特許第5711992号(P5711992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5711992-法面安定化用受圧構造物 図000002
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  • 特許5711992-法面安定化用受圧構造物 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5711992
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】法面安定化用受圧構造物
(51)【国際特許分類】
   A01G 1/00 20060101AFI20150416BHJP
   E02D 17/20 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   A01G1/00 301C
   E02D17/20 102B
   E02D17/20 103H
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-29041(P2011-29041)
(22)【出願日】2011年2月14日
(65)【公開番号】特開2012-165682(P2012-165682A)
(43)【公開日】2012年9月6日
【審査請求日】2013年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133294
【氏名又は名称】株式会社ダイクレ
(74)【代理人】
【識別番号】100079636
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 晃一
(72)【発明者】
【氏名】中本 智之
(72)【発明者】
【氏名】山口 忠宏
(72)【発明者】
【氏名】竹谷 佳尚
(72)【発明者】
【氏名】家久 侑大
【審査官】 木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−124633(JP,A)
【文献】 特開2006−304710(JP,A)
【文献】 特開2006−028800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 1/00
E02D 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
法面の安定化のため法面にアンカーボルト又は鉄筋によって固定される受圧構造物であって、樹脂又は金属製で、多数の開口を備えた盤体よりなり、該盤体は下面を除く表面全体又は下面を含む表面全体が砂の吹付けにより粗目に形成され、植物の種子や客土などの植生基材が引掛り、剥離しにくされることを特徴とする法面安定化用受圧構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、法面の安定化のため法面にアンカーボルト又は鉄筋によって固定される受圧構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、法面の崩落や地滑りを防止するため、鉄筋を撚り合わせ、又はアンカーボルトを地盤に掘削した孔に挿入したのち、法面から突出する鉄筋又はアンカーボルト部分にプレキャストコンクリート製の受圧板を差込み、ついで受圧板より突出する鉄筋又はアンカーボルトの突出端にナットを締め込んで固定するグラウンドアンカー工法又は鉄筋挿入工が採用されており、軽量化を図るために受圧板を繊維強化樹脂(以下、FRPという)製としたもの、横方向のリブと縦方向のリブよりなる格子状にしたもの、更には格子状の受圧板をFRP製としたものなども知られる。
【0003】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
受圧構造物として用いられる格子状の受圧板は、該受圧板を通しての植生が可能で、植生は植物の種子や客土等よりなる植生基材を開口内に入れ、或いは開口内に客土を入れたのち種子等を吹き付けることにより行われるが、風雨によって植生基材が流出することがある。とくに植生基材を受圧板上にまで被せた場合、受圧板上の植生基材が風雨により流出し易い。
【0006】
【0007】
本発明は、客土や種子等よりなる植生基材の保持が確実に行えるような法面安定化用の受圧構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係わる発明は、法面の安定化のため法面にアンカーボルト又は鉄筋によって固定される受圧構造物であって、樹脂又は金属製で、多数の開口を備えた盤体よりなり、該盤体は下面を除く表面全体又は下面を含む表面全体が砂、好ましくは珪砂の吹付けにより粗目に形成され、植物の種子や客土などの植生基材が引掛り、剥離しにくされることを特徴とする
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係わる発明の受圧構造物によると、法面に設置した状態で露出する表面は全て砂で被覆されるため、外観上周辺の景観と一体化し、自然と調和できるようになること、前記表面が砂の吹き付けによって粗面となることにより表面に被せた植生基材が粗目に
引掛って定着し保持され易くなり、風雨による流出が生じにくくなると共に、植物が構造物の全面で繁茂し易くなる。
【0010】
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係わる構造物の平面図。
図2図1のA−A線拡大断面図。
図3】構造物の別の例の平面図。
図4図1に示す構造物を受圧構造物として用いた例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の構造物について図面により説明する。
図1に示す受圧構造物1は、縦方向のリブ2aと横方向のリブ2bよりなり、矩形の開口3(該開口3は、図示する例では正方形になっているが、長方形であってもよい)を縦横に多数形成した鋼製又は樹脂製、好ましくは強度に富み、かつ軽量なFRP製の格子状構造物よりなる盤体2の下面を除く全面、すなわち上面、四囲の側面及び開口3を形成する四面に図2に示すように樹脂製の接着剤入りの珪砂4を吹き付けて固着し、表面を粗目としたものである。
【0013】
前記実施形態の構造物1では、表面を粗目とするために珪砂4を吹き付けて固着しているが、珪砂に代えて砂やガラスの粉砕片、或いは他の粉粒状物を吹き付けてもよいし、ショットブラストやサンドペーパーを用いて表面を粗目加工してもよく、また表面にサンドペーパーを貼り付けてもよい。かかる手段のなかでは、砂や珪砂で表面を粗目とするのが周辺の景観と一体化し、自然と調和するうえで好ましい。
【0014】
前記実施形態の構造物1ではまた、下面を除く全面が粗目に形成されているが、開口3を形成する四面のみを粗目としてもよいし、開口3を形成する四面と上面を粗目としてもよく、また下面を含む全面を粗目としてもよい。
【0015】
前記実施形態の構造物1はまた、盤体2が格子状構造物より構成されているが、開口が矩形以外の構造物、例えば六角形で、ハニカム状に形成されていてもよいし、図3に示すように径の異なる円形の枠6を同心円状に配置して桟7で放射状に連結し、開口8が円弧状をなすものであってもよい。またサイズの異なる矩形の枠を同心円状に配置して放射状の桟で連結し、開口が台形をなすものであってもよい。
【0016】
図4は、図1に示す受圧構造物1の使用例を示すもので、法面の地盤11にあけた穴にアンカーボルト12(アンカーボルト12に代え、撚り合わせた鉄筋を用いてもよい)を常法のように挿入して固定し、法面から突出する部分に前記構造物1を中央部において差込み、ついで押え板13を差し込んだのち、押え板13より突出するボルト突出端(鉄筋を用いる場合は鉄筋突出端)に袋ナット14を締着して構造物1を固定してなるもので、植物の種子が入った植生基材15を開口3内に入れ、更に前記構造物1上に被せてなるものである。
【0017】
受圧構造物として用いた本実施形態の構造物1によると、植生基材が粗目に形成された構造物1の表面に引掛って付着し易くなり、植生基材を構造物1上に被せない場合はもちろんのこと、構造物1上に被せた植生基材が例え風雨により洗い流されて構造物1の表面が露出するようなことがあったとしても、構造物表面に固着される珪砂4が周りの法面の地肌と調和する。
【0018】
【符号の説明】
【0019】
1・・構造物
2・・盤体
3、8・・開口
4・・珪砂
11・・地盤
12・・アンカーボルト
13・・押え板
14・・袋ナット
15・・植生基材
図1
図2
図3
図4