特許第5712427号(P5712427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5712427
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】パチンコ機の球整列レール
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
   A63F7/02 324B
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2010-210336(P2010-210336)
(22)【出願日】2010年9月21日
(65)【公開番号】特開2012-65681(P2012-65681A)
(43)【公開日】2012年4月5日
【審査請求日】2013年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148287
【氏名又は名称】株式会社浅間製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(74)【代理人】
【識別番号】100161403
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 静夫
(72)【発明者】
【氏名】工藤 允
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 義雄
(72)【発明者】
【氏名】小林 富士夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 進
(72)【発明者】
【氏名】蓮沼 光次
【審査官】 河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−260231(JP,A)
【文献】 特開2001−300069(JP,A)
【文献】 特開2002−325894(JP,A)
【文献】 特開2004−000426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球タンクから多段多列の状態で受け入れた球を1段2列に整列させて下流に送出するパチンコ機の球整列レールにおいて、
底面の中央部に球流下方向に伸びる山形突条を形成して、最下段の球を球整列レールの左右の側壁方向に押しつけるようにし、
球整列レールの左右の側壁には、2段目以上の球を球整列レールの長手方向に沿って流下するにつれて、球整列レールの内側に押し込むための出っ張りを、左の側壁と右の側壁との間で、球流下方向に互いに始点位置をずらして設けたうえに、前記出っ張りは、その内側に、出っ張りに沿って流れる球に下向きの力を与える斜面を有するものとして、
球整列レールの上部には、2段目以上の球を1段に押さえ込むための天井板を設けたことを特徴とするパチンコ機の球整列レール。
【請求項2】
球整列レールの途中に、球2列が通過可能な幅の縮幅部を設けた請求項1に記載のパチンコ機の球整列レール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球タンクから送り込まれた球を整列させて下流に送出するためのパチンコ機の球整列レールに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機の裏面には、球タンクと球整列レールと球払出装置とが配設されている。球整列レールは、多段多列の状態で球タンクから受け入れた球を、1段2列の状態に整列させたうえに、球払出装置に送出したりするが、球が他の球と球整列レールの側壁などの間に挟まって球詰まりを起こして円滑な球の払い出しが不能となることがある。
【0003】
このような球詰まりを防止するための従来技術として、例えば特許文献1には球崩し部材を備えたものが開示されている。また、特許文献2には球通路を振動モータにより振動させるようにしたものが開示されている。しかしながら、球崩し部材や振動モータを配設することは、新たな部材や部品を必要としコストアップにつながるとともに、配設のためのスペースを確保する必要がある。さらに、球詰まり防止効果において必ずしも十分でないことがあった。また、特許文献3には、レールの通路幅を球が単列で流下する幅とし、繰り返し屈曲した蛇行状部により、球崩し部材や振動モータを有さずともレールの形状だけで球詰まりを防止しながら整列させるようにしたものが開示されている。しかしながら、蛇行させることで球の流下速度が遅くなるため、近年、高速に払い出すことが要求されている球払出装置への供給が追いつかないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−254602号公報
【特許文献2】特開平10−179849号公報
【特許文献3】特開2006−149568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑み、新たな部材や部品を用いることなく球詰まりの発生を防止でき、さらに、球払出装置へ高速に供給することができるパチンコ機の球整列レールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明に係るパチンコ機の球整列レールは、球タンクから多段多列の状態で受け入れた球を1段2列に整列させて下流に送出するパチンコ機の球整列レールにおいて、
底面の中央部に球流下方向に伸びる山形突条を形成して、最下段の球を球整列レールの左右の側壁方向に押しつけるようにし、
球整列レールの左右の側壁には、2段目以上の球を球整列レールの長手方向に沿って流下するにつれて、球整列レールの内側に押し込むための出っ張りを、左の側壁と右の側壁との間で、球流下方向に互いに始点位置をずらして設けたうえに、前記出っ張りは、その内側に、出っ張りに沿って流れる球に下向きの力を与える斜面を有するものとして、
球整列レールの上部には、2段目以上の球を1段に押さえ込むための天井板を設けたことを特徴とするものである。
この発明において、球整列レールに、球2列が通過可能な幅の縮幅部を設けることができる。
なお、本明細書において多段多列とは、2段2列以上の状態をいう。
【発明の効果】
【0007】
本願発明の球整列レールは、球整列レールの底面の中央部に、球流下方向に伸びる山形突条を形成したので、球を球整列レールの左右の側壁方向に押しつけることができ、球整列レールの左右の側壁には出っ張りを設けたので、2段目以上の球を球整列レールの長手方向に沿って流下するにつれて、球整列レールの内側方向に押し込むことができる。また出っ張りは、その内側に、出っ張りに沿って流れる球に下向きの力を与える斜面を有するものとしたことにより、出っ張りに沿って流れる球を、最下段の球の間に押し込まれ易くすることができる。これによって、上段の球を最下段の球の列の上から内側に位置をずらすことができるので、天井板によって小さい押圧力で球を1段に均して、球詰まりを防止することができる。さらに、最下段の球を蛇行させたりしないので、球タンクの球を球払出装置へ高速に供給することができる。
球整列レールの横幅が広くて、2段目の球が山形突条の山稜に乗った状態の、1段3列に均された場合には、縮幅部によって左右の球を接近させることによって、球を1段2列に整列させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】球タンクに接続された球整列レールの斜視図である。
図2】球整列レールの内部を示す平面図である。
図3】球整列レールの内部を示す正面図である。
図4図2の、(a)A−A線断面図、(b)B−B線断面図、(c)C−C線断面図、(d)D−D線断面図である。
図5】球整列レールの内部を示す正面図である。
図6】球整列レールの斜視図と、流入口、流出口の正面図である。
図7図6の球整列レールの(a)下半部、(b)上半部の水平断面図である。
図8図6の球整列レールを縦断して示す斜視図である。
図9図6の球整列レールの横断面図である。
図10図6の球整列レールを縦断して示す正面図である。
図11】球が2段1列に積み重なった状態を示す平面図である。
図12】球詰まり状態の説明図である。
図13】上段の球を内方に移動させた状態の球整列レールの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
先ず、本発明の基本概念について説明する。
図11は、球整列レール2内において、上段の球aが最下段の2つの球b、bの間に乗った状態を示す平面図であって、下段の球b、bの中心点を通る垂直面と上段の球aの中心点を通る垂直面とは同一である。したがって、この場合には、図12に示す正面図のごとく上段の球aが天井板21に当接したときには、球aは下段後方の球bによって球aの中心を通って矢印の方向に押圧されるので、これらの球a、bによって球詰まりが発生しやすいこととなる。
【0010】
ところが、図13に示すように上段の球aが下段の4つの球c、c、c、cの間に乗ったときには、下段の球c、cの中心点を通る垂直面と上段の球aの中心点を通る垂直面とは異なる面となる。この場合には、上段の球aが天井板21に当接したときには、図12のような矢印方向の押圧力が作用せずに、押圧力が分散される。上段の球aは天井板21によって小さい押圧力でもって下段の4つの球c、c、c、cの間に押し込まれるので、球を1段に均すことができる。よって、球整列レール2の構造を上段の球が下段の4つの球の間に乗った状態で天井板21を徐々に低くする構造とすれば、上段の球の押し下げが容易となって球詰まりの発生を防止することができる。
【0011】
以下に、本発明の実施形態について説明する。
図1は、球タンク1に接続された球整列レール2を示す斜視図である。球整列レール2の下流に球払出装置(図示していない)が配設されている。
【0012】
本発明の球整列レール2を、図2〜4により説明する。この球整列レール2において、球は球タンク1から多段2列の状態で流入し、球整列レール2の幅は球2個よりも1〜2mm程度僅かに広く形成されて、上流から下流まで常に一定になっている。球整列レール2には、底面22の中央部に球流下方向に伸びる山稜31を有する山形突条3が形成されている。山形突条3は左右の側壁23の方向に低く傾斜されているので、最下段の球は左右の側壁23に分離して押しつけられる。また山稜31は最下段の球の中心を越えない高さになっているので、最下段の球に後続する球の圧力がかかった場合に山稜31を乗り越えて隣側に移動することで球詰まりを起さないようになっている。
【0013】
球整列レール2の左右の側壁23には、2段目以上の球を球整列レール2の内側に押し込むための出っ張り4、5が設けられている。出っ張り4、5は、側壁23に対してオーバーハングして最下段の球の上方に突出している(図4)。また、出っ張り4、5の始端41、51は、図2に示すように段違いの千鳥状に位置をずらしてあって、上段に2つの球がある場合に2つの球が左右から同時に押し込まれてぶつかり合うのを回避してある。また、一方の出っ張り4は断面が矩形で、他方の出っ張り5は断面が三角形の左右非対称になっているので、左右から同時に押し込まれてぶつかり合うのを回避してある。さらに、出っ張り5は内側に傾斜した斜面を有するので、出っ張り5に沿って流れる球には下向きの力がかかり、最下段の球の間に押し込まれ易くなっている。
【0014】
球整列レール2の上部には、2段目以上の球を1段に押さえ込むための天井板21が設けられている。天井板21は底面22と鋭角をなしており、下流側に向けて徐々に低く形成されている。この天井板21は、平板状であってもよく、また緩やかに湾曲させたものであってもよい(図5)。
【0015】
以上のような球整列レール2において、図2図4(a)に示すように、下段の前後の球の間に上段の球が乗ることがある。この上段の球は、出っ張り4に摺接すると玉整列レール2の内側に押し込まれる(図4(b))。その後上段の球が最も安定する前後左右の4つの球の間の隙間の上に転がって移動する(図4(c))。そして、天井板21によって上段の球が下段の4つの球の間に押し込まれて球は1段に均される(図4(d))。さらに、球がばらけて流下することにより均された球は山形突条3により左右の側壁23の一方に押しやられて、球は1段2列に整列されて球払出装置に向かって流下することとなる。
【0016】
図6に示す球整列レール2は、球タンク1から球が多段3列の状態で流入し、流出口から球が1段2列となって送出される。この球整列レール2においても、底面22には山形突条3が設けられている(図7(a))。球整列レール2の左右の側壁23には、出っ張り4、5がその始端41、51を段違いとして千鳥状に配設されている(図7(b))。球整列レールの途中には、球3列分の横幅を球2列分に狭めるための縮幅部25が形成されている。左右の縮幅部25の始端25a、25bも段違いの千鳥状に配置してある。
【0017】
球整列レール2の横幅の縮幅とともに、中央の山形突条3は、高さを低く裾野の幅を狭めて、左右の球通路を接近させてある(図6図7(a))。また、球整列レール2の上方には、上段の球を下方に押圧するための天井板21が設けてある(図7(b))。
【0018】
以上のような球整列レール2において、2段目以上の球は、出っ張り4、5に押されて球整列レール2の内方に押し込まれる(図9)。球整列レール2の上段の横幅は、球2個分の幅を確保してあるので、出っ張り4、5の押し込みによって球が詰まることはない。内方に押し込まれた球は天井板21によって下方に押圧されて球は1段3列に均される(図8)。左右の側壁23は、縮幅部25によって徐々に縮幅されて球を内側に押し込むとともに、中央の山形突条3が高さ、幅とも徐々に小さく形成されているので、左右の球は接近して3列の球は2列に整列されて流下する。
【符号の説明】
【0019】
3 山形突条、4、5 出っ張り、21 天井板、22 底面、23 側壁、41、51 出っ張りの始端
図1
図2
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図11
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