【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0033】
使用した材料を以下に示す。
成分(a);
・成分(a−1):SIBSTAR 073T(鐘淵化学工業株式会社製商品)
(リビングカチオン重合によって得られるスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)。スチレン含有量:30重量%、数平均分子量:60,000、重量平均分子量:65,000、分子量分布:1.08、硬さ45A、不飽和結合:0%。)
・成分(a−2):SIBSTAR 103T(鐘淵化学工業株式会社製商品)
(リビングカチオン重合によって得られるスチレン―イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)。スチレン含有量:31重量%、数平均分子量:92,000、重量平均分子量:100,000、分子量分布:1.09、硬さ:46A、不飽和結合:0%。)
・比較用成分(a−3):VECTOR2518(DEXCO POLYMERS社製商品)
(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)。スチレン量:30重量%、25℃における5重量%トルエン溶液粘度:75cps、比重:0.95。)
・比較用成分(a−4):クレイトン1652(クレイトンポリマージャパン株式会社製商品)
(スチレン−エチレン・ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)。スチレン含有量29重量%、数平均分子量90,000、重量平均分子量120,000、分子量分布1.33、水素添加率90%以上。)
・比較用成分(a−5):セプトン2005(クラレ株式会社製商品)
(スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)。スチレン含有量20重量%、数平均分子量210,000、重量平均分子量250,000、分子量分布1.19、水素添加率90%以上。)
・比較用成分(a−6):ダイナロン4600P(JSR社製商品)
(スチレン−エチレン・ブテン−エチレンブロック共重合体(SEBC)。密度=0.91g/
cm3 、MFR=5.6g/10min(230℃、2.16kg)、スチレン含有量=20重量%。)
成分(b);
・成分(b−1):INFUSE D9000(ダウ・ケミカル社製商品)
(エチレン
と1−オクテンを含むブロック(結晶性のハードセグメント)と、1−オクテンとエチレンとからなるブロック(非晶性のソフトセグメント)で(交互に)構成されたブロック共重合体。MFR(ASTM D1238、190℃、2.16kg)0.5g/10分、密度(JIS K 6760)0.877g/cm
3、硬度(JIS K 6253)A69、融点120℃。)
・成分(b−2):INFUSE D9100(ダウ・ケミカル社製商品)
(エチレン
と1−オクテンを含むブロック(結晶性のハードセグメント)と、1−オクテンとエチレンとからなるブロック(非晶性のソフトセグメント)で(交互に)構成されたブロック共重合体。MFR(ASTM D1238、190℃、2.16kg)1.0g/10分、密度(JIS K 6760)0.877g/cm
3、硬度(JIS K 6253)A69、融点120℃。)
・比較用成分(b−3):エンゲージEG8440(ダウ・ケミカル社製商品)
(メタロセン触媒LLDPEエラストマー(エチレンとオクテン−1とのランダム共重合体)。密度0.897(ASTM D−792)、MFR(190℃、荷重2.16kg):1.6g/10min 融点 95℃。)
・比較用成分(b−4):ダイナロンDR6201B(JSR社製)
(エチレン−エチレン・ブテン−エチレンブロック共重合体(CEBC)。スチレン含有量0重量%、数平均分子量180,000、重量平均分子量230,000、分子量分布1.27、水素添加率90%以上。)
成分(c);
・成分(c-1):Novatec BC08AHA(日本ポリケム社製商品)
(プロピレン−エチレンブロック共重合体。密度:0.902g/
cm3、硬さ:94(ShoreA)、MFR(230℃、21.18N荷重):80dg/分、重量平均分子量:100,000。融点160℃。)
【0034】
(実施例1〜10、比較例1〜10)
下記表1、表2、表3に示す原材料を、L/D=47の二軸押出機を使用し、スクリュー回転数80rpm、加工温度200℃で混練しストランドカットでペレットを作製した。
作製したペレットを型締め力120トンの射出成形機を使用し、成形温度210℃で縦13cm×横13cm、厚み2mmのシートを作製した。
【0035】
評価方法は次の通りである。
(1)硬度:
JIS K 7215に準拠し、試験片として6.3mm厚プレスシートを用い、デュロメータ硬さ・タイプAにて測定した。
(2)引張強さ、100%モジュラス、伸び:
JIS K 6301に準拠し、試験片として1mm厚プレスシートを3号ダンベル型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(3)圧縮永久歪み:JIS K 6262の規格に準拠し測定した。測定温度70℃、圧縮時間22時間で実施し、試験片は、小型試験片厚み 6.3±0.3mmのプレスシートを使用した。
(4)ガスバリア性
水蒸気透過率をJIS Z 0208に準拠して測定し、ガスバリア性の指標とした。
(6)押出成形性
単軸の押出機(L/D=28、T型ダイ)で押出ダイ温度240〜260℃、シリンダー温度230〜260℃で(幅)50mm×(厚み)1mmのシートを押出成形し、ドローダウン性、表面外観や形状を観察し、次の基準で評価した。
◎:全く不具合がない。
○:やや表面外観が劣るが他は問題がない。
△:やや表面外観と形状(エッジ部の再現性)に問題がある。
×:悪い
(7)射出成形性
型締め力120トンの射出成形機を用い、成形温度250℃、金型温度40℃、射出速度55mm/秒、射出圧力600kg/cm
2、保圧圧力400kg/cm
2、射出時間6秒、冷却時間45秒で(縦)13cm×(横)13cm×(厚み)2mmのシートを成形した。デラミネーション、表層剥離、ひけ、変形及び著しく外観を悪化させるようなフローマークの有無を目視により判断し、次の基準で評価した。
◎:全く不具合がない。
○:わずかにフローマークが見られるが、他は問題がない。
△:わずかにフローマーク、ひけが見られる。
×:悪い
(8)MFR
JIS K7210に準拠し、230℃、10kg荷重で流れ出た組成物の10分間におけるグラム数を測定した。表中に条件が記入されている場合にはそれぞれの条件で測定した値を示す。
【0036】
得られた結果を下記表1、表2、表3に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
表1の評価結果が示すように、成分(a)と成分(b)を所定量比で含む本願発明の熱可塑性エラストマー組成物では、柔軟性、強度、伸び、耐歪み性、ガスバリア性、成形性、流動性のいずれもをバランスよく備える。さらに成分(c)を含む本願発明の熱可塑性エラストマー組成物では優れた柔軟性、強度、伸び、耐歪み性、ガスバリア性を維持しながら成形性と流動性がさらに向上し、得られる成形品の表面外観が特に優れている。このことから、成分(c)は、成分(a)と成分(b)からなる熱可塑性エラストマー組成物の成形性向上のために特に適合する改質剤として機能していることが分かる。
【0041】
これに対して表2,3の評価結果が示すように、樹脂成分や成分比を変更した比較例1〜10では、表中「実施例との比較」に挙げた点をはじめとする柔軟性、強度、伸び、耐歪み性、ガスバリア性、成形性、流動性のいずれか1以上の性能が目立って劣るため実用に適さない。