーは、サイズ変異体であり、即ち長さ多型(length polymorphismであり、特に、「タンデム反復の変数」(VNTR)マーカー(Nakamura Y.ら、(1987)、Science 235:1616−1622;及びWhiteらに発行された(1990)米国特許第4963663号明細書;Whiteらに発行された(1995)米国特許第4963663号の継続出願である米国特許5411859号明細書)、及び「ミニサテライト」マーカー(Jeffreysら(1985a)、Nature 314:67−73;Jeffreysら(1985b)Nature 316:76−79.、Jeffreysによる発明に対する米国特許第5175082号明細書)である。VNTR及びミニサテライトマーカーの両方とも、タンデム様式で繰り返されたほとんど同一の配列領域を含む。中心的な反復配列は、長さが10〜70塩基であり、「ミニサテライト」反復と呼ばれる短い中心的な反復配列と、VNTRと呼ばれる長い反復とを持つ。人間集団の異なる個人には、異なる反復数が含まれる。VNTRマーカーは、一般に、塩基置換多型性よりもはるかに高い多型であり、時々、単一の遺伝子座で40以上までの対立遺伝子を示す。しかしながら、制限酵素消化の長たらしいプロセスと次のサザンハイブリダイゼーション分析は、いまなお、このようなマーカーの検出と分析が要求される。
【0007】
次の進歩は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Mullis,K.B.らによる米国特許第4683202号明細書)技術とVNTR遺伝子座(Kasai,K.ら(1990)Journal Forensic Science 35(5):1196−1200)とを連結することを含む。サザントランスファーの必要なしで検出することができる、増幅され得るVNTR遺伝子座が発見された。増幅生成物は、アガロース又はポリアクリルアミドゲルを通して分離され、増幅中の放射能混合によって、又は、銀又は臭化エチジウムの後染色によって検出される。しかしながら、PCRは、比較的小さいDNAセグメントを確実に増幅するのに使用され、即ち長さ3000塩基以下のDNAセグメントを確実に増幅するだけである。Ponce,MとMicol,L.(1992) NAR 20(3):623;Decorte R,ら(1990)DNA Cell Biol.9(6):461−469)を参照されたい。従って、ごくわずかにしか増幅され得るVNTRは開発されなかった。
【0008】
近年、遺伝子マーカーとして多型の短いタンデム反復(STR)の発見と発達は、連鎖地図、同定と病気の遺伝子の特徴づけ、及びDNAタイピングの単純化と精度の発達における進歩を刺激した。特に、ジヌクレオチド反復を含む多型マーカー(Litt及びLuty(1989)Am J. Hum Genet 3(4):599−605;Tautz,D(1989)NAR 17:6463−6471;Weber及びMay(1989) Am J Hum Genet 44:388−396;ドイツ特許第DE 38 34 636 C2号明細書、発明者Tautz,D;Weber,L.により出願された米国特許第5582979号明細書)、3つ又は4つのヌクレオチドの反復単位を持つSTR(Edwards,A.,ら(1991)Am.J.Hum.Genet 49:746−756;Hammond,H.A.,ら(1994)Am.J.Hum.Genet.55:175−189;Fregeau,C.J.;及びFourney,R.M.(1993) Bio Techniques 15(1):100−119.;Schumm,J.W.ら(1994)in The Fourth International Symposium on Human Identification 1993、pp.177−187(pub.by Promega Corp.,1994);及びCaskeyらによる米国特許第5364759号明細書;Tautz,Dによるドイツ特許第DE 38 34 636 C2号明細書)、及び5〜7塩基反復単位を持つSTR(例えば、Edwardsら(1991)Nucleic Acids Res.19:4791;Chenら(1993)Genomics 15(3):621−5;Haradaら(1994)Am.J.Hum.Genet.55:175−189;Comingsら(1995)、Genomics 29(2):390−6;及びUtah Marker Development Group(1995),Am.J.Genet.57:619−628;及びJurka及びPethiyagoda(1995)J.Mol.Evol.40:120−126)参照のこと)の発見と発達で、以前の方法の不完全なものの多くが克服された。STRマーカーは、一般的に、VNTRマーカーよりも短く、たいていのVNTRマーカーよりも増幅におけるよりよい基質になる。
【0009】
STR遺伝子座は、増幅され得るVNTR遺伝子座と同様であり、このような各遺伝子座で増幅された対立遺伝子は、長さの変異に基づいて区別される。一般的に、実証的なSTR遺伝子座は、VNTR遺伝子座よりも、個々の遺伝子座で多型が少ない。従って、単一の増幅反応及び分離において複数のSTR系を増幅及び検出して、同時にいくつかの遺伝子座に対する情報を得ることが望ましい。いくつかの遺伝子座を含む系は、多重系と呼ばれ、11個までの別個のSTR遺伝子座を含む多くのこのような系が記述された。例えば、Proceedings:Amerian Academy of Forensic Sciences(Feb.9−14、1998)、Schumm,James W.ら、P.53、B88;Id.Gibson,Sandra D.ら、p.53,B89;Id.,Lazaruk,Katherineら、p.51,B83;Sparkes,R.ら、Int J Legal Med (1996)109:186−194;AmpFlSTR Profiler
TM PCR Amplification Kit User’s Manual(1997),pub.by Perkin−Elmer Corp.,i−viii及び1−1 to 1−10;AmpFlSTR Profiler Plus
TM PCR Amplification Kit User‘s Manual(1997)、pub.by PerkiN−Elmer Corp.,i viii及び1−1 to 1−10;AmpFlSTR COfiler
TM PCR Amplification Kit User Bulletin(1998)、pub.by Perkin−Elmer Corp.i−iii及び1−1 to 1−10;9th International Symposium on Human Identification(October 7−10,1998)、pub.by Promega Corp.,Staub,Rick W.ら、Poster Abstract 15;Id.,Willard,Jeanne M.ら、Poster Abstract 73;及びId.,Walsh,P.Seanら、Speaker Abstract for 8:50am−9:20am,Thursday,October 8,1998を参照されたい。
【0010】
STR遺伝子座を伴う増幅プロトコルは、一般的に長さ60〜500塩基対(bp)の小さな生成物を生成するように設計でき、各遺伝子座からの対立遺伝子は、しばしば、100bp未満の領域の中に含まれる。これによって、PCRプライマーの慎重な設計によって、同一ゲル又はキャピラリー電気泳動でいくつかの系の同時電気泳動分析ができるので、個々の系からのすべての潜在的増幅生成物は、他の系の対立遺伝子座の範囲と重複しない。これらの系の設計は、幾分、単一ゲル又はキャピラリーの複数の遺伝子座の分離における困難性によって制限される。これは、異なるサイズのフラグメントの特別の圧縮があるために発生し、特に、ゲル又はキャピラリー中の長いフラグメントは、即ち、従来技術によるDNAフラグメントの分離に対する手段が一般に使用される。
【0011】
アメリカ連邦捜査局(FBI)は、結合DNAインデックスシステム(「CODIS」)、即ちDNAタイピング情報のデータベースを確立して維持する。地方の、州の、国の法律の施行機関は、CODISシステムを使用して、犯罪場面で集められた犯罪科学で用いるDNA証拠をデータベース中のDNA情報と合わせる。CODIS及び他の国のデータベースシステムは、これらの機関が、凶暴な犯罪を解決するのに使用するための有効な道具であることが立証された。(例えば、Niezgoda,Stephen,in Cambridge Healthtech Institute’s Second Annual Conference on DNA Frensics;Science,Evidence,and Future Prospects(Nov.17−18、1998)、pp.1−21.;Niezgoda、Stephen in Proceedings From The Eighth International Simposium on Human Identification 1997、pub.by Promega Corporation(1998)、pp 48−49;Frazier,Rachel R.E.ら、Id.,pp.56−60;Niezgoda,S.J.profiles in DNA 1(3):12−13;Werrett,D.J.and Sparkes,R.in Speaker Abstracts:9th International Symposium on Human Identification(Oct.7−10,1998)pp.5−6を参照されたい。)
【0012】
最近まで、特定のVNTR遺伝子座の分析から得られた制限酵素断片長多型(「RFLP」)データのみが、データベースの中心的要素と考えられていた。FBIは、最近、CODISデータベース中に含まれるべきものとして13個の多型STR遺伝子座を特定した。13個のCODIS STR遺伝子座は、HUMCSF1PO、D3S1358、D5S818、D7S820、D8S1179、D13S317、D16S539、D18S51、D21S11、HUMFIBRA、HUMTH01、HUMTPOX及びHUMvWFA31である。(Budowle,Bruce and Moretti,Tamyra in Speaker Abstracts:9th International Simposium on Human Identification(Oct.7−10,1998)pp.7−8を参照されたい。) VNTR及びSTRマーカーデータの両方とも、一般に、CODISデータベースに保存されている。(例えば、Niezgoda,Stephen in Second Annual Conference on DNA Forensics,supraを参照されたい。)本発明がなされるまで、単一の反応で共増幅され、その後分析できる遺伝子座の数は、制限されていた。詳細には、13個以上のSTR遺伝子座、ましてCODISデータベースでの使用のために特定された13個の多型STR遺伝子座の多重増幅での使用のための材料及び方法は、開発されていなかった。
【0013】
本発明の材料及び方法は、様々なタイプのDNAの特定の多型遺伝子座の多重体分析(multiplex analysis)での使用のために設計され、DNAには、異なるソースの変異からの一本鎖及び2本鎖DNAが含まれる。本発明は、現在の技術を越える有意な改良を示し、識別、精度及び連鎖解析におけるDNAプロファイリングへの処理量、刑事裁判、親子鑑定、及び他の法廷の、医学的な及び遺伝的な特定用途の増加した能力を導く。
【発明を実施するための形態】
【0026】
A.定義
以下の定義は、以下の用語の範囲及び詳細の、明確な矛盾の無い理解を提供することにおいて補助するものであり、本発明を記述し、定義するのに使用される。
「対立遺伝子ラダー(allelic ladder)」;遺伝子座から増幅された対立遺伝子を含むスタンダードサイズマーカー。
「対立遺伝子(allele)」;DNAセグメントに関連する遺伝的変異であり、即ち、同じ遺伝子座を占有するDNA配列の2つ以上の別形態の1つ。
「生化学的命名法(biochemical nomenclature)」;標準生化学的命名法は、ここで使用され、ヌクレオチドの塩基は、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)及びシトシン(C)と呼ばれる。対応するヌクレオチドは、例えば、デオキシグアノシン−5’−トリフォスフェート(dGTP)である。
【0027】
「DNA多型(DNA polymorphism)」;DNA配列の2以上の異なるヌクレオチド配列が、同じ雑種群の中に共存する状態。
「座(locus)」又は「遺伝子座(genetic locus)」;染色体上の特異的な場所。遺伝子座の対立遺伝子は、相同染色体上の同じ位置に位置する。
「遺伝子座特異的プライマー(locus−specific primer)」;少なくとも遺伝子座の1つの対立遺伝子に対して、示された遺伝子座又はその相補鎖の一部で特異的にハイブリダイズするプライマーで、かつ、増幅法を用いた状態の下で、他のDNA配列で有効にハイブリダイズしない。
「ペンタヌクレオチドタンデム反復(pentanucleotide tandem repeat)」;下記に定義されたSTR多型のサブクラス。別に詳述されていなければ、「ペンタヌクレオチドタンデム反復」の用語は、反復単位が5塩基配列である完全STR、及び少なくとも1つの反復単位が、5塩基反復である不完全STRを含む。
【0028】
「ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction)」又は「PCR」;変性、プライマーでのアニーリング、DNAポリメラーゼでの伸長のサイクルが、約10
6回以上目的のDNA配列のコピーの数を増幅するのに使用される技術。核酸増幅のためのポリメラーゼ連鎖反応プロセスは、米国特許第4683195号及び第4683202号明細書によってカバーされており、プロセスの記述に対して、ここで参考として組み込む。
【0029】
「多型の短いタンデム反復遺伝子座(polymorphic short tandem repeat loci)」;下記に定義された、STR遺伝子座で、ゲノムDNAの特別領域の繰り返し配列エレメントの数(及び配列の最終的な長さ)が、対立遺伝子から対立遺伝子、及び個体から個体に変異する。
「多型情報量(polymorphism information content)」又は「PIC」;遺伝子座に存在する多型の量の測定(Bosteinら、1980)。PICは、多型のより大きな程度を示すより高い値で、0〜1.0の範囲を評価する。この測定は、一般に、測定に通常使用される他のものよりも小さい値を表示し、即ち、
異型接合性;高い有益な(約70%を超える異型接合性)マーカーに対して、異型接合性とPICとの違いは僅かである。
【0030】
「プライマー(primer)」;プライマーの3’末端が、DNAポリメラーゼ酵素を使用する重合部位として作用するといった方法での、遺伝子座のDNA鎖でハイブリダイズする1本鎖オリゴヌクレオチド又はDNAフラグメント。
「プライマー対(primer pair)」;2つのプライマーを含み、プライマー1は、増幅すべきDNA配列の一方の端の1本鎖にハイブリダイズし、プライマー2は、増幅すべきDNA配列の相補鎖上のもう一方の端でハイブリダイズする。
「プライマー部位(primer site)」;プライマーがハイブリダイズする目的DNAの領域。
【0031】
「短いタンデム反復遺伝子座(short tandem repeat loci)」又は「STR遺伝子座(STR loci)」;長さが3〜7塩基対の短い、繰り返し配列エレメントを含むゲノムDNA領域。また、STRという用語はゲノムDNAの領域を含み、単一の3〜7塩基配列よりもタンデム又は介在塩基を伴って繰り返される。STRで少なくとも1度繰り返された各配列は、ここで、「反復単位」と呼ばれる。
【0032】
本発明の材料と方法を使用して分析されたSTR遺伝子座の配列は、完全(perfect)又は不完全(imperfect)の、2つの一般的なカテゴリーに分けられる。「完全」STRという用語は、ここで使用されるときは、少なくとも2度のタンデムで、繰り返される単一の3〜7塩基反復単位、例えば(AAAAT)
2を含む2本鎖DNAの領域を意味する。「不完全」STRという用語は、ここで使用されるときは、完全な反復単位の少なくとも2つのタンデム反復と、不完全な反復単位の少なくとも1つの反復を含むDNAの領域をいい、ここで、不完全反復単位は、完全反復単位の配列における、1、2、3、又は4つの塩基の挿入、欠失、又は置換、例えば、(AAAAT)
12(AAAAAT)
5AAT(AAATT)
4を生じるDNA配列を含む。不完全STR配列毎には少なくとも1つの完全STR配列が含まれる。詳細には、各STR配列は、完全又は不完全のいかんにかかわらず、タンデムで少なくとも2度現れる少なくとも1つの反復単位配列、即ち以下の式(I)で表すことのできる反復単位配列を含む。
【0033】
(A
wG
xT
yC
z)
n (I)
ここで、A、G、T及びCは、どんな順でも存在するヌクレオチドを示し、w、x、y及びzは、配列の各ヌクレオチドの数を示し、0〜7の範囲で変化し、w+x+y+zの合計は3〜7の範囲であり、nは、タンデムで繰り返される配列回数の数を示し、少なくとも2である。
【0034】
B.多重反応成分の選択
本発明の方法は、複数の共増幅される遺伝子座から増幅された対立遺伝子を生ずるのに適切な、遺伝子座の組、プライマー及び増幅プロトコルを選択し、好ましくは共増幅される遺伝子座は、サイズで重複せず、より好ましくは、共増幅される遺伝子座は、サイズが重複する異なる遺伝子座の対立遺伝子間を識別することを可能にする方法で、ラベルされる。加えて、この方法は、単一の増幅プロトコルでの使用に融和性のある、短いタンデム反復遺伝子座を選択することを企図する。ここで説明される遺伝子座の特定の組合せは、この用途において唯一のものである。遺伝子座の組合せは、前述の2つの理由のどちらかによって、又はこれと組合せて、1以上の遺伝子座が、十分な生成物収量を生成せず又は真の対立遺伝子を表現しないフラグメントがこの反応で生成しない理由によって、却下されるかもしれない。
【0035】
ここで開示されたものの他に成功する組合せは、遺伝子座の組合せの試行錯誤、プライマー対の配列の選択、含まれるすべての遺伝子座が増幅できるような平衡を特定するプライマー濃度の調整によって、生じることができる。本発明の方法及び材料が一旦開示されれば、本発明の方法及びキットに使用する遺伝子座、プライマー対及び増幅技術の様々な方法が当業者に対して示唆されていると考えられる。すべてのこのような方法は、添付したクレームの範囲内にあることが企図される。
【0036】
本発明の方法の実施で特に重要なのは、多重増幅反応工程で共増幅される個々の遺伝子座から調製される、共増幅された対立遺伝子座のサイズ範囲である。現在技術によって分析を容易にするためには、500塩基よりも小さいフラグメントの増幅によって検出できるシステムが、最も好ましい。
【0037】
本発明の方法の実施は、少なくとも13個のSTR遺伝子座を含む一組の遺伝子座の選択で始まり、遺伝子座は、単一の多重増幅反応で共増幅される。本発明の方法の多重増幅反応で遺伝子座を増幅するのに使用される遺伝子座とオリゴヌクレオチドプライマーとの選択は、これ以後に記述され、以下の実施例で説明される。
【0038】
C.3つより多い遺伝子座を使用して多重体を開発するための、3つの遺伝子座の多重体の使用
いずれの異なる技術も、本発明に使用する一組の遺伝子座を選択するのに使用することができる。この分析方法で使用する遺伝子座の有用な組を開発するための好ましい技術の1つが以下に記述される。3つのSTR遺伝子座を含む多重体が一旦開発されれば、3つより多い遺伝子座を含む多重体を作る核として使用できる。従って、3つより多い遺伝子座の新しい組合せは、始めの3つの遺伝子座を含んで作られる。例えば、遺伝子座D7S820、D13S317及びD5S818を含む核となる多重体を使って、以下の誘導多重体を生成した。
【0039】
D16S539、D7S820、D13S317及びD15S818
HUMCSF1PO、HUMTPOX、D16S539、D7S820、D13S317及びD5S818
HUMCSF1PO、HUMTPOX、HUMTH01、D16S539、D7S820、D13S317及びD5S818
HUMCSF1PO、HUMTPOX、HUMTH01、HUMvWFA31、D16S539、D7S820、D13S317及びD5S818
D3S1358、D5S818、D7S820、D8S1179、D13S317、D16S539、D18S51、D21S11、HUMCSF1PO、HUMFIBRA、HUMTH01、HUMTPOX及びHUMvWFA31
【0040】
S159、HUMCSF1PO、D16S539、D7S820、D13S317及びD5S818
D3S1358、D5S818、D7S820、D8S1179、D13S317、D16S539、D18S51、D21S11、HUMCSF1PO、HUMFIBRA、HUMTH01、HUMTPOX及びHUMvWFA31
D3S1358、D5S818、D7S820、D8S1179、D13S317、D16S539、D18S51、D21S11、HUMCSF1PO、HUMFIBRA、HUMTH01、HUMTPOX、HUMvWFA31、G475、S159及びアメロゲニン
【0041】
核となる遺伝子座の組は、本発明の方法を使用する多重体分析における、他の適切なSTR遺伝子座の組の誘導体を生成するのに使用されることを企図する。
本発明の方法を使用して分析される遺伝子座を選択するために使用されるどんな方法にもかかわらず、多重体分析のために選択された遺伝子座のすべては、以下の特徴を共有する。(1)遺伝子座は、評価できるだけの十分な増幅生成物を調製する。(2)遺伝子座は、多重増幅工程中の増幅された対立遺伝子座への塩基の付加(又は塩基の付加なし)による人工産物でさえ、ほとんど生成しない。(3)遺伝子座は、ポリメラーゼによる増幅反応の未熟終結による人工産物でさえ、ほとんど生成しない。(4)遺伝子座は、供給された真の増幅された対立遺伝子の下流の継続的な1塩基欠失から、より小さい分子量の「引きずった(trailing)」バンドをほとんど又はまったく生成しない。例えば、Schummら、Fourth International Symposium on Human Identification 1993、pp.177−187(pub.by Promega Corp.,1994)を参照されたい。
【0042】
上述した、少なくとも3つの遺伝子座の組を特定するのに使用される同じ技術は、本発明の分析方法の好ましい態様によれば、ヒトゲノムDNAの13個以上の遺伝子座の選択又は多重体分析に適用できる。上述の特定された遺伝子座のどんな組でも、本発明に従った多重体分析に適合し、提供された遺伝子座の組は、少なくとも13個のSTR遺伝子座を含む。より好ましくは、本発明に従って分析された少なくとも13個のSTR遺伝子座の少なくとも4つは、以下の遺伝子座及びこれらの任意の組合せに係る遺伝子座から選択される。
D3S1539、D4S2368、D5S818、D7S820、D9S930、D10S1239、D13S317、D14S118、D14S548、D14S562、D16S490、D16S539、D16S753、D17S1298、D17S1299、D19S253、D20S481、D22S683、HUMCSF1PO、HUMTPOX、HUMTH01、HUMF13A01、HUMBFXIII、HUMLIPOL及びHUMvWFA31
更により好ましくは、本発明に従って分析された遺伝子座の組は、13個のCODIS遺伝子座のすべて、即ち、D3S1358、D5S818、D7S820、D8S1179、D13S317、D16S539、D18S51、D21S11、HUMCSF1PO、HUMFIBRA、HUMTH01、HUMTPOX、及びHUMvWFA31を含む。
【0043】
好ましくは、本発明の多重反応の共増幅のために選択された遺伝子座の少なくとも1つは、長さが5〜7塩基又は塩基対の反復単位を持つSTR遺伝子座であり、より好ましくは、ペンタヌクレオチド反復を持つSTR遺伝子座である。米国特許出願第09/018584号明細書で説明されているので、ここに参考として組み込み、このような中間の長さの反復を持つ遺伝子座は、人工産物について最小の発生率で増幅され、例えば、反復のずれによる。ペンタヌクレオチド反復を持つ3つのこのような遺伝子座、G475、C221及びS159は、直ちに上記で特定された遺伝子座の組に含まれる。「G475」、「C221」及び「S159」の用語は、ここで使われ、特定されたペンタヌクレオチド反復遺伝子に割り当てられた名前をいい、上に参考として組み込まれた、米国特許出願第09/018584号明細書に記述される。それぞれの名前は、特定された各ペンタヌクレオチド遺伝子座からのクローンに一致する。G475クローンの配列は、配列ID番号34として上記米国明細書に記述され、配列ID番号108として本明細書で特定される。C221クローンの配列は、配列ID番号2として上記米国明細書に記述され、配列ID番号109として本明細書で特定される。
S159クローンの配列は、配列ID番号26として上記米国明細書で記述され、配列番号110として本明細書で特定される。また、G475、C221及びS159の増幅に使用する特定された個々のプライマーとプライマー対は、本発明に従って共増幅され分析される少なくとも13個の遺伝子座の組の中の同じ遺伝子座を増幅するのに使用される。
【0044】
更に好ましくは、本発明に従って共増幅と分析のために選択された遺伝子座の組は、少なくとも13個のSTR遺伝子座に加えて少なくとも1つの遺伝子座を含む。好ましくは、この追加の遺伝子座は、配列多型を含み、又は1個体のDNAを、個体群の他の個体のDNAから分離する、別の特徴を含む。より好ましくは、追加の遺伝子座は、分析されるDNAサンプルのソースの性を同定する遺伝子座である。DNAサンプルがヒトゲノムDNAの場合、アメロゲニン遺伝子座といった性同定遺伝子座が、本発明の方法に従って共増幅及び分析のために選択されることが好ましい。アメロゲニン遺伝子座は、HUMAMELY(男性のDNAに含まれるY染色体上の遺伝子座を同定するのに使用される場合)、又はHUMAMELX(男性又は女性のDNAのX染色体上の遺伝子座を同定するのに使用される場合)としてGenBankによって同定される。アメロゲニン遺伝子座は、少なくとも13個の短いタンデム反復遺伝子座の組と同じ多重体増幅反応で共増幅される場合、多重体増幅反応でこの特定の遺伝子座を増幅するのに使用される少なくとも1つのプライマーの配列は、配列ID番号86、105及び87及びこれらの任意の組合せに係る配列を有することが好ましい。
【0045】
D.プライマーの選択
単一の多重反応での共増幅のための一組の遺伝子座が一旦特定されると、その組で共増幅する各遺伝子座に適合できるプライマーを決定することができる。多重反応で使用されるプライマーの配列の選択に注意すべきである。プライマーの不適切な選択は、増幅の不足、複数の部位での増幅、プライマーのダイマー形成、異なる遺伝子座のプライマー配列の望ましくない相互作用、別の遺伝子座の対立遺伝子と重複するある遺伝子座の対立遺伝子の生成、又は多重体に不適合な異なる遺伝子座に対する増幅の条件又はプロトコルの必要性といった、いくつかの望ましくない効果を生む。好ましくは、本発明の方法で使用されるプライマー又は本発明のキットに含まれるプライマーは、以下の選択プロセスに従って選択される。
【0046】
好ましくは、プライマーは、本発明の多重系での使用のために開発及び選択され、選択するプライマー配列の反復プロセスを使用すること、選択された遺伝子座の共増幅のプライマーを混合すること、遺伝子座を共増幅すること、次に共増幅された生成物を分離し検出することによって開発され選択される。当初、このプロセスは、しばしば、不均衡な型(即ち、他の遺伝子座の生成物収量よりもいくつかの遺伝子座の生成物収量が高い)で増幅された対立遺伝子を生じ、また、対立遺伝子自体を表現しない増幅生成物を生成する。これらの余分なフラグメントは、上述した原因のかなり多くのものから生ずる。
【0047】
多重系からこのような余分なフラグメントを除くために、組全体の個々のプライマーは、同じ又は他の遺伝子座のプライマーと一緒に使用して、余分なフラグメントの増幅に寄与するプライマーを特定する。1つ以上のフラグメントを生成する2つのプライマーが一旦特定されると、1対のみ又は多重系(又は多重系のサブセット)のどちらにおいても、一方又は両方の寄与物は、変更され再試験される。このプロセスは、余分なフラグメントのない又は多重系の余分なフラグメントの許容できるレベルの増幅された対立遺伝子座の生成物収量の評価まで繰り返される。
【0048】
時折、余分なフラグメントは、プライマー対の反対のプライマーを標識することによって除かれる。この変化は、検出工程での反対のプライマーの生成物を示す。この新たな標識されたプライマーは、真の対立遺伝子を生成する、先にラベルされたプライマーよりもさらに高い忠実度で真の対立遺伝子を増幅し、全増幅生成物のほとんどの割合を占める。
【0049】
プライマー濃度の決定は、最終のプライマー配列の選択前又は選択後のどちらかで行うが、好ましくは、その選択後に行う。一般的に、特定の遺伝子座に対するプライマー濃度の増加は、その遺伝子座に対して生じる生成物の量を増加する。しかしながら、これは、相互に反復するプロセスであり、1つの遺伝子座の収量を増加することによって、1つ以上の他の遺伝子座の収量が減少するからである。その上、プライマーは、直ちに他の遺伝子座の収量と相互に作用する。プライマー濃度の直線的な増加は、対応する遺伝子座における生成物収量の直線的増加を必ずしも生じない。
【0050】
また、遺伝子座と遺伝子座の平衡は、増幅プロトコルの多くのパラメータによって影響され、例えば使用された鋳型の量、増幅サイクルの数、温度サイクルプロトコルのアニーリング温度及びサイクルプロセスの終りでの余分な伸張工程の包含と排除といったパラメータに影響される。すべての対立遺伝子座及び遺伝子座に渡る平衡でさえ、一般的に、達成されない。
【0051】
また、多重系の開発のプロセスは、上述とは別の意味で、相互に反復するプロセスであってもよい。即ち、まず、少数の遺伝子座における多重系を開発することが可能であり、即ちこの系は、増幅の余分なフラグメントを逃れるか又はほとんど逃れる。この系のプライマーは、1つ以上の追加の遺伝子座のプライマーと結合してもよい。この拡張されたプライマーの組合せは、増幅の余分なフラグメントを生成するかも知れないし又は生成しないかもしれない。順番に、新しいプライマーは、導入されて評価されてもよい。
【0052】
上述の1つ以上の相互に反復する選択プロセスは、完全なプライマーの組が特定されるまで繰り返され、完全なプライマーの組は、上述したように、共増幅のために選択された少なくとも13個の遺伝子座を共増幅するのに使用される。多くの異なるプライマーの組を、特定の遺伝子座の組を増幅するのに開発できることがわかる。
【0053】
本発明の方法で使用されるプライマーの合成は、当業者に公知のオリゴヌクレオチド合成の標準的な手順を用いて実施される。好ましくは、各遺伝子座に対する少なくとも1つのプライマーは、以下のセクションFで述べるように、色素ラベルと共有結合される。
【0054】
以下の表1は、表中に挙げられた対応する多型STR遺伝子座の増幅に使用するのに適切であると決定されたプライマーの配列のリストを提供する。好ましくは、表1に挙げられた少なくとも1つのプライマーは、上述の、共増幅及び分析のために選択された少なくとも1つの遺伝子座を増幅するのに使用される。他のプライマーによって、プライマーが以下に挙げられた遺伝子座の同時増幅に適切であることを特定できることがわかる。
【表1】
【表2】
【0055】
E.DNAサンプルの調製
ゲノムDNAサンプルは、本発明の方法に使用するために調製され、DNAの増幅に適合性のあるDNA調製方法を使用する。このような多くの方法は、当業者に公知である。この例として、フェノール抽出によるDNA精製(Sambrook,J.,ら(1998)Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York.,pp.9.14−9.19)、及び塩析による部分的精製(Miller,S.ら(1998)Nucl.Acids Res.16:1215)又はチレックス(chelex)(Walshら、(1991) Bio Techniques 10:506−513,Comey,ら(1994)Forensic Sci.39:1254)及び未処理血液を使用する未精製材料の遊離(Burckhardt,J(1994) PCR Methods and Applications 3:239−243,McCabe,Edward R.B.,(1991) PCR Methods and Applications 1:99−106,Mordvag,Byorn−Yngvar(1992) Bio Techniques 12:4 pp.490−492)によるDNA精製が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
本発明の方法を使用して分析された少なくとも1つのDNAサンプルがヒトゲノムDNAである場合、そのDNAは、好ましくは、血液、精液、膣細胞、毛、唾液、尿、骨、口内サンプル、胎盤細胞又は胎児細胞を含む羊水、絨毛膜絨毛、及び上記に挙げた組織の混合物又はこれらの任意の組合せに係る組合せから選択された組織から調製される。
【0057】
任意に、DNA濃度は、本発明の方法を用いる前に測定され、当業者に公知のDNA定量の標準的な方法を使用する。このような場合、好ましくは、DNA濃度は、Sambrook,J.ら(1989),supra,Appendix E.5によって記述された分光光度計測定によって決定するか、又は例えばBrunk C.F.,ら(1979),Anal Biochem 92:497−500によって記述された測定技術を使用して蛍光定量的に決定される。より好ましくは、DNA濃度は、ヒト特異的プローブでDNAスタンダードのハイブリダイゼーションの量を比較することによって測定され、例えばWaye,J.S.ら(1991)“Sensitive and specific quantification of human genomic deoxyribonucleic acid (DNA) in forensic science specimens:casework examples”,J.Forensic Sci.,36:1198−1203に記述されている。
増幅反応における非常に多量の鋳型DNAの使用は、真の対立遺伝子を表さない過剰なバンドとして示される人工産物を生成する。
【0058】
F. DNAの増幅
ゲノムDNAのサンプが一旦調製されると、目的にされた遺伝子座は、本発明の多重増幅工程で共増幅される。多くの異なる増幅方法の一つは、遺伝子座を増幅するのに使用され、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Saiki,R.K.,ら(1985),Science 230:1350−1354)、増幅の基礎を形成する転写(Kwoh,D.Y.及びKwoh,T.J.(1990),American Biotechnology Laboratory,October,1990)及び鎖置換増幅(strand displacement amplification)(SDA)(Walker,G.T.,ら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.89:392−396)を含むが、これらに限定されない。好ましくは、DNAサンプルは、組の各遺伝子座に特異的なプライマー対を使用してPCR増幅にかけられる。参考に、以下の実施例で使用されるプライマー配列の詳細において、本明細書の最後に配列一覧表にし、プライマー配列のいくつかは、本発明の別の態様である。
【0059】
好ましくは、各遺伝子座における少なくとも1つのプライマーは、色素ラベルと共有結合し、蛍光色素ラベルが更に好ましい。プライマー及びプライマーに結合された色素は、好ましくは、多重増幅反応のために選択され、例えば、好ましくは、対立遺伝子がゲルまたはキャピラリー電気泳動で分離される場合、1色で標識された各遺伝子座のプライマーを使用して増幅された対立遺伝子は、同じ色で標識されたプライマーを使用して共増幅された組の他の遺伝子座の対立遺伝子と重複しないことが好ましい。
【0060】
本発明の方法の特にこのましい態様において、多重反応で共増幅された各遺伝子座のための少なくとも1つのプライマーは、反応で使用されるよりも先に、蛍光ラベルで標識される。本発明で使用するプライマーへの結合に適切な蛍光ラベルは、市販で入手できる。例えば、PE Biosystems and Molecular Probesのフルオレセインラベル及びカルボキシテトラメチルローダミンラベル及びこれらの化学的誘導体を参照されたい。最も好ましくは、少なくとも3つの異なるラベルが、多重増幅反応に使用される異なるプライマーを標識するのに使用される。サイズマーカーが多重反応を評価するために含まれる場合、サイズマーカーを調製するのに使用されるプライマーは、反応で重要な遺伝子座を増幅するのに使用されるプライマーと異なるラベルで標識されることが好ましい。
【0061】
本発明の方法で使用する最も好ましい遺伝子座の各組合せにおける、最も好ましい増幅プロトコルの詳細は、以下の実施例で与えられる。また、各多重体に関する特別の手順の付加的な詳細については、実施例を参照されたい。実施例で使用される遺伝子座特異的プライマーの配列は、多くのヌクレオチドを含み、ヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションで使用される条件下で、増幅され且つ他の遺伝子座の対立遺伝子の増幅の本質的にない遺伝子座の対立遺伝子とハイブリダイズするのに十分である。Simonsの米国特許第5192659号明細書が参考になり、明細書の教示を、遺伝子座特異的プライマーのより詳細な開示における参考として、ここで組み込む。
【0062】
G. DNAフラグメントの分離及び検出
一組の増幅された対立遺伝子が本発明の多重増幅工程から一旦調製されると、増幅された対立遺伝子が評価される。この方法の評価工程は、多くの異なる方法によって行われるが、最も好ましい方法は、以下に記述される。
【0063】
好ましくは、電気泳動は、多重増幅反応の生成物を分離するのに使用され、更に好ましくは、キャピラリー電気泳動(例えば、Buel,Ericら(1998)Journal of Forensic Sciences;43:(1)pp.164−170を参照されたい)又は、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(例えば、Sambrook,J.ら(1989)in Molecular Cloning−A Laboratory Manual,2nd Edition Cold Spring Harbor Laboratory Press,pp.13.45−13.57を参照されたい)である。本発明の方法の評価工程での使用に適切なゲル調製及び電気泳動手順と条件は、以下の実施例で説明される。変性ポリアクリルアミドゲル及びキャピラリー電気泳動でのDNAフラグメントの分離は、第1にフラグメントサイズに基づいて起こる。
【0064】
増幅された遺伝子座が一旦分離されると、次に、ゲル又はキャピラリー中の対立遺伝子及び他のDNA(例えば、DNAサイズマーカー又は対立遺伝子ラダー)は、視覚化され、分析される。ゲル中のDNAの視覚化は、多くの従来技術のいずれか一つを使用して行われ、例えば、銀染色や、ラジオアイソトープ、蛍光剤、化学発光剤及び検出可能な基質と組み合わせた酵素といったレポーターを含む。しかしながら、13個又はそれ以上の遺伝子座を含む多重体の検出に好ましい方法は、蛍光であり(例えば、上記Schumm,J.W.ら Proccedings from the Eigth International Symposium on Human Identification,(pub.1998 by Promega Corporation)pp.78−84;Buel,Ericら(1998),を参照されたい)、多重反応の各遺伝子座のプライマーは、蛍光検出器を使用する標識生成物の検出によって追跡される。遺伝子座を視覚化する従来技術の方法を記述する、上記に引用された参考文献を、ここに参考として組み込む。
【0065】
好ましくは、DNAサンプルに存在する対立遺伝子は、DNAマーカーや遺伝子座特異的対立遺伝子ラダーといったサイズスタンダードとの比較によって決定され、サンプル中の各遺伝子座に存在する対立遺伝子を決定する。2つ以上の多重STR遺伝子座を含む多重増幅の評価における最も好ましいサイズマーカーは、評価される各遺伝子座の対立遺伝子ラダーの組合せを含む。例えば、Puers,Christophら(1993)Am J.Hum Genet.53:953−958,Puers,Christoph,ら(1994)Genomics 23:260−264を参照されたい。また、STR遺伝子座の検出の使用に適切な対立遺伝子ラダーの開示、及びそれに開示されたラダー作製の方法において、米国特許第5599666号、同第5674686号及び同第5783406号明細書を参照されたい。
【0066】
個々の遺伝子座の対立遺伝子ラダーの作製に続いて、増幅されたサンプルの装入が起こると同時に、これらの対立遺伝子ラダーを混合し、ゲル電気泳動において装入してもよい。各対立遺伝子ラダーは、対応する遺伝子座のサンプルの対立遺伝子と一緒に移動する。
【0067】
本発明の多重反応の生成物は、インターナルレーンスタンダード、即ちポリアクリルアミドゲルの同じレーン又は同じキャピラリーで進むように設定されたサイズマーカーの特定タイプを使用して評価される。このインターナルレーンスタンダードは、好ましくは、既知の長さの一連のフラグメントを含む。更に好ましくは、インターナルレーンスタンダードは、増幅反応で他の色素と区別できる蛍光色素で標識される。
【0068】
インターナルレーンスタンダードの作製に続いて、このスタンダードもまた、増幅されたサンプル又は対立遺伝子ラダーと混合され、ゲル電気泳動の異なるレーンでの移動の比較、又はキャピラリー電気泳動の異なるキャピラリーでの移動の比較のための電気泳動に装入される。インターナルレーンスタンダードの移動の変化は、分離媒体の性能の変化を示す。対立遺伝子ラダーでこの差と相関を定量化することよって、未知のサンプルの対立遺伝子のサイズ決定の訂正ができる。
【0069】
H.好ましい検出技術:蛍光検出
本発明の方法の最も好ましい態様の一つ、蛍光検出は、多重増幅反応によって生成された混合物の中の増幅対立遺伝子を評価するのに使用される。以下は、好ましい検出方法が実施される方法の概要である。
【0070】
自動化蛍光イメージングの出現で、多重増幅生成物のより早い検出と分析が行なわれる。蛍光分析において、1つの蛍光標識プライマーは、各遺伝子座の増幅に含まれる。好ましくは、本発明の使用に適合する蛍光標識プライマーは、例えば、以下の実施例で説明されるように、フルオレセイン標識(FL−)、カルボキシテトラメチルローダミン標識(TMR−)、及び5,6−カルボキシローダミン6G標識(R6G)プライマーを含む。このように標識されたプライマーを使用する増幅フラグメント生成物の分離は、好ましくは、スラブゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動で行われる。分離フラグメントの結果は、例えば、ABI PRISM(登録商標)310 Genetic Analyzer、ABI PRISM 377 DNA Sequencer(Applied Biosystems Division,Perkin Elmer、Foster City、CA)、又はHitachi FMBIO(登録商標)II Fluorescent Scanner(Hitachi Software Engineering Ameria,Ltd.South San Francisco,CA)といった蛍光検出装置を使用して分析される。
【0071】
概要中、本発明の方法は、最も好ましくは、検出工程として蛍光検出を用いて実施される。この好ましい検出方法において、多重増幅反応で使用される各プライマー対の一方または両方は、プライマー対に結合された蛍光ラベルを有し、その結果、増幅反応から生成された増幅対立遺伝子は、蛍光標識される。本発明の最も好ましいこの態様において、増幅された対立遺伝子は、キャピラリー電気泳動で同時に分離され、分離された対立遺伝子は、蛍光イメージアナライザーを使用して視覚化され、分析される。
【0072】
蛍光検出は、放射性標識の方法及び検出以上に好ましく、放射性材料の使用を要求されず、及びこのような材料の使用に付随する規制の問題及び安全性の問題のすべてを要求されないからである。
【0073】
また、標識プライマーを使用する蛍光検出は、他の非放射性の、例えば、銀染色といった検出方法以上に好ましく、一般的に、蛍光の検出方法は、銀染色より増幅人工産物を示さないからである。人工産物が少ないのは、一部分には、結合標識を持つDNAの増幅鎖だけが蛍光検出で検出され、一方、多重増幅反応から生成されたDNAの各増幅対立遺伝子の両方の鎖が、銀染色の検出方法を使用して染色され、検出されることによる。
【0074】
I.キット
また、本発明は、上述のプロセスを利用するキットに関する。基本的なキットは、1以上の遺伝子座特異的プライマーを有する容器を含む。任意で使用説明書を含んでもよい。
【0075】
他の任意のキット構成物は、特定の各遺伝子座に関する対立遺伝子ラダー、増幅のための十分な量の酵素、増幅を促進する増幅緩衝液、電気泳動用の増幅された材料を分離するための添加液、鋳型コントロールとしてのゲノムDNA、分離媒体中で先行して材料が移動することを保証するサイズマーカー、及び使用者を教育し、使用中の失敗を防ぐためのプロトコルとマニュアルを含んでもよい。また、キットの様々な試薬の量は、多くの要因、例えば工程の最適感度といった要因によって変化する。手動で使用するためのテストキットや自動検出又は分析で使用するためのテストキットを提供することは、本発明の範囲内である。
【実施例】
【0076】
以下の実施例において、本発明の利点を説明し、及び当業者が本発明を製造及び使用において補助するために提示される。実施例は、例示として意図され、特許によって認められる本発明の範囲を何ら制限するものではない。
【0077】
以下の実施例でアッセイされたヒトゲノムDNAサンプルは、血液又は組織培養細胞から調製され、Miller and Dykes in (Miller,S.ら(1998)Nucl. Acids Res.16:1215)によって記述された標準的な手順を用いた。ここで記述された単離及び定量方法は、一般に、当業者に公知であり、好ましくは、本発明の適用において、要求されない。
【0078】
以下の各実施例は、本発明の方法を用いた例であり、ヒトゲノムDNAの1つ以上のDNAサンプルから、少なくとも13個の遺伝子座に存在する対立遺伝子を同時に決定する。以下の共増幅された遺伝子座の各組は、CODISシステムにおける使用のために特定された13個の短いタンデム反復遺伝子座(即ち、D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D13S317、D7S820、D16S539、及びHUMCSF1PO)を含む。また、以下の共増幅された遺伝子座のいくつかの組は、1つ以上の追加の短いタンデム反復遺伝子座、例えば、ペンタヌクレオチド反復を持つ遺伝子座(例えば、G475、S159、又はC221)及び非STR遺伝子座、すなわちアメロゲニンを含む。
【0079】
表2は、遺伝子座の組が、以下の各実施例で記述される多重増幅反応で共増幅されたことを要約する。また、この表は、プライマー対が、このような各多重反応でこのような各遺伝子座を増幅するのに使用されることを示す。表2に挙げられた各プライマー対の1つのプライマーは、多重増幅反応で使用される前に、蛍光標識される。いくつかの場合では、異なるラベルが、異なる遺伝子座に対するプライマーを標識するのに使用され、異なるプライマーを使用して生成された対立遺伝子は、レーザー活性蛍光検出装置で検出される場合に、別の対立遺伝子から区別できる。
【0080】
3種の異なる蛍光ラベルは、以下の実施例で使用され、フルオレセイン標識を示す「FL」、カルボキシテトラメチルローダミン標識を示す「TMR」、5,6−カルボキシローダミン6Gを示す「R6G」として、以下に、表2に記述される。また、表2は、多重増幅反応で使用されるプライマーの各対のプライマーが、各実施例で標識されたことを示す(例えば、「FL−69」は、配列ID番号69を有するプライマーが、多重増幅反応で使用される前にフルオレセインで5’末端に標識されたことを意味する)。しかしながら、各実施例の本文において、ラベルの略語は、本文に記載された増幅反応で使用される標識プライマーの配列ID番号の直前に配置される(例えば、「FL−2」の代わりに「FL−配列ID番号2」)。
【表3】
【表4】
【表5】
【実施例1】
【0081】
ABI PRISM(登録商標) 310 Gentic Analyzerで検出された、遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、及びHUMCSF1POの多重増幅の蛍光検出
この実施例において、DNA鋳型を、単一の反応容器で、個々の遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、及びHUMCSF1POで同時に増幅した。PCR増幅を、25μlの1×Gold ST
*R緩衝液(50mM KCl、10mM Tris−HCl(25℃でpH8.3)、0.1%Triton X−100、1.5mM MgCl
2、160μg/ml BSA 及び各200μMのdATP、dCTP、dGTP及びdTTP)中で実施し、1ngの鋳型及び3.25UのAmpliTaq Gold(登録商標)DNAポリメラーゼを使用した。GeneAmp(登録商標)PCR System 9600(Perkin Elmer、Foster City,CA)を、以下の増幅プロトコルで使用した。96℃で12分、次に、94℃で30秒、68秒で58℃にし、30秒保持、50秒で70℃にし、45秒保持を10サイクル、続いて、30秒で90℃、60秒で58℃にし、30秒保持、50秒で70℃にし、45秒保持を20サイクル、続いて、60℃で30分を1サイクル行なった。
【0082】
26個の増幅プライマーを、組み合わせて使用し、そのなかに、0.12μMの各D3S1358プライマー1[配列ID番号68]及び2[FL−配列ID番号69]、0.08μMの各HUMTH01プライマー1[FL−配列ID番号66]及び2[配列ID番号67]、0.3μMの各D21S11プライマー1[配列ID番号64]及び2[FL−配列ID番号65]、0.2μMの各D18S51プライマー1[FL−配列ID番号62]及び2[TMR−配列ID番号63]、1.1μMの各HUMvWFA31プライマー1[配列ID番号76]及び2[TMR−配列ID番号40]、1.8μMの各D8S1179プライマー1[配列ID番号74]及び2[TMR−配列ID番号75]、0.6μMの各HUMTPOXプライマー1[配列ID番号72]及び2[TMR−配列ID番号73]、2.4μMの各HUMFIBRAプライマー1[TMR−配列ID番号70]及び2[配列ID番号71]、0.2μMの各D5S818プライマー1[配列ID番号84]及び2[R6G−配列ID番号85]、0.1μMの各D13S317プライマー1[配列ID番号82]及び2[R6G−配列ID番号83]、0.2μMの各D7S820プライマー1[R6G−配列ID番号80]及び2[配列ID番号81]、0.15μMの各D16S539プライマー1[配列ID番号29]及び2[R6G−配列ID番号79]、0.2μMの各HUMCSF1POプライマー1[配列ID番号77]及び2[R6G−配列ID番号78]を含む。
【0083】
増幅した生成物を、ABI PRISM 310 Genetic Analyzerを使用して分離した。DNAサンプルを、24μlの添加液(脱イオンホルムアミド)と1.0μlのインターナルレーンサイズスタンダードと一緒に混合し、95℃で3分間変性させ、注入の前に氷で冷却した。分離は、47cm×50μmキャピラリーで、Performance Optimized Polymer 4(POP−4)(Perkin Elmer Biosystems,Foster City,CA)を使用して行なった。製造業者のGeneScan(登録商標)ランモジュールGS STR POP4(ld.)(1ml)を使用した。電気泳動の条件は、5秒の注入、注入kVは15.0、泳動kVは15.0、泳動温度は60℃、泳動時間は28分、及び仮フィルターAを使用、であった。
【0084】
図1Aは、上述のように、ABI PRISM 310 Genetic Analyzerで分離され検出された各遺伝子座の増幅されたフラグメントをスキャニングした結果のプリントアウトである。
図1Aは、遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539及びHUMCSF1POにおける同時に共増幅されたDNAサンプルの増幅生成物を示す。パネルAに示されたピークは、フルオレセインで標識され、パネルBに示されるピークは、カルボキシテトラメチルローダミンで標識され、パネルCに示されるピークは、5、6カルボキシローダミン6Gで標識される。
【0085】
図1Bは、増幅反応にDNA鋳型を使用しないことを除けば、
図1Aでスキャンされたサンプルと同じ方法で調製されたサンプルをスキャニングした結果のプリントアウトである。この図のピークは、色素コンジュゲーション及び精製の手順から生ずる、及び不確定な原因から生ずる、バックグラウンド生成物である。
【実施例2】
【0086】
ABI PRISM(登録商標)310 Gentic Analyzerで検出された、遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、HUMCSF1PO及びS159の多重増幅の蛍光検出
この実施例において、DNA鋳型を、単一反応容器で、個々の遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、HUMCSF1PO及びS159で同時に増幅した。PCR増幅を、25μlの1×Gold ST
*R緩衝液(50mM KCl、10mM Tris−HCl(25℃でPH8.3)、0.1%Triton X−100、1.5mM MgCl
2、160μg/ml BSA及び200μMの各dATP、dCTP、dGTP及びdTTP)で行ない、1ngの鋳型、及び4UのAmpliTaq Gold DNAポリメラーゼを使用した。GeneAmp PCR System 9600(Perkin Elmer,Foster City,CA)を、以下の増幅プロトコルで使用した。96℃で12分、次に、94℃で30秒、68秒で58℃にし、30秒保持、50秒で70℃にし、45秒保持を10サイクル、続いて、90℃で30秒、60秒で58℃にし、30秒保持、50秒で70℃にし、45秒保持を20サイクル、続いて、60℃で30分を1サイクル行なった。
【0087】
32個の増幅プライマーを、組み合わせて使用し、そのなかに、0.12μMの各D3S1358プライマー1[配列ID番号68]及び2[FL−配列ID番号69]、0.08μMの各HUMTH01プライマー1[FL−配列ID番号66]及び2[配列ID番号67]、0.3μMの各D21S11プライマー1[配列ID番号64]及び2[FL−配列ID番号65]、0.2μMの各D18S51プライマー1[FL−配列ID番号62]及び2[配列ID番号63]、0.24μMの各G475プライマー1[FL−配列ID番号88]及び2[配列ID番号89]、0.6μMの各アメロゲニンプライマー1[TMR−配列ID番号86]及び2[配列ID番号87]、1.1μMの各HUMvWFA31プライマー1[配列ID番号76]及び2[TMR−配列ID番号40]、1.8μMの各D8S1179プライマー1[配列ID番号74]及び2[TMR−配列ID番号75]、0.6μMの各HUMTPOXプライマー1[配列ID番号72]及び2[TMR−配列ID番号73]、2.4μMの各HUMFIBRAプライマー1[TMR−配列ID番号70]及び2[配列ID番号71]、0.2μMの各D5S818プライマー1[配列ID番号84]及び2[R6G−配列ID番号85]、0.1μMの各D13S317プライマー1[配列ID番号82]及び2[R6G−配列ID番号83]、0.2μMの各D7S820プライマー1[R6G−配列ID番号80]及び2[配列ID番号81]、0.15μMの各D16S539プライマー1[配列ID番号29]及び2[R6G−配列ID番号79]、0.2μMの各HUMCSF1POプライマー1[配列ID番号77]及び2[R6G−配列ID番号78]、0.1μMの各S159プライマー1[配列ID番号90]及び2[R6G−配列ID番号91]を含む。
【0088】
増幅された生成物を、ABI PRISM(登録商標)310 Genetic Analyzerを使用して分離した。DNAサンプルを、24μlの添加液(脱イオンホルムアミド)と1.0μlのインターナルレーンサイズスタンダードを混合し、95℃で3分間変性させ、注入の前に氷で冷却した。分離は、47cm×50μmキャピラリーで、Performance Optimized Polymer 4(POP−4)(Perkin Elmer Biosystems,Foster City,CA)を使用して行なった。製造業者のGeneScanランモジュールGS STR POP4(ld.)(1ml)Aを使用した。電気泳動の条件は、5秒の注入、注入kVは15.0、泳動kVは15.0、泳動温度は60℃、泳動時間は28分、及び仮フィルターAを使用、であった。
【0089】
図2Aは、上述のように、ABI PRISM(登録商標)310 Genetic Analyzerで分離され検出された各遺伝子座の増幅されたフラグメントをスキャニングした結果のプリントアウトである。
図2Aは、遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、HUMCSF1PO及びS159における同時に共増幅されたDNAサンプルの増幅生成物を示す。パネルAに示されたピークは、フルオレセインで標識され、パネルBに示されるピークは、カルボキシテトラメチルローダミンで標識され、パネルCに示されるピークは、5、6カルボキシローダミン6Gで標識される。
【0090】
図2Bは、増幅反応にDNA鋳型を使用しないことを除けば、
図2Aでスキャンされたサンプルと同じ方法で調製されたサンプルをスキャニングした結果のプリントアウトである。この図のピークは、色素コンジュゲーション及び精製の手順から生ずる、及び不確定な原因から生ずる、バックグラウンド生成物である。
【実施例3】
【0091】
ABI PRISM(登録商標)377 DNA Sequencerで検出された、遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、HUMCSF1PO及びS159の多重増幅の蛍光検出
この実施例において、DNA鋳型を、実施例2と同様に増幅した。増幅生成物を、ABI PRISM(登録商標)377 DNA Sequencerを使用して分離した。これを、0.2mm厚さの、5%Long Ranger(商標出願中)Acrylamide(FMC BioProducts、Rockland、ME)、7Mのウレアゲルを使用して実施した。DNAサンプルを、1.5μlの添加液(88.25%ホルムアミド、4.1mM EDTA、15mg/mlブルーデキストラン)及び0.5μlのインターナルレーンサイズスタンダードと混合し、95℃で2分間変性させ、装入する前に氷で冷却した。電気泳動を、Prerun(PR GS 36A−2400)及びRun(GS 36A−2400)用の、製造業者のGeneScan(登録商標)モジュールを使用して行なった。泳動時間は3時間で、仮フィルターAを用いた。
【0092】
図3Aは、上述のように、ABI PRISM 377 DNA Sequencerで分離され検出された各遺伝子座の増幅されたフラグメントをスキャニングした結果のプリントアウトである。
図3Aは、遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、HUMCSF1PO及びS159における同時に共増幅されたDNAサンプルの増幅生成物を示す。パネルAに示されたピークは、フルオレセインで標識され、パネルBに示されるピークは、カルボキシテトラメチルローダミンで標識され、パネルCに示されるピークは、5、6カルボキシローダミン6Gで標識される。
【0093】
図3Bは、増幅反応にDNA鋳型を使用しないことを除けば、
図3Aでスキャンされたサンプルと同じ方法で調製されたサンプルをスキャニングした結果のプリントアウトである。この図のピークは、色素コンジュゲーション及び精製の手順から生ずる、及び不確定な原因から生ずる、バックグラウンド生成物である。
【実施例4】
【0094】
Hitachi FMBIO(登録商標)II Fluorescent Scannerで検出された、遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、HUMCSF1PO及びS159の多重増幅の蛍光検出
この実施例において、2つのDNA鋳型を、遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、HUMCSF1PO及びS159又はこれらの任意の組合せに係る遺伝子座から選択された3つの異なる遺伝子座の各々で同時に各々増幅した。各遺伝子座の組合せの増幅において、単一の反応容器に5ngの鋳型を含め、反応容器に、25μlの1×Gold ST
*R緩衝液(50mM KCl、10mM Tris−HCl(25℃でPH8.3)、0.1%Triton X−100、1.5mM MgCl
2、160μg/ml BSA及び200μMの各dATP、dCTP、dGTP及びdTTP)を含めた。
【0095】
GeneAmp(登録商標)PCR System 9600(Perkin Elmer,Foster City,CA)を、以下の増幅プロトコルで使用した。96℃で12分、次に、94℃で30秒、68秒で58℃にし、30秒保持、50秒で70℃にし、45秒保持を10サイクル、続いて、90℃で30秒、60秒で58℃にし、30秒保持、50秒で70°にし、45秒保持を22サイクル、続いて、60℃で30分を1サイクル行なった。
【0096】
32個の増幅プライマーを、以下の濃度で使用し、その中に、0.225μMの各D3S1358プライマー1[配列ID番号68]及び2[FL−配列ID番号69]、0.2μMの各HUMTH01プライマー1[FL−配列ID番号66]及び2[配列ID番号67]、1.0μMの各D21S11プライマー1[配列ID番号64]及び2[FL−配列ID番号65]、1.0μMの各D18S51プライマー1[FL−配列ID番号62]及び2[配列ID番号63]、2.8μMの各G475プライマー1[FL−配列ID番号88]及び2[配列ID番号89]、0.2μMの各アメロゲニンプライマー1[TMR−配列ID番号86]及び2[配列ID番号87]、0.3μMの各HUMvWFA31プライマー1[配列ID番号76]及び2[TMR−配列ID番号40]、1.5μMの各D8S1179プライマー1[配列ID番号74]及び2[TMR−配列ID番号75]、0.2μMの各HUMTPOXプライマー1[配列ID番号72]及び2[TMR−配列ID番号73]、2.0μMの各HUMFIBRAプライマー1[TMR−配列ID番号70]及び2[配列ID番号71]、0.55μMの各D5S818プライマー1[配列ID番号84]及び2[FL−配列ID番号85]、1.1μMの各D13S317プライマー1[配列ID番号82]及び2[FL−配列ID番号83]、1.7μMの各D7S820プライマー1[FL−配列ID番号80]及び2[配列ID番号81]、3.3μMの各D16S539プライマー1[配列ID番号29]及び2[FL−配列ID番号79]、0.5μMの各HUMCSF1POプライマー1[配列ID番号77]及び2[FL−配列ID番号78]、2.0μMの各S159プライマー1[配列ID番号90]及び2[FL−配列ID番号91]を含んでいた。
【0097】
第1の遺伝子座の組合せにおいて、各鋳型を、2.5UのAmpliTag Gold(登録商標)DNA ポリメラーゼ及び遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX及びHUMFIBRAにおける上述の濃度で使用される各遺伝子座のプライマーを使用して増幅した。第2の遺伝子座の組合せにおいて、上に記述された濃度で、32個のすべてのプライマー及び4UのAmpliTag Gold DNAポリメラーゼを、単一の反応容器中の16個のすべての遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、HUMCSF1PO及びS159でDNA鋳型を増幅するのに使用した。第3の組合せにおいて、各鋳型を、1.5UのAmpliTaq Gold DNAポリメラーゼ及び遺伝子座D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、HUMCSF1PO及びS159における上述の濃度で使用される各遺伝子座のプライマーを使用して増幅した。
【0098】
増幅生成物を、7M尿素を含む(Sambrookら、(1989))0.4mm厚さの4%変性ポリアクリルアミドゲル(アクリルアミドとビスアクリルアミドの割合が19:1)を通る電気泳動で分離し、このゲルは、2枚のガラスプレートに化学的に架橋していた(Kobayashi,Y.(1988)、BRL Focus 10:73−74)。DNAサンプルを、3.5μlの添加液(10mM NaOH、95%ホルムアミド、0.05%ブロモフェノールブルー)及び0.5μlのインターナルレーンサイズスタンダードと混合して、95℃で2分間変性し、装入する前に氷で冷却した。分離した生成物は、Hitachi FMBIO II フルオレセントスキャナー(Hitachi Software Enginnering America,Ltd.South San Francisco,CA)を使用して蛍光シグナルの検出によって視覚化した。それぞれ505nm及び585nmでのバンドパスフィルターを、フルオレセイン標識遺伝子座及びカルボキシテトラメチルローダミン標識遺伝子座のそれぞれの検出に使用した。650nmのバンドパスフィルターを、インターナルレーンスタンダードの検出に使用した(サイズスタンダードデータは示さなかった)。
【0099】
各増幅反応から生じるフラグメントを表示する、
図4A及び
図4Bを参照されたい。
図4Aは、ポリアクリルアミドゲルの同じレーンの、505nmスキャン(フルオレセインチャンネル)の結果を、
図4Bは、585nmスキャン(カルボキシテトラメチルローダミンチャンネル)の結果を示す。各DNA鋳型において、レーン1は、遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX及びHUMFIBRAにおける同時に共増幅したDNAサンプルの結果を示す。レーン2は、遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D13S317、D7S820、D16S539、HUMCSF1PO及びS159における同時に共増幅したDNAサンプルの結果を示す。レーン3は、遺伝子座D5S818、D13S317、D7S820、D16S539、HUMCSF1PO及びS159における同時に共増幅したDNAサンプルの結果を示す。
【実施例5】
【0100】
Hitachi FMBIO(登録商標)II Fluorescent Scannerで検出された、遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、HUMCSF1PO及びS159の多重増幅の蛍光検出
この実施例において、2つのDNA鋳型を、遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、HUMCSF1PO及びS159又はこれらの任意の組合せの遺伝子座から選択された2つの異なる遺伝子座の各組合せで各々同時に増幅した。各遺伝子座の組合せの増幅には、単一の反応容器に5ngの鋳型を含み、反応容器に、25μlの1×Gold ST
*R緩衝液(50mM KCl、10mMTris−HCl(25℃でpH8.3)、0.1%のTritonX−100、1.5mM MgCl
2、160μg/ml BSA及び200μMの各dATP、dCTP、dGTP及びdTTP)を含めた。
【0101】
GeneAmp(登録商標)PCR System 9600(Perkin Elmer、Foster City、CA)を、以下の増幅プロトコルで使用した。96℃で12分、次に、94℃で30秒、68秒で58℃にし、30秒保持、50秒で70℃にし、45秒保持を10サイクル、続いて、90℃で30秒、60秒で58℃にし、30秒保持、50秒で70℃にし、45秒保持を22サイクル、次に60℃で30分を1サイクル行なった。
【0102】
32個の増幅プライマーを、以下の濃度で使用し、その中に、0.225μMの各D3S1358プライマー1[配列ID番号68]及び2[FL−配列ID番号69]、0.2μMの各HUMTH01プライマー1[FL−配列ID番号66]及び2[配列ID番号67]、1.0μMの各D21S11プライマー1[配列ID番号64]及び2[FL−配列ID番号65]、1.0μMの各D18S51プライマー1[FL−配列ID番号62]及び2[配列ID番号63]、2.8μMの各G475プライマー1[配列ID番号88]及び2[FL−配列ID番号94]、0.2μMの各アメロゲニンプライマー1[TMR−配列ID番号86]及び2[配列ID番号87]、0.3μMの各HUMvWFA31プライマー1[配列ID番号76]及び2[TMR−配列ID番号40]、1.5μMの各D8S1179プライマー1[配列ID番号74]及び2[TMR−配列ID番号75]、0.2μMの各HUMTPOXプライマー1[配列ID番号72]及び2[TMR−配列ID番号73]、2.0μMの各HUMFIBRAプライマー1[TMR−配列ID番号70]及び2[配列ID番号71]、0.55μMの各D5S818プライマー1[配列ID番号84]及び2[FL−配列ID番号85]、1.1μMの各D13S317プライマー1[配列ID番号82]及び2[FL−配列ID番号83]、1.7μMの各D7S820プライマー1[FL−配列ID番号80]及び2[配列ID番号81]、3.3μMの各D16S539プライマー1[配列ID番号29]及び2[FL−配列ID番号79]、0.5μMの各HUMCSF1POプライマー1[配列ID番号77]及び2[FL−配列ID番号78]、2.0μMの各S159プライマー1[配列ID番号95]及び2[FL−配列ID番号96]を含む。
【0103】
最初の遺伝子座の組合せにおいて、2.5UのAmpliTaq Gold
TM DNAポリメラーゼ及び遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX及びHUMFIBRAにおける上述の濃度で使用される各遺伝子座のプライマーを使用して各鋳型を増幅した。2番目の遺伝子座の組合せにおいて、上に記述した濃度で、32個のすべてのプライマー及び4UのAmpliTaq Gold
TM DNAポリメラーゼを使用して、単一の反応容器に入っている16個のすべての遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、HUMCSF1PO及びS159でDNA鋳型を増幅した。
【0104】
増幅された生成物の分離及び視覚化は、実施例4に記述したものと同じである。
【0105】
各増幅反応で生じるフラグメントを表示する、
図5A及び
図5Bを参照されたい。
図5Aは、ポリアクリルアミドゲルの同じレーンの、505nmスキャン(フルオレセインチャンネル)の結果を、
図5Bは、585nmスキャン(カルボキシテトラメチルローダミンチャンネル)の結果を示す。各鋳型において、レーン1は、遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX及びHUMFIBRAにおける同時に共増幅したDNAサンプルの結果を示し、レーン2は、遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFBIRA、D5S818、D13S317、D7S820、D16S539、HUMCSF1PO及びS159における同時に共増幅したDNAサンプルの結果を示す。レーン3は、遺伝子座D5S818、D13S317、D7S820、D16S539、HUMCSF1PO及びS159における同時に共増幅したDNAサンプルの結果を示す。
【実施例6】
【0106】
Hitachi FMBIO(登録商標)II Fluorescent Scannerで検出された、遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、S159、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、HUMCSF1PO及びC221の多重増幅の蛍光検出
この実施例において、2つのDNA鋳型を、遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、S159、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、HUMCSF1PO及びC221又はこれらの任意の組合せの遺伝子座から選択された3つの異なる遺伝子座の各組合せで各々同時に増幅した。各遺伝子座の組合せの増幅には、単一の反応容器に10ngの鋳型を含め、反応容器に、25μlの1×Gold ST
*R緩衝液(50mM KCl、10mMTris−HCl(25℃でpH8.3)、0.1%のTritonX−100、1.5mM MgCl
2、160μg/ml BSA及び200μMの各dATP、dCTP、dGTP及びdTTP)を含めた。
【0107】
GeneAmp(登録商標)PCR System 9600(Perkin Elmer、Foster City、CA)を、以下の増幅プロトコルで使用した。96℃で12分、次に、94℃で30秒、68秒で60℃にし、30秒保持、50秒で70℃にし、45秒保持を10サイクル、続いて、90℃で30秒、60秒で60℃にし、30秒保持、50秒で70℃にし、45秒保持を20サイクル、次に60℃で30分を1サイクル行なう。
【0108】
32個の増幅プライマーを、以下の濃度で使用し、その中に、0.75μMの各D3S1358プライマー1[配列ID番号106]及び2[FL−配列ID番号69]、0.3μMの各HUMTH01プライマー1[FL−配列ID番号38]及び2[配列ID番号103]、2.0μMの各D21S11プライマー1[配列ID番号64]及び2[FL−配列ID番号65]、0.3μMの各D18S51プライマー1[FL−配列ID番号101]及び2[配列ID番号102]、2.0μMの各S159プライマー1[配列ID番号92]及び2[FL−配列ID番号93]、0.15μMの各アメロゲニンプライマー1[TMR−配列ID番号105]及び2[配列ID番号87]、1.0μMの各HUMvWFA31プライマー1[配列ID番号76]及び2[TMR−配列ID番号40]、1.25μMの各D8S1179プライマー1[TMR−配列ID番号104]及び2[配列ID番号75]、0.75μMの各HUMTPOXプライマー1[TMR−配列ID番号72]及び2[配列ID番号73]、1.5μMの各HUMFIBRAプライマー1[TMR−配列ID番号70]及び2[配列ID番号107]、0.55μMの各D5S818プライマー1[配列ID番号84]及び2[FL−配列ID番号85]、1.1μMの各D13S317プライマー1[配列ID番号3]及び2[FL−配列ID番号4]、1.7μMの各D7S820プライマー1[FL−配列ID番号80]及び2[配列ID番号81]、3.3μMの各D16S539プライマー1[FL−配列ID番号29]及び2[配列ID番号97]、0.25μMの各HUMCSF1POプライマー1[配列ID番号77]及び2[FL−配列ID番号98]、1.0μMの各C221プライマー1[FL−配列ID番号99]及び2[配列ID番号100]を含んでいた。
【0109】
1番目の遺伝子座の組合せにおいて、2.5UのAmpliTaq Gold
TM DNAポリメラーゼ及び遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、S159、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX及びHUMFIBRAにおける上述の濃度で使用される各遺伝子座のプライマーを使用して各鋳型を増幅した。2番目の遺伝子座の組合せにおいて、上に記述した濃度で、32個のすべてのプライマー及び4UのAmpliTaq Gold
TM DNAポリメラーゼを使用して、単一の反応容器に入っている16個のすべての遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、S159、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、HUMCSF1PO及びC221でDNA鋳型を増幅した。3番目の組合せにおいて、各鋳型を、1.5UのAmplitaq Gold
TM DNAポリメラーゼ及び遺伝子座D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、HUMCSF1PO及びC221における上述の濃度で使用される各遺伝子座のプライマーを使用して増幅した。
【0110】
増幅生成物は、増幅生成物の各サンプルを1倍のSTR緩衝液(50mM KCl、10mM Tris−HCl(25℃でpH8.3)、0.1%のTriton X−100、1.5mM MgCl
2及び200μMの各dATP、dCTP、dGTP及びdTTP)で1:4に希釈した以外は、実施例4で上述したのと同様に分離し、検出した。希釈した増幅生成物(2.5μl)を、2.5μlの添加液(10mM NaOH、95%ホルムアミド、0.05%ブロモフェノールブルー)と混合し、インターナルレーンスタンダードなしで、95℃で2分間変性し、装入する前に氷で冷却した。
【0111】
各増幅反応で生じるフラグメントを表示する、
図6A及び
図6Bを参照されたい。
図6Aは、ポリアクリルアミドゲルの同じレーンの、505nmスキャン(フルオレセインチャンネル)の結果を、
図6Bは、585nmスキャン(カルボキシテトラメチルローダミンチャンネル)の結果を示す。各DNA鋳型において、レーン1は、遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、S159、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX及びHUMFIBRAにおける同時に共増幅したDNAサンプルの結果を示し、レーン2は、遺伝子座D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFBIRA、D5S818、D13S317、D7S820、D16S539、HUMCSF1PO及びC221における同時に共増幅したDNAサンプルの結果を示す。レーン3は、遺伝子座D5S818、D13S317、D7S820、D16S539、HUMCSF1PO及びC221における同時に共増幅したDNAサンプルの結果を示す。
〔配列表〕