(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記燃料ガス供給経路は、前記燃料電池内を前記積層の方向に延びる複数の燃料ガス通路と、前記燃料ガス通路から前記複数の発電セルのうちの少なくとも一部の発電セルの内部又は前記熱交換部へ接続する接続口と、を備え、
前記入口及び前記出口は前記接続口の一部である請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
<第1の実施形態>
1.燃料電池1の全体構成
燃料電池1の構成の構成を
図1〜
図8に基づいて説明する。燃料電池1は、固体酸化物形燃料電池であり、燃料ガス(例えば水素)と空気(酸化剤ガスの一例に相当)との供給を受けて発電を行う装置である。
【0019】
燃料電池1は、
図1、
図2に示すように、発電単位である平板形の燃料電池セル(以下発電セルとする)3と、熱交換部7と、一対のエンドプレート8、9とを積層した構造を有する。発電セル3は8個存在し、それぞれを、
図1、
図2における上から順に、3A、3B、3C、3D、3E、3F、3G、3Hとする。
【0020】
熱交換部7は、発電セル3Dと3Eとの間に位置し、それらと接触している。すなわち、発電セル3は、熱交換部7の上下にそれぞれ4個積層されている。
エンドプレート8は、発電セル3Aの外側(
図1、
図2における上側)に位置し、発電セル3Aに接触している。また、エンドプレート9は、発電セル3Hの外側(
図1、
図2における下側)に位置し、発電セル3Hに接触している。
【0021】
図3、
図4に示すように、燃料電池1は(すなわち発電セル3、熱交換部7、及びエンドプレート8、9は)、発電セル3の積層方向(
図1、
図2における上下方向、
図3、
図4における紙面に直交する方向)から見たとき、矩形の形状を有している。
【0022】
燃料電池1は、それを積層方向に貫通する8本の孔11〜18を備えている。孔11〜18は、燃料電池1を構成する発電セル3、熱交換部7、及びエンドプレート8、9のそれぞれに設けた孔により形成される。燃料電池1を積層方向から見たとき、孔11、12、13は、燃料電池1の外形を構成する一つの辺1Aに沿って等間隔で形成されており、孔12は辺1Aの中間に位置する。また、孔15、16、17は、辺1Aと対向する辺1Bに沿って等間隔で形成されており、孔16は孔15、17の中間に位置する。
【0023】
孔11には、ボルト21が差し込まれ、その両端にナット19が螺合している。ボルト21は、積層方向において、燃料電池1の一方の端から、他方の端まで達する。同様に、孔12〜18には、それぞれ、ボルト22〜28が差し込まれ、それらの両端にナット19が螺合している。発電セル3及び熱交換部7は、ボルト21〜28及びナット19により固定される。
【0024】
ボルト21〜28はそれぞれ、それらの内部に中空の(空洞から成る)ガス通路31〜38を備えている。ガス通路31〜38は、それぞれ、ボルト21〜28の軸方向に沿って延びており、それらの一方の端から、他方の端まで達している。なお、ガス通路31,32,35,36,37は、燃料ガス通路の一例に相当する。
【0025】
ボルト21は、
図1、
図3、
図7に示すように、ガス通路31からボルト21の外表面に至り、熱交換部7における後述する燃料ガス流路41に接続する孔である入口43を備えている。
【0026】
また、ボルト25は、ガス通路35からボルト25の外表面に至り、燃料ガス流路41に接続する孔である出口45を備えている。
また、ボルト27は、ガス通路37からボルト27の外表面に至り、燃料ガス流路41に接続する孔である出口47を備えている。
【0027】
また、ボルト25は、
図1、
図3に示すように、ガス通路35からボルト25の外表面に至る孔である入口51を5個備えている。5個の入口51は、
図1における上下方向に沿って等間隔に配置されており、それぞれ、発電セル3A、3B、3C、3D、3Eにおける後述する発電セル内燃料ガス流路49に連通している。
【0028】
ボルト27は、
図1、
図3に示すように、ガス通路37からボルト27の外表面に至る孔である入口53を5個備えている。5個の入口53は、
図1における上下方向に沿って等間隔に配置されており、それぞれ、発電セル3A、3B、3C、3D、3Eにおける発電セル内燃料ガス流路49に連通している。
【0029】
ボルト22は、
図1、
図3に示すように、ガス通路32からボルト22の外表面に至る孔である出口55を5個備えている。5個の出口55は、
図1における上下方向に沿って等間隔に配置されており、それぞれ、発電セル3A、3B、3C、3D、3Eにおける後述する発電セル内燃料ガス流路49に連通している。
【0030】
また、ボルト22は、
図1、
図3に示すように、ガス通路32からボルト22の外表面に至る孔である入口57を3個備えている。3個の入口57は、
図1における上下方向に沿って等間隔に配置されており、それぞれ、発電セル3F、3G、3Hにおける発電セル内燃料ガス流路49に連通している。
【0031】
また、ボルト26は、
図1、
図3に示すように、ガス通路36からボルト26の外表面に至る孔である出口59を3個備えている。3個の出口59は、
図1における上下方向に沿って等間隔に配置されており、それぞれ、発電セル3F、3G、3Hにおける発電セル内燃料ガス流路49に連通している。
【0032】
また、ボルト23は、
図2、
図4、
図8に示すように、ガス通路33からボルト23の外表面に至り、熱交換部7における後述する空気流路61に接続する孔である入口63を備えている。また、ボルト28は、ガス通路38からボルト28の外表面に至り、空気流路61に接続する孔である出口65を備えている。
【0033】
また、ボルト28は、
図2、
図4、
図8に示すように、ガス通路38からボルト28の外表面に至る孔である入口69を8個備えている。8個の入口69は、
図1における上下方向に沿って所定の間隔をおいて配置されており、それぞれ、発電セル3A、3B、3C、3D、3E、3F、3G、3Hにおける後述する発電セル内空気流路67に連通している。
【0034】
また、ボルト24は、
図2、
図4、
図8に示すように、ガス通路34からボルト24の外表面に至る孔である出口71を8個備えている。8個の出口71は、
図2における上下方向に沿って所定の間隔をおいて配置されており、それぞれ、発電セル3A、3B、3C、3D、3E、3F、3G、3Hにおける発電セル内空気流路67に連通している。なお、上述した各出口及び各入口は接続口の一例に相当する。
【0035】
2.発電セル3の構成
発電セル3の構成を
図5、
図6に基づき説明する。
図6は、発電セル3のうち、発電セル3Dの構成を表す。発電セル3は、いわゆる燃料極支持膜形タイプの板状セルである。発電セル3は、薄膜の固体電解質体101と、その両側にそれぞれ形成された、燃料極(アノード)103、及び薄膜の空気極(カソード)105とを備える。以下では、固体電解質体101、燃料極103、及び空気極105をあわせてセル本体107とする。セル本体107の空気極105側には発電セル内空気流路67が存在し、燃料極103側には発電セル内燃料ガス流路49が存在する。
【0036】
また、発電セル3は、上下一対のインターコネクタ109、111と、空気極105側の板形状のガスシール部113と、セル本体107の外縁部の上面に接合して発電セル内空気流路67と発電セル内燃料ガス流路49とを遮断するセパレータ115と、発電セル内燃料ガス流路49側に配置された燃料極フレーム117と、燃料極103側のガスシール部119とを備えており、それらが積層されて一体に構成されている。
【0037】
さらに、発電セル3内には、燃料極103とインターコネクタ111との間に燃料極側集電体121が配置され、インターコネクタ109の表面には空気極側集電体123が一体に形成されている。
【0038】
ここで、固体電解質体101の材料としては、YSZ、ScSZ、SDC、GDC、ペロブスカイト系酸化物等の材料が使用できる。また、燃料極103としては、N及びNiとセラミックとのサーメットが使用でき、空気極105としては、ペロブスカイト系酸化物、各種貴金属とセラミックとのサーメットが使用できる。
【0039】
インターコネクタ109、111はフェライト系ステンレスから成る板材であり、その外縁部には、孔11〜18に対応する8つの孔125が設けられている。
ガスシール部113は、マイカ又はバーミュライトから成り、中心に正方形の開口部127を有する枠状の板材であり、その外縁部には、孔11〜18に対応する8つの孔129が設けられている。孔129のうち、孔14、18に対応する2つと、開口部127とは、連通溝131により連通している。この連通溝131はガスシール部113を厚み方向に貫通する溝ではなく、ガスシール部113の一方の表面を掘って形成された溝であり、レーザやプレス加工によって形成することができる。
【0040】
セパレータ115はフェライト系ステンレスから成る枠状の板材であり、その中央に正方形の開口部133を有する。その開口部133を閉塞するように、セパレータ115に対しセル本体107が接合されている。セパレータ115も、その外縁部に、孔11〜18に対応する8つの孔135を有している。
【0041】
燃料極フレーム117は、その中心に開口部137を備えた、フェライト系ステンレスから成る枠状の板材である。燃料極フレーム117も、その外縁部に、孔11〜18に対応する8つの孔139を有している。
【0042】
ガスシール部119は、マイカ又はバーミュライトから成り、中心に正方形の開口部141を有する枠状の板材であり、その外縁部には、孔11〜18に対応する8つの孔142が設けられている。発電セル3A、3B、3C、3D、3Eにおいては、孔142のうち、孔12、15、17に対応する3つと、開口部141とは、連通溝143により連通している。また、発電セル3F、3G、3Hにおいては、孔142のうち、孔12、16に対応する2つと、開口部141とは、連通溝143により連通している。この連通溝143はガスシール部119を厚み方向に貫通する溝ではなく、ガスシール部119の一方の表面を掘って形成された溝であり、レーザやプレス加工によって形成することができる。
【0043】
3.熱交換部7の構成
熱交換部7の構成を
図6〜
図8に基づき説明する。熱交換部7は、空気極側部材145と、燃料極側部材147とから成る。空気極側部材145は、発電セル3Dに隣接する板状部材であって、発電セル3D側の面の中心に、正方向の凹部149を備える。また、空気極側部材145の外縁部に、孔11〜18に対応する8つの孔151が設けられている。孔151のうち、孔13、18に対応する2つの孔151A、151Bと、凹部149とは、連通溝153、154により連通されている。なお、凹部149及び連通溝153、154は空気極側部材145を厚み方向に貫通するものではなく、発電セル3D側の面の表面を掘って形成されたものである。
【0044】
燃料極側部材147は、一方の面で空気極側部材145に接し、他方の面で発電セル3Eに接する板状部材であって、空気極側部材145側の面の中心に、正方向の凹部155を備える。また、燃料極側部材147の外縁部に、孔11〜18に対応する8つの孔157が設けられている。孔157のうち、孔11、15、17に対応する3つの孔157A、157B、157Cと、凹部155とは、連通溝159、160、161により連通されている。なお、凹部155及び連通溝159、160、161は燃料極側部材147を厚み方向に貫通するものではなく、空気極側部材145側の面の表面を掘って形成されたものである。
【0045】
空気極側部材145を発電セル3Dに接合すると、空気極側部材145における発電セル3D側の面のうち、凹部149、孔151、及び連通溝153、154以外の部分は発電セル3Dに密着する。その結果、空気極側部材145と発電セル3Dとの間には、孔151Aから、連通溝153、凹部149、連通溝154を経て、孔151Bに至る閉空間である空気流路61が形成される。なお、上述したように、空気流路61は、孔151A(孔13)の側において、入口63を介してガス通路33と連通しており、孔151B(孔18)の側において、出口65を介してガス通路38と連通している。
【0046】
さらに、燃料極側部材147を空気極側部材145に接合すると、燃料極側部材147における空気極側部材145側の面のうち、凹部155、孔157、及び連通溝159、160、161以外の部分は空気極側部材145に密着する。その結果、燃料極側部材147と空気極側部材145との間には、孔157Aから、連通溝159、凹部155、連通溝160を経て、孔157Bに至るか、孔157Aから、連通溝159、凹部155、連通溝161を経て、孔157Cに至る閉空間である燃料ガス流路41が形成される。なお、上述したように、燃料ガス流路41は、孔157A(孔11)の側において、入口43を介してガス通路31と連通しており、孔157B(孔15)の側、及び孔157C(孔17)の側において、出口45、47を介してガス通路35、37と連通している。
【0047】
4.燃料電池1の製造方法
燃料電池1の製造方法を説明する。まず、フェライト系ステンレスの板材から打ち抜く方法で、上述した形状のインターコネクタ109、111、セパレータ115、及び燃料極フレーム117を形成する。また、マイカ又はバーミュライトから成るシートから切り出す方法で、上述した形状のガスシール部113、119を形成する。
【0048】
次に、周知の方法で、セル本体107を形成する。具体的には、燃料極103となるグリーンシート上に固体電解質体101となるグリーンシートを積層し、焼成する。さらに、固体電解質体101上に空気極105の形成材料を印刷した後、焼成することで、セル本体107を形成する。このセル本体107を、セパレータ115の開口部133を閉塞するように、セパレータ115に接合する。セル本体107とセパレータ115との接合はロウ付けにより行う。
【0049】
次に、
図6に示すように、インターコネクタ109、ガスシール部113、セル本体107を接合済みのセパレータ115、燃料極フレーム117、ガスシール部119、及びインターコネクタ111を積層して一体化することで、発電セル3が完成する。
【0050】
そして、8個の発電セル3、熱交換部7、エンドプレート8、9を
図1、
図2に示す順番で積層し、孔11〜18にボルト21〜28を差し込み、ボルト21〜28の両端にナット19を螺合することで、燃料電池1が完成する。
【0051】
5.燃料ガス及び酸化剤ガスの流れ
まず、燃料ガスの流れを説明する。
図1、
図3、
図7における矢印は燃料ガスの流れを表し、そのうち、実線の矢印は第1の経路での燃料ガスの流れを表し、点線の矢印は第2の経路での燃料ガスの流れを表し、一点鎖線の矢印は第3の経路での燃料ガスの流れを表す。
【0052】
燃料ガスは、
図1、
図3に示すように、通路31における発電セル3H側の端部(
図1、
図3においてF(IN)と表記)から導入され、通路31を通り、入口43を通って、熱交換部7の燃料ガス流路41に入る。さらに、燃料ガスは、
図7に示すように燃料ガス流路41内を流れ、出口45を通って通路35に入るとともに、出口47を通って通路37に入る。
【0053】
通路35内に入った燃料ガスは、
図1、
図3に示すように、通路35内を流れ、5箇所の入口51を通り(分岐して)、発電セル3A、3B、3C、3D、3Eの発電セル内燃料ガス流路49に入る。また、通路37に入った燃料ガスは、5箇所の入口53を通り(分岐して)、発電セル3A、3B、3C、3D、3Eの発電セル内燃料ガス流路49に入る。
【0054】
さらに、燃料ガスは、
図3に示すように、発電セル3A、3B、3C、3D、3Eそれぞれの発電セル内燃料ガス流路49内を並列的に流れ、5箇所の出口55を通って、通路32に入る。
【0055】
さらに、燃料ガスは、通路32を通り、3箇所の入口57を通って(分岐して)、発電セル3F、3G、3Hの発電セル内燃料ガス流路49に入る。燃料ガスは、
図3に示すように、発電セル3F、3G、3Hの発電セル内燃料ガス流路49内を並列的に流れ、3箇所の出口59を通って、通路36に入る。
【0056】
その後、燃料ガスは、通路36における発電セル3H側の端部(
図1、
図3においてF(OUT)と表記)から排出される。
なお、上述した燃料ガスの流れの経路は、燃料ガス供給経路の一例に相当する。また、上述した燃料ガスの流れの経路のうち、熱交換部7の燃料ガス流路41内を流れる部分が、第1の経路の一例に相当する。また、上述した燃料ガスの流れの経路のうち、通路35、37から発電セル3A、3B、3C、3D、3Eの発電セル内燃料ガス流路49内に入り、発電セル内燃料ガス流路49内を流れて、通路32に至る部分が第2の経路の一例に相当する。また、上述した燃料ガスの流れの経路のうち、通路32から、発電セル3F、3G、3Hの発電セル内燃料ガス流路49内に入り、発電セル内燃料ガス流路49内を流れて、通路36に至る部分が第3の経路の一例に相当する。
【0057】
上述したように、
図1、
図3、
図7における矢印は燃料ガスの流れを表し、そのうち、実線の矢印は第1の経路での燃料ガスの流れを表し、点線の矢印は第2の経路での燃料ガスの流れを表し、一点鎖線の矢印は第3の経路での燃料ガスの流れを表す。
【0058】
すなわち、上述した燃料ガスの流れの経路は、第1の経路、第2の経路、及び第3の経路を直列的に含むものである。ここで、直列的にとは、燃料ガスが、第1の経路、第2の経路、及び第3の経路の順番で流れることを意味する。
【0059】
次に、空気の流れを説明する。空気は、
図2、
図4に示すように、通路33における発電セル3A側の端部(
図2、
図4においてO(IN)と表記)から導入され、通路33を通り、入口63を通って、熱交換部7の空気流路61に入る。さらに、空気は、
図8に示すように、空気流路61内を流れ、出口65を通ってガス通路38に入る。
【0060】
ガス通路38内に入った空気は、
図2、
図4に示すように、ガス通路38内を流れ、8箇所の入口69を通り各発電セル3の発電セル内空気流路67に入る。さらに、空気は、
図2、
図4に示すように、各発電セル3の発電セル内空気流路67内を並列的に流れ、8箇所の出口71を通って、ガス通路34に入る。その後、空気は、ガス通路34における発電セル3H側の端部(
図2、
図4においてO(OUT)と表記)から排出される。なお、上述した空気の流れの経路は、酸化剤ガス供給経路の一例に相当する。
図2、
図4、
図8における矢印は空気の流れを表す。
【0061】
6.燃料電池1が奏する効果
(1)燃料電池1は、隣接する2つの発電セル3D、3E間に熱交換部7を備え、その熱交換部7に燃料ガスを流すことができる。このことにより、発電セル3を効率的に冷却することができる。特に、熱交換部7を、熱が蓄積しやすい燃料電池1の略中央付近に設けることにより、発電セル3を冷却する効果が一層高い。
【0062】
(2)第2の経路において、発電セル3A、3B、3C、3D、3Eでの燃料ガスの入口は、ボルト25、27に設けられた入口51、53であり、発電セル3A、3B、3C、3D、3Eでの燃料ガスの出口は、ボルト22に設けられた出口55である。
【0063】
また、第3の経路において、発電セル3F、3G、3Hでの燃料ガスの入口は、ボルト22に設けられた入口57であり、発電セル3F、3G、3Hでの燃料ガスの出口は、ボルト26に設けられた出口59である。
【0064】
入口51、53は、積層方向から見たとき、発電セル3の辺1Bに沿った2箇所であり、出口55は辺1Bと対向する辺1A側に位置する。また、入口57は、積層方向から見たとき、出口55と重なる位置であり、出口59は入口51、53の中間に位置する。なお、入口51、53の位置は第1位置PA、第2位置PBの一例に相当し、出口55及び入口57の位置は第3位置PCの一例に相当する。辺1Bが第1位置PA、第2位置PBを有する一辺の一例に相当し、辺1Aが「一辺と対向する辺」の一例に相当する。
【0065】
入口51、53、57、出口55、59を上記のように配置することにより、各発電セルで燃料ガスを均一に流し、均一に発電することが可能になる。特に、積層の方向から見たとき、第1位置PAから第3位置PCまでの距離と、第2位置PBから第3位置PCまでの距離とが等しいことにより、各発電セルでの燃料ガスの流れが一層均一になる。
【0066】
また、各発電セル3内における燃料ガスの滞留を抑制することができる。また、燃料ガスの通路を備えるボルトの数を低減することができる。
(3)燃料電池1は、第1の経路、燃料ガスが並列的に流れる第2の経路及び第3の経路を直列的に含む燃料ガス供給経路を有するので、燃料利用率が高い。
【0067】
(4)燃料電池1では、燃料ガス供給経路が、燃料電池1内を積層の方向に延びる複数のガス通路31、32、35、36、37と、ガス通路31、32、35、36から各発電セルの内部又は熱交換部7へ接続する接続口(入口43、51、53、出口45、47、55、57、59)とから成るものである。このため、マニホールドを共通化し、部品点数を抑えることができる。
<第2の実施形態>
1.燃料電池1の構成
燃料電池1の構成は基本的には前記第1の実施形態と同様であるが、一部において相違する。以下では
図9〜
図12に基づき、その相違点を中心に説明し、前記第1の実施形態と同様の部分の説明は省略乃至簡略化する。
【0068】
燃料電池1は、
図9、
図10に示すように、発電セル3の数が7個であり、熱交換部7の数が2個である。2個の熱交換部7は、発電セル3B、3Cの間と、発電セル3E、3Fの間とにそれぞれ設けられている。
【0069】
2.燃料ガス及び酸化剤ガスの流れ
まず、燃料ガスの流れを説明する。燃料ガスは、
図9、
図11に示すように、通路31における発電セル3G側の端部(
図9、
図11においてF(IN)と表記)から導入され、通路31を通り、入口43を通って、2個の熱交換部7それぞれの燃料ガス流路41に入る。さらに、燃料ガスは、2個の熱交換部7それぞれにおいて、
図9に示すように燃料ガス流路41内を流れ、出口45を通って通路35に入るとともに、出口47を通って通路37に入る。なお、入口43、出口45、47は、2個の熱交換部7のそれぞれに対応して設けられている。
【0070】
通路35内に入った燃料ガスは、
図9、
図11に示すように、通路35内を流れ、5箇所の入口51を通り(分岐して)、発電セル3A、3B、3C、3D、3Eの発電セル内燃料ガス流路49に入る。また、通路37に入った燃料ガスは、5箇所の入口53を通り、発電セル3A、3B、3C、3D、3Eの発電セル内燃料ガス流路49に入る。
【0071】
さらに、燃料ガスは、
図9、
図11に示すように、発電セル3A、3B、3C、3D、3Eにおける発電セル内燃料ガス流路49内を並列的に流れ、出口55を通って、通路32に入る。
【0072】
さらに、燃料ガスは、通路32を通り、2箇所の入口57を通って、発電セル3F、3Gの発電セル内燃料ガス流路49に入る。燃料ガスは、
図9、
図11に示すように、発電セル3F、3Gにおける発電セル内燃料ガス流路49内を並列的に流れ、出口59を通って、通路36に入る。
【0073】
その後、燃料ガスは、通路36における発電セル3H側の端部(
図9、
図11においてF(OUT)と表記)から排出される。
次に、空気の流れを説明する。空気は、
図10、
図12に示すように、通路33における発電セル3A側の端部(
図10、
図12においてO(IN)と表記)から導入され、通路33を通り、2箇所の入口63を通って、2個の熱交換部7それぞれの空気流路61に入る。さらに、空気は、2個の熱交換部7それぞれにおいて、
図10に示すように、空気流路61内を流れ、2箇所の出口65を通ってガス通路38に入る。
【0074】
ガス通路38内に入った空気は、
図10、
図12に示すように、ガス通路38内を流れ、入口69を通り各発電セル3の発電セル内空気流路67に入る。さらに、空気は、
図10、
図12に示すように、発電セル内空気流路67内を並列的に流れ、出口71を通って、通路34に入る。その後、空気は、ガス通路34における発電セル3G側の端部(
図10、
図12においてO(OUT)と表記)から排出される。
【0075】
3.燃料電池1が奏する効果
燃料電池1は、前記第1の実施形態と略同様の効果を奏することができる。また、熱交換部7を2個備えることにより、発電セル3を冷却する効果が一層高い。
<第3の実施形態>
1.燃料電池1の構成
本実施形態における燃料電池1の構成は基本的には前記第2の実施形態と同様であるが、一部において相違する。以下では
図13、
図14に基づき、その相違点を中心に説明し、前記第2の実施形態と同様の部分の説明は省略乃至簡略化する。
【0076】
燃料電池1は、
図13、
図14に示すように、発電セル3の数が7個であり、熱交換部7の数が2個である。2個の熱交換部7のうちの一方は、エンドプレート8と発電セル3Aとの間に設けられている。また、2個の熱交換部7のうちの他方は、エンドプレート9と発電セル3Gとの間に設けられている。すなわち、2個の熱交換部7は、いずれも、発電セル3のスタックのうち、発電セル3の積層方向における端に位置する発電セル3の外側に設けられ、その端部の発電セル3に接している。
【0077】
また、燃料電池1は、発熱器163、165を備えている。発熱器163は、エンドプレート8の外側(
図13、
図14における上側)に設けられており、エンドプレート8に接している。また、発熱器165は、エンドプレート9の外側(
図13、
図14における下側)に設けられており、エンドプレート9に接している。
【0078】
発熱器163、165は、いずれも、金属から成る中空箱型の筐体167と、その内部に収容された燃焼触媒169とを備える。
孔11〜18は、発熱器163、165も含め、燃料電池1を貫通している。ボルト21〜28は、孔11〜18を通り、発熱器163、165も含め、燃料電池1の一方の端から、他方の端まで達する。ボルト21〜28の一部は、筐体167の内部の空間171に存在する。
【0079】
ナット19は、発熱器163、165の外側からボルト21〜28に螺合し、発電セル3、熱交換部7、エンドプレート8、9、及び発熱器163、165を相互に固定している。
【0080】
発熱器163、165は、それぞれ、その側面に排気管173を備えている。発熱器163内の空間171と、発熱器163の外部とは、排気管173を介して連通している。また、発熱器165内の空間171と、発熱器165の外部とは、排気管173を介して連通している。
【0081】
ボルト26は、発熱器163内の空間171と、通路36とを接続する孔である出口174を備えている。また、ボルト26は、発熱器165内の空間171と、通路36とを接続する孔である出口175を備えている。なお、ボルト26は、発熱器163、165より外側においては、通路36と外部とを接続する孔を備えていない。
【0082】
ボルト24は、発熱器163内の空間171と、通路34とを接続する孔である出口177を備えている。また、ボルト24は、発熱器165内の空間171と、通路34とを接続する孔である出口179を備えている。なお、ボルト24は、発熱器163、165より外側においては、通路34と外部とを接続する孔を備えていない。
【0083】
2.燃料ガス及び酸化剤ガスの流れ
本実施形態における燃料ガス及び酸化剤ガスの流れは、基本的には前記第2の実施形態と同様である。ただし、発電セル3F、3Gを通り、通路36に入った燃料ガスは、出口174を通って、発熱器163内に入るとともに、出口175を通って、発熱器165内に入る。
【0084】
また、各発電セルを通り、通路34に入った空気は、出口177を通って、発熱器163内に入るとともに、出口179を通って、発熱器165内に入る。
発熱器163内では、出口174から導入された燃料ガスと、出口177から導入された空気とが、燃焼触媒169の作用、もしくは接触燃焼(高温状態で燃料ガスと酸化剤ガスとが出会うことで起こる燃焼)の作用により燃焼する。燃焼後の排ガスは、排気管173から外部に排出される。発熱器163における燃焼で生じた熱は、エンドプレート8を介して、発電セル3に供給される。
【0085】
また、発熱器165内では、出口175から導入された燃料ガスと、出口179から導入された空気とが、燃焼触媒169の作用、もしくは接触燃焼(高温状態で燃料ガスと酸化剤ガスとが出会うことで起こる燃焼)の作用により燃焼する。燃焼後の排ガスは、排気管173から外部に排出される。発熱器165における燃焼で生じた熱は、エンドプレート9を介して、発電セル3に供給される。
【0086】
3.燃料電池1が奏する効果
(1)燃料電池1は、前記第2の実施形態と略同様の効果を奏することができる。
(2)燃料電池1は、発電セル3のスタックにおける端部に発熱器163、165を備えているので、発電セル3のスタックにおける端部と中央との温度差を低減することができる。
【0087】
(3)燃料電池1は、2個の熱交換部7を、発電セル3のスタックにおける端部に備えているので、発熱器163,165によって、スタックの端部に位置する発電セル3の温度が過度に上昇してしまうことを抑制できる。
<第4の実施形態>
1.燃料電池1の構成
本実施形態における燃料電池1の構成は基本的には前記第2の実施形態と同様であるが、一部において相違する。以下では
図15、
図16に基づき、その相違点を中心に説明し、前記第2の実施形態と同様の部分の説明は省略乃至簡略化する。
【0088】
燃料電池1は、
図15、
図16に示すように、発電セル3の数が7個であり、熱交換部7の数が2個である。2個の熱交換部7のうちの一方は、発電セル3Dと発電セル3Eとの間に設けられている。また、2個の熱交換部7のうちの他方は、エンドプレート9と発電セル3Gとの間に設けられている。すなわち、2個の熱交換部7のうち一方は、発電セル3のスタックにおける中央付近に設けられ、他方は、発電セル3のスタックのうち、積層方向の端に位置する発電セル3の外側に設けられ、その端の発電セル3に接している。
【0089】
また、燃料電池1は、発熱器181を備えている。発熱器181は、エンドプレート9の外側(
図15、
図16における下側)に設けられており、エンドプレート9に接している。
【0090】
発熱器181は、金属から成る中空箱型の筐体167と、その内部に収容された燃焼触媒169とを備える。
孔11〜18は、発熱器181も含め、燃料電池1を貫通している。ボルト21〜28は、孔11〜18を通り、発熱器181も含め、燃料電池1の一方の端から、他方の端まで達する。ボルト21〜28の一部は、筐体181の内部の空間171に存在する。
【0091】
ナット19は、発熱器181の外側、及びエンドプレート8の外側からボルト21〜28に螺合し、発電セル3、熱交換部7、エンドプレート8、9、及び発熱器181を相互に固定している。
【0092】
発熱器181は、その側面に排気管173を備えている。発熱器181内の空間171と、発熱器181の外部とは、排気管173を介して連通している。
ボルト26は、発熱器181内の空間171と、通路36とを接続する孔である出口175を備えている。なお、ボルト26は、発熱器181より外側においては、通路36と外部とを接続する孔を備えていない。
【0093】
ボルト24は、発熱器181内の空間171と、通路34とを接続する孔である出口179を備えている。なお、ボルト24は、発熱器181より外側においては、通路34と外部とを接続する孔を備えていない。
【0094】
2.燃料ガス及び酸化剤ガスの流れ
本実施形態における燃料ガス及び酸化剤ガスの流れは、基本的には前記第2の実施形態と同様である。ただし、発電セル3F、3Gを通り、通路36に入った燃料ガスは、出口175を通って、発熱器181内に入る。また、各発電セルを通り、通路34に入った空気は、出口179を通って、発熱器181内に入る。
【0095】
発熱器181内では、出口175から導入された燃料ガスと、出口179から導入された空気とが、燃焼触媒169の作用、もしくは接触燃焼(高温状態で燃料ガスと酸化剤ガスとが出会うことで起こる燃焼)の作用により燃焼する。燃焼後の排ガスは、排気管173から外部に排出される。発熱器181における燃焼で生じた熱は、エンドプレート9を介して、発電セル3に供給される。
【0096】
3.燃料電池1が奏する効果
(1)燃料電池1は、前記第2の実施形態と略同様の効果を奏することができる。
(2)燃料電池1は、発電セル3のスタックにおける端部に発熱器181を備えているので、発電セル3のスタックにおける端部と中央との温度差を低減することができる。
【0097】
(3)燃料電池1は、1個の熱交換部7を、発電セル3のスタックのうち、発熱器181側の端部に備えているので、発熱器181により、スタックの端部に位置する発電セル3の温度が過度に上昇してしまうことを抑制できる。
【0098】
(4)燃料電池1は、1個の熱交換部7を、発電セル3のスタックにおける中央付近に備える。そのため、発電セル3を効果的に冷却することができる。
<その他の実施形態>
(1)前記第1〜第4の実施形態の燃料電池1が備える発電セル3の数は7個又は8個に限定されず、適宜設定することができる。また、燃料電池1が備える熱交換部7の数は1個又は2個に限定されず、適宜設定することができる。
【0099】
(2)前記第1〜第4の実施形態の燃料電池1において、熱交換部7の積層方向における位置は、燃料電池1の中央であってもよいし、端部寄りであってもよい。
(3)前記第1〜第4の実施形態の燃料電池1において、入口51、53、出口59の位置関係は上述したものには限定されない。例えば、積層方向から見たとき、出口59の位置は、入口51、53から等距離であってもよいし、入口51、53のうちの一方寄りであってもよい。また、出口59の位置は、入口51、53を結ぶ直線上にあってもよいし、その直線から外れた位置にあってもよい。
【0100】
また、出口55、入口57の位置も、上述したものには限定されない。例えば、積層方向から見たとき、出口55、入口57は、ボルト21、23から等距離であってもよいし、ボルト21、23のうちの一方寄りであってもよい。また、出口55、入口57の位置は、ボルト21、23を結ぶ直線上にあってもよいし、その直線から外れた位置にあってもよい。
【0101】
(4)前記第1、第2の実施形態の燃料電池1は、前記第3、第4の実施形態と同様の発熱器を備えてもよい。この場合、発熱器は、発電セル3のスタックにおける片側に設けてもよいし、両側に設けてもよい。また、前記第4の実施形態の燃料電池1は、前記第3の実施形態と同様に、発電セル3のスタックにおける両側に発熱器を備えてもよい。
【0102】
(5)前記第3、第4の実施形態の燃料電池1は、発熱器を備えないものであってもよい。また、前記第3の実施形態の燃料電池1は、発熱器を1個だけ備えるものであってもよい。
【0103】
(6)前記第3、第4の実施形態の燃料電池1は、熱交換部7を1個だけ備えるものであってもよい。その熱交換部7の位置は、発電セル3のスタックにおける端部(エンドプレート8と発電セル3Aとの間、又は、エンドプレート9と発電セル3Gとの間)であってもよいし、発電セル3のスタックにおける中央付近であってもよい。
【0104】
(7)前記第1の実施形態の燃料電池1における熱交換部7の位置は、発電セル3のスタックにおける端部(エンドプレート8と発電セル3Aとの間、又は、エンドプレート9と発電セル3Hとの間)であってもよい。
【0105】
(8)前記第2の実施形態の燃料電池1における一方又は両方の熱交換部7の位置は、発電セル3のスタックにおける端部(エンドプレート8と発電セル3Aとの間、又は、エンドプレート9と発電セル3Gとの間)であってもよい。
【0106】
(9)前記各実施形態では、燃料電池の燃料ガス通路は、ボルトの内部に形成された空洞(中空ボルト)としたが、これに限ることはない。燃料ガス通路は、中実ボルト(内部に空洞が無いボルト)の外表面の外側に形成してもよい。尚、燃料電池に中実ボルトと、中空ボルトとを、併設してもよい。
【0107】
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。