特許第5711892号(P5711892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5711892
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】白色発光ダイオード
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/04 20100101AFI20150416BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20150416BHJP
【FI】
   H01L33/00 110
   H01L33/00 186
【請求項の数】18
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-40204(P2010-40204)
(22)【出願日】2010年2月25日
(65)【公開番号】特開2010-251714(P2010-251714A)
(43)【公開日】2010年11月4日
【審査請求日】2013年1月16日
(31)【優先権主張番号】10-2009-0033193
(32)【優先日】2009年4月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】金 澤
【審査官】 小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−227553(JP,A)
【文献】 特表2002−510866(JP,A)
【文献】 特表2008−544536(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/048704(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0142823(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0265404(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体層と、
前記第1半導体層上に形成され、第1波長の光を生成する活性層と、
前記活性層上に形成された第2半導体層と、
半導体物質からなって相互離隔配列された複数のナノ構造物と、を備え、
前記ナノ構造物は、前記第1波長の光の少なくとも一部を吸収して、前記第1波長と異なる第2波長の光を発光するように構成され、
前記複数のナノ構造物は、コアとシェルとを含むコア−シェル構造からなり、前記コアは、InGaAlN(0≦x≦1,0≦y≦1)からなるInGaN基盤の多重量子ウェル構造で形成され、前記シェルは、GaNからなり、前記多重量子ウェル構造は、放射状の積層構造を有する発光ダイオード。
【請求項2】
前記活性層で生成された前記第1波長の光と、前記複数のナノ構造物で発光した前記第2波長の光とが組合わせられて白色光を形成することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項3】
前記複数のナノ構造物を覆う透明電極層がさらに形成されたことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項4】
前記複数のナノ構造物は、前記第2半導体層上に直接形成されたことを特徴とする請求項3に記載の発光ダイオード。
【請求項5】
前記ナノ構造物は、ドーピングされたことを特徴とすることを特徴とする請求項4に記載の発光ダイオード。
【請求項6】
前記第2半導体層上に直接形成された透明電極層をさらに備え、
前記複数のナノ構造物は、前記透明電極層上に直接形成されたことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項7】
前記複数のナノ構造物は、ドーピングされていないことを特徴とすることを特徴とする請求項6に記載の発光ダイオード。
【請求項8】
前記複数のナノ構造物は、アレイに配列されたことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項9】
前記複数のナノ構造物のそれぞれの幅は、前記第2波長より狭いことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項10】
前記複数のナノ構造物のそれぞれの幅は、約10nm以上500nm以下に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項11】
前記活性層は、InGaN基盤の多重量子ウェル構造で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項12】
前記活性層は、青色光を発光するように、Inのモル分率が決定されたことを特徴とする請求項11に記載の発光ダイオード。
【請求項13】
前記第1波長の光と前記第2波長の光とは、それぞれ青色光と黄色光とであることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項14】
前記複数のナノ構造物は、黄色光を発光することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項15】
前記第1波長の光の少なくとも一部を吸収して、前記第2波長と異なる第3波長の光を発光する複数のナノ構造物をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項16】
前記第1波長の光、第2波長の光、第3波長の光は、それぞれ青色光、赤色光、緑色光であることを特徴とする請求項15に記載の発光ダイオード。
【請求項17】
前記第1半導体層は、シリコンでドーピングされたことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項18】
前記第2半導体層は、Mg、Ca、Zn、Cd、Hgのうち、一つ以上でドーピングされたことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードに係り、さらに詳細には、蛍光体を使用せずに白色光を具現する白色発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体を利用した発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)は、高効率、環境にやさしい光源であって、ディスプレイ、光通信、自動車、一般照明のような多様な分野に使われており、特に、白色LEDに対する需要が次第に増えている。
【0003】
白色光を具現する方法として、蛍光体を使用できるが、例えば、紫外線(UV)LEDから紫外線光を発光させた後、紫外線光によって、赤色、緑色及び青色蛍光体を励起させて、それぞれ赤色光、緑色光及び青色光を放出させて白色光が得られる。また、青色LEDを光源として、それと補色関係の黄色蛍光体を励起させて黄色光を放出させることによって白色光が得られる。
【0004】
蛍光体なしにLEDのみで白色を具現する方法には、赤色、緑色及び青色の可視光をそれぞれ発光させるLEDを組合わせて使用する方法がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、蛍光体を使用せずに白色光を具現できる白色LEDを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するために、本発明の実施形態によるLEDは、第1半導体層と、前記第1半導体層上に形成され、第1波長の光を生成する活性層と、前記活性層上に形成された第2半導体層と、半導体物質で形成され、相互離隔して配列された複数のナノ構造物と、を備え、前記ナノ構造物は、前記第1波長の光の少なくとも一部を吸収し、前記第1波長と異なる第2波長の光を発光するように構成される。
【0007】
前記複数のナノ構造物を覆う透明電極層がさらに形成されうる。
【0008】
前記LEDは、前記第2半導体層上に直接形成された透明電極層をさらに備えうる。前記複数のナノ構造物は、前記透明電極層上に直接形成されうる。
【0009】
前記複数のナノ構造物のそれぞれの幅は、前記第2波長より狭いこともある。
【0010】
前記活性層は、InGaN基盤の多重量子ウェル構造で形成されうる。前記活性層は、青色光を発光するように前記活性層のInのモル分率が定められうる。
【0011】
前記第1波長の光と前記第2波長の光とは、それぞれ青色光と黄色光とでありうる。
【0012】
前記LEDは、前記第1波長の光の少なくとも一部を吸収し、前記第2波長と異なる第3波長の光を発光する複数のナノ構造物をさらに備えうる。前記第1波長の光、第2波長の光、第3波長の光は、それぞれ青色光、赤色光、緑色光でありうる。
【0013】
前記複数のナノ構造物は、InGaNで形成されることもあり、InGaN基盤の多重量子ウェル構造を含むコア−シェル構造で形成されることもある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態による白色LEDは、蛍光体を使用せずに白色を具現するので、製造工程が簡単でコスト低減に有利である。
【0015】
白色の具現において、半導体ナノ構造物を採用するが、本発明の実施形態に採用されるナノ構造物は、結晶欠陥がほとんどなくて、高い内部量子効率を達成でき、活性層で形成された光が外部に抽出される時、周期的な屈折率の変化によって光抽出を向上させる役割を行う。
【0016】
また、ナノ構造物は、透明電極物質との接触面積が広く形成されうるが、この場合、電流注入が容易な構造となって、発熱減少、信頼性向上のような電気的特性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態によるLEDの概略的な構成を示す図面である。
図2A】本発明の実施形態によるLEDに採用されうるナノ構造物の多様な実施形態についての細部構造を示す断面図である。
図2B】本発明の実施形態によるLEDに採用されうるナノ構造物の多様な実施形態についての細部構造を示す断面図である。
図2C】本発明の実施形態によるLEDに採用されうるナノ構造物の多様な実施形態についての細部構造を示す断面図である。
図2D】本発明の実施形態によるLEDに採用されうるナノ構造物の多様な実施形態についての細部構造を示す断面図である。
図2E】本発明の実施形態によるLEDに採用されうるナノ構造物の多様な実施形態についての細部構造を示す断面図である。
図3】本発明の他の実施形態によるLEDの概略的な構成を示す図面である。
図4】本発明の他の実施形態によるLEDの概略的な構成を示す図面である。
図5】本発明の他の実施形態によるLEDの概略的な構成を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して、本発明の望ましい実施形態の構成及び作用を詳細に説明する。図面で、同じ参照符号は、同じ構成要素を指し、図面上で各構成要素のサイズは、説明の明瞭性及び便宜上、誇張されている。
【0019】
図1は、本発明の実施形態による発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)100の概略的な構成を示し、図2Aないし図2Eは、図1のLED100に採用されうるナノ構造物150の多様な実施形態についての細部構造を示した断面図である。
【0020】
図1を参照すれば、本発明の実施形態による白色LED100は、入射光を吸収し、かつ波長を変えて再発光させる半導体物質からなる複数のナノ構造物150が離隔配列されたナノ構造物アレイを備えうる。具体的に、白色LED100は、第1型にドーピングされた第1半導体層120、第1半導体層120上に形成された活性層130、活性層130上に形成され、第2型にドーピングされた第2半導体層140と、を備え、活性層130で生成された光を吸収して再発光する半導体物質からなる複数のナノ構造物150が離隔配列されたナノ構造物アレイを備える。
【0021】
さらに具体的に説明すれば、白色LED100は、基板110、基板110上に形成された第1半導体層120、第1半導体層120上に形成された活性層130、活性層130上に形成された第2半導体層140、第2半導体層140上に形成されたナノ構造物アレイ、ナノ構造物アレイを全体的に覆うように形成された透明電極層160、第1半導体層120上の一側に形成された第1電極170及び透明電極層160上の一側に形成された第2電極180を備える。
【0022】
基板110としては、サファイア基板、SiC基板、GaN基板が採用されうる。
【0023】
第1半導体層120は、第1型にドーピングされた半導体層であって、III−V族窒化物半導体物質で形成され、例えば、n−GaNで形成されうる。n型ドーパントとしては、Siが使われうる。基板110上には、図示されていないが、エピタキシャル成長に必要なバッファ層がさらに形成されうる。
【0024】
活性層130は、電子−正孔再結合によって光を発光する層であって、例えば、InGaN基盤の窒化物半導体層で形成され、バンドギャップエネルギーを制御することによって、その発光波長帯域が調節される。例えば、活性層130は、量子ウェル層と障壁層とがInGaN/GaN、InGaN/InGaN、InGaN/AlGaNまたはInGaN/InAlGaNの一対で構成され、単一量子ウェル層または多重量子ウェル層で形成されうる。一実施形態において、活性層130は、青色光を発光するように構成され、すなわち、青色光が発光されるようにInGaN層でのInモル分率が定められうる。一般的に、Inのモル分率が1%変化する時、発光波長は、約5nmほどシフトされる。例えば、青色光を発生させようとする場合、InGaN層内のInのモル分率は、約20%ほどとなる。
【0025】
第2半導体層140は、第2型にドーピングされた半導体層であって、III−V族窒化物半導体物質で形成され、例えば、p−GaNで形成されうる。p型ドーパントとしては、Mg、Ca、Zn、Cd、Hgが使われうる。
【0026】
第1半導体層120、活性層130、第2半導体層140の製造において、一般的に、III−V族化合物半導体の成長方法と知られた多様な方法を使用できる。例えば、金属有機化学蒸着(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、混成気相結晶成長(HVPE:Hydride Vapor Phase Epitaxy)法、分子線結晶成長(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、有機金属気相結晶成長(MOVPE:Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法、HCVD(Halide Chemical Vapor Deposition)法が使われうる。
ナノ構造物アレイは、活性層130で生成された光を吸収して再発光する光ポンピングのために設けられたものであって、半導体物質からなる複数のナノ構造物150が離隔配列されて形成される。光ポンピング、すなわち、活性層130で発光した、例えば、青色光の一部がナノ構造物150に吸収され、吸収された光が、例えば、黄色光に波長変換されて再発光する過程によって、結果的に、全体的に白色光がつくられる。
【0027】
このような過程で、光ポンピングによる波長変換の効率が非常に重要であるが、この効率は、結晶の品質及び抽出効率によって決定される。ナノ構造物150は、例えば、InGaN基盤の半導体物質がナノサイズの微細幅を有し、ナノロッド、ナノワイヤ、またはナノ点の形態で第2半導体層140上に成長された構造であって、図示された形状に制限されない。このような形態のナノ構造物150は、例えば、第2半導体層140を形成するGaNとの格子定数差が大きくなっても、自体のストレインによってストレスを吸収できるため、一般的なInGaN薄膜の結晶欠陥(〜10e6/cm)と比較する時、無欠陥結晶に近い。したがって、Inの量を自由に調節できて、波長変換の幅を自由に決定できる。また、ナノ構造物150のサイズが波長に比べて小さくなれば、結晶内で生成されたフォトンがほとんど結晶の外部に抽出されて、非常に高い光効率が期待できる。ナノ構造物150の幅は、ナノ構造物150で再発光する光の波長より小さなサイズを有するように形成され、約10nm以上500nm以下に形成されうる。
【0028】
ナノ構造物アレイは、活性層130で、例えば、青色光を発光する場合、入射された青色光を黄色光に変換させるように構成される。例えば、複数のナノ構造物150のそれぞれが入射された青色光を黄色光に変換させる半導体物質で形成されうる。後述するが、ナノ構造物150は、InGaN基盤の多重量子ウェル構造を採用でき、この場合、複数の量子ウェル層のInモル分率を調節して、量子ウェル層のそれぞれで赤色光と緑色光とを発光させて、黄色光を具現させうる。
【0029】
または、複数のナノ構造物150は、青色光を赤色光に変換させるナノ構造物と青色光を緑色光に変換させるナノ構造物とを含んで形成され、この場合、ナノ構造物アレイは、青色光を赤色光に変換させるナノ構造物と青色光を緑色光に変換させるナノ構造物とが交互に配列された形態を有しうる。
【0030】
第1電極170と第2電極180とは、活性層130に電子及び正孔が注入されるように外部電源供給部と連結される所であって、Au、Al、Agのような金属物質またはITO(Indium Tin Oxide)のような透明な導電性物質で形成されうる。本実施形態の白色LED100は、第1半導体層120の一部領域が露出されたメサ構造を有し、第1電極170は、第1半導体層120の露出された一部領域上に設けられる。第2電極180は、透明電極層160の上面の一側に設けられる。
【0031】
透明電極層160は、図示したように、ナノ構造物アレイを全体的に覆う構造である。したがって、ナノ構造物150は、電流注入の通路の役割を行うため、第2半導体層140のような第2型、例えば、p型にドーピングされる。このような構造で、ナノ構造物150と透明電極層160との接触面積が大きく増大して、電流注入が容易な構造となり、素子の動作電圧を下げられて、発熱減少のような電気的特性が改善される。
【0032】
図2Aないし図2Eを参照して、ナノ構造物150の多様な実施形態を説明する。
【0033】
図2Aのナノ構造物150は、コア−シェル構造で形成されている。コアは、InGaN基盤の多重量子ウェル構造で形成され、図示したように、量子ウェル層151と障壁層152とが放射状に交互に積層された構造である。量子ウェル層151は、InGaAlN(0<x≦1,0≦y≦1)からなり、障壁層152は、InGaAlN(0≦v<1,0≦w≦1)からなりうる。シェル155は、量子ウェル層151と障壁層152とを覆う形態であり、GaNからなりうる。
【0034】
図2Bのナノ構造物150は、コア−シェル構造を有し、図2Aのナノ構造物150とは異なる断面形状を有する。図2Bのナノ構造物150は、多角錘状であり、三角形の断面形状を示している。コアは、InGaN基盤の多重量子ウェル構造で形成され、図示したように、量子ウェル層151と障壁層152とが放射形に交互に積層された構造である。量子ウェル層151は、InGaAlN(0<x≦1,0≦y≦1)からなり、障壁層152は、InGaAlN(0≦v<1,0≦w≦1)からなりうる。シェル155は、量子ウェル層151と障壁層152とを覆う形態であり、GaNからなりうる。
【0035】
図2Cのナノ構造物150は、図2Aと類似したコア−シェル構造を有する。しかし、コアは、InGaN基盤の多重量子ウェル構造であって、量子ウェル層151と障壁層152とが垂直方向に交互に積層された形態である。量子ウェル層151は、InGaAlN(0<x≦1,0≦y≦1)からなり、障壁層152は、InGaAlN(0≦v<1,0≦w≦1)からなりうる。シェル155は、量子ウェル層151と障壁層152とを覆う形態であり、GaNからなりうる。
【0036】
図2A図2B及び図2Cのようなコア−シェル構造は、バンドギャップエネルギーが相対的に高いGaN半導体物質をシェル155として採用することによって、キャリア閉じ込めによって表面再結合損失が減少して、高い再発光効率を期待できる構造である。
【0037】
図2Dのナノ構造物150は、InGaN物質からなる構造であり、図2Eのナノ構造物150は、InGaN基盤の多重量子ウェル構造であって、量子ウェル層151と障壁層152とが交互に積層された構造を有する。図2D及び図2Eのような構造は、GaNに比べて低いバンドギャップエネルギーを有するInGaN半導体物質のみで構成されるので、電流注入時に接触抵抗がさらに減少する。
【0038】
図2Aないし図2Eで説明したナノ構造物150に採用されるInGaN物質は、Inの含量によって再発光する光の波長が調節される。活性層130で青色光が発光する場合、白色光を発光するため、ナノ構造物150は、緑色光を発光するようにIn含量が調節された構造、または赤色光が発光するようにInの含量が調節された構造を有し、ナノ構造物アレイを構成する時、緑色光を発光するナノ構造物と赤色光を発光するナノ構造物とを交互に配列させうる。または、それぞれのナノ構造物150を形成する複数の量子ウェル層151が、それぞれ赤色、緑色に当たる光を発光するように、Inのモル分率が調節された構造を有しうる。
【0039】
図2Aないし図2Eで説明したナノ構造物150は、一般的なナノワイヤの成長法によって成長させうる。例えば、Fe、Ni、Auのような金属触媒を利用してVapor−Liquid−Solid(VLS)工程でナノ構造物150を成長させうる。または、テンプレート層(図示せず)を形成し、これに所定の溝を形成して、溝の内部でナノ構造物150を成長させうる。それ以外に、金属有機化学蒸着(MOCVD)法、混成気相結晶成長(HVPE)法、分子線結晶成長(MBE)法、有機金属気相結晶成長(MOVPE)法、HCVD法工程でナノ構造物150を成長させることもある。
【0040】
前述した構造の白色LED100は、活性層130で生成される青色光の一部がナノ構造物150に吸収されて、黄色光または赤色光と緑色光に波長変換されて再発光し、一部は、青色光を維持して放出されることによって、白色光が具現される。活性層130で生成された青色光の放出において、ナノ構造物150は、周期的な屈折率の変化を提供して全反射条件を緩和させるので、生成された光を外部に抽出する効率が高い。また、ナノ構造物150に吸収された光が他の波長の光として放出される時、ナノ構造物150は、結晶欠陥がほとんどなく、波長より小さなサイズを有するので、発光効率が非常に高い。
【0041】
図3は、本発明の他の実施形態によるLED200の概略的な構成を示す。本実施形態は、垂直型構造であって、第1電極170の配置構造に主な差がある。第1電極170は、第1半導体層120の下面に形成された構造である。図1の白色LED100の場合、第1半導体層120、活性層130、第2半導体層140の成長が終わった後、第2半導体層130と活性層140との一部をエッチングして第1半導体層120の一部領域を露出させ、露出された第1半導体層120の一部領域に第1電極170が設けられた構造である。一方、本実施形態では、第1半導体層120、活性層130、第2半導体層140の成長が終わった後、基板110(図1)を除去して第1半導体層120の下面に第1電極170を形成する。
【0042】
図4は、本発明の他の実施形態による白色LED300の概略的な構成を示す。本実施形態は、ナノ構造物150の位置で図1の白色LED100と差がある。具体的に説明すれば、基板110、第1半導体層120、活性層130、第2半導体層140、透明電極層160が順次に形成された上に、活性層130で生成された光を吸収して再発光する半導体物質からなる複数のナノ構造物150が離隔配列されたナノ構造物アレイが設けられる。活性層130への電流注入のための第1電極170及び第2電極180は、それぞれ第1半導体層120の一部露出された領域及び透明電極層160の上面の一側に設けられる。このような構造で、ナノ構造物150は、電流注入の通路として使われないため、ドーピングされる必要がなく、アンドーピング半導体物質で形成される。図面では、第2電極180が一部ナノ構造物150を覆う形態からなっているが、これは、例示的なものであり、第2電極180に対向する透明電極層160上の位置には、ナノ構造物150が形成されないように構成されることもある。前述した実施形態のように、ナノ構造物150がp型にドーピングされた場合、光効率の低下をもたらすことがあるが、本実施形態では、ナノ構造物150がドーピングされないので、さらに高い再発光効率が期待できる。
【0043】
図5は、本発明の他の実施形態による白色LEDの概略的な構成を示す。本実施形態は、垂直型構造を有する点で図4の実施形態と差がある。すなわち、第1電極170は、第1半導体層120の下面に形成されている。
【0044】
図3ないし図5で例示した白色LED200,300,400に採用されるナノ構造物150は、図2Aないし図2Dで例示した構造を有し、活性層130で生成された光の一部は、ナノ構造物150によって波長変換され、一部は、そのまま放出されることによって、白色光を具現する。
【0045】
このような本発明の白色LEDは、理解を助けるために、図面に示された実施形態を参照して説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということが分かるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、LED関連の技術分野に好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
100 白色LED
110 基板
120 第1半導体層
130 活性層
140 第2半導体層
150 ナノ構造物
160 透明電極層
170 第1電極
180 第2電極
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5