(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1実施形態に係る紙幣入出金機を
図1〜
図14を参照して以下に説明する。この紙幣入出金機11は、紙幣および硬貨等を取り扱う出納機を構成するものである。出納機は、銀行等の金融機関の店舗に設置されて店舗全体の貨幣処理を管理するものであり、例えば、大口顧客に対する係員による入金、出金等の取引処理、係員による渉外先への持ち出し金の出金処理や、渉外先からの持ち帰り金の入金処理、さらには、営業終了後の金融機関店舗全体での入出金状況の締め上げ管理等を行うものである。以下の説明における前後は、操作者側を前、操作者とは反対側を後とする。
【0017】
紙幣入出金機11は、
図1に示すように、その前面側の上部に、機外からバラ紙幣が投入されるとともに機内から出金用のバラ紙幣が繰り出される取引口21が設けられている。取引口21は、その底部を構成する載置板22が後下がりに傾斜した姿勢で昇降可能に設けられており、その奥側の支承面23が載置板22と直交するように後上がりに傾斜して設けられている。取引口21には、紙幣が長さ方向を左右方向に沿わせた姿勢で載置板22上に集積されることになり、紙幣は載置板22の傾斜により後端縁が支承面23に当接する。取引口21の上部の後側には、載置板22上に集積されたバラ紙幣を上端のものから一枚ずつ分離して所定の間隔をあけて機内へ繰り出すとともに機内からの紙幣を取引口21に繰り出す図示略の繰出部が設けられている。なお、紙幣入出金機11内では、紙幣が、常に長さ方向を左右方向に沿わせた姿勢で搬送されることになる。
【0018】
取引口21の下側かつ紙幣入出金機11の前面位置に、受け付け不可と判定された入金リジェクト紙幣が機内から繰り出される入金リジェクト部26が設けられている。取引口21および入金リジェクト部26の後側には、出金不可と判定された出金リジェクト紙幣を収納する出金リジェクト部27が設けられており、出金リジェクト部27の後方の下側には紙幣を識別する識別部28が設けられている。
【0019】
また、出金リジェクト部27の後方の上側には紙幣を整列させながら水平姿勢で鉛直方向に所定の結束枚数集積させる整列部30が設けられており、この整列部30の後方には、整列部30から水平状態のまま後方に送り出された集積紙幣を載置させて鉛直上方に上昇搬送する移送部33が設けられている。
【0020】
整列部30の上方には、移送部33で上昇搬送され上部位置から水平状態のまま前方に送り出された集積紙幣を結束テープで結束して小束紙幣とする結束部31が設けられている。この結束部31は、移送部33から前方に送り出された集積紙幣を上下から挟持しつつ、結束テープを周囲に巻き回して接着・切断することで小束紙幣を作成する。
【0021】
結束部31の前方には、結束部31で上記のように結束された後、水平状態のまま前方に送り出された小束紙幣を鉛直状に姿勢変更し水平方向に複数束集積して、機外に取り出し可能とする束出金部32が設けられている。
【0022】
また、紙幣入出金機11の下部には、奥側(後側)から順に、収納紙幣庫34、収納紙幣庫35、収納紙幣庫36、収納紙幣庫37および一時貯留紙幣庫38が設けられている。収納紙幣庫34〜37は、入金確定後の流通券紙幣を主体としたバラ紙幣を上下に集積させて収納するものであり、収納紙幣庫34は、金種混合のバラ紙幣を、収納紙幣庫35は所定の単一金種(具体的には千円券)のバラ紙幣を、収納紙幣庫36は所定の単一金種(具体的には五千円券)のバラ紙幣を、収納紙幣庫37は所定の単一金種(具体的には万円券)のバラ紙幣を、それぞれ繰出可能に収納する。一時貯留紙幣庫38は、入金確定前のバラ紙幣を金種混合で上下に集積させた状態で貯留する。なお、収納紙幣庫34は、単一金種用の収納紙幣庫35〜37では収納しきれないオーバーフロー紙幣や、単一金種用の収納紙幣庫を持たない流通量の少ない所定の金種(具体的には二千円券)のバラ紙幣を収納する。なお、ここでは、各処理時に新券紙幣として指定され且つ識別部28で新券紙幣として識別されたものを新券紙幣と呼び、それ以外を流通券紙幣と呼ぶ。
【0023】
これら複数の収納紙幣庫34〜37および一時貯留紙幣庫38は、高さを含む大きさが同じであって容量も同じであり、互いに上下左右の位置を合わせて前後方向に水平直線状に並設されている。
【0024】
また、紙幣入出金機11の下部の後部には、上側から順に、新券収納庫41、新券収納庫42、新券収納庫43および新券収納庫44が設けられている。これら新券収納庫41〜44は、それぞれが所定の単一金種の新券のバラ紙幣を上下に集積させた状態で収納するものであり、具体的に、新券収納庫41は万円券の新券紙幣を、新券収納庫42は五千円券の新券紙幣を、新券収納庫43は二千円券の新券紙幣を、新券収納庫44は千円券の新券紙幣を、それぞれ繰出可能に収納する。
【0025】
これら複数の新券収納庫41〜44は、高さを含む大きさが同じであって容量も同じであり、互いに前後左右の位置を合わせて上下方向(鉛直方向)に直線状に並設されている。つまり、複数の収納紙幣庫34〜37の一時貯留紙幣庫38とは反対側に、新券紙幣専用の複数の新券収納庫41〜44が鉛直方向に直列状に配置されている。複数の新券収納庫41〜44は、それぞれの容量が、収納紙幣庫34〜37および一時貯留紙幣庫38のそれぞれの容量よりも少なくなっており、それぞれの高さが、収納紙幣庫34〜37および一時貯留紙幣庫38のそれぞれの高さの1/2よりも低くなっている。上下方向において、新券収納庫41の上端から新券収納庫44の下端までの範囲は、識別部28の上端から収納紙幣庫34〜37および一時貯留紙幣庫38の下端までの範囲内に位置しており、下側二つの新券収納庫43,44は、それぞれの全体範囲が収納紙幣庫34〜37および一時貯留紙幣庫38の範囲内に位置している。さらに、下から三つ目の新券収納庫42は、その下部所定範囲が収納紙幣庫34〜37および一時貯留紙幣庫38の範囲内に位置しており、最も上側の新券収納庫41は、その上部所定範囲が識別部28の範囲内に位置している。
【0026】
収納紙幣庫34〜37、一時貯留紙幣庫38および新券収納庫41〜44のそれぞれの上部には、その内部に紙幣を繰り出すとともに内部の紙幣を上端のものから一枚ずつ分離して繰り出す図示略の繰出部が設けられている。
【0027】
紙幣入出金機11の内部には、紙幣を搬送する紙幣搬送路51が各部を適宜繋ぐように設けられている。紙幣搬送路51は、取引口21から後上がりに延出した後、後下がりに延出し、さらに鉛直下方に延出し、その後、前側に一端延出した後、下側にて後側に折り返し、後方に延出し、途中上側に凸状に屈曲して識別部28を通って後方に若干延出する上側搬送経路51Aと、上側搬送経路51Aの取引口21とは反対側に連続して後方に若干延出し下側に若干延出した後に前方に若干延出する転換搬送経路51Bと、転換搬送経路51Bの上側搬送経路51Aとは反対側に連続して前方に延出する下側搬送経路51Cとを有している。これら上側搬送経路51A、転換搬送経路51Bおよび下側搬送経路51Cは、いずれも紙幣を正逆両方向に搬送可能となっている。つまり、紙幣搬送路51は、取引口21から全体的に後方に延出するとともに識別部28が設けられる正逆搬送可能な上側搬送経路51Aと、上側搬送経路51Aの取引口21とは反対側から下方かつ前方に折り返す正逆搬送可能な転換搬送経路51Bと、転換搬送経路51Bの上側搬送経路51Aとは反対側から前方に延出する正逆搬送可能な下側搬送経路51Cとを有している。
【0028】
また、紙幣搬送路51は、下側搬送経路51Cの途中から分岐し下方に延出したのち後方に延出して収納紙幣庫34に繋がる搬送経路51Dと、下側搬送経路51Cの搬送経路51Dよりも転換搬送経路51Bとは反対側から分岐し下方に延出したのち後方に延出して収納紙幣庫35に繋がる搬送経路51Eと、下側搬送経路51Cの搬送経路51Eよりも転換搬送経路51Bとは反対側から分岐して下方に延出したのち後方に延出して収納紙幣庫36に繋がる搬送経路51Fと、下側搬送経路51Cの搬送経路51Fよりも転換搬送経路51Bとは反対側から分岐し下方に延出したのち後方に延出して収納紙幣庫37に繋がる搬送経路51Gと、下側搬送経路51Cの転換搬送経路51Bとは反対側の端部から下方に延出したのち後方に延出して一時貯留紙幣庫38に繋がる搬送経路51Hとを有している。
【0029】
以上の結果、下側搬送経路51Cの下方に、下側搬送経路51Cに沿う水平方向に並設されてこの下側搬送経路51Cとの間で紙幣を出し入れする上記した複数の紙幣庫34〜38が設けられている。これら紙幣庫34〜38は、前後左右の位置を下側搬送経路51Cと合わせている。より具体的に、一時貯留紙幣庫38は、下側搬送経路51Cの前部の下方に設けられ搬送経路51Hを介して下側搬送経路51Cとの間で紙幣を出し入れすることになり、下側搬送経路51Cの下方かつ一時貯留紙幣庫38の後方に、下側搬送経路51Cに沿う水平方向に並設されて下側搬送経路51Cとの間で紙幣を出し入れする複数の収納紙幣庫34〜37が設けられている。
【0030】
また、紙幣搬送路51は、下側搬送経路51Cの転換搬送経路51Bとは反対端から上方に延出したのち後方に延出して、上側搬送経路51Aの取引口21と識別部28との間に繋がる接続搬送経路51Iを有している。言い換えれば、下側搬送経路51Cの転換搬送経路51Bとは反対側と上側搬送経路51Aの取引口21および識別部28の間とを接続搬送経路51Iが接続している。加えて、紙幣搬送路51は、下側搬送経路51Cの搬送経路51Gと搬送経路51Hとの間から分岐して上方に延出したのち後方に延出しつつ接続搬送経路51Iに合流する搬送経路51Jを有しており、上記した複数の収納紙幣庫34〜37は、下側搬送経路51Cにおける搬送経路51Jと転換搬送経路51Bとの間で紙幣を出し入れする。
【0031】
また、紙幣搬送路51は、接続搬送経路51Iにおける搬送経路51Jの接続位置と上側搬送経路51Aへの接続位置との間位置から分岐して入金リジェクト部26に繋がる搬送経路51Kと、上側搬送経路51Aにおける接続搬送経路51Iの接続位置と取引口21との間位置から分岐し前方に延出して搬送経路51Kの途中位置に繋がる搬送経路51Lと、搬送経路51Kにおける搬送経路51Lの接続位置と入金リジェクト部26との間位置から上方に分岐し後上がりに延出して出金リジェクト部27に繋がる搬送経路51Mとを有している。
【0032】
また、紙幣搬送路51は、上側搬送経路51Aにおける取引口21と搬送経路51Lの分岐位置との間位置と、接続搬送経路51Iの接続位置と識別部28との間位置とを繋ぐ搬送経路51Nと、上側搬送経路51Aにおける搬送経路51Nの取引口21側の接続位置と取引口21との間位置から後方に分岐して整列部30に繋がる搬送経路51Pとを有している。搬送経路51Nには、紙幣の表裏を反転させる表裏反転部53が設けられている。搬送経路51D〜51Hおよび接続搬送経路51Iは、上記した上側搬送経路51A、転換搬送経路51Bおよび下側搬送経路51Cと同様、正逆両方向に紙幣を搬送可能となっており、他方で搬送経路51Jおよび搬送経路51K〜51Pは、一方向にのみ紙幣を搬送可能となっている。
【0033】
ここで、接続搬送経路51Iと、上側搬送経路51Aの接続搬送経路51Iと転換搬送経路51Bとの間部分と、転換搬送経路51Bと、下側搬送経路51Cとが、前後方向に長く上下方向に潰れた扁平な環状をなす環状搬送経路52を構成している。この環状搬送経路52は、紙幣を正逆搬送可能となっている。そして、紙幣庫34〜38の直上方全域にわたって環状搬送経路52が配置されており、新券収納庫41は、この環状搬送経路52の後方にありこの環状搬送経路52と上下方向の位置を重ね合わせている。環状搬送経路52には、その上側搬送経路51Aで構成される経路構成部51Aaに識別部28が設けられている。また、環状搬送経路52には、取引口21に繋がる上側搬送経路51Aの経路構成部51Abとの接続部が設けられている。加えて、環状搬送経路52には、その下側搬送経路51Cに、紙幣庫34〜38に繋がる搬送経路51D〜51Hの接続部が設けられている。
【0034】
また、紙幣搬送路51は、転換搬送経路51Bの上部の延長方向後方に延出して最も上側の新券収納庫41と転換搬送経路51Bとを繋ぐ直線状の新券搬送経路51Qと、転換搬送経路51Bの後部の延長下方に延出したのち後方に延出して上から二番目の新券収納庫42と転換搬送経路51Bとを繋ぐL字状の新券搬送経路51Rと、新券搬送経路51Rの前部の延長方向下方に延出したのち後方に延出して上から三番目の新券収納庫43と新券搬送経路51Rとを繋ぐL字状の新券搬送経路51Sと、新券搬送経路51Sの前部の延長方向下方に延出したのち後方に延出して最も下側の新券収納庫44と新券搬送経路51Sとを繋ぐL字状の新券搬送経路51Tとを有している。これら新券搬送経路51Q〜51Tは、正逆両方向に紙幣を搬送可能となっている。つまり、新券収納庫41〜44との間で紙幣を出し入れする正逆搬送可能な新券搬送経路51Q〜51Tのうちの新券搬送経路51Q,51Rが転換搬送経路51Bに接続されている。言い換えれば、新券搬送経路51Q,51Rの環状搬送経路52への接続部が転換搬送経路51Bに設けられている。
【0035】
紙幣入出金機11は制御部(制御手段)55によって制御される。また、紙幣入出金機11は、その筐体60が、筐体本体61と、筐体本体61に対し前方に引き出し可能に支持される上部引出ユニット62と、筐体本体61に対し前方に引き出し可能に支持される下部引出ユニット63と、筐体本体61に対し後方に引き出し可能に支持される後部引出ユニット64とを有している。下部引出ユニット63は、筐体本体61に対し前方に引き出し可能に支持される下部の引出体65と、引出体65の上部に揺動開閉可能に設けられる開閉体66とを有している。
【0036】
そして、結束部31、束出金部32、移送部33および制御部55は、筐体本体61に設けられている。また、取引口21、入金リジェクト部26、出金リジェクト部27、識別部28、整列部30および表裏反転部53は、上部引出ユニット62に設けられており、これにより、上側搬送経路51Aおよび搬送経路51K〜51Pの全部と、接続搬送経路51Iおよび搬送経路51Jの上部とが上部引出ユニット62に設けられている。紙幣庫34〜38は下部引出ユニット63の引出体65に設けられており、これにより、搬送経路51D〜51Hの下部が引出体65に設けられている。下側搬送経路51Cおよび搬送経路51D〜51Hの上部が下部引出ユニット63の開閉体66に設けられている。新券収納庫41〜44は、後部引出ユニット64に設けられており、転換搬送経路51Bおよび続搬送経路51Q〜51Tも全部が後部引出ユニット64に設けられている。
【0037】
以上の紙幣入出金機11においては、一つの筐体60に設けられた上部引出ユニット62、下部引出ユニット63および後部引出ユニット64のうち、上部引出ユニット62および下部引出ユニット63が、少なくとも流通券紙幣を取り扱うものであり、後部引出ユニット64は新券紙幣専用となっている。また、少なくとも、入出金を行う取引口21、識別を行う識別部28および紙幣を搬送する上側搬送経路51Aが、流通券紙幣および新券紙幣で共用となっている。
【0038】
次に、第1実施形態に係る紙幣入出金機11の各処理について説明する。
【0039】
「入金処理」
図2は、機外から取引口21に投入されたバラ紙幣を、制御部55の制御により搬送しつつ識別計数する入金処理のルートを示している。つまり、取引口21の載置板22上にバラ紙幣が載置されて、図示略の操作部に入金処理を行う旨の入力操作がなされると、取引口21の図示略の繰出部が、取引口21の載置板22上の紙幣を上端のものから順に一枚ずつ分離して所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、上側搬送経路51Aの経路構成部51Ab,51Aaで搬送することになる。経路構成部51Aaでの搬送中に識別部28が紙幣を識別計数することになり、識別部28で受け入れ可能と判定した紙幣(取り扱い可能な金種の紙幣)を、
図2に実線のルートR1で示すように、転換搬送経路51B、下側搬送経路51Cおよび搬送経路51Hで一時貯留紙幣庫38に搬送する。他方、識別部28で受け入れ不可と判定した紙幣を、
図2に実線から破線のルートR2で示すように、下側搬送経路51Cから搬送経路51J,51I,51Kで入金リジェクト部26に搬送する。これにより、受け入れ可能な紙幣を一時貯留紙幣庫38に一時貯留し、受け入れ不可な紙幣を入金リジェクト部26に放出する。
【0040】
「収納処理」
図3は、入金処理にて一時貯留紙幣庫38に一時貯留した紙幣を、制御部55の制御により、図示略の操作部への承認操作が入力されたことを条件に確定して収納紙幣庫34〜37の対応するものに収納する収納処理のルートを示している。つまり、収納処理では、一時貯留紙幣庫38の紙幣を上端のものから図示略の繰出部が繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、
図3に実線のルートR3で示すように、搬送経路51H、接続搬送経路51I、上側搬送経路51Aの経路構成部51Aaで識別部28に搬送し、識別部28の識別結果に基づいて、下側搬送経路51Cおよび搬送経路51D〜51Gの対応するものによって、収納紙幣庫34〜37の対応するものに搬送し収納する。なお、収納処理にて紙幣は、そのほとんどが金種別の収納紙幣庫35〜37の対応する金種のものに収納されることになる。つまり、収納紙幣庫35に千円券が、収納紙幣庫36に五千円券が、収納紙幣庫37に万円券が、それぞれ収納されることになる。他方、収納紙幣庫35〜37の対応する金種のものが満杯である場合と、対応する金種の収納紙幣庫がない場合(紙幣が二千円券である場合)とについては、紙幣を金種混合の収納紙幣庫34に収納する。また、収納処理にて識別部28で重送等と識別した紙幣については、
図3に実線から破線のルートR4で示すように、下側搬送経路51C、搬送経路51J,51I,51K,51Mによって出金リジェクト部27に搬送し収納する。
【0041】
「返却処理」
図4は、入金処理にて一時貯留紙幣庫38に一時貯留した紙幣を、制御部55の制御により、図示略の操作部へのキャンセル操作が入力されたことを条件に取引口21に繰り出す返却処理のルートR5を示している。つまり、返却処理では、一時貯留紙幣庫38の紙幣を上端のものから一時貯留紙幣庫38の図示略の繰出部が繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送経路51H、下側搬送経路51C、転換搬送経路51Bおよび上側搬送経路51Aによって取引口21に搬送する。これにより、取引口21に紙幣を返却する。
【0042】
「通常のバラ紙幣出金処理」
図5は、制御部55の制御により、図示略の操作部へ入力された通常のバラ出金操作に基づいて金種別の収納紙幣庫35、収納紙幣庫36および収納紙幣庫37の指定された金種のものから紙幣を出金する通常のバラ紙幣出金処理のルートを示している。つまり、通常のバラ出金処理では、
図5に実線のルートR6で示すように、収納紙幣庫35〜37の指定された金種のものに収納されている紙幣を上端のものから図示略の繰出部が繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送経路51E〜51Gの対応するものと、下側搬送経路51Cと転換搬送経路51Bと上側搬送経路51Aの経路構成部51Aaとで識別部28に搬送し、識別部28の識別結果に基づいて、表裏反転が必要でないものは上側搬送経路51Aでそのまま取引口21に、表裏反転が必要なものは搬送経路51Nを介して表裏反転部53で表裏反転させた後、上側搬送経路51Aで取引口21に、それぞれ搬送する。これにより、出金操作に基づくバラ紙幣を取引口21に繰り出す。なお、出金処理にて識別部28で重送等と識別した紙幣については、
図5に実線から破線のルートR7で示すように、上側搬送経路51A、搬送経路51L,51K,51Mによって出金リジェクト部27に搬送し収納する。
【0043】
「束出金処理」
図6は、制御部55の制御により、図示略の操作部へ入力された束出金操作に基づいて金種別の収納紙幣庫35、収納紙幣庫36および収納紙幣庫37の指定された金種のものからの紙幣を結束して出金する束出金処理のルートを示している。つまり、束出金処理では、
図6に実線のルートR8で示すように、収納紙幣庫34〜37のうち指定された金種のものに収納されている紙幣を上端のものから図示略の繰出部が繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送経路51D〜51Gの対応するものと、下側搬送経路51Cと転換搬送経路51Bと上側搬送経路51Aの経路構成部51Aaとで識別部28に搬送し、識別部28の識別結果に基づいて、表裏反転が必要でないものは上側搬送経路51Aおよび搬送経路51Pで整列部30に、表裏反転が必要なものは搬送経路51Nを介して表裏反転部53で表裏反転させた後、上側搬送経路51Aおよび搬送経路51Pで整列部30に、それぞれ搬送する。これにより、指定された単一金種の紙幣を結束単位枚数だけ整列部30に繰り出す。そして、整列部30の集積紙幣を、移送部33で結束部31に搬送し、結束部31で結束を行い、束出金部32に繰り出す。このような処理を指定された金種毎に指定された束数分行うことになる。なお、束出金処理にて識別部28で重送等と識別した紙幣については、
図6に実線から破線のルートR9で示すように、上側搬送経路51A、搬送経路51L,51K,51Mによって出金リジェクト部27に搬送し収納する。
【0044】
「通常の自己精査処理」
図7は、制御部55の制御により、図示略の操作部へ入力された通常の自己精査処理操作に基づいて収納紙幣庫34〜37の対応するものの紙幣を自己精査する自己精査処理の往路ルートを示している。つまり、自己精査処理では、
図7に実線のルートR10で示すように、収納紙幣庫34〜37のうちの設定された一つに収納されている紙幣を上端のものから図示略の繰出部が繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送経路51D〜51Gの対応するものと、下側搬送経路51Cと転換搬送経路51Bと上側搬送経路51Aの経路構成部51Aaとで識別部28に搬送し、識別部28で識別計数しつつ、上側搬送経路51Aの経路構成部51Aa、接続搬送経路51Iおよび搬送経路51Hを介して一時貯留紙幣庫38に搬送する。そして、収納紙幣庫34〜37のうちの設定された一つに収納されていた紙幣をすべて繰り出す。なお、この搬送中、識別部28で重送等と識別した紙幣については、
図7に実線から破線のルートR11で示すように、上側搬送経路51A、搬送経路51L,51K,51Mによって出金リジェクト部27に搬送し収納する。
【0045】
図8は、上記した自己精査処理の復路ルートを示している。上記したように一時貯留紙幣庫38に一旦移した紙幣を、
図8に実線のルートR12で示すように、搬送経路51H、接続搬送経路51I、上側搬送経路51Aの経路構成部51Aaで識別部28に搬送し、識別部28で識別計数しつつ、識別部28の識別結果に基づいて、転換搬送経路51Bから、下側搬送経路51Cおよび搬送経路51D〜51Gの対応するものを介して、収納紙幣庫34〜37の対応する金種のものに収納する。なお、自己精査処理の復路ルートにて紙幣は、ほとんどが金種別の収納紙幣庫35〜37の対応する金種のものに収納されることになるが、収納紙幣庫35〜37の対応する金種のものが満杯である場合と、対応する金種の収納紙幣庫がない場合(紙幣が二千円券である場合)とについては、金種混合の収納紙幣庫34に収納される。また、搬送中、識別部28で重送等と識別した紙幣については、
図8に実線から破線のルートR13で示すように、下側搬送経路51C、搬送経路51J,51I,51K,51Mによって出金リジェクト部27に搬送し収納する。
【0046】
以上により、識別部28の計数結果と、収納紙幣庫34〜37の自己精査処理を行ったものに収納された紙幣の枚数とが一致することになり、このような自己精査処理を、収納紙幣庫34〜37のうちの設定されたものについて、それぞれ個別に行うことになる。なお、収納紙幣庫34〜37にそれぞれ収納された紙幣の合計枚数が一時貯留紙幣庫38の最大収納枚数以下であった場合には、上記の自己精査処理をそれぞれ個別に行う必要はなく、すべて一括して行うこともできる。
【0047】
「ローカル整理処理」
図9は、制御部55の制御により、機外から取引口21に投入されたバラ紙幣を搬送しつつ識別計数するローカル整理処理の往路ルートを示している。つまり、ローカル整理処理では、取引口21の載置板22上にバラ紙幣が載置されて、図示略の操作部にローカル整理処理を行う旨の入力操作が金種指定とともになされると、取引口21の図示略の繰出部が取引口21の載置板22上の紙幣を上端のものから順に一枚ずつ分離して所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、
図9に実線のルートR14で示すように、上側搬送経路51Aで搬送することになる。上側搬送経路51Aの経路構成部51Aaでの搬送中に識別部28が紙幣を識別計数することになり、識別部28で指定金種と判定した紙幣を、転換搬送経路51B、下側搬送経路51Cおよび搬送経路51Hで一時貯留紙幣庫38に搬送する一方、識別部28で指定金種以外と判定した紙幣を、
図9に実線から破線のルートR15で示すように、下側搬送経路51Cから搬送経路51J,51I、搬送経路51Kで入金リジェクト部26に搬送する。これにより、指定金種の紙幣を一時貯留紙幣庫38に一時貯留し、指定金種以外の紙幣を入金リジェクト部26に放出する。つまり、ローカル整理処理の往路ルートは入金処理のルートと同じとなっている。
【0048】
図10は、ローカル整理処理の復路ルートを示している。上記したように一時貯留紙幣庫38に一旦収納した紙幣を、上端のものから図示略の繰出部が繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、
図10に実線のルートR16で示すように、搬送経路51H、下側搬送経路51C、転換搬送経路51Bおよび上側搬送経路51Aの経路構成部51Aaで識別部28に搬送し、識別部28の識別結果に基づいて、表裏反転が必要でないものは上側搬送経路51Aおよび搬送経路51Pで整列部30に、表裏反転が必要なものは搬送経路51Nを介して表裏反転部53で表裏反転させた後、上側搬送経路51Aおよび搬送経路51Pで整列部30に、それぞれ搬送する。このようにして、指定された単一金種の紙幣を結束単位枚数だけ整列部30に繰り出す。そして、整列部30の集積紙幣を、移送部33で結束部31に搬送し、結束部31で結束を行い、束出金部32に繰り出す。このような処理を結束単位枚数が整列部30に集積される限り繰り返す。なお、結束単位枚数に満たない、端数紙幣が整列部30に集積された場合にも、これを結束し端数紙幣であることを示す識別をつけて束出金部32に繰り出す。なお、ローカル整理処理にて識別部28で重送等と識別した紙幣については、
図10に実線から破線のルートR17で示すように、上側搬送経路51A、搬送経路51L,51Kによって入金リジェクト部26に搬送し放出する。
【0049】
「新券指定のバラ紙幣出金処理」
図11は、制御部55の制御により、図示略の操作部へ入力された新券指定のバラ出金操作に基づいて新券収納庫41、新券収納庫42、新券収納庫43および新券収納庫44の指定された金種のものから新券紙幣を出金する新券指定のバラ紙幣出金処理のルートを示している。つまり、新券指定のバラ出金処理では、
図11に実線のルートR18で示すように、新券収納庫41〜44の指定された金種のものに収納されている新券紙幣を上端のものから図示略の繰出部が繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、新券搬送経路51Q〜51Tの対応するものと、転換搬送経路51Bと上側搬送経路51Aの経路構成部51Aaとで識別部28に搬送し、識別部28の識別結果に基づいて、表裏反転が必要でないものは上側搬送経路51Aでそのまま取引口21に、表裏反転が必要なものは搬送経路51Nを介して表裏反転部53で表裏反転させた後、上側搬送経路51Aで取引口21に、それぞれ搬送する。これにより、出金操作に基づくバラの新券紙幣を取引口21に繰り出す。なお、識別部28で重送等と識別した新券紙幣については、
図11に実線から破線のルートR19で示すように、上側搬送経路51A、搬送経路51L,51K,51Mによって出金リジェクト部27に搬送し収納する。
【0050】
「新券補充処理」
図12は、制御部55の制御により、機外から取引口21に投入されたバラの新券紙幣を搬送しつつ識別計数して新券収納庫41、新券収納庫42、新券収納庫43および新券収納庫44の対応するものに補充する新券補充処理のルートを示している。つまり、取引口21の載置板22上にバラの新券紙幣が載置されて、図示略の操作部に新券補充処理を行う旨の入力操作がなされると、図示略の繰出部が取引口21の載置板22上の紙幣を上端のものから順に一枚ずつ分離して所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出した新券紙幣を、上側搬送経路51Aの経路構成部51Ab,51Aaで搬送することになる。経路構成部51Aaでの搬送中に識別部28が新券紙幣を識別計数することになる。識別部28は、新券紙幣の劣化度合を光の反射等に基づいて評価する評価手段を備えており、制御部55は、識別部28が受け入れ可能かつ所定の劣化度合いを超えていない紙幣と評価した紙幣を、
図12に実線のルートR20で示すように、転換搬送経路51Bから、新券搬送経路51Q〜51Tの対応するものを介して、新券収納庫41、新券収納庫42、新券収納庫43および新券収納庫44の対応する金種のものへ収納する。他方、識別部28が受け入れ可能かつ所定の劣化度合いを超えている紙幣と評価した紙幣を、
図12に実線から一点鎖線のルートR21で示すように、転換搬送経路51B、下側搬送経路51Cおよび搬送経路51D〜51Gの対応するものを介して、収納紙幣庫34〜37の対応するものへ収納する。つまり、新券収納庫41〜44に収納されるべき新券紙幣を、評価手段が所定の劣化度合いを超えた紙幣と評価した場合に、この紙幣を収納紙幣庫34〜37内へ搬送する。この場合も、大抵は収納紙幣庫35〜37へ紙幣を収納し、収納紙幣庫35〜37が満杯である場合と、収納紙幣庫35〜37に対応しない紙幣(二千円券)とについては、金種混合の収納紙幣庫34に収納する。さらに、識別部28で受け入れ不可と判定した紙幣は、
図12に実線から一点鎖線、さらに破線のルートR22で示すように、下側搬送経路51Cから搬送経路51J,51I,51Kで入金リジェクト部26に放出する。
【0051】
「新券紙幣の自己精査処理」
図13は、制御部55の制御により、図示略の操作部へ入力された新券紙幣の自己精査処理操作に基づいて新券収納庫41〜44の対応するものの紙幣を自己精査する自己精査処理の往路ルートを示している。つまり、新券紙幣の自己精査処理では、
図13に実線のルートR23で示すように、新券収納庫41〜44のうちの設定された一つに収納されている紙幣を上端のものから図示略の繰出部が繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、新券搬送経路51Q〜51Tの対応するものと転換搬送経路51Bと上側搬送経路51Aとで識別部28に搬送し、識別部28で識別計数しつつ、上側搬送経路51A、接続搬送経路51Iおよび搬送経路51Hを介して一時貯留紙幣庫38に搬送する。そして、新券収納庫41〜44のうちの設定された一つに収納されていた紙幣をすべて繰り出す。なお、この搬送中、識別部28で重送等と識別した紙幣については、
図13に実線から破線のルートR24で示すように、上側搬送経路51A、搬送経路51L,51K,51Mによって出金リジェクト部27に搬送し収納する。
【0052】
図14は、上記した新券紙幣の自己精査処理の復路ルートを示している。上記したように一時貯留紙幣庫38に一旦移した新券紙幣を、
図14に実線のルートで示すように、搬送経路51H、接続搬送経路51I、上側搬送経路51Aで搬送し、この上側搬送経路51Aでの搬送中に識別部28が新券紙幣を識別計数することになる。制御部55は、識別部28が受け入れ可能かつ所定の劣化度合いを超えていない紙幣と評価した紙幣を、
図14に実線のルートR25で示すように、転換搬送経路51Bから、新券搬送経路51Q〜51Tの対応するものを介して、新券収納庫41、新券収納庫42、新券収納庫43および新券収納庫44の対応する金種のものへ収納する。他方、識別部28が受け入れ可能かつ所定の劣化度合いを超えている紙幣と評価した紙幣を、
図14に実線から一点鎖線のルートR26で示すように、転換搬送経路51B、下側搬送経路51Cおよび搬送経路51D〜51Gの対応するものを介して、収納紙幣庫35〜37の対応する金種のものへ収納する。つまり、新券収納庫41〜44に収納されるべき新券紙幣を、評価手段が所定の劣化度合いを超えた紙幣と評価した場合に、この紙幣を収納紙幣庫34〜37内へ搬送する。この場合も、収納紙幣庫35〜37が満杯である場合と収納紙幣庫35〜37に対応しない紙幣(二千円券)とについては、紙幣を金種混合の収納紙幣庫34に収納する。また、搬送中、識別部28で重送等と識別した紙幣については、
図14に実線から一点鎖線、さらに破線のルートR27で示すように、転換搬送経路51B、下側搬送経路51C、搬送経路51J,51I,51K,51Mによって出金リジェクト部27に搬送し収納する。
【0053】
以上により、識別部28の計数結果と、新券収納庫41〜44の自己精査処理を行ったものに収納された紙幣の枚数とが一致することになり、このような自己精査処理を、新券収納庫41〜44のうちの設定されたものについて、それぞれ個別に行うことになる。なお、新券収納庫41〜44にそれぞれ収納された紙幣の合計枚数が一時貯留紙幣庫38の最大収納枚数以下であった場合には、上記の新券の自己精査処理をそれぞれ個別に行う必要はなく、すべて一括して行うこともできる。
【0054】
以上に述べた第1実施形態の紙幣入出金機11によれば、取引口21から後方に延出する上側搬送経路51A、上側搬送経路51Aから下方かつ前方に折り返す転換搬送経路51B、および転換搬送経路51Bから前方に延出する下側搬送経路51Cを設け、下側搬送経路51Cの下方に、容量が比較的多く高さが必要な紙幣庫34〜38を、下側搬送経路51Cに沿う水平方向に並設する。そして、複数の紙幣庫34〜38の後方に、容量が比較的少なく高さが低く済む新券紙幣専用の複数の新券収納庫41〜44を鉛直方向に直列状に配置する。したがって、同一の筐体60内に、複数の紙幣庫34〜38とともに複数の新券収納庫41〜44を効率的にレイアウトすることができる。
【0055】
また、複数の新券収納庫41〜44を、複数の紙幣庫34〜38の高さ範囲に加えて、識別部28が設けられた環状搬送経路52の高さ範囲にも設けたため、個々の新券収納庫41〜44の高さを十分に確保できる。
【0056】
また、流通券紙幣の入金時は、取引口21に投入された流通券紙幣を上側搬送経路51A、転換搬送経路51Bおよび下側搬送経路51Cを介して一の紙幣庫38に一時貯留し、識別部28の識別結果に基づく承認操作を受けて、搬送経路51Hから接続搬送経路51Iおよび上側搬送経路51Aに搬送し、上側搬送経路51Aの識別部28の識別結果に基づいて、転換搬送経路51Bおよび下側搬送経路51Cを介して他の複数の紙幣庫34〜37に分類収納する。加えて、流通券紙幣の出金時には、他の複数の紙幣庫35〜37から下側搬送経路51C、転換搬送経路51Bおよび上側搬送経路51Aを介して取引口21に出金する。これに対して、新券紙幣を新券収納庫41〜44に収納する場合には、取引口21に投入された新券紙幣を上側搬送経路51A、転換搬送経路51Bおよび新券搬送経路51Q〜51Tを介して搬送し、上側搬送経路51Aの識別部28の識別結果に基づいて、新券収納庫41〜44に分類収納する。加えて、新券紙幣の出金時には、新券収納庫41〜44から新券搬送経路51Q〜51T、転換搬送経路51Bおよび上側搬送経路51Aを介して取引口21に出金する。よって、少なくとも、入出金を行う取引口21、識別を行う識別部28および紙幣を搬送する上側搬送経路51Aを流通券紙幣および新券紙幣で共用することができる。
【0057】
また、新券紙幣を、上側搬送経路51Aで搬送し、その際に、上側搬送経路51Aの識別部28の評価手段が、新券紙幣の劣化度合を評価し、所定の劣化度合いを超えた紙幣と評価された新券紙幣を、制御部55が新券紙幣用ではない流通券紙幣用の紙幣庫34〜37の対応するもの内へ搬送する。したがって、新券紙幣としての使用に適さない紙幣を流通券紙幣として紙幣庫34〜37の対応するものへ収納し、新券指定がない場合の出金用として有効に使用できる。
【0058】
次に、本発明の第2実施形態に係る紙幣入出金機を
図15〜
図30を参照して第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0059】
第2実施形態においては、
図15に示すように、前後方向に水平直線状に並設されている収納紙幣庫の中に、比較的流通量の少ない所定の単一金種(具体的には五千円券)のバラ紙幣を収納する収納紙幣庫は、設けられていない。つまり、紙幣入出金機11の下部には奥側(後側)から順に、入金確定後のオーバーフロー紙幣等を金種混合で収納する収納紙幣庫34、入金確定後の所定の単一金種(具体的には千円券)用の収納紙幣庫35、入金確定後の所定の単一金種(具体的には万円券)用の収納紙幣庫37および入金確定前のバラ紙幣用の金種混合の一時貯留紙幣庫38が設けられている。これら紙幣庫34,35,37,38は下部引出ユニット63内の後端から順に配置されている。このように、紙幣庫の数が減った分、紙幣庫34,35,37,38の前にスペースが発生している。
【0060】
そして、第2実施形態においては、上記のように生じた紙幣庫34〜38の前のスペース、つまり紙幣入出金機11の下部の前部のスペースに、上側から順に、比較的流通量の少ない所定の単一金種(具体的には五千円券)の流通券紙幣を収納する収納紙幣庫(専用収納庫)36、所定の単一金種(具体的には万円券)の新券紙幣を収納する新券収納庫41、所定の単一金種(具体的には五千円券)の新券紙幣を収納する新券収納庫42および所定の単一金種(具体的には千円券)の新券紙幣を収納する新券収納庫44が設けられている。なお、上下方向に鉛直直線状に並設される新券収納庫の中に、最も流通量の少ない所定の単一金種(具体的には二千円券)の新券紙幣を収納する新券収納庫は設けられていない。
【0061】
上記により、第2実施形態において、紙幣入出金機11の後部には新券収納庫が設けられておらず、転換搬送経路51Bと新券収納庫とを繋ぐ新券搬送経路も設けられていない。そして、後部引出ユニットそのものが設けられておらず、転換搬送経路51Bが上部引出ユニット62および下部引出ユニット63の開閉体66にまたがって設けられている。
【0062】
収納紙幣庫36は、複数の新券収納庫41,42,44と、高さを含む大きさが同じであって容量も同じであり、収納紙幣庫36および新券収納庫41,42,44は、前後左右の位置を合わせて上下方向に鉛直直線状に並設されている。これら収納紙幣庫36および新券収納庫41,42,44は、すべて下部引出ユニット63の引出体65内に配置されており、これらの鉛直上方に上記した環状搬送経路52が配置されている。
【0063】
紙幣庫の数が減り、収納紙幣庫37および一時貯留紙幣庫38が後側にずれたことにより、下側搬送経路51Cから分岐する搬送経路51Fに収納紙幣庫37が、搬送経路51Gに一時貯留紙幣庫38が、それぞれ接続されている。また、搬送経路51Gは一時貯留紙幣庫38からの紙幣を、下側搬送経路51Cに、転換搬送経路51Bおよび搬送経路51Jの両方向に搬送できるように繰り出し可能となっている。加えて、下側搬送経路51Cの端末位置に繋がり接続搬送経路51Iにも繋がる搬送経路51Hが、収納紙幣庫36の下側の新券収納庫41に接続されている。つまり、この搬送経路51Hは新券搬送経路51Hとなっている。
【0064】
紙幣搬送路51は、新券搬送経路51Hに一方で接続され他方で収納紙幣庫36に接続される搬送経路51Uと、新券収納庫41の下側の新券収納庫42と接続搬送経路51Iとを、新券搬送経路51Hを介して繋ぐ新券搬送経路51Vと、新券収納庫42の下側の新券収納庫44と接続搬送経路51Iとを、新券搬送経路51V,51Hを介して繋ぐ接続搬送経路51Wとを有している。これら搬送経路51U〜51Wは、正逆両方向に紙幣を搬送可能となっている。つまり、新券収納庫41,42,44との間で紙幣を出し入れする正逆搬送可能な新券搬送経路51H,51V,51Wが、接続搬送経路51Iに接続され、また、収納紙幣庫36との間で紙幣を出し入れする正逆搬送可能な搬送経路51Uが新券搬送経路51Hに接続されている。
【0065】
次に、第2実施形態に係る紙幣入出金機11の各処理について説明する。
【0066】
「入金処理」
図16は入金処理のルートを示している。入金処理では、第1実施形態と同様、取引口21から繰り出した紙幣を上側搬送経路51Aで搬送しつつ識別部28で識別計数することになり、識別部28で受け入れ可能と判定した紙幣を、
図16に実線のルートR31で示すように、転換搬送経路51B、下側搬送経路51Cおよび搬送経路51Gを介して一時貯留紙幣庫38に搬送する。他方、識別部28で受け入れ不可と判定した紙幣は、
図16に実線から破線のルートR32で示すように、識別部28の識別以降は、第1実施形態と同様にして入金リジェクト部26に搬送する。
【0067】
「収納処理」
図17は収納処理のルートを示している。収納処理では、一時貯留紙幣庫38から繰り出した紙幣のうち、収納紙幣庫34,35,37に収納するものは、
図17に実線のルートR33で示すように、搬送経路51G、下側搬送経路51C、搬送経路51J、接続搬送経路51Iおよび上側搬送経路51Aの経路構成部51Aaで識別部28に搬送し、識別部28の識別結果に基づいて、転換搬送経路51Bおよび下側搬送経路51Cと、搬送経路51D〜51Fの対応するものとによって、収納紙幣庫34,35,37の対応するものに搬送する。また、収納紙幣庫36に収納する紙幣は、
図17に実線から一点鎖線のルートR34で示すように、識別部28の識別結果に基づいて、転換搬送経路51Bおよび下側搬送経路51Cと、新券搬送経路51Hおよび搬送経路51Uとによって収納紙幣庫36に搬送する。収納処理時に、識別部28で重送等と識別した紙幣については、
図17に実線から一点鎖線、さらに破線のルートR35で示すように、識別部28の識別以降、第1実施形態と同様にして出金リジェクト部27に搬送する。
【0068】
「返却処理」
図18は返却処理のルートを示している。返却処理のルートR36では、一時貯留紙幣庫38から繰り出した紙幣を、搬送経路51G、下側搬送経路51C、転換搬送経路51Bおよび上側搬送経路51Aによって取引口21に搬送する。
【0069】
「通常のバラ紙幣出金処理」
図19は通常のバラ紙幣出金処理のルートを示している。通常のバラ紙幣出金処理では、指定された金種に収納紙幣庫35,37の紙幣がある場合は、
図19に実線のルートR37で示すように、収納紙幣庫35,37の対応するものから繰り出した紙幣を、搬送経路51E,51Fの対応するものと下側搬送経路51Cと転換搬送経路51Bと上側搬送経路51Aとで識別部28に搬送する。また、指定された金種に収納紙幣庫36の紙幣がある場合は、収納紙幣庫36から繰り出した紙幣を、搬送経路51Uおよび新券搬送経路51Hと下側搬送経路51Cと転換搬送経路51Bと上側搬送経路51Aとで識別部28に搬送する。いずれの場合も、識別部28の識別以降は、第1実施形態と同様にして取引口21に紙幣を搬送する。なお、この出金処理にて識別部28で重送等と識別した紙幣についても、
図19に実線から破線のルートR38で示すように、識別部28の識別以降、第1実施形態と同様にして出金リジェクト部27に搬送する。
【0070】
「束出金処理」
図20は束出金処理のルートを示している。束出金処理では、指定された金種が収納紙幣庫35,37のいずれかの紙幣である場合は、
図20に実線のルートR39で示すように、収納紙幣庫35,37の指定された金種のものから繰り出した紙幣を、搬送経路51E,51Fの対応するものと下側搬送経路51Cと転換搬送経路51Bと上側搬送経路51Aとで識別部28に搬送する。また、指定された金種が収納紙幣庫36の紙幣である場合は、収納紙幣庫36から繰り出された紙幣を、搬送経路51Uおよび新券搬送経路51Hと下側搬送経路51Cと転換搬送経路51Bと上側搬送経路51Aとで識別部28に搬送する。いずれの場合も、識別部28の識別以降は、第1実施形態と同様にして整列部30、移送部33、結束部31および束出金部32に紙幣を搬送する。なお、束出金処理にて識別部28で重送等と識別した紙幣についても、
図20に実線から破線のルートR40で示すように、識別部28の識別以降、第1実施形態と同様にして出金リジェクト部27に搬送する。
【0071】
「通常の自己精査処理」
図21は自己精査処理の往路ルートを示している。自己精査処理の往路ルートでは、収納紙幣庫34,35,37の何れかが設定された場合は、
図21に実線のルートR41で示すように、収納紙幣庫34,35,37のうちの設定された一つから繰り出した紙幣を、搬送経路51D〜51Fの対応するものと下側搬送経路51Cと転換搬送経路51Bと上側搬送経路51Aとで識別部28に搬送する。また、設定されたものが収納紙幣庫36である場合、収納紙幣庫36から繰り出した紙幣を、
図21に一点鎖線から実線のルートR42で示すように、搬送経路51Uおよび新券搬送経路51Hと下側搬送経路51Cと転換搬送経路51Bと上側搬送経路51Aとで識別部28に搬送する。そして、いずれの場合も、紙幣を識別部28で識別計数しつつ、上側搬送経路51Aの経路構成部51Aa、接続搬送経路51I、搬送経路51J、下側搬送経路51Cおよび搬送経路51Gを介して一時貯留紙幣庫38に搬送する。このようにして収納紙幣庫34〜37のうちの設定された一つに収納されていた紙幣をすべて繰り出す。なお、いずれの場合も、識別部28で重送等と識別した紙幣については、
図21に実線から破線のルートR43で示すように、識別部28の識別以降、第1実施形態と同様にして出金リジェクト部27に搬送する。
【0072】
図22は自己精査処理の復路ルートを示している。自己精査処理の復路ルートでは、一時貯留紙幣庫38に一旦移した紙幣を、
図22に実線のルートR44で示すように、搬送経路51Gと下側搬送経路51Cと搬送経路51Jと合流搬送経路51Iと上側搬送経路51Aの経路構成部51Aaとで識別部28に搬送し、識別部28で識別計数する。そして、識別部28の識別結果に基づいて、収納紙幣庫34,35,37の何れかに収納すべき紙幣である場合は、転換搬送経路51B、下側搬送経路51Cおよび搬送経路51D〜51Fの対応するものを介して、収納紙幣庫34,35,37の対応する金種のものに搬送する。また、識別部28の識別結果に基づいて、収納紙幣庫36に収納すべき紙幣である場合は、
図22に実線から一点鎖線のルートR45で示すように、転換搬送経路51B、下側搬送経路51C、新券搬送経路51Hおよび搬送経路51Uを介して、収納紙幣庫36に搬送する。なお、自己精査処理の復路ルートにて、識別部28で重送等と識別した紙幣については、
図22に実線から一点鎖線、さらに破線のルートR46で示すように、識別部28の識別以降、第1実施形態と同様にして出金リジェクト部27に搬送する。
【0073】
「ローカル整理処理」
図23はローカル整理処理の往路ルートを示している。ローカル整理処理では、第1実施形態と同様、取引口21から繰り出した紙幣を上側搬送経路51Aで搬送しつつ識別部28で識別計数することになり、識別部28で受け入れ可能と判定した紙幣を、
図23に実線のルートR47で示すように、転換搬送経路51B、下側搬送経路51Cおよび搬送経路51Gを介して一時貯留紙幣庫38に搬送する。他方、識別部28で受け入れ不可と判定した紙幣は、
図23に実線から破線のルートR48で示すように、識別部28の識別以降、第1実施形態と同様にして入金リジェクト部26に搬送する。
【0074】
図24はローカル整理処理の復路ルートを示している。ローカル整理処理では、一時貯留紙幣庫38に一旦収納した紙幣を、
図24に実線のルートR49で示すように、下側搬送経路51C、転換搬送経路51Bおよび上側搬送経路51Aを介して識別部28に搬送し、識別部28の識別以降、第1実施形態と同様にして整列部30、移送部33、結束部31および束出金部32に搬送する。なお、ローカル整理処理にて識別部28で重送等と識別した紙幣についても、
図24に実線から破線のルートR50で示すように、識別部28の識別以降、第1実施形態と同様にして入金リジェクト部26に放出する。
【0075】
「新券指定のバラ紙幣出金処理」
図25は、新券指定のバラ紙幣出金処理のルートを示している。新券指定のバラ出金処理では、
図25に実線のルートR51で示すように、新券収納庫41,42,44の指定された金種のものから繰り出した紙幣を、新券搬送経路51H,51V,51Wの対応するものと下側搬送経路51Cと転換搬送経路51Bと上側搬送経路51Aとで識別部28に搬送し、識別部28の識別以降、第1実施形態と同様にして、取引口21に搬送する。なお、識別部28で重送等と識別した新券紙幣については、
図25に実線から破線のルートR52で示すように、識別部28の識別以降、第1実施形態と同様にして出金リジェクト部27に収納する。
【0076】
「新券補充処理」
図26は、新券補充処理のルートを示している。新券補充処理では、取引口21から繰り出した紙幣を上側搬送経路51Aで搬送しつつ識別部28で識別計数することになる。このとき、識別部28は、新券紙幣の劣化度合を評価し、受け入れ可能かつ所定の劣化度合いを超えていない紙幣と評価した紙幣を、
図26に実線のルートR53で示すように、転換搬送経路51Bと、下側搬送経路51Bと、新券搬送経路51H,51V,51Wの対応するものとを介して、新券収納庫41、新券収納庫42および新券収納庫44の対応する金種のものへ収納する。他方、識別部28が受け入れ可能かつ所定の劣化度合いを超えている紙幣と評価した紙幣を、
図26に実線から一点鎖線のルートR54で示すように、転換搬送経路51B、下側搬送経路51Cおよび搬送経路51D〜51Fの対応するものを介して、収納紙幣庫34,35,37の対応するもの、あるいは転換搬送経路51B、下側搬送経路51Cおよび新券搬送経路51Hおよび搬送経路51Uを介して収納収納庫36へ収納する。つまり、新券収納庫41,42,44に収納されるべき新券紙幣を、評価手段が所定の劣化度合いを超えた紙幣と評価した場合に、この紙幣を収納紙幣庫34,35,37内へ搬送する。この場合も、識別部28で受け入れ不可と判定した紙幣は、
図26に実線から破線のルートR55で示すように、識別部28の識別以降、第1実施形態と同様にして入金リジェクト部26に搬送する。
【0077】
「新券紙幣の自己精査処理」
図27は、新券紙幣の自己精査処理の往路ルートを示している。新券紙幣の自己精査処理では、
図27に実線のルートR56で示すように、新券収納庫41,42,44のうちの設定された一つから繰り出した紙幣を、新券搬送経路51H,51V,51Wの対応するものと接続搬送経路51Iと上側搬送経路51Aの経路構成部51Aaとを介して識別部28に搬送し、識別部28で識別計数しつつ、転換搬送経路51B、下側搬送経路51Cおよび搬送経路51Gを介して一時貯留紙幣庫38に搬送する。なお、このとき、識別部28で重送等と識別した紙幣については、
図27に実線から破線のルートR57で示すように、転換搬送経路51B、下側搬送経路51C、搬送経路51J、接続搬送経路51I、搬送経路51K,51Mによって出金リジェクト部27に搬送する。
【0078】
図28は、上記した新券紙幣の自己精査処理の復路ルートを示している。この復路ルートでは、一時貯留紙幣庫38から繰り出した紙幣を、
図28に実線のルートR58で示すように、搬送経路51G、下側搬送経路51C、搬送経路51J、接続搬送経路51Iおよび上側搬送経路51Aの経路構成部51Aaを介して識別部28に搬送し、識別部28で識別計数する。そして、識別部28の識別結果に基づいて、受け入れ可能かつ所定の劣化度合いを超えていない紙幣と評価した紙幣を、転換搬送経路51Bと、下側搬送経路51Cと、新券搬送経路51H,51V,51Wの対応するものとを介して新券収納庫41,42,44の対応する金種のものへ搬送する。他方、識別部28が受け入れ可能かつ所定の劣化度合いを超えている紙幣と評価した紙幣については、収納紙幣庫34,35,37の何れかに対応するもの(収納紙幣庫35,37のオーバーフロー紙幣、千円券、万円券)である場合、
図28に実線から一点鎖線のルートR59で示すように、この紙幣を、転換搬送経路51Bと、下側搬送経路51Cと、搬送経路51D,51E,51Fの対応するものとを介して収納紙幣庫34,35,37の対応するものに搬送する一方、収納紙幣庫36に対応するもの(五千円券)である場合、この紙幣を、転換搬送経路51B、下側搬送経路51C、新券搬送経路51Hおよび搬送経路51Uを介して、収納紙幣庫36に搬送する。つまり、新券収納庫41,42,44に収納されるべき新券紙幣を、評価手段が所定の劣化度合いを超えた紙幣と評価した場合に、この紙幣を収納紙幣庫34,35,37,36内へ搬送する。また、識別部28で重送等と識別した紙幣については、
図27に実線から破線のルートR60で示すように、識別部28の識別以降は、第1実施形態と同様にして出金リジェクト部27に搬送する。
【0079】
「新券紙幣の自己精査処理の変形例」
図29は、新券紙幣の自己精査処理の変形例の往路ルートを示している。この新券紙幣の自己精査処理の往路ルートでは、
図29に実線のルートR61で示すように、新券収納庫41,42,44のうちの設定された一つから繰り出した紙幣を、新券搬送経路51H,51V,51Wの対応するものと接続搬送経路51Iと上側搬送経路51Aの経路構成部51Aaとを介して識別部28に搬送し、識別部28で識別計数する。そして、識別部28の識別結果に基づいて、受け入れ可能かつ所定の劣化度合いを超えていない紙幣と評価した紙幣を、転換搬送経路51B、下側搬送経路51Cおよび搬送経路51Gを介して一時貯留紙幣庫38に搬送する。他方、識別部28が受け入れ可能かつ所定の劣化度合いを超えている紙幣と評価した紙幣を、収納紙幣庫34,35,37に対応するもの(収納紙幣庫35,37のオーバーフロー紙幣、千円券、万円券)については、
図29に実線から一点鎖線ルートR62で示すように、転換搬送経路51Bと、下側搬送経路51Cと、搬送経路51D〜51Fの対応するものとを介して収納紙幣庫34,35,37の対応するものに搬送し、収納紙幣庫36に対応するもの(五千円券)については、転換搬送経路51B、下側搬送経路51Cおよび搬送経路51Dを介して収納紙幣庫34に搬送する。つまり、新券収納庫41,42,44から繰り出された新券紙幣を、評価手段が所定の劣化度合いを超えた紙幣と評価した場合に、この紙幣を収納紙幣庫34,35,37内へ搬送する。また、識別部28で重送等と識別した紙幣については、
図29に実線から破線のルートR63で示すように、転換搬送経路51B、下側搬送経路51C、搬送経路51J、接続搬送経路51I、搬送経路51K,51Mによって出金リジェクト部27に搬送し収納する。
【0080】
図30は、上記した新券紙幣の自己精査処理の変形例の復路ルートを示している。この復路ルートでは、一時貯留紙幣庫38から繰り出した紙幣を、
図30に実線のルートR64で示すように、下側搬送経路51C、転換搬送経路51B、上側搬送経路51Aの経路構成部51Aaを介して識別部28に搬送し、識別部28で識別計数しつつ、識別部28の識別結果に基づいて、接続搬送経路51Iと、新券搬送経路51H,51V,51Wの対応するものとを介して新券収納庫41,42,44の対応する金種のものへ収納する。また、識別部28で重送等と識別した紙幣については、
図30に実線から破線のルートR65で示すように、搬送経路51L,51K,51Mを介して出金リジェクト部27に搬送する。
【0081】
以上に述べた第2実施形態の紙幣入出金機11によれば、取引口21から後方に延出する上側搬送経路51A、上側搬送経路51Aから下方かつ前方に折り返す転換搬送経路51B、および転換搬送経路51Bから前方に延出する下側搬送経路51Cを設け、下側搬送経路51Cの下方に、容量が比較的多く高さが必要な紙幣庫34,35,37,38を、下側搬送経路51Cに沿う水平方向に並設する。そして、複数の紙幣庫34,35,37,38の前方に、容量が比較的少なく高さが低く済む新券紙幣専用の複数の新券収納庫41,42,44を鉛直方向に直列状に配置する。したがって、同一の筐体60内に、複数の紙幣庫34,35,37,38とともに複数の新券収納庫41,42,44を効率的にレイアウトすることができる。
【0082】
また、流通券紙幣の入金時は、取引口21に投入された流通券紙幣を上側搬送経路51A、転換搬送経路51Bおよび下側搬送経路51Cを介して一の紙幣庫38に一時貯留し、識別部28の識別結果に基づく承認操作を受けて、下側搬送経路51C、搬送経路51Jから接続搬送経路51Iを介して上側搬送経路51Aに搬送し、上側搬送経路51Aの識別部28の識別結果に基づいて、転換搬送経路51Bおよび下側搬送経路51Cを介して他の複数の紙幣庫34,35,37に分類収納する。加えて、流通券紙幣の出金時には、上記他の複数の紙幣庫35,37から下側搬送経路51C、転換搬送経路51Bおよび上側搬送経路51Aを介して紙幣を取引口21に出金する。これに対して、新券紙幣を新券収納庫41,42,44に収納する場合には、取引口21に投入された新券紙幣を上側搬送経路51A、転換搬送経路51B、下側搬送経路51C、新券搬送経路51H,51V,51Wを介して搬送し、上側搬送経路51Aの識別部28の識別結果に基づいて、新券収納庫41,42,44に分類収納する。加えて、新券紙幣の出金時には、新券収納庫41,42,44から新券搬送経路51V,51W,51H、下側搬送経路51C、転換搬送経路51Bおよび上側搬送経路51Aを介して取引口21に紙幣を出金する。よって、少なくとも、入出金を行う取引口21、識別を行う識別部28および紙幣を搬送する上側搬送経路51Aを流通券紙幣および新券紙幣で共用することができる。
【0083】
また、容量が比較的少なく高さが低く済む五千円券専用の収納紙幣庫36を、複数の新券収納庫41,42,44とともに鉛直方向に直列状に配置するため、この収納紙幣庫36の分は、下側搬送経路51Cの下方で下側搬送経路51Cに沿って並設される紙幣庫34,35,37,38の数を減らすことができる。したがって、さらに効率的なレイアウトにできる。なお、この場合、容量が比較的少なく高さが低く済む二千円券専用収納庫を、複数の新券収納庫41,42,44とともに鉛直方向に直列状に配置しても良く、五千円券専用の収納紙幣庫36および二千円券専用収納庫の両方を複数の新券収納庫41,42,44とともに鉛直方向に直列状に配置しても良い。つまり、容量が比較的少なく高さが低く済む五千円券専用収納庫および二千円券専用収納庫のうちの少なくとも何れか一方の専用収納庫を、複数の新券収納庫とともに鉛直方向に直列状に配置することが可能である。
【0084】
なお、第1実施形態において、第2実施形態のように、例えば収納紙幣庫36を新券収納庫41〜44とともに鉛直方向に直列状に配置し、この収納紙幣庫36との間で紙幣を出し入れする搬送経路を、新券搬送経路51Q〜51Tの何れかに接続させても良い。