【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
合成例1 アセトンジカルボン酸銀(銀塩A)の合成
アセトンジカルボン酸43.8gを1000mlビーカーに秤量後、600gのイオン交換水に添加し溶解させ氷冷し、さらに102gの硝酸銀を溶解させた。そこへ、48gのヘキシルアミンを投入後、30分間撹拌した。得られた白色の固体をろ取しアセトンで洗浄後、減圧乾燥することで88.2gのアセトンジカルボン酸銀を白色固体として得た(収率:82%)。得られたアセトンジカルボン酸銀の赤外吸収スペクトルを
図1に示す。IR:1372.10cm
-1、1581.34cm
-1
得られたアセトンジカルボン酸銀のTGA分析を、熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製)を用いて行った。分析条件は、昇温速度10℃/分、測定雰囲気を空気中とした。その結果、熱分解温度は175℃であった。また、熱重量分析後の残分は59.7%であり、理論残存率(59.4%)と一致していた。得られた分析結果を
図2に示す。
【0025】
実施例1−1
遮光瓶中で、合成例1で調製したアセトンジカルボン酸銀200mgを、ヘキシルアミン(HA)800mgに溶解させ、銀含有組成物を得た。
【0026】
実施例1−2
遮光瓶中で、アセトンジカルボン酸銀400mgをヘキシルアミン(HA)600mgに溶解させ、アセトンジカルボン酸銀含有アミン溶液を得た。
【0027】
実施例1−3
遮光瓶中で、アセトンジカルボン酸銀400mgをブチルアミン(BA)600mgに溶解させ、アセトンジカルボン酸銀含有アミン溶液を得た。
【0028】
実施例1−4
遮光瓶中で、アセトンジカルボン酸銀400mgをプロピルアミン(PA)600mgに溶解させ、アセトンジカルボン酸銀含有アミン溶液を得た。
【0029】
実施例1−5
遮光瓶中で、アセトンジカルボン酸銀400mgを ジブチルアミン(DBA)600mgに溶解させ、アセトンジカルボン酸銀含有アミン溶液を得た。
【0030】
実施例1−6
遮光瓶中で、アセトンジカルボン酸銀400mgを2−エトキシエチルアミン(2−EOEA)600mgに溶解させ、アセトンジカルボン酸銀含有アミン溶液を得た。
【0031】
実施例1−7
遮光瓶中で、アセトンジカルボン酸銀400mgを2−エチルヘキシルアミン(2−EHA)600mgに溶解させ、アセトンジカルボン酸銀含有アミン溶液を得た。
【0032】
実施例1−8
遮光瓶中で、アセトンジカルボン酸銀400mgを2−エチルヘキシルアミン(2−EHA)200mgおよび2−エトキシエチルアミン(2−EOEA)400mgに溶解させ、アセトンジカルボン酸銀含有アミン溶液を得た。
【0033】
比較例1−1
遮光瓶中で、マロン酸銀200mgをヘキシルアミン(HA)800mgに溶解させ、銀含有アミン溶液を得た。
【0034】
比較例1−2
遮光瓶中で、α−メチルアセト酢酸銀200mgをヘキシルアミン(HA)800mgに溶解させ、銀含有アミン溶液を得た。
【0035】
比較例1−3
遮光瓶中で、ステアリン酸銀200mgをヘキシルアミン(HA)800mgに溶解させ、銀含有アミン溶液を得た。
【0036】
比較例1−4
遮光瓶中で、グリオキシル酸銀200mgを ヘキシルアミン(HA)800mgに溶解させ、銀含有アミン溶液を得た。
以上の実施例1−1〜1−6及び比較例1−1〜1−4で調製した各銀含有アミン溶液の組成を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
実施例2−1
遮光瓶中で、実施例1−1で得られたアセトンジカルボン酸銀含有アミン溶液800mgをイソプロピルアルコール(IPA)200mgに添加して、銀含有インク溶液を調製した。
【0039】
実施例2−2
遮光瓶中で、実施例1−2で得られたアセトンジカルボン酸銀含有アミン溶液400mgをイソプロピルアルコール(IPA)600mgに添加して、銀含有インク溶液を調製した。
【0040】
実施例2−3
遮光瓶中で、実施例1−3で得られたアセトンジカルボン酸銀含有アミン溶液400mgをイソプロピルアルコール(IPA)600mgに添加して、銀含有インク溶液を調製した。
【0041】
実施例2−4
遮光瓶中で、実施例1−4で得られたアセトンジカルボン酸銀含有アミン溶液400mgをイソプロピルアルコール(IPA)600mgに添加して、銀含有インク溶液を調製した。
【0042】
実施例2−5
遮光瓶中で、実施例1−5で得られたアセトンジカルボン酸銀含有アミン溶液400mgをイソプロピルアルコール(IPA)600mgに添加して、銀含有インク溶液を調製した。
【0043】
実施例2−6
遮光瓶中で、実施例1−6で得られたアセトンジカルボン酸銀含有アミン溶液400mgをイソプロピルアルコール(IPA)600mgに添加して、銀含有インク溶液を調製した。
【0044】
実施例2−7
遮光瓶中で、実施例1−2で得られたアセトンジカルボン酸銀含有アミン溶液400mgをプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)600mgに添加して、銀含有インク溶液を調製した。
【0045】
実施例2−8
遮光瓶中で、実施例1−2で得られたアセトンジカルボン酸銀含有アミン溶液400mgをn−ヘキシルアルコール(n−HA)600mgに添加して、銀含有インク溶液を調製した。
【0046】
実施例2−9
遮光瓶中で、実施例1−2で得られたアセトンジカルボン酸銀含有アミン溶液400mgをtert−アミルアルコール(TAA)600mgに添加して、銀含有インク溶液を調製した。
【0047】
実施例2−10
遮光瓶中で、実施例1−8で得られたアセトンジカルボン酸銀含有アミン溶液400mgをメタノール(MeOH)600mgに添加して、銀含有インク溶液を調製した。
【0048】
実施例2−11
遮光瓶中で、実施例1−9で得られたアセトンジカルボン酸銀含有アミン溶液400mgをメタノール(MeOH)600mgに添加して、銀含有インク溶液を調製した。
【0049】
比較例2−1〜2−4
比較例1−1〜1−4で調製した銀塩含有アミン溶液800mgをイソプロピルアルコール(IPA)200mgに添加して、銀含有インク溶液を調製した。
【0050】
試験例
以上の実施例2−1〜2−11及び比較例2−1〜2−4で調製した各溶液の組成を表2に、また、各溶液を、室温で2週間静置した時の安定性を、沈澱の有無にて確認した。結果を表3に示す。
評価は、沈澱の状態によって、○:沈澱なし、△:微量の沈澱あり、×:多量の沈澱ありとした。△あるいは○評価を本発明の効果を満たすものとする。
【0051】
また、実施例1−1〜1−8、実施例2−1〜2−11、比較例1−1〜1−4、比較例2−1〜2−4で調製した溶液をSelect−Roller(オーエスジーシステムプロダクツ(株))にてポリエチレンテレフタラートフィルム上に塗布し、100℃で30分間加熱処理した。また、実施例1−2および実施例2−2については80℃で90分間加熱処理した試験も行った。得られた膜の外観について目視にて評価した。結果を表4に示す。
更に、得られた膜の導電性評価は、四端針方式の低抵抗率計(ロレスターGP:三菱化学社製)を用いて行った。結果を表4に示す。なお、体積抵抗値が5.0×10
-5Ω・cm以下であれば本発明の効果を満たすものとし、O.Lはオーバーロードを意味する。
更にまた、得られた膜のSEM写真をとり、膜の平坦性を評価した。結果を表4に示す。
平坦性の評価は、50nm未満の空隙が無いものを◎、50nm以上100nm未満の空隙をあるものを○、100nm以上200nm未満の空隙があるものを△、200nm以上の空隙があり銀膜に光沢の無いものを×とした。◎あるいは○評価を本発明の効果を満たすものとする。
また、得られた膜にセロハンテープを密着、剥離することで、膜の基板に対する密着性を評価した。結果を表4に示す。
密着性の評価は、剥離しなかったものを○、一部銀膜の剥離が確認されたものを△、全て剥離したものを×とした。○あるいは△評価を本発明の効果を満たすものとする。
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】