【文献】
NTT DoCoMo, T-Mobile,CSG with limited open access[online], 3GPP TSG-RAN WG2#60 R2-075150,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_60/Docs/R2-075150.zip>,2007年11月 9日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
WCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)やLTE(Long Term Evolution)に代表されるセルラーシステムに超小型無線基地局(以下、「フェムトセル基地局(HNB:Home Node B)」と呼ぶ)を導入することが検討されている。フェムトセル基地局は、半径数十メートル程度のエリア(以下、「フェムトセル」と呼ぶ)をカバーできる。フェムトセル基地局は、例えば、比較的伝搬環境の悪い一般家庭やオフィス等の建物内に設置される。このように、セルラーシステムでは伝搬環境が悪いエリアであっても、フェムトセルエリア内の無線伝送の高速化が期待される。
【0003】
既存のセルラーシステムにあっては、都市部では、従来の無線基地局(以下、「マクロセル基地局(MNB:Macro Node B)」と呼ぶ)が通信事業者保有のシステム周波数バンドに含まれる全キャリア周波数を使用していると想定される。このため、フェムトセル基地局向けの専用キャリア周波数の確保は困難である。この場合、フェムトセル基地局は、既存のマクロセル基地局と周波数を共用する形態にて導入される。また、フェムトセル基地局の契約者又は登録者のみがそのフェムトセル基地局を使って通信可能なCSG(Closed Subscriber Group)モードによる、アクセス制限を加えた運用がなされている。なお、CSGモードは、アクセス制限モードと呼ばれることがある。
【0004】
これらの条件に基づいてフェムトセル基地局を既存のセルラーシステムに導入すると、フェムトセル基地局から既存のマクロセル基地局に接続している無線端末(MUE:Macro User Equipment)への下り無線回線と、既存のマクロセル基地局からフェムトセル基地局に接続している無線端末(HUE:Home User Equipment)への下り無線回線との間の相互干渉が発生し得る。なお、マクロセル基地局に接続している無線端末は「マクロセルユーザ」と呼ばれることがあり、フェムトセル基地局に接続している無線端末は「フェムトセルユーザ」と呼ばれることがある。
【0005】
また、フェムトセル基地局からアクセス認可を受けていないマクロセルユーザが当該フェムトセル基地局の設置された家屋等に滞在する場合、フェムトセル基地局からの下り無線信号によるマクロセルユーザへの干渉が最も大きい。フェムトセル基地局が設置された家屋等に滞在するマクロセルユーザが当該フェムトセル基地局からアクセス認可を受けていない場合、当該マクロセルユーザは「ビジターマクロセルユーザ(vMUE:visitor MUE)」、「ゲストマクロセルユーザ」又は「カスタマーマクロセルユーザ」と呼ばれる。
【0006】
図13は、マクロセル基地局のカバーエリア(以下、「マクロセル」と呼ぶ)内にフェムトセル基地局が設置された無線システムの構成の一例を示す図である。マクロセル基地局(MNB)100は、セル半径が0.5キロメートル〜数キロメートル程度の広域エリアをカバーするマクロセル101を形成する。
図13に示す無線システムでは、マクロセル101内のマクロセルユーザ(MUE)102は、WCDMA、LTE又はWLAN等の無線回線を利用してマクロセル基地局100と通信を行う。また、マクロセル101内の任意の位置にフェムトセル基地局(HNB)110が設置され、フェムトセル基地局110と通信可能な範囲であるフェムトセル111が形成されている。フェムトセル基地局110の設置者又は登録者である無線端末は、フェムトセル111内に位置し、かつ、フェムトセル基地局110からの下り無線信号の受信品質が一定以上である場合に、フェムトセルユーザ(HUE)112としてフェムトセル基地局110と通信を行う。また、フェムトセル基地局110からアクセス認可を受けていない(フェムトセル基地局110に登録されていない)がフェムトセル111内に位置するビジターマクロセルユーザ(vMUE)113は、マクロセル基地局100と通信を行う。なお、マクロセル基地局(MNB)、フェムトセル基地局(HNB)、マクロセルユーザ(MUE)及びフェムトセルユーザ(HUE)は、同一の通信方式(WCDMA/UMTS、CDMA2000(商標)、LTE、LTE−Advanced、WLAN、WiMAX(商標)等)で通信を行っているものとする。なお、LTE対応のマクロセル基地局は「MeNB」と呼ばれることがあり、LTE対応のフェムトセル基地局は「HeNB」と呼ばれることがある。また、無線基地局はアクセスポイント(AP)と呼ばれることがあり、フェムトセル基地局はフェムトアクセスポイント(FAP)と呼ばれることがある。
【0007】
特許文献1には、フェムトセル基地局(ホームセル用無線基地局)からマクロセルユーザ(移動局)への干渉の低減方法として、フェムトセル基地局の状態を、フェムトセル基地局へのアクセスを許可する移動局を制限する限定状態(CLOSED状態)及び移動局によるフェムトセル基地局へのアクセス許可を制限しない準開放状態(Semi−OPEN状態又はHybrid状態)のいずれかに、所定条件に基づいて切り替える方法が開示されている。具体的には、フェムトセル基地局にアクセスする移動局の数、又は、当該フェムトセル基地局に対するアクセス権が付与されている移動局の数が所定数を上回った場合に限定状態に切り替え、当該移動局の数が所定数を下回った場合に準開放状態に切り替える方法が開示されている。
【0008】
非特許文献1には、フェムトセル基地局からマクロセルユーザへの干渉の低減方法として、フェムトセル基地局の近傍にマクロセルユーザの存在を検出し、マクロセルユーザを検出した場合にはフェムトセル基地局の送信電力を調整する方法が開示されている。マクロセルユーザの存在を検出する際には、フェムトセル基地局が上りの干渉受信電力の測定を行い、ノイズ電力に対する干渉受信電力(IoT:Interference over Thermal)が所定値以上の場合に、当該フェムトセル基地局の近傍にマクロセルユーザが存在すると判定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に開示された方法によれば、フェムトセル基地局が準開放状態であれば、ビジターマクロセルユーザは当該フェムトセル基地局へのアクセスが許可される。但し、フェムトセル基地局にアクセス可能な移動局の数には上限が設定されている。このため、準開放状態のフェムトセル基地局周辺に多数のマクロセルユーザが存在する場合、多数のマクロセルユーザが当該フェムトセル基地局への接続に切り替えると、アクセスユーザ数の制限により、フェムトセル基地局は準開放状態から限定状態に切り替えられる。限定状態のフェムトセル基地局は、ビジターマクロセルユーザのアクセスを許可できない。このため、一般的に、ビジターマクロセルユーザは、現在使用中のキャリア周波数とは異なるキャリア周波数の周辺セルをサーチ(異周波セルサーチ)して異周波ハンドオーバを試行する。
【0012】
図14は、ビジターマクロセルユーザが異周波セルサーチを行って異周波ハンドオーバを行う際の概念図である。
図14に示した例では、ビジターマクロセルユーザvMUEが、全キャリア周波数f1〜f4の内、現在使用中のキャリア周波数f1とは異なるキャリア周波数f2〜f4の周辺セルをサーチ(異周波セルサーチ)する。ビジターマクロセルユーザvMUEは、フェムトセル基地局HNB#1,HNB#2によって用いられていないキャリア周波数f3又はf4のマクロセルに異周波ハンドオーバする。
【0013】
しかし、異周波ハンドオーバが完了するまでの間、ビジターマクロセルユーザはフェムトセル基地局からの下り無線信号によって大きな干渉を受けてしまう。さらに、自局フェムトセル基地局及び周辺フェムトセル基地局を含むフェムトセル基地局群によって、システムで利用可能なキャリア周波数の全てが使用されている場合、ビジターマクロセルユーザは、異周波ハンドオーバを行えないためにフェムトセル基地局による干渉を受け続け、最悪の場合、通信切断されてしまう。
【0014】
また、非特許文献1に開示された方法によれば、フェムトセル基地局の近傍にマクロセルユーザの存在を検出した時にフェムトセル基地局の送信電力を低減する。このため、当該フェムトセル基地局からの下り無線信号によるマクロセルユーザへの干渉の程度を低減できる。当該検出したマクロセルユーザがビジターマクロセルユーザの場合、すなわち、当該マクロセルユーザが家屋等に滞在している場合、マクロセル基地局からの下り無線回線の希望波電力は、自由空間の伝搬損(「パスロス」ともいう)に加えて家屋の外壁による侵入損が加わるため急激に減衰する。しかし、ビジターマクロセルユーザが受けるフェムトセル基地局からの干渉電力は家屋の外壁による侵入損の影響を受けない。このため、フェムトセル基地局が送信電力の低減を行っても、ビジターマクロセルユーザはフェムトセル基地局からの下り無線信号によって大きな干渉を受ける可能性がある。このように、フェムトセル基地局の電力低減による干渉制御は、ビジターマクロセルユーザにとっては不十分であるという可能性がある。
【0015】
以上説明したように、特許文献1に開示された方法及び非特許文献1に開示された方法のいずれの方法によっても、ビジターマクロセルユーザはフェムトセル基地局からの下り無線信号による干渉を受けるため、当該ビジターマクロセルユーザのスループットが低下してしまう。
【0016】
本発明の目的は、ビジターマクロセルユーザのスループットを向上できるフェムトセル基地局及びアクセスモード切替方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、複数のキャリア周波数のいずれかを用いて無線端末と通信可能なマクロセル基地局と、前記マクロセル基地局が前記無線端末と通信可能なマクロセル内に設けられ、特定の無線端末のみがアクセス可能なアクセス制限モード又はアクセスが前記特定の無線端末に制限されないハイブリッドモードで、前記複数のキャリア周波数のいずれかを用いて無線端末と通信可能な少なくとも1つのフェムトセル基地局と、を備えた無線通信システムにおける前記フェムトセル基地局であって、無線端末からの上り総受信電力を測定する測定部と、前記上り総受信電力
、又は前記上り
総受信電力から導出可能な上り干渉信号電力
、のいずれか一方に基づいて、前記アクセス制限モードで運用されているフェムトセル基地局の近傍に位置するビジターマクロセル無線端末を検出する検出部と、前記検出部が前記ビジターマクロセル無線端末を検出すると、当該フェムトセル基地局を前記アクセス制限モードから前記ハイブリッドモードに切り替える制御部と、を備えたフェムトセル基地局を提供する。
【0018】
上記フェムトセル基地局では、前記検出部は、前記上り総受信電力又は前記上り干渉信号電力が所定値以上となった時点から所定時間以上連続して前記所定値以上の状態が続くとき、前記ビジターマクロセル無線端末を検出したと認識する。
【0019】
上記フェムトセル基地局は、周辺フェムトセル基地局を対象として全キャリア周波数のセルサーチを行うセルサーチ部を備え、前記検出部は、前記セルサーチ部のサーチ結果に基づいて、自局及び前記周辺フェムトセル基地局によって前記複数のキャリア周波数の全てが使用されていると判断したとき、前記上り総受信電力又は前記上り干渉信号電力が所定値以上であれば、前記ビジターマクロセル無線端末を検出したと認識する。
【0020】
上記フェムトセル基地局は、前記セルサーチ部のセルサーチ結果に基づいて、前記検出部が、前記複数のキャリア周波数の少なくとも1つは前記フェムトセル基地局によって使用されていないと判断したとき、前記ビジターマクロセル無線端末による他のキャリア周波数へのハンドオーバのための補助情報を、前記マクロセル基地局を介して前記ビジターマクロセル無線端末に送信する送信部を備える。
【0021】
上記フェムトセル基地局では、前記上り干渉信号電力は、当該フェムトセル基地局に予め登録された前記特定の無線端末からの上り受信電力を前記上り総受信電力から減算することによって導出される。
【0022】
上記フェムトセル基地局では、前記所定時間は、前記無線端末が使用中のキャリア周波数とは異なる他のキャリア周波数のマクロセルをサーチして、前記他のキャリア周波数にハンドオーバするまでに要する平均時間である。
【0023】
上記フェムトセル基地局は、前記ハイブリッドモードで運用されているフェムトセル基地局に接続中のビジターマクロセル無線端末と当該フェムトセル基地局の間の伝搬損を取得する取得部を備え、前記制御部は、前記取得部が取得した前記フェムトセル基地局に接続中の前記ビジターマクロセル無線端末の伝搬損の全てが所定時間以上連続して所定値以上になると、当該フェムトセル基地局を前記ハイブリッドモードから前記アクセス制限モードに切り替える。
【0024】
本発明は、複数のキャリア周波数のいずれかを用いて無線端末と通信可能なマクロセル基地局と、前記マクロセル基地局が前記無線端末と通信可能なマクロセル内に設けられ、特定の無線端末のみがアクセス可能なアクセス制限モード又はアクセスが前記特定の無線端末に制限されないハイブリッドモードで、前記複数のキャリア周波数のいずれかを用いて無線端末と通信可能な少なくとも1つのフェムトセル基地局と、を備えた無線通信システムで行われるアクセスモード切替方法であって、無線端末からの上り総受信電力を測定し、前記上り総受信電力
、又は前記上り
総受信電力から導出可能な上り干渉信号電力
、のいずれか一方に基づいて、前記アクセス制限モードで運用されているフェムトセル基地局の近傍に位置するビジターマクロセル無線端末を検出すると、当該フェムトセル基地局を前記アクセス制限モードから前記ハイブリッドモードに切り替えるアクセスモード切替方法を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るフェムトセル基地局及びアクセスモード切替方法によれば、ビジターマクロセルユーザのスループットを向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における無線通信システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、無線通信システムは、無線端末(UE)500と、マクロセル基地局(MNB)510と、複数のフェムトセル基地局(HNB)520とを備える。なお、これらの端末及び基地局は同一の通信方式(例えば、WCDMA、LTE、WLAN等)で運用しているものとする。また、各フェムトセル基地局(HNB)520は、マクロセル内に設けられ、CSGモード及びハイブリッドモードのいずれかのモードで運用される。CSGモードのフェムトセル基地局520は、フェムトセル基地局520にアクセス可能な無線端末を制限する。また、ハイブリッドモードのフェムトセル基地局520は、無線端末によるフェムトセル基地局520へのアクセス許可を制限しない。
【0029】
図2は、第1の実施形態のフェムトセル基地局520の内部構成を示すブロック図である。
図2に示すフェムトセル基地局(HNB)520は、アンテナ210と、受信部220と、制御部230とを有する。受信部220は、無線受信部221と、測定部222と、復号部223とを有する。制御部230は、検出部231と、アクセスモード制御部232と、アクセス管理部233とを有する。
【0030】
受信部220の無線受信部221は、アンテナ210を介して、フェムトセル基地局520の近傍に位置する無線端末500からの上り無線信号を受信する。また、無線受信部221は、フェムトセル基地局520に接続中の無線端末(フェムトセルユーザ:HUE)500からの上り無線信号を受信した際には、ユーザ個別の所定の復調処理を行う。
【0031】
受信部220の測定部222は、無線受信部221が受信した上り無線信号に基づいて、上りの総受信電力(RTWP:Received Total Wideband Power)を定期的に測定する。測定部222は、測定値を制御部230の検出部231に出力する。
【0032】
受信部220の復号部223は、無線受信部211が上り無線信号を復調することによって得られたユーザ個別の上りデータを、所定の方式で復号する。また、復号部223は、フェムトセル基地局520に接続中の無線端末からフェムトセル基地局520と無線端末の間の伝搬損(パスロス)の報告がされた場合には、当該報告を含む上りデータを復号した結果をアクセスモード制御部232に出力する。
【0033】
制御部230の検出部231は、受信部220の測定部222によって測定された上りの総受信電力(RTWP)が所定値以上となった時点から所定時間以上連続して所定値以上の状態が保たれている場合、フェムトセル基地局520の近傍に位置するマクロセル基地局510と接続中の無線端末(ビジターマクロセルユーザ:vMUE)が異周波ハンドオーバできずに存在すると判断する。このとき、検出部231は、ビジターマクロセルユーザ(vMUE)を検出したと認識する。所定時間は、例えば、無線端末500が異周波セルサーチを行って異周波ハンドオーバするまでに要する平均時間である。すなわち、当該所定時間の間、ビジターマクロセルユーザ(vMUE)は異周波セルサーチ等を行っている。
【0034】
なお、検出部231は、自局(フェムトセル基地局520)の運用状況に応じて、所定時間の長さを変えても良い。自局の運用状況とは、例えば、自局に接続中の無線端末数、及び自局に要求されるQoS(Quality of Service)に基づく所要スループットの合計値の少なくとも1つである。
【0035】
一方、検出部231は、総受信電力(RTWP)が所定値以上となった時点から所定時間が経過する前に所定値以下になった場合、無線端末(MUE)が異周波ハンドオーバ等を実施したと判断する。このとき、検出部231は、ビジターマクロセルユーザ(vMUE)を検出できないと認識する。検出部231は、フェムトセル基地局520の近傍におけるビジターマクロセルユーザ(vMUE)の検出結果をアクセスモード制御部232に出力する。
【0036】
なお、検出部231は、マクロセルユーザMUEを検出する際に、上述した総受信電力(RTWP)の代わりに、上り干渉電力を算出し、当該上り干渉電力と所定値を比較しても良い。上り干渉電力は、フェムトセル基地局520に対して上り伝送を行っている全てのフェムトセルユーザ(HUE)の所望波信号電力を総受信電力(RTWP)から減算することによって得られる。所望波信号電力は、フェムトセルユーザ(HUE)の上り送信電力からフェムトセル基地局520とフェムトセルユーザ(HUE)の間の伝搬損を減算することによって得られる。
【0037】
検出部231が上り干渉電力を使用する場合、上り干渉電力と比較される所定値は、フェムトセル基地局520の位置におけるマクロセル基地局510への想定上り送信電力から所定の伝搬損を減算した値であっても良い。当該所定の伝搬損は、フェムトセル基地局520が形成するカバーエリアの大きさに基づいて設定されても良い。
【0038】
また、検出部231が上りの総受信電力を使用する場合、総受信電力と比較される所定値は、フェムトセル基地局520に接続する無線端末が上り無線回線のデータ伝送を常に行っている場合の、フェムトセル基地局520における受信電力からオフセットした値であっても良い。
【0039】
制御部230のアクセスモード制御部232には、検出部231からビジターマクロセルユーザ(vMUE)の検出結果が入力される。また、アクセスモード制御部232には、受信部220の復号部223から、フェムトセル基地局520に接続中の無線端末からフェムトセル基地局520と当該無線端末との間の伝搬損(パスロス)の報告値が入力される。
【0040】
フェムトセル基地局520がCSGモードで運用されている状態において、アクセスモード制御部232は、検出部231から入力された情報がビジターマクロセルユーザ(vMUE)を検出した旨を示す場合、フェムトセル基地局520をCSGモードからハイブリッドモードに切り替える。その結果、当該ビジターマクロセルユーザ(vMUE)は、フェムトセル基地局520にアクセスできる。一方、アクセスモード制御部232は、検出部231からの入力された情報がビジターマクロセルユーザ(vMUE)を検出できない旨を示す場合、継続してフェムトセル基地局520をCSGモードで運用する。
【0041】
図3は、フェムトセル基地局520がCSGモードからハイブリッドモードに切り替えられる場合の上り干渉電力の時間変化の一例(a)と、フェムトセル基地局520がCSGモードのまま継続される場合の上り干渉電力の時間変化の一例(b)とを示すグラフである。
図3中の例(a)に示すように、上り干渉電力が所定値以上と観測された時点から所定時間が経過しても、上り干渉電力が連続して所定値以上の場合、アクセスモード制御部232は、フェムトセル基地局520をCSGモードからハイブリッドモードに切り替える。一方、
図3中の例(b)に示すように、上り干渉電力が所定値以上と観測された時点から所定時間経過する前に上り干渉電力が所定値以下になった場合、アクセスモード制御部232は、継続してフェムトセル基地局520をCSGモードで運用する。
【0042】
また、フェムトセル基地局520がハイブリッドモードで運用されている状態において、アクセスモード制御部232は、後述するアクセス管理部233からフェムトセル基地局520には登録されていない無線端末(未登録無線端末:non−CSG UE)の識別子が入力される。アクセスモード制御部232は、復号部223から入力されたフェムトセル基地局520とフェムトセル基地局520に接続中の無線端末との間の伝搬損(パスロス)の報告を示すデータの内、未登録無線端末から報告された伝搬損のデータを抽出する。アクセスモード制御部232は、抽出した伝搬損の全てが所定時間以上連続して所定値以上になると、フェムトセル基地局200をハイブリッドモードからCSGモードに切り替える。
【0043】
図4は、フェムトセル基地局520がハイブリッドモードからCSGモードに切り替えられる場合の伝搬損(パスロス)の時間変化の一例を示すグラフである。なお、
図4に示した例では、フェムトセル基地局520と通信中の未登録無線端末(ハイブリッドモードのフェムトセル基地局520に接続中のビジターユーザ)が2台存在する例を示している。
図4に示すように、全ての未登録無線端末の伝搬損が所定値以上になった時点から所定時間連続して全ての未登録無線端末の伝搬損が所定値以上である場合、アクセスモード制御部232は、全ての未登録無線端末がフェムトセル基地局520から遠く離れたと判断し、フェムトセル基地局520をハイブリッドモードからCSGモードに切り替える。一方、全ての未登録無線端末の伝搬損が所定値以上になった時点から所定時間経過する前に少なくとも1台の未登録無線端末の伝搬損が所定値以下になった場合、アクセスモード制御部232は、継続してフェムトセル基地局520をハイブリッドモードで運用する。
【0044】
制御部230のアクセス管理部233は、フェムトセル基地局520に登録されている無線端末(登録無線端末:CSG UE)の識別子を蓄積する。なお、アクセス管理部233への無線端末の登録は、フェムトセル基地局520自身がアプリケーション等を用いることによって得られた入力信号、又は無線端末のアクセス管理をしているコアネットワークの装置から通知された情報に基づいて行われる。フェムトセル基地局520がハイブリッドモードで運用されている状態において、アクセス管理部233がアクセスモード制御部232から登録無線端末の識別子の取得要求信号を受けると、アクセス管理部233は、フェムトセル基地局520への登録状況をアクセスモード制御部232にフィードバックする。
【0045】
以下、
図5を参照して、フェムトセル基地局520の動作を説明する。
図5は、第1の実施形態におけるフェムトセル基地局520の動作を説明するフローチャートである。フェムトセル基地局520が設置されると、フェムトセル基地局520は所定の送信電力設定を実行し、CSGモードで動作を開始する(ステップST300)。次に、フェムトセル基地局520の測定部222は、上りの総受信電力(RTWP)を定期的に測定する(ステップST301)。
【0046】
次に、フェムトセル基地局520の検出部231は、上りの総受信電力(RTWP)が所定値以上か否かを判断する(ステップST302)。当該判断の結果、総受信電力(RTWP)が所定値以上のときはステップST303に進み、所定値未満のときはステップST301に戻る。ステップST303では、検出部231は、総受信電力(RTWP)が所定値以上となった時点から所定時間以上連続して所定値以上の状態が保たれるか否かを判断する。当該判断の結果、総受信電力(RTWP)が所定時間以上連続して所定値以上であればステップST304に進み、所定時間が経過する前に所定値以下になるとステップST301に戻る。
【0047】
ステップST304では、フェムトセル基地局520の検出部231は、フェムトセル基地局520の近傍に位置するマクロセル基地局510と通信中のビジターマクロセルユーザ(vMUE)が異周波ハンドオーバできずに存在すると判断して、アクセスモード制御部232は、フェムトセル基地局520をCSGモードからハイブリッドモードに切り替える。その結果、当該ビジターマクロセルユーザ(vMUE)は、フェムトセル基地局520にアクセスできる。
【0048】
ステップST304でフェムトセル基地局520がハイブリッドモードに切り替えられると、フェムトセル基地局520のアクセスモード制御部232は、フェムトセル基地局520に接続中の無線端末の内、フェムトセル基地局520には登録されていない無線端末(未登録無線端末:non−CSG UE又はビジターユーザ)から報告された、フェムトセル基地局520と未登録無線端末との間の伝搬損(パスロス)を収集する(ステップST305)。
【0049】
次に、アクセスモード制御部232は、全ての未登録無線端末のパスロスが所定時間以上連続して所定値以上か否かを判断する(ステップST306)。当該判断の結果、全ての未登録無線端末のパスロスが所定時間以上連続して所定値以上であればステップST307に進み、所定時間が経過する前に少なくとも1台の未登録無線端末のパスロスが所定値以下になればステップST305に戻る。ステップST307では、アクセスモード制御部232は、全ての未登録無線端末がフェムトセル基地局520から遠く離れたと判断し、フェムトセル基地局520をハイブリッドモードからCSGモードに切り替える。ステップST307の後はステップST301に戻る。
【0050】
以上説明したように、本実施形態では、フェムトセル基地局520の近傍に位置するマクロセル基地局510と通信中の無線端末(ビジターマクロセルユーザ:vMUE)が異周波ハンドオーバできない状態のときには、フェムトセル基地局520はハイブリッドモードに移行する。例えば、
図6に示すように、システムで利用可能な全キャリア周波数f1〜f4が互いに近接して位置するフェムトセル基地局HNB#1〜HNB#4によって使用されている場合、ビジターマクロセルユーザvMUEは異周波ハンドオーバができないため、フェムトセル基地局HNB#1はハイブリッドモードに移行する。フェムトセル基地局がハイブリッドモードになると、ビジターマクロセルユーザvMUEは当該フェムトセル基地局にアクセスできる。このため、ビジターマクロセルユーザのスループットを向上できる。
【0051】
また、本実施形態におけるビジターマクロセルユーザ(MUE)が異周波ハンドオーバできたか否かの判断は、フェムトセル基地局520が測定した上りの総受信電力(RTWP)又は上り干渉電力が所定値以上となった時点から所定時間連続して所定値以上の状態が保たれたか否かを判断することによって行われる。一方、特許文献1に開示された方法では、当該特許文献1の段落0034〜0039で説明されているように、限定状態(CSGモード)で動作中のホームセル用無線基地局(フェムトセル基地局)にアクセスする移動局(マクロセルユーザ)の数又は当該ホームセル用無線基地局に対するアクセス権が付与されている移動局の数が所定数を下回った場合に、ホームセル用無線基地局の状態を準開放状態(ハイブリッドモード)に切り替えるが、当該移動局の数が所定数を上回ると限定状態に切り替える。本実施形態では、無線端末の数に応じてモードを切り替えることは行わず、ビジターマクロセルユーザが異周波ハンドオーバできなかったと判断した際にハイブリッドモードに移行するため、仮にビジターマクロセルユーザの数が増加しても、特許文献1のようにCSGモード(限定状態)に戻らない。
【0052】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態のフェムトセル基地局620の内部構成を示すブロック図である。第2の実施形態のフェムトセル基地局620が第1の実施形態のフェムトセル基地局520と異なる点は、受信部270が下り信号測定部624を有すること、及び制御部280の検出部631が下り信号測定部624からの情報を利用することである。この点以外は第1の実施形態と同様であり、
図7において、
図2と共通する構成要素には同じ参照符号が付されている。このため、第1実施形態のフェムトセル基地局520と同一又は同等部分には同一符号又は相当符号を付して説明を簡略化又は省略する。
【0053】
第2の実施形態のフェムトセル基地局620の受信部270が有する下り信号測定部624は、システムで使用される下り無線回線の全キャリア周波数の共通パイロットチャネル信号の受信電力を測定するセルサーチ機能を備える。なお、本実施形態のセルサーチは、マクロセル基地局を除く周辺フェムトセル基地局を対象とする。マクロセル基地局と周辺フェムトセル基地局の区別は、報知信号(BCH:Broadcast CHannel)にて伝送されるセル固有のシステム情報(SIB:System Information Block)に含まれるパイロットチャネルの送信電力情報を参照し、フェムトセル基地局クラスの送信電力であるセルを抽出すれば良い。マクロセル基地局とフェムトセル基地局との間で、使用するセルに固有のスクランブリングコード(PSC:Primary Scrambling Code)のグループを分割している場合は、セルサーチの過程におけるスクランブリングコードの同定時に周辺フェムトセル基地局のみを抽出すれば良い。
【0054】
下り信号測定部624は、キャリア周波数毎にセルサーチを行うことによって、周辺フェムトセル基地局群によるキャリア周波数の使用状況を測定する。なお、当該測定は、例えば一日に一度行われる。下り信号測定部624は、測定結果を制御部280の検出部631に出力する。
【0055】
第2の実施形態のフェムトセル基地局620の制御部280が有する検出部631は、全キャリア周波数において共通パイロットチャネルの受信電力が所定値以上の場合、自局及び周辺フェムトセル基地局群によって全キャリア周波数が使用されていると判断する。このとき、検出部631は、ビジターマクロセルユーザ(vMUE)は異周波ハンドオーバできないと判断し、受信部270の測定部222によって測定された上りの総受信電力(RTWP)又は上り干渉電力が所定値以上となった時点で、ビジターマクロセルユーザ(vMUE)を検出したと認識する。第1の実施形態の検出部231は、総受信電力(RTWP)又は上り干渉電力が所定値以上となった時点から所定時間以上連続して所定値以上の状態が保たれている場合にビジターマクロセルユーザ(vMUE)を検出したと認識する。しかし、本実施形態では、全キャリア周波数が使用されていると判断された際には、第1の実施形態のように所定時間を要することなくビジターマクロセルユーザ(vMUE)を検出したと認識する。
【0056】
以下、
図8を参照して、第2の実施形態におけるフェムトセル基地局620の動作を説明する。
図8は、第2の実施形態におけるフェムトセル基地局620の動作を説明するフローチャートである。同図において、
図5と同じステップには同じ符号を付し、その説明を省略する。
図8に示すフローチャートには、
図5に示したフローチャートのステップST300〜ST307に加えて、ステップST701〜ST703が設けられている。
【0057】
フェムトセル基地局620が設置されると、フェムトセル基地局620は第1の実施形態と同様にステップST300を行う。次に、フェムトセル基地局620の下り信号測定部624は、マクロセル基地局を除く周辺フェムトセル基地局を対象として、キャリア周波数毎に全キャリア周波数のセルサーチを行う(ステップST701)。次に、フェムトセル基地局620の測定部222はステップST301を行う。次に、フェムトセル基地局620の検出部631は、ステップST701で行ったセルサーチの結果に基づいて、自局及び周辺フェムトセル基地局群によって全キャリア周波数が使用されているか否かを判断する(ステップST702)。当該判断の結果、全キャリア周波数が使用されていればステップST703に進み、全キャリア周波数の内、少なくとも1つがフェムトセル基地局によって使用されていなければステップST302に進む。ステップST302に進んだ場合は第1の実施形態と同様の処理が行われる。なお、キャリア周波数毎の全キャリア周波数のセルサーチは、フェムトセル基地局620自身が使用中のキャリア周波数は必ず使用しているとして、セルサーチ処理を省略してもよい。
【0058】
ステップST703では、検出部631は、上りの総受信電力(RTWP)が所定値以上か否かを判断する。当該判断の結果、総受信電力(RTWP)が所定値以上であればステップST304に進み、所定値未満のときはステップST301に戻る。ステップST304以降は第1の実施形態と同様である。
【0059】
以上説明したように、本実施形態では、自局及び周辺フェムトセル基地局群によって全キャリア周波数が使用されている場合には、ビジターマクロセルユーザが異周波ハンドオーバできないと見込まれるため、フェムトセル基地局620は、上りの総受信電力(RTWP)又は上り干渉電力が所定値以上となった時点でハイブリッドモードに移行する。したがって、ビジターマクロセルユーザ(vMUE)の検出の際に、第1の実施形態で説明した所定時間を要することがない。その結果、フェムトセル基地局620は即座にハイブリッドモードに移行する。このように、ビジターマクロセルユーザの通信品質劣化時間を大幅に短縮できるため、ビジターマクロセルユーザのスループットを第1の実施形態よりも向上できる。
【0060】
(第3の実施形態)
背景技術の欄で説明した
図14に示した例では、ビジターマクロセルユーザvMUEが異周波セルサーチを行って、フェムトセル基地局によって使用されていないキャリア周波数の内の1つに異周波ハンドオーバを行っている。当該例では、ビジターマクロセルユーザvMUEが各キャリア周波数に対して異周波ハンドオーバを試みるため、異周波ハンドオーバの成否を判定するための比較的長い期間を要する。しかし、異周波ハンドオーバが成功するまでの間、ビジターマクロセルユーザvMUEのスループットは低下したままであり、各キャリア周波数に対して異周波ハンドオーバを試みるための処理に必要な電力も消費されてしまう。
【0061】
第3の実施形態における無線通信システムでは、フェムトセル基地局の下り信号測定部624の測定結果に基づいて、検出部631が、システムで利用可能な全キャリア周波数の少なくとも1つはフェムトセル基地局によって使用されていないと判断したとき、ビジターマクロセルユーザによる異周波ハンドオーバのための補助情報を、コアネットワークを介して当該フェムトセル基地局にオーバーレイしているマクロセル基地局に送信する。さらに、当該マクロセル基地局は、フェムトセル基地局から送られた異周波ハンドオーバのための補助情報をビジターマクロセルユーザに送信する。
【0062】
例えば、
図9に示すように、システムで利用可能な全キャリア周波数f1〜f4の内、キャリア周波数f1,f2がそれぞれフェムトセル基地局HNB#1,HNB#2によって使用されている場合、フェムトセル基地局HNB#1は、ビジターマクロセルユーザvMUEがキャリア周波数f3又はf4にハンドオーバするための補助情報を、コアネットワークCNを介してマクロセル基地局MNBに送信する。さらに、マクロセル基地局MNBは、フェムトセル基地局HNB#1から送られた補助情報をビジターマクロセルユーザvMUEに送信する。
【0063】
図10は、第3の実施形態における無線通信システムの構成を示すブロック図である。
図10に示すように、無線通信システムは、フェムトセル基地局(HNB)800と、フェムトセル基地局(HNB)800にオーバーレイしているマクロセル基地局(MNB)850と、フェムトセル基地局(HNB)800が設置された家屋内に位置する、マクロセル基地局(MNB)850と接続中のビジターマクロセルユーザ(vMUE)860とを備える。なお、フェムトセル基地局(HNB)800とマクロセル基地局(MNB)850はコアネットワークCNを介して接続されている。
【0064】
フェムトセル基地局(HNB)800は、第2の実施形態のフェムトセル基地局620が有するアンテナ210、受信部270及び制御部280に加えて、送信部840を有する。送信部840は、ビジターマクロセルユーザによる異周波ハンドオーバのための補助情報を、コアネットワークCN経由でマクロセル基地局(MNB)850に送信する。当該補助情報には、受信部270の下り信号測定部624が行ったセルサーチ結果に基づく、異周波で運用されている周辺フェムトセル基地局の検出結果が含まれる。なお、周辺フェムトセル基地局の検出結果には、フェムトセル基地局(HNB)800が検出した周辺フェムトセル基地局からの共通パイロットチャネル信号の受信電力、周辺フェムトセル基地局が使用している下りスクランブリングコード、及び自局が保有する隣接セルリスト(NCL:Neighbour Cell List)の内、少なくとも1つ以上が含まれる。なお、送信部840は、フェムトセル基地局(HNB)800がセルサーチ結果に基づくビジターマクロセルユーザの異周波ハンドオーバ先の指定セル及び指定周波数を決定して、マクロセル基地局(MNB)850に送っても良い。
【0065】
図11は、フェムトセル基地局(HNB)800がマクロセル基地局(MNB)850に送信する補助情報のデータ構成を示す概念図である。
図11に示すように、補助情報には、メッセージタイプと、宛先マクロセル基地局(宛先MNB)850のIDと、送信元フェムトセル基地局(送信先HNB)800のIDと、送信元フェムトセル基地局(送信元HNB)800が保有する隣接セルリスト(NCL)とが含まれる。
【0066】
補助情報に含まれるメッセージタイプは、ビジターマクロセルユーザ(vMUE)860の異周波ハンドオーバのための補助情報であることを示すビット列である。また、宛先マクロセル基地局(宛先MNB)850のIDは、補助情報の宛先となるマクロセル基地局(MNB)850の識別情報である。送信元フェムトセル基地局(送信元HNB)800のIDは、補助情報の送信元であるフェムトセル基地局(HNB)800の識別情報である。
【0067】
NCLには、当該補助情報を送信するフェムトセル基地局800が定期的に実行する異周波キャリアのセルサーチで検出した隣接セルのリスト、及び隣接セルの無線パラメータ(キャリア周波数、共通パイロット送信電力、スクランブリングコード等)が含まれている。前述のとおり、NCLの代わりに、周辺フェムトセル基地局からの共通パイロットチャネル信号の受信電力、周辺フェムトセル基地局が使用している下りスクランブリングコード、異周波ハンドオーバ先の指定セル及び指定周波数を示す情報の少なくとも1つが補助情報に含まれても良い。
【0068】
マクロセル基地局(MNB)850は、受信部852と、制御部854と、送信部856とを有する。
【0069】
受信部852は、フェムトセル基地局(HNB)800の送信部840よりコアネットワークCN経由で送信される補助情報を受信する。また、受信部852は、ビジターマクロセルユーザ(vMUE)860から、当該ビジターマクロセルユーザ(vMUE)860が補助情報に基づいて実施した異周波の測定結果の報告を受信する。
【0070】
制御部854には、受信部852が受信したフェムトセル基地局(HNB)800からの補助情報とビジターマクロセルユーザ(vMUE)860からの測定結果が入力される。制御部854は、フェムトセル基地局(HNB)800とビジターマクロセルユーザ(vMUE)860が互いに近接し合うと認識すると、それぞれを関連付ける。また、制御部854は、ビジターマクロセルユーザ(vMUE)860からの測定結果、フェムトセル基地局(HNB)800からの補助情報、又はフェムトセル基地局(HNB)800から通知された指定セルに基づいて、ビジターマクロセルユーザ(vMUE)860の異周波ハンドオーバ先のキャリア周波数を決定する。
【0071】
送信部856は、ビジターマクロセルユーザ(vMUE)860の異周波ハンドオーバ先のセル情報又はキャリア周波数に関する情報をビジターマクロセルユーザ(vMUE)860に送信する。
【0072】
ビジターマクロセルユーザ(vMUE)860は、受信部862と、測定部864と、送信部866とを有する。
【0073】
受信部862は、マクロセル基地局(MNB)850から送信された異周波ハンドオーバ先のセル情報又はキャリア周波数に関する情報を受信する。また、周辺セルを測定するための下り信号を受信する。
【0074】
測定部864は、マクロセル基地局(MNB)850から送信される補助情報に基づいて、異周波キャリアの測定を行う。測定部864は、フェムトセル基地局(HNB)600による測定結果に基づき、異周波キャリアサーチの優先度を付し、優先度に従った異周波測定を行っても良い。なお、マクロセル基地局(MNB)850からの指示にフェムトセル基地局(HNB)600の指定周波数が含まれる場合、測定部864は、指定周波数から優先的に測定を実行する。
【0075】
送信部866は、前述した異周波測定結果をマクロセル基地局(MNB)850に報告する。
【0076】
以下、
図12を参照して、第3の実施形態におけるフェムトセル基地局800の動作を説明する。
図12は、第3の実施形態におけるフェムトセル基地局800の動作を説明するフローチャートである。同図において、
図8と同じステップには同じ符号を付し、その説明を省略する。
図12に示すフローチャートには、
図8に示したフローチャートのステップに加えて、ステップST901が設けられている。
【0077】
ステップST702で、フェムトセル基地局(HNB)800の検出部631によって、システムで利用可能な全キャリア周波数の内、少なくとも1つがフェムトセル基地局によって使用されていないと判断された場合、送信部840は、異周波で運用されている周辺フェムトセル基地局の検出結果を含む補助情報を、オーバーレイしているマクロセル基地局(MNB)850に通知する(ステップST901)。ステップST901の後はステップST302に進む。
【0078】
以上説明したように、本実施形態では、フェムトセル基地局(HNB)が異周波ハンドオーバのための補助情報をコアネットワークCN及びマクロセル基地局(MNB)を経由してビジターマクロセルユーザ(vMUE)に送信することにより、周辺にマクロセル基地局だけしか使用していないキャリア周波数がある場合に、ビジターマクロセルユーザ(vMUE)の異周波ハンドオーバを高速化できる。このように、ビジターマクロセルユーザ(vMUE)の通信品質劣化時間を大幅に短縮できるため、ビジターマクロセルユーザのスループットを向上できる。また、マクロセルユーザ(vMUE)の異周波ハンドオーバに要する消費電力を低減できる。
【0079】
なお、上記各実施形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
【0080】
また、上記各実施形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0081】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0082】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0083】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【0084】
本出願は、2010年8月3日出願の日本特許出願(特願2010-174579)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。