(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5712206
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】予圧調整用リニアガイドシステム
(51)【国際特許分類】
F16C 29/12 20060101AFI20150416BHJP
F16C 29/06 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
F16C29/12
F16C29/06
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-512935(P2012-512935)
(86)(22)【出願日】2009年5月28日
(65)【公表番号】特表2012-528284(P2012-528284A)
(43)【公表日】2012年11月12日
(86)【国際出願番号】KR2009002841
(87)【国際公開番号】WO2010137755
(87)【国際公開日】20101202
【審査請求日】2012年1月24日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513292835
【氏名又は名称】コリアロボテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュ ミン ジン
(72)【発明者】
【氏名】オー ヨン チョル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヨン シク
(72)【発明者】
【氏名】チョ ス ジュン
【審査官】
中村 則夫
(56)【参考文献】
【文献】
特表平09−512078(JP,A)
【文献】
特開昭58−081215(JP,A)
【文献】
実開昭52−013343(JP,U)
【文献】
特開平10−094936(JP,A)
【文献】
特開2008−232267(JP,A)
【文献】
特開昭63−158319(JP,A)
【文献】
特開平09−196062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースボディ、および互いに並んで配置されて前記ベースボディに設置される一対のベースレールを備えるベース部材と、スライドボディ、および前記ベース部材の一対のベースレールにそれぞれ対向するように配置されて前記スライドボディに設置される一対のスライドレールを備え、前記ベースレールと前記スライドレールとの間に配置されるボールベアリングによって前記スライドレールが前記ベースレールに対して摺動することにより前記ベース部材に対してスライド可能に設置されるスライド部材と、前記ベースレールと前記スライドレールとの間に配置されたボールベアリングに対する予圧を調整することができるように、前記一対のスライドレールのいずれか一方と前記スライドボディとの間に設置され、前記スライドボディに対する前記スライドレールの間隔を調節する予圧調整部とを含んでなり、前記予圧調整部は、テーパー状をして前記スライドボディと前記スライドレールとの間に長手方向に配置される円錐型ウェッジと、前記円錐型ウェッジを長手方向に進退させる調節ねじとを備え、前記円錐型ウェッジの進退に応じて前記スライドボディと前記スライドレール間の間隔を調節することを特徴とする、予圧調整型リニアガイドシステム。
【請求項2】
前記予圧調整部は、前記スライドボディと前記スライドレール間の長手方向の両端にそれぞれ一つずつ2つが互いに対向するように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の予圧調整型リニアガイドシステム。
【請求項3】
前記ベースボディはアルミニウム素材で形成され、両側にレール結合溝を有し、
前記ベースレールはアルミニウムより剛性が大きい耐磨耗性材料で形成されて前記レール結合溝に嵌合され、
前記スライドボディはアルミニウム素材で形成され、両側にレール結合溝を有し、前記スライドレールはアルミニウムより剛性が大きい耐磨耗性材料で形成され、前記レール結合溝に嵌合されることを特徴とする、請求項1に記載の予圧調整型リニアガイドシステム。
【請求項4】
前記ベースレールは、前記ベース部材のレール結合溝に金属接着剤を充填し、該レール結合溝に組み立てられる特徴とする、請求項3に記載の予圧調整型リニアガイドシステム。
【請求項5】
前記ボールベアリングは、前記ベースレールと前記スライドレールに対して直接接触して転がり運動をするスチールボール、および前記スチールボールの直径より小さい直径を有し、合成樹脂素材で形成されて潤滑特性を持つ樹脂ボールから構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の予圧調整型リニアガイドシステム。
【請求項6】
前記スチールボールと前記樹脂ボールは互いに交互に配置されることを特徴とする、請求項5に記載の予圧調整型リニアガイドシステム。
【請求項7】
前記ベースレールと前記スライドレールにはそれぞれ前記スチールボールが配置される定着溝が設けられ、該定着溝には周囲に比べて突出した摩擦支持部が設けられ、該摩擦支持部には前記スチールボールの曲面に対応する加工支持面が設けられることを特徴とする、請求項5に記載の予圧調整型リニアガイドシステム。
【請求項8】
前記スライド部材に設置され、前記ベース部材に対して前記スライド部材を駆動するアクチュエータと前記スライド部材とが容易に結合されるようにするカップリングをさらに含み、
前記カップリングは、前記スライド部材に結合されるベース、および該ベースに回転可能に結合されるボールナットを含むことを特徴とする、請求項1に記載の予圧調整型リニアガイドシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ、半導体、ロボット、工作機械、測定および精密機器等の多岐の産業分野にわたって高精度の直線位置制御のために使用されるリニアガイドシステムに関し、より具体的には、ベース部材とスライド部材を互いに直線運動でスライド可能に設置し、ベース部材とスライド部材との間にボールスクリュー、油空圧シリンダー、リニアモーターなどの直線移送アクチュエータを設置することにより、該アクチュエータによってベース部材に対してスライド部材を直線移送する、予圧調整用リニアガイドシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ディスプレイ、半導体、ロボット、工作機械、精密機器などの全産業分野にわたって高精度の直線位置制御のために直線移動型アクチュエータが使用されており、このような直線移動型アクチュエータの直線位置制御を案内するリニアガイド手段として、例えばLMガイド(登録商標)を適用した直線移送機構を挙げることができる。このような直線移送機構を用いてシステムを構成する場合には、LMガイドの自重およびサポートプレートの重量の加重化によりシステムの大きさ(体積)が増大してコストの上昇およびシステムの速度制限が生じた。
【0003】
この種の直線移送機構を用いたシステムは、適用分野に応じて毎回それに合わせて設計および製作されることにより互換性がなく、その結果として製造コストが高いという問題点があった。
【0004】
また、このような直線移送機構システムは、重量が大きいので、装備の適用には限界があってその使用が制限されるという問題点があった。
【0005】
最近、より効率的な直線移送機構としてリニアガイド手段が開示されているが、主に受け台機能のベース部材、そのベース部材にスライド可能に設置されるスライド部材、およびそのスライド部材をベース部材に対して駆動するアクチュエータから大きく構成される。
【0006】
前記ベース部材と前記スライド部材は、両側にスライド移動案内のためのガイド部が設けられる。そのガイド部には、スライド移動案内の際に摩擦を最小化し且つ直線運動を柔らかくガイドすることができるように無限軌道上に移動する多数のスチールボールが内蔵されるベアリングを含むLMブロックが設置される。
【0007】
このような従来のリニアガイド手段は、次の問題点がある。
【0008】
一つ目、ベース部材とスライド部材のガイド部に設置されるボールベアリングの予圧を調整することができないという問題点がある。すなわち、ボールベアリングのスチールボールは、初期組み立ての際に予圧の等級に応じて選択されたサイズのスチールボールが嵌合されて組み立てられるが、使用中に磨耗によって変わる予圧を調整することができないという問題点がある。このようにボールベアリングの予圧を使用中に調整することができないため、使用中に低下する作動精度を補正することができないという問題点がある。これにより、振動および騒音が発生し、使用寿命が短縮されるという欠点が発生する。
【0009】
二つ目、耐磨耗性を確保するために、ベース部材とスライド部材を、剛性が大きく耐磨耗性に優れた重い金属材質で製作することにより、リニアガイド手段を適用することが可能な範囲が制限されるという欠点があった。
【0010】
三つ目、ボールベアリングは、
図14に示すように、同じ直径のスチールボールが使用されるが、作動の際にスチールボール間の摩擦が発生して磨耗が加速化し、騒音および振動が発生するという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述したような問題点を解決するためのもので、その目的は、ボールベアリングに作用する予圧を調整することが可能な構造を持つ予圧調整用リニアガイドシステムを提供することにより、ボールベアリングの磨耗を減少させ、騒音および振動の発生を防止するうえ、高精度の直線運動ガイドを可能にする、予圧調整型リニアガイドシステムを提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、ボールベアリングの磨耗を防止することにより、使用寿命が大幅に増加する予圧調整型リニアガイドシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、ベースボディ、および互いに並んで配置されて前記ベースボディに設置される一対のベースレールを備えるベース部材と、スライドボディ、および前記ベース部材の一対のベースレールにそれぞれ対向するように配置されて前記スライドボディに設置される一対のスライドレールを備え、前記ベースレールと前記スライドレールとの間に配置されるボールベアリングによって前記スライドレールが前記ベースレールに対して摺動することにより前記ベース部材に対してスライド可能に設置されるスライド部材と、前記ベースレールと前記スライドレールとの間に配置されたボールベアリングに対する予圧を調整することができるように、前記一対のスライドレールのいずれか一方と前記スライドボディとの間に設置され、前記スライドボディに対する前記スライドレールの間
隔を調節する予圧調整部とを含んでなり、前記予圧調整部は、テーパー状をして前記スライドボディと前記スライドレールとの間に長手方向に配置される円錐型ウェッジと、前記円錐型ウェッジを長手方向に進退させる調節ねじとを備え、前記円錐型ウェッジの進退に応じて前記スライドボディと前記スライドレール間の間
隔を調節することを特徴とする、予圧調整型リニアガイドシステムを提供する。
【発明の効果】
【0014】
このような本発明の予圧調整型リニアガイドシステムは、ボールベアリングの予圧を使用中に調整することを可能にすることにより、ボールベアリングの無駄な磨耗を防止する効果がある。
【0015】
また、本発明は、ボールベアリングの不適な予圧により発生する騒音および振動を防止し、高精度で直線運動をガイドする予圧調整用リニアガイドシステムを提供する効果がある。
【0016】
また、本発明は、ベアリングの無駄な磨耗を防止することにより、使用寿命が大幅に延長された予圧調整型リニアガイドシステムを提供する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施例に係る予圧調整型リニアガイドシステムの斜視図である。
【
図2】
図1に示した予圧調整型リニアガイドシステムの分解斜視図である。
【
図3】
図1に示した予圧調整型リニアガイドシステムの側断面図である。
【
図7】
図1に示したボールベアリングの構造を示す図である。
【
図8】
図1に示した予圧調整部を説明するための分解斜視図である。
【
図9】
図1に示した予圧調整型リニアガイドシステムの平断面図である。
【
図14】従来のボールベアリングの構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照しながら、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施例に係る予圧調整型リニアガイドシステムの斜視図、
図2は
図1に示した予圧調整型リニアガイドシステムの分解斜視図である。
【0020】
図1および
図2を参照すると、本実施例の予圧調整型リニアガイドシステムは、ベース部材100、スライド部材200および予圧調整部600を含んでなる。
【0021】
図3および
図4を参照すると、ベース部材100は、ベースボディ101、および該ベース体101に設置される一対のベースレール151、152を備える。ベースボディ101は、アルミニウム素材を押出成形してアルミニウムプロファイルとして軽く形成される。ベースボディ101の両側には長手方向にレール結合溝111、121が設けられ、ベースレール151、152はそれぞれレール結合溝111、121に嵌合される。ベースレール151、152はアルミニウムより剛性が大きい耐磨耗性材料で冷間圧延または引抜方法によって製作される。
【0022】
図5および
図6を参照すると、ベースボディ101のレール結合溝111、121には金属接着剤を充填した後、ベースレール151、152を嵌合する。
【0023】
図3及び
図4を参照すると、スライド部材200は、スライドボディ201、および該スライドボディ201に設置される一対のスライドレール251、252を備える。スライドボディ201は、アルミニウム素材を押出成形してアルミニウムプロファイルとして軽く形成される。ベースボディ201の両側には長手方向にレール結合溝211、221が設けられ、スライドレール152はレール結合溝121に嵌合される。スライドレール251、252はアルミニウムより剛性が大きい耐磨耗性材料で冷間圧延または引抜方法によって製作される。
【0024】
図5および
図6を参照すると、スライドボディ201のレール結合溝211、221には金属接着剤を充填した後、スライドレール151、152を嵌合する。
【0025】
このように構成されたスライド部材200は、ベース部材100の直線移動ガイド部110、120同士の間に配置される。この際、ベース部材100の一対のベースレール151、152とスライド部材200の一対のスライドレール251、252はそれぞれお互い対向するように配置される。この際、ベースレール151、152とスライドレール251、252との間には多数のボールからなるボールベアリング300が配置され、該ボールベアリング300はスライドレール251、251がベースレール151、152に対して自然に摺動するようにする。
【0026】
図3を参照すると、ベース部材100のベースボディ101とスライド部材200のスライドボディ201とが互いに対向する中央部分には、アクチュエータの組み立てられるアクチュエータ収容空間が設けられる。
【0027】
アクチュエータとしては、リニアモーター(L.M)やボールスクリュー(B.S)、エアシリンダ(A.C)、タイミングベルト/プーリー機構などの多様な装置が使用できる。このアクチュエータ収容空間に、使用しようとする用途に応じる適切なアクチュエータを設置して使用するだけでよいので、本発明は高い互換性を持つ利点がある。
【0028】
図2および
図4を参照すると、スライドボディ201には、長手方向に貫通する2つのトラック410が設けられている。ベースレール151、152とスライドレール251、252に設けられた定着溝153、253は、トラック410に連結され、多数のボールからなるボールベアリング300の経路として無限軌道を形成する。
【0029】
図2に示すように、スライドボディ201の長手方向の両端にはそれぞれボールガイドカバー400が結合される。ボールガイドカバー400には定着溝153、253とトラック410とを連結するトラック420が設けられ、これによりボールベアリング300の離脱を防止し且つ無限軌道の走行を連結する。ボールガイドカバー400の外側にダストカバー500が組み立てられる。
【0030】
この際、
図3に示すように、スライド部材200のトラック410の中心点の高さと、ベースレール151、152およびスライドレール251、252の定着溝153、253の中心点の高さとはお互い異なるようになっており、これらを互いに連結して案内するボールガイドカバー400のトラック420は底面に対して傾くようになっている。このようにボールガイドカバー400のトラック420を傾かせて、定着溝153、253の高さとスライド部材200のトラック210の高さとを異にすると、アクチュエータ収容空間を広く確保しながらもボールガイドカバー400のトラック420の回転半径を大きくすることができる。すなわち、ボールガイドカバー400のトラック420の回転半径を大きくすることにより、ボールベアリング300の円滑な転がり運動を可能にしながらも、全体システムの大きさは小型化することができるという利点がある。
【0031】
一方、ボールベアリング300のボールは、ベースレール151、152の定着溝153とスライドレール251、252の定着溝253に直接接触して転がり運動をするスチールボール310、およびこれらのスチールボール310の直径より小さい直径を有し、合成樹脂素材で形成されて潤滑特性を持つ樹脂ボール320から構成される。
図7に示すように、スチールボール310と樹脂ボール320は互いに交互に配置される。樹脂ボール320は、スチールボール310の回転方向と反対方向に回転しながら、スチールボール310同士の間に発生しうる摩擦抵抗を極小化することにより、騒音および振動を防止するうえ、円滑な転がり運動を提供する。すなわち、スチールボール310は定着溝153、253に直接接触して直接荷重を受けるようになり、樹脂ボール320はスチールボール320より直径が小さいので、荷重を受けていない状態でスチールボール320間の摩擦を緩和させる。
【0032】
予圧調整部600は、一対のスライドレール251、252のいずれか一方251とスライドボディ202との間に設置され、スライドボディ202に対するスライドレール251の間
隔を調節する。このような方法で、予圧調整部600はベースレール151、152とスライドレール251、252との間に配置されたボールベアリング300に対する予圧を調整する。
【0033】
図8〜
図12を参照すると、予圧調整部600は円錐型ウェッジ620、621と調節ねじ640、641を備える。
【0034】
スライドボディ202の直線移動ガイド部210に設けられたレール結合溝211とスライドレール251とが向かい合う境界面には、その境界面を長手方向に貫通する段差組立孔213が設けられている。その段差組立孔213から長手方向の両端に進むほど内径が増加するように内側面が傾いた案内支持面212が、レール結合溝221の両側にそれぞれ設けられる。スライドレール251には案内支持面212と向かい合う面に、案内支持面212と同様に傾いた傾斜案内面255が形成される。
【0035】
段差組孔213の両端にはそれぞればね610、611が挿入され、そのばね610の外側に円錐形ウェッジ620、621がそれぞれ嵌められる。円錐型ウェッジ620、621は、テーパー状をして案内支持面212と傾斜案内面255との間に長手方向に配置される。円錐型ウェッジ620、621にはそれぞれ支持インサート630、631が外嵌され、その支持インサート630、631には支持インサート630、631の回転を防止する固定ピン635が組み立てられる。調節ねじ640、641はボールガイドカバー400に設けられたねじ孔450に螺合し、支持インサート630、631を貫通して円錐型ウェッジ620の進退を調整する。
【0036】
予圧調整部600は、
図12に示すように、調節ねじ640のねじ回転によって円錐型ウェッジ620を前進させると、このウェッジがスライドレール251の傾斜案内面255を加圧前進することによりスライドレール251を外側に押す。
【0037】
結果として、ベースレール151、152とスライドレール251、252との間隔を狭めてボールベアリング300のスチールボール310の予圧を簡便に調節する
。
【0038】
一方、調節ねじ640の前面に予圧量指示目盛645を表示し、調節ねじ640のねじ回転によって、予圧量を確認しながら調節するようになっている。
【0039】
ベース部材100のベースレール150、151とスライド部材200のスライドレール252は、それぞれのレール結合溝111、121、221に金属接着剤を充填し、接合して組み立てた状態でカーリング(curling)加工によって強固に結束する。
【0040】
この際、スライド部材200の一側のレール結合溝211に結合して予圧調整部600によって移動調節される一側のスライドレール251は、金属接着剤による接着結合構造が排除されるのは当たり前である。
【0041】
また、ベースレール151、152とスライドレール251、252にそれぞれ設けられた定着溝153、253は、長手方向に沿って内側面にボールベアリング300のスチールボール310の曲面に対応する加工支持面155、255が加工された摩擦支持部54、254を突設してスチールボール310との摩擦力を最小化するように構成される。
【0042】
また、ベース部材100の長手方向の両端には、スライド部材200の直線運動の際に直線移動距離を制限するストッパー手段700を備えることができる。
【0043】
このようなストッパー手段700は、ベース部材100の中央の前、後端にボルトで組み立てられたサポートプレート710と、該サポートプレートに螺合するショックアブソーバ720およびストッパーボルト730から構成される。
【0044】
このようなストッパー手段700は、スライド部材200がショックアブソーバ720によって緩衝されながら、ストッパーボルト730の先端に組み立てられたダンパーによって止められるようになっている。ストッパーボルト730の前、後進移動によってスライド部材200の直線移動距離が制限される。
【0045】
図13を参照すると、サポートプレート710には、ボールスクリュー(B.S)取付用軸孔を構成してボールスクリューの取付用としても活用することができる。
【0046】
図3を参照すると、スライド部材200の中央結合孔250には直線移動型アクチュエータの簡便な結合のためのカップリング800が構成される。
【0047】
このようなカップリング800は、中央結合孔250に組み立てられるベース810と、該ベース810に回転可能に結合したボールナット820と、該ボールナット820に螺合し、アクチュエータを螺合させるクランピングボルト830とから構成される。
【0048】
ボールナット820は、ベース810に対して回転可能に結合されているので、アクチュエータの直線運動軌跡とスライド部材200の直線運動軌跡とが微細にずれても、ボールナット820がベース810に対して回転しながらアクチュエータの捩れを補正することができるという利点がある。
【0049】
未説明符号としての、B/Tは各構成部材の締結組み立てのためのボルトを示し、460はボールガイドカバー400にねじで組み立てられてボールベアリング300のボールの離脱を遮断する支持カバーを示す。
【0050】
以下、上述したように構成された予圧調整型リニアガイドシステムの作動について説明する。
【0051】
まず、本実施例の予圧調整型リニアガイドシステムは、ベースレール151、152とスライドレール251、252を除いたベース導体101およびスライドボディ201をアルミニウム材質にすることにより、全体重量の軽量化を極大化することができる。これにより、本実施例のリニアガイドシステムによる直線移送を高速化して使用者の生産性を向上させることができるという利点がある。
【0052】
また、
図3に示すように、ボールガイドカバー400のトラック420を傾かせることにより、アクチュエータ収容空間を広く確保することができる。結果として、予圧調整型リニアガイドシステムの全体サイズを小さくしスリム化することにより、重量および生産費用を減らすことができるという利点がある。
【0053】
また、スライド部材200とベース部材100との間のアクチュエータ設置空間に多様な種類のアクチュエータを取り替えて設置することができるので、多様な用途と使用者の目的に応じて汎用的に使用することができるという利点がある。このようにアクチュエータ間の互換性が確保されるので、毎回各装備に応じて専用リニアガイドシステムを設計および製作するのではなく、汎用に設計製作することにより、製作コストを飛躍的に減らすことができるという利点がある。
【0054】
また、多数のスチールボール310と樹脂ボール320からボールベアリング300を構成することにより、騒音および振動を減らし、ベース部材100に対するスライド部材200の柔らかい直線運動を提供するという利点がある。
【0055】
しかも、ボールベアリング300の多数のスチールボール310は、定着溝153、253に長手方向に沿って突設された加工支持面155、255がボールベアリング300のスチールボール310を支持してボールベアリング300のスチールボール310間の摩擦力を最小化することにより、スライド部材200のスライド移動をさらに柔らかく提供することができる。
【0056】
一方、本発明に係る予圧調整型リニアガイドシステムは、使用中にボールベアリング300が磨耗しても、ボールベアリング300の予圧を予圧調整部600によって調節することにより使用寿命を延長することができる。よって、従来のように使用過程で磨耗したボールベアリング300のスチールボール310を取り替える作業を行う必要がないという利点がある。
【0057】
このようなボールベアリング300の予圧調整により、スライド部材200がベース部材100に対して移動する転がり移動力を調節するので、スライド部材200の直線運動を精密に制御することができる。