【文献】
JISハンドブック2 鉄鋼II,日本,財団法人日本規格協会,2001年 1月31日,P.786,787,812,813,818
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
仮想円筒面に軸方向に沿って複数本の主筋が間隔を開けて配設され、該複数本の主筋の外周に複数本の補強筋が巻き付けられてなる、鉄筋コンクリート構造物用の鉄筋籠であって、
隣り合う上記補強筋同士には扁平の螺旋形を有するバネ鋼線が巻き付けられ、当該隣り合う上記補強筋の重なり部分を該バネ鋼線のバネ力により圧接していることを特徴とする、鉄筋コンクリート構造物用の鉄筋籠。
仮想円筒面に軸方向に沿って複数本の主筋が間隔を開けて配設され、該複数本の主筋の外周に複数本の補強筋が巻き付けられてなる、鉄筋コンクリート構造物用の鉄筋籠であって、
上記各補強筋は一巻きのループを有し、このループの両端部が部分的に重なり合っており、その重なり部分には扁平の螺旋形を有するバネ鋼線が巻き付けられ、該重なり部分を該バネ鋼線のバネ力により圧接していることを特徴とする、鉄筋コンクリート構造物用の鉄筋籠。
【背景技術】
【0002】
鉄筋同士を接続するための継手として、従来から鋼製の筒状カプラが用いられている。この場合、例えば、カプラの両端から接続すべき鉄筋をそれぞれ挿入し、カプラにグラウトや接着剤を注入して硬化させている。別の例として、カプラ内側に雌ネジを設ける一方、鉄筋として端部に雄ネジを形成したネジ鉄筋を用い、ネジ鉄筋をカプラに螺合して鉄筋同士を接続する。さらに別の例として、締結すべき二つの鉄筋の端部をカプラの両側から互いに平行に挿入し、カプラ内でネジ止めしたりカプラ内に楔を打ち込んだりすることにより、鉄筋同士を締結する。
【0003】
その他、鉄筋同士を接続する手法として、接続すべき鉄筋の軸心が互いにずれている場合、特殊ナットとカプラ(ユニバーサルジョイントともいう。)等を使用することによって、鉄筋同士を締結している。
【0004】
特許文献1に開示されたフープ筋の接続方法では、フープ筋を構成する一方の補強筋本体の端部に雄ネジを設け、他方の補強筋本体の端部に潰頭部を設け、この潰頭部に接続部材を回転自在に係止させ、補強筋本体の端部同士を雄ネジ部に接合部材を螺合している。
【0005】
特許文献2に開示されている継手構造では、プレキャストコンクリート部材内に埋設した鉄筋と、この鉄筋の周囲を囲みかつその一部が外部に露出した接続用鉄筋と、を備え、接続すべきプレキャストコンクリート部材の夫々の接続用鉄筋に近接させて連結筋を配置し、接続用鉄筋と連結筋との周囲にコンクリートを打設している。
【0006】
特許文献3に開示されているフープ筋の取付構造では、フープ筋をコの字形状に曲げた2本の分割フープ筋で構成し、各分割フープ筋のそれぞれ両端部分に大径部を備え、その大径部を含む先端部分を互いに重ね合わせてスパイラル筋により補強している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、筒状カプラは、削り出しや鋳造等により製造されるため、継手の外径が大きく形成される。鉄筋コンクリート構造物ではコンクリート被り厚さが規定されているため、鉄筋を含む鉄筋構造部分が大きくなると、その分だけ構造物の外径が大きくなる。つまり、鉄筋構造における柱等が太くなるため、構造物の内容積が小さくなるという不具合が生ずる。特に、コンクリート構造物におけるフープ筋のように鉄筋が円弧状やスパイラル状になっている場合、鉄筋の端部が湾曲しているため、カプラに鉄筋を挿し込む部分も鉄筋の湾曲形状に沿って穴を形成する必要があり、カプラ全体が大型化してしまう。カプラに楔を打込む場合も同様の問題がある。前述のようにユニバーサルジョイントを採用すると、筒状のカプラよりも大型化し、同様の問題が生じる。特許文献1に開示されている補強筋の接続手法においても、補強筋の端部に接続部材を取り付けるので、接続部材の部分だけ大径になり、同様の問題が生じる。
【0009】
これに対し、特許文献2で開示されている継手構造では、プレキャストコンクリート部材から一部が外部に露出したスパイラル状の接続用鉄筋の内側に連結筋を挿入し、その周りにコンクリートを打設している。よって、プレキャストコンクリート部材の継ぎ目だけが部分的に外部に張り出しており、構造的にも、また見かけ上も悪い。
【0010】
特許文献3で開示されているフープ筋取付構造では、分割フープ筋における各端部分に大径部を備えることにより、スパイラル筋がフープ筋から脱落しないよう左右から保持している。この構造では、分割フープ筋の端部を互いに重ね合わせてスパイラル筋を取り付ける作業が大径部の存在により煩雑となる。特許文献3では特にスパイラル筋の取付手法については開示されていないが、大径部があるため、接続継手の役目を果たすスパイラル筋に対し分割フープ筋を挿し込むことはできず、分割フープ筋の端部を互いに重ね合わせて鋼線を巻き付けてスパイラル筋としていると推察される。しかしこのスパイラル筋の取付手法では、一対の分割フープ筋に鋼線を巻き付けるため、鋼線の復元力によりスパイラル筋の周囲のコンクリートにはその応力が作用し、コンクリートが割れる可能性がある。
【0011】
本発明は、簡単な構成により鉄筋を接続することができる鉄筋継手具及び鉄筋継手工法と、鉄筋継手具を用いた鉄筋籠とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明
の構成は、仮想円筒面に軸方向に沿って複数本の主筋が間隔を開けて配設され、複数本の主筋の外周に複数本の補強筋が巻き付けられてなる、鉄筋コンクリート用構造物の鉄筋籠であって、隣り合う補強筋同士には扁平の螺旋形を有するバネ鋼線が巻き付けられ、隣り合う補強筋の重なり部分をバネ鋼線のバネ力により圧接していることを特徴とする。
【0015】
本発明
の別の構成は、仮想円筒面に軸方向に沿って複数本の主筋が間隔を開けて配設され、複数本の主筋の外周に複数本の補強筋が巻き付けられてなる、鉄筋コンクリート構造物用の鉄筋籠であって、各補強筋は一巻きのループを有し、このループの両端部が部分的に重なり合っており、その重なり部分には螺旋形を有するバネ鋼線が巻き付けられており、隣り合う補強筋の重なり部分をバネ鋼線のバネ力により圧接していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、一組又は一本の
補強筋における接続すべき一方の端部と他方の端部とが重なり合う領域
には螺旋形のバネ鋼線が巻き付けられる。その際、一方の端部と他方の端部とが向き合っていない非対向面に対してバネ鋼線が間隔を開けてバネ力によって圧接しているので、一方の端部と他方の端部とを強固に拘束することができる。よって、このよう
な螺旋形のバネ鋼線により鉄筋同士を容易に接続することができる。また、
補強筋同士を接続するので、コンクリートを打設した後、コンクリートに割れが生じ難い。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。下記に記載する実施形態は、梁、柱などのコンクリート構造物において、杭主筋の周りに巻き付けられる補強筋同士を鉄筋継手具で接続する場合を示すが、本発明はこの実施形態の場合に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲において適宜変更して実施することができることはいうまでもない。
【0019】
〔鉄筋籠及び鉄筋継手具〕
図1(A)は本発明の実施形態に係る鉄筋籠を模式的に示す斜視図であり、(B)は(A)に示す一組の補強筋の重なり合う部分の拡大図である。なお、
図1(A)では鉄筋籠10にコンクリートが打設された状態を示している。
本発明の実施形態に係る鉄筋籠10は、
図1(A)に示すように、仮想円筒面の軸方向に沿って間隔を開けて複数本の主筋11が配設されて杭主筋が構成され、複数本の主筋11の外周に複数本の補強筋12が巻き付けられて構成される。その際、隣り合う補強筋12,12同士が鉄筋継手具13で接続されている。補強筋12,12の接続部分14を
図1(B)に拡大して示すように、隣り合う補強筋12,12の各端部12A,12Bが重なり合い、螺旋形を有する鋼線、即ち、鉄筋継手具13が締結している。鉄筋継手具13は、
図1(B)に示すように、螺旋形を有する鋼線、即ちバネ鋼線からなる。
【0020】
鉄筋継手具13について詳細に説明する。
図2は、鉄筋の各端部に装着した状態での、鉄筋継手具13のうち螺旋形の一巻きを軸方向から観察した様子を示す模式図である。
鉄筋継手具13は、
図2に示すように、接続すべき鉄筋1(
図1における補強筋12に該当又は相当する。)の一方の端部1Aと他方の端部1Bとが重なり合う領域に鋼線が巻き付けられた状態において、鉄筋1の一方の端部1Aと他方の端部1Bとが向かい合っていない面、即ち非対向面2上で、一方の端部1Aと他方の端部1Bとを弾性的に圧接し、鉄筋1の端部1A及び1Bを拘束している。即ち、鉄筋継手具13であるスパイラル状の鋼線が、非対向面2に間隔を開けてバネ力によって圧接して、鉄筋1の端部1A及び1Bを強固に拘束している。
詳細には、鉄筋継手具13は、鉄筋1の一方の端部1A、他方の端部1Bの外周面のうち非対向面2を圧接している。鉄筋継手具13は、一方の端部1Aに
図2に符号A1、A2で示す領域で圧接しており、他方の端部1Bに
図2に符号B1、B2で示す領域で圧接している。符号A1で示す領域と符号B2で示す領域とはほぼスパイラルのワンピッチの約半分ほど軸方向にずれており、符号A2で示す領域と符号B1で示す領域とはほぼスパイラルのワンピッチの約半分ほど軸方向にずれている。鉄筋継手具13が圧接するこれらの領域は、鉄筋継手具13の軸に沿って対称な関係にある。
【0021】
ここで、鋼線の太さは接続すべき鉄筋の断面寸法にも依存するが、鋼線は1〜10mm、特に、1〜5mmの直径を有するとよい。鋼線が太すぎると鉄筋継手具13を人力で圧縮したり曲げたりすることが難しくなり施工性が悪くなる。
鋼線が細い場合でも、接続する鉄筋の重ね合わせ部位を長く設定し、鋼線を長く巻き付ければよい。鋼線は1mm以上の太さを有するとよい。鋼線が1mm未満の太さであると拘束力が不足し、鉄筋を十分拘束しないからである。
鋼線素材は、295N/mm
2以上の引張強度を有するとよい。鋼線素材がこの数値未満の引張強度しか有さないと、鉄筋1における一方の端部1A及び他方の端部1Bを十分拘束しないため、また、螺旋形を維持することができないためである。
【0022】
図3は、鉄筋継手具13の一例を示す図である。鉄筋継手具13は、鉄筋に装着される前の状態では、
図3に示すように扁平した螺旋形を有している。螺旋形の一巻きを軸方向から観察すると、即ち、一巻きを投影すると、仮想リングが得られ、その仮想リングが扁平している。鉄筋継手具13が
図3に示すように、楕円コイルばね形状を有する場合、鉄筋継手具13の寸法は例えば次のように設定される。
例えば仮想リングの長軸は鉄筋1の直径の2倍以上の長さを有し、仮想リングの短軸は鉄筋1の直径以下の長さを有する。このような寸法を有する鉄筋継手具13が鉄筋1の重ね合わせ領域に装着されると、仮想リングの短軸は拡がり、仮想リングの長軸は短くなり、鉄筋継手具13が鉄筋1の端部1A及び1Bの重ね合わせ領域を締め付ける。
また、仮想リングの内周長LがL≦(2+π)dの関係式を満たしても良い。ここで、dは鉄筋の直径である。
また、仮想リングは、長軸方向の内径Hを鉄筋の直径dの2倍以下として、及び/又は短軸方向の内径Dを鉄筋の直径d以下の寸法形状を有するようにしてもよい。特に、仮想リングの内周長L<(2+π)dの関係を満たし、かつ、H<2d、D<dの何れかを満たせば、鉄筋継手具13が鉄筋1の重なり合った部位を外側から弾性をもって強く締め付けて拘束する。
図示の例では、トラック状、即ち、一対の平行部がその両端において半円周部で接続されて周回状となっているが、別に図示した例に限らず、略楕円形状などであっても構わない。
【0023】
鉄筋継手具13の軸方向の長さL
1は、鉄筋1の直径dの10〜30倍であるとよい。鉄筋継手具13の軸方向の長さL
1がこの範囲にあれば、鉄筋に何らかの力が作用しても一組の鉄筋を十分拘束することができる。特に、接続すべき鉄筋がフックを有している場合であっても、その鉄筋の直径の30倍程度巻き付けることで、十分鉄筋同士を拘束して接続できる。
【0024】
鉄筋継手具13における巻き数は、前述した仮想リングの寸法関係を満たし、かつ軸方向の長さL
1との関係で決定することができる。鋼線が太くなれば少ない巻き数でも構わない。ここで、鉄筋継手具13の単位長さ当たりの巻き数は、鉄筋に装着されている状態で、鉄筋継手具のピッチ間にもコンクリートが充填可能な範囲であるとよい。例えば、10〜20(回/mm)であるとよい。
【0025】
本発明の実施形態に係る鉄筋籠では、
図1(A)に示すように、鉄筋継手具13が、主筋11を包囲して保持する補強筋12,12同士を接続している。これら補強筋12,12は、接続端部が円弧状に湾曲している。このような接続端部同士をスパイラル状のバネ鋼線、即ち、鉄筋継手具13で接続するので、補強筋12,12の端部が円弧状であっても、後述する手順により弾性変形により容易に装着することができる。
【0026】
特に、
図1(A)に示す鉄筋籠10にコンクリート15を打設してコンクリート構造物16を構築することで、従来方式のように補強筋の端部をL字状即ちフック状に折り曲げて杭主筋に引っ掛ける必要がないため、フックを形成するための工程が不要となる。また、地震などにより被りコンクリートが剥落してしまった場合でも、補強筋同士をスパイラル状のバネ鋼線で接続しているため、補強筋の外側へのはらみ出しを未然に防止することができる。
【0027】
〔鉄筋継手工法〕
次に、本発明の実施形態に係る鉄筋継手工法について説明する。以下では、
図1(A)及び(B)に示すように、スパイラル状の補強筋12,12同士を継ぎ合わせる場合を例に挙げて説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る鉄筋継手工法を模式的に示す図である。
先ず、一方の補強筋12の端部12Aから鉄筋継手具13を外挿し、
図4(A)に示すように、補強筋12の重ね合わせ端部12Cより内側の奥まで移動する。鉄筋継手具13の短軸方向の内径が補強筋12の外径以下である場合、鉄筋継手具13を長軸方向に潰したり、鉄筋継手具13を補強筋12に対して旋回したりすることにより、補強筋12に鉄筋継手具13を容易に外装することができる。
その後、
図4(B)に示すように、一方の補強筋12の端部12Aと他方の補強筋12の端部12Bとを重ね合わせる。なお、鉄筋としての補強筋12,12が相互に重なり合っている部分を重ね合わせ端部12Cと呼んでいる。
続いて、一組の補強筋12,12の互いに重ね合わせ端部12Cに鉄筋継手具13の一端を掛け、
図4(C)に矢印Xで示すように鉄筋継手具13を旋回しながら、一組の補強筋12,12の重ね合わせ端部12C側にスライドし、
図4(D)に示すように鉄筋継手具13を重ね合わせ端部に巻き付ける。このように鉄筋継手具13を旋回しながらスライドすることで、鉄筋継手具13が拡径する。その際、鉄筋継手具13を長軸方向に圧縮すると、鉄筋継手具13が旋回し易くなる。
【0028】
以上の工程を経て装着された鉄筋継手具13は、外側に向かって弾性変形するため、その復元力により鉄筋としての補強筋12を拘束する。前述したように、鉄筋継手具13が、L<2d+πd、の関係を満たす場合、鉄筋継手具13は、一組の鉄筋としての補強筋12,12を内側に向かって強く押圧し、鉄筋継手具13は一対の補強筋12,12を締め付ける。
【0029】
ここで、一対の補強筋12,12が異形鉄筋である場合には、異形鉄筋のリブや溝に対し、鉄筋継手具13の端を引っ掛けておくとよい。
【0030】
本発明の実施形態に係る鉄筋継手具13及び鉄筋継手工法の利点について説明する。
図5は、
図4に示す鉄筋継手工法で接続した一組の補強筋12,12にコンクリートを打設した後の断面を示す図である。一組の補強筋12,12を鉄筋継手具13で接続し、その後、コンクリート15を打設して硬化した後、一組の補強筋12,12に断面外方向F1,F2に力が働いても、常に鉄筋継手具13が一組の補強筋12,12を拘束して締結するため、コンクリート15に割れが生じ難くなる。なお、破線は従来生じやすかったコンクリートの割れを模式的に示しているが、本発明によるとこのような割れが発生し難くなる。
【0031】
図6に示すように、コンクリート22が打設されている異形鉄筋21において、引張力Fが異形鉄筋21の軸方向に生じると、リブ21aから力Faが生じる。この力Faはコンクリートを剥がす方向に作用する。しかしながら、
図5を示して説明したように、鉄筋継手具13は常に一対の鉄筋を締め付けているため、力Faを打ち消す。よって、鉄筋径を小さくすることができるという異形鉄筋の利点を減殺しない。
【0032】
また、図示を省略するが、一組の補強筋12,12が互いに軸方向にずれようとしても、鉄筋継手具13がスプリング状であり、一組の補強筋12,12を男性的収縮力により拘束しているため、鉄筋継手具13は一組の補強筋12,12のズレを妨げる方向に摩擦力を増大する。従って、一組の補強筋12,12のズレが抑制される。特に、鉄筋継手具13が295N/mm
2 以上の高い引張強度を有するバネ鋼線で構成されているとそのズレが効果的に抑制される。
【0033】
〔鉄筋籠の変形例〕
次に鉄筋籠の変形例について説明する。
図7は、
図1とは異なる本発明の実施形態に係る鉄筋籠30にコンクリート35で打設したコンクリート構造物36を模式的に示す断面図である。なお、
図1に示すものと同一又は対応するものには同一の符号を付してある。
図7に示す鉄筋籠30は、
図1に示すものとは補強筋の点で異なる。即ち、各補強筋32は一巻きのループを有し、このループの両端部32A,32Bが部分的に重なり合った状態で、螺旋形を有する鋼線、即ち、鉄筋継手具13で巻き付いて締結している。この補強筋32はフープ筋であってもよい。なお、
図7に示す円形の枠はコンクリート35の外周を示している。
【0034】
ここで、
図7に示す鉄筋籠30では、
図1に示す鉄筋籠10と同様、鉄筋継手具13が、主筋11を包囲して保持する補強筋32を接続している。この補強筋32は、接続端部が円弧状に湾曲している。鉄筋継手具13はスパイラル状のバネ鋼線でなるので、補強筋32の端部が円弧状であっても
図4と同様の手順により弾性変形によって容易に装着することができる。
【0035】
特に、
図1及び
図7に示す鉄筋籠10,30にコンクリート15,35を打設してコンクリート構造物16,36を構築することで、従来のように補強筋の端部をL字状即ちフック状に折り曲げて杭主筋に引っ掛ける必要がないため、フックを形成するための工程が不要となる。また、地震などにより被りコンクリートが剥落してしまった場合でも、補強筋同士をスパイラル状のバネ鋼線で接続しているため、補強筋の外側へのはらみ出しを未然に防止することができる。
【0036】
以上、本発明の実施形態として、接続される鉄筋が鉄筋籠における一組の補強筋又は一本の補強筋を接続する場合を説明したが、その他の鉄筋同士を接続する場合でも同様に適用することができる。また、接続される鉄筋の端部が湾曲している場合のみならず、直線状であってもよい。
【0037】
また、本発明の実施形態における鉄筋継手具13は、
図3に示す以外にも、円錐コイル、樽形コイル、つづみ形コイル、楕円コイル、形絞りコイル、アークコイルなどの各種のコイルばね形状を有しても良い。