(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ホール等に設置される椅子は、必ずしも全ての椅子が前後左右に揃って配列されるとは限らず、例えば、前後列が横方向や高さ方向にずれて配列される場合があり、さらに、椅子の取り付け精度等によっても各席の位置関係にずれを生じる場合がある。すなわち、前後列の椅子の位置関係は当該椅子の設置場所や設置条件等によって変化するため、前席背面から後席手元を照らす照明装置の照射範囲は、照明装置毎(椅子毎)に柔軟に調節できることが望ましい。
【0007】
このような点に関し、先ず、特許文献1には、光源や反射板の配置を変更し、或いは反射板の横方向や縦方向の角度を調節することにより、その照射範囲を変更することが記載されている。
【0008】
ところが、引用文献1の光源は、カバー部材の開口に設置された透光窓の外形と略同一の外形を有し、反射板も略同様な大きさに設定されている。このため、光源や反射板の配置を変更したとしても、透光窓を通した光の照射位置はほとんど変化することはない。しかも、光源として面光源の蛍光灯を用いていることを考慮すると、位置を変更した際の照射範囲の変化は一層微小なものとなる。つまり、この引用文献1の構成の場合、照射範囲を所望の位置に確実に変更するためには、透光窓自体の位置を椅子の配置によって変更する必要があり、例えば1つのホール内で複数仕様の照明装置及びそれを搭載した椅子を準備する必要があり、生産効率が悪くコストが高い。さらに、反射板の横方向や縦方向の角度を調節するためには、カバー部材の内面との間の干渉を避けるため、その回動範囲に十分なスペースを設ける必要があり、装置自体の大型化を惹起する。
【0009】
次に、特許文献2には、背板から外部へと回動して出没する扉部材の角度を調節することで照射範囲を上下方向に変更することが記載されているが、特許文献1の構成と同様、その回動範囲に十分なスペースを設ける必要があり、また、照射範囲を左右方向に変化させることについての考慮もない。
【0010】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、前後列の椅子の位置関係にずれを生じた場合であっても、装置の大型化やコストの増加を抑制しつつ、その照射範囲を適切に調節することができる照明装置及び照明装置付き椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る照明装置は、椅子の背凭れ部の背面側に設けられ、前記椅子の後席の所定範囲に対して光を照射する照明装置であって、前記背凭れ部に固定されるベース部材と、前記ベース部材に対し、移動可能且つ所定位置で位置決め固定可能な状態で取り付けられる支持部材と、前記支持部材に固定されることで該支持部材に伴って移動可能且つ位置決め固定可能な光源と、前記ベース部材及び前記背凭れ部の少なくとも一方に固定されて前記光源を収納すると共に、該光源からの光を通過させる照射孔が設けられたカバー部材とを備え、前記光源は、少なくとも1つの点光源によって構成されると共に、前記ベース部材及び前記カバー部材に対して所定の仮想平面内で移動可能且つ位置決め固定可能であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る照明装置付き椅子は、後席の所定範囲に対して光を照射する照明装置を背凭れ部の背面側に設けた照明装置付き椅子であって、前記照明装置は、前記背凭れ部に固定されるベース部材と、前記ベース部材に対し、移動可能且つ所定位置で位置決め固定可能な状態で取り付けられる支持部材と、前記支持部材に固定されることで該支持部材に伴って移動可能且つ位置決め固定可能な光源と、前記ベース部材及び前記背凭れ部の少なくとも一方に固定されて前記光源を収納すると共に、該光源からの光を通過させる照射孔が設けられたカバー部材とを備え、前記光源は、少なくとも1つの点光源によって構成されると共に、前記ベース部材及び前記カバー部材に対して所定の仮想平面内で移動可能且つ位置決め固定可能であることを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、少なくとも1つ点光源、例えばLEDによって構成される光源を、背凭れ部に固定されるベース部材及びカバー部材に対し、所定の仮想平面内で移動可能且つ位置決め固定可能な状態で支持部材によって支持することにより、前後列の椅子の位置関係にずれを生じた場合であっても、光源からの光を所望の照射範囲へと適切に調整することができる。しかも、光源の移動範囲(調節範囲)は、仮想平面に沿った領域となるため、支持部材には光源を仮想平面に沿った方向に平行移動させる構成のみが備えられればよく、回動構造等に比べて構造を簡素化でき、小型化及び低コスト化が可能である。さらに、光源が点光源であることから、前記仮想平面に沿った範囲で位置調整された場合にも、その光は、照射孔を通過して円錐状に広がりながら所望の照射範囲へと精度よく到達させることができる。
【0014】
前記仮想平面は、前記背凭れ部又は前記ベース部材に沿った平面であってもよい。
【0015】
また、前記ベース部材は、薄板であり、前記支持部材は、前記ベース部材の表面上で上下方向又は左右方向に移動可能且つ位置決め固定可能な第1部材と、該第1部材の表面上で左右方向又は上下方向に移動可能且つ位置決め固定可能な第2部材とを備え、前記第2部材に前記光源が固定されると、仮想平面に沿った光源の移動機構を簡素な構成で実現することができる。
【0016】
前記カバー部材には、前記照射孔に並んで前記光源の電源スイッチが設置され、当該照明装置は、前記カバー部材の外面と、該外面に形成される照射孔及び電源スイッチとが外部に露出した状態で前記背凭れ部に埋設されてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、少なくとも1つ点光源によって構成される光源を、背凭れ部に固定されるベース部材及びカバー部材に対し、所定の仮想平面内で移動可能且つ位置決め固定可能な状態で支持部材によって支持することにより、前後列の椅子の位置関係にずれを生じた場合であっても、光源からの光を所望の照射範囲へと適切に調整することができる。しかも、光源の調節範囲は、仮想平面に沿った領域となるため、支持部材には光源を仮想平面に沿った方向に平行移動させる構成のみが備えられればよく、回動構造等に比べて構造を簡素化でき、小型化及び低コスト化が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る照明装置について、この照明装置が設置された椅子との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る照明装置10が設置された照明装置付き椅子12の平面図であり、
図2は、
図1に示す照明装置付き椅子12の一部断面側面図である。
図1及び
図2は、多目的ホールや講堂等において多数配列された状照明装置付き椅子12(以下、単に「椅子12」ともいう)のうち、所定の前席12F及び後席12Rを図示したものである。
【0021】
図1及び
図2に示すように、照明装置10は、椅子12(前席12F)の背凭れ部14の背面側に設けられることにより、その後方の椅子12(後席12R)の所定の照射範囲S(本実施形態では、テーブル16)に対して光を照射し、着席者の手元を照らすためのスポットライトである。
【0022】
椅子12(前席12F及び後席12R)は、使用者が座るための座部18と、座部18への着席者が背中で寄り掛かる部分である背凭れ部14と、着席者が肘を掛けるための左右一対の肘掛部20L、20Rと、一方の肘掛部20Rの前端から突出する可動式(収納式)又は固定式のテーブル16とを備え、脚部21によって床面上に固定される。本実施形態では、座部18をその基端(後端)側を回動軸として跳ね上げ可能な構成を例示しているが、座部18は固定式のものでもよい。
【0023】
このような椅子12において、照明装置10は、背凭れ部14の背面を構成する背板22の孔部22a内に外面(背面)が露出した状態で埋設され、その前面側は背板22の前方に設置されるクッション部24によって囲繞される。
【0024】
以下の説明では、
図1及び
図2における椅子10の幅方向をX方向(左右方向、横方向)、高さ方向をY方向(上下方向)、前後方向をZ方向と規定する。本実施形態の場合、照明装置10は背板22に対して設置されるため、その設置方向は背板22の延在方向(面方向)に沿った方向となり、必ずしもX方向、Y方向及びZ方向に沿った方向にはならないが、以下では説明の便宜上、背板22を構成する面の延在方向がX方向及びY方向に平行するものとする。
【0025】
図3は、照明装置10を背板22に取り付けた状態を示す説明図であり、
図3(A)は、照明装置10の側面図であり、
図3(B)は、背板22の背面図である。
図4は、照明装置10の構成図であり、
図4(A)は、照明装置10の正面図であり、
図4(B)は、照明装置10の側面断面図である。また、
図5は、照明装置10の一部切欠分解斜視図である。
【0026】
図3〜
図5に示すように、照明装置10は、背板22に固定される矩形薄板状のベースプレート(ベース部材)30と、ベースプレート30の背面(後面)に取り付けられる支持部材32と、支持部材32に支持される光源部34と、ベースプレート30に固定されて光源部34を収納するカバー部材36と、光源部34をON/OFF操作する電源スイッチ38とを備える。
【0027】
ベースプレート30は、上部中央に形成されて幅方向(X方向)に延びた長孔40と、長孔40の左右両側に形成されて上下方向(Y方向)に延びた一対の縦長孔42、42と、四隅にそれぞれ形成された取り付け孔44とを有し、ステンレス鋼等の金属材料や樹脂製材料等によって構成される薄板である。
【0028】
図3(A)に示すように、背板22には、例えば前面側から背面側に向かって次第に小さくなる段付きの孔部22aが形成されている。ベースプレート30は、孔部22aの最も前面側の大形部に配設され、当該背板22に対し、取り付け孔44を通した固定ねじ46によって固定される。なお、
図3(A)では、図面の簡単のため、孔部22aの縁部を示す線の一部を省略している。
【0029】
支持部材32は、ベースプレート30の背面側に設けられて光源部34を支持するためのものであり、ベースプレート30の背面(表面)上で上下方向に移動可能且つ所定位置で位置決め固定可能なプレート状の第1部材48と、該第1部材48の背面(表面)上で左右方向に移動可能且つ所定位置で位置決め固定可能な略三角柱状の第2部材50とを備え、第2部材50に光源部34が固定されている。
【0030】
第1部材48は、中央に形成されて幅方向(X方向)に延びた横長孔52と、横長孔52の左右両側に形成された一対のねじ孔54、54とを有する。第1部材48は、ベースプレート30の各縦長孔42、42を介した調整ねじ55、55が各ねじ孔54、54に螺合されることで当該ベースプレート30の背面側に固定される。この際、調整ねじ55とねじ孔54との締結位置を縦長孔42の長手方向(上下方向)で変更することにより、ベースプレート30に対する第1部材48の上下方向(Y方向)の取り付け位置を適宜調整することができる。
【0031】
第2部材50は、第1部材48側の面である前面50aに形成された左右一対のねじ孔56、56と、上面から底面の傾斜面50bまで貫通する貫通孔57とを有し、後方に向かって上昇する傾斜面50bの表面に光源部34が設置される。第2部材50は、第1部材48の横長孔52を介した調整ねじ58、58が各ねじ孔56、56に螺合されることで当該第1部材48の背面側に固定される。この際、調整ねじ58とねじ孔56との締結位置を横長孔52の長手方向(左右方向)で変更することにより、第1部材48に対する第2部材50の左右方向(X方向)の取り付け位置を適宜調整することができる。
【0032】
このように、支持部材32は、第1部材48がベースプレート30に対して上下方向(Y方向)に移動可能且つ所定位置で位置決め固定可能であると共に、第2部材50が第1部材48に対して左右方向(X方向)に移動可能且つ所定位置で位置決め固定可能に構成されている。
【0033】
すなわち、
図6に示すように、支持部材32は光源部34(光源34a)を、背板22に固定されたベースプレート30に対して、X方向及びY方向に平行な仮想平面XY内で移動可能且つ所定位置で位置決め固定可能に支持している。換言すれば、光源部34(光源34a)の位置は、仮想平面XYに沿った所定の領域R内で調整可能であり、例えば照射方向Lで示す位置以外にも、照射方向L1、L2で示す位置等に光源34aを移動させて設置することができる(
図4(B)及び
図6参照)。この際、ベースプレート30の長孔40は、その内部に配置される調整ねじ58の頂部が、上記のX、Y方向への調整時に干渉することがないよう、該頂部の外径とX、Y方向への調整量(調整範囲)を考慮した形状に設定される。
【0034】
次に、光源部34は、例えば少なくとも1つの点光源である光源34aを有する発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)光源であり、光源34aが設置されるLED基板34bが第2部材50の傾斜面50bに固定されることで、後方斜め下方に向けて光を照射して(
図3(A)及び
図4(B)参照)、例えば後席12Rのテーブル16付近に照射範囲Sを設定することができる(
図1及び
図2参照)。LED基板34bへの配線等は図示しないが、例えば第2部材50に形成した貫通孔57を挿通させるとよい。
【0035】
カバー部材36は、例えば3本の固定ねじ60によってベースプレート30の背面に固定され(
図4参照)、大部分が照明装置10の他の構成要素と共に背板22の孔部22a内に埋設されると共に、長円形状の外面36a側のみが外部に露出した状態となる(
図3参照)。カバー部材36は、その上部内側に形成された空間内に光源部34や支持部材32を収納し、外部から視認できないように覆う部材であり、例えば樹脂製材料によって構成される。カバー部材36は、ベースプレート30と一体的に構成してもよい。
【0036】
なお、カバー部材36は、固定ねじ60等によってベースプレート30に固定する以外の方法で背凭れ部14に対して固定してもよく、例えば、固定ねじ60を用いずに、
図3中に2点鎖線で示すように、カバー部材36の上下部位を延出させて一対の取付孔を貫通形成しておき、例えば木ねじからなる固定ねじ61を前記取付孔を通して背板22に締結させることで、背板22(背凭れ部14)に対して直接的に取り付けてもよい。勿論、カバー部材36は、上記の固定ねじ60及び木ねじ61等を用いて、ベースプレート30及び背板22の両方に対して固定するようにしてもよい。そうすると、カバー部材36が、ベースプレート30を背板22に固定するためのブラケットとしても機能するため、ベースプレート30の背板22への取り付け剛性を高めることができる。
【0037】
図4(B)に示すように、カバー部材36は、その外面36a上部に、光源34aからの光を透過させる窓部材62を嵌合する照射孔64が開口形成され、照射孔64の下部に、電源スイッチ38を押し込み可能な状態で保持するスイッチ孔66が開口形成される。また、カバー部材36の外面30aの内側には、環状凹部68が形成され、該環状凹部68には当該カバー部材36の外面30aを背板22の表面に当接させた際のガタツキ等を防止するOリング等の緩衝部材(図示せず)が配設される。
【0038】
窓部材62(照射孔64)は、上記した仮想平面XYに沿って位置調整がなされる光源34aからの光を確実に透過(通過)させるため、光源34aよりも大きく形成されると共に、所定の透明度を有する。
【0039】
つまり、照明装置10では、窓部材62(照射孔64)よりも前方(光の照射方向では後方)に、それよりも小さな光源34aが上下左右に調整可能に設けられる。換言すれば、少なくとも光源34aからの光の照射方向L(
図4(B)参照)から見た場合に、光源34aの外形が窓部材62(照射孔64)の外形よりも小さく設定され、この際、光源34aは窓部材62(照射孔64)の範囲内に重なる領域内で上下左右に調節可能である。また、本実施形態の場合、光源34aからの光の照射方向Lは、後方斜め下方に向いているため、光源34aは、窓部材62(照射孔64)の中心よりも上方にずれた位置でその後方に配置されている。なお、窓部材62は省略してもよく、この場合には光源34aからの光は照射孔64を直接的に通過することになるが、光源34aの保護や照明装置10の美観等を考慮した場合には窓部材62を設けることが好ましい。
【0040】
図3(B)及び
図4(B)に示すように、電源スイッチ38は、当該照射装置10を利用する後席12Rの着席者が操作する丸い押しボタンであり、人手によって押圧操作される操作部38aと、操作部38aの前方でその押し込み動作によってON/OFFされる検出部38bとを有し、検出部38bがベースプレート30の背面上に固定ねじ70等によって固定されるスイッチ基板72上に配設される。操作部38aは、検出部38bに設けられた図示しない弾性部材によって外方に突出する方向に付勢されており、該操作部38aを押圧操作することにより光源34aを点灯(ON)及び消灯(OFF)することができる。
【0041】
次に、以上のように構成される照明装置10及び照明装置付き椅子12の作用効果について説明する。
【0042】
椅子12が多数設置される場所、例えば多目的ホールや学校の講堂等では、
図1及び
図2に示されるように、前席12F及び後席12Rのように前後列が左右方向(X方向)、高さ方向(Y方向)及び前後方向(Z方向)に揃った状態で配列されることもあるが、必ずしも全ての椅子が各方向に揃って配列されるとは限らない。例えば、左右の前席12F間に後席12Rが配置されたり、床面が後方に向かって上昇しながら傾斜する会場では前席12Fよりも後席12Rの位置が高くなったりすることもあり、さらには各椅子12の設置精度によっても前後列で位置ずれを生じることがある。
【0043】
例えば、
図1及び
図2中に2点鎖線で示すテーブル16a、16b、16c、16dの位置では、前席12Fに対して後席12RがX、Y、Z方向のいずれか又は全方向にずれて設置されている。なお、
図1及び
図2では、図面の簡単のため、椅子12自体の位置ずれを図示せず、テーブル16の位置ずれを2点鎖線で図示することによって前席12Fに対する後席12Rの位置ずれを例示している。
【0044】
そこで、本実施形態に係る照明装置10では、少なくとも1つの点光源からなる光源34a(例えば、LED光源)を用いると共に、支持部材32による位置決め調整作用により、光源34aの位置を仮想平面XY内で上下左右に調整して設置できるように構成している(
図6参照)。
【0045】
従って、
図1及び
図2中のテーブル16a〜16dに示されるように、前席12Fに対して後席12RがX、Y、Z方向に位置ずれしている場合であっても、椅子12の設置時に光源34aを仮想平面XY内で位置調整して取り付けることにより、光源34aからの光を各テーブル16a〜16dに対して適切に調整することができる(
図1及び
図2中に2点鎖線で示す照射範囲S1、S2、S3、S4を参照)。
【0046】
しかも、光源34aの移動範囲(調節範囲)は、仮想平面XYに沿った領域Rとなっている(
図6参照)。このため、支持部材32には光源34aをX、Y方向にのみ平行移動させる構成が備えられればよく、例えば上記の第1部材48及び第2部材50による簡単な構成で実現でき、回動構造等に比べて構造が簡素化され、特に前後方向(Z方向)の寸法も容易に小型化でき、低コスト化も可能となる。
【0047】
さらに、光源34aが点光源であることから、仮想平面XYに沿った範囲で位置調整された場合にも、その光は、窓部材62(照射孔64)を通過して円錐状に広がりながら各テーブル16、16a〜16d付近に設定される照射範囲S、S1〜S4へと精度よく到達することになる。
【0048】
一方、上記従来技術では、蛍光灯のような面光源を用いているため、この面光源を仮に上下左右方向に移動させたとしても、その照射範囲の位置はほとんど変化せず、このため、当該従来技術では反射板等に回動機能を付与することで照射方向をある程度調整できるように構成しており、構造が複雑且つ大型なものになっている。
【0049】
なお、光源34aの移動方向である仮想平面XYは、必ずしもX方向及びY方向に沿った平面でなくてもよく、例えば、背凭れ部14(背板22)やベースプレート30の面に沿った平面であってもよく、要は、光源34aの位置調整が所定の仮想平面内での平行移動のみによって行われるものであればよい。
【0050】
照明装置10では、窓部材62(照射孔64)よりも光源34aを小さく構成し、その内側で光源34aを移動させるように構成しているため、支持部材32によって光源34aの位置調整を行った場合であっても、
図3(B)に示されるように、その外観は変化せず、当該椅子12が設置される会場全体の統一性が図られ、会場全体の美観を確保することができる。この際、ベースプレート30の縦長孔42の高さ方向(Y方向)距離と第1部材48の横長孔52の横方向(X方向)距離とで、又は調整ねじ58の頂部寸法と長孔40の内側寸法とで規定される光源34aの移動範囲(調整範囲)内では、光源34aからの光Lが窓部材62(照射孔64)を必ず通過するように構成しておけば、位置決め時に光源34aが誤って窓部材62(照射孔64)から外れることが阻止され、設置現場でのセッティング作業が一層容易になる。
【0051】
さらに、照明装置10では、光源34aによる照射範囲S(S1〜S4)を一旦セッティングして椅子12を設置した後は、着席者は電源スイッチ38をON/OFFするだけで手元の所望の位置を照らすことができるため、操作が簡単であると共に、可動部を持たないことから耐久性も高く、不特定多数が利用するホール等では破損等の防止効果が高く、特に有効である。
【0052】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0053】
例えば、上記実施形態では、
図1に示すように、照明装置10を背板22の幅方向中央部に設置する構成を例示したが、照明装置10は前席12Fに対する後席12Rの位置ずれ等に応じて、背板22の左右側部に寄って設置されても勿論よい。この際、照明装置10の光源34aからの光を、後席12Rのテーブル16に対して右側から照射するように設定すると(例えば、
図1中の照射範囲S、S1参照)、後席12Rの着席者がテーブル16上に置いた自身の右手が影になることを避けることができる。