(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転駆動される回転軸部と、該回転軸部に支持されて該回転軸部と共に回転可能な回転テーブルと、該回転テーブルに設けられて複数のワークをそれぞれ支持する複数の受承部と、上記回転テーブルの上記複数の受承部の近傍位置毎に設けられ、上記受承部に支持された上記ワークに冷却液を吹き付ける冷却具と、上記複数の冷却具毎に上記冷却液を供給可能な複数の供給経路と、該複数の供給経路毎に開閉制御可能に設けられた複数の開閉弁とを備えた、回転冷却装置。
前記冷却具は、前記受承部に支持された前記ワークの周囲を囲む環状冷却ジャケットからなり、該環状冷却ジャケットの内周面に多数のノズル孔を有して内側に向けて前記冷却液を噴射する、請求項1に記載の回転冷却装置。
前記軸部と前記冷却具との間が、前記回転テーブルの内部と、上記冷却具を上記回転テーブルに固定する支脚の内部とに設けられた液路により連通されている、請求項3に記載の回転冷却装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1乃至
図7を参照して、本発明の実施形態について説明する。
この実施形態では、回転冷却装置が組み込まれた熱処理装置の例を用いて説明する。この熱処理装置は処理対象のワークWを加熱後に回転冷却装置により冷却を行うように構成されている。ここでは、ワークWは例えば車両用の等速ジョイントを作製するための等速ジョイント中間体であり、カップ部Wcとステム軸部Wsとが同軸に隣接して設けられたものである。なお本実施形態ではカップ部Wcをワーク下部と称し、ステム軸部Wsをワーク上部と称する場合がある。
【0017】
[全体構成]
熱処理装置1は、
図1及び
図2に示すように、カップ部Wcとステム軸部Wsとを順次高周波焼入れ処理する熱処理ライン2が、フレーム3のベース部4上に配設されている。ベース部4の内部には熱処理ライン2を稼働するために必要な各種の駆動部、配線、配管などが配設されている。
【0018】
熱処理ライン2には、熱処理装置1の幅方向一端側に設けられた搬入位置から他端側に設けられた搬出位置までの間に、仮位相決め部30及び本位相決め部40からなる位相決め処理部、本実施形態の回転冷却装置が組み込まれたワーク下部熱処理部50、ワーク上部熱処理部60、及びアフタークール処理部70が順に設けられ、各処理部間でワークWを搬送するための搬送機構80が設けられている。
【0019】
[搬送機構]
搬送機構80は、搬入位置から搬出位置までの間に第1ステーションAから第6ステーションFまでのワーク停止位置を有し、全体を通してベース部4に設けられた中段プレート5の正面側端部に沿って直線状に搬送軸線Lが設定され、搬送軸線Lに沿ってワークWを各ステーションA〜Fに間欠的に搬送可能に構成されている。ここでは搬送軸線Lが搬送されるワークWの中心軸の移動軌跡となっている。
【0020】
この搬送機構80は、搬入位置である第1ステーションAから中間受け渡し位置である第4ステーションDまでワークWを搬送するテーブル式搬送機構10と、第4ステーションDから搬出位置である第6ステーションFまでワークWを搬送するガントリ式搬送機構20とを備える。
【0021】
[位相決め処理部]
位相決め処理部の仮位相決め部30は第1ステーションAに設けられ、ステム軸部Wsを上向きにしてワークWを仮位相決めテーブル11上に載置して周方向の仮位相決めを行う。
本位相決め部40は第2ステーションBに設けられ、仮位相決めテーブル11に載置されたワークWを昇降チャック機構44により本位相決めテーブル12に載せ換えてワークWの正確な周方向の位相決めを行う。
【0022】
[ワーク下部熱処理部]
ワーク下部熱処理部50は、ベース部4の中段プレート5上に立設されたワーク下部用回転軸53aと、ワーク下部用回転軸53a周りの180°対称位置に、間欠的に半回転可能且つ昇降可能に装着された2つの回転チャック機構52と、中段プレート5上に設けられて、回転チャック機構52に保持されたワークWのカップ部Wcを熱処理可能なワーク下部用熱処理ヘッド56とを備える。ワーク下部用熱処理ヘッド56には加熱コイル部や冷却液噴射部等が設けられている。
【0023】
ワーク下部熱処理部50では、本位相決めテーブル12により第3ステーションCに移送されたワークWのステム軸部Wsを回転チャック機構52により保持してワークWを持ち上げ、ワーク下部用回転軸53aを中心に回転させてワーク下部用熱処理ヘッド56上のG位置に配置し、ワークWを回転させつつ下降及び上昇させてカップ部Wcを熱処理し、再度回転チャック機構52を回転させて第3ステーションCへ戻し、第3ステーションCで移送用テーブル13に載置する。
【0024】
[中間受け渡し位置]
第4ステーションDが中間受け渡し位置となっており、第3ステーションCで移送用テーブル13に載置された状態でワークWが第4ステーションDまで移送される。第4ステーションDでは、天井レール24にスライド可能に支持されて上下動可能な第1ガントリ21によりワークWを保持上昇させ、ワーク上部熱処理部60の第5ステーションEへ移送する。
【0025】
[ワーク上部熱処理部]
ワーク上部熱処理部60には、
図1乃至
図3に示すように、本実施形態の回転冷却装置100が組み込まれており、回転冷却装置100を利用してワーク上部熱処理部60が構成されている。
回転冷却装置100は、ベース部4に略鉛直方向に配置されて中段プレート5上に突出したワーク上部用回転軸部61cと、ワーク上部用回転軸部61cの上端側に支持されて該ワーク上部用回転軸部61cと共に間欠回転可能な間欠回転テーブル61と、この間欠回転テーブル61に周方向の複数位置に装着されてワークWを載置可能なワーク上部用受承具61hと、各ワーク上部用受承具61hの上方を囲むように設けられた複数の環状冷却ジャケット62とを備える。
【0026】
この実施形態のワーク上部熱処理部60は、さらに間欠回転テーブル61の移送位置である第5ステーションEのベース部4に設けられた移送用リフター63と、間欠回転テーブル61のワーク上部加熱位置Hに対応する位置に設けられたワーク上部用加熱ユニット65と、ワーク上部加熱位置Hのベース部4に設けられたワーク上部加熱用リフター64とを備えている。
【0027】
[ワーク上部用回転軸部]
ワーク上部用回転軸部61cは、
図4及び
図5に示すように、ベース部4の中段プレート5に固定された軸受部61bと、軸受部61bに回動可能に支持された軸部61rと、ベース部4内に固設されて軸部61rを回転駆動する駆動部61sとを備える。
駆動部61sは、ベース部4の底部に固設された架台61t上に減速機61f及びサーボモータ61eが配設されており、減速機61fの回転力がベルト61gを介して軸部61rに伝達される。
軸部61rは、下端側にベルト61gが連結され、上端に間欠回転テーブル61が固定されており、軸部61rと間欠回転テーブル61とが一体に回動可能となっている。この軸部61rは駆動部61sにより1/3回転ずつ間欠的に回動する。
【0028】
軸部61rの内部には、環状冷却ジャケット62の数に応じた本数の縦通液路614,615,616が、互いに周方向に異なる位置に軸方向に延設されている。各縦通液路614,615,616の一端側はそれぞれ軸部61rの側周面に開口しており、各開口部614a,615a,616aが軸部61rの軸方向において相互に異なる位置に開設されている。各縦通液路614,615,616の他端側は間欠回転テーブル61との当接面に開口している。
【0029】
軸受部61bは、フレーム3の中段プレート5に固定されており、軸部61rを回転可能且つ液密に支持している。軸部61rの側周面に開設された各縦通液路614,615,616の開口部614a,615a,616aの高さに対応する位置の内周面に、それぞれ環状に通液溝611,612,613が設けられている。通液溝611,612,613は、軸部61rの回転により開口部614a,615a,616aが回転しても常時縦通液路614,615,616と連通可能となっている。各通液溝611,612,613間はO−リング等のシール部材621により上下で液密にシールされている。
【0030】
各通液溝611,612,613にはそれぞれ外周面から連通する給液孔611a,612a,613aが設けられており、各給液孔611a,612a,613aが図示しない冷却液供給源からの冷却液外部配管611c,612c,613cとそれぞれ連結されている。各冷却液外部配管611c,612c,613cには、電磁弁611b,612b,613bがそれぞれ設けられ、制御部185からの信号により開閉制御されている。
【0031】
[間欠回転テーブル]
間欠回転テーブル61は、
図4及び
図5に示すように、軸部61rの端部に固定された板状体からなり、背面側の中心に軸部61rの頂部が固定されている。この間欠回転テーブル61には、回転中心から等しい距離で周方向の均等位置、具体的には120°毎にワーク上部用受承具61hを装着するための受承具装着部61uが設けられており、各受承具装着部61uには貫通孔61aが上下に貫通して設けられている。
【0032】
間欠回転テーブル61の各貫通孔61aとは異なる位置の内部には、中心側から各受承具装着部61u近傍までV字状に延びる放射通路617,618,619が設けられている。
図5に示すように、放射通路617,618,619はそれぞれワーク上部用回転軸部61cの軸部61rの各縦通液路614,615,616と連通している。各放射通路617,618,619は直線的に形成されており、間欠回転テーブル61の外周付近で閉塞されている。
間欠回転テーブル61の表面には、各受承具装着部61u間を仕切る区画板62eが立設されており、各受承具装着部61u近傍の表面の液体が他の受承具装着部61u近傍の表面に流れ込まないように構成されている。
【0033】
この間欠回転テーブルは、軸部61rにより間欠回転することで、ワークWをワーク上部熱処理部60に搬入、搬出するための移送位置である第5ステーションEと、ワークWのステム軸部Wsを加熱するためのワーク上部加熱位置Hと、ワーク上部加熱位置Hと第5ステーションEとの間に設けられたワーク上部追加冷却位置Iとに、受承具装着部61uに装着された3つのワーク上部用受承具61hが同時に精度よく停止可能で、所定時間経過後に回動して次の位置へ移動可能となっている。
【0034】
[ワーク上部用受承具]
ワーク上部用受承具61hは、
図5及び
図6に示すように、間欠回転テーブル61の各受承具装着部61uに装着されており、ワークWのカップ部Wcを嵌合させステム軸部Wsを上向きにした状態で、ワークWを載置可能に構成されている。このワーク上部用受承具61hは、ワークWに応じた形状や大きさを有しており、ワークWに応じて交換可能となっている。ワーク上部用受承具61hには、移送用リフター63のリフトヘッド63aや後述するワーク上部加熱用リフター64のリフトヘッド64eが通過可能に上下に貫通したヘッド貫通孔620が間欠回転テーブル61の各貫通孔61a上に設けられている。
【0035】
[環状冷却ジャケット]
環状冷却ジャケット62は、
図5及び
図6に示すように、筒状の外周板62fと、外周板62f内に配置された冷却水噴射用内周板62aとを備える。外周板62fと冷却水噴射用内周板62aとが環状上面板と環状下面板により上下で閉じられることで、内部に冷却液が流通可能な環状空間62bが形成されている。冷却水噴射用内周板62aには多数のノズル孔が設けられており、環状空間62b内に冷却液が供給されると、多数のノズル孔から環状冷却ジャケット62の内側に向けて冷却液を噴射可能となっている。
この実施形態では、冷却水噴射用内周板62aの近傍に配置されて多数の孔を有する筒状圧力均衡用内周板62dにより環状空間62bが内外に仕切られており、環状空間62bの外側に冷却液が供給されると環状空間62bの内側全体に均一に供給でき、冷却水噴射用内周板62a全体から均一に冷却液を噴射可能となっている。
【0036】
図6に示すように、この環状冷却ジャケット62は、ワーク上部用受承具61hに載置されるワークWのステム軸部Wsの外周囲を囲むように複数の支脚62cにより間欠回転テーブル61の表面に固定されている。支脚62c内には脚部通路62gが設けられており、脚部通路62gにより間欠回転テーブル61内の放射通路617,618,619と環状冷却ジャケット62の環状空間62bの外側とが連通されている。
各環状冷却ジャケット62は、それぞれ支脚62cに固定されることでワーク上部用受承具61hに載置されたワークWのステム軸部Wsに冷却液を吹き付け可能な高さに配置され、且つ間欠回転テーブル61の上面から離間して配置してワーク上部用受承具61h周囲からの排液性が確保されている。
【0037】
この環状冷却ジャケット62には、
図6(b)に示すように、軸受部61bの給液孔611a,612a,613aに供給された冷却液が、通液溝611,612,613、開口部614a,615a,616a、縦通液路614,615,616及び脚部通路62gを介して供給される。軸受部61bの各給液孔611a,612a,613a毎にそれぞれ異なる環状冷却ジャケット62に冷却液を供給可能である。
【0038】
[移送用リフター]
第5ステーションEに対応するベース部4には移送用リフター63が設けられている。移送用リフター63は、ベース部4内部に略鉛直方向に固設されたエアシリンダ63eと、エアシリンダ63eに連結ブラケット63dを介して支持されて略鉛直方向に延びるロッド63cと、中段プレート5に貫通して配設されてロッド63cをスライド可能に支持するガイド筒63bと、ロッド63cの上端部に設けられたリフトヘッド63aとを備える。
【0039】
リフトヘッド63aは、ワークWのカップ部Wcに嵌合して保持可能な形状を呈し、ロッド63cの上下動により間欠回動テーブル61の貫通孔61a及びワーク上部用受承具61hのヘッド貫通孔620を通して上下動可能に構成されている。リフトヘッド63aが下降した状態で間欠回転テーブル61より下方の位置に配置され、上昇した状態でワークWを第1ガントリ21又は第2ガントリ22と受け渡し可能となっている。
【0040】
[ワーク上部用加熱ユニット]
ワーク上部用加熱ユニット65は、
図2及び
図3に示すように、ベース部4の所定位置に配設されており、間欠回転テーブル61でワーク上部加熱位置Hに移送されたワークWを加熱可能に構成されている。
このワーク上部用加熱ユニット65は、
図3に示すように、フレーム3に強固に設けられた中仕切り正面壁6に固定された固定ブラケット651と、固定ブラケット651の下部に上下動可能に連結された可動ブラケット656と、固定ブラケット651に略鉛直方向に固定されて可動ブラケット656を上下動するエアシリンダ651nとを備える。
【0041】
このワーク上部用加熱ユニット65では、固定ブラケット651に水平に設けられた上側コイルベース651cや、可動ブラケット656に水平に設けられた下側コイルベース651eを利用して、ワークWに応じたワーク上部用加熱コイル652,653が装着可能に構成されている。
【0042】
[ワーク上部加熱用リフター]
ワーク上部加熱用リフター64は、
図1に示すように、ワーク上部加熱位置Hに対応するベース部4に設けられている。このワーク上部加熱用リフター64は、ベース部4の中段プレート5に略鉛直方向に上下動可能となるように設けられたロッド64pと、ロッド64pの上端に装着されたリフトヘッド64eとを備えている。
リフトヘッド64eは、ワークWのカップ部Wcに嵌合して保持可能であり、下降した状態では間欠回転テーブル61より下方の位置に配置され、上昇した状態ではワーク上部用受承具61hより上方の位置に配置される。リフトヘッド64eが上昇した位置では、リフトヘッド64eに支持されたワークWのステム軸部Wsがワーク上部用加熱コイル652,653に対して所定の位置となるように設定されている。
【0043】
[ワーク上部熱処理部の動作]
次に、このようなワーク上部熱処理部60の動作について
図1、
図2、
図7(a)〜(c)を用いて説明する。
まず、ワークWは
図1及び
図2に示す第4ステーションDから第1ガントリ21によりステム軸部Wsを保持して搬送軸線Lに沿って第5ステーションEの上方まで移送され、第1ガントリ21により下降される。
図7(a)に示すように、移送用リフター63では、リフトヘッド63aが間欠回動テーブル61の貫通孔61a及びワーク上部用受承具61hのヘッド貫通孔620を通過して上昇し、ワークWのカップ部Wcにリフトヘッド63aが嵌合してリフトヘッド63aが下降し、カップ部Wcが間欠回動テーブル61のワーク上部用受承具61hに嵌合されて支持される。
【0044】
次いで、
図1及び
図2に示す間欠回転テーブル61が1/3回転して間欠回動し、ワークWがワーク上部加熱位置Hに移送される。
そして、ワーク上部用加熱ユニット65では、
図7(b)に示すように、ワーク上部加熱用リフター64のロッド64pが上昇し、リフトヘッド64eがワークWのカップ部Wcに嵌合して、ワークWがワーク上部用加熱コイル652,653に対して精度よくステム軸部Wsが配置される。
この状態で、ワーク上部用加熱コイル652,653に給電されることで、ステム軸部Wsの加熱処理が行われる。
【0045】
加熱終了後、
図7(c)に示すように、リフトヘッド64eが下降してワークWを間欠回動テーブル61のワーク上部用受承具61hに再び載置する。
これと前後して、
図4に示す回転冷却装置100では、制御部185により電磁弁611b,612b,613bの内のワーク上部加熱位置Hに配置された環状冷却ジャケット62に対応する電磁弁が開放され、ワークWがワーク上部用受承具61h上に載置された時点から環状冷却ジャケット62への冷却液の通液が開始される。すると加熱処理直後のワークWのステム軸部Wsに対して環状冷却ジャケット62から冷却液が吹き付けられて冷却が開始される。
【0046】
その後、冷却液を吹き付けた状態のまま、
図1及び
図2に示す間欠回転テーブル61が1/3回転して間欠回動し、ワークW及び環状冷却ジャケット62がワーク上部追加冷却位置Iに到達して停止する。この位置で予め設定されている所定時間、環状冷却ジャケット62からの冷却液の吹き付けが継続される。
【0047】
所定時間が経過した時点で、
図4に示すように電磁弁611b,612b,613bのうち、ワーク上部追加冷却位置Iに配置された環状冷却ジャケット62に対応する電磁弁が閉じられ、環状冷却ジャケット62への冷却液の通液が停止される。これにより環状冷却ジャケット62からの冷却液の吹き付けが停止し、ワークWの冷却が終了する。
その後、再びワーク上部用回転軸部61cが1/3回転して間欠回転テーブル61が間欠回転することで、ワークWが再び第5ステーションEに戻る。
【0048】
第5ステーションEでは、
図7(a)に示すように、移送用リフター63のロッド63cが再び上昇し、熱処理後のワークWをリフトヘッド63aに嵌合させて上昇位置まで上昇させる。
そして、下降した第2ガントリ22によりワークWのステム軸部Wsが支持されて上昇し、
図1及び
図2に示す搬送軸線Lに沿ってアフタークール処理部70まで移送される。
【0049】
[アフタークール処理部]
アフタークール処理部70は、
図2に示すように、間欠的に半回転駆動される反転テーブル71を備え、反転テーブル71の回動が停止する位置が第6ステーションFとアフタークール位置Jとなっている。ここでは第2ガントリ22により第5ステーションEから移送されたワークWを第6ステーションで反転テーブル71に載置し、反転テーブル71によりアフタークール位置Jに移送し、アフタークール位置JでワークWに冷却液や気体を吹き付けることで、ワークWに残留する熱を放出させ、再度第6ステーションFまで戻す。
そして熱処理が完了したワークWを第6ステーションFから外部へ取り出すことができる。
【0050】
[回転冷却装置の効果]
以上のような回転冷却装置100が組み込まれた熱処理装置1によれば、ワークWに冷却液を吹き付ける環状冷却ジャケット62が、間欠回転テーブル61の各ワーク上部用受承具61hの近傍位置毎に設けられている。そして環状冷却ジャケット62毎に縦通液路614,615,616などの冷却液の供給経路と電磁弁611b,612b,613bとが設けられている。そのため間欠回転テーブル61の回転に拘わらず、制御部185に予め設定した位置や時間でワークWに冷却液を吹き付けることができる。
【0051】
よって、間欠回転テーブル61で移送されるワークWに対し、冷却液を吹き付けることで冷却する冷却処理であっても、間欠回転テーブル61の停止や回転等の動作状態とは別に冷却位置や冷却時間などを自由に設定でき、所望の冷却処理を実現できる。
また、環状冷却ジャケット62が間欠回転テーブル61の各ワーク上部用受承具61hの近傍位置毎に設けられている。従って、ワークWの移動量に拘わらず、環状冷却ジャケット62をワークW等に応じた大きさに形成でき、各環状冷却ジャケット62を小さく抑えて装置の小型化を図ることが可能である。
【0052】
この熱処理装置1のワーク上部熱処理部60では、冷却具としてワークWの周囲を囲む環状冷却ジャケット62を用いており、この環状冷却ジャケット62の内周面に有する多数のノズル孔から内側に向けて冷却液を噴射する。そのため冷却時に冷却液が飛散し難く、近接する他のワーク上部用受承具61hに支持されたワークWやワーク上部用加熱ユニット65などに冷却液が接触することを防止できる。
特に、区画板62eにより受承具装着部61u間が仕切られているため、環状冷却ジャケット62からワークWに吹き付けられた水が間欠回転テーブル61上に流下しても、他のワーク上部用受承具61h側へ流れることも防止できる。よって、間欠回転テーブル61に複数のワークWを支持させていても、加熱後のワークWだけを適切に冷却することができる。
【0053】
このワーク上部熱処理部60では、ワーク上部用回転軸部61cが軸部61rと軸受部61bとを備え、軸部61rの内部に各環状冷却ジャケット62と連通する縦通液路614,615,616を備えている。そして長手方向の異なる位置に各縦通液路614,615,616の開口部614a,615a,616aが形成され、これらに対応する軸部61rと軸受部61bとの対向部位に通液溝611,612,613及び給液孔611a,612a,613aを有している。そのため、間欠回転テーブル61の回転時に、ワーク上部用回転軸部61cに対して外部から冷却液を供給する給液孔611a,612a,613aが回転することがなく、冷却液を供給する構造を簡素化できる。
【0054】
このワーク上部熱処理部60では、軸部61rと環状冷却ジャケット62との間が、間欠回転テーブル61の内部と支脚62cの内部とに設けられた液路により連通されている。そのため、ワーク上部用回転軸部61cから各環状冷却ジャケット62までの液路を外部に露出して設ける必要がなく、配管を簡素化できる。しかも間欠回転テーブル61やワークWの動作などにより流路が他の部材と干渉して損傷するようなことを防止できる。
【0055】
上記実施形態は本発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば、上記では熱処理装置1の一部として回転冷却装置100が組み込まれているが、回転冷却装置100だけを独立に構成することが可能である。またワーク上部熱処理部60のように、ワークの特定の処理を行う部位だけを独立して備え、その一部として冷却装置を備えていてもよい。
熱処理装置1では、冷却具として環状冷却ジャケットを用いたが、ワークWに対して冷却液を噴射可能な物であれば特に制限されない。
ワーク上部用回転軸部61cでは、開口部614a,615a,616aが形成され、これらに対応する軸受部61bとの対向部位に通液溝611,612,613が設けられているが、各溝を軸部61rに設けてもよく、両者に設けてもよい。