(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(i)少なくとも1つの共役ジエン、少なくとも1つのα,β−不飽和ニトリルおよび任意選択的に1つ以上の共重合性モノマーに由来する繰り返し単位を含み、最大でも20,000Pa*s(100℃でおよび1/秒の剪断速度で測定される)の粘度を有する少なくとも1つの水素化ニトリルゴムと、
(ii)少なくとも1つの揮発性化合物と
を含有する流体(F)から揮発性化合物を除去する工程を含む揮発性化合物を実質的に含まない水素化ニトリルゴムの製造方法であって、
揮発性化合物を実質的に含まないと定義される前記水素化ニトリルゴム中の揮発性化合物の含有率が、前記水素化ニトリルゴムの質量を基準として、1.25重量%未満であり、
a)前記流体(F)を、ヒーター、脱ガス容器(4)および蒸気ラインを少なくとも含む少なくとも1つの濃縮機装置で処理し、それによって前記流体(F)が加熱され、前記加熱された流体(G)が脱ガス容器へ供給され、そこで前記揮発性化合物の一部が、濃縮流体(H)を得るために前記蒸気ラインを経由して除去される工程と、
b)前記工程a)からの前記濃縮流体(H)を少なくとも1つの再加熱装置で再加熱して再加熱された濃縮流体(L)を得る工程と;
c)前記工程b)からの前記再加熱された濃縮流体(L)を、搬送セクション、1つ以上の蒸気ライン付きのガス抜き口を少なくとも含む押出機脱ガスセクションと、蓄積セクションと出口セクションとを少なくとも含む少なくとも1つの押出機装置へ供給する工程であって、少なくとも1つのストリッピング剤がさらに前記押出機装置に供給され、そして揮発性化合物が前記ガス抜き口および蒸気ラインを通して除去される工程と
を少なくとも含み、
それによって前記再加熱された濃縮流体(L)が前記押出機脱ガスセクションに入る時に自由流動性であり、前記出口セクションで得られる前記水素化ニトリルゴムが揮発性化合物を実質的に含まない方法。
前記流体(F)が、3〜50重量%の非揮発性水素化ニトリルゴムポリマーおよび50〜97重量%の揮発性化合物を含有し、それによって前述の成分が合計して前記流体(F)の総質量の90〜100になることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
少なくとも1つの共役ジエン、少なくとも1つのα,β−不飽和ニトリルおよび任意選択的に1つ以上の共重合性モノマーに由来する繰り返し単位を含み、最大でも20,000Pa*sの粘度を有し、0.2重量%未満の揮発性化合物を含む水素化ニトリルゴム。
・脱ガス容器(4)と連通したヒーター(2)を含む1つの濃縮装置であって、前記脱ガス容器(4)の底部分がポンプ(4.2)と連通しており、前記脱ガス容器(4)の上部が少なくとも1つの蒸気ライン(4.1)と連通している装置
・前記濃縮装置の前記ポンプ(4.2)および押出機装置上の供給点(12)と連通した1つの加熱装置(6)
・少なくとも1つの供給点(12)、1つの押出機脱ガスセクション(16)、1つの蓄積セクション(20)および1つの出口セクション(22)を含む1つの押出機装置であって、前記押出機脱ガスセクション(16)が、蒸気ライン(15.1)に接続された少なくとも1つのガス抜き口(15)をさらに含む装置
を少なくとも含むデバイスを用いて行われる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
α,β−不飽和ニトリルと共役ジエンおよび任意選択的に1つ以上のさらなる共重合性ターモノマーとの共重合は、いわゆるニトリルゴム(略して「NBR」とも言われる)をもたらす。前記共重合は典型的には乳化法によって実施され、乳化法は先ずNBRラテックスを与え、ラテックスは次に、大抵は塩または酸を凝固剤として使用してNBR固体を単離するために凝固させられる。最近になってやっと、有機溶媒中のRAFT技術(可逆的付加−開裂技術」)によるNBRの新規製造方法が開発され、これは、出願人による未公開の先の特許出願の主題である。
【0003】
略して「HNBR」とも言われる、水素化ニトリルゴムは、NBRのその後の水素化によって製造される。したがって、共重合ジエン単位のC=C二重結合は、HNBRにおいては完全にまたは部分的に水素化されている。共重合ジエン単位の水素化度は通常、50〜100%の範囲にある。水素化ニトリルゴムは、非常に良好な耐熱性、優れた耐オゾン性および耐化学薬品性およびまた優れた耐油性を有するスペシャルティゴムである。さらにHNBRはまた、非常に良好な機械的特性、特に高い耐摩耗性を有する。HNBRは、広範囲の様々な用途において幅広い使用を見いだしてきており、たとえば自動車部門においてシール、ホース、ベルトおよび減衰エレメント用に、また油生産の分野で固定子、坑井シールおよびバルブシール用に、ならびにまた航空機産業、電気産業、機械建造および造船において多数の部品用に使用されている。
【0004】
ほとんどの商業的に入手可能なHNBRグレードは通常、約100000〜500000の範囲の数平均分子量Mn(測定方法:ポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC))に相当する、55〜120の範囲のムーニー(Mooney)粘度(ML、1+4、100℃)を有する。本明細書において測定される、分子量分布の幅を示す、多分散性指数PDI(PDI=Mw/Mn、ここで、Mwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子量である)は頻繁に、3またはそれより十分に上の値を有する。残存二重結合含有率は通常、0〜18%の範囲にある(NMRまたはIR分光法によって測定される)。しかし、用語「十分に水素化されたグレード」は、残存二重結合含有率が約0.9%以下であるときに本技術分野において用いられる。
【0005】
120以下の上述のムーニー粘度を有するHNBRグレードの加工性は制限を受ける。多くの用途向けに、より低いモル質量およびより低いムーニー粘度を有するHNBRグレードを、有することが望ましい。なぜなら、このことにより加工性が著しく向上するからである。しかし、低い分子量および約55までの範囲のムーニー粘度(ML 1+4、100℃)を有するHNBRの製造は、主として2つの理由で確立された製造方法では長い間可能ではなかった:第1に、ムーニー粘度のかなりの増加(いわゆるムーニー増加率、「MIR」)がHNBRへのNBRの水素化中に起こる。このMIRは、ポリマーグレード、水素化レベルおよびNBR原料の性質に依存して、約2以上であり、特に、NBR原料のムーニー粘度の減少とともに増加する。第2に、水素化のために使用されるNBR原料のモル質量は意のままに下げることはできない、なぜなら、下げると、粘着性が高くなりすぎるため、利用可能な工業プラントでの加工が可能ではなくなるからである。確立された工業プラントで困難なしに加工することができるNBR原料の最低のムーニー粘度は、約25ムーニー単位(ML 1+4、100℃)の範囲内にある。この下限は、粘着性がACN含有率とともに上昇するのでNBRのACN含有率の増加とともに上がるであろう。それから得られるHNBRのムーニー粘度は、ほぼ55以上のムーニー単位(ML 1+4、100℃)である。ムーニー粘度は、ASTM標準D 1646に従って測定される。
【0006】
HNBRのポリマー鎖長を短くするための多くの試みが、分解によって、たとえばロールミルで、またはスクリュー装置において、たとえば熱機械的処理(素練り)によって、行われてきた((特許文献1))。しかし、この熱機械的分解は、ヒドロキシル、ケト、カルボン酸およびエステル基などの官能基が部分酸化の結果として分子中に組み込まれ、そして、さらに、ポリマーの微細構造が実質的に変わるという欠点を有する。
【0007】
最近、この問題は、分解によりNBRの分子量を低下させ、それによって30ムーニー単位未満のムーニー粘度(ML 1+4、100℃)または70,000g/モル未満の数平均分子量Mnを得ることによって解決された。分子量のそのような低下は、低分子量1−オレフィンが添加されてもよい交差メタセシスによって達成される。NBRのメタセシスは、たとえば(特許文献2)、(特許文献3)および(特許文献4)に記載されており、極性基、特にニトリル基に耐性がある特有のメタセシス触媒を使用する。それは典型的には、使用される触媒を失活させない、そしてまたその他のいかなる方法でも反応に悪影響を及ぼさない好適な有機溶媒中で実施される。好ましい溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランおよびジオキサンが挙げられるが、それらに限定されない。好ましい一溶媒はモノクロロベンゼンである。好ましくはメタセシスは、分解反応が完了した後でそれがその後の水素化にかけられる前に分解ニトリルゴムが溶媒から必ずしも単離される必要がないようにその後の水素化反応と同じ溶媒中で実施される。水素化は、均一または不均一水素化触媒を使用して実施することができる。使用される触媒は典型的にはロジウムまたはルテニウムをベースにしているが、金属としてか好ましくは金属化合物の形態でのどちらかで白金、イリジウム、パラジウム、オスミウム、コバルトまたは銅を使用することもまた可能である。好ましい触媒は、たとえばトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(III)クロリドおよびトリス(ジメチルスルホキシド)ロジウム(III)クロリドおよびまた式(C
6H
5)
3P)
4RhHのテトラキス(トリフェニルホスフィン)ロジウムヒドリドならびにトリフェニルホスフィンのすべてまたは一部がトリシクロヘキシルホスフィンで置き換えられた相当する触媒のような均一触媒である。さらに、メタセシス反応のためにさもなければ典型的に使用されるが、水素化活性もまた示す、周知のGrubbs型金属錯体触媒(たとえばGrubbs IおよびGrubbs II触媒)を使用することもまた可能である。
【0008】
水素化後に触媒および/または触媒に含まれる金属は、HNBR溶液から除去することができる。反応媒体に溶解していない不均一触媒の場合には、触媒は、濾過または遠心分離によって容易に除去することができる。均一触媒の場合には、様々な基によって大抵は官能化されているイオン交換樹脂を使用して触媒および触媒残渣を除去することができる。
【0009】
HNBRはしたがって典型的には、
(A1)HNBR溶液がスチームと直接接触させられる凝固(「スチームストリッピング」)、または
(A2)HNBR溶液が溶媒を蒸発させるために加熱回転ドラム上へ落とされるドラム乾燥法、または
(A3)貧溶媒がHNBRを沈澱させるためにHNBR溶液に加えられる方法
によって反応液から単離される。
【0010】
しかし、すべての前述の凝固方法には、エネルギー消費量が非常に高いという問題がある。
【0011】
方法(A1)を用いると、大量のスチームが、溶媒を蒸発させるためのみならず、ストリッピングドラムの全水内容物を加熱するおよび高温に維持するためにも必要である。追加のスチーム添加がまた、ストリッピングドラム中の溶媒の分圧を下げることによって残留量の溶媒をストリップオフするために必要である。
【0012】
方法(A3)を用いると、エネルギー消費は、2つの溶媒を蒸留によって分離するための取組みによって生じ、蒸留はまた爆発から防護される特有の装備を必要とする。
【0013】
方法(A1)はまた、凝固後のスラリー中のHNBRの濃度が一般に1.5〜12重量%であるにすぎないので、大量の水を利用している。このスラリーからのすべての水が廃水を構成し、後で廃棄処分されなければならない。
【0014】
ストリッピング法(A1)のさらなる欠点は、(時々)粘着性の小片とゴム小片の十分に制御できないサイズとに起因する。すなわち、ゴム小片が粘着性である場合にはゴム小片はストリッピング装置から完全に除去することができず、ポリマー収率の低下が観察される。形成されたゴム小片が非常に大きい場合にはストリッピング効率は低下する。また、これまで原因が分かっていないが、HNBRムーニー粘度の増加がストリッピングプロセス中に起こり得る。これは、粘着性がアクリロニトリル含有率の増加とともに増加するので、高いアクリロニトリル含有率の水素化ニトリルゴムについて特に当てはまる。
【0015】
ドラム乾燥法(A2)の欠点は、乾燥し過ぎの材料(ゲル)による不純物の形成である。
【0016】
方法(A1)の場合にはHNBRゴム小片は多くの場合、簡単なシーブトレーまたはスクリーンを用いて機械的にバルク水から分離される。この乾燥法の欠点は、シーブによって食い止められない小さいゴム粒子による水の汚染であり、その結果廃水は追加の処理を必要とする。水素化ニトリルゴムは、この第1分離後にHNBRの重量を基準として約30〜100%の水を依然として含有する。機械的乾燥が次に、生成物を混練し、そして水を絞り出すことによって押出機を用いて行われる。水の除去は、押出機ハウジングに沿ったガス抜き口を経由して行われる。ダイ・プレートが押出機の出口に設置されてもよく、水素化ニトリルゴムは、ダイ・プレートを通った後に小片にカットされてもよい。この機械的乾燥後にHNBRは、この第1分離後のHNBRの重量を基準として約3〜10%の水を依然として含有する。
【0017】
さらなる乾燥はそれ故典型的には、(B1)押出機か(B2)対流乾燥機かのどちらかを用いることによって行われる。方法(B1)では、HNBRは、たとえば単軸スクリューまたは二軸スクリュー押出機で圧力下に150〜200℃に加熱され、水は、HNBRを混練し、そして絞り出すことによって除去される。ダイ・プレートが圧力を維持するために押出機の出口に設置されてもよく、HNBRがダイ・プレートに押し通されるとき、ゴム中の水は蒸発し、開放型の多孔質ストリングを形成する。カッティングデバイスが次にストリングを細かくカットする。方法(B2)では、HNBR小片は対流乾燥機に搬送され、そこで残留水分が熱風によって除去される。(B1)または(B2)によるそのような乾燥後に、HNBRは一般に、0.1〜0.7%の含水率を有する。任意選択的に、ゴム片を通して冷気を流すことによって成し遂げられる、冷却段階を、水素化ニトリルゴム小片を60℃の好ましいベーリング温度まで冷却するために適用することができる。ゴム片は次に、油圧プレスによってベールに成形され、ベールは、輸送用の箱または枠箱に詰められる。貧溶媒法(A3)が用いられる場合には溶媒は蒸留によって除去される必要がある。その後に得られたHNBRはさらに、たとえば熱風乾燥または真空乾燥のような乾燥手順にかけられる。
【0018】
要約すると、水素化ニトリルゴムを単離し、乾燥させるためのすべての前述の方法は複雑であり、広範囲にわたる装備を必要とする。さらに、プロセスパラメータは、水素化ニトリルゴムの分解を加速するであろう、熱および剪断応力を回避するために注意深く監視されなければならない。
【0019】
様々なその他の特別な方法が、水および揮発性有機溶媒をその他のタイプのポリマーから除去することを目的として開発されてきた。共留剤の使用を伴うまたは伴わない真空中の押出機脱ガスは、最も重要な技法として実際の適用において受け入れられてきたが、そのような先行技術プロセスのエネルギー必要量は極めて高い。
【0020】
(特許文献5)は、高圧ポリエチレンを精製するための装置および方法を開示している。(特許文献6)は、スチームストリッパー、デカンターおよび押出機を用いるポリマー樹脂、特にポリカーボネート樹脂のための方法および装置を開示している。しかし、スチームの導入もまた、残留水の望ましくない高含有率または非常に高いエネルギー消費をもたらすであろう。(特許文献7)は、部分的に充填した押出機を用いる、溶液からのポリマー回収のための、特にポリエチレンの回収のための方法を開示している。しかし、(特許文献7)は、残留水の除去に関しては言及していない。(特許文献8)は、ポリマーの一段階回収法、具体的にはゴム溶液の濃縮についての例を開示している。ゴム溶液はそれによって、真空下に脱ガスすることによって一段階で存在する溶媒を除去して白色小片を生成するためにスチームで加熱される。(特許文献8)はそれによって、揮発性成分を低い蒸気圧で除去するために大容量の蒸気流れを必要とし、かつ、小片への追加の水の囲い込みをもたらし、その水はその後除去される必要があろう。(特許文献9)は、弾性ポリマー溶液から溶媒を除去するための2段階法を開示している。ポリマー溶液はそれによって、流体の加熱により直接加熱され、真空下に噴霧される。噴霧中に、溶媒は蒸発し、それによって、さらなる脱ガスのために押出機に次に供給される小片を形成する。しかし、その段階での小片形成は望ましくない。(特許文献10)は、少なくとも1つの混練機での生成物の処理方法を開示している。そのような方法は、混練機自体の壁を通して一部導入されるエネルギーを使用してエラストマーおよび熱可塑性樹脂を含有する溶液から溶媒を蒸発させている。大きい表面積の混練機がそれ故、高い投資コストと同様に必要とされる。エネルギーの別の部分は、機械的エネルギーとして混練機の回転シャフトによって導入される。機械的エネルギーはより高価であり、それ故、スチーム加熱と比較されるときに環境上不利である。そのような混練機は、多くの保守および清掃を必要とする。混練機による機械的エネルギーの導入はさらに、生成物の粘度に強く依存し、それはプロセスの柔軟性を低下させる。(特許文献11)は、プラスチックスを脱ガスするためのデバイスおよび方法を開示している。使用される装置は、真空下に運転される後部ガス抜きおよび幾つかのガス抜きセクション付きの押出機である。真空は、低い残留揮発性物質濃度を達成するために必要とされる。ストリッピング剤が脱ガス効率をさらに向上させるために適用され得る。(特許文献11)において使用されているプラスチック、熱可塑性ポリカーボネートは、脱ガスプロセスの終わりに流動性溶融体のままである。しかし、(特許文献11)に従って処理される合成ゴムセメントは、脱ガス段階の終わりに小片に変わるであろうし、さらに加工することができないだろう。(非特許文献1)において、フラッシュタンクおよび押出機を用いるゴム溶液の直接蒸発が開示されている。しかし、この参考文献は、最終生成物中の揮発性化合物の含有率について言及していない。
【0021】
特に水素化ニトリルゴムに関しては、HNBRの分子量およびムーニー粘度が低くなればなるほど、そしてアクリロニトリル含有率が高くなればなるほど、公知の単離技法のいずれも、上に概説されたような生成物損失および非常に長い仕上げ時間をもたらすHNBRの極端な粘着性のために適用できなくなる。さらに従来の単離技法は、広範囲の様々なHNBRに残留溶媒をポリマーから十分に、すなわち2000ppm未満、好ましくは1000ppm未満、とりわけ好ましくは500ppm未満の低い残留溶媒レベルまで必ずしも除去できない。しかし、そのような低いレベルにすることは、様々な理由で極めて重要である。特に溶媒は、健康および環境に有害であり、より高い濃度では、ポリマーの性能を悪化させる。
【0022】
出願人による未公開の欧州特許出願において、非常に低い分子量HNBRは、溶媒溶液から、好ましくは単軸−、二軸−または多軸−スクリュー押出機、より好ましくは二軸スクリュー押出機、最も好ましくは共回転、自己ワイピング二軸スクリュー押出機である機械的脱ガスデバイスとそれを接触させることによって単離されている。しかし、本研究は、そのような方法が最適化の余地を依然として残していることを示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の範囲はまた、各特徴について明記される好みの範囲および分野の任意の所望の組み合わせを包含することが指摘される。
【0029】
本発明との関連で用語「生成物(P)」は言及される限り、本発明による方法にかけられた後の水素化ニトリルゴムを意味するものとする。
【0030】
本発明との関連で、用語「自由流動性の」は、100〜50,000,000mPa*s、好ましくは500〜10,000,000mPa*s、より好ましくは5,000〜30,000,000mPa*s、最も好ましくは10,000mPa*s〜300,000mPa*sの範囲の粘度を意味する。
【0031】
そうではないと述べられない限り流体の粘度値は、Haake Rheostress RS 150粘度計または非常に粘稠な試料用のコーン−プレート型の回転流動計を用いる所与の温度での測定値から外挿されたゼロ剪断粘度を意味する。
【0032】
ゼロ剪断粘度へのこの外挿は典型的には次の通り実施される。すなわち、剪断応力が剪断速度に対して所与の温度で測定される。二次多項式が次に、測定から得られたデータ点に合わせられる。そのような二次多項式の直線部は、ゼロの剪断速度での勾配を反映しており、したがって本発明との関連で用いられるようなゼロ剪断粘度である。
【0033】
水素化ニトリルゴムの粘度はまた、100℃の温度でおよび1/秒の剪断速度でHaake Rheostress RS 150粘度計またはたとえばPhysica MCR Rheometer(Anton Paar,Germany)のような同等の機器を用いて測定される。
【0034】
本発明との関連で、用語「揮発性化合物を実質的に含まない」は、水素化ニトリルゴムの質量を基準として1.25重量%未満、好ましくは0.75重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.2重量%未満の揮発性化合物の総濃度を意味する。
【0035】
用語「揮発性化合物を実質的に含まない」は、水を実質的に含まないおよび揮発性有機化合物を実質的に含まないことを意味する。
【0036】
水素化ニトリルゴムは、残留水濃度が水素化ニトリルゴムの質量を基準として、0.5重量%未満、好ましくは0.25重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、最も好ましくは0.075重量%未満である場合に、水を実質的に含まないと考えられる。
【0037】
本発明との関連で、用語「揮発性有機化合物」は、標準圧力で250℃未満の沸点を有する有機化合物を意味する。
【0038】
水素化ニトリルゴムは、前記揮発性有機化合物の残留濃度が水素化ニトリルゴムの質量を基準として0.75重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.25重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満である場合に、揮発性有機化合物を実質的に含まないと考えられる。前記揮発性有機化合物は典型的には、HNBRへのNBRの水素化または任意の先行交差メタセシス反応に用いられた有機溶媒を含み、たとえばジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロルエタン(trichlorethane)、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、およびジメチルアセトアミドからなる群から選択される水素化溶媒が挙げられる。揮発性有機化合物としてはさらに、メタセシス反応に「共オレフィン」として好ましくは添加されたオレフィンの残存する少量の水素化によって形成される、低分子量アルカン、特にn−ヘキサンが挙げられる。好ましくは本方法にかけられた後のHNBR中の揮発性有機化合物、特に有機溶媒の含有率は、2000ppm(これは水素化ニトリルゴムの質量を基準として0.2重量%である)未満、好ましくは1000ppm(これは水素化ニトリルゴムの質量を基準として0.1重量%である)未満、より好ましくは500ppm(これは水素化ニトリルゴムの質量を基準として0.05重量%である)未満である。
【0039】
揮発性化合物を測定する方法、たとえば乾燥工程前後の水素化ニトリルゴム試料の重量差を測定する方法は、当業者によく知られている。水とより高沸点の有機溶媒を除いた揮発性有機化合物とを包含する揮発性化合物は、5gの水素化ニトリルゴム試料を一定の重量まで105℃でのIR放射によってアルミニウムボウル中で乾燥させることによって。そのような測定のために用いられる機器、たとえばMettlerのIR scale HR73は商業的に入手可能である。水とより高沸点の有機溶媒を除いた揮発性有機化合物を包含する揮発性化合物との量は次に、IR放射乾燥前後の重量差として得られる。
【0040】
前述のIR放射乾燥によって測定されないより高沸点の有機溶媒の量は、ガスクロマトグラフィーによって測定されてもよい。実行可能な手順は、NBR水素化の好ましい溶媒としてのモノクロロベンゼンの測定について本明細書で以下に記載される:2.5gのHNBR試料がトウモロコシの粒子のサイズにカットされ、100mlの密封可能な容器に±1mgの精度で秤量され、その後25mlのアセトンに撹拌下に室温で溶解される(継続時間は典型的には2〜3時間)。2mlアセトンに溶解された少量の規定量の1,2−ジクロロベンゼンが次に内部標準として添加される。HNBRは次に、40mlのメタノールを加えることによって凝固させられる。その後容器は100mlまでメタノールで満たされる。モノクロロベンゼンの量は次に、シリカ・キャピラリーカラム(Hewlett Packard(現Agilent)製のHP 1)および水素炎イオン化検出器のHewlett Packard chromatograph HP 5890 IIを用いるガスクロマトグラフィーによって測定される。キャピラリーカラムは、次の特性:長さ:25m、径:0.32mm;コーティング:ポリジメチルシロキサン、コーティング厚さ:1.05μmで特徴づけられる。測定目的のためには、凝固したHNBRが除去された5mlの前述の溶液が270℃の温度でのガスクロマトグラフへ注入される。水素が2ml/分の流量でキャリアガスとして使用される。カラムの温度は60℃の出発温度を有し、110℃まで10℃/分で、その後310℃まで25℃/分で上げられる。カラムは次に310℃の温度で8分間保たれる。前述の条件を適用すると、2,364および5,294分のモノクロロベンゼンおよび1,2−ジクロロベンゼンの保持時間をもたらす。モノクロロベンゼンを定量的に測定するために規定のモノクロロベンゼンおよび1,2−ジクロロベンゼン量の面積比が独立した測定で求められる。
【0041】
本発明による方法によって得られる水素化ニトリルゴムは、揮発性化合物の濃度がそれほど低いという点において公知のおよび今まで商業的に入手可能な任意の水素化ニトリルゴムから区別される。本発明の方法は、先行技術の方法が並外れた生成物損失をもたらすのに対して向上した収率をもたらすので、水素化ニトリルゴム、特により低い粘度のものを単離するために今まで公知の方法より明らかに優れている。
【0042】
本発明による方法にかけられる水素化ニトリルゴム:
本発明による方法は、少なくとも1つの共役ジエン、少なくとも1つのα,β−不飽和ニトリルおよび、必要ならば、1つ以上のさらなる共重合性モノマーに由来する繰り返し単位を含む水素化ニトリルゴム、すなわち最大でも20,000Pa*s(100℃および1/秒の剪断速度で測定される)、好ましくは最大でも10,000Pa*s、より好ましくは最大でも5,000Pa*s、最も好ましくは最大でも1,000Pa*sの粘度を有するコポリマーかターポリマーかのどちらかを出発ゴムとして使用する。
【0043】
用語「に由来する」は、共役ジエンの繰り返し単位の場合に炭素−炭素二重結合が部分的にまたは完全に水素化されていることを意味するものとする。水素化ニトリルゴムは、相当するニトリルゴムを水素化することによって得られる。
【0044】
共役ジエンは、任意の性質のものであることができる。(C
4〜C
6)共役ジエンを使用することが好ましい。1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、ピペリレンまたはそれらの混合物が特に好ましい。1,3−ブタジエンおよびイソプレンまたはそれらの混合物が非常に特に好ましい。1,3−ブタジエンがとりわけ好ましい。
【0045】
α,β−不飽和ニトリルとして、任意の公知のα,β−不飽和ニトリル、好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルまたはそれらの混合物などの(C
3〜C
5)α,β−不飽和ニトリルを使用することが可能である。アクリロニトリルが特に好ましい。
【0046】
特に好ましい水素化ニトリルゴムはしたがって、アクリロニトリルおよび1,3−ブタジエンに由来する繰り返し単位を有するコポリマーである。
【0047】
共役ジエンおよびα,β−不飽和ニトリルは別として、水素化ニトリルゴムは、当該技術分野において公知の1つ以上のさらなる共重合性モノマー、たとえばα,β−不飽和(好ましくはモノ不飽和)モノカルボン酸、それらのエステルおよびアミド、α,β−不飽和(好ましくはモノ不飽和)ジカルボン酸、それらのモノ−もしくはジエステル、ならびに前記α,β−不飽和ジカルボン酸のそれぞれの酸無水物またはアミドの繰り返し単位を含んでもよい。
【0048】
α,β−不飽和モノカルボン酸としてアクリル酸およびメタクリル酸が好ましくは使用される。
【0049】
α,β−不飽和モノカルボン酸のエステル、特にアルキルエステル、アルコキシアルキルエステル、アリールエステル、シクロアルキルエステル、シアノアルキルエステル、ヒドロキシアルキルエステル、およびフルオロアルキルエステルが使用されてもよい。
【0050】
アルキルエステルとしてα,β−不飽和モノカルボン酸のC
1〜C
18アルキルエステルが好ましくは使用され、より好ましくはメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレートおよび2−エチルヘキシル−メタクリレートなどの、アクリル酸またはメタクリル酸のC
1〜C
18アルキルエステルが使用される。
【0051】
アルコキシアルキルエステルとしてα,β−不飽和モノカルボン酸のC
2〜C
18アルコキシアルキルエステルが好ましくは使用され、より好ましくはメトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートおよびメトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸のアルコキシアルキルエステルが使用される。
【0052】
アリールエステル、好ましくはC
6〜C
14アリール−、より好ましくはC
6〜C
10アリールエステル、最も好ましくはアクリレートおよびメタクリレートの前述のアリールエステルを使用することもまた可能である。
【0053】
別の実施形態においてはシクロアルキルエステル、好ましくはC
5〜C
12シクロアルキル−、より好ましくはC
6〜C
12シクロアルキル、最も好ましくは前述のシクロアルキルアクリレートおよびメタクリレートが使用される。
【0054】
シアノアルキル基中のC原子の数が2〜12の範囲にある、シアノアルキルエステル、特にシアノアルキルアクリレートまたはシアノアルキルメタクリレートを使用することもまた可能であり、好ましくはα−シアノエチルアクリレート、β−シアノエチルアクリレートまたはシアノブチルメタクリレートが使用される。
【0055】
別の実施形態においてはヒドロキシアルキルエステル、特に、ヒドロキシルアルキル基中のC原子の数が1〜12の範囲にあるヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレート、好ましくは2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートまたは3−ヒドロキシプロピルアクリレートが使用される。
【0056】
フルオロベンジルエステル、特にフルオロベンジルアクリレートまたはフルオロベンジルメタクリレート、好ましくはトリフルオロエチルアクリレートおよびテトラフルオロプロピルメタクリレートを使用することもまた可能である。ジメチルアミノメチルアクリレートおよびジエチルアミノエチルアクリレートのような置換アミノ基を含有するアクリレートおよびメタクリレートがまた使用されてもよい。
【0057】
たとえばポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシメチル)アクリルアミドまたはウレタン(メタ)アクリレートのような、α,β−不飽和カルボン酸の様々なその他のエステルがまた使用されてもよい。
【0058】
α,β−不飽和カルボン酸のすべての前述のエステルの混合物を使用することもまた可能である。
【0059】
さらなるα,β−不飽和ジカルボン酸、好ましくはマレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸およびメサコン酸が使用されてもよい。
【0060】
別の実施形態においてα,β−不飽和ジカルボン酸の無水物、好ましくは無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸および無水メサコン酸が使用される。
【0061】
さらなる実施形態においてはα,β−不飽和ジカルボン酸のモノ−またはジエステルを使用することができる。好適なアルキルエステルは、たとえばC
1〜C
10アルキル、好ましくはエチル−、n−プロピル−、イソ−プロピル、n−ブチル−、tert−ブチル、n−ペンチル−またはn−ヘキシルモノ−またはたジエステルである。好適なアルコキシアルキルエステルは、たとえばC
2〜C
12アルコキシアルキル−、好ましくはC
3〜C
8アルコキシアルキルモノ−またはジエステルである。好適なヒドロキシアルキルエステルは、たとえばC
1〜C
12ヒドロキシアルキル−、好ましくはC
2〜C
8ヒドロキシアルキルモノ−またはジエステルである。好適なシクロアルキルエステルは、たとえばC
5〜C
12シクロアルキル−、好ましくはC
6〜C
12シクロアルキルモノ−またはジエステルである。好適なアルキルシクロアルキルエステルは、たとえばC
6〜C
12アルキルシクロアルキル−、好ましくはC
7〜C
10アルキルシクロアルキルモノ−またはジエステルである。好適なアリールエステルは、たとえばC
6〜C
14アリール、好ましくはC
6〜C
10アリールモノ−またはジエステルである。
【0062】
α,β−エチレン系不飽和ジカルボン酸モノエステルモノマーの明白な例としては、
・マレイン酸モノアルキルエステル、好ましくはモノメチルマレエート、モノエチルマレエート、モノプロピルマレエート、およびモノn−ブチルマレエート;
・マレイン酸モノシクロアルキルエステル、好ましくはモノシクロペンチルマレエート、モノシクロヘキシルマレエート、およびモノシクロヘプチルマレエート;
・マレイン酸モノアルキルシクロアルキルエステル、好ましくはモノメチルシクロペンチルマレエート、およびモノエチルシクロヘキシルマレエート;
・マレイン酸モノアリールエステル、好ましくはモノフェニルマレエート;
・マレイン酸モノベンジルエステル、好ましくはモノベンジルマレエート;
・フマル酸モノアルキルエステル、好ましくはモノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノプロピルフマレート、およびモノn−ブチルフマレート;
・フマル酸モノシクロアルキルエステル、好ましくはモノシクロペンチルフマレート、モノシクロヘキシルフマレート、およびモノシクロヘプチルフマレート;
・フマル酸モノアルキルシクロアルキルエステル、好ましくはモノメチルシクロペンチルフマレート、およびモノエチルシクロヘキシルフマレート;
・フマル酸モノアリールエステル、好ましくはモノフェニルフマレート;
・フマル酸モノベンジルエステル、好ましくはモノベンジルフマレート;
・シトラコン酸モノアルキルエステル、好ましくはモノメチルシトラコネート、モノエチルシトラコネート、モノプロピルシトラコネート、およびモノn−ブチルシトラコネート;
・シトラコン酸モノシクロアルキルエステル、好ましくはモノシクロペンチルシトラコネート、モノシクロヘキシルシトラコネート、およびモノシクロヘプチルシトラコネート;
・シトラコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル、好ましくはモノメチルシクロペンチルシトラコネート、およびモノエチルシクロヘキシルシトラコネート;
・シトラコン酸モノアリールエステル、好ましくはモノフェニルシトラコネート;
・シトラコン酸モノベンジルエステル、好ましくはモノベンジルシトラコネート;
・イタコン酸モノアルキルエステル、好ましくはモノメチルイタコネート、モノエチルイタコネート、モノプロピルイタコネート、およびモノn−ブチルイタコネート;
・イタコン酸モノシクロアルキルエステル、好ましくはモノシクロペンチルイタコネート、モノシクロヘキシルイタコネート、およびモノシクロヘプチルイタコネート;
・イタコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル、好ましくはモノメチルシクロペンチルイタコネート、およびモノエチルシクロヘキシルイタコネート;
・イタコン酸モノアリールエステル、好ましくはモノフェニルイタコネート;
・イタコン酸モノベンジルエステル、好ましくはモノベンジルイタコネート
が挙げられる。
【0063】
α,β−エチレン系不飽和ジカルボン酸ジエステルモノマーとして、上に明白に述べられたモノエステルモノマーをベースとする類似のジエステルが、ここで使用されてもよいが、酸素原子を介してC=O基に結合した2つの有機基は同一であっても異なってもよい。
【0064】
さらなるターモノマーとして、スチロール、α−メチルスチロールおよびビニルピリジンのようなビニル芳香族モノマー、ならびに4−シアノシクロヘキセンおよび4−ビニルシクロヘキセンのような非共役ジエン、ならびに1−もしくは2−ブチンのようなアルキンが使用されてもよい。
【0065】
使用されるHNBRポリマー中の共役ジエンおよびα,β−不飽和ニトリルの割合は、広範囲内で変わることができる。共役ジエンのまたは共役ジエンの合計の割合は、全ポリマーを基準として、通常40〜90重量%の範囲に、好ましくは50〜85重量%の範囲にある。α,β−不飽和ニトリルのまたはα,β−不飽和ニトリルの合計の割合は、全ポリマーを基準として、通常10〜60重量%、好ましくは15〜50重量%の範囲にある。モノマーの割合は各場合に合計して100重量%になる。追加のモノマーは、全ポリマーを基準として、0〜40重量%、好ましくは0.1〜40重量%、特に好ましくは1〜30重量%の量で存在することができる。この場合に、1つまたは複数の共役ジエンおよび/または1つまたは複数のα,β−不飽和ニトリルの相当する割合は、各場合にすべてのモノマーの割合が合計して100重量%になる状態で、追加のモノマーの割合で置き換えられる。
【0066】
具体的な一実施形態において水素化ニトリルゴムは、本方法にかけられてもよく、ここでα,β−不飽和ニトリルに由来する繰り返し単位の割合は、全水素化ニトリルゴムを基準として43重量%超、好ましくは44.5重量%超および60重量%以下、より好ましくは44.5重量%超および52重量%以下であり、最も好ましくは45〜50.5重量%の範囲にある。それ故に、共役ジエンのまたは共役ジエンの合計の割合はそのような場合に、全ポリマーを基準として57重量%以下、好ましくは40〜55.5重量%の範囲に、より好ましくは48〜55.5重量%の範囲に、最も好ましくは49.5〜55重量%の範囲にある。
【0067】
本発明による方法にかけられる水素化ニトリルゴムの製造:
流体(F)に含有される、最大でも20,000Pa*s(100℃および1/秒の剪断速度で測定される)、好ましくは最大でも10,000Pa*s、より好ましくは最大でも5,000Pa*s、最も好ましくは最大でも1,000Pa*sの粘度を有する水素化ニトリルゴムは典型的には、
1)少なくとも1つの共役ジエン、少なくとも1つのα,β−不飽和ニトリルおよび任意選択的に1つ以上のさらなる共重合性モノマーを重合させてニトリルゴムを得る工程と、
2)工程1)のニトリルゴムを、任意選択的に低分子量1−オレフィンの存在下に接触メタセシス反応にかけてニトリルゴムの分子量を低下させる工程と
3)工程2)において得られたニトリルゴムを、有機溶媒である揮発性化合物中で水素化反応にかけて所望の水素化ニトリルゴムおよび揮発性化合物を含む流体(F)をもたらす工程と
によって製造される。
【0068】
それ故に、最大でも20,000Pa*s(100℃および1/秒の剪断速度で測定される)、好ましくは最大でも10,000Pa*s、より好ましくは最大でも5,000Pa*s、最も好ましくは最大でも1,000Pa*sの粘度を有し、揮発性化合物を実質的に含まない水素化ニトリルゴムは、少なくとも次の工程
1)少なくとも1つの共役ジエン、少なくとも1つのα,β−不飽和ニトリルおよび任意選択的に1つ以上のさらなる共重合性モノマーを重合させてニトリルゴムを得る工程と、
2)工程1)のニトリルゴムを、任意選択的に低分子量1−オレフィンの存在下に接触メタセシス反応にかけてニトリルゴムの分子量を低下させる工程と
3)工程2)のニトリルゴムを、有機溶媒である揮発性化合物中で水素化反応にかけて最大でも20,000Pa*s(100℃および1/秒の剪断速度で測定される)、好ましくは最大でも10,000Pa*s、より好ましくは最大でも5,000Pa*s、最も好ましくは最大でも1,000Pa*sの粘度を有する水素化ニトリルゴムおよび少なくとも1つの揮発性化合物を含む流体(F)をもたらす工程と、
4)a)流体(F)を、ヒーター、脱ガス容器(4)および蒸気ラインを少なくとも含む少なくとも1つの濃縮機装置で処理し、それによって流体(F)が加熱され、加熱された流体(G)が脱ガス容器(4)へ供給され、そこで揮発性化合物の一部が、濃縮流体(H)を得るために蒸気ラインを経由して除去される工程、
b)工程a)からの濃縮流体(H)を少なくとも1つの再加熱装置で再加熱して再加熱された濃縮流体(L)を得る工程;および
c)工程b)からの再加熱された濃縮流体(L)を、搬送セクション、1つ以上の蒸気ライン付きのガス抜き口を少なくとも含む押出機脱ガスセクションと、蓄積セクションと出口セクションとを少なくとも含む少なくとも1つの押出機装置へ供給する工程であって、ストリッピング剤がさらに押出機装置に供給され、そして揮発性化合物がガス抜き口および蒸気ラインを通して除去される工程
を少なくとも含むプロセスによって揮発性化合物を流体(F)から除去する工程と
によって製造することができ、
それによって再加熱された濃縮流体(L)は押出機脱ガスセクションに入る時に自由流動性であり、出口セクションで得られる水素化ニトリルゴムは揮発性化合物を実質的に含まない。
【0069】
好ましい一実施形態において本発明の方法によって得られた、揮発性化合物を実質的に含まない水素化ニトリルゴムは、少なくとも1つの共役ジエン、少なくとも1つのα,β−不飽和ニトリルおよび任意選択的に1つ以上の共重合性モノマーに由来する繰り返し単位を含み、最大でも20,000Pa*s(100℃および1/秒の剪断速度で測定される)、好ましくは最大でも10,000Pa*s、より好ましくは最大でも5,000Pa*s、最も好ましくは最大でも1,000Pa*sの粘度を有し、50,000g/モル以下、好ましくは10,000〜50,000g/モル、より好ましくは12,000〜40,000g/モルの重量平均分子量Mwおよび2.0未満の多分散性(Mw/Mn)を有する。そのような好ましいグレードについては、これらのタイプが蜂蜜様外観を有し、そしてムーニー粘度が5ムーニー単位未満の値については測定されない可能性があるので、ムーニー粘度を測定することはもはや可能ではない。
【0070】
別の好ましい実施形態において本発明の方法によって得られた、揮発性化合物を実質的に含まない水素化ニトリルゴムは、少なくとも1つの共役ジエン、少なくとも1つのα,β−不飽和ニトリルおよび任意選択的に1つ以上の共重合性モノマーに由来する繰り返し単位を含み、最大でも20,000Pa*s(100℃および1/秒の剪断速度で測定される)、好ましくは最大でも10,000Pa*s、より好ましくは最大でも5,000Pa*s、最も好ましくは最大でも1,000Pa*sの粘度、および50,000g/モル超である、好ましくは50,000〜250,000の範囲にある重量平均の分子量を有し、多分散性は、2.1〜3.0、好ましくは2.1〜3未満、より好ましくは2.2〜2.9、さらにより好ましくは2.3〜2.9、最も好ましくは2.4〜2.8の範囲にある。
【0071】
工程1および2:重合およびメタセシス
上述のモノマーの重合およびその後のメタセシスによるニトリルゴムの製造は、当業者に十分に知られており、ポリマー文献に包括的に記載されている。さらに、工程3)における水素化のために使用することができるニトリルゴムはまた、たとえば、Lanxess Deutschland GmbH製の商品名Perbunan(登録商標)およびKrynac(登録商標)の製品範囲からの製品として、商業的に入手可能である。
【0072】
重合は典型的には、たとえば国際公開第A−2008/142042号パンフレット、国際公開第A−2008/142035号パンフレットおよび国際公開第A−2008/142039号パンフレットに記載されているエマルジョンで実施される。
【0073】
乳化重合は典型的には、当業者にまたよく知られておりそしてまた商業的に入手可能な少なくとも1つの連鎖移動剤の存在下に、好ましくは、12〜16個の炭素原子および少なくとも3個の第三級炭素原子を含有し、硫黄がこれらの第三級炭素原子の1つに結合している少なくとも1つのアルキルチオールを使用して行われる。
【0074】
共重合はNBRラテックスをもたらす。前記ラテックスは次に、たとえば未反応モノマーを除去するためにスチームストリッピングに、その後、凝固剤として大抵は塩または酸を使用してNBR固体を単離するために凝固にかけられる。NBRは、水中の湿潤小片の形態で得られる。水のほとんどが次に水切りによって分離され、それに脱水押出機とたとえばトンネル乾燥機または流動床での最終真空乾燥工程との適用が続く。そのようなプロセスはたとえば欧州特許出願公開第A−1 369 436号明細書に記載されている。
【0075】
乳化重合によって得られたニトリルゴムの交差メタセシスによる分子量分解は、文献に幅広く記載されており、たとえば国際公開第A−02/100905号パンフレット、国際公開第A−02/100941号パンフレット、国際公開第A−03/002613号パンフレットおよび欧州特許第2027920号明細書に記載されている。それは、極性基、特にニトリル基に耐性がある特有のメタセシス触媒を使用する。それは典型的には、使用される触媒を失活させない、そしてまたその他のいかなる方法でも反応に悪影響を及ぼさない好適な有機溶媒中で実施される。好ましい溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロルエタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランおよびジオキサンが挙げられるが、それらに限定されない。メタセシス反応は、エチレン、イソブテン、スチレンまたは1−ヘキセンなどの好ましくはC
2〜C
16線状もしくは分岐オレフィンであるオレフィン(いわゆる「共オレフィン」)の追加の存在下に実施されてもよく、好ましくは実施される。共オレフィンが(1−ヘキセンなどの)液体である場合、用いられる共オレフィンの量は、好ましくは1〜200重量%の範囲にある。共オレフィンが(エチレンなどの)ガスである場合、用いられる共オレフィンの量は、それが1*10
5Pa〜1*10
7Paの範囲の、好ましくは5.2*10
5Pa〜4*10
6Paの範囲の反応容器の圧力をもたらすようなものである。ある種の場合には共オレフィン(たとえば、1−ヘキセン)はそれ自体溶媒として働くことができ、その場合にはその他の溶媒はまったく必要ではない。メタセシス反応は、20〜140℃の範囲の、好ましくは60〜120℃の範囲の温度で実施される。反応時間は、溶媒中のNBR(「セメント」)の濃度、使用される触媒の量および反応温度を含む、多くの因子に依存するであろう。メタセシスは通常、典型的な条件下で最初の2〜4時間内に完了する。メタセシス反応の進行は、標準分析技法によって、たとえばGPCまたは溶液粘度を用いて監視することができる。
【0076】
工程3:水素化
ニトリルゴムの水素化は、当該技術分野においてまた公知であり、均一または不均一水素化触媒で行うことができる。水素化をその場で、すなわちメタセシス分解が前にまた実施された同じ反応容器で、そして分解したニトリルゴムを単離せずに実施することもまた可能である。水素化触媒は次に反応容器に造作なく添加される。
【0077】
使用される触媒は通常、ロジウム、ルテニウムまたはチタンをベースとするが、金属としてか好ましくは金属化合物の形態でかのどちらかで白金、イリジウム、パラジウム、レニウム、オスミウム、コバルトまたは銅を使用することもまた可能である(たとえば、米国特許第3,700,637号明細書、独国特許出願公開第A−25 39 132号明細書、欧州特許出願公開第A−0 134 023号明細書、独国特許出願公開第A−35 41 689号明細書、独国特許出願公開第A−35 40 918号明細書、欧州特許出願公開第A−0 298 386号明細書、独国特許出願公開第A−35 29 252号明細書、独国特許出願公開第A−34 33 392号明細書、米国特許第4,464,515号明細書および米国特許第4,503,196号明細書を参照されたい)。
【0078】
均一相での水素化のための好適な触媒および溶媒は以下に記載され、そしてまた独国特許出願公開第A−25 39 132号明細書および欧州特許出願公開第A−0 471 250号明細書から公知である。
【0079】
選択的水素化は、たとえば、ロジウムまたはルテニウム含有触媒の存在下に達成することができる。たとえば、一般式
(R
1mB)
lMX
n
(ここで、Mはルテニウムまたはロジウムであり、ラジカルR
1は同一であるかまたは異なり、それぞれC
1〜C
8アルキル基、C
4〜C
8シクロアルキル基、C
6〜C
15アリール基またはC
7〜C
15アラルキル基である。Bは、リン、ヒ素、硫黄またはスルホキシド基S=Oであり、Xは水素またはアニオン、好ましくはハロゲン、特に好ましくは塩素または臭素であり、lは2、3または4であり、mは2または3であり、nは1、2または3、好ましくは1または3である)
の触媒を使用することが可能である。
【0080】
上の一般式の好ましい水素化触媒は、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(III)クロリドおよびトリス(ジメチルスルホキシド)ロジウム(III)クロリドおよびまた式(C
6H
5)
3P)
4RhHのテトラキス(トリフェニルホスフィン)ロジウムヒドリドならびにトリフェニルホスフィンがトリシクロヘキシルホスフィンで完全にまたは部分的に置き換えられた相当する化合物である。
【0081】
前述の水素化触媒(R
1mB)
lMX
nを使用するとき、式R
1mB(ここで、R
1、mおよびBは触媒について上に示された意味を有する。好ましくは、mは3であり、Bはリンであり、ラジカルR
1は同一であるまたは異なることができる)の配位子である助触媒をさらに使用することが典型的には適切である。トリアルキル、トリシクロアルキル、トリアリール、トリアラルキル、ジアリール−モノアルキル、ジアリール−モノシクロアルキル、ジアルキル−モノアリール、ジアルキル−モノシクロアルキル、ジシクロアルキル−モノアリールまたはジシクロアルキル−モノアリールラジカルを有する助触媒が好ましい。助触媒の例は、たとえば、米国特許第A4,631,315号明細書に見いだすことができる。好ましい助触媒はトリフェニルホスフィンである。助触媒は好ましくは、水素化されるニトリルゴムの重量を基準として、0〜5重量%の範囲の、好ましくは0.3〜4重量%の範囲の量で使用される。さらに、ロジウム含有触媒対助触媒の重量比は、好ましくは1:3〜1:55の範囲に、より好ましくは1:5〜1:45の範囲にある。水素化されるニトリルゴムの100重量部を基準として、0〜33重量部の助触媒、水素化されるニトリルゴムの100重量部当たり好ましくは0.3〜20重量部、非常に特に好ましくは0.5〜5重量部、特に0.5超しかし3重量部未満の助触媒を使用することが適切である。
【0082】
水素化触媒は少量で利用することができる。NBRポリマーの重量を基準として、0.01〜1重量%の範囲の、好ましくは0.02〜0.5重量%の範囲の、特に好ましくは0.025〜0.1重量%の範囲の量が好適である。さらに、さもなければメタセシス反応に典型的に使用されるが、触媒活性をまた示すGrubbs型金属有機錯体触媒(国際公開第A−02/100905号パンフレット、国際公開第A−02/100941号パンフレットおよび国際公開第A−03/002613号パンフレットに記載されているような)(たとえばGrubbs IおよびGrubbs II)を、また、水素化目的のために使用することができる。
【0083】
この水素化の実際の実施は、米国特許第6,683,136号明細書から当業者には十分に知られている。それは通常、水素化されるニトリルゴムを、2〜10時間、100〜150℃の範囲の温度でおよび50〜150バールの範囲の圧力でジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロルエタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランおよびジオキサンなどの溶媒中で水素で処理することによって実施される。
【0084】
本発明の目的のためには、水素化は、少なくとも50%、好ましくは70〜100%、特に好ましくは80〜100%の程度までの出発ニトリルゴム中に存在する二重結合の反応である。
【0085】
不均一触媒が使用されるとき、これらは通常、炭素、シリカ、炭酸カルシウムまたは硫酸バリウム上に、たとえば、担持されているパラジウムをベースとする担持触媒である。
【0086】
本発明による方法を行うために好適な装備は、添付した図面を用いてより詳細に説明される。
【0087】
プロセス工程の基本的なおよび例示的な実施形態は
図1に示される:
工程a)において少なくとも1つの非揮発性水素化ニトリルゴムポリマーおよび少なくとも1つの揮発性化合物を含有する流体Fは、ポンプ1によってヒーター2に移され、そこで流体Fは加熱される。
【0088】
セメントとも呼ばれる、流体Fは、たとえば3〜50重量%の非揮発性水素化ニトリルゴムポリマー(i)および特に有機溶媒である、50〜97重量%の揮発性化合物(ii)を含有し、それによって前述の成分(i)および(ii)は合計して流体Fの総質量の90〜100、好ましくは95〜100重量%になる。
【0089】
揮発性化合物は、好ましくは有機溶媒、より好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロルエタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランおよびジオキサンからなる群から選択される有機溶媒を含む。
【0090】
本発明の好ましい実施形態においては、流体Fは、3〜50重量%の範囲で非揮発性水素化ニトリルゴム、50〜95重量%の範囲で揮発性有機化合物、特に1つ以上の有機溶媒および0.5〜20重量%の範囲で水を含有し、それによって前述の成分は合計して流体Fの総質量の95〜100重量%になる。
【0091】
上に概説されたように、流体Fは典型的には水素化反応から得られる。非常に少量の水は、水素化もしくは先行メタセシス反応中に使用された有機溶媒に、またはNBR、もしあれば、水素化中に使用された助触媒、またはもしあれば、メタセシスのために使用された共オレフィンに由来する可能性がある。あるいは流体F中の水は、水素化後の純水の添加からまたは適切な添加剤の水溶液の添加に由来する可能性がある。適切な添加剤は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、尿素、グアニジンなどの無機または有機塩基である。とりわけモノクロロベンゼンが溶媒として使用されるときに、NBRの水素化中の副生物として形成される塩酸を中和するために無機または有機塩基のそのような水溶液を添加することが望ましいこともある。
【0092】
流体Fの温度:
ヒーターに入る流体Fは典型的にはおよび好ましくは、10℃〜100℃の、好ましくは20℃〜80℃の温度を有する。流体Fの粘度は、たとえば100mPa*s〜75,000mPa*sの範囲に、好ましくは500mPa*s〜5,000mPa*sの範囲にある。
【0093】
ヒーターは、流体Fの温度を上げることができる任意のデバイスであってもよい。好ましい実施形態においては、ヒーター2は熱交換器である。熱媒体は、スチーム、加熱用油または加圧熱水からなる群から選択される。熱交換器はたとえば、流体Fがチューブの内側にあり、熱媒体がシェル側にある、シェルアンドチューブ型のものである。チューブ中の特殊挿入物が伝熱を高めるために適用されてもよい。流体Fが熱交換器チューブの外側にある、別のタイプの熱交換器がまた用いられてもよい。前述のタイプの熱交換器の利点は、良好な伝熱だけでなく不均等分布の回避および容易な保守である。前記熱交換器はよく知られており、商業的に入手可能である。あまり好ましくない実施形態においてはプレート型熱交換器がまた適用されてもよい。
【0094】
加熱された流体Gの温度
加熱すると、加熱された流体Gが得られる。加熱された流体Gは、流体Fより高い温度、好ましくは100〜250℃、より好ましくは110℃〜200℃、さらにより好ましくは120℃〜190℃の温度を有する。
【0095】
加熱された流体Gは次に、脱ガス容器4へさらに搬送される。脱ガス容器で、揮発性化合物は少なくとも部分的に蒸発する。蒸気は、加熱された流体Gから分離され、真空ライン4.1によって除去される。脱ガス容器4の圧力は、たとえば100hPa〜4,000hPaの範囲に、好ましくは200hPa〜2,000hPaの範囲に、より好ましくは230〜1,100hPaの範囲にある。
【0096】
真空ライン4.1を経由して除去された蒸気は好ましくは凝縮させられ、流体Fの製造プロセスへリサイクルされる。脱ガスおよび分離後に濃縮流体Hが得られ、それはポンプ4.2を用いて脱ガス容器4から取り出される。
【0097】
本発明の好ましい実施形態において脱ガス容器は、加熱された流体Gからの蒸気の分離をさらに支援するためにサイクロンの形状で設計される。本発明の別の好ましい実施形態において脱ガス容器4は、容器が完全にまたは実質的に完全に空にされるのを可能にするために、円錐のまたは少なくともトリスペリカル形状の底部を有する。
【0098】
別の実施形態において脱ガス容器の内面は、加熱することができる。
【0099】
ポンプ4.2は好ましくは、脱ガス容器4の出口に直接接続される。一般に、ポンプと容器との間の接続部品は好ましくはできる限り短い。
【0100】
この段階での濃縮流体Hの高粘度のために、ポンプの入口は好ましくは大きい入口で設計され、それによって入口での圧力降下を減少させる。
【0101】
ポンプ4.2は、容積式型ポンプ、ギヤポンプ、ピストンポンプ、膜ポンプ、スクリュー型ポンプ、逆転もしくは共回転単軸もしくは二軸スクリュー押出機のような押出機型ポンプまたは混練機型ポンプからなる群から選択されてもよい。容積式型ポンプおよびギヤポンプが好ましく、ギヤポンプがさらにより好ましい。
【0102】
別の好ましい実施形態においてポンプ4.2は、押出機または混練機とギヤポンプとの組み合わせを含み、ギヤポンプは押出機または混練機から供給される。
【0103】
この工程a)において除去される揮発性化合物の量は、たとえば流体Gの温度および脱ガス容器4の圧力に依存する。本発明の好ましい実施形態において流体Gの温度および脱ガス容器4の圧力は、濃縮流体Hが依然として上に定義されたような自由流動性であり、そしてたとえば10〜60、好ましくは25〜60重量%の非揮発性水素化ニトリルゴムポリマーおよび約40〜約90、好ましくは40〜75重量%の揮発性化合物を含み、それによって前述の成分非揮発性水素化ニトリルゴムポリマー、揮発性有機化合物および水は合計して流体Hの総質量の90〜100重量%に、好ましくは95〜100重量%になるように選択される。
【0104】
好ましい実施形態においてはおよび原料流体Fが水を含む場合には、流体Hはたとえば、10〜60、好ましくは25〜60重量%の非揮発性水素化ニトリルゴム、約25〜約90、好ましくは25〜75重量%の揮発性有機化合物、特に溶媒、および約0.5〜約15重量%の水を含み、それによって前述の成分非揮発性ポリマー、揮発性有機化合物および水は合計して流体Hの総質量の90〜100重量%、好ましくは95〜100重量%になる。
【0105】
濃縮流体Hの温度:
濃縮流体Hの温度は、加熱された流体Gのそれより低く、たとえば15〜150℃の範囲に、好ましくは20〜120℃の範囲にある。濃縮流体Hは依然として上に定義されたような自由流動性である。
【0106】
本発明による方法の工程b):
工程b)において、工程a)において得られた濃縮流体Hは次に、再加熱された濃縮流体Lを得るために再加熱装置6を通過させられる。好ましい実施形態において再加熱装置は熱交換器を含み、熱媒体および熱交換器タイプについての選好を含む同じ開示が、熱交換器2について上に記載されたように適用される。
【0107】
再加熱された濃縮流体Lの温度は、濃縮流体Hのそれより高く、たとえば50℃〜250℃の範囲に、好ましくは90℃〜180℃の範囲にある。再加熱された濃縮流体Lは、上に定義されたような範囲の粘度で依然として自由流動性である。
【0108】
本発明による方法の工程c):
工程c)において、工程b)において得られた再加熱された濃縮流体Lは、押出機装置に通され、供給点12で押出機脱ガスセクションの搬送セクション16へ供給される。
【0109】
好適な押出機タイプとしては、任意の数のバレルと様々なタイプのスクリューエレメントとを含む単軸スクリューおよび多軸スクリュー押出機ならびにその他のシングルまたはマルチシャフト搬送混練機が挙げられる。多軸スクリュー押出機の可能な実施形態は、二軸スクリュー押出機、リング押出機または遊星ローラー押出機であり、二軸スクリュー押出機、および遊星ローター押出機が好ましい。
【0110】
単軸スクリュー押出機としては、軸方向振動スクリューを有するものが挙げられる。二軸スクリュー押出機は、たとえば逆転かみ合い、逆転非かみ合い、共回転かみ合いおよび共回転非かみ合い二軸スクリュー押出機であり、共回転かみ合い二軸スクリュー押出機が好ましい。
【0111】
本方法のさらなる実施形態においては上記の押出機の2つ以上を連続した方法で用いることも可能である。
【0112】
本発明の一実施形態において押出機は、300℃までの温度にバレルによって加熱されるか、冷却されるかのどちらかであることができる。
【0113】
好ましい実施形態においては、押出機は、別個のゾーンを、これらのゾーンが加熱されるか加熱されないかまたは冷却されるかのいずれかであることができるように異なる温度で互いに独立して運転するための手段を含む。別の好ましい実施形態において押出機は、異なる温度で独立して運転することができる、少なくとも1つの別個のゾーンを各搬送セクションについて含む。
【0114】
好ましい押出機材料は非腐食性であるべきであり、再加熱された濃縮流体Lおよび生成物Pが金属または金属イオンで汚染されるのを実質的に防ぐべきである。好ましい押出機材料としては、窒化スチール、二相鋼、ステンレススチール、ニッケルベースの合金、焼結金属のような複合材、熱間等方圧プレス材料、Stelliteのような硬質耐摩耗性材料、セラミックス、窒化チタン、窒化クロムおよびダイヤモンド状炭素(DLC)からたとえば製造されたコーティングでの被覆金属が挙げられる。
【0115】
搬送セクション16はガス抜き口15に開放されている。搬送セクション16において溶媒の一部は蒸発し、再加熱された濃縮流体Lから分離される。蒸気は、ガス抜き口15を通して蒸気ライン15.1を経由して除去される。
【0116】
蒸発揮発性化合物は、再加熱された濃縮流体Lまたは生成物Pをガス抜き口の方へ同伴する傾向を有するので、本発明の好ましい実施形態においてガス抜き口15は、物質、特に再加熱された濃縮流体Lまたは生成物Pがガス抜き口から出てくるのを防ぐように設計される。
【0117】
当該目的を成し遂げるための好適な手段は、ガス抜き口上に取り付けられ、そしてあらゆる物質を押出機へ搬送して戻す、ラム押出機スリュー(srew)、または沈着物質を押出機へ押し戻すためにガス抜き口の内側に適用される、ローラーもしくはベルトである。前述の代わりとしてまたは好ましくはそれに加えて、表面への物質の粘着を減らすかまたは防ぐガス抜き口のコーティングが適用されてもよい。好適なコーティングとしては、DLC(ダイヤモンド状炭素(Diamond like carbon))、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびニッケル合金が挙げられる。
【0118】
ガス抜き口15での圧力は、たとえば1hPa〜2,000hPa、好ましくは5hPa〜900hPaである。
【0119】
蒸気ライン15.1は、凝縮系に接続されていてもよいし、好ましくは接続されている。
【0120】
一般に、凝縮系の目的は、ガス抜き口によって蒸気ラインを経由して除去される揮発性化合物を集めることであり、典型的には凝縮器および真空ポンプを含む。当該技術分野において公知の任意の凝縮系が、揮発性化合物の回収を達成するために用いられてもよい。
【0121】
一般に、凝縮した揮発性化合物を、任意選択的に揮発性有機化合物を水から分離するための相分離を実施した後に、流体Fの製造のためのプロセスへリサイクルすることが好ましい。
【0122】
搬送セクション16は蓄積セクション20によって終了する。蓄積の目的は、ガス抜き口15における一定の圧力レベルを確実にすること、および揮発性化合物の蒸発を容易にするために機械的エネルギーを物質に導入することである。蓄積セクション20は、物質の蓄積を可能にする任意の手段を含んでもよい。それは、たとえば混練もしくは絞りエレメント、ブリスターディスクまたはダイ・プレートを含むように設計されてもよい。
【0123】
絞りエレメントの例は、円錐形もしくは円筒形流路またはその他の絞り手段である。
【0124】
蓄積セクション内での混練エレメント、ブリスターディスクまたはダイ・プレートの適用が好ましく、混練エレメントがさらにより好ましい。混練エレメントの例としては、二条または三条ねじ前方、後方または中立搬送混練ブロックとして設計されてもよい、混練ブロック;溝付きの一条または二条ねじスクリュー混合エレメント、一条ねじ荒目混合エレメント、ブリスタープレートおよび一条、二条または三条ねじ偏心ディスクが挙げられる。混練エレメントは、押出機の、特に二軸スクリュー逆転または共回転二軸スクリュー押出機のスクリューシャフト上に任意の組み合わせで組み立てられてもよい。
【0125】
典型的な蓄積セクションは、多くの場合逆搬送タイプの混練エレメントによって終了する、2〜10個の混練ブロックからなる。ストリッピング剤の混ぜ込みのために、歯型エレメントまたは溝付きのスクリューエレメントが適用されてもよい。
【0126】
偏心ディスクが好ましくは押出機の最後のセクションにおいて適用され、そこでは生成物Pは高粘稠であり、揮発性化合物を実質的に含まない。
【0127】
遊星ローラー押出機については、歯形ローラーのような混練エレメントが、または溝および隙間付きのローラーが好ましい。
【0128】
一般に押出機装置は、1つ以上の搬送セクションおよび1つ以上の蓄積セクションを含んでもよく、その数は構造上の制約によって制限されるにすぎない。搬送セクションおよび蓄積セクションの典型的な数は、1〜30、好ましくは2〜20、より好ましくは3〜15である。
【0129】
最後の蓄積セクション20は典型的には、押出機の出口で生成物プラグを形成するように設計され、それによって周囲空気が押出機に入るのを防ぐ。搬送セクション16および蓄積セクション20から出口セクション22へ通る間に、再加熱された濃縮流体Lは、自由流動性の再加熱された濃縮流体Lから、典型的には分子量に依存して蜂蜜様、ワックス様または固体外観を有する、生成物Pへの遷移を受ける。
【0130】
水素化ニトリルポリマーゴム、すなわち生成物Pが固体外観を有する場合には、出口セクション22は典型的には、生成物が押出機および任意選択的にしかし好ましくは生成物処理装備を出るのを可能にするための手段を含む。好適な生成物処理装備の例としては、ダイ・プレートとカッターとの組み合わせ;ダイ・プレートおよび水中ペレット化手段;荒目および穴付きのスクリューエレメントのような小片形成のための手段;その中に穴付きのシリンダーのように設計されてもよい撹拌器であって、生成物がシリンダーの外側から内側にプレスされ、シリンダーの内側の回転ナイフが生成物を細かくカットする撹拌器;押出機の末端プレートに置かれた固定ナイフであって、二軸スクリュー共回転押出機、単軸スクリュー押出機および遊星ローラー押出機を使って作業するときに好ましくは適用される、スクリュー回転がカッティング作用を引き起こすナイフが挙げられる。
【0131】
生成物に対する機械的および熱応力を減らすために、本発明の好ましい実施形態において生成物処理装備は、冷却手段と組み合わせられる。
【0132】
冷却手段は、生成物からの除熱を可能にする任意の手段を含む。冷却手段の例としては、熱交換器(特に管束熱交換器)、対流空気冷却付きの空気圧式小片コンベヤー、対流空気冷却付きの振動式小片コンベヤー、冷却接触面付きの振動式小片コンベヤー、対流空気冷却付きのベルトコンベヤー、冷却ベルト付きのベルトコンベヤー、水が冷却剤として働く、押出機の出口での熱い小片上への水噴霧および既述のような水中ペレット化手段が挙げられる。
【0133】
ニトリルポリマーゴム、すなわち生成物Pが砕けやすい(crumbly)外観を持たず、より蜂蜜様またはワックス様外観を有する場合には、すなわち最大でも20,000Pa*s、好ましくは最大でも10,000Pa*s、より好ましくは最大でも5,000Pa*s、最も好ましくは最大でも1,000Pa*sの粘度および50,000g/モル以下、好ましくは10,000〜50,000g/モル、より好ましくは12,000〜40,000g/モルの重量平均分子量Mwおよび2.0未満の多分散性(Mw/Mn)を有するときには、出口セクション22は典型的には、生成物が押出機および任意選択的に生成物冷却装備を出るのを可能にするための手段を含む。冷却装備は、生成物からの助熱を可能にするあらゆる手段を含む。冷却装備の例としては、熱交換器(特に管束熱交換器)、対流空気冷却付きのベルトコンベヤー、冷却ベルト付きのベルトコンベヤー、水が冷却剤として働く、熱い生成物上への水噴霧または水浴が挙げられる。
【0134】
生成物Pは次に、最終梱包および輸送のためにさらに処理されてもよい:
それ故、砕けやすい様の水素化ニトリルゴムは、たとえば油圧プレスによってベールに成形され、次に輸送用の箱または枠箱に詰められる。(蜂蜜様またはワックス様外観を有する)いわゆる「液体」グレードの水素化ニトリルゴムについては、適切な容器が用いられなければならない。
【0135】
一般に、供給点12での再加熱された濃縮流体Lの増加する供給量は、押出機のスクリュー速度の相当する増加を必要とする。さらに、スクリュー速度は、流体Lの滞留時間を決定する。したがって、スクリュー速度、供給量および押出機径は典型的には互いに依存する。典型的には押出機は、無次元押出量V/n*d
3(式中、Vは、容積流量を、nは、1分当たりの回転の単位で表されるスクリュー速度を、dは押出機の有効径を表す)が約0.01〜約0.2に好ましくは約0.015〜約0.1に調節されるような方法で運転される。最大および最小供給量ならびに押出機スクリュー速度は、たとえば押出機のサイズ、流体L中に含有される合成ゴム製品の物理的特性ならびに残留揮発性化合物のターゲット値によって決定される。しかし、これらの特性を考えると、運転パラメータは、幾つかの初期実験により当業者によって決定され得る。
【0136】
本発明の一実施形態において押出機は、5〜25,000の、好ましくは5〜6,000キログラム毎時の流量で運転される。
【0137】
さらにストリッピング剤が押出機装置に添加され、それは次にその他の揮発性化合物と一緒に除去される。そのようなストリッピング剤は、押出機で達成できる脱ガスを実質的に向上させる。ストリッピング剤は押出機装置のどこに添加されてもよいけれども、1つ以上の蓄積セクションにおける添加が好ましい。より好ましい実施形態においてストリッピング剤は、最後のもの(20)を除く1つ以上の蓄積セクションにおいて添加される。
【0138】
好適なストリッピング剤は、再加熱された濃縮流体(L)および/または生成物(P)に不活性であり、そして100℃で100hPa超の蒸気圧を有する物質である。
【0139】
本発明との関連で、用語「不活性な」は、ストリッピング剤が、再加熱された濃縮流体(L)および生成物(P)中に含有される水素化ニトリルポリマーと反応しないかまたは実質的に反応しないことを意味する。好適なストリッピング剤は、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、希ガス、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、エチレン、プロペン、イソブテン、ブタジエン、天然ガス、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、水または前述の物質の混合物である。ストリッピング剤の量は、出口セクションで得られる水素化ニトリルゴムの量を基準として0.0001〜10、好ましくは0.001〜5、より好ましくは0.1〜2重量%の範囲で選択されてもよい。
【0140】
本発明による方法は、
・脱ガス容器(4)と連通したヒーター(2)を含む1つの濃縮装置であって、脱ガス容器(4)の底部分がポンプ(4.2)と連通しており、脱ガス容器(4)の上部が少なくとも1つの蒸気ライン(4.1)と連通している装置
・濃縮装置のポンプ(4.2)および押出機装置上の供給点(12)と連通した1つの加熱装置(6)
・少なくとも1つの供給点(12)、1つの押出機脱ガスセクション(16)、1つの蓄積セクション(20)および1つの出口セクション(22)を含む1つの押出機装置であって、押出機脱ガスセクション(16)が、蒸気ライン(15.1)に接続された少なくとも1つのガス抜き口(15)をさらに含む装置
を少なくとも含むデバイスで行うことができる。
【0141】
本発明との関連で用語「連通した」には、直接または間接接続が含まれ、間接接続は、たとえばチューブまたはパイプによって成し遂げられてもよい。用語「連通した」には、連通した装置または手段間にさらなる装置または手段が配置される選択肢がさらに含まれる。
【0142】
本方法を行う方法に関する一実施形態は
図2に示される。
図2は、ポンプ1、ヒーター2、脱ガス容器4、蒸気ライン4.1およびポンプ4.2を持った濃縮機装置と、ヒーターを含む再加熱装置6と、ガス抜き口15Aおよび15Bならびに蒸気ライン15.1Aおよび15.1Bにそれぞれ接続された2つの搬送セクション16Aおよび16Bを有する2つの押出機脱ガスセクション、搬送セクション16Aおよび16Bを終了させる2つの蓄積セクション18および20ならびに出口セクション22を含む押出機装置とを含む本発明による方法の達成のための別のフローチャートおよび好適なデバイスを示す。それに加えて押出機装置は側方供給装置24をさらに含む。
【0143】
一般に、押出機装置は、押出機のどこにでも、好ましくは供給点または出口セクション22にごく接近して置かれてもよい、1つ以上の側方供給装置を含んでもよい。側方供給装置は、ポリマーへの添加剤の添加のために好適である。
【0144】
特に水素化ニトリルゴム生成物用の、添加剤の例としては、安定剤、ESBO(エポキシ化大豆油)のような酸捕捉剤、ステアリン酸カルシウムのようなステアリン酸塩、酸化防止剤などが挙げられる。好適な酸化防止剤の例としては、ブチルヒドロキシトルエンのような立体障害のフェノールならびにIrganox(登録商標)1010、1076、Vulkanox(登録商標)KB、Vulkanox(登録商標)BKF、およびWingstay(登録商標)Lのようなその誘導体、アミン、メルカプト−ベンズイミダゾール、メチル−2−メルカプトベンズイミダゾール、ブチル化およびオクチル化ジフェニルアミンのようなアルキル化ジフェニルアミン、重合した2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(Vulkanox(登録商標)HS)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイトのようなある種のホスファイトなどが挙げられる。
【0145】
特に、水素化ニトリルゴムは、たとえば0.0001〜4phrのエポキシ化大豆油(ESBO)、0.0001〜5phrのステアリン酸カルシウムおよび0.0001〜0.5phrの酸化防止剤(phr=ゴム重量について百部ゴム当たりの部)と混合されてもよい。その他の添加剤、すなわち充填剤または着色剤もまた、水素化ニトリルゴム製品の用途に応じて、適用できる。
【0146】
その代わりとしてまたはそれに加えて、添加剤はまた流体Fにまたは、それらが液体である限りストリッピング剤と一緒に既に添加されてもよい。
【0147】
本発明による方法のさらなる実施形態は
図4に示される。
この実施形態において工程a)は、少なくとも1回、好ましくは1回または2回繰り返される。工程a)を繰り返す利点は、濃縮流体Hを製造するための総エネルギー消費を、各濃縮装置についてのパラメータ最適化によるより容易な運転のためにかなり削減できることである。工程a)の繰り返しは好ましくは、それぞれの数の濃縮装置を直列に接続することによって成し遂げられる。
【0148】
図4は、ポンプ1と、ヒーター2A、蒸気ライン4.1Aおよびポンプ4.2Aを備えた脱ガス容器4Aを含む第1濃縮機装置、ヒーター2B、蒸気ライン4.1Bおよびポンプ4.2Bを備えた脱ガス容器4Bを含む第2濃縮機装置を持った二段濃縮機装置と、ヒーターを含む再加熱装置6と、ガス抜き口15Aおよび15Bならびに蒸気ライン15.1Aおよび15.1Bにそれぞれ接続された2つの搬送セクション16Aおよび16Bを有する2つの押出機脱ガスセクション、搬送セクション16Aおよび16Bを終了させる2つの蓄積セクション18および20ならびに出口セクション22を含む押出機装置とを含む本発明による方法の上記の達成のためのフローチャートおよび好適なデバイスを示す。加熱された流体Gは第1濃縮段階にかけられ、それによってプレ−濃縮流体Jを得て、それは次に、再加熱されたプレ−濃縮流体Kを得るためにヒーター2Bによって再加熱され、プレ−濃縮流体Kは次に第2濃縮段階にかけられ、それによって濃縮流体Hが得られる。濃縮流体Hは次に上記の通りさらに処理される。
【0149】
本発明による方法の好ましい実施形態において濃縮装置、再加熱装置または押出機装置は互いに独立して、所定の条件下での装置の非常に稠密な運転を可能にする1つ以上の圧力調整デバイスを備えていてもよい。
【0150】
圧力調整デバイスは、能動的であっても受動的であってもよく、能動圧力調整デバイスが好ましい。能動圧力調整デバイスの例としては、圧力安全弁のような制御弁が挙げられ、受動圧力調整デバイスの例としては、ノズルおよびダイまたはオリフィス板が挙げられる。好適なバルブは、ボール、ピストン、ゲートまたはニードルバルブから選択されてもよい。
【0151】
受動圧力制御デバイスの場合には、ある一定の圧力降下をもたらすためにオリフィスを計算することが好ましい。この計算は、当該ポイントでの流体の粘度および押出量に基づく。当業者なら誰でもこの計算を行うことができる。
【0152】
能動圧力制御デバイスは典型的には、デバイスの上流での圧力測定によって制御される。圧力はたとえば測定され、設定点と比較される。圧力制御デバイスは次に、認められているオフセットに従って調節される。
【0153】
あるいは、デバイスにわたっての圧力降下が、圧力制御デバイスの上流での絶対圧力の代わりに測定される。バルブ位置は、手動で、電気的に、空気圧でまたは油圧で調節される。バルブ位置の制御、すなわち設定点圧力への調節は、たとえば手動でまたは任意の自動化プロセス制御システムで行うことができる。
【0154】
追加の圧力制御デバイスを有する本方法の別の実施形態は
図3に示される。
【0155】
圧力制御デバイスは別として、そのような実施形態は
図2に非常に似ている。加熱された流体Gの圧力は、圧力制御デバイス3によって制御され、押出機に入る再加熱された濃縮流体Lの圧力は、圧力制御デバイス7によって制御される。
【0156】
本発明による方法の好ましい実施形態において再加熱された濃縮流体(L)は、押出機装置の第1押出機脱ガスセクションであって、蒸気ラインにそれぞれ接続された1つ以上の後部ガス抜き口を上流に含む脱ガスセクションへ注入される。
【0157】
後部ガス抜き口の利点は、再加熱された濃縮流体L中に存在する揮発性化合物が急なおよび迅速な蒸発を受け、それによって合成ゴム生成物と揮発性化合物との少なくとも部分的な分離を達成し、蒸気が上流方向で後部ガス抜きを通って出ることである。一般に、流体L中に存在する揮発性化合物の約50〜約99重量%が上流ガス抜きを通して除去される。
【0158】
この実施形態の例は
図5に示される。
図5は、ポンプ1と、ヒーター2、蒸気ライン4.1およびポンプ4.2を備えた脱ガス容器4を含む濃縮機装置とを持った一段濃縮機装置と、ヒーターを備えた再加熱装置6と、供給点12が第1押出機脱ガスセクションに設置されている、3つの押出機脱ガスセクションを含み、搬送セクション16A、上流方向で蒸気ライン13.1に接続された後部ガス抜き口13を含む押出機装置とを含み、押出機装置が、ガス抜き口15Aおよび15Bが蒸気ライン15.1Aおよび15.1Bにそれぞれ接続されている、そして搬送セクション16A、16Bおよび16Cのそれぞれが蓄積セクション!8A、18Bおよび20によって終了する、搬送セクション16Bおよび16C、ガス抜き口15Aおよび15Bをそれぞれ含む2つの下流押出機脱ガスセクションをさらに含み、押出機装置が出口セクション22をさらに含む本発明による方法の達成のための別のフローチャートおよび好適なデバイスを示す。一般に、流れは、相違が再加熱された流体L中に存在する大量の流体化合物がガス抜き口13およびそれに接続された蒸気ライン13.1を経由して既に除去されていることである状態で上記の通り処理される。
【0159】
この実施形態の別の例は
図6に示される。
図6は、ポンプ1と、圧力制御デバイス3、ヒーター2、蒸気ライン4.1およびポンプ4.2を備えた脱ガス容器4を含む濃縮機装置とを持った一段濃縮機装置と、ヒーターを含む再加熱装置6と、供給点12が第1押出機脱ガスセクションに設置されている、第1押出機脱ガスセクションが搬送セクション16A、上流方向で蒸気ライン13.1に接続された後部ガス抜き口13を含み、押出機の供給点12の上流に圧力制御デバイス7、4つの押出機脱ガスセクションを含む押出機装置とを含み、押出機装置が、ガス抜き口15A、15Bおよび15Cが蒸気ライン15.1A、15.1Bおよび15Cにそれぞれ接続されている、そして搬送セクション16A、16B、16Cおよび16Dのそれぞれが蓄積セクション18A、18B、18Cおよび20によって終了する、搬送セクション16B、16Cおよび16D、ガス抜き口15A、15Bおよび15Cをそれぞれ含む3つの下流押出機脱ガスセクションをさらに含み、押出機装置が出口セクション22をさらに含む本発明による方法の達成のための別のフローチャートおよび好適なデバイスを示す。一般に、流れは上記の通り処理される。
【0160】
典型的に、そして上に既に開示されたようにヒーター2へ供給される、流体Fは、たとえば3〜50重量%の非揮発性水素化ニトリルゴムポリマーおよび50〜97重量%の揮発性化合物、特に少なくとも有機溶媒を含有し、それによって前述の成分は合計して流体Fの総質量の90〜100、好ましくは95〜100重量%になり、好ましい実施形態においては3〜50重量%の非揮発性水素化ニトリルゴムポリマー、50〜95重量%の揮発性有機化合物、特に少なくとも有機溶媒、および0.5〜20重量%の水を含有し、それによって前述の成分は合計して流体Fの総質量の95〜100重量%になる。
【0161】
本発明は、エネルギーおよび真水消費を考慮すると特に有利である。得られる生成物は揮発性化合物を含まない。
【0162】
本明細書で上に用いられた参照数字を以下にまとめる:
1 ポンプ
2、2A、2B ヒーター
3 圧力調整デバイス
4、4A、4B 脱ガス容器
4.1、4.1A、4.1B 蒸気ライン
4.2、4.2A、4.2B ポンプ
6 再加熱装置
7 圧力調整デバイス
12 供給点
13 後部ガス抜き口(上流)
13.1 蒸気ライン
15、15A、15B、15B、15C ガス抜き口(下流)
15.1、15.1A、15.1B、15.1C 蒸気ライン
16、16A、16B、16B、16C 搬送セクション(下流)
18、18A、18B、18B、18C 蓄積セクション
20 最後の蓄積セクション
22 出口セクション
F 流体F
G 加熱された流体H
H 濃縮流体H
J プレ濃縮流体J
K 再加熱されたプレ濃縮流体K
L 再加熱された濃縮流体L
P 本発明による方法によって得られる水素化ニトリルゴムポリマー