(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる2方向操作スイッチ1を前右斜め上方向から見た外観斜視図、
図2は、2方向操作スイッチ1を後左斜め下方向から見た外観斜視図、
図3は、2方向操作スイッチ1を上下中間部で横に切断した状態で示す底面図、
図4は、2方向操作スイッチ1を右横一側部で縦に切断した状態で示す右側面図、
図5は、2方向操作スイッチ1を左横一側部で縦に切断した状態で示す左側面図、
図6(A)は、2方向操作スイッチ1をカバー3を透明にした状態で示す右側面図、
図6(B)は、2方向操作スイッチ1をカバー3を透明にした状態で示す左側面図、
図7は、2方向操作スイッチ1の分解斜視図である。
【0023】
本実施形態の2方向操作スイッチ1は、プッシュスイッチとレバースイッチを組み合わせた複合スイッチである。プッシュスイッチとレバースイッチとの操作部(スライダ4,レバー6)はそれぞれ独立し、それら各スイッチの接点部(スイッチ部10,11a,12a)は同じである。
【0024】
図1〜
図7に示すように、このような2方向操作スイッチ1は、外形が直方体状のスイッチ本体の内郭部を形成するボディ2と、スイッチ本体の外郭部を形成するカバー3と、プッシュスイッチの操作部であるスライダ4と、スライダ復帰バネ(コイルバネ)5と、レバースイッチの操作部であるレバー6と、レバー復帰バネ(捻りコイルバネ)7と、可動接片移動用スライダである作動部材8と、作動部材付勢バネ(コイルバネ)9と、可動接片10と、プッシュスイッチとレバースイッチに共通のスイッチ部(接点部)を可動接片10とで構成する一対の固定接点11a,12aとで構成されている。
【0025】
まず、ボディ2について、
図8〜
図10を参照して説明する。
【0026】
図8(A)は、ボディ2を右斜め下方向から見た外観斜視図、
図8(B)は、ボディ2を左斜め上方向から見た外観斜視図、
図9は、ボディ2を上下中間部で横に切断した状態で示す底面図、
図10(A)は、ボディ2をスライダ4を透明にした状態で示す右側面図、
図10(B)は、ボディ2とスイッチ部10,11a,12aを作動部材8を透明にした状態で示す左側面図である。
【0027】
図8〜
図10に示すように、ボディ2は、絶縁性の合成樹脂で、右横一側部に右側面開口で、凹状の第1の収納部2aを有し、左横一側部に左側面開口で、凹状の第2の収納部を有し、それら第1,第2の収納部2a,2bとの間に中央壁2cを有して、外形が直方体状に形成されている。第1の収納部2aの右側面開口は、ボディ2の右側面と同一平面内にあり、第2の収納部2bの左側面開口は、ボディ2の左側面と同一平面内にある。また、中央壁2cには、前後方向を長手方向とする矩形の長孔2dが形成され、その長孔2dによって第1の収納部2aと第2の収納部2bとが互いに連通されている。
【0028】
図8(A),
図9,
図10(A)に示すように、第1の収納部2aは、前後方向を長手方向とする矩形に形成されており、その第1の収納部2aの周囲にある側壁のうち、第1の収納部2aの前側にある側壁には、コ字形の第1の溝部2eが設けられ、その第1の溝部2eによって第1の収納部2aがボディ2の前面に開口されている。また、第1の収納部2aの後側にある側壁には、第1の溝部2eに対向してU字形のバネ受け溝2fが設けられ、そのバネ受け溝2fによって第1の収納部2aがボディ2の後面に開口されている。第1の溝部2eのコ字形の開口とバネ受け溝2fのU字形の開口は、それぞれ、ボディ2の右側面と同一平面内にある。
【0029】
図8(B),
図9,
図10(B)に示すように、第2の収納部2bは、L形に形成されており、第1の収納部2aに対応してその裏側に配置される主要部分(前後方向を長手方向とする矩形に形成された部分)と、その主要部分の後部から立ち上がり、上部がボディ2の上面から上方向に張り出して設けられた立ち上り部分とを有し、主要部分と第1の収納部2aとの間にある中央壁2cの中央部に長孔2dが設けられている。また、立ち上り部分の上部には、左右方向を軸方向とする支軸2gが中央壁2cから垂直に突出して設けられている。また、第2の収納部2bの周囲にある側壁のうち、立ち上り部分の上側にある側壁には、コ字形の第2の溝部2hが設けられ、その第2の溝部2hによって立ち上り部分がボディ2の上面に開放されている。第2の溝部2hは、支軸2gの上側に後端が位置し、支軸2gの前側に前端が位置するように、円弧状に曲げられて設けられている。また、主要部分と立ち上り部分の後側にある側壁内面には、支軸2gから見て後斜め下方向の位置に対応してバネ当接部2iが設けられている。バネ当接部2iは、第2の収納部2bの後側にある側壁の全横幅にわたって水平に張り出して設けられたリブである。また、主要部分の前側にある側壁内面には、U字形のバネ受け溝2jが設けられている。支軸2gの先端面と第2の溝部2hのコ字形の開口とバネ受け溝2jのU字形の開口は、それぞれ、ボディ2の左側面と同一平面内にある。
【0030】
第2の収納部2bにおいて、立ち上り部分の前端に対応する主要部分の前後中間部には、主要部分の前側にある側壁と対向し、後側にある側壁にも対向して、主要部分を前部と後部とに区画するような、板状の作動部材当接部2kが中央壁2cから垂直に突出して設けられている。その作動部材当接部2kよりも前側と後側にある中央壁2cの前部と後部(主要部分において作動部材当接部2kより区画された前部と後部)とに跨がって長孔2dが設けられている。作動部材当接部2kは、主要部分の前部と後部とを長孔2dに対応する部分で連通させるように、長孔2dに対応する部分を避けてそれよりも上側にある中央壁2cの上部と下側にある中央壁2cの下部とに分けられて設けられている。また、作動部材当接部2kの中央壁2cからの突出量は、第2の収納部2bの奥行きよりも十分に小さくしており、主要部分の前部と後部とは、作動部材当接部2kの先端よりも外側の部分において互いに障害なく連通されている。
【0031】
図8,
図10に示すように、ボディ2の上面と下面には、爪状の第1の係合部2mが突出して設けられている。ボディ2の上面では、その前後中央部の右端部に片寄せられて1つの第1の係合部2mが設けられ、ボディ2の下面では、その前部に左右横に並べられて2つの第1の係合部2mが設けられている。それら第1の係合部2mの後面には、それぞれ、カバー3の乗り越え用にテーパが付けられている。また、ボディ2の上面の前部でそこの左右両側部には、前後方向に平行したレール状の第2の係合部2nが突出して設けられている。右側の第2の係合部2nは、ボディ2の上面から突出して設けられる。右側の第2の係合部2nの外側面とボディ2の上面に設けられた第1の係合部2mの外側面は、それぞれ、ボディ2の右側面と同一平面内にある。左側の第2の係合部2nは、ボディ2の左側面の前部でそこの上部から外側に張り出した付け根部を有し、ボディ2の左側面よりも外側で立ち上げられている。
【0032】
図9,
図10(B)に示すように、ボディ2には、第2の収納部2bの内奥側面(中央壁2cの第2の収納部2b側の壁面)であって、その前端の上下角部に、それぞれ導電性の金属薄板で矩形に形成された一対の固定接点11a,12aが設けられている。その一対の固定接点11a,12aは、それぞれの一表面を第2の収納部2bの内奥側面に面一に露出した状態で設けられている。
【0033】
ボディ2は、それぞれ導電性の金属薄板で形成された細長い一対の端子11,12をインサート成形している。その一対の端子11,12は、それぞれ、ボディ2の左右横幅方向に厚み方向を一致させた状態で上下に配置されて中央壁2cの中に埋設され、そこで前後方向に延設されている。またその際、長孔2dを避けるように、それよりも上側と下側にある中央壁2cの上部と下部の中で前後方向に延設されている。その一対の端子11,12のそれぞれの前端部によって一対の固定接点11a,12aが形成されている。また、一対の端子11,12の後端部は、それぞれ、ボディ2の後面から平行に突出して一対の固定接点11a,12aと導通のある一対の外部接続端子11b,12bを形成している。
【0034】
次に、カバー3について
図1〜
図5,
図7,
図11を参照して説明する。
図11は、カバーを前左斜め上方向から見た外観斜視図である。
【0035】
図7,
図11に示すように、カバー3は、絶縁性の合成樹脂で、前面と上面左側部とが開口され、前面開口を通してボディ2がその後端から内部に嵌め込み可能に、箱型に形成されている。
【0036】
図1〜
図5に示すように、カバー3は、ボディ2との嵌合によって、ボディ2の前面と上面左側部(第2の収納部2b側)とを除く、ボディ2の後面,上面右側部(第1の収納部2a側),下面,左右側面を覆い、ボディ2の右側面を覆うカバー3の右側壁によって、第1の収納部2aの右側面開口と第1の溝部2eのコ字形の開口とバネ受け溝2fのU字形の開口とを一体的に閉鎖し、また、ボディ2の左側面を覆うカバー3の右側壁によって、第2の収納部2bの左側面開口と第2の溝部2hのコ字形の開口とバネ受け溝2jのU字形の開口とを一体的に閉鎖している。
【0037】
図1〜
図5,
図7,
図11に示すように、ボディ2の上面右側部を覆うカバー3の上面板とボディ2の下面を覆うカバー3の下面板には、カバー3とボディ2との完全嵌合時に、各第1の係合部2mと対向する位置に配置され、対向した第1の係合部2mを嵌め込み可能に、孔状の第1の係合部3aが設けられている。カバー3とボディ2との完全嵌合時に、各第1の係合部2mと各第1の係合部3aとが、それぞれ、嵌合することよって、カバー3からのボディ2の抜け止めが行われ、両者が結合固定される。また、カバー3の上面板の前部とカバー3の左側壁の前部でそこの上部には、ボディ2のカバー3の内部への嵌め込みに伴って各第2の係合部2nを嵌め込み可能に、下方向に開口したコ字形の第2の係合部3bが設けられている。カバー3とボディ2との完全嵌合時に、各第2の係合部2nと各第2の係合部3bとが、それぞれ、完全嵌合することによって、カバー3の右側壁と左側壁とがカバー3の前面側(正面側)から見て上下逆のハの字状に横開きするのを防止し、ボディ2の右側面にカバー3の右側壁内面を、また、ボディ2の左側面にカバー3の左側壁内面を、それぞれ、密着保持できるようにしている。
【0038】
ボディ2の後面を覆うカバー3の後壁の内面には、カバー3とボディ2との嵌合時に、バネ受け溝2fのU字形の閉鎖端部と対向する位置から丸棒状のバネガイド3cが垂直に突出して設けられている。バネガイド3cは、ボディ2のカバー3の内部への嵌め込みに伴って、バネ受け溝2fのU字形の閉鎖端部に挿通されて第1の収納溝2aの前部に挿入され、カバー3とボディ2との完全嵌合時に、第1の収納溝2aの前部に突出して配置される。バネガイド3cの付け根部は、バネガイド3cと同軸でバネガイド3cより一回り太い短丸棒状のバネ座3dに形成されている。バネ座3dは、カバー3とボディ2との完全嵌合時に、バネ受け溝2fのU字形の閉鎖端部に嵌合され、バネガイド3cとの段差面を第1の収納溝2aの後側にある側壁内面よりも1段凹んだ位置に配置し、そのバネガイド3cとの段差面をバネ座面としている。
【0039】
カバー3の後壁には、カバー3とボディ2との嵌合時に、一対の外部接続端子11b,12bと対向する位置に一対の端子引き出し孔3e,3fが設けられている。一対の端子引き出し孔3e,3fには、ボディ2のカバー3の内部への嵌め込みに伴って、一対の外部接続端子11b,12bが挿入され、カバー3とボディ2との完全嵌合時に、一対の端子引き出し孔3e,3fを挿通して一対の外部接続端子11b,12bがカバー3の後面(2方向操作スイッチ1のスイッチ本体の後面)から水平に突出される。一対の端子引き出し孔3e,3fは、それぞれ、端子挿入方向に沿って先細りの錐形に形成されている。また、カバー3の後面から突出した一対の外部接続端子11b,12bを保護する端子カバー3gが、カバー3の後面から一対の外部接続端子11b,12bの周囲に突出して設けられている。また、カバー3の右側面(2方向操作スイッチ1のスイッチ本体の右側面)の略中央部とカバー3の左側面(2方向操作スイッチ1のスイッチ本体の左側面)の略中央部には、それぞれ、中央にビス孔3hを有する板状の取り付け座3iが水平に張り出して設けられている。各取り付け座3iの付け根部は、カバー3の左右側面の全長にわってリブ状に張り出して設けられている。
【0040】
次に、スライダ4について、
図1,
図3,
図4,
図6(A),
図12(A),
図12(B)を参照して説明する。
図12(A)は、スライダ4の内面側をスライダ復帰バネ5を付けた状態で斜め後方向から見た外観斜視図、
図12(B)は、スライダ4の内面側をスライダ復帰バネ5を付けた状態で斜め前方向から見た外観斜視図である。
【0041】
図12(A),
図12(B)に示すように、スライダ4は、絶縁性の合成樹脂で、前後方向を長手方向(軸方向)とし、前後中間部に段差面を有し、前部が後部に比べて細くなっている角棒状に形成されており、スライダ4の太い角棒状の後部がスライダ本体部4aとなり、スライダ4の細い角棒状の前部によってスライダ本体部4aの前端面から前方向に突出したプッシュ操作部4bが形成されている。また、スライダ本体部4aの左側面(中央壁2cと対向する内側面)の中央部には、角ボス状の第1の駆動カム部4cが垂直に突出して形成されている。こうして、スライダ4は、前部に前方向に突出したプッシュ操作部4bを設け、後部横一側面に突起状の第1の駆動カム部4cを設けている。
【0042】
スライダ本体4aの左側面と右側面(内側面と外側面)の上部と下部には、それぞれ、前後方向に平行した帯状の摺接部4dが僅かな突出量で突出して設けられている。また、スライダ4を前面側(正面側)から見てスライダ本体4aとプッシュ操作部4bとの段差面がコ字形となるように、プッシュ操作部4bは、スライダ本体部4aの前端面の外側に片寄せられた位置から前方向に突出して設けられており、スライダ本体部4aの右側面中央部とプッシュ操作部4bの右側面は、同一平面内にある。また、スライダ本体部4aの内部には、スライダ本体4aの後端面で開口された有底円筒状のバネ収納部4eが設けられている。バネ収納部4eには、コイルバネからなるスライダ復帰バネ5の前部が伸縮可能に挿入収納される。バネ収納部4eは、スライダ本体部4aと同軸上に設けられており、スライダ復帰バネ5は、バネ収納部4eによってスライダ本体部4aと略同軸上に配置されている。
【0043】
図1,
図3,
図4,
図6(A)に示すように、2方向操作スイッチ1の組み立て状態において、スライダ4は、プッシュ操作部4bをボディ2の前面(2方向操作スイッチ1のスイッチ本体の前面)に前後方向に進退可能に突出させ、第1の駆動カム部4cを第2の収納部2bに前後方向にスライド移動可能に突出させるように、第1の溝部2eに前後方向に摺動可能にプッシュ操作部4bが挿通され、長孔2dに前後方向に摺動自在に第1の駆動カム部4cが挿通されて、スライダ本体4aが第1の収納部2aに前後方向にスライド移動(摺動)可能に収納配置され、ボディ2に対して前後方向にスライド移動可能に組み付けられている。スライダ4の前方向の動作限界位置は、第1の収納部2aの前側にある側壁(ボディ2)にスライダ本体4aの前端面(スライダ本体4aとプッシュ操作部4bとの段差面)が突き当たる位置であり、このとき、プッシュ操作部4bのボディ2の前面からの突出量は最大となり、第1の駆動カム部4cは長孔2dの前端部から第2の収納部2bにおける作動部材当接部2kよりも前側にある主要部分の前部に突出される。スライダ4の後方向の動作限界位置は、第1の収納部2aの後側にある側壁(ボディ2)にスライダ本体4aの後端面が突き当たる位置であり、このとき、プッシュ操作部4bのボディ2の前面からの突出量は最小となり又はプッシュ操作部4bの前端面がボディ2の前面と一致し、第1の駆動カム部4cは長孔2dの後端部から第2の収納部2bにおける作動部材当接部2kよりも後側にある主要部分の後部に突出される。スライダ4は、上下の作動部材当接部2kの間を第1駆動カム部4cが通過することにより、前方向の動作限界位置と後方向の動作限界位置との間でスライド移動できるようになっている。こうして、スライダ4は、プッシュ操作部4bがボディ2の前面に突出され、第1の駆動カム部4cが第2の収納部2bに突出されて、後部が第1の収納部2aに前後方向にスライド移動可能に装着され、プッシュ操作部4bに前方向から加えられる第1の操作力F1により後方向にプッシュ操作可能とされている。
【0044】
図3,
図4,
図6(A)に示すように、2方向操作スイッチ1の組み立て状態において、スライダ復帰バネ5は、バネ収納部4eの閉鎖端面に前端が当接され、バネガイド3cの外側に後部が遊嵌されて、後端がバネ座3dのバネ座面に当接され、スライダ4と第1の収納部2aの後側にある側壁(ボディ2)との間に配置され、スライダ4を、前方向の動作限界位置と後方向の動作限界位置との間でスライド移動可能に、前方向に付勢している。
【0045】
スライダ4とスライダ復帰バネ5とは、カバー3の内部に嵌め込む前のボディ2に組み付けた後、カバー3の内部にボディ2を嵌め込むことにより、2方向操作スイッチ1の組み立て状態でボディ2に組み付けられる。カバー3の内部に嵌め込む前のボディ2は、ボディ2の右側面と同一平面内で、第1の収納部2aの右側面と第1の溝部2eのコ字形とバネ受け溝2fのU字形とが、それぞれ、開口されているので、スライダ4のバネ収納部4eにスライダ復帰バネ5の前部を挿入収納した状態で、ボディ2の右横一側方からスライダ4とスライダ復帰バネ5は容易に組み付けることができる。その後、カバー3の内部にボディ2を嵌め込むだけで、スライダ4とスライダ復帰バネ5は2方向操作スイッチ1の組み立て状態でボディ2に組み付けられるので、2方向操作スイッチ1の組み立が容易となる。2方向操作スイッチ1の組み立て状態においては、カバー3の右側壁は横開きが防止され、ボディ2の右側面に密着保持されているので、スライダ4のガタ付きを防止でき、スムースなスイッチ動作を実現し、2方向操作スイッチ1の信頼性が高くなる。
【0046】
次に、レバー6について、
図1,
図3,
図5,
図6(B),
図13(A),
図13(B)を参照して説明する。
図13(A)は、レバー6の外面側をレバー復帰バネ7を付けた状態で斜め後方向から見た外観斜視図、
図13(B)は、レバー6の内面側をレバー復帰バネ7を付けた状態で斜め後方向から見た外観斜視図である。
【0047】
図13(A),
図13(B)に示すように、レバー6は、絶縁性の合成樹脂で、左右方向を軸方向とする円形の内筒部、円形のギャップ、円形の外筒部で2重構造に形成され、中央に円筒形状の孔(内筒部の内径)6aが設けられたボス部6bを有し、そのボス部6bの外筒部の上部中央から角棒状のレバー操作部6cが真上方向に突出されてレバー状に形成されている。また、ボス部6aの下部には、アーム状の第2の駆動カム部6dが下方向に突出して形成されている。第2の駆動カム部6dは、斜め前方向に突出するように、ボス部6aの下部から緩い傾きを持って下方向に突出している。こうして、レバー6は、上下中間部に左右方向を軸方向とする孔6aを設け、上部に上方向に突出したレバー操作部6cを設け、下部に突起状の第2の駆動カム部6dを設けている。
【0048】
ボス部6bは、円環状の端板を有しており、その端板によってギャップの外側の端が閉鎖され、端板の内縁(内径)から内側に向かって垂直に内筒部が突出され、端板の外縁(外径)から内側に向かって垂直に外筒部が突出されている。レバー操作部6cの外側面と第2の駆動カム部6dの外側面とは、それぞれ、ボス部6bの端板の外側面と同一平面内にあり、レバー6の外側面は、孔6aの軸方向と垂直な平坦面に形成されている。
【0049】
ボス部6bの外筒部の下部には、切り欠き部6eが設けられ、第2の駆動カム部6dの後面には、小さい突起状のバネ脚係止部6fが設けられている。ボス部6bには、捻りコイルバネからなるレバー復帰バネ7が取り付けられている。ボス部6bの内筒部の外側にレバー復帰バネ7のコイル部が遊嵌され、ボス部6bのギャップに、レバー復帰バネ7のコイル部が収納されている。レバー復帰バネ7の一方のバネ脚部は、コイル部の外側端部の前側から切り欠き部6eを通して下方向に延出され、第2の駆動カム部6dの基部の後面に当接されると共に、先端部がバネ脚係止部6fの外側に掛け止められている。レバー復帰バネ7の他方のバネ脚部は、コイル部の内側端部の後側から外筒部よりも内側で下方向に延出されている。
【0050】
図1,
図3,
図5,
図6(A)に示すように、2方向操作スイッチ1の組み立て状態において、レバー6は、レバー操作部6cをボデイ2の上面(2方向操作スイッチ1のスイッチ本体の上面)に支軸2gを中心として前後方向に回動可能に突出させ、第2の駆動カム部6dを第2の収納部2bの第1の駆動カム部4cよりも外側であって、作動部材当接部2kの先端よりも外側で、支軸2gを中心としてレバー操作部6cとは逆方向で前後方向に回動可能に突出させるように、第2の溝部2hにレバー操作部6cが挿通され、支軸2gに孔6aを介してボス部6bが回転可能に軸支され、第2の収納部2bの立ち上がり部分の上部にボス部6bが収納配置され、第2の駆動カム部6dが第2の収納部2bの立ち上がり部分からの主要部分に突出して収納配置され、ボディ2に対して支軸2gを中心として前後方向に回転可能に組み付けられている。支軸2gを中心としてレバー操作部6cが前方向に回動し、支軸2gを中心として第2の駆動カム部6dが後方向に回動するレバー6の
図6(B)の実線矢印に示す第1の方向a(時計回り方向)の動作限界位置は、支軸2gの前側にある第2の溝部2hの前端(ボディ2)でレバー操作部6cの前面が当接する位置であり、このとき、レバー操作部6cはボディ2の上面に倒伏して突出され、第2の駆動カム部6dは、第2の収納部2bにおける作動部材当接部2kよりも後側にある主要部分の後部に突出される。支軸2gを中心としてレバー操作部6cが後方向に回動し、支軸2gを中心として第2の駆動カム部6dが前方向に回動するレバー6の
図6(B)の破線矢印に示す第2の方向b(反時計回り方向)の動作限界位置は、支軸2gの真上位置にある第2の溝部2hの後端(ボディ2)にレバー操作部6の後面が当接する位置であり、このとき、レバー操作部6cはボディ2の上面に垂直に起立して突出され、第2の駆動カム部6dは、第2の収納部2bにおける作動部材当接部2kよりも前側にある主要部分の前部に突出される。レバー6は、第2の収納部2bの第1の駆動カム部4cよりも外側であって、作動部材当接部2kの先端よりも外側を第2の駆動カム部6dが通過することにより、第1の方向aの動作限界位置と第2の方向bの動作限界位置との間で回動できるようになっている。こうして、レバー6は、レバー操作部6cがボディ2の上面に突出され、第2の駆動カム部6dが第2の収納部2bの第1の駆動カム部4cよりも外側に突出されて、レバー操作部6cと第2の駆動カム部6dとの間が第2の収納部2bの後部に左右方向を軸方向とする支軸2gを中心として回動可能に軸支され、レバー操作部6cと第2の駆動カム部6dとが前後方向で逆方向に支軸2gを中心として所定角度(略60度)だけ回動可能であって、レバー操作部6cに後方向から加えられる第2の操作力F2によりレバー操作部6cが前方向に回動し第2の駆動カム部6dが後方向に回動する第1の方向aに回動操作可能とされている。
【0051】
図3,
図5,
図6(B)に示すように、2方向操作スイッチ1の組み立て状態において、レバー復帰バネ7は、コイル部が支軸2gの外側に遊嵌され、一方のバネ脚部が第2の駆動カム部6dの基部の後面に当接され、他方のバネ脚部がバネ当接部2iに当接されて、レバー6と第2の収納部2bの主要部分と立ち上がり部分の後側にある側壁(ボディ2)との間に配置され、レバー6を、第1の方向aの動作限界位置と第2の方向bの動作限界位置との間で回動可能に、第2の方向bに付勢している。
【0052】
レバー6とレバー復帰バネ7とは、カバー3の内部に嵌め込む前のボディ2に組み付けた後、カバー3の内部にボディ2を嵌め込むことにより、2方向操作スイッチ1の組み立て状態でボディ2に組み付けられる。カバー3の内部に嵌め込む前のボディ2は、ボディ2の左側面と同一平面内で、第2の収納部2bの左側面と第2の溝部2hのコ字形とが、それぞれ、開口されているので、レバー3にレバー復帰バネ7を取り付けた状態で、ボディ2の左横一側方からレバー6とレバー復帰バネ7は容易に組み付けることができる。その後、カバー3の内部にボディ2を嵌め込むだけで、レバー6とレバー復帰バネ7は2方向操作スイッチ1の組み立て状態でボディ2に組み付けられるので、2方向操作スイッチ1の組み立が容易となる。2方向操作スイッチ1の組み立て状態においては、カバー3の左側壁は横開きが防止され、ボディ2の左側面に密着保持されているので、レバー6のガタ付きを防止でき、スムースなスイッチ動作を実現し、2方向操作スイッチ1の信頼性が高くなる。
【0053】
次に、作動部材8及び可動接片10について、
図3,
図5,
図6(B),
図10,
図14(A),
図14(B)を参照して説明する。
図14(A)は、作動部材8の内面側を作動部材付勢バネ9及び可動接片10を付けた状態で斜め前方向から見た外観斜視図であり、
図14(B)は、作動部材8の内面側を作動部材付勢バネ9及び可動接片10を付けた状態で斜め後方向から見た外観斜視図である。
【0054】
図14(A),
図14(B)に示すように、作動部材8は、絶縁性の合成樹脂で、直方体状に形成されている。作動部材8の左側面と右側面(外側面と内側面)のそれぞれの上部と下部には、前後方向に平行した帯状の摺接部8aが所定の突出量で突出して設けられている。作動部材8の左側面に設けられた摺接部8aよりも右側面に設けられた摺接部8aの方が突出量が大きく、作動部材8の左側面に設けられた摺接部8aの突出量は僅かである。また、作動部材8の後端面には、そこに低い段差を付けるため矩形状の凸部8bが後方向に突出して設けられている。作動部材8を後面側(背面側)から見て作動部材8の本体部分と凸部8bとの段差面がコ字形となるように、凸部8aは、作動部材8の本体部分の後端面の外側に片寄せられた位置から後方向に突出して設けられており、作動部材8の本体部分の左側面中央部と凸部8aの左側面とは、同一平面内にある。作動部材8には、コ字形の段差面の一部(凸部8aの内側部分)によって形成された第1の当接部8cと、凸部8aの先端面によって形成された第2の当接部8dとが設けられている。
【0055】
作動部材8の内部には、その前端面で開口された有底円筒状のバネ収納部8eが設けられている。バネ収納部8eにコイルバネからなる作動部材復帰バネ9の後部が伸縮可能に挿入収納されている。バネ収納部8eは、作動部材本体部分と同軸上に設けられており、作動部材復帰バネ9は、バネ収納部8eによって作動部材本体部分と略同軸上に配置されている。
【0056】
作動部材8の右側面中央には、そこの上部と下部にある摺接部8aの後端部同士が突条8fによりつながれて形成された凹状の可動接片収納部8gが設けられている。突条8fは、摺接部8aよりも僅かに低背に設けられている。可動接片収納部8gは、その上側と下側にある摺接部8aと後側にある突条8fにより3方向が囲われて前側に開放されている。さらに、可動接片収納部8gの後部の中央部と上下両端部の3箇所には、それぞれ、可動接片10の固定ピン8hが可動接片収納部8gの内奥側面から突出して設けられている。
【0057】
図14(A),
図14(B)に示すように、可動接片10は、導電性の金属薄板で、可動接片収納部8gの後部に収納配置され、その上側と下側にある摺接部8aの間に設けられる基部10aと、その基部10aの上下両端部から前方向に延出された片持ち梁状の板バネからなる一対のバネ接片10b,10cとを有し、後方向に開口したコ字形に形成されている。基部10aの中央部と上下両端部の3箇所には、各固定ピン8hが、それぞれ、挿通可能な図示しない取り付け孔が設けられている。一対のバネ接片10b,10cには、先(前方向)に行くに連れて可動接片収納部8gの内奥側面との間隔が漸次大きくなるように、傾斜角が付けられていると共に、一対のバネ接片10b,10cの先端部には、それぞれ、作動部材8の右側方向に山状に張り出す可動接点10d,10eが折り曲げで形成されており、一対の可動接点10d,10eは、一対のバネ接片10b,10cの撓み変形により、可動接片収納部8gから作動部材8の右側方向に突出する自由位置と、可動接片収納部8gに押し込まれる押し込み位置との間で、変位可能に設けられている。
【0058】
可動接片10は、各取り付け孔に各固定ピン8hを挿通することにより、可動接片収納部8gに位置決めされて取り付けられる。可動接片10の固定は、基部10aの表面に突出している各固定ピン8hの先端部を溶潰して拡径したピン頭部8iに形成することにより、そのピン頭部8iによって可動接片収納部8gの内奥側面に基部10aを密着させた状態で行われる。
【0059】
図3,
図5,
図6(B),
図10に示すように、2方向操作スイッチ1の組み立て状態において、可動接片10が取り付けられた作動部材8は、第2の収納部2bの内奥側面(中央壁2cの第2の収納部2b側の壁面)に可動接片収納部8g内奥側面が対向し、第2の収納部2bの内奥側面と作動部材8との間に可動接片収納部8gを介して可動接片10を挟み込むように、第2の収納部2bにおける作動部材当接部2kよりも前側にある主要部分の前部に前後方向にスライド移動(摺動)可能に収納配置され、ボディ2に対して前後方向にスライド移動可能に組み付けられている。これにより、第1の当接部8cは、第1の駆動カム部4cに対向しその第1の駆動カム部4cが当接可能に設けられ、第2の当接部8dは、第2の駆動カム部6dと対向しその第2の駆動カム部6dが当接可能に設けられている。第1の当接部8cの上部と下部にある作動部材本体部分と凸部8bとの段差面は、作動部材当接部2kに対向しその作動部材当接部2kが当接可能に設けられている。作動部材8及び可動接片10の前方向の動作限界位置は、第2の収納部2bの主要部分の前側にある側壁(ボディ2)に作動部材8の前端面が突き当たる位置であり、このとき、一対の可動接点10d,10eは、一対の固定接点11a,12aの上に移動して押し付けられて接触し、一対の固定接点11a,12aは、可動接片10により導通される。作動部材8及び可動接片10の後方向の動作限界位置は、作動部材当接部2kに第1の当接部8cの上部と下部にある作動部材本体部分と凸部8bとの段差面が突き当たる位置であり、このとき、一対の可動接点10d,10eは、一対の固定接点11a,12aから離れ、一対の固定接点11a,12aは、可動接片10による導通が断たれる。こうして、可動接片10と一対の固定接点11a,
12aとで、作動部材8がその前方向の移動終端位置と後方向の移動終端位置のうち、前方向の移動終端位置にあるときオンとなり、後方向の移動終端位置にあるときオフとなる、スイッチ部10,11a,
12aが構成されている。
【0060】
図3,
図4に示すように、2方向操作スイッチ1の組み立て状態において、作動部材復帰バネ9は、バネ収納部8eの閉鎖端面に後端が当接され、前端がバネ受け溝2jのU字形の閉鎖端部に嵌め込まれて第2の収納部2bの主要部分の前側にある側壁に当接され、作動部材8と第2の収納部2bの主要部分の前側にある側壁(ボディ2)との間に配置され、作動部材8及び可動接片10を、前方向の動作限界位置と後方向の動作限界位置との間でスライド移動可能に、後方向に付勢している。
【0061】
作動部材8と可動接片10と作動部材復帰バネ9とは、カバー3の内部に嵌め込む前のボディ2に組み付けた後、カバー3の内部にボディ2を嵌め込むことにより、2方向操作スイッチ1の組み立て状態でボディ2に組み付けられる。カバー3の内部に嵌め込む前のボディ2は、ボディ2の左側面と同一平面内で、第2の収納部2bの左側面とバネ受け溝2jのU字形とが、それぞれ、開口されているので、可動接片10を取り付けた作動部材8のバネ収納部8eに作動部材復帰バネ9の後部を挿入収納した状態で、ボディ2の左横一側方から作動部材8と可動接片10と作動部材復帰バネ9は容易に組み付けることができる。その後、カバー3の内部にボディ2を嵌め込むだけで、作動部材8と可動接片10と作動部材復帰バネ9は2方向操作スイッチ1の組み立て状態でボディ2に組み付けられるので、2方向操作スイッチ1の組み立が容易となる。2方向操作スイッチ1の組み立て状態においては、カバー3の左側壁は横開きが防止され、ボディ2の左側面に密着保持されているので、作動部材8及び可動接片10のガタ付きを防止でき、スムースなスイッチ動作を実現し、また、スイッチ部10,11a,12aの接触信頼性も高くなり、2方向操作スイッチ1の信頼性が高くなる。
【0062】
そして、スライダ復帰バネ5とレバー復帰バネ7とは、作動部材復帰バネ9の付勢力Aよりも大きな付勢力を、それぞれ、有している。
・スライダ復帰バネ5の付勢力B>作動部材復帰バネ9の付勢力A
・レバー復帰バネ7の付勢力C>作動部材復帰バネ9の付勢力A
【0063】
以上の構成において、2方向操作スイッチ1は、ボディ2とカバー3とスライダ4とスライダ復帰バネ5と作動部材8と作動部材復帰バネ9と可動接片10と一対の固定接点11a,12aとで、プッシュスイッチを構成し、また、ボディ2とカバー3とレバー6とレバー復帰バネ7と作動部材8と作動部材復帰バネ9と可動接片10と一対の固定接点11a,12aとで、レバースイッチを構成し、それらプッシュスイッチとレバースイッチを組み合わせた複合スイッチである。プッシュスイッチとレバースイッチとの操作部(スライダ4,レバー6)はそれぞれ独立し、それら各スイッチの接点部(スイッチ部10,11a,12a)は同じである。
【0064】
次に、プッシュスイッチとレバースイッチの各単独動作、そして2方向操作スイッチ1の動作について、
図1,
図6(A),
図6(B),
図15,
図16(A),
図16(B),
図17,
図17(A),
図17(B),
図19,
図19(A),
図19(B)を参照して説明する。
図1に、スライダ4とレバー6共に自由状態(無操作時)における2方向操作スイッチ1を前右斜め上方向から見た外観斜視図を示し、
図6(A)に、スライダ4,レバー6共に自由状態(無操作時)における2方向操作スイッチ1の動作状態をカバー3を透明にした状態で示し、
図6(B)は、スライダ4,レバー6共に自由状態(無操作時)における2方向操作スイッチ1の動作状態をカバー3を透明にした状態で示している。
図15は、スライダ4操作時における2方向操作スイッチ1を前右斜め上方向から見た外観斜視図、
図16(A)は、スライダ4操作時における2方向操作スイッチ1の動作状態をカバー3を透明にした状態で示す右側面図、
図16(B)は、スライダ4操作時における2方向操作スイッチ1の動作状態をカバー3を透明にした状態で示す左側面図、
図17は、レバー6操作時における2方向操作スイッチ1を前右斜め上方向から見た外観斜視図、
図18(A)は、レバー6操作時における2方向操作スイッチ1の動作状態をカバー3を透明にした状態で示す右側面図、
図18(B)は、レバー6操作時における2方向操作スイッチ1の動作状態をカバー3を透明にした状態で示す左側面図、
図19は、スライダ4,レバー6共に操作時における2方向操作スイッチ1を前右斜め上方向から見た外観斜視図、
図20(A)は、スライダ4,レバー6共に操作時における2方向操作スイッチ1の動作状態をカバー3を透明にした状態で示す右側面図、
図20(B)は、スライダ4,レバー6共に操作時における2方向操作スイッチ1の動作状態をカバー3を透明にした状態で示す左側面図である。
【0066】
プッシュ操作部4bに前方向から加えられる第1の操作力F1(F1≫B)が解除されているスライダ4の自由状態(無操作時)では、
図1,
図6(A),
図6(B)に示すように、スライダ復帰バネ5により前方向に付勢されているスライダ4は前方向に移動している。それに伴い、スライダ4に一体に設けられているプッシュ操作部4bも前方向に移動しており、ボディ2の前面から突出している。また、スライダ4に一体に設けられている第1の駆動カム部4cも前方向に移動しており、作動部材復帰バネ9により後方向に付勢されている作動部材8の第1の当接部8cに当接している。ここで、作動部材復帰バネ9の付勢力Aよりもスライダ復帰バネ5の付勢力Bの方が大きいため(B>A)、スライダ4は、第1の当接部8cに当接した第1の駆動カム部4cが作動部材8を作動部材付勢バネ9の付勢力に抗して前方向の動作限界位置まで押し戻したところで、作動部材8がそれ以上前方向に移動しないことで、スライダ復帰バネ5の付勢力Bによる前方向への移動が規制されて、その位置(自由状態の位置:自由位置、前方向の動作限界位置より僅かに手前の位置)に保持され、作動部材8を作動部材付勢バネ9の付勢力Aに抗して前方向の動作限界位置(自由状態の位置:自由位置)に保持し、スイッチ部10,11a,12aをオン状態に保持する(プッシュスイッチ:オン)。
【0067】
そして、プッシュ操作部4bに前方向から第1の操作力F1が加えられ、スライダ4が
図1,
図6(A),
図6(B)に示す自由位置から後方向にプッシュ操作されると、スライダ4は、スライダ復帰バネ5の付勢力Bに抗してプッシュ操作部4bの突出量を減じながら後方向に移動させられ、それに伴い、第1の当接部8cに当接している第1の駆動カム部4cも後方向に移動させられるため、作動部材8は、作動部材復帰バネ9の付勢力Aを受けて後方向に移動する。さらにスライダ4がプッシュ操作されると、スライダ4と作動部材8は連動して後方向に移動し、遂に作動部材8は、
図20(B)に示すように、作動部材当接部2kに第1の当接部8cの上部と下部にある作動部材本体部分と凸部8bとの段差面が作動部材当接部2kに突き当たる後方向の動作限界位置まで移動し、それ以上後方向に移動しなくなる。そして、このように作動部材8が前方向の動作限界位置から後方向の動作限界位置に移動する中で、スイッチ部10,11a,12aのオンからオフへの切り換えが行われる(プッシュスイッチ:オフ)。なお、スイッチ部10,11a,12aのオンからオフへの切り換えタイミングは、一対の固定接点11a,12aの前後方向の長さを調整することによって任意に設定できる。さらにスライダ4がプッシュ操作されると、作動部材8は既に後方向の動作限界位置に移動しているため、スライダ4は、第1の当接部8cから第1の駆動カム部4cを離して、スライダ4だけで後方向に移動し、
図19,
図20(A),
図20(B)に示すように、スライダ本体4aの後端面が第1の収納部2aの後側にある側壁に突き当たり、プッシュ操作部4bの前端面がボディ2の前面と一致するスライダ4の後方向の動作限界位置まで移動(フルストローク状態)することができる。プッシュ操作部4bに前方向から加えられている第1の操作力F1が解除されると、スライダ4及び作動部材8は、スライダ復帰バネ5の付勢力Bにより、それぞれの元の自由位置に移動する。
【0069】
レバー操作部6cに後方向から加えられる第2の操作力F2(F2≫C)が解除されているレバー6の自由状態(無操作時)では、
図1,
図6(A),
図6(B)に示すように、レバー復帰バネ7により第2の方向bに付勢されているレバー6は支軸2gを中心として第2の方向bに回動(揺動)(傾動)している。それに伴い、レバー6に一体に設けられているレバー操作部6cは後方向(第2の方向b)に回動(揺動)(傾動)しており、ボディ2の上面に略垂直に起立して突出している。また、レバー6に一体に設けられている第2の駆動カム部6dは前方向(第2の方向b)に回動(揺動)(傾動)しており、作動部材付勢バネ9により後方向に付勢されている作動部材8の第2の当接部8dに当接している。ここで、作動部材復帰バネ9の付勢力Aよりもレバー復帰バネ7の付勢力Cの方が大きいため(C>A)、レバー6は、第2の当接部8dに当接した第2の駆動カム部6dが作動部材8を作動部材付勢バネ9の付勢力に抗して前方向の動作限界位置まで押し戻したところで、作動部材8がそれ以上前方向に移動しないことで、レバー復帰バネ6の付勢力Cによる第2の方向bへの回動が規制されて、その位置(自由状態の位置:自由位置、第2の方向bの動作限界位置より僅かに手前の位置)に保持され、作動部材8を作動部材付勢バネ9の付勢力Aに抗して第1の方向aの動作限界位置(自由状態の位置:自由位置)に保持し、スイッチ部10,11a,12aをオン状態に保持する(レバースイッチ:オン)。
【0070】
レバー操作部6cに後方向から第2の操作力F2が加えられ、レバー6が
図1,
図6(A),
図6(B)に示す自由位置から第1の方向aに回動(揺動)(傾動)操作されると、レバー6は、レバー復帰バネ7の付勢力Cに抗してレバー操作部6cを前方向に回動(揺動)(傾動)し上端の高さを減じながら第1の方向aに回動(揺動)(傾動)させられ、それに伴い、第2の当接部8dに当接している第2の駆動カム部6dはレバー操作部6cとは逆に後方向に回動(揺動)(傾動)させられるため、作動部材8は、作動部材復帰バネ9の付勢力Aを受けて後方向に移動する。さらにレバー6が回動操作されると、レバー操作部6cは前方向に回動させられる一方、第2の駆動カム部6dは後方向に回動させられ、その第2の駆動カム部6dの動作と連動して作動部材8は後方向に移動し、遂に作動部材8は、
図20(B)に示すように、作動部材当接部2kに第1の当接部8cの上部と下部にある作動部材本体部分と凸部8bとの段差面が作動部材当接部2kに突き当たる後方向の動作限界位置まで移動し、それ以上後方向に移動しなくなる。そして、このように作動部材8が前方向の動作限界位置から後方向の動作限界位置に移動する中で、スイッチ部10,11a,12aのオンからオフへの切り換えが行われる(レバースイッチ:オフ)。なお、スイッチ部10,11a,12aのオンからオフへの切り換えタイミングは、一対の固定接点11a,12aの前後方向の長さを調整することによって任意に設定できる。さらにレバー6が回動操作されると、作動部材8は既に後方向の動作限界位置に移動しているため、レバー6は、第2の当接部8dから第2の駆動カム部6dを離して、レバー6だけで第1の方向aに回動し、
図19,
図20(A),
図20(B)に示すように、支軸2gの前側にある第2の溝部2hの前端にレバー操作部6cの前面が当接し、レバー操作部6cがボディ2の上面に倒伏して突出するレバー6の第1の方向aの動作限界位置まで回動(フルストローク状態)することができる。レバー操作部6cに後方向から加えられている第2の操作力F2が解除されると、レバー6及び作動部材8は、レバー復帰バネ7の付勢力Cにより、それぞれの元の自由位置に移動する。
【0072】
2方向操作スイッチ1は、プッシュスイッチとレバースイッチを組み合わせた複合スイッチである。プッシュスイッチとレバースイッチとの操作部(スライダ4,レバー6)はそれぞれ独立し、それら各スイッチの接点部(スイッチ部10,11a,12a)は同じである。
【0073】
2方向操作スイッチ1は、
図1,
図6(A),
図6(B)に示すように、スライダ4とレバー6が共に自由状態(無操作時)では、作動部材8は、スライダ4とレバー6の両方からスライダ復帰バネ5の付勢力Bとレバー復帰バネ7の付勢力Cの両方を受けて、作動部材付勢バネ9の付勢力Aに抗して前方向の動作限界位置(自由状態の位置:自由位置)に保持されており、スイッチ部10,11a,12aはオン状態に保持されている(2方向操作スイッチ1:オン)。
【0074】
従って、作動部材8が前方向の動作限界位置から後方向の動作限界位置へと後方向に移動するのは、
図19,
図20(A),
図20(B)に示すように、プッシュ操作部4bに前方向から第1の操作力F1が加えられてスライダ4がプッシュ操作され、かつ、レバー操作部6cに後方向から第2の操作力F2が加えられてレバー6が回動操作されたときだけとなり、このときだけ、スイッチ部10,11a,12aのオンからオフへの切り換えが行われる(2方向操作スイッチ1:オフ)。
【0075】
2方向操作スイッチ1は、
図15,
図16(A),
図16(B)に示すように、スライダ4だけが操作されたり、
図17,
図18(A),
図18(B)に示すように、レバー6だけが操作されたりと、一方だけ操作されても、作動部材8はスライダ復帰バネ5の付勢力B又はレバー復帰バネ7の付勢力Cのどちらか一方を受けているため、作動部材付勢バネ9の付勢力Aに抗して前方向の動作限界位置(自由状態の位置:自由位置)に保持されており、スイッチ部10,11a,12aはオン状態に保持されている(2方向操作スイッチ1:オン)。
【0076】
次に、2方向操作スイッチ1の使用について、
図21,
図22を参照して説明する。
図21は、2方向操作スイッチ1の使用状態を示すパチンコ機13の主要部分斜視図、
図22(A)は、パチンコ機13の前扉枠16と本体枠15の両方が開放されているときの2方向操作スイッチ1の状態を示す動作説明図、
図22(B)は、パチンコ機13の前扉枠16と本体枠15の両方が閉鎖されているときの2方向操作スイッチ1の状態を示す動作説明図である。
【0077】
図21において、13はパチンコ機である。パチンコ機13は、遊技ホールの島設備に固定されパチンコ機13の外殻部を形成する外枠14と、外枠14に対して開閉可能に取り付けられる本体枠15と、本体枠15に対して開閉可能に取り付けられる前扉枠16とが備えられている。また、本体枠15には、遊技に関する制御を行う図示しない制御装置と、外枠14に対する本体枠15の開放状態や本体枠14に対する前扉枠16の開放状態を検出する開放スイッチとが備えられており、本体枠15や前扉枠16が開放された場合、それらの開放状態が開放スイッチにより検出され、開放検出信号が制御装置に入力される。
【0078】
本体枠15は、外枠14の一側部に開閉可能に支持されている。その開閉軸線はパチンコ機13の正面からみて左側に上下へ延びるように設定されており、その開閉軸線を中心として本体枠15が前方側に開放できるようになっている。前面扉としての前扉枠16は、本体枠15の前面側の図示しない前面板を除く範囲に、本体枠15を覆うようにして設けられている。前面板と前扉枠16とにより本体枠15の前面側全体が覆われている。また、前扉枠16は、本体枠15に対して開閉可能に取り付けられており、本体枠15と同様、パチンコ機13の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を中心として前方側に開放できるようになっている。
【0079】
図21に示すように、2方向操作スイッチ1は、外枠14に対する本体枠15の開放状態や本体枠14に対する前扉枠16の開放状態を検出する開放スイッチとして、スイッチ1個がパチンコ機13に取り付けられて使用されるもので、本体枠15を閉鎖した状態で外枠14の内側に配置される本体枠15の背面側の部分であって、その例えば上側面にスイッチ設置用に小さな凹部15aが1つ設けられている。2方向操作スイッチ1の取り付けは、凹部15aにスイッチ本体の下部を嵌め込み、左右の取り付け座3iを凹部15aを設けた上面に重ね合わせ、例えばビス止めにより左右の取り付け座3iを本体枠15に締め付けて固定できる。
【0080】
パチンコ機13の本体枠15に取り付けられた2方向操作スイッチ1は、
図22(A)に示すように、パチンコ機13の前扉枠16と本体枠15の両方が開放されているとき、本体枠15の前面にプッシュ操作部4bが突出されると共に、本体枠15の上側面にレバー操作部6cが起立状態で突出され、前扉枠16の開閉に応じその前扉枠16でプッシュ操作部4bに前方向から第1の操作力F1が加えられると共に、その加えられた第1の操作力F1が解除され、本体枠15の開閉に応じ外枠14でレバー操作部6cに後方向から第2の操作力F2が加えられると共に、その加えられた第2の操作力F2が解除されるようになっている。
【0081】
従って、2方向操作スイッチ1は、
図22(B)に示すように、前扉枠16と本体枠15の両方が閉鎖されているときだけ、スイッチ部10,11a,12aがオフとなり、前扉枠16と本体枠15の一方又は
図22(A)に示すように両方が開放されると、スイッチ部10,11a,12aがオフからオンに切り換わるため、スイッチ1個で前扉枠16や本体枠15の開放状態を検出できる。
【0082】
以上、2方向操作スイッチ1は、スイッチ1個に2つの操作部4,6を備えると共に、スイッチ部10,11a,12aが1つに集約できてスイッチ1個を省スペースかつ安価に構成できるスライダ(プッシュ)4とレバー(回動)6を2つの操作部として備えることにより、パチンコ機13の本体枠15や前扉枠16の開放状態の検出をスイッチ1個使いで実現できるので、省スペース化、スイッチ自体のコストダウン、スイッチ取り付けやリード線配線のコストダウンを図ることができる。また、スライダ(プッシュ)4とレバー(回動)6を2つの操作部として備えることにより、スライダ(プッシュ)4よりもレバー(回動)6の方の動作後の動き(OT)が大きく、外枠14がレバー(回動)6を乗り越えることも可能となり、外枠14とスイッチ1個との位置関係をラフに設定できるので、スイッチ取り付けも容易に行え、さらには、例えばパチンコ機13の機種によって
図22(B)に示す外枠14と前扉枠16との位置関係(L)が多少変わっても使用することができる。
【0083】
最後に、本発明の他の実施形態にかかる2方向操作スイッチ1aについて、
図23を参照して説明する。
図23は、本発明の他の実施形態にかかる2方向操作スイッチ1aの主要部分説明図である。
【0084】
2方向操作スイッチ1は、作動部材8がその前方向の移動終端位置と後方向の移動終端位置のうち、前方向の移動終端位置にあるとき、一対の可動接点10d,10eがそれぞれ接触し可動接片10により導通され、スイッチ部10,11a,12aがオンとなり、後方向の移動終端位置にあるとき、一対の可動接点10d,10eがそれぞれ離れて可動接片10による導通が断たれ、スイッチ部10,11a,12aがオフとなるように、ボディ2の可動接点10d,10e摺動部に一対の固定接点
11a,12aが設けられており(
図6(B)参照)、スライダ4とレバー6の一方又は両方が自由状態のとき、スイッチ部10,11a,12aがオンとなり、スライダ4とレバー6の両方が操作されたとき、スイッチ部10,11a,12aがオンからオフに切り換わるのに対し、
図23に示すように、2方向操作スイッチ1aは、作動部材8がその前方向の移動終端位置と後方向の移動終端位置のうち、後方向の移動終端位置にあるとき、一対の可動接点10d,10eがそれぞれ接触し可動接片10により導通され、スイッチ部10,11c,12cがオンとなり、前方向の移動終端位置にあるとき、一対の可動接点10d,10eがそれぞれ離れて可動接片10による導通が断たれ、スイッチ部10,11c,12cがオフとなるように、ボディ2の可動接点10d,10e摺動部に一対の固定接点11c,12cが設けられており、スライダ4とレバー6の一方又は両方が自由状態のとき、スイッチ部10,11c,12cがオフとなり、スライダ4とレバー6の両方が操作されたとき、スイッチ部10,11c,12cがオフからオンに切り換わる点で相違している。
【0085】
すなわち、2方向操作スイッチ1aでは、2方向操作スイッチ1のオンがオフに、またオフがオンになる以外は、2方向操作スイッチ1と同じ構造,機能,作用効果を有するものである。
【0086】
具体的には、
図23に示すように、2方向操作スイッチ1aでは、作動部材8及び可動接片10が後方向の動作限界位置に移動したときに、一対の可動接点10d,10eが上に移動して押し付けられて接触する位置に本実施形態の一対の固定接点11c,12cが設けられている。
【0087】
以上、本実施形態は2方向操作スイッチ1,1aで本発明を説明したが、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形実施することができる。また、本発明はパチンコ機の外枠に対する本体枠の開放状態や本体枠に対する前扉枠の開放状態を検出以外にも、各種機器のメカニズムなどの動作検出などにも用いることができる。