(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されたヒートポンプ熱源システムにおいては、貯湯タンクの湯切れが生じたときに、ヒートポンプ熱交換器への暖房熱媒体の流通量を減少させて、沸かし上げ運転と暖房運転の同時運転を行なうか、或いは暖房運転を停止して沸かし上げ運転のみを行なうようにしている。
【0006】
ここで、沸かし上げ運転又は暖房運転の単独運転を行なうときには、ヒートポンプ熱交換器において、ヒートポンプの熱媒体と、タンク循環路を流通する温水又は暖房循環路を流通する暖房熱媒体との間で熱交換が行われるが、この熱交換においてはある程度の熱損失が生じる。
【0007】
また、沸かし上げ運転と暖房運転の同時運転を行なうと、ヒートポンプ熱交換器において、ヒートポンプの熱媒体と暖房熱媒体及び温水との間の熱交換に加えて、暖房熱媒体と温水との間でも熱交換が行われる場合があり、この場合には、ヒートポンプ熱交換器における熱損失が増大するという不都合がある。
【0008】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、暖房運転と沸かし上げ運転の実行要求がなされているときに、暖房運転と沸かし上げ運転の同時運転により、ヒートポンプ熱交換器における熱損失が増大することを抑制したヒートポンプ熱源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、
下部に給水管が接続されると共に上部に出湯管が接続され、該給水管から供給される水が貯められる貯湯タンクと、
前記貯湯タンクの下部と上部を接続したタンク循環路と、
前記貯湯タンクの下部に貯まった水を前記タンク循環路を介して前記貯湯タンクの上部に循環させるタンク循環ポンプと、
暖房端末が接続された暖房循環路と、
前記暖房循環路内に暖房熱媒体を循環させる暖房循環ポンプと、
ヒートポンプ循環路を有し、該ヒートポンプ循環路内を循環するヒートポンプ熱媒体を加熱するヒートポンプと、
前記ヒートポンプ循環路と前記タンク循環路と前記暖房循環路の途中に設けられて、前記ヒートポンプ循環路内を循環するヒートポンプ熱媒体と、前記タンク循環路内を循環する湯水及び前記暖房循環路内を循環する暖房熱媒体との間で、熱交換を行なうヒートポンプ熱交換器と、
所定の暖房実行条件が成立しているときに、前記暖房循環ポンプと前記ヒートポンプを作動させることにより、前記暖房循環路内を循環する暖房熱媒体を加熱して前記暖房端末から放熱する暖房運転を行なう暖房制御部と、
所定の沸かし上げ実行条件が成立しているときに、前記タンク循環ポンプと前記ヒートポンプを作動させることにより、前記タンク循環路内を循環する前記貯湯タンクからの湯水を所定の沸かし上げ温度まで加熱する沸かし上げ運転を実行するタンク制御部とを備えたヒートポンプ熱源システムに関する。
【0010】
そして、前記ヒートポンプ熱源システムに、
前記暖房循環路から前記ヒートポンプ熱交換器に流入する暖房熱媒体の温度を検出する暖房熱媒体戻り温度センサと、
前記タンク循環路から前記ヒートポンプ熱交換器に流入する湯水の温度を検出するタンク戻り温度センサと、
前記暖房実行条件と前記沸かし上げ実行条件が共に成立しているときに、前記暖房循環路から前記ヒートポンプ熱交換器に流入する暖房熱媒体の温度と、前記タンク循環路から前記ヒートポンプ熱交換器に流入する湯水の温度との温度差が、所定の判定温度よりも小さいときには、前記暖房運転と前記沸かし上げ運転の同時運転を許可する運転制御部とを備えたことを特徴とする(第1発明)。
【0011】
第1発明によれば、前記運転制御部により、前記暖房実行条件と前記沸かし上げ実行条件が共に成立しているときに、前記暖房循環路から前記暖房循環路から前記ヒートポンプ熱交換器に流入する暖房熱媒体の温度と、前記タンク循環路から前記ヒートポンプ熱交換器に流入する湯水の温度との温度差が、所定の判定温度よりも小さいときには、前記暖房運転と前記沸かし上げ運転の同時運転が許可される。
【0012】
そのため、前記暖房循環路から前記ヒートポンプ熱交換器に流入する暖房熱媒体の温度が、前記タンク循環路から前記ヒートポンプ熱交換器に流入する湯水の温度よりも前記判定温度以上高い状態で、前記暖房運転と前記沸かし上げ運転が同時に実行され、前記ヒートポンプ熱交換器において、前記暖房循環路の暖房熱媒体と前記タンク循環路の湯水との間で熱交換が行われて、前記ヒートポンプ熱交換器における熱損失が増大することを抑制することができる。
【0013】
また、第1発明において、
前記タンク循環路の前記ヒートポンプ熱交換器の上流側と下流側とを連通して、前記ヒートポンプ熱交換器から前記タンク循環路に流出する湯水の一部を、前記タンク循環路の前記ヒートポンプ熱交換器の上流側に戻す湯水還流路と、
前記貯湯タンクから前記タンク循環路に流出する湯水と、前記湯水還流路から前記タンク循環路に流出する湯水の混合比を変更する混合比変更部とを備え、
前記運転制御部は、前記暖房循環路から前記ヒートポンプ熱交換器に流入する暖房熱媒体の温度が、前記タンク循環路から前記ヒートポンプ熱交換器に流入する湯水の温度よりも前記判定温度以上高いときには、前記混合比変更部により前記混合比を変更して、前記暖房循環路から前記ヒートポンプ熱交換器に流入する暖房熱媒体の温度と、前記タンク循環路から前記ヒートポンプ熱交換器に流入する湯水の温度との温度差を減少させる処理を行うことを特徴とする(第2発明)。
【0014】
第2発明によれば、前記暖房循環路から前記ヒートポンプ熱交換器に流入する暖房熱媒体の温度が、前記タンク循環路から前記ヒートポンプ熱交換器に流入する湯水の温度よりも前記判定温度以上高いときには、前記運転制御部により、これらの温度の差を減少させる処理が行われる。そのため、前記ヒートポンプの効率低下を防止して、前記暖房運転と前記沸かし上げ運転の同時運転を行なうことができる状況の範囲を拡大することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、
図1〜
図4を参照して説明する。
図1を参照して、本実施形態のヒートポンプ熱源システムは、貯湯ユニット10、ヒートポンプユニット50、ガス熱源ユニット80、及び、ヒートポンプ熱源システムの全体的な作動を制御するコントローラ150を備えている。
【0017】
貯湯ユニット10は、貯湯タンク11、給水管12、出湯管13等を備えている。貯湯タンク11は内部に湯水を保温して貯め、高さ方向に略等間隔でタンク温度センサ14〜17が設けられている。貯湯タンク11の底部には、作業者の手動操作により開弁される排水弁18が設けられている。
【0018】
給水管12は、一端が給水口30を介して図示しない水道に接続され、他端が貯湯タンク11の下部に接続されて、貯湯タンク11の下部から貯湯タンク11内に水を供給する。給水管12には、貯湯タンク11の内圧が過大になることを防止するための減圧弁19と、給水管12から貯湯タンク11への方向のみの通水を可能にして、貯湯タンク11から給水管12側への湯水の流出を阻止する第1湯側逆止弁20が設けられている。
【0019】
給水管12から分岐した給水バイパス管35は、給湯混合弁21を介して接続箇所Xで出湯管13に連通しており、給湯混合弁21によって、貯湯タンク11から出湯管13に供給される湯水と給水バイパス管35から出湯管13に供給される水との混合比が変更される。
【0020】
給水バイパス管35には、給水バイパス管35に供給される水の温度を検出する給水温度センサ22と、給水バイパス管35を流通する水の流量を検出する水側流量センサ23と、給水バイパス管35から出湯管13への方向のみの通水を可能にして、出湯管13から給水バイパス管35側への湯水の流出を阻止する水側逆止弁24とが設けられている。
【0021】
出湯管13は、一端が給湯口31に接続され、他端が貯湯タンク11の上部に接続されている。貯湯タンク11の上部に貯められた湯水は、出湯管13から給湯口31を介して図示しない給湯栓(台所、洗面所、浴室のカランやシャワー等)に供給される。出湯管13には、貯湯タンク11から出湯管13への方向のみの通水を可能にして、出湯管13から貯湯タンク11側への湯水の流入を阻止する第2湯側逆止弁25と、出湯管13内の湯水の温度を検出する湯温度センサ26と、出湯管13を流通する湯水の流量を検出する湯側流量センサ27とが設けられている。
【0022】
出湯管13の給水バイパス管35との接続箇所Xよりも下流側の途中箇所に、ガス熱源ユニット80が設けられ、貯湯ユニット10には、ガス熱源ユニット80の給湯補助熱源機70をバイパスして、給湯補助熱源機70の下流側と上流側の出湯管13を連通する出湯バイパス管33と、出湯バイパス管33を開閉する出湯バイパス弁29とが設けられている。
【0023】
出湯管13の出湯バイパス管33との分岐箇所Yと給湯混合弁21との間に、給湯混合弁21を介して出湯管13に供給される湯水の温度を検出する混合温度センサ28が設けられ、出湯管13の出湯バイパス管33との合流箇所Zと給湯口31との間に、給湯口31から出湯される湯水の温度を検出する給湯温度センサ32が設けられている。
【0024】
ヒートポンプユニット50及びガス熱源ユニット80と接続された暖房循環路40には、暖房循環路40からヒートポンプユニット50に戻る温水の温度を検出する暖房ヒートポンプ戻り温度センサ45(本発明の暖房熱媒体戻り温度センサに相当する)と、ヒートポンプユニット50により加熱されて暖房循環路40に出湯される温水の温度を検出する暖房ヒートポンプ往き温度センサ46と、ヒートポンプユニット50をバイパスするヒートポンプバイパス路42の下流側での暖房循環路40との接続箇所の直下流部に設けられて、暖房循環路40からの温水とヒートポンプバイパス路42からの温水とが混合された温水の温度を検出する暖房混合温度センサ47とが設けられている。
【0025】
さらに、暖房循環路40側に流通する温水とヒートポンプバイパス路42側に流通する湯水の割合を調節するための暖房側混合弁48が設けられている。また、ヒートポンプユニット50と接続されたタンク循環路41には、貯湯タンク11からタンク循環路41に供給される湯水の温度を検出するタンク下温度センサ34が設けられている。
【0026】
貯湯ユニット10に備えられた各センサの検出信号は、コントローラ150に入力される。また、コントローラ150から出力される制御信号によって、給湯混合弁21、出湯バイパス弁29、及び暖房側混合弁48の作動が制御される。
【0027】
次に、ヒートポンプユニット50は、貯湯タンク11内の湯水をタンク循環路41を介して循環させて加熱すると共に、暖房循環路40内を流通する温水(本発明の暖房熱媒体に相当する)を加熱するものである。ヒートポンプユニット50は、ヒートポンプ循環路52により接続された蒸発器53、圧縮機54、ヒートポンプ熱交換器55(凝縮機)、及び膨張弁56により構成されたヒートポンプ51を有している。
【0028】
蒸発器53は、ファン60の回転により供給される空気とヒートポンプ循環路52内を流通する熱媒体(ハイドロフルオロカーボン(HFC)等の代替フロン、二酸化炭素等、本発明のヒートポンプ熱媒体に相当する)との間で熱交換を行う。圧縮機54は、蒸発器53から吐出された熱媒体を圧縮して高圧・高温とし、ヒートポンプ熱交換器55に送出する。膨張弁56は、圧縮機54で加圧された熱媒体の圧力を開放する。
【0029】
除霜弁61は膨張弁56をバイパスして設けられており、圧縮機54から送出される熱媒体により蒸発器53を除霜する。ヒートポンプ循環路52の膨張弁56の上流側及び下流側、圧縮機54の上流側及び下流側には、ヒートポンプ循環路52内を流通する熱媒体の温度を検出する熱媒体温度センサ62,63,64,65が、それぞれ設けられている。また、蒸発器53には、蒸発器53に吸入される空気の温度を検出する周囲温度センサ67が設けられている。
【0030】
ヒートポンプ熱交換器55はタンク循環路41と接続され、圧縮機54により高圧・高温とされた熱媒体と、タンク循環路41内を流通する湯水との熱交換により、タンク循環路41内を流通する湯水を加熱する。タンク循環路41には、貯湯タンク11内の湯水をタンク循環路41を介して循環させるためのタンク循環ポンプ66が設けられている。
【0031】
貯湯タンク11内の下部に貯まった湯水は、タンク循環ポンプ66によりタンク循環路41に導かれ、ヒートポンプ熱交換器55で加熱されて貯湯タンク11の上部に戻される。タンク循環路41のヒートポンプ熱交換器55の上流側には、タンク循環路41からヒートポンプ熱交換器55に流入する湯水の温度を検出するタンク戻り温度センサ68が設けられている。
【0032】
タンク循環路41のヒートポンプ熱交換器55の下流側には、ヒートポンプ熱交換器55からタンク循環路41に流出する湯水の温度を検出するタンク往き温度センサ69が設けられている。また、ヒートポンプ熱交換器55には、その内部の雰囲気温度を検出する雰囲気温度センサ57が設けられている。
【0033】
タンク循環路41には、タンク循環路41のヒートポンプ熱交換器55の上流側と下流側とを連通して、ヒートポンプ熱交換器55からタンク循環路41に流出する湯水の一部を、タンク循環路41のヒートポンプ熱交換器55の上流側に戻す湯水還流路58と、貯湯タンク11からタンク循環路41に供給される湯水と湯水還流路58からタンク循環路41に流入する湯水の混合比を変更するヒートポンプ混合弁59(本発明の混合比変更部に相当する)とが設けられている。
【0034】
また、ヒートポンプ熱交換器55は暖房循環路40と接続され、圧縮機54により高圧・高温とされた熱媒体と、暖房循環路40内を流通する温水との熱交換により、暖房循環路40内を流通する温水を加熱する。
【0035】
ヒートポンプユニット50に備えられた各センサの検出信号は、コントローラ150に入力される。また、コントローラ150から出力される制御信号によって、圧縮機54、タンク循環ポンプ66、ファン60、及びヒートポンプ混合弁59の作動が制御される。
【0036】
次に、ガス熱源ユニット80は、出湯管13から供給される湯水と、暖房循環路40内を流通する温水を加熱するものである。ガス熱源ユニット80は、給湯バーナ71と給湯バーナ71により加熱される給湯熱交換器72を有する給湯補助熱源機70と、暖房・追焚き用の暖房バーナ76と暖房バーナ76により加熱される暖房熱交換器77を有する暖房補助熱源機75と、追焚き熱交換器87等を備えている。
【0037】
給湯バーナ71及び暖房バーナ76は、図示しないガス供給管から燃料ガスが供給されると共に、図示しない燃焼ファンにより燃焼用空気が供給される。コントローラ150は、給湯バーナ71及び暖房バーナ76に供給する燃料ガスと燃焼用空気の流量を調節して、給湯バーナ71及び暖房バーナ76の燃焼量を制御する。
【0038】
給湯熱交換器72は出湯管13の途中に接続されており、給湯バーナ71の燃焼熱によって、給湯熱交換器72の内部を流通する湯水が加熱される。出湯管13には、上流側から順に、出湯管13の開度を変更する水量サーボ弁93と、出湯管13を流れる湯水の流量を検出する水量センサ88が設けられている。
【0039】
給湯熱交換器72の上流側と下流側は、熱源バイパス管89により連通されており、熱源バイパス管89には、熱源バイパス管89の開度を変更する熱源バイパス弁90が設けられている。出湯管13の給湯熱交換器72の出口付近には熱交出湯温度センサ91が設けられ、出湯管13の熱源バイパス管89との接続箇所の下流側には熱源出湯温度センサ92が設けられている。
【0040】
この構成により、貯湯タンク11から出湯管13に供給される湯の温度が設定給湯温度よりも低いとき(湯切れ状態)に、給水バイパス管35から出湯管13に供給される水が給湯熱交換器72により加熱されて湯となり、熱源バイパス管89からの水と混合されて、設定給湯温度の湯が給湯口31から供給されるようになっている。
【0041】
また、出湯管13は、湯張り管100により、浴槽101に接続された風呂循環路102に連通している。湯張り管100には、湯張り管100を開閉する湯張り弁103と、風呂循環路102から出湯管13への湯の流入を阻止する逆止弁104が設けられている。湯張り弁103を開弁することにより、出湯管13から湯張り管100及び風呂循環路102を介して浴槽101に湯を供給することができる。
【0042】
風呂循環路102には、浴槽101内の湯水を風呂循環路102を介して循環させる風呂循環ポンプ105と、追焚き熱交換器87とが設けられている。追焚き熱交換器87は、追焚き往管107及び追焚き戻管108を介して暖房循環路40に接続されている。追焚き往管107には、追焚き往管107を開閉する追焚き弁109が設けられている。
【0043】
コントローラ150は、風呂循環ポンプ105を作動させて、浴槽101内の湯水を風呂循環路102を介して循環させた状態で、追焚き弁109を開弁し、後述する暖房循環ポンプ111を作動させて暖房循環路40から追焚き往管107及び追焚き戻管108を介して追焚き熱交換器87に温水を循環供給することによって、浴槽101内の湯水を追焚きする。
【0044】
暖房熱交換器77は、暖房循環路40の途中に設けられており、暖房バーナ76の燃焼熱によって、暖房循環路40内を流通する温水を加熱する。暖房循環路40は、暖房熱交換器77の他に、床暖房機200(本発明の暖房端末に相当する)及び温風暖房機210と接続されて温水による熱を供給する。
【0045】
暖房循環路40には、上述したヒートポンプ熱交換器55及び暖房補助熱源機75の暖房熱交換器77と、シスターン110と、暖房循環ポンプ111とが設けられている。また、暖房循環路40は、暖房循環ポンプ111と暖房熱交換器77の間の箇所で低温暖房路112と高温暖房路130とに分岐している。
【0046】
高温暖房路130には温風暖房機210が接続され、低温暖房路112には床暖房機200が接続されている。高温暖房路130と低温暖房路112は、温風暖房機210及び床暖房機200の下流側で合流している。高温暖房路130と温風暖房機210の接続部と暖房熱交換器77の間の箇所で高温暖房路130から分岐してシスターン110に連通する暖房バイパス路113が設けられ、暖房バイパス路113には、暖房バイパス路113の開度を変更する暖房バイパス弁114が設けられている。
【0047】
暖房循環路40の暖房循環ポンプ111の出口付近には、暖房循環ポンプ111から送出される温水の温度を検出する戻り温水温度センサ115が設けられている。また、暖房循環路40の暖房熱交換器77の出口付近には、暖房熱交換器77から送出される温水の温度を検出する往き温水温度センサ116が設けられている。
【0048】
低温暖房路112は、熱動弁120を介して床暖房機200に接続されており、熱動弁120の開閉によって、低温暖房路112から床暖房機200への温水の供給と停止が切替えられる。また、高温暖房路130から温風暖房機210への温水の供給と停止は、温風暖房機210に備えられた熱動弁211の開閉により行われる。床暖房機200を操作するための床暖房リモコン201には、床暖房機200が設置された室内の温度を検出する室温センサ202が接続されている。
【0049】
床暖房リモコン201とコントローラ150は、通信可能に接続され、床暖房リモコン201により設定された目標暖房温度のデータと、室温センサ202による検出温度のデータが、コントローラ150に送信される。
【0050】
熱源リモコン160は、コントローラ150と通信可能に接続されている。熱源リモコン160には、ヒートポンプ熱源システムの運転状態や運転条件の設定状態等を表示する表示器161と、ヒートポンプ熱源システムの運転条件等を設定する操作部162とが備えられている。
【0051】
ヒートポンプ熱源システムの使用者は、熱源リモコン160の操作部162を操作することによって、貯湯タンク11内の湯水の沸かし上げ指示、給湯口31からの給湯温度(設定給湯温度)、浴槽101への給湯温度(設定湯張り温度)等を設定することができる。
【0052】
ガス熱源ユニット80に備えられた各センサの検出信号はコントローラ150に入力される。また、コントローラ150から出力される制御信号によって、給湯バーナ71、暖房バーナ76、熱源バイパス弁90、水量サーボ弁93、湯張り弁103、風呂循環ポンプ105、追焚き弁109、暖房循環ポンプ111、暖房バイパス弁114、及び熱動弁120の作動が制御される。
【0053】
コントローラ150は、図示しないCPU,メモリ等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持されたヒートポンプ熱源システムの制御用プログラムを、CPUで実行することによって、暖房制御部151、タンク制御部152、及び運転制御部153として機能し、ヒートポンプ熱源システムの作動を制御する。
【0054】
暖房制御部151は、床暖房機200から放熱する暖房運転を実行する。タンク制御部152は、貯湯タンク11内の湯水を、熱源リモコン160により設定されている給湯温度(設定給湯温度又は設定湯張り温度)に応じた沸かし上げ温度まで加熱する沸かし上げ運転を実行する。運転制御部153は、暖房運転の実行条件(暖房実行条件)と沸かし上げ運転の実行条件(沸かし上げ実行条件)が共に成立しているときに、暖房運転と沸かし上げ運転の同時運転を許可するか否かを決定する。
【0055】
次に、暖房実行条件と沸かし上げ実行条件が共に成立した場合の処理について、暖房運転の実行中に沸かし上げ実行条件が成立した場合を例として説明する。
【0056】
[同時運転処理の第1実施形態]
先ず、
図2に示したフローチャートに従って、コントローラ150による床暖房機200の暖房運転と貯湯タンク11内の湯水の沸かし上げ運転の同時運転処理の第1実施形態について説明する。
【0057】
図2のSTEP1〜STEP4及びSTEP20〜STEP21は、暖房制御部151による処理である。STEP1で、暖房制御部151は、暖房実行条件が成立しているか否かを判断する。暖房実行条件としては、例えば、(1)使用者により床暖房リモコン201の暖房開始操作がなされたこと、(2)床暖房リモコン201により設定されているタイマ運転の開始時刻になったこと、が設定されている。
【0058】
STEP1で暖房実行条件が成立しているときはSTEP2に進み、暖房制御部151は、暖房側混合弁48により、暖房側混合弁48からヒートポンプバイパス路42側への温水の流通を停止して、ヒートポンプ熱交換器55側に温水を流通させる循環状態とする。
【0059】
続くSTEP3で、暖房制御部151は、暖房循環ポンプ111をON(起動)し、STEP4でヒートポンプ51をONする。これにより、ヒートポンプ熱交換器55において、暖房循環路40内を循環する温水が、ヒートポンプ循環路52内を循環する熱媒体により加熱されて床暖房機200に供給され、床暖房機200による暖房が行なわれる。
【0060】
一方、STEP1で暖房実行条件が成立していないときにはSTEP20に分岐する。そして、暖房制御部151は、STEP20で暖房循環ポンプ111をOFF(停止)し、STEP21でヒートポンプ51をOFFして、STEP1に戻る。
【0061】
次に、STEP5〜STEP9及びSTEP30は、運転制御部153による処理である。運転制御部153は、STEP5で、暖房循環路40からヒートポンプ熱交換器55に流入する温水の温度(以下、暖房戻り温度Thbという)を、暖房戻り温度センサ45により測定する。
【0062】
続くSTEP6で、運転制御部153は、沸かし上げ実行条件が成立しているか否かを判断する。ここで、沸かし上げ実行条件としては、貯湯タンク11が湯切れ状態となっていることが設定されている。貯湯タンク11の湯切れは、(1)給湯補助熱源機70の作動、(2)タンク温度センサ17の検出温度が湯切れ判定温度(例えば、沸かし上げ温度−5℃)以下まで低下、(3)湯温度センサ26の検出温度が湯切れ判定温度以下まで低下、等により判断される。そして、沸かし上げ実行条件が成立しているときはSTEP7に進み、沸かし上げ実行条件が成立していないときにはSTEP1に戻る。
【0063】
STEP7で、運転制御部153は、タンク循環路41からヒートポンプ熱交換器55に流入する湯水の温度(以下、タンク戻り温度Ttbという)を、タンク戻り温度センサ68により測定する。そして、続くSTEP8で、運転制御部153は、暖房戻り温度Thbとタンク戻り温度Ttbの温度差(絶対値)ΔTbが、5℃(本発明の所定の判定温度に相当する)よりも小さいが否かを判断する。
【0064】
そして、温度差ΔTbが5℃よりも小さいときはSTEP30に分岐し、運転制御部153は、暖房運転と沸かし上げ運転の同時運転を許可してSTEP1に戻る。これにより、暖房循環路40からヒートポンプ熱交換器55に流入する温水の温度Thbと、タンク循環路41からヒートポンプ熱交換器55に流入する湯水の温度Ttbとの温度差ΔTbが小さく、ヒートポンプ熱交換器55において、暖房循環路40を流通する温水とタンク循環路41を流通する湯水との間での熱交換による、ヒートポンプ熱交換器55における熱損失の増大の影響が小さいときに限定して、暖房運転と沸かし上げ運転の同時運転が許可される。
【0065】
一方、温度差ΔTbが5℃以上であるときにはSTEP9に進み、運転制御部153は、暖房運転と沸かし上げ運転の同時運転を禁止してSTEP1に戻る。これにより、暖房循環路40からヒートポンプ熱交換器55に流入する温水の温度Thbと、タンク循環路41からヒートポンプ熱交換器55に流入する湯水の温度Ttbとの温度差ΔTbが大きく、ヒートポンプ熱交換器55において、暖房循環路40を流通する温水とタンク循環路41を流通する湯水との間での熱交換による、ヒートポンプ熱交換器55における熱損失の増大の影響が大きいときに、暖房運転と沸かし上げ運転の同時運転が禁止される。
【0066】
ここで、
図4は、給湯補助熱源機70及び暖房補助熱源機75(以下、まとめて熱源機という)への給水温度と熱効率との関係を示したものであり、縦軸が熱源機の熱効率(一次エネルギー効率,%)に設定され、横軸が熱源機への給水温度(熱源機に供給される水の温度、℃)に設定されている。
図4は、熱源機への給水温度が高くなるに従って、熱源機の熱効率が低下することを示している。
【0067】
そして、暖房運転と沸かし上げ運転の同時運転を行なった場合に、給湯補助熱源機70と暖房補助熱源機75を作動させる必要があるときには、給湯補助熱源機70への給水温度は貯湯タンク11の湯切れにより低温(例えば5℃、潜熱回収タイプの熱源機であれば例えば25℃)になるのに対して、暖房補助熱源機75への給水温度(暖房循環路40から暖房補助熱源機75に流入する温水の温度)は30℃程度になる。そのため、暖房補助熱源機75よりも給湯補助熱源機70の方が、熱効率が高くなる。
【0068】
そして、暖房運転と沸かし上げ運転の同時運転を行った場合に、ヒートポンプ熱交換器55において暖房循環路40を流通する温水とタンク循環路41を流通する湯水との間での熱交換が行われた結果、暖房補助熱源機75への給水温度が低下すると共に、給湯補助熱源機70への給水温度が上昇すると、給湯補助熱源機70で使用される燃料ガスの量が減少して、暖房補助熱源機75で使用される燃料ガスの量が増加する。そのため、暖房補助熱源機75及び給湯補助熱源機70のトータルの効率が低下する。
【0069】
[同時運転処理の第2実施形態]
次に、
図3に示したフローチャートに従って、コントローラ150による床暖房機200の暖房運転と貯湯タンク11内の湯水の沸かし上げ運転の同時運転処理の第2実施形態について説明する。
【0070】
図2のSTEP50〜STEP53及びSTEP70〜STEP71は、暖房制御部151による処理である。この処理は、上述した第1実施形態のSTEP1〜STEP4及びSTEP20〜STEP21の処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0071】
次に、STEP54〜STEP59及びSTEP80,STEP81は、運転制御部153による処理である。運転制御部153は、STEP54で、暖房戻り温度Thbを暖房戻り温度センサ45により測定する。
【0072】
続くSTEP55で、運転制御部153は、沸かし上げ実行条件が成立しているか否かを判断する。そして、沸かし上げ実行条件が成立しているときはSTEP56に進み、沸かし上げ実行条件が成立していないときにはSTEP50に戻る。
【0073】
STEP56で、運転制御部153は、タンク戻り温度Ttbをタンク戻り温度センサ68により測定する。そして、続くSTEP57で、運転制御部153は、暖房戻り温度Thbとタンク戻り温度Ttbの温度差(絶対値)ΔTbが、5℃以上であるか否かを判断する。
【0074】
そして、温度差ΔTbが5℃以上であるときはSTEP80に分岐し、温度差ΔTbが5℃よりも小さいときにはSTEP58に進む。STEP80で、運転制御部153は、タンク循環ポンプ66を作動させ、ヒートポンプ混合弁59により、貯湯タンク11からタンク循環路41に供給される湯水の流量と、湯水還流路58からタンク循環路41に環流される湯水の流量との混合比を変更して、温度差ΔTbを減少させる温調制御を行い、STEP58に進む。
【0075】
STEP58で、運転制御部153は、暖房戻り温度Thbとタンク戻り温度Ttbとの温度差ΔTbが5℃未満であるか否かを判断する。そして、温度差ΔTbが5℃未満であるときはSTEP81に分岐し、運転制御部153は、暖房運転と沸かし上げ運転の同時運転を許可してSTEP50に戻る。
【0076】
これにより、暖房循環路40からヒートポンプ熱交換器55に流入する温水の温度Thbと、タンク循環路41からヒートポンプ熱交換器55に流入する湯水の温度Ttbとの温度差ΔTbが小さく、ヒートポンプ熱交換器55において、暖房循環路40を流通する温水とタンク循環路41を流通する湯水との間での熱交換による、ヒートポンプ51の効率低下の影響が少ないときに限定して、暖房運転と沸かし上げ運転の同時運転が許可される。
【0077】
一方、温度差ΔTbが5℃以上であるときにはSTEP59に進み、運転制御部153は、暖房運転と沸かし上げ運転の同時運転を禁止してSTEP50に戻る。これにより、第1実施形態と同様に、暖房循環路40からヒートポンプ熱交換器55に流入する温水の温度Thbと、タンク循環路41からヒートポンプ熱交換器55に流入する湯水の温度Ttbとの温度差ΔTbが大きく、ヒートポンプ熱交換器55において、暖房循環路40を流通する温水とタンク循環路41を流通する湯水との間での熱交換による、ヒートポンプ51の効率低下の影響が大きいときに、暖房運転と沸かし上げ運転の同時運転が禁止される。
【0078】
なお、本実施形態では、本発明の暖房端末として床暖房機200を例に説明したが、温風暖房機210を本発明の暖房端末として、本発明を適用してもよい。
【0079】
また、本実施形態では、給湯補助熱源機70及び暖房補助熱源機75として、ガスバーナを加熱手段とする熱源機を示したが、灯油バーナ等の他の種類の加熱手段を用いる熱源機を用いてもよい。