(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5712384
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】演出制御方法及び演出制御装置
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
A63F7/02 326Z
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-11766(P2011-11766)
(22)【出願日】2011年1月24日
(65)【公開番号】特開2012-152268(P2012-152268A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2012年2月24日
【審判番号】不服2012-24027(P2012-24027/J1)
【審判請求日】2012年12月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398034168
【氏名又は名称】株式会社アクセル
(74)【代理人】
【識別番号】100106426
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 賢二
(72)【発明者】
【氏名】客野 一樹
【合議体】
【審判長】
長崎 洋一
【審判官】
瀬津 太朗
【審判官】
吉村 尚
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−225972(JP,A)
【文献】
特開2004−254766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F7/02,304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像を表示する表示部とは別に、演出たる情報出力の出力手段であり、各々に識別番号が付されたR,G,BのフルカラーLEDである複数のLED発光素子を備え、
前記複数のLED発光素子を明滅させるための発光制御データを、前記動画像が格納されるデータ格納部に共に格納しておき、
前記データ格納部に対する指令に基づいて、前記動画像を表示させるとともに、演出制御部により、前記発光制御データを読み出して前記複数のLED発光素子を明滅させる演出制御方法であって、
前記発光制御データは、前記複数のLED発光素子の輝度値データのみを圧縮する圧縮方法により圧縮して前記格納部に格納されたものであり、
かつ、前記発光制御データは、前記複数のLED発光素子における各識別番号のLED発光素子ごとの時間方向の輝度値の差分が少ない相関を利用して符号化し、また、前記複数のLED発光素子における時刻ごとの近接する識別番号のLED発光素子相互間の輝度値の差分が少ない相関を利用して符号化したものであることを特徴とする演出制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の演出制御方法であって、
前記圧縮方法は、差分予測符号化方法であることを特徴とする、演出制御方法。
【請求項3】
動画像を表示する表示部とは別に、演出たる情報出力の出力手段であり、各々に識別番号が付されたR,G,BのフルカラーLEDである複数のLED発光素子を備え、
前記複数のLED発光素子を明滅させるための発光制御データが格納されるとともに、前記動画像が格納されるデータ格納部を含み、
前記データ格納部に対する指令に基づいて、前記動画像を表示させるとともに、演出制御部により、前記発光制御データを読み出して前記複数のLED発光素子を明滅させる演出制御装置であって、
前記発光制御データは、前記複数のLED発光素子の輝度値データのみを圧縮する圧縮方法により圧縮して前記データ格納部に格納されたものであり、
かつ、前記発光制御データは、前記複数のLED発光素子における各識別番号のLED発光素子ごとの時間方向の輝度値の差分が少ない相関を利用して符号化し、また、前記複数のLED発光素子における時刻ごとの近接する識別番号のLED発光素子相互間の輝度値の差分が少ない相関を利用して符号化したものであることを特徴とする演出制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の演出制御装置であって、
前記発光制御データが格納されるデータ格納部は、圧縮された画像データが格納されるCGROMであることを特徴とする、演出制御装置。
【請求項5】
請求項3に記載の演出制御装置であって、
前記圧縮方法は、差分予測符号化方法であることを特徴とする、演出制御装置。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか1項に記載の演出制御装置であって、
遊技機に組み込まれることを特徴とする、演出制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の演出制御装置であって、
前記遊技機は、パチンコ機であることを特徴とする、演出制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機等で行われる演出制御方法、及び遊技機等で使用される演出制御装置に関し、特に、データ格納手段の容量を有効に活用しつつ、CPUの負荷を軽減できる演出制御方法及び演出制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機、ゲーム機等の遊技機は、画像表示部(典型的には、液晶表示装置)に動画像を表示することに加えて、緊迫感や臨場感の向上等を目的として、遊技の進行に応じて、スピーカ等の音声出力部から音声を出力し、また、発光ダイオード(LED:Light Emitted Diode)等の複数の発光装置(素子)から光を発することが今や常識となっている。
【0003】
ここで発光装置を発光させることに注目すると、遊技の進行に応じて如何に当該発光装置を発光させるかは、予めデータ(以下、「ランプデータ」と称す)として作成され、電子情報として格納しておくことが一般的である。
【0004】
図5は、遊技機に使用される、動画像に加えて発光素子の明滅を演出するための従来の演出制御装置の概略構成を示すブロック図である。同図に示す従来の演出制御装置は、上位装置であるCPU(Central Processing Unit)10と、演出のためにCPU10が実行するプログラムを予め格納するプログラムROM(Read Only Memory)100と、統合化LSI(Large Scale Integration)20と、典型的にはLEDである複数の発光素子4
1〜4
4と、統合化LSI20からシリアルデータを入力して複数の発光素子4
1〜4
4を駆動するシリアル入力発光素子ドライバ3と、典型的には液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)である表示部5と、表示部5に動画、静止画等を表示するための圧縮画像データが格納されるキャラクタ・ジェネレータROM(以下、「CGROM(Character Generator Read Only Memory)」と称す)70と、を備えている。
【0005】
また、統合化LSI20は、レジスタ201と、シリアルコントローラ202と、グラフィック処理部203とを備えている。また、プログラムROM100には、前述のランプデータLDも格納されている。CPU10は、プログラムROM100から読み出して入力した命令群ISを一時的に格納する。
【0006】
なお、音声による演出も行われる場合には、統合化LSI20は、オーディオ処理部も備えることとなり、それに応じて、統合化LSI20には、スピーカ等の音声出力手段が接続されることとなる。
【0007】
なお、シリアルコントローラ202には、発光素子4
1〜4
4を駆動するためのシリアル入力発光素子ドライバ3が接続されているが、一般的には、これに限られない。すなわち、パチンコ機等の遊技機には、いわゆる役物といわれる機械的動作を為す機構が備わっているが、その役物の動きを制御するための各種のデバイス(同期電動機(ステッピングモータ)、整流子電動機、誘導電動機といったモータ類)が接続されてそれらを駆動するための他のドライバも接続される。
【0008】
次に、
図5に示した従来の演出制御装置の動作を説明する。
CPU10と統合化LSI20とは、外部バスを介して接続されており、CPU10によって発行されたコマンド及びパラメータ(以下、これらを単に「コマンド」と称す)が統合化LSI20内のレジスタ201に格納される。このコマンドには、少なくとも、グラフィック処理部203の処理内容を規定するグラフィック系コマンドと、シリアルコントローラ202の処理内容を規定するシリアル制御系コマンドとがある。また、前述のように、一般的に、統合化LSIがオーディオ処理部を有する場合には、オーディオ処理部の処理内容を規定するオーディオ系コマンドが含まれる。
【0009】
統合化LSI20内のグラフィック処理部203は、レジスタ201に格納されたグラフィック系コマンドを読み込み、このコマンドによって指示されたグラフィック処理を行う。グラフィック処理は、CGROM70に格納された圧縮画像データCIDを外部バスを介して取り込み、これに描画処理を施した上でフレームメモリ(図示せず)に書き込むといった流れが基本となる。そして、フレームメモリから読み出された1フレーム分の画像は、垂直同期信号による同期制御の下、統合化LSI20に接続されたバスを介して表示部5に表示される。
【0010】
統合化LSI20内のシリアルコントローラ202は、レジスタ201に格納されたシリアル制御系コマンドを読み込むとともに、そのコマンド内容に応じて、プログラムROM100からCPU10経由でランプデータLDを入力する。シリアルコントローラ202は、読み込まれたコマンドに応じて、ランプデータをシリアルデータとしてシリアルデータ線に出力することによって、複数の発光素子4
1〜4
4を制御して、それらを明滅させる。本例では、各発光素子4自体はシリアルデータを解析する機能を備えていないので、各発光素子4の駆動は、この機能を備えたシリアル入力発光素子ドライバ3を介して行われる。
【0011】
シリアル入力発光素子ドライバ3は、シリアルデータ線に供給されたランプデータを受け取り、これに応じて、接続された発光素子4
1〜4
4を駆動、すなわち明滅させる。なお、シリアル入力発光素子ドライバ3がシリアルコントローラ202からのシリアルデータから各データを取得するタイミング制御は、図示しないクロック線を介して、シリアルコントローラ202がシリアル入力発光素子ドライバ3にクロックを供給することによって行われる。
【0012】
グラフィック処理部203及びシリアルコントローラ202は、互いの処理が同期するように制御される。これらの制御によって、表示部5に表示される動画と、発光素子4の点灯状態とが同期し、これらの相互的な演出によって高度な演出効果が発揮される。つまり、画像表示とシリアル制御との同期を図るべく、例えば、画像表示に用いられる垂直同期信号がシリアルコントローラ202に供給されている。
上述のような演出制御装置が開示された先行技術文献としては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−174098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、パチンコ機に代表される遊技機は、技術の高度化に伴って、その演出も巧みに複雑化している。例えば、LED等の発光素子についていえば、技術の高度化に伴って、多くの数の発光素子が細やかに制御可能になってきている。従って、それに応じて前述のランプデータのデータ量も何千というように増大してきている。このことは遊技機に限らず、各種照明装置や電飾装置についても同様である。
【0015】
一方、従来からかかるランプデータの作成は手作業が基本であったが、その作成ツールも開発され、それを利用すれば、演出の巧みさの要請に応えるべく、大容量のランプデータを容易に作成できるようになった。
【0016】
このような事情から、前述のように、プログラムROMにそのまま格納しておく形態では対応しきれなくなってきた。すなわち、プログラムROMの容量は、CPUの動作上制約されるので、遊技機における何千という多くのランプデータを格納できなくなってきた。また、上記特許文献1にあるように、音声データは圧縮されて格納されている(当該文献の段落[0023])一方で、ランプデータについては圧縮するという概念すら確立していない状況である(同[0026])。
【0017】
本発明は上述のような事情から為されたものであり、本発明の目的は、データ格納手段の容量を有効に活用しつつ、CPUの負荷を軽減できる演出制御方法及び演出制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の演出制御方法は、
動画像を表示する表示部とは別に、演出たる情報出力の出力手段であり、各々に識別番号が付されたR,G,BのフルカラーLEDである複数のLED発光素子を備え、前記複数のLED発光素子を明滅させるための発光制御データを、前記動画像が格納されるデータ格納部に共に格納しておき、 前記データ格納部に対する指令に基づいて、前記動画像を表示させるとともに、演出制御部により、前記発光制御データを読み出して前記複数のLED発光素子を明滅させる演出制御方法であって、 前記発光制御データは、前記複数のLED発光素子の輝度値データのみを圧縮する圧縮方法により圧縮して前記格納部に格納されたものであり、かつ、前記発光制御データは、前記複数のLED発光素子における各識別番号のLED発光素子ごとの時間方向の輝度値の差分が少ない相関を利用して符号化し、また、前記複数のLED発光素子における時刻ごとの近接する識別番号のLED発光素子相互間の輝度値の差分が少ない相関を利用して符号化したものであることを特徴とする。
【0019】
また、上記目的を達成するため、本発明の演出制御装置は、
動画像を表示する表示部とは別に、演出たる情報出力の出力手段であり、各々に識別番号が付されたR,G,BのフルカラーLEDである複数のLED発光素子を備え、前記複数のLED発光素子を明滅させるための発光制御データが格納されるとともに、前記動画像が格納されるデータ格納部を含み、 前記データ格納部に対する指令に基づいて、前記動画像を表示させるとともに、演出制御部により、前記発光制御データを読み出して前記複数のLED発光素子を明滅させる演出制御装置であって、 前記発光制御データは、前記複数のLED発光素子の輝度値データのみを圧縮する圧縮方法により圧縮して前記データ格納部に格納されたものであり、かつ、前記発光制御データは、前記複数のLED発光素子における各識別番号のLED発光素子ごとの時間方向の輝度値の差分が少ない相関を利用して符号化し、また、前記複数のLED発光素子における時刻ごとの近接する識別番号のLED発光素子相互間の輝度値の差分が少ない相関を利用して符号化したものであることを特徴とする。
【0021】
そのとき、前記演出たる情報出力の出力手段であって、前記演出制御部に接続された
画像表示部を更に備え、前記発光制御データが格納されるデータ格納部は、圧縮された画像データが主に格納されるCGROMであり、前記演出制御部は、前記デコード開始指示手段からの画像出力に係るデコード開始指令に基づいて、前記CGROMから前記画像データを読み出して展開し、前記
画像表示部に画像を表示させるように制御することが好適である。
【0022】
あるいは、前記演出たる情報出力の出力手段であって、前記演出制御部に接続された音声出力部を更に備え、前記発光制御データが格納されるデータ格納部は、圧縮された音声データが主に格納される音声ROMであり、前記演出制御部は、前記デコード開始指示手段からの音声出力に係るデコード開始指令に基づいて、前記音声ROMから前記音声データを読み出して展開し、前記音声出力部から音声を出力されるように制御することが好適である。
【0024】
前記
所定の圧縮手法は、差分予測符号化方式
であることが好適である。
【0025】
当該演出制御装置は、遊技機に組み込まれることが好適である。更に、当該遊技機は、パチンコ機であることが好適である。
【0026】
一方、上記目的を達成するため、本発明の演出制御装置は、演出たる情報出力の出力手段である複数の発光素子と、前記複数の発光素子を明滅させるための発光制御データが格納されるデータ格納部と、発光制御開始指示手段からの発光制御に係る指令に基づいて、前記データ格納部から前記発光制御データを読み出し、前記複数の発光素子を明滅させる演出制御部と、を備える演出制御装置であって、前記データ格納部は、前記演出制御部に直接、前記発光制御データを与えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の演出制御方法及び演出制御装置によれば、発光素子を明滅させるための発光制御データを圧縮して格納しておけば、データ格納手段の容量を有効に活用できる。その上、その発光制御データを、演出制御部に直接接続され、画像データが主に格納されるCGROM、又は音声データが主に格納される音声ROMに格納するようにすれば、更に、上位指令制御部の負荷を軽減できる、という効果がある。一方、圧縮せずにCGROM又は音声ROMに格納するようにしても、それだけで上位指令制御部の負荷を軽減できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の演出制御装置に基づく第一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の演出制御装置に基づく第二実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の演出制御装置に基づく第三実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、従来における演出制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第一実施形態>
図1は、本発明の演出制御装置に基づく第一実施形態の概略構成を示すブロック図である。同図において、当該第一実施形態に係る演出制御装置は、上位装置であるCPU1と、統合化LSI2aと、典型的にはLEDである複数の発光素子4
1〜4
4と、統合化LSI2aからシリアルデータを入力して複数の発光素子4
1〜4
4を駆動するシリアル入力発光素子ドライバ3と、典型的には液晶表示装置(LCD)である表示部5と、表示部5に動画、静止画等を表示するための圧縮画像データCIDが格納されるCGROM7と、を備えている。
【0030】
また、統合化LSI2aは、レジスタ21と、シリアルコントローラ22と、グラフィック処理部23とを備えている。CPU1は、プログラムROM(図示せず)から読み出して入力した命令群ISを一時的に格納する。更に、本実施の形態では特に、CGROM7に、画像データに加えて、圧縮されたランプデータCLDを格納している。
【0031】
なお、本実施の形態では、発光素子4を模式的に4つ示しているが、その数はそれに限られることはない。また、本実施の形態では、シリアルコントローラ22には、発光素子4
1〜4
4を駆動するためのシリアル入力発光素子ドライバ3が接続されているが、一般的には、これに限られず、各種のデバイス(同期電動機(ステッピングモータ)、整流子電動機、誘導電動機といったモータ類)が接続されてそれらを駆動するための他のドライバも接続される。
【0032】
図4は、圧縮前のランプデータの例を表形式で示している。ここで、ID番号は、各発光素子に対応するものであり、ここでは、n個の場合を示している。各ID番号について、R,G,Bの各輝度が、0.1秒ごとの時系列で規定されている。各輝度は、256諧調の分解能であり、各ID番号について、同時の輝度合計が255になるように設定されている。
【0033】
図4を更に詳しくみると、R,G,Bの各輝度が、時間軸方向に長い間、一定値を継続している発光素子が多いことが分かる。例えば、ID番号1、ID番号2、及びID番号nの発光素子は、時刻1.0秒まで同じ状態を維持している。これが特にパチンコ機等の遊技機に使用される発光素子の明滅動作の特徴である。
【0034】
従って、このようなデータ列に対しては、動画像で採用されるような差分予測符号化と同様の方式による圧縮が有効となる。
【0035】
つまり、
図4に示すように、前述のように、ランプの輝度データは、時間方向に相関がある場合が一般的である。そこで、あるフレームを符号化する場合、直前フレームの輝度値との差分をエントロピー符号化することで、符号化効率を高めることができる。また、フレーム内であっても、近接する発光素子の輝度値にも相関がある可能性が高いため、フレーム内で、近接する発光素子の輝度値との差分をエントロピー符号化することで、符号化効率を高めることができる。
【0036】
また、上述のようなフレーム間差分予測符号化やフレーム内差分予測符号化以外に、辞書式圧縮や、輝度値をシンボルとした単純なエントロピー符号化を適用してもよい。更に、離散コサイン変換(DCT:Discrete Cosine Transform)等を利用して、輝度データを時間方向もしくはアドレス方向に周波数変換し、その周波数成分に対してエントロピー符号化を適用してもよい。また、無歪圧縮ではなく、量子化などを加えて歪圧縮としてもよい。
【0037】
なお、
図4に示した例は、発光素子4がフルカラーLEDの場合を想定しているが、これに限らず、単色LED、白熱電球、ハロゲンランプ、ネオン管、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)等の発光素子であってもよい。
【0038】
次に、
図1に示した演出制御装置の動作を説明する。
CPU1と統合化LSI2aとは、外部バスを介して接続されており、CPU1によって発行されたコマンド及びパラメータ(以下、これらを単に「コマンド」と称す)が統合化LSI2a内のレジスタ21に格納される。このコマンドには、少なくとも、グラフィック処理部23の処理内容を規定するグラフィック系コマンドと、シリアルコントローラ22の処理内容を規定するシリアル制御系コマンドとがある。また、後述する第二実施形態のように、統合化LSIが音声処理部を有する場合には、音声処理部の処理内容を規定するオーディオ系コマンドが含まれる。
【0039】
統合化LSI2a内のグラフィック処理部23は、レジスタ21に格納されたグラフィック系コマンドを読み込み、このコマンドによって指示されたグラフィック処理を行う。グラフィック処理は、CGROM7に格納された画像データCIDを外部バスを介して取り込み、これに描画処理を施した上でフレームメモリ(図示せず)に書き込むといった流れが基本となる。そして、フレームメモリから読み出された1フレーム分の画像は、垂直同期信号による同期制御の下、統合化LSI2aに接続されたバスを介して表示部5に表示される。
【0040】
統合化LSI2a内のシリアルコントローラ22は、レジスタ21に格納されたシリアル制御系コマンドを読み込むとともに、そのコマンド内容に応じて、CGROM7に格納された圧縮ランプデータCLDを読み込む。読み込まれた圧縮ランプデータCLDは、統合化LSI2a内の図示しない伸長部で伸長される。シリアルコントローラ22は、読み込まれたコマンドに応じて、伸長されたランプデータをシリアルデータとしてシリアルデータ線に出力することによって、複数の発光素子4
1〜4
4をシリアル制御して、それらを明滅させる。本実施の形態においては、各発光素子4自体はシリアルデータを解析する機能を備えていないので、各発光素子4の駆動は、この機能を備えたシリアル入力発光素子ドライバ3を介して行われる。
【0041】
シリアル入力発光素子ドライバ3は、シリアルデータ線に供給されたランプデータを受け取り、これに応じて、接続された発光素子4
1〜4
4を駆動、すなわち明滅させる。なお、シリアル入力発光素子ドライバ3との同期は、図示しないクロック線を介して、シリアルコントローラ22がシリアル入力発光素子ドライバ3にクロックを供給することによって行われる。
【0042】
なお、グラフィック処理部23及びシリアルコントローラ22は、互いの処理が同期するように制御される。これらの制御によって、表示部5に表示される動画と、発光素子4の点灯状態とが同期し、これらの相互的な演出によって高度な演出効果が発揮される。つまり、画像表示とシリアル制御との同期を図るべく、画像表示に用いられる垂直同期信号がシリアルコントローラ22に供給されている。
【0043】
以上のように、上述の第一実施形態においては、ランプデータを圧縮してCGROM7に格納している。
【0044】
つまり、まず、格納場所の観点から、ランプデータを従来のようにプログラムROMに格納しておいてCPUを介して読み出してくるのではなく、CGROM7に格納させている。プログラムROMの容量は数メガバイトであるのに対して、CGROM7の容量は、ギガ単位であるので、大容量のランプデータに対応できる。併せて、CPUを介することがないので、CPUの負荷を軽減することができる。
【0045】
また、格納方式の観点から、ランプデータを圧縮して格納しているので、容量の大きいCGROM7を更に有効に利用することができる。
【0046】
<第二実施形態>
図2は、本発明の演出制御装置に基づく第二実施形態の概略構成を示すブロック図である。以下、
図1に示した第一実施形態と同一の構成部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
図2において、当該第二実施形態に係る演出制御装置は、上位装置であるCPU1と、統合化LSI2bと、典型的にはLEDである複数の発光素子4
1〜4
4と、統合化LSI2bからシリアルデータを入力して複数の発光素子4
1〜4
4を駆動するシリアル入力発光素子ドライバ3と、典型的にはスピーカである音声出力部6と、音声処理部6から演出音声を出力するための圧縮音声データCADが格納される音声ROM8と、を備えている。
【0048】
また、統合化LSI2bは、レジスタ21と、シリアルコントローラ22と、音声処理部24とを備えている。本実施の形態では特に、音声ROM8に、音声データに加えて、圧縮されたランプデータCLDを格納している。なお、ランプデータの例としては第一実施形態と同様である。
【0049】
次に、
図2に示した演出制御装置の動作を説明する。
CPU1と統合化LSI2bとは、外部バスを介して接続されており、CPU1によって発行されたコマンドが統合化LSI2b内のレジスタ21に格納される。このコマンドは、本実施の形態においては、音声処理部24の処理内容を規定するオーディオ系コマンドと、シリアルコントローラ22の処理内容を規定するシリアル制御系コマンドである。
【0050】
ここで、統合化LSI2b内の音声処理部24は、レジスタ21に格納されたオーディオ系コマンドを読み込み、このコマンドによって指示されたオーディオ処理を行う。オーディオ処理は、外部の音声ROM8に格納された圧縮音声データCADを外部バスを介して取り込み、これに信号処理を施すといった流れが基本となる。そして、このオーディオ処理によって生成された音声は、統合化LSI2bに接続されたバスを介して音声出力部6に出力される。
【0051】
統合化LSI2b内のシリアルコントローラ22は、レジスタ21に格納されたシリアル制御系コマンドを読み込むとともに、そのコマンド内容に応じて、音声ROM8に格納された圧縮ランプデータCLDを読み込む。読み込まれた圧縮ランプデータCLDは、統合化LSI2b内の図示しない伸長部で伸長される。シリアルコントローラ22は、読み込まれたコマンドに応じて、伸長されたランプデータをシリアルデータとしてシリアルデータ線に出力することによって、複数の発光素子4
1〜4
4をシリアル制御して、それらを明滅させる。
【0052】
なお、音声処理部24及びシリアルコントローラ22は、互いの処理が同期するように制御される。これらの制御によって、音声出力部6から出力される音声と、発光素子4の点灯状態とが同期し、これらの相互的な演出によって高度な演出効果が発揮される。
【0053】
以上のように、上述の第二実施形態においては、ランプデータを圧縮して音声ROM8に格納している。
【0054】
つまり、まず、格納場所の観点から、ランプデータを従来のようにプログラムROMに格納しておいてCPUを介して読み出してくるのではなく、音声ROM8に格納させている。プログラムROMの容量は数メガバイトであるのに対して、音声ROM8の容量は、ギガ単位であるので、大容量のランプデータに対応できる。併せて、CPUを介することがないので、CPUの負荷を軽減することができる。
【0055】
また、格納方式の観点から、ランプデータを圧縮して格納しているので、容量の大きい音声ROM8を更に有効に利用することができる。
【0056】
<第三実施形態>
図3は、本発明の演出制御装置に基づく第三実施形態の概略構成を示すブロック図である。以下、
図1に示した第一実施形態、又は
図2に示した第二実施形態と同一の構成部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0057】
図3において、当該第三実施形態に係る演出制御装置は、上位装置であるCPU1と、統合化LSI2cと、典型的にはLEDである複数の発光素子4
1〜4
4と、統合化LSI2aからシリアルデータを入力して複数の発光素子4
1〜4
4を駆動するシリアル入力発光素子ドライバ3と、典型的には液晶表示装置(LCD)である表示部5と、典型的にはスピーカである音声出力部6と、表示部5に動画、静止画等を表示するための圧縮画像データCIDが格納されるとともに、音声処理部6から演出音声を出力するための圧縮音声データCADが格納されるCG/音声ROM9と、を備えている。
【0058】
また、統合化LSI2cは、レジスタ21と、シリアルコントローラ22と、グラフィック処理部23と、音声処理部24とを備えている。本実施の形態では特に、CG/音声ROM9に、画像データ及び音声データに加えて、圧縮されたランプデータCLDを格納している。なお、ランプデータの例としては第一実施形態と同様である。
【0059】
次に、
図3に示した演出制御装置の動作を説明する。
CPU1と統合化LSI2cとは、外部バスを介して接続されており、CPU1によって発行されたコマンドが統合化LSI2c内のレジスタ21に格納される。このコマンドには、少なくとも、グラフィック処理部23の処理内容を規定するグラフィック系コマンドと、音声処理部24の処理内容を規定するオーディオ系コマンドと、シリアルコントローラ22の処理内容を規定するシリアル制御系コマンドとがある。
【0060】
統合化LSI2c内のグラフィック処理部23は、レジスタ21に格納されたグラフィック系コマンドを読み込み、このコマンドによって指示されたグラフィック処理を行う。グラフィック処理は、CG/音声ROM9に格納された画像データCIDを外部バスを介して取り込み、これに描画処理を施した上でフレームメモリ(図示せず)に書き込むといった流れが基本となる。そして、フレームメモリから読み出された1フレーム分の画像は、垂直同期信号による同期制御の下、統合化LSI2cに接続されたバスを介して表示部5に表示される。
【0061】
統合化LSI2c内の音声処理部24は、レジスタ21に格納されたオーディオ系コマンドを読み込み、このコマンドによって指示されたオーディオ処理を行う。オーディオ処理は、外部のCG/音声ROM9に格納された圧縮音声データCADを外部バスを介して取り込み、これに信号処理を施すといった流れが基本となる。そして、このオーディオ処理によって生成された音声は、統合化LSI2cに接続されたバスを介して音声出力部6に出力される。
【0062】
統合化LSI2c内のシリアルコントローラ22は、レジスタ21に格納されたシリアル制御系コマンドを読み込むとともに、そのコマンド内容に応じて、CG/音声ROM9に格納された圧縮ランプデータCLDを読み込む。読み込まれた圧縮ランプデータCLDは、統合化LSI2c内の図示しない伸長部で伸長される。シリアルコントローラ22は、読み込まれたコマンドに応じて、伸長されたランプデータをシリアルデータとしてシリアルデータ線に出力することによって、複数の発光素子4
1〜4
4をシリアル制御して、それらを明滅させる。
【0063】
なお、グラフィック処理部23、音声処理部24及びシリアルコントローラ22は、互いの処理が同期するように制御される。これらの制御によって、表示部5に表示される動画と、音声出力部6から出力される音声と、発光素子4の点灯状態とが同期し、これらの相互的な演出によって高度な演出効果が発揮される。画像表示とシリアル制御との同期を図るべく、画像表示に用いられる垂直同期信号がシリアルコントローラ22に供給されている。
【0064】
以上のように、上述の第三実施形態においては、ランプデータを圧縮してCG/音声ROM9に格納している。
【0065】
つまり、まず、格納場所の観点から、ランプデータを従来のようにプログラムROMに格納しておいてCPUを介して読み出してくるのではなく、CG/音声ROM9に格納させている。プログラムROMの容量は数メガバイトであるのに対して、CG/音声ROM9の容量は、ギガ単位であるので、大容量のランプデータに対応できる。併せて、CPUを介することがないので、CPUの負荷を軽減することができる。
【0066】
また、格納方式の観点から、ランプデータを圧縮して格納しているので、容量の大きいCG/音声ROM9を更に有効に利用することができる。
【0067】
<各種変形例>
CGROM7、音声ROM8、及びCG/音声ROM9の容量が十分にあるのであれば、それらに圧縮しないでランプデータを格納することも考えられる。この場合でも、CPUの負荷を軽減するという効果は得られる。また、伸長処理が必要なくなるという付加的な効果が逆に得られる。
【0068】
一方、CPUの負荷を問題とせず、プログラムROMの容量だけの問題であれば、プログラムROMに圧縮したランプデータを格納することも考えられる。かかる態様においては、CPUが直接、シリアル入力発光素子ドライバを制御するという構成も考えられる。
【0069】
更に、上述した各実施形態においては、圧縮ランプデータを、統合化LSIに対して外部のCGROM7、音声ROM8、又はCG/音声ROM9に格納するようにしたが、統合化LSI自体に格納する態様も考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、例えばパチンコ機のような遊技機に搭載される演出制御装置や、そのような遊技機で行われる演出制御方法に適用できる。
【符号の説明】
【0071】
1 CPU
2a,2b,2c 統合化LSI
21 レジスタ
22 シリアルコントローラ
23 グラフィック処理部
24 音声処理部
3 シリアル入力発光素子ドライバ
4 発光素子
5 表示部
6 音声出力部
7 CGROM
8 音声ROM
9 CG/音声ROM
100 プログラムROM