【実施例1】
【0018】
図1は本発明の実施例1の電圧調整装置の回路構成図である。
図2は本発明の実施例1の電圧調整装置を含む単相配電システムを示す構成図である。
【0019】
柱上変圧器1は、1次巻線Pa1と第1の2次巻線Sa1と第1の2次巻線Sa1に直列に接続される第2の2次巻線Sa2とを有するトランスTaと、1次巻線Pa1に直列に接続される1次巻線Pb1と第2の2次巻線Sa2に直列に接続される2次巻線Sb1とを有するトランスTbとを有し、1次巻線Pa1と1次巻線Pb1とは、三相(U相、V相、W相)3線式の高圧配電線1aに接続され、降圧用の2次巻線Sa1,Sa2,Sb1は、三相4線式の低圧配電線1b(R相(第1相)、N相(第2相、中性相)、S相(第3相)、T相(第4相)低圧配電線)に接続されている。即ち、V結線三相4線式配電系統である。
【0020】
電圧調整装置2は、柱上変圧器1の2次巻線Sa1,Sa2,Sb1に接続される三相4線式の低圧配電線1bと三相4線式の低圧配電線1cとの間に接続されている。三相4線式の低圧配電線1cにおいて、R相、N相、S相低圧配電線1cR,1cN,1cSには単相3線負荷3aが接続され、R相、N相低圧配電線1cR,1cNには電灯などの単相2線負荷3bが接続される。N相、S相低圧配電線1cN,1cSには単相2線負荷3cが接続され、R相、S相低圧配電線1cR,1cSには単相2線負荷3dが接続され、R相、S相、T相低圧配電線1cR,1cS,1cTには電動機などの三相3線負荷3eが接続される。
【0021】
電圧調整装置2は、三相4線式の低圧配電線1cのうちの単相3線(R相、N相、S相低圧配電線1cR, 1cN,1cS)の電圧(R−N相間、S−N相間)を調整する。また、電圧調整装置2は、単相負荷に対して電圧を調整し、三相負荷に対して電圧を調整しない。
【0022】
電圧調整装置2は、R相、S相低圧配電線1cR,1cSから検出した負荷電流からT相低圧配電線1cTに流れる三相負荷電流を取り除き、単相不平衡負荷分のみ個別に算出し、低圧配電線1cの送電端から末端電圧まで電圧の平衡化を行うとともに、送電端電圧から末端電圧まで規定値電圧内に維持するように各相個別に電圧を調整する。
【0023】
電圧調整装置2は、検出用太陽電池21、電流検出器22a,22b,22c、電圧検出器23、電圧調整部24a,24b、制御回路25、ゲート回路26a,26bを有している。
【0024】
また、低圧配電線1cの送電端に直列変圧器(第1直列変圧器)T1a,直列変圧器(第2直列変圧器)T2aの1次巻線(第1の1次巻線)T1ap,1次巻線(第2の1次巻線)T2apが直列に接続されている。また、
図2に示すように、低圧配電線1cのうちの単相3線の送電端から末端までの間の複数地点Pt1〜Pt5に複数の負荷3−1〜3−5と複数の太陽光発電装置(PV)4−1〜4−5とが接続されている。
【0025】
低圧配電線1cの配電線インピーダンスZは、抵抗が%Rであり、リアクタンスが%Xである。低圧配電線1cの地点Pt1には、負荷3−1および太陽光発電装置4−1が接続され、地点Pt2には、負荷3−2および太陽光発電装置4−2が接続され、地点Pt3には、負荷3−3および太陽光発電装置4−3が接続され、地点Pt4には、負荷3−4および太陽光発電装置4−4が接続され、地点Pt5には、負荷3−5および太陽光発電装置4−5が接続されている。
【0026】
なお、太陽光発電装置は、地点Pt1〜Pt5の全てに設ける必要はなく、例えば、地点Pt1〜Pt5の少なくとも1地点に設けられても良い。
【0027】
また、太陽光発電装置は、低圧配電線の送電端から末端までの間の複数地点で同一の定格発電容量の太陽光発電装置が接続されるとは限らない。また、日射量が変化すると各々の太陽光発電装置の発電容量も変化する。このような場合、低圧配電線の送電端から末端までの電圧を精度良く規格値内に調整するためには、各太陽光発電装置の各発電容量を予測する必要がある。本実施例では、この予測に検出用太陽電池を設ける。
【0028】
検出用太陽電池21は、各太陽光発電装置4−1〜4−5の各発電容量を予測するために設けられたものであり、太陽光を受けて発電し、その発電量を太陽電池発電量として電圧調整回路20に出力する。ここで、検出用太陽電池21および各太陽光発電装置4−1〜4−5の各太陽電池は、太陽からの日射量がほぼ等しく届くように配置されている。また、電圧調整装置2には各地点Pt1〜Pt5における各太陽光発電装置4−1〜4−5の各定格発電容量が予め入力されている。
【0029】
また、電圧調整回路20は、検出用太陽電池21からの太陽電池発電量と電流検出器22a,22b,22cからの検出電流と電圧検出器23からの検出電圧とに基づき低圧配電線1cの送電端から末端までの電圧を規定値内に調整する。
【0030】
より詳細には、電圧調整装置2は、低圧配電線1cの送電端から低圧配電線1cの末端までの配電線インピーダンスZ(%R,%X)を予め入力するとともに、電流検出器22a,22b,22cの検出電流と電圧検出器23の検出電圧とに基づき有効電流と無効電流とを演算し、太陽光発電装置4−1〜4−5による低圧配電線1cの末端電圧の電圧上昇を計算する。
【0031】
また、電圧調整装置2は、検出用太陽電池21からの太陽電池発電量に基づき、低圧配電線1cの送電端から末端までの間に取付けた各太陽光発電装置4−1〜4−5の各発電容量を予測計算する。具体的には、電圧調整装置2は、検出用太陽電池21からの太陽電池発電量が定格太陽電池発電量(100%)に対して何%かを求める。これをAo%とする。また、電圧調整装置2に予め入力されている各地点Pt1〜Pt5における各太陽光発電装置4−1〜4−5の各定格発電容量(各定格電流)をIpv1T〜Ipv5Tとすると、各太陽光発電装置4−1〜4−5の実際の発電による有効電流Ipv1(又はIpv2,Ipv3,Ipv4,Ipv5)は、
Ipv1(又はIpv2,Ipv3,Ipv4,Ipv5)=Ipv1T(又はIpv2T,Ipv3T,Ipv4T,Ipv5T)×Ao
として各地点毎に求められる。
【0032】
図3は実施例1の電圧調整装置2による低圧配電線1cの末端電圧の電圧算出を示す図である。ここでは、説明を簡単にするために、地点Pt0、Pt1、Pt2のみとし、地点Pt0が三相4線式の低圧配電線1cの送電端で電圧調整装置2の出力端子(R2,N2,S2,T2)の位置とし、地点Pt2が三相4線式の低圧配電線1cの末端に相当する。
【0033】
P1は地点Pt1の単相負荷3−1の有効電力、Q1は単相負荷3−1の無効電力、Ip1は単相負荷3−1の有効電流、Iq1は単相負荷3−1の無効電流、PV1は太陽光発電装置4−1の有効電力、Ipv1は太陽光発電装置4−1の有効電流である。P2は地点Pt2の単相負荷3−2の有効電力、Q2は単相負荷3−2の無効電力、Ip2は単相負荷3−2の有効電流、Iq2は単相負荷3−2の無効電流、PV2は太陽光発電装置4−2の有効電力、Ipv2は太陽光発電装置4−2の有効電流である。地点Pt0、Pt1間の配電線インピーダンスは、抵抗r1,リアクタンスx1、地点Pt1、Pt2間の配電線インピーダンスは、抵抗r2,リアクタンスx2である。
【0034】
但し、P1,Q1,Ip1,Iq1,PV1,Ipv1は、いずれも三相負荷分を除いた値である。また、P2,Q2,Ip2,Iq2,PV2,Ipv2は、いずれも三相負荷分を除いた値である。
【0035】
Voは電圧調整装置2の地点Pt0の電圧、Iq0は単相負荷3−1,3−2の総無効電流(=Iq1+Iq2)、Ip0は単相負荷3−1,3−2の総有効電流(尚、この電流には太陽光発電電流を含む)(=Ip1−Ipv1+Ip2−Ipv2)である。
【0036】
Ip3hは三相負荷分による有効電流(三相負荷電流しか流れない相(T相)の電流の有効電流分)、Iq3hは三相負荷分による無効電流(三相負荷電流しか流れない相(T相)の電流の無効電流分)である。但し、Ip0,Iq0は、いずれも三相負荷分を除いた値である。
【0037】
電圧・電流検出点において、上記三相負荷分を含まないIp0,Iq0を算出する方法には以下の2つの方法がある。
【0038】
第1の方法は、まず、単相負荷及び太陽光発電電流が流れる電圧・電流検出地点の検出電流I0Lから有効電流分Ip0Lと無効電流分Iq0Lを算出し、次に三相負荷しか流れないT相の電流の有効電流分Ip3hと無効電流分Iq3hを算出し、これらの値から三相負荷電流分を取り除き、Ip0=Ip0L−Ip3h、Iq0=Iq0L−Iq3hを算出する。
【0039】
第2の方法は、単相負荷及び太陽光発電電流が流れる電圧・電流検出地点の検出電流I0Lから三相負荷しか流れないT相の電流の位相を単相負荷の位相(240度ずらすなど)と合わせて求めた三相負荷電流分I3hの瞬時値電流を減算して算出する(瞬時値I0=I0L−I3h)。
【0040】
なお、I0Lは三相負荷電流と単相負荷電流及び太陽光発電電流を含んだ電圧・電流検出点の電流である。
【0041】
電圧調整装置2は、電流検出器22a,22b,22cからの検出電流と電圧検出器23からの検出電圧とに基づき、低圧配電線1cの末端の電圧を算出し、低圧配電線1cの送電端電圧から末端電圧までの電圧が規定値内になるように柱上変圧器1の出力電圧を調整する。
【0042】
各負荷および各太陽光発電装置の各発電容量が低圧配電線1cに対して、均等に配置され、かつ負荷が力率負荷である場合には、配電線インピーダンス(%R,%X)<<負荷インピーダンス(RL、XL)の条件で、低圧配電線一線当り(一相当り)、
配電線電圧降下=有効電流×配電線抵抗r+無効電流×配電線リアクタンスxと見なせる。このため、低圧配電線1cの末端電圧は、
末端電圧=送電端電圧−係数K×(有効電流×配電線抵抗%R+無効電流×配電線リアクタンス%X)
で求められる。
【0043】
係数Kは、%Rと抵抗値、%Xとリアクタンス値、配電線のインピーダンスおよび配電線の送電端に流れる有効電流の均等から配置された負荷量を求めるための換算から求められる。
【0044】
基準電圧(検出電圧)を地点Pt0、末端電圧を地点Pt2とした場合の各配電線電圧降下は、配電線インピーダンス(%R、%X)<<需要家の負荷インピーダンス(RL、XL)の条件で、低圧配電線一線当り(一相当り)以下のようになる。
【0045】
地点Pt1、Pt2間の電圧降下V1-2は、
V1-2=r2×(Ip2−Ipv2)+x2×Iq2
となる。
【0046】
地点Pt0、Pt1間の電圧降下V0-1は、
V0-1=r1×(Ip1+Ip2−Ipv1−Ipv2)+x1×(Iq1+Iq2)
となる。
【0047】
地点Pt0、Pt2間の電圧降下V0-2は、
r1=r2、x1=x2として
V0-2=r1×(Ip1+2×Ip2−Ipv1−2×Ipv2)+x1×(Iq1+2×Iq2)となる。
【0048】
P1=P2、Q1=Q2と仮定すると、
V0-2=r1×(3×Ip2−Ipv1−2×Ipv2)+x1×(3×Iq2)
地点Pt2の電圧(末端電圧)V2は、
P1=P2、Q1=Q2と仮定すると
V2=V0−r1×(3×Ip2−Ipv1−2×Ipv2)+x1×(3×Iq2)
さらに、PV1=PV2と仮定すると
V0-2=r1×(3×Ip2−3×Ipv2)+x1×(3×Iq2)
地点Pt2 の電圧は
V2=V0−r1×(3×Ip2−3×Ipv2)+x1×(3×Iq2)
=V0−r1×1.5×Ip0+x1×1.5×Iq0
さらに、負荷力率100%とした場合、
V0-2=r1×(3×Ip2−3×Ipv2)
地点Pt2の電圧は
VPt2 =V0−r1×(3×Ip2−3×Ipv2)=V0−r1×1.5×Ip0
となる。
【0049】
図4は実施例1の電圧調整回路の具体例の全体構成図である。
図5は
図4に示す実施例1の電圧調整回路の具体例の詳細構成図である。三相4線式の低圧配電線において、入力端子R1,N1,S1,T1に柱上変圧器1の2次巻線Sa1,Sa2,Sb1から三相4線式交流が入力され、出力端子R2,N2,S2,T2から三相交流が出力される。
【0050】
電流検出器22a(第1電流検出器)は、R相低圧配電線1cRに接続された直列変圧器T1aの1次巻線T1apに流れる電流を検出して、制御回路25に出力する。電流検出器22b(第2電流検出器)は、S相低圧配電線1cSに接続された直列変圧器T2aの1次巻線T2apに流れる電流を検出して、制御回路25に出力する。電流検出器22c(第3電流検出器)は、T相低圧配電線1cTに流れる電流を検出して、制御回路25に出力する。
【0051】
電圧検出器23は、出力端子R2,N2,T2から各線間電圧(R−S相間又は、R−S相間、S−T相間、又はR−S相間、S−T相間、T−R相間)を検出して、制御回路25に出力する。制御回路25は、メモリ25aを有する。メモリ25aは、各地点間の配電線インピーダンスと各地点における各太陽光発電装置4−1〜4−5の各定格発電容量(各定格電流)とを記憶する。
【0052】
制御回路25は、検出用太陽電池21、電流検出器22a,22b22c、および電圧検出器23の検出信号とメモリ25aからの各地点間の配電線インピーダンスと各地点における各太陽光発電装置4−1〜4−5の各定格発電容量(各定格電流)とに基づき、低圧配電線1cの末端電圧を算出する。
【0053】
ゲート回路26a,26bは、制御回路25からの末端電圧に基づき、電圧調整部24a,24bにゲート信号を送出する。
【0054】
電圧調整部24aは、R−N相側に設けられ、電圧調整部24bは、N−S相側に設けられている。電圧調整部24a,24bは、ゲート回路26a,26bからのゲート信号に基づき、低圧配電線1cの末端電圧が規定値内になるように交流半導体スイッチからなるトライアックTRC1〜TRC5,TRC6〜TRC10をオンまたはオフさせることにより補償電圧(直列変圧器T1aの1次巻線T1apの電圧、T2aの1次巻線T2apの電圧)を変えて、末端電圧の電圧上昇対策および電圧降下対策を行う。
【0055】
図5では、電圧調整部24aの詳細構成を示す。なお、電圧調整部24bも電圧調整部24aと同一構成である。ここでは、電圧調整部24aの構成を説明する。
【0056】
図5において、直列変圧器T1aの1次巻線T1apは、入力端子R1と出力端子R2との間に接続され、直列変圧器T1aの2次巻線(第1の2次巻線)T1asの一端は、トライアックTRC1の一端に接続されている。直列変圧器T1aの2次巻線T1asの他端は、トライアックTRC2,TRC5の一端に接続されている。
【0057】
トライアックTRC1の他端は、トライアックTRC2,TRC3,TRC4の他端に接続されるとともに、ヒューズF1を介して入力端子R1に接続されている。トライアックTRC3の一端は、直列変圧器T2aの2次巻線(第2の2次巻線)T2asの一端に接続され、トライアックTRC4の一端は、直列変圧器T2aの2次巻線T2asの他端に接続されている。トライアックTRC5の他端は、入力端子N1に接続されている。
【0058】
図6はトライアックTRC1〜TRC5のオン/オフと補償電圧との関係を示す図である。ゲート回路26aは、トライアックTRC1〜TRC5のゲート端子にゲート信号を出力する。
【0059】
トライアックTRC1〜TRC5は、ゲート信号に基づき、
図6のテーブルに示すようにオン又はオフして、例えば、補償電圧を+5V,+2.5V,0V,−2.5V,−5Vとすることにより、直列変圧器T1aの1次巻線T1apの両端電圧が補償される。
【0060】
低圧配電線1cの末端電圧が規定電圧以上であれば、最初に補償電圧を−2.5Vとし、まだ末端電圧が規定電圧以上であれば、補償電圧を−5Vとする。末端電圧が規定電圧未満であれば、最初に補償電圧を+2.5Vとし、まだ末端電圧が規定電圧未満であれば、補償電圧を+5Vとする。
【0061】
例えば、補償電圧を−2.5Vとするときには、トライアックTRC1,TRC5をオンさせることにより、100Vの電圧を直列変圧器T1aの2次巻線T1asに印加させ、直列変圧器T1aの1次巻線T1apに−2.5Vを発生させる。
【0062】
即ち、電圧調整装置2は、低圧配電線1cの電圧に対して、電圧調整部24a,24bで得られた電圧と同相又は逆相の補償電圧を直列変圧器T1a,T2aの2次側に印加し、直列変圧器T1a,T2aの1次側に電圧を発生させている。従って、低圧配電線の送電端から末端までの電圧を規定値内に調整することができる。
【0063】
また、補償電圧が−2.5V,−5Vであるので、交流出力、即ち、地点(送電端)Pt0の電圧は下降することから、末端電圧の電圧上昇対策を行うことができる。同様にして、N−S相の電圧調整部24bにトライアックTRC6〜TRC10を設け、トライアックTRC6〜TRC10をオン又はオフすることにより、R−N相、N−S相を独立に制御でき、不平衡負荷対策も行える。
【0064】
図7は実施例1の電圧調整装置2の動作を示すフローチャートである。
図7を参照しながら、実施例1の電圧調整装置2の動作を説明する。なお、ここでは、
図3に示す簡単な例を挙げて説明する。
【0065】
まず、単相4線式の低圧配電線(R相、N相、S相、及びT相低圧配電線1cR,1cN,1cS,1cT)のうちの三相3線(R相、S相、及びT相低圧配電線1cR,1cS,1cT)の各電流を検出する。この場合、送電端である低圧配電線1cの地点Pt0の電流、即ち、R相、S相、及びT相低圧配電線1cR,1cS,1cTの電流を電流検出器22a,22b,22cにより検出する(ステップS10)。単相負荷が接続されていないT相低圧配電線1cTの検出電流は、三相3線負荷3eの三相負荷電流I3hとなる。R相低圧配電線1cRのR相負荷電流(第1負荷電流)とS相低圧配電線1cSのS相負荷電流(第3負荷電流)との各々の負荷電流は、低圧配電線電流IoLとなる。
【0066】
また、地点Pt0の電圧を電圧検出器23により検出する。即ち、電圧検出器23により、各低圧配電線の線間電圧(R−S相間又は、R−S相間、S−T相間、又はR−S相間、S−T相間、T−R相間)を検出して、位相を120度ずらすなどして三相線間電圧V0を算出して、三相線間電圧V0と三相負荷電流I3hとに基づき三相3線負荷3eの三相負荷容量と三相負荷力率を算出する。
【0067】
また、太陽電池発電量を検出用太陽電池21により検出する。電圧調整回路20内の制御回路25は、検出用太陽電池21からの太陽電池発電量と各太陽光発電装置4−1,4−2の各定格発電容量(各定格電流)とから各太陽光発電装置4−1,4−2の実際の発電による各有効電流Ipv1,Ipv2を算出する。
【0068】
次に、制御回路25は、R相、S相毎に、低圧配電線電流IoLから三相負荷電流I3hを減算し、電流Ioを算出する(ステップS11)。電流Ioは単相負荷電流分と太陽光発電量電流分とを合わせたものである。
【0069】
制御回路25は、電流Ioと電圧検出器23からの検出電圧V0とから有効電流Ip0、無効電流Iq0を求める(ステップS13)。さらに、有効電流Ip0、無効電流Iq0と各有効電流Ipv1,Ipv2との差から各単相負荷3−1,3−2の有効電流Ip1,Ip2、無効電流Iq1,Iq2とを求める。
【0070】
次に、制御回路25は、配電線インピーダンス(r,x)のデータを用いて、所定の電圧計算により低圧配電線1cの末端電圧を算出する(ステップS15)。所定の電圧計算とは、上記した低圧配電線1cに接続される負荷が力率負荷の場合の計算式である。ゲート回路26a,26bは、制御回路25からの末端電圧に基づきゲート信号を生成する。
【0071】
次に、電圧調整部24a,24bは、ゲート回路26a,26bからのゲート信号に基づき、末端電圧が規定値内になるようにトライアックTRC1〜TRC10をオン又はオフさせて、補償量(補償電圧)を調整し決定する(ステップS17)。
【0072】
ゲート回路26a,26bは、制御回路25からの末端電圧および送電端電圧が規定値内かどうかを判定し、末端電圧および送電端電圧が規定値内でない場合には、ゲート信号を生成してステップS17に戻る。
【0073】
一方、末端電圧および送電端電圧が規定値内である場合には、ステップS17で決定された補償量により、電圧調整装置2で補償し(ステップS21)、地点Pt0の補償結果を確認する。
なお、応答時間および検出ヒステリシスは、設定変更でき、実稼働において最適となるように設定する。
【0074】
このように、実施例1の電圧調整装置によれば、R相、S相、及びT相低圧配電線1cR,1cS,1cTの各電流を電流検出器22a,22b,22cにより検出し、R相低圧配電線1cRとS相低圧配電線1cSとに流れる低圧配電線電流IoLから、T相低圧配電線1cTの三相3線負荷3eの三相負荷電流I3hを減算するので、単相負荷の負荷電流のみを個別に算出でき、低圧配電線の送電端から末端までの電圧を規定値内に調整することができる。
【0075】
また、例えば、太陽光発電量が負荷量を上回り、末端電圧が上昇した場合には、複数地点の各太陽光発電量を算出し、送電端の電流・電圧を検出し、逆潮流を含む有効電力、無効電力を算出し、これらと配電線インピーダンスから末端電圧を算出し、送電端電圧、末端電圧および各地点電圧が規定値内となるように電圧調整装置2の出力電圧を調整することができる。