特許第5712080号(P5712080)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 昭和アルミニウム缶株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5712080-飲料容器 図000002
  • 特許5712080-飲料容器 図000003
  • 特許5712080-飲料容器 図000004
  • 特許5712080-飲料容器 図000005
  • 特許5712080-飲料容器 図000006
  • 特許5712080-飲料容器 図000007
  • 特許5712080-飲料容器 図000008
  • 特許5712080-飲料容器 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5712080
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】飲料容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20150416BHJP
   B65D 53/00 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   B65D77/20 K
   B65D53/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-166385(P2011-166385)
(22)【出願日】2011年7月29日
(65)【公開番号】特開2013-28374(P2013-28374A)
(43)【公開日】2013年2月7日
【審査請求日】2014年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000186854
【氏名又は名称】昭和アルミニウム缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】小島 真一
(72)【発明者】
【氏名】池田 和紀
(72)【発明者】
【氏名】村岡 健裕
(72)【発明者】
【氏名】柏崎 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 明日美
【審査官】 八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−048161(JP,U)
【文献】 実開昭54−118355(JP,U)
【文献】 特開2009−51527(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/008064(WO,A1)
【文献】 特開2005−47599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D35/44−35/54、39/00−55/16
B65D67/00−79/02、81/18−81/30、81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成され、飲料が収容された容器本体と、
前記容器本体に接着され、当該容器本体に形成された前記開口を塞ぐ塞ぎ部材と、
を備え、
前記塞ぎ部材は、
外周縁を有し、前記容器本体に接着されるとともに当該容器本体の前記開口に対峙するように設けられ、当該開口を塞ぐ塞ぎ片と、
前記塞ぎ片の前記外周縁から突出するように設けられ、突出方向と交差する方向において幅を有して形成され、当該塞ぎ片の少なくとも一部が前記容器本体から剥がされる際にユーザにより操作される操作片と、
前記操作片に形成され、当該操作片の幅方向のおける一端部側に一端を有し、当該操作片の幅方向における他端部側に他端を有したスリットと、
備えることを特徴とする飲料容器。
【請求項2】
前記操作片のうちの前記スリットよりも前記塞ぎ片から離れた側に位置する部位には、当該操作片の厚み方向に突出した突出部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の飲料容器。
【請求項3】
前記操作片のうちの前記塞ぎ片に接続された箇所には、当該操作片の幅方向における一端部を始点として当該操作片の幅方向における他端部に向かうスリットが形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の飲料容器。
【請求項4】
前記操作片の根元の幅が、当該根元よりも先端部側に位置する部位の幅よりも小さくなるように当該操作片は形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の飲料容器。
【請求項5】
開口が形成され、飲料が収容された容器本体と、
前記容器本体に接着され、当該容器本体に形成された前記開口を塞ぐ塞ぎ部材と、
を備え、
前記塞ぎ部材は、
外周縁を有し、前記容器本体に接着されるとともに当該容器本体の前記開口に対峙するように設けられ、当該開口を塞ぐ塞ぎ片と、
前記塞ぎ片の前記外周縁から突出するように設けられ、当該塞ぎ片の少なくとも一部が前記容器本体から剥がされる際にユーザにより操作される操作片と、
前記塞ぎ片の前記外周縁から突出するように設けられた前記操作片に形成されるとともに当該操作片の突出方向と交差する方向に沿って形成されたスリットと、
備えることを特徴とする飲料容器。
【請求項6】
前記スリットは、当該スリットの一端と当該スリットの他端とを結ぶ直線よりも前記塞ぎ片が設けられている側、又は、当該塞ぎ片が設けられている側とは反対側を通るように設けられていることを特徴とする請求項5記載の飲料容器。
【請求項7】
前記操作片のうち、前記スリットの一端が位置する部位、および、当該スリットの他端が位置する部位には、円形の打ち抜き加工が施されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の飲料容器。
【請求項8】
前記スリットは、長手方向における中央部に位置する部位が、前記塞ぎ片側に突出するように形成されていることを特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載の飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
金属缶のフランジカール部に対して取り付けられたアルミ箔蓋の端部に、アルミ箔蓋が剥離される際に用いられる剥離用の舌片部が形成されたアルミ箔シール缶が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−126928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飲料容器の容器本体に形成された開口を塞ぐため、塞ぎ部材がこの容器本体に対して接着されることがある。このような飲料容器では、内部の飲料が飲まれる際に塞ぎ部材の一部又は全部が剥がされることとなるが、容器本体と塞ぎ部材との接着強度が大きい場合や塞ぎ部材のうちのユーザにより掴まれる部分の面積が小さい場合、塞ぎ部材を容器本体から剥がしにくくなる。
本発明の目的は、容器本体に形成された開口を塞ぐ塞ぎ部材が剥がしやすい飲料容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される飲料容器は、開口が形成され、飲料が収容された容器本体と、前記容器本体に接着され、当該容器本体に形成された前記開口を塞ぐ塞ぎ部材と、を備え、前記塞ぎ部材は、外周縁を有し、前記容器本体に接着されるとともに当該容器本体の前記開口に対峙するように設けられ、当該開口を塞ぐ塞ぎ片と、前記塞ぎ片の前記外周縁から突出するように設けられ、突出方向と交差する方向において幅を有して形成され、当該塞ぎ片の少なくとも一部が前記容器本体から剥がされる際にユーザにより操作される操作片と、前記操作片に形成され、当該操作片の幅方向のおける一端部側に一端を有し、当該操作片の幅方向における他端部側に他端を有したスリットと、備えることを特徴とする飲料容器である。
【0006】
ここで、前記操作片のうちの前記スリットよりも前記塞ぎ片から離れた側に位置する部位には、当該操作片の厚み方向に突出した突出部が設けられていることを特徴とすることができる。
また、前記操作片のうちの前記塞ぎ片に接続された箇所には、当該操作片の幅方向における一端部を始点として当該操作片の幅方向における他端部に向かうスリットが形成されていることを特徴とすることができる。
さらに、前記操作片の根元の幅が、当該根元よりも先端部側に位置する部位の幅よりも小さくなるように当該操作片は形成されていることを特徴とすることができる。
【0007】
他の観点から捉えると、本発明が適用される飲料容器は、開口が形成され、飲料が収容された容器本体と、前記容器本体に接着され、当該容器本体に形成された前記開口を塞ぐ塞ぎ部材と、を備え、前記塞ぎ部材は、外周縁を有し、前記容器本体に接着されるとともに当該容器本体の前記開口に対峙するように設けられ、当該開口を塞ぐ塞ぎ片と、前記塞ぎ片の前記外周縁から突出するように設けられ、当該塞ぎ片の少なくとも一部が前記容器本体から剥がされる際にユーザにより操作される操作片と、前記塞ぎ片の前記外周縁から突出するように設けられた前記操作片に形成されるとともに当該操作片の突出方向と交差する方向に沿って形成されたスリットと、備えることを特徴とする飲料容器である。
【0008】
ここで、前記スリットは、当該スリットの一端と当該スリットの他端とを結ぶ直線よりも前記塞ぎ片が設けられている側、又は、当該塞ぎ片が設けられている側とは反対側を通るように設けられていることを特徴とすることができる。
また、前記操作片のうち、前記スリットの一端が位置する部位、および、当該スリットの他端が位置する部位には、円形の打ち抜き加工が施されていることを特徴とすることができる。
さらに、前記スリットは、長手方向における中央部に位置する部位が、前記塞ぎ片側に突出するように形成されていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容器本体に形成された開口を塞ぐ塞ぎ部材が剥がしやすい飲料容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態が適用される飲料缶を説明するための図である。
図2】容器本体に取り付けられる前の塞ぎ部材を示した図である。
図3】塞ぎ部材の断面図である。
図4】把持部の構成例を示した図である。
図5】把持部の構成例を示した図である。
図6】把持部の構成例を示した図である。
図7】把持部の構成例を示した図である。
図8】把持部の構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態が適用される飲料缶100を説明するための図である。なお同図(A)は飲料缶100の上部の斜視図であり、また同図(B)は、飲料缶100の正面図である。なお同図(B)では、飲料缶100の上部については断面で表示している。
【0012】
同図(A)、(B)に示すように、本実施形態における飲料缶100には、上部に開口を有するとともに下部に底部を有し且つ筒状に形成され、清涼飲料などの飲料が内部に収容された容器本体(缶胴)200が設けられている。また、飲料缶100には、容器本体200の上部に位置する環状の縁部に接着され容器本体200の上部に位置する開口を塞ぐ塞ぎ部材(シール部材)300が設けられている。
【0013】
ここで、容器本体200の上記環状の縁部には曲げ加工が施されており、この縁部には容器本体200の外側方向に向かって湾曲したカール部220が形成されている。ここで、このようにカール部220が形成されている場合、容器本体200の剛性が増す。また、カール部220を形成した場合、カール部220を形成しない場合に比べ、塞ぎ部材300と容器本体200との接着面積が増加するようになる。
【0014】
本実施形態では、カール部220のうちの外側に露出した面に対して、塞ぎ部材300が接着されている。なお容器本体200は、胴部と底部とが一体で形成された2ピース缶とすることもできるし、別体で形成された胴部と底部とを組み付けることで形成することもできる。また、容器本体200の材質も特に限定されず、例えば、アルミニウムなどの金属や、耐水処理が施された紙などを用いることができる。
【0015】
なお、塞ぎ部材300と容器本体200との接着の信頼性は、接着面積を大きくすることによって向上させることができる。ところで、本実施形態の容器本体200のように、塞ぎ部材300が接着される部位の形状が円環状である場合において接着面積を確保しようとする場合、例えば、容器本体200の直径を大きくし容器本体200の周長を長くする必要が生じる。
【0016】
しかしながら実際には、容器本体200には寸法の制約が存在しこのように周長を長くできない場合が多い。このため、本実施形態では、図1(B)に示すように、カール部220の頂部221のみではなく、この頂部221よりも下方に位置するカール部220の周面に対しても塞ぎ部材300の接着を行い、塞ぎ部材300と容器本体200との接着面積を大きくしている。付言すると、本実施形態におけるカール部220は、容器本体200の軸方向における縁となる箇所に頂部221を有するとともに、この頂部221よりも下方に、容器本体200の外周面に対峙する対峙部222を有している。そして本実施形態では、頂部221および対峙部222の両者に対し、塞ぎ部材300が接着されている。
【0017】
なおカール部220の対峙部222は、頂部221に接続して設けられるとともに、頂部221との接続部から、容器本体200の底部が位置する側に向かうように形成されている。また、対峙部222は、容器本体200の外側方向(容器本体200の径方向における外側方向)に向かって膨らむように形成され、頂部221Aを有するとともに、この頂部221よりも容器本体200の底部側に端部221Bを有している。ここで、容器本体200の径方向において、端部221Bは、頂部221Aよりも容器本体200の中心部側に位置している。また、本実施形態では、塞ぎ部材300の端部301が、頂部221Aと端部221Bとの間に位置する領域内に位置しており、頂部221Aと端部221Bとの間に位置するこの領域に対しても、塞ぎ部材300が接着されている。
【0018】
ここで、本実施形態では、塞ぎ部材300を予め定められた形状で成形しておく。そして、予め定められた形状で成形しておいたこの塞ぎ部材300を、容器本体200のカール部220(縁部)に対して接着する。付言すると、容器本体200のカール部220に倣った形状を塞ぎ部材300に予め付与しておき、カール部220に倣った形状が付与された塞ぎ部材300を容器本体200に対して接着する。
【0019】
図2は、容器本体200に取り付けられる前の塞ぎ部材300を示した図である。なお、同図(A)は、斜視図であり、同図(B)は、同図(A)のIIB−IIB線における断面図である。
【0020】
同図(A)、(B)に示すように、本実施形態における塞ぎ部材300は、成形加工が予め施され容器本体200のカール部220に倣った形状が付与されている。より具体的に説明すると、本実施形態における塞ぎ部材300には、同図(A)、(B)に示すように、円形に形成されるとともに容器本体200の開口に対峙するように設けられこの開口を塞ぐ塞ぎ片の一例としての基部310が設けられている。なお、この基部310には、容器本体200のカール部220に接着される外周縁320が設けられている。また塞ぎ部材300には、外周縁320から外側方向に向かって突出するように設けられるとともに突出方向と交差する方向において幅を有して形成され、ユーザによって塞ぎ部材300が容器本体200から剥がされる際に、ユーザにより把持されて操作される操作片の一例としての把持部330が設けられている。
【0021】
なお本実施形態では、塞ぎ部材300の全てが容器本体200から剥がされる飲料缶100を例示しているが、塞ぎ部材300と容器本体200との接着強度を部分的に高め、塞ぎ部材300の一部のみが容器本体200から剥がれるようにし、容器本体200の開口が現れた後も、塞ぎ部材300が容器本体200に取り付いたままの状態とすることもできる。この場合、塞ぎ部材300がごみとなって散乱することが防止される。
【0022】
ここで、外周縁320には、同図(B)に示すように、その断面形状がU字状の窪みが形成されている。さらに説明すると、外周縁320には、容器本体200のカール部220に倣った形状が付与されている。より具体的には、容器本体200のカール部220には曲率が付与されており、外周縁320にも、カール部220に付与された曲率に近い曲率が付与されている。
【0023】
ここで本実施形態では、容器本体200への飲料の充填後、容器本体200の上に塞ぎ部材300が載せられる。なおこのとき、容器本体200のカール部220に対し塞ぎ部材300の外周縁320が被せられる。その後、塞ぎ部材300の外周縁320が加熱されることで、塞ぎ部材300に予め塗布されていた接着剤(ヒートシール剤)が溶融する。そしてこの溶融した接着剤が硬化することで、容器本体200に対して塞ぎ部材300が固定される。なお本実施形態では、塞ぎ部材300に予め接着剤が塗布されている場合を一例に説明したが、塞ぎ部材300を容器本体200に対して接着する際に、接着剤を、塞ぎ部材300、容器本体200の何れか一方若しくは両方に塗布することもできる。
【0024】
ここで、本実施形態における塞ぎ部材300の外周縁320には、上記のとおり、容器本体200のカール部220に倣った形状で付与されている。また、塞ぎ部材300は、外周縁320に皺がほとんどない状態で形成されている。このため、本実施形態では、容器本体200に対して塞ぎ部材300を取り付けられた後も、塞ぎ部材300には皺がほとんどない状態となる。
【0025】
さらに説明すると、本実施形態のように容器本体200のカール部220に倣った形状が塞ぎ部材300に既に付与されている場合は、塞ぎ部材300を容器本体200へ取り付ける際、カール部220に倣わせるための塞ぎ部材300の変形をほとんど行わずに済む。このため、本実施形態では、塞ぎ部材300を容器本体200に取り付ける際に生じる皺が発生しにくくなっている。
【0026】
なお上記では説明を省略したが、本実施形態における塞ぎ部材300は、図3(塞ぎ部材300の断面図)に示すように、金属材料(本実施形態ではアルミニウムを使用)により形成された基材層341が設けられている。また、基材層341の表面には、基材層341を補強および基材層341の防食を目的として熱収縮性を有した樹脂層342が積層されている。さらに、基材層341の裏面には接着剤層343が形成されている。
【0027】
なお本実施形態では、上記のとおり、塞ぎ部材300の外周縁320に熱が加えられることによって、塞ぎ部材300が容器本体200のカール部220に接着される。これを図3によって補足すれば、容器本体200のカール部220と、塞ぎ部材300の接着剤層343が接着され、樹脂層342を塞ぎ部材300の最外層として容器本体200の開口が封止される。ここで本実施形態では、このとき、樹脂層342のうち、容器本体200の全周に亘って設けられた上記対峙部222(図1(B)参照)の周囲に位置する部位が熱収縮を起こし、この部位が対峙部222の周囲にて縮むようになる。付言すると、環状に形成された対峙部222を締め付けるように熱収縮を起こす。これにより、本実施形態では、塞ぎ部材300の皺がさらに生じにくくなっている。
【0028】
ここで、塞ぎ部材300に設けられた把持部330について詳細に説明する。
図4図8は、把持部330の構成例を示した図である。
図4に示す塞ぎ部材300の把持部330には、外周縁320から突出するように設けられた把持部330の突出方向と直交(交差)する方向に沿って延びるスリット340が形成されている。ここで、このスリット340は、把持部330の幅方向における一端側に一端を有し把持部330の幅方向における他端側に他端を有している。本実施形態における塞ぎ部材300では、ユーザによって把持部330が把持される際に、スリット340にユーザの指が差し込まれ、同図(B)に示すように、把持部330に開口350が形成されるようになる。
【0029】
付言すると、本実施形態では、把持部330にリング状の指掛け部が形成される。そしてこの場合、ユーザの指が開口350に挿入された状態で、塞ぎ部材300が剥がされるようになる。なお、本実施形態では、同図(A)に示すように、スリット340の両端部に円形の打ち抜き加工が施されており、これにより、スリット340が設けられている箇所以外における把持部330の破断が生じないようになっている。なお、スリット340は、ミシン目状など、スリット340により分断される2つの部位が部分的につながっていてもよい。
【0030】
ここで、塞ぎ部材300と容器本体200との接着の安定性を高める場合には、一般的に、塞ぎ部材300と容器本体200との接着力を強くする。ところで、接着力を強くした場合、把持部330を摘んで塞ぎ部材300を容器本体200から引き剥がす際の操作荷重が増大し、塞ぎ部材300を引き剥がす際の操作性が低下するおそれがある。このとき、把持部330を摘んで引き剥がすのではなく、把持部330に形成されたリング状の指掛け部に指を挿入し、挿入した指を前記リング状の指掛け部に引っかけて、引き剥がすようにすれば、前記塞ぎ部材300を引き剥がす際の操作性の低下を抑制可能とすることができる。
【0031】
ここで、把持部330の先端に、ユーザの指を入れることのできる大きさのリングを予め形成しておくことで、上記操作性の低下を抑制可能とすることもできるが、この場合、把持部330が大きくなってしまう。ここで、把持部330が大きくなってしまうと、例えば、飲料缶100の搬送時に把持部330同士が干渉し、塞ぎ部材300が剥がれやすくなってしまうおそれがある。そのほか、並んでいる複数の飲料缶100から1個の飲料缶100を取り出す場合や取り出した飲料缶100を戻す場合に、把持部330の端部を引っ掛けるなどして、曲げたり、折ったりするおそれもある。また、把持部330の大型化はコストアップの要因にもなる。
【0032】
このため本実施形態では、塞ぎ部材300にリングを予め形成しておくのではなく、スリット340を形成しておき、必要なときに、ユーザによる操作によって、リング状の部位が形成されるようにしている。本実施形態の構成の場合、リングを予め形成しておく場合に比べ使用する材料が減るようになる。また、飲料缶100の搬送時等における把持部330同士の干渉が起きにくくなる。
【0033】
なお図4では、スリット340が、把持部330の突出方向に向かって膨らむように形成された場合を説明したが、図5(A)に示すように、把持部330の突出方向とは反対方向に向かって膨らむようにスリット340を形成することもできる。付言すると、図4では、スリット340の一端と他端とを結ぶ直線(不図示)よりも、基部310から離れた側をスリット340が通る構成となっているが、図5(A)のように、この直線よりも基部310側を通るようにスリット340を形成することもできる。また、スリット340は、円弧を描くような態様(図5(A)参照)に限らず、同図(B)に示すように2本の直線により形成することもできる。付言すると、スリット340は、同図(B)に示すように、山形状に形成することもできる。
【0034】
さらに同図(C)に示すように、スリット340には、スリット340の長手方向における中央部に(スリット340の途中に)、把持部330の突出方向とは反対方向に向かって突出する部位を設けることができる。なお、同図(C)では、この突出する部位が円弧形状に形成されているが、この突出する部位は、同図(D)に示すように、2本の直線を交差させて形成することもできる。また同図(C)、(D)では、突出する部位が、把持部330の突出方向とは反対方向に向かって突出しているが、突出する部位は、把持部330の突出方向に向かって突出するように設けてもよい。
【0035】
また、図6(A)に示すように、スリット340は、複数の曲線が連続することにより形成された波形形状とすることもできるし、同図(B)に示すように、複数の直線が連続し且つ隣接する直線同士が互いに交わるように形成された波形形状とすることもできる。さらに、同図(C)に示すように、スリット340は、曲率を有した2本の線が交わって形成された山形形状とすることもできる。なお、同図(C)では、スリット340を構成する2本の線(スリット)の各々が、把持部330の突出方向とは反対方向に向かって膨らんでいるが、スリット340を構成する2本の線(スリット)の各々は、把持部330の突出方向に向かって膨らむように形成することもできる。
【0036】
さらに、図7の(A)に示すように、スリット340により分断されることで、把持部330には2つの部位(スリット340よりも基部310側に位置する部位、スリット340よりも基部310から離れた側に位置する部位)が存在するようになるが、この2つの部位のうち、スリット340よりも基部310から離れた側に位置する部位に対して、塞ぎ部材300の厚み方向に突出する突出部(ノッチ)360を設けることができる。このように突出部360を設けた場合、ユーザが把持部330に開口を形成する際、ユーザは、この突出部360に指を掛けることができるようになり、ユーザは、把持部330に対し開口を形成しやすくなる。また、図7の(A)、(B)の上側の図に示すように、突出部(ノッチ)360は上向きに凸となる形状となっているが、下向きに凸となる形状でもよい。
【0037】
なお本実施形態では、塞ぎ部材300の一部を折り曲げることで、突出部360を形成したが、塞ぎ部材300とは別の部材を塞ぎ部材300に対して取り付けることによって突出部360を形成することもできる。また同図(A)では、断面形状が三角形となる突出部360を説明したが、同図(B)に示すように、円弧を描くように突出部360を形成することもできる。
【0038】
また、図8の(A)、(B)に示すように、基部310と把持部330との接続部にスリット390を形成し、基部310と把持部330との接続箇所にくびれ部を形成することもできる。付言すると、本実施形態では、把持部330のうちの基部310に接続された箇所に、把持部330の幅方向における一端部を始点として把持部330の幅方向における他端部に向かうスリット390が形成され、さらに、把持部330の幅方向における他端部を始点として把持部330の幅方向における一端部に向かうスリット390が形成され、基部310と把持部330との接続箇所にくびれ部が形成された構成となっている。
【0039】
なお、同図(A)では、基部310と舌片状の把持部330との間にスリット390が形成された場合を例示したが、同図(B)に示すように、把持部330の根元(把持部330と基部310との接続部)に対して切り欠きを形成するとともに、この切り欠きの先端につながるようにスリット390を形成してもよい。また、図8の(A)、(B)では、把持部330の幅方向における、把持部330の一端部および他端部に、スリット390が形成されているが、スリット390は一端部および他端部の一方にのみ形成することもできる。
【0040】
ここで、図8に示した態様では、基部310と把持部330とが接続される接続部の幅(把持部330の突出方向と直交する方向における幅)が、把持部330の先端部側の幅よりも小さくなっている。付言すると、把持部330の根元の幅が把持部330の先端部側の幅よりも小さくなっている。
【0041】
これにより、ユーザからの操作力がより狭い範囲に集中するようになり、塞ぎ部材300を容器本体200から剥がしやすくなる。より詳細に説明すると、本実施形態の構成では、容器本体200からの塞ぎ部材300の剥離が開始される際、塞ぎ部材300と容器本体200との接着部に作用するユーザからの操作荷重が、より狭い範囲に集中して作用するようになる。これにより、容器本体200からの塞ぎ部材300の剥離を開始する際に要するユーザの操作荷重が小さくなる。
【0042】
なお、上記図4図7にて説明した態様では、把持部330のうちスリット340よりも基部310側に位置する部位の全体が、塞ぎ部材300の外周縁320に接続されている。このため、基部310の剥離の開始当初においては、スリット340にユーザの指が挿入された場合において、把持部330の変形はあまり生じない。
【0043】
その一方で、図8に示す態様では、把持部330のうちスリット340よりも基部310側に位置する部位(符号17Aで示す部位)と、塞ぎ部材300の外周縁320との間にスリット390が形成されているため、スリット340にユーザの指が挿入された際、外周縁320から離れる方向に向かって延びるように把持部330は変形する。このため、図8に示す態様では、基部310の剥離の開始当初から、スリット340にユーザの指が挿入された場合において、外周縁320からの把持部330の出寸法が、上記図4図7にて説明した態様よりも大きくなる。
【符号の説明】
【0044】
100…飲料缶、200…容器本体、300…塞ぎ部材、310…基部、320…外周縁、330…把持部、340…スリット、360…突出部、390…スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8