(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記不正防止装置は、前記ストッパー片と前記阻止部材とが係合している状態で、該ストッパー片を前記入賞径路へ突出する方向へ付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機における不正防止装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、通常の磁気センサを単独で設けるとその検出範囲には限界があり、その結果磁石の使用を正確に検出できないおそれがあり、また、その対策として複数の磁気センサを設けたり、高感度磁気センサを設けることで対処すると、コストが嵩むという問題点がある。さらに、磁気センサは、遊技機器によく使用されるソレノイドなどの電磁機器の駆動で誤動作するおそれもある。
【0008】
また、電磁波センサは周波数帯域が限定されたものが一般的で、周波数によっては不正な電磁波が検出できない場合があり、特にギガヘルツといった高周波帯域では、電磁波の直進性が強くなり、電磁波センサの取付箇所によっては不正電磁波を検出できないという問題点がある。加えて、遊技機や他の機器、例えば携帯電話などの機器から発せられる正常な電磁波と不正を行うために発せられた電磁波を識別することは難しく、正常な電磁波を不正な電磁波としてしまう誤検出のおそれもある。
【0009】
さらに、磁気センサや電磁波センサを設けてこのような不正行為に対処する手法では、不正が行われて被害が発生した後の対策、つまり事後対策になってしまい、不正行為による被害を事前に防止することが困難である。
【0010】
本発明は、上記したような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、磁気センサや電磁波センサを用いることなく、パチンコ玉を磁石により入賞装置の入賞口へ誘導して賞球を得る不正行為を簡単な構成で確実に防止することのできる遊技機における不正防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような問題を解決するために、本発明の遊技機における不正防止装置は、請求項1に記載したように、磁石を使用した不正行為を防止する遊技機における不正防止装置であって、該不正防止装置は、磁石の磁力により吸引されて作動する磁性材で形成されたストッパー片を備えて前記遊技機の遊技盤または入賞装置の所定位置に該入賞装置の入賞口に対応するように設けられ、該ストッパー片は、前記不正行為が行われていないときは前記入賞口への遊技球の入賞を許容し、一方前記不正行為が行われたときは前記入賞口の入賞径路に突出して、該入賞口への遊技球の入賞を阻止
し、前記不正防止装置は、前記不正行為が行われていないときは前記ストッパー片と係合して該ストッパー片の前記入賞径路への突出を阻止する弾性部材で形成された阻止部材を備え、該阻止部材は、前記不正行為が行われたときは弾性変形して前記ストッパー片との係合を開放して、前記ストッパー片が前記入賞径路へ突出できるようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項
2に記載の遊技機における不正防止装置は、請求項
1に記載の遊技機における不正防止装置において、前記不正防止装置は、前記ストッパー片と前記阻止部材とが係合している状態で、該ストッパー片を前記入賞径路へ突出する方向へ付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項
3に記載の遊技機における不正防止装置は、
磁石を使用した不正行為を防止する遊技機における不正防止装置であって、該不正防止装置は、磁石の磁力により吸引されて作動する磁性材で形成されたストッパー片を備えて前記遊技機の遊技盤または入賞装置の所定位置に該入賞装置の入賞口に対応するように設けられ、該ストッパー片は、前記不正行為が行われていないときは前記入賞口への遊技球の入賞を許容し、一方前記不正行為が行われたときは前記入賞口の入賞径路に突出して、該入賞口への遊技球の入賞を阻止し、前記ストッパー片は、複数のロッドがそれぞれピンにより回動自在に連結されたリンク機構で構成され、該ストッパー片は、磁石の磁力により吸引されて前方に移動する磁性材で形成された前ロッドと、該前ロッドの移動と同時に後方に移動する後ロッドとを少なくとも備え、前記不正防止装置は、前記不正行為が行われたときは、該前ロッドまたは後ロッドの何れかを前記入賞径路に突出させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明に係わる遊技機における不正防止装置は、悪意の遊技者によって遊技盤上を落下する遊技球を磁石の磁力により誘導して所望の入賞装置、例えば規定賞球数の多い入賞口へ入賞させる遊技機における不正行為を防止する装置であって、遊技機としては、パチンコ機やアレパチ、雀球など、パチンコ球と同様な磁石の磁力による誘導ができる遊技媒体を使用する遊技機が挙げられる。
【0015】
この不正防止装置は、磁石の磁力により吸引されて作動する磁性材、例えば金属などで形成されたストッパー片を備えて遊技盤または入賞装置の所定位置に入賞口に対応するように設けられている。
【0016】
そして、このように遊技機に設けられた不正防止装置は、磁石による不正行為が行われていないとき、つまり通常の遊技状態のときはストッパー片は作動することなく入賞口への遊技球の入賞を許容し、一方不正行為が行われたときはストッパー片は磁石の磁力により吸引されて作動し、入賞口の入賞径路に突出して狙われた入賞口への遊技球の入賞を阻止する。
【0017】
ここで、入賞口の入賞径路に突出して該入賞口への遊技球の入賞を阻止するとは、次のような意味である。即ち、入賞口は遊技球が入賞装置に入球するための入口であって、入賞口から入賞装置に入球した遊技球は、入賞装置に対応して設けられている入賞球検出手段(カウントセンサ)に検出されて初めて入賞球として扱われる。従って、入賞口への遊技球の入賞を阻止するとは、遊技球が入賞口へ入球すること自体を阻止することは勿論のこと、さらに入賞口から入賞装置に入球した遊技球がこの入賞球検出手段に検出されないようにすることも含まれる。そして、本発明の不正防止装置は、磁石による不正行為が行われたときに入賞口の入賞径路に突出して該入賞口への遊技球の入賞を阻止するのであるが、ここでの入賞口の入賞径路とは、入賞口上方の遊技球が確実に該入賞口に入球する地点から、入賞口下方の遊技球が入賞球検出手段に到達する直前までの地点を言う。従って、ストッパー片が突出する入賞径路の位置は、この両地点の間であれば何処であってもよい。
【0018】
なお、遊技機の遊技盤上には、入賞装置以外にも通過装置(ゲートともいう)と呼ばれる装置が設けられることがあり、この通過装置が入賞装置と違う点は、遊技球が入賞口から入賞装置に入賞すると遊技者に賞球が支払われるが、遊技球が通過口から通過装置を通過しても、それだけでは賞球は支払われない点である。ただし通過装置は、遊技球が通過すると例えば図柄表示装置を変動表示させて抽選を行い、確定表示された図柄が予め定められた図柄である場合には当りとなり、所定の電動チューリップ(入賞装置)の羽根を所定時間開放させて遊技球を入賞し易くさせて、最終的に遊技者に賞球を払い出すというような使用方法が一般的であり、即ち入賞装置と通過装置は、遊技者にとって利益を発生させる点では共通している。従って、本発明では、不正防止装置は入賞装置の入賞口に対応するように設けるようにしたが、これは通過装置の通過口に対応するように設けるようにしてもよい。この場合には、請求項1に記載された「入賞」という文言を、「通過」という文言に置き換えて読むこととし、以下の請求項2乃至請求項
3においても同様とする。
【0019】
このような構成の請求項1の発明によれば、遊技盤上を落下する遊技球を磁石により所望の入賞装置の入賞口へ誘導して賞球を得る遊技機への不正行為に対し、磁気センサなどを用いることなく極めて容易な構成で、入賞装置の入賞口への遊技球の入賞を阻止してこのような不正行為による被害を事前に防止することが可能となる。その結果、最近、頻発している通称デカ玉を入賞装置の入賞球検出手段に詰まらせ、その後大当り遊技中などに電磁波を照射することで多量の賞球を得る不正行為も併せて防止することが可能となり、従って電磁波センサを設ける必要もなくなる。即ち、本発明の遊技機における不正防止装置は、磁気センサや電磁波センサを用いることなく、遊技球を磁石により入賞装置の入賞口へ誘導して賞球を得る不正行為を極めて安価且つ簡単な構成で確実に防止することができるという優れた効果を奏する。
【0020】
また、請求項
1に記載の発明
では、不正防止装置は、磁石による不正行為が行われていないときはストッパー片と係合して該ストッパー片の入賞径路への突出を阻止する弾性部材、例えばゴムなどで形成された阻止部材を備えており、この阻止部材が、不正行為が行われたとき、即ち磁石がストッパー片に近づいたとき、ストッパー片が磁石の磁力により吸引されることにより発生するストッパー片の押圧力により弾性変形してストッパー片との係合を開放して、ストッパー片が入賞径路へ突出できるようにする。
【0021】
なお、阻止部材の材質は、不正行為に使用される磁石の磁力により適宜選択することが好ましく、少なくとも不正行為が行うことのできる最低限の磁力によっても弾性変形してストッパー片との係合を開放できるものがよい。
【0022】
このような構成の請求項
1の発明によれば、磁石による不正行為が行われていない通常の遊技状態のときに、誤ってストッパー片を入賞径路に突出させることを防止でき、一方磁石による不正行為が行われたときは、確実にストッパー片を入賞径路に突出させ、このような磁石による不正行為を防止することが可能となる。
【0023】
また、請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載の遊技機における不正防止装置において、不正防止装置はバネなどの付勢部材を備えており、この付勢部材の付勢力により、ストッパー片と阻止部材とが係合している状態で該ストッパー片を入賞径路へ突出する方向へ付勢する。
【0024】
なお、付勢部材の付勢力は、磁石による不正行為が行われていないときに上記した阻止部材が弾性変形してストッパー片との係合を開放できないように設定しなければならず、少なくとも不正行為が行うことのできる最低限の磁力よりも小さくしなければならない。
【0025】
このような構成の請求項
2の発明によれば、不正行為に使用される磁石の磁力が弱くても確実にストッパー片を入賞径路に突出させて、このような磁石による不正行為を防止することが可能となる。
【0026】
また、請求項
3に記載の発明
では、
不正防止装置において、ストッパー片を、複数のロッドがそれぞれピンにより回動自在に連結されたリンク機構で構成し、このリンク機構で構成されたストッパー片は、少なくとも磁石の磁力により吸引されて前方に移動する磁性材で形成された前ロッドと、この前ロッドの移動と同時に後方に移動する後ロッドとを備えている。そして、このようなリンク機構で構成されたストッパー片を備える不正防止装置は、磁石による不正行為が行われたとき、前ロッドまたは後ロッドの何れか一方を入賞径路に突出させて、この磁石による不正行為を防止する。
【0027】
このような構成の請求項
3の発明によれば、不正防止装置をリンク機構を用いてコンパクトに形成できるようになり、その結果不正防止装置の取り付けが場所を取らず容易になると共に、磁石の磁力が弱い場合であっても前ロッドが確実に磁石に吸引され、ストッパー片を入賞径路に突出させて磁石による不正行為を防止することができる。さらに、前ロッド以外のロッドは磁性材で形成する必要がなく、その結果ロッドを形成する材料の選択対象が増え、且つコンパクトに形成できることと相俟ってコストダウンがはかれる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の実施の形態を図を用いて説明する。
図1は、パチンコ機としての遊技機1の全体正面図である。本実施形態の遊技機1は、
図1に示すように、図示しない遊技島に固定される外枠22と、この外枠22に開閉自在に取り付けられた内枠23とから構成されており、内枠23には、遊技者にパチンコ遊技を提供する遊技盤21と、遊技者が操作することにより打球発射装置を作動させる打球操作ハンドル2と、打球発射装置によって打ち出された遊技球を誘導する打球誘導レール3と、打ち出された遊技球が一定範囲内で飛球するよう設けられた遊技領域形成レール4と、打球誘導レール3及び遊技領域形成レール4によって囲われた遊技領域5と、遊技領域形成レール4の先端に取り付けられ遊技領域5に打ち出された遊技球が打球誘導レール3と遊技領域形成レール4の間の発射径路に後戻りするのを防止する戻り球防止弁24と、遊技領域5に打ち出された遊技球を不測の方向へ変化を与える風車20と、特別図柄が回転する様子を示す擬似的な表示(以下、スクロール表示ともいう)を行う液晶表示ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)などで構成された特別図柄表示装置6と、遊技球が入賞することによって特別図柄表示装置6に特別図柄のスクロール表示を開始させる始動入賞装置(電動チューリップ)11と、特別図柄表示装置6が特別図柄のスクロール表示中に遊技球が始動入賞装置11へ入賞した場合に、当該スクロール表示が終了した後に、あと何回変動表示するか(通常最高4回)を遊技者に報知するための保留記憶の点灯表示を順次行う4つの保留LED(Light Emitting Diode)25と、特別図柄表示装置6の画像表示部において3つの特別図柄をそれぞれ個別に表示する左図柄表示部8、中図柄表示部9、右図柄表示部10と、特別図柄表示装置6における表示結果が予め定められた態様(大当り)になった場合、遊技者に有利に開口される大入賞装置(アタッカ)7と、遊技球を打球発射装置に供給するための打球供給皿12と、打球供給皿12に入りきらない球を貯留することができると共に、図示しない貯留球箱に遊技球を移動できるようになっている余剰球受皿13と、入賞することによって賞球が払い出される普通入賞装置14a、14bと、入賞に対する賞球の払い出しや球詰まり、異常などを報知したり、遊技状態が所定の状態(例えば大当り)になったときに点滅等して演出効果を高める遊技効果ランプ15と、遊技領域5の最下部に設けられた遊技球を回収するアウト口16と、内枠23に開閉自在に設けられたガラス扉枠17と、ガラス扉枠17に上方から着脱自在に嵌め込まれた2枚のガラス板27と、一桁の普通図柄を表示し、その普通図柄が予め定められた普通図柄(当り)である場合、始動入賞装置11としての電動チューリップの羽根を開放する7セグメントLEDなどで構成された普通図柄表示装置18と、遊技球が通過することによって普通図柄表示装置18に普通図柄の変動表示を開始させる普通図柄作動ゲート19と、普通図柄表示装置18が普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート19を通過した場合に、当該変動表示が終了した後に、あと何回変動表示するか(通常最高4回)を遊技者に報知するための保留記憶の点灯表示を順次行う4つの保留LED26などとによって構成されている。
【0030】
さらに、遊技機1の遊技盤21には、
図2に示すように、各入賞口、即ち4つの普通入賞装置14a、14bの入賞口と始動入賞装置11の入賞口の上部に磁石の使用によって作動する不正防止装置30と、この不正防止装置30が作動したときに点灯する不正警報ランプ31とが設けられている。この本発明の要部となる不正防止装置30及び不正警報ランプ31については、後に詳述する。また、普通入賞装置14a、14bと始動入賞装置11には、それぞれ入賞した遊技球を検出し、その検出した遊技球の数だけ賞球を払い出すためのカウントセンサ(近接スイッチ)60が、各入賞装置の下方であって遊技盤21の裏面側にそれぞれ設けられている。このカウントセンサ60は、図示していないが、正規サイズのパチンコ玉(直径11ミリ)より若干大きい円孔(直径11.2ミリ程度)が形成されており、この円孔に入賞したパチンコ玉を通過させて磁気の変化を検出することで、即ち出力トランジスタがオンオフすることでパチンコ玉を検出するように構成されている。なお、
図2は、遊技盤21の全体正面図である。
【0031】
このように構成される遊技機1は、まず、遊技者の打球操作ハンドル2の操作により、打球発射装置から遊技球が発射され、打球誘導レール3と遊技領域形成レール4の間を通って遊技球が遊技盤21上の遊技領域5に打ち出される。そして、遊技球は遊技領域5を自重により落下し、落下する過程においては、遊技盤21に植設される図示しない遊技釘や風車20によって落下する方向に変化を与えられ、始動入賞装置11や普通入賞装置14a、14bに入賞したり、普通図柄作動ゲート19を通過したり、全ての入賞装置に入賞しなかった場合には、アウト口16に回収されるようになっている。
【0032】
遊技球が始動入賞装置11に入賞した場合には、カウントセンサ60で検出されて所定の賞球(例えば5個)を遊技者に与えると共に、特別図柄表示装置6の各図柄表示部8、9、10に特別図柄をスクロール表示させ、所定時間後に左図柄表示部8、右図柄表示部10、中図柄表示部9の順に特別図柄を停止させて抽選するスロットゲームを行い、左図柄表示部8の特別図柄と右図柄表示部10の特別図柄とが停止した時点で大当りを構成する特別図柄の組合せ(例えば、左図柄表示部8の特別図柄と右図柄表示部10の特別図柄とが同一の特別図柄の組合せ)である場合にはリーチとなり、特別図柄表示装置6にて所定のリーチアクションが表示されるようになっており、その後中図柄表示部9の特別図柄が停止した時点で確定表示された特別図柄が予め定められた特別図柄の組合せである場合には大当りとなり、大入賞装置7としてのアタッカを所定の態様で開放するようになっており、これら以外の特別図柄の組合せである場合には、はずれとなる。なお、大当りになる特別図柄の組合せには、次回の大当りが発生するまで大当りになる確率が上昇する高確率状態(所謂確率変動状態)になるものが含まれている。
【0033】
また、遊技球が普通入賞装置14a、14bに入賞した場合には、入賞した遊技球がカウントセンサ60で検出されて所定の賞球(例えば15個)が遊技者に与えられる。また、遊技球が普通図柄作動ゲート19を通過した場合には、普通図柄表示装置18に普通図柄を変動表示させて抽選を行い、確定表示された普通図柄が予め定められた普通図柄である場合には当りとなり、始動入賞装置(電動チューリップ)11の羽根を所定時間開放するようなっている。このように構成された遊技機1で、遊技者はパチンコ遊技を楽しむようになっている。
【0034】
ところで、遊技者の中には、磁石を用いて遊技盤21上を落下するパチンコ玉を所望の入賞装置、例えば賞球数の多い普通入賞装置14a、14bへ誘導して入賞口から入賞させ、不正に賞球を得る悪意の遊技者がいる。特に最近では、通称デカ玉といわれる正規のサイズより若干大きいパチンコ玉(正規のサイズより0.4ミリ程度大きい)を用い、このデカ玉を遊技盤21上の遊技領域5に打ち出し、遊技領域5に打ち出されたデカ玉を磁石により普通入賞装置14a、14bの入賞口へ誘導し入賞させてカウントセンサ60に停留させ、その後大当り遊技中などにデカ玉が停留している普通入賞装置14a、14b(カウントセンサ60)に向かって電磁波を照射することで、カウントセンサ60の出力トランジスタがオンオフを繰り返す誤動作を生じせしめて多量のパチンコ玉を得るという不正行為が頻繁に発生している。
【0035】
そこで、本発明に係わる遊技機1には、磁石を用いて普通入賞装置14a、14bや始動入賞装置11にパチンコ玉を入賞させる不正行為を防止するための不正防止装置30が、普通入賞装置14a、14b及び始動入賞装置11に対応して設けられており、以下、この不正防止装置30について詳細に説明する。
【0036】
まず、
図3乃至
図6を参照しながら不正防止装置30の構成について説明する。
図3は、不正防止装置30の右斜め上方から視た全体斜視図であり、
図4は、筐体41の上部及び手前(右側)の側板46を削除した状態を示す不正防止装置30の右斜め上方から視た斜視図であり、
図5は、筐体41の手前の側板46を削除した状態を示す不正防止装置30の右側面断面図であり、
図6は、筐体41の天井板47を削除した状態を示す不正防止装置30の平面断面図である。
【0037】
これら
図3乃至
図6に示すように、不正防止装置30は、大別するとストッパー片40と筐体41とから構成されている。ストッパー片40は、磁石の磁力により吸引される金属などの磁性材で形成されており、悪意の遊技者が磁石を用いて遊技盤21上を落下するパチンコ玉を入賞装置(普通入賞装置14a、14b、始動入賞装置11)に入賞させる不正行為を働いたとき、磁石の磁力により入賞装置(普通入賞装置14a、14b、始動入賞装置11)の入賞口の上方(入賞径路)に突出して、パチンコ玉の当該入賞装置への入賞を阻止する部材である。
【0038】
ストッパー片40は、入賞径路となる入賞口の上部に出没してパチンコ玉の入賞を阻止する水平平板状の突出部40aと、突出部40aの移動を規制する垂直平板状の移動規制部40bとで構成され、突出部40aの後端部が移動規制部40bの中央箇所に連結されて略T字状に一体的に形成されている(
図4参照)。また、移動規制部40bの上下端部には、一連に亘って円弧状の係止部50、50が形成されており、この係止部50、50は、後述する筐体41の突起部52、52と係合して突出部40aの移動を規制するようになっている。
【0039】
筐体41は、プラスチックなどの合成樹脂で形成された前板45、左右の側板46、46、天井板47、底板48及び後板49で中空の略直方体状に形成されている。前板45の中央部には、ストッパー片40の突出部40aを挿通するための突出部40aと同形(突出部40aより若干大きい)の挿入孔44が穿設されており、また前板45の上下端の中央部には、不正防止装置30を遊技盤21に取り付けるための取付部42、42が設けられている。
【0040】
さらに、筐体41内部側であって、前板45上端と天井板47前端との接続箇所中央部及び前板45下端と底板48前端との接続箇所中央部には、それぞれ金属片などで形成された接点部材53、53が設けられており(
図5、
図6参照)、この接点部材53、53は、ストッパー片40の突出部40aが入賞口の上部に突出したとき、ストッパー片40の移動規制部40bと接触して導通し、不正警報ランプ31を点灯/点滅させるようになっている。なお、図中、43は電線であり、この電線43は、接点部材53、53と不正警報ランプ31を電気的に導通させるため、接点部材53、53及び不正警報ランプ31と接続されるようになっている。
【0041】
また、筐体41内部側であって、天井板47及び底板48の中央よりやや後板49側寄りには略半球状の突起部52、52がそれぞれ突設されており、この突起部52、52はゴムなどの弾性部材で形成され、常時はストッパー片40の移動規制部40bと係合してストッパー片40の突出部40aを動かないように固定し、一方磁石による不正行為が行われたときには、即ち磁石によりストッパー片40に磁力が働いたときには、弾性変形してストッパー片40の突出部40aが入賞口の上部に突出することを許容するようになっている。
【0042】
このようなストッパー片40と筐体41とでなる不正防止装置30は、ストッパー片40の突出部40aが筐体41の挿入孔44に挿通され、且つストッパー片40の移動規制部40bの係止部50、50が筐体41の突起部52、52に係合する状態で、さらにストッパー片40の移動規制部40bと筐体41の後板49の中央箇所同士をバネ51で連結し、ストッパー片40を入賞口(普通入賞装置14a、14b、始動入賞装置11)の上部に突出すべく付勢するように構成されている。従って、このように構成される不正防止装置30は、不正行為に使用される磁石の磁力が弱くても、確実にストッパー片40を入賞径路となる入賞口の上部に突出させて、このような不正行為を防止することが可能となる。
【0043】
次に、
図7乃至
図9を参照しながら不正防止装置30の作用について説明する。
図7は、不正防止装置30が遊技盤21に取り付けられた状態を示す遊技機1の部分断面図であり、
図8は、磁石70による不正行為が行われたときのパチンコ玉P1と不正防止装置30の状態を示す遊技機1の部分断面図であり、
図9は、ストッパー片40と不正警報ランプ31との関係を示す回路図であって、(A)は、磁石70による不正行為が行われていない通常の状態を示す回路図であり、(B)は、磁石70による不正行為が行われたときの状態を示す回路図である。
【0044】
不正防止装置30は、普通入賞装置14aの上方にストッパー片40の突出部40aが遊技盤21の前方に突出できるよう、遊技盤21の裏面に筐体41の取付部42、42を介してビス57、57で螺着されている。しかして、遊技盤21には、
図7及び
図8に示すように、ストッパー片40の突出部40aが貫通できるよう、予め突出部40aと同形(突出部40aより若干大きい)の貫通孔54が遊技盤21の表面から裏面に亘って穿設されている。
【0045】
なお、この実施形態においては、不正防止装置30は、普通入賞装置14aに対応して設けるようにしたが、これは普通入賞装置14bや、始動入賞装置11に対応して設けるようにしてもよい。また、図中、61は入賞球通路であり、普通入賞装置14aに入賞した遊技球は、この入賞球通路61を流下してカウントセンサ60を通過することで検出されるようになっており、このカウントセンサ60の検出に対して規定の賞球数が払い出されるようになっている。また、図中、27はガラス板であり、このガラス板27は遊技盤21と所定間隔(内側のガラス板27と遊技盤21の間隔は20ミリ程度)を設けて形成されている。
【0046】
さて、このように不正防止装置30が取り付けられた遊技機1に対し、悪意の遊技者が磁石70を用いて遊技盤21上を落下するパチンコ玉P1を普通入賞装置14aに入賞させる不正行為を働いたときの不正防止装置30の作用について
図8を参照しながら説明する。悪意の遊技者は、ガラス板27越しに磁石70を遊技盤21上を落下するパチンコ玉P1に近づけ、狙いを付けた普通入賞装置14aへとパチンコ玉P1を誘導する。そして、普通入賞装置14aの入賞口にパチンコ玉P1が近づくと、磁石70の磁力により不正防止装置30の磁性材で形成されているストッパー片40(突出部40a)が、磁石70に吸引されて遊技盤21から前方に突出する。
【0047】
つまり、この普通入賞装置14aの入賞口にパチンコ玉P1が磁石70により近づいたときには、磁石70の磁力とバネ51の付勢力とでストッパー片40の移動規制部40bが筐体41の弾性部材で形成された突起部52、52を押圧して弾性変形させ、移動規制部40bの係止部50、50と突起部52、52との係合状態を解き放ち、その結果ストッパー片40の突出部40aが普通入賞装置14aの入賞口を略覆うように遊技盤21の前方に突出して、
図8に示すようにパチンコ玉P1が普通入賞装置14aへ入賞するのを阻止するのである。
【0048】
即ち、悪意の遊技者は、磁石70を用いた不正行為により普通入賞装置14aのカウントセンサ60にパチンコ玉P1を通過させることで賞球を得ようとするのであるが、本実施形態の不正防止装置30は、このカウントセンサ60より上流側の普通入賞装置14aの入賞径路に磁石70の磁力によりストッパー片40を突出させて、パチンコ玉P1がこのカウントセンサ60に到達するのを阻止することで、このような不正行為による誤った賞球の払い出しを事前に防止するのである。
【0049】
そして、ストッパー片40が遊技盤21から前方に突出したときには、ストッパー片40の移動規制部40bが筐体41の接点部材53、53と接触して通電し、その結果不正警報ランプ31が点灯/点滅して外部に磁石70による不正行為が行われたことを報知する。つまり、
図9に示すように、ストッパー片40の移動規制部40bがスイッチの役目を果たし、磁石70による不正行為が行われていない通常の状態では移動規制部40bと接点部材53、53とは非接触状態で回路は開いて通電しておらず、その結果不正警報ランプ31は消灯している。一方磁石70による不正行為が行われている状態では移動規制部40bと接点部材53、53とは接触状態で回路は閉じて通電しており、その結果不正警報ランプ31は点灯/点滅する。
【0050】
従って、遊技機1の不正警報ランプ31が点灯/点滅すると、これを発見したホールスタッフなどが不正行為が行われた遊技機1に素早く駆けつけることができるので、これにより悪意の遊技者を特定して対処することができると共に、このような不正行為を抑止することも可能となる。また、不正行為が行われた遊技機1では、不正防止装置30のストッパー片40が遊技盤21から突出した状態になっているので、この状態が不正行為が行われたという証拠にもなる。
【0051】
なお、本実施形態では、遊技機1に設けた不正警報ランプ31にて磁石70による不正行為を外部に報知するようにしたが、これは限定することなく、遊技機1以外の設備機器、例えば遊技機1を設置する島台側に不正警報ランプ31を設けるようにしてもよい。或いは、不正警報ランプ31が作動したら、それに連動して島台に設けられる呼出ランプや代表ランプ(トップランプ)などを所定の態様で点灯/点滅するようにしてもよく、さらにその旨(不正行為)が判るようホール管理コンピュータやホールスタッフのインカムなどに信号を送出するようにしてもよい。このようにすれば、さらに不正行為の防止力と抑止力を高めることができる。
【0052】
そして、不正行為を働いた悪意の遊技者に対する措置が済んだときには、遊技盤21から突出している不正防止装置30のストッパー片40をホールスタッフなどが手で遊技盤21の後側に押圧することで、元の不正行為が行われる前のストッパー片40が遊技盤21から突出していない状態に戻すことができる。つまりバネ51の付勢力に抗ってストッパー片40の移動規制部40bを押圧して筐体41の突起部52、52を弾性変形させ、移動規制部40bの係止部50、50を突起部52、52と係合させることで、極めて容易に遊技機1を遊技可能な正常な状態に戻すことができる。
【0053】
以上の説明から明らかなように、本実施形態の遊技機1における不正防止装置30は、遊技盤21上を落下するパチンコ玉を磁石により所望の入賞装置の入賞口へ誘導して賞球を得る不正行為に対し、磁気センサを用いることなく極めて容易な構成で、入賞装置へのパチンコ玉の入賞を阻止してこのような不正行為による被害を事前に防止することが可能となる。その結果、最近、頻発している通称デカ玉を入賞装置のカウントセンサ60に詰まらせ、その後大当り遊技中などに電磁波を照射することで多量のパチンコ玉を得る不正行為も併せて防止することが可能となり、従って電磁波センサを設ける必要もなくなる。即ち、本実施形態の遊技機1における不正防止装置30は、磁気センサや電磁波センサを用いることなく、パチンコ玉を磁石により入賞装置の入賞口へ誘導して賞球を得る不正行為を極めて安価且つ簡単な構成で確実に防止することができるという優れた効果を奏する。
【0054】
さらに、不正防止装置30が作動したときに、不正行為が行われたことを報知する不正警報ランプ31が設けられており、この不正警報ランプ31は、スイッチの役目を果たしている不正防止装置30のストッパー片40(移動規制部40b)が筐体41の接点部材53、53と接触して通電したとき作動するようになっているので、即ち、ストッパー片40が不正警報ランプ31のスイッチを兼ねているので、これにより不正防止装置30の回路構成を簡略化でき、不正行為が行われたことを報知するためにランプなどを点灯するための装置の取り付けや配線の引き回しなどの煩わしい作業を容易にすることができる。
【0055】
さらに、不正防止装置30は、簡単なユニット構造で、遊技盤21の裏面にビス57、57で螺着するだけの極めて簡単な作業で遊技機1に取り付けることができ、例えば、廃棄される遊技機1から取り外して他の遊技機1へリサイクルすることも容易に行うことができ、コストダウンがはかれる。
【0056】
以上、本発明の実施形態に係わる遊技機1における不正防止装置30を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成は実施形態に示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加などがあっても本発明に含まれる。
【0057】
例えば本実施形態では、不正防止装置30は入賞装置の入賞口に対応するように設けたが、これは通過装置(普通図柄作動ゲート19)の通過口に対応するように設けてもよい。入賞装置と通過装置は、遊技者にとって利益を発生させる点では共通しているので、不正防止装置30を通過装置の通過口に対応するように設けても、入賞装置に設けたときと同様な効果を奏する。
【0058】
次に、図を参照しながら不正防止装置30の他の実施形態について説明する。まず、
図10乃至
図13を参照しながら他の実施形態1について説明する。
図10は、不正防止装置80の右斜め上方から視た全体斜視図であり、
図11は、ストッパー片84(突出部84a)が突出した状態の不正防止装置80の右斜め上方から視た全体斜視図であり、
図12は、不正防止装置80が遊技盤21に取り付けられた状態を示す遊技機1の部分断面図であり、
図13は、磁石70による不正行為が行われたときのパチンコ玉P1と不正防止装置80の状態を示す遊技機1の部分断面図である。なお、この他の実施形態1において、上述した実施形態と同様な構成については同じ符号を付し、それら構成の説明については省略する。
【0059】
この他の実施形態1において、上述した実施形態と大きく異なる点は、簡略に言えば、磁石の磁力が弱い場合であっても確実に不正防止装置が作動するよう、不正防止装置80を遊技盤21の表側から取り付けるようにした点と、ストッパー片の先端の形状を大きくしたストッパー片84とした点である。
【0060】
図に示すように、この他の実施形態1に係わる不正防止装置80において、ストッパー片84は、入賞口の上部に出没してパチンコ玉の入賞を阻止する水平平板状の突出部84aと、この突出部84aの先端に、磁石の磁力が弱い場合であってもストッパー片84が磁石に吸引されるための垂直平板状の先端部84cとを備えており、この突出部84aと先端部84cとは略T字状に一体的に形成されている。そして、突出部84aは、不正防止装置80が遊技盤21の表側から取り付けられるのに伴って、上記した実施形態の突出部40aより短く形成されている。つまりストッパー片84の移動規制部40bは、上記した実施形態のストッパー片40の移動規制部40bよりも遊技盤21の表側に近く配置されることになる。
【0061】
また、筐体41の前板45の表面上下部には(
図11参照)、先端部84cと略同様な形状であって上記した実施形態の取付部42、42よりも大きな取付部82、82が設けられており、この取付部82、82を介して不正防止装置80は遊技盤21の表側から取り付けられるようになっている(
図12参照)。そして、取付部82、82の間には、ストッパー片84の先端部84cがピッタリと嵌って前板45の表面に当接するようになっており、従って取付部82、82の間に先端部84cが嵌合している状態では、取付部82、82及び先端部84cで形成される面は、凹凸のない平らな面になっている。
【0062】
このように遊技盤21の表面上に位置する取付部82、82と先端部84cが平らな面に形成されることで、遊技盤21の表側から取り付けられ普通入賞装置14aのすぐ上に位置する不正防止装置80によるパチンコ玉P1への影響、つまり磁石による不正行為が行われていない通常の状態で、不正防止装置80によって普通入賞装置14aへのパチンコ玉P1の入賞に影響を与えることはない。
【0063】
そして、不正防止装置80が取り付けられた遊技機1において、
図13に示すように、悪意の遊技者がガラス板27越しに磁石70を遊技盤21上を落下するパチンコ玉P1に近づけ、狙いを付けた普通入賞装置14aの入賞口へとパチンコ玉P1を誘導すると、磁石70の磁力により不正防止装置80の磁性材で形成されているストッパー片84(突出部84a、先端部84c)が、磁石70に吸引されて遊技盤21から前方に突出する。
【0064】
即ち、普通入賞装置14aの入賞口にパチンコ玉P1が磁石70により近づいたときには、ストッパー片84(突出部84a、先端部84c)が普通入賞装置14aの入賞口を略覆うように遊技盤21の前方に突出して、
図13に示すようにパチンコ玉P1が普通入賞装置14aへ入賞するのを阻止するのである。即ち、磁石70による不正行為による誤った賞球の払い出しを事前に防止するのである。
【0065】
しかして、不正防止装置80は遊技盤21の表側から取り付けられているので、このように不正防止装置80を遊技盤21の表側から取り付けると、磁石70とストッパー片84の移動規制部40bとの距離が短くなり、且つストッパー片84には先端部84cが設けられていることと相俟って、上記した実施形態の不正防止装置40に比して、磁石70の磁力が弱い場合であってもストッパー片84が確実に磁石に吸引されるようになる。
【0066】
なお、この他の実施形態1では、不正防止装置80を遊技盤21の表側から取り付けるので、遊技盤21には、
図12及び
図13に示すように、予め不正防止装置80の筐体41と同形(筐体41より若干大きい)の嵌合孔55が遊技盤21の表面から裏面に向かって穿設されている。この嵌合孔55は、他の実施形態1では図に示すように筐体41の大きさに合わせて遊技盤21の表側から、遊技盤21の肉厚の一部を穿設して形成するようにしたが、これは、遊技盤21の表面から裏面に亘って貫通するように、つまり筐体41より大きく形成するようにしてもよい。
【0067】
次に
図14及び
図15を参照しながら他の実施形態1の変形例について説明する。
図14は、不正防止装置80が取り付けられた普通入賞装置14aの正面図であり、
図15は、不正防止装置80が遊技盤21に取り付けられた状態を示す遊技機1の部分断面図である。なお、この他の実施形態1の変形例において、上述した実施形態及び他の実施形態1と同様な構成については同じ符号を付し、それら構成の説明については省略する。
【0068】
この他の実施形態1の変形例において、上述した実施形態及び他の実施形態1と大きく異なる点は、簡略に言えば、不正防止装置80の遊技盤21への取り付けを容易にできるよう、不正防止装置80と普通入賞装置14aを一体的に形成した点である。
【0069】
この他の実施形態1の変形例において、普通入賞装置14aは、その入賞口の上部に不正防止装置80を一体的に形成できるよう、通常よりも上方に延びた台座87を備えており、特に
図15に示すように、不正防止装置80は、この台座87の上方に延びた箇所の裏側に取り付けられている。
【0070】
不正防止装置80は、台座87の裏面に筐体41の前板45の表面が当接するように取り付けられており、ストッパー片84の先端部84cは、台座87の肉厚と同じ大きさに形成され、台座87に穿設された嵌合孔88に嵌合するようになっている。即ち、嵌合孔88には、ストッパー片80の先端部84cがピッタリと嵌って前板45の表面に当接するようになっており、その結果嵌合孔88に先端部84cが嵌合している状態では、台座87及び先端部84cで形成される面は、凹凸のない平らな面になっている。従って、他の実施形態1と同様に、磁石による不正行為が行われていない通常の状態で、不正防止装置80によって普通入賞装置14aへのパチンコ玉の入賞に影響を与えることはない。
【0071】
このように構成される他の実施形態1の変形例では、普通入賞装置14aを遊技盤21に取り付けるだけで不正防止装置80も同時に遊技盤21に取り付けられることになり、従って、わざわざ不正防止装置80だけを普通入賞装置14aと別個に遊技盤21に取り付けるという煩わしい作業をなくすことができる。即ち、不正防止装置80を遊技盤21に取り付けるときには、普通入賞装置14aとの位置関係を正確に保って遊技盤21に取り付けなければならず、この点、普通入賞装置14aと不正防止装置80とを一体的に形成したこの他の実施形態1の変形例では、このような煩わしい不正防止装置80の遊技盤21への取り付け作業をなくすことができる。
【0072】
次に
図16乃至
図19を参照しながら他の実施形態2について説明する。
図16は、不正防止装置90が取り付けられた普通入賞装置14aの正面図であり、
図17は、不正防止装置90が遊技盤21に取り付けられた状態を示す遊技機1の部分断面図であり、
図18は、磁石70による不正行為が行われたときのパチンコ玉P1と不正防止装置90の状態を示す遊技機1の部分断面図であり、
図19は、不正防止装置90のストッパー片97の説明図であって、(A)は、磁石70による不正行為が行われていない通常の状態を示すストッパー片97の側面図であり、(B)は、磁石70による不正行為が行われたときの状態を示すストッパー片97の側面図である。
【0073】
この他の実施形態2において、上述した実施形態、他の実施形態1及び他の実施形態1の変形例と大きく異なる点は、簡略に言えば、不正防止装置90をリンク機構を用いてコンパクトに形成した点と、磁石の磁力が弱い場合であっても確実に不正防止装置が作動するよう、不正防止装置90をガラス板27近くに配置できるようにした点である。なお、この他の実施形態2において、上述した実施形態、他の実施形態1及び他の実施形態1の変形例と同様な構成については同じ符号を付し、それら構成の説明については省略する。
【0074】
この他の実施形態2において、普通入賞装置14aは、その前板95に不正防止装置90を納めることができるよう、前板95を肉厚に形成している。この前板95には、後側が開放された中空部94が形成されており、不正防止装置90は、この中空部94にリンク機構のストッパー片97を収納することでコンパクトに構成されている(
図17、
図18参照)。
【0075】
ここで、
図19を参照しながら、ストッパー片97のリンク機構について説明する。ストッパー片97は、中空部94内において、固定ピン93により普通入賞装置14aの前板95に回動自在に軸支されている。ストッパー片97は、5本のロッドが4つのピンにより連結されて形成されており、その連結された隣り合うロッド同士は、ピンで互いに回動自在に設けられている。また、ストッパー片97の上方に位置する前ロッド92aの前端には垂直平板状の先端部91が設けられており、この先端部91は、磁石の磁力が弱い場合であってもストッパー片94が磁石に吸引されるための部材である。図中、92bは、ストッパー片97の下方に位置する後ロッドであり、この後ロッド92bは、磁石による不正行為が行われたときに、普通入賞装置14a内の入賞径路に突出してパチンコ玉の入賞を阻止する部材である。
【0076】
不正防止装置90は、このようなリンク機構で構成されたストッパー片97を普通入賞装置14aに一体的に取り付けて形成されているのであるが、ストッパー片97が固定ピン93によって普通入賞装置14aの前板95に取り付けられたとき、ストッパー片97の先端部91は、中空部94の前に位置する前板95の薄板98に穿設された嵌合孔6に嵌合するようになっている(
図16及び
図17参照)。そして、嵌合孔96に先端部91が嵌合している状態では、前板95と先端部91とで形成される面は、即ち普通入賞装置14aの表面は凹凸のない平らな面になっており、これにより、コンパクトな構成と相俟って、磁石による不正行為が行われていない通常の状態では、不正防止装置90はほとんど目立たないようになっており、このため不正防止装置90は、悪意の遊技者が不正行為を働く前に見つかることはほとんどない。
【0077】
そして、不正防止装置90が取り付けられた遊技機1において、
図18に示すように、悪意の遊技者がガラス板27越しに磁石70を遊技盤21上を落下するパチンコ玉P1に近づけ、狙いを付けた普通入賞装置14aへとパチンコ玉P1を誘導すると、磁石70の磁力により不正防止装置90の磁性材で形成されているストッパー片97の前ロッド92a(先端部91)が普通入賞装置14aの前板95(薄板98)から前方のガラス板27側に移動し、それと同時に後ロッド92bが後方の遊技盤21側に移動し、この後ロッド92bが普通入賞装置14a内の入賞径路に突出することで、パチンコ玉P1の普通入賞装置14aへの入賞を阻止する。
【0078】
このように構成される他の実施形態2に係わる不正防止装置90は、上記した他の実施形態1の変形例と同様に、普通入賞装置14aを遊技盤21に取り付けるだけで不正防止装置90も同時に遊技盤21に取り付けられることになる。さらに、不正防止装置90は、普通入賞装置14a表側のガラス板27に極めて近い位置に取り付けられ、加えてその大きさも極めてコンパクトに構成されているので、上述した実施形態の不正防止装置40や他の実施形態1の不正防止装置80に比して、磁石70の磁力が弱い場合であってもストッパー片97が確実に作動するようになり、その結果、より確実にこのような磁石を用いた不正行為を防止することができる。
【0079】
次に特許請求の範囲の構成と、本発明の実施形態との主な対応を説明する。
請求項1:遊技盤は、遊技盤21に相当し、遊技球は、パチンコ玉P1に相当し、入賞装置は、普通入賞装置14a、14b、始動入賞装置11に相当し、遊技機は、遊技機1に相当し、不正防止装置は、不正防止装置30、80
に相当し、磁石は、磁石70に相当し、ストッパー片は、ストッパー片40、84
に相当する。
阻止部材は、突起部52に相当する。
請求項
2:不正防止装置は、不正防止装置30、80に相当し、ストッパー片は、ストッパー片40、84に相当し、阻止部材は、突起部52に相当し、付勢部材は、バネ51に相当する。
請求項
3:ストッパー片は、ストッパー片97に相当し、ピンは、固定ピン93に相当し、磁石は、磁石70に相当し、前ロッドは、前ロッド92aに相当し、後ロッドは、後ロッド92bに相当し、不正防止装置は、不正防止装置90に相当する
。