特許第5712946号(P5712946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5712946
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】粒度分布測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/02 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
   G01N15/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-22805(P2012-22805)
(22)【出願日】2012年2月6日
(65)【公開番号】特開2013-160633(P2013-160633A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2014年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114030
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿島 義雄
(72)【発明者】
【氏名】島岡 治夫
【審査官】 東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−145135(JP,A)
【文献】 特開2005−164339(JP,A)
【文献】 特開2010−249611(JP,A)
【文献】 特開平09−072841(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0100630(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00−15/14
G01N 21/00−21/83
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定光を出射する光源と、
光強度分布を検出する検出器と、
被測定粒子群を含む試料が収容された試料セルを光源と検出器との間の光路上に配置する試料セル配置部と、
前記光源からの測定光を試料に照射することにより発生する光強度分布を検出器で検出して取得する光強度分布取得部と、
前記光強度分布取得部で取得された光強度分布を用いて、前記試料に含まれる被測定粒子群の粒度分布を算出する粒度分布算出部とを備える粒度分布測定装置であって、
前記試料セルの温度を調整する温度調整部材を備え、
前記温度調整部材は、前記試料セルの周囲で光路上となる第一位置と、当該光路上でない第二位置とに移動可能となっており、
前記光源からの測定光を試料に照射する際には、前記温度調整部材を第二位置に移動させることを特徴とする粒度分布測定装置。
【請求項2】
前記光強度分布取得部が、前記温度調整部材を第二位置に移動させることを実行することを特徴とする請求項1に記載の粒度分布測定装置。
【請求項3】
前記試料セルは、平板形状の透明な第一基板と、平板形状の透明な第二基板とを備え、
前記第一基板の上面には、前記試料が収容されるための測定用凹部が形成されており、
前記第二基板の下面は、前記第一基板の上面と当接するように配置されることにより、前記第二基板の下面と測定用凹部の底面との間の距離が設定距離となることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粒度分布測定装置。
【請求項4】
前記温度調整部材は、温度が調整可能な平板形状基板を備え、
前記平板形状基板は、前記第一基板又は前記第二基板と当接するように配置される第一位置と、前記第一基板又は前記第二基板と当接しないように配置される第二位置とに移動可能となっていることを特徴とする請求項3に記載の粒度分布測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料セルを用いた粒度分布測定装置に関し、特に、高濃度で粒子群を含有する少量の試料における粒子群の粒度分布を測定するレーザ回折式粒度分布測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ回折式粒度分布測定装置においては、媒体中に分散状態の粒子群にレーザ光(測定光)を照射することにより、粒子群で回折・散乱されたレーザ光の空間的な強度分布を光検出素子で検出して、その測定結果からフラウンホーファ回折理論やミーの散乱理論に基づく演算を行うことによって、粒子群の粒度分布を算出する。このようなフラウンホーファの回折理論やミーの散乱理論に基づく演算方法は、レーザ光が粒子で1度だけ散乱されるものとして考えられたものである。よって、媒体中の粒子群の濃度が適正濃度範囲であれば、粒子群の粒度分布を精度よく算出することができる。
【0003】
しかし、媒体中の粒子群の濃度が高すぎる場合、照射されたレーザ光は、ある粒子によって散乱されて散乱光となり、さらに別の粒子で散乱される多重散乱が発生するので、算出された粒子群の粒度分布と実際の粒子群の粒度分布との誤差が大きくなってしまう。
よって、ペーストやスラリー等の高濃度で粒子群を含有するサンプル(試料)における粒子群の粒度分布を測定する場合、多重散乱光の発生を低減するために、レーザ光の光軸方向のサンプルの厚さを薄くする必要がある。
【0004】
ここで、レーザ回折式粒度分布測定装置の一例について説明する。図5は、従来の粒度分布測定装置を示す概略構成図である。また、図4は、試料セルの一例を示す概略構成図である。なお、図5では、地面に水平な一方向をX方向とし、地面に水平でX方向と垂直な方向をY方向とし、X方向とY方向とに垂直な上方向をZ方向とする。
粒度分布測定装置109は、サンプル(試料)Sが収容される試料セル5と、レーザ光通過孔130aを有する設置台(試料セル配置部)130と、レーザ光源1とコリメータ2と透明カバー3とを有する照射光学系110と、集光レンズ6とリングディテクタ(前方回折/散乱光センサ)7とを有する測定光学系120と、粒度分布測定装置109全体を制御する制御部140とを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
粒度分布測定装置109の下部には、照射光学系110として、下から順にレーザ光源1とコリメータ2と透明カバー3とが配置されている。
そして、粒度分布測定装置109の上下方向の中央部には、設置台130が配置されており、設置台130上に試料セル5が載置される。
このような照射光学系110の構成において、レーザ光源1で発生されたレーザ光は、コリメータ2を通過して平行光とされ、上方向(Z方向)に向かうように試料セル5に照射される。なお、平行光は、光軸に垂直な断面積が約1cmであり、円形状となる。これにより、レーザ光は、試料セル5内の粒子群で回折・散乱して、空間的に回折・散乱光の強度分布パターンが生ずることになる。
【0006】
粒度分布測定装置109の上部には、測定光学系120として、下から順に集光レンズ6とリングディテクタ7とが配置されている。リングディテクタ7は、互いに異なる半径を持つリング状ないしは半リング状の受光面を持つ複数(例えば、64個)の光検出素子を、集光レンズ6の光軸を中心とするように同心円状に配置してあり、各光検出素子には、それぞれの位置に応じた回折・散乱角度を持つ光が入射するようにしてある。したがって、各光検出素子の出力信号は、各回折・散乱角度ごとの光の強度を表すことになる。
このような測定光学系120の構成において、上方向に対して60°以内の回折・散乱光は、集光レンズ6を介してリングディテクタ7の受光面上に集光されて、リング状の回折・散乱像を結ぶようになる。
【0007】
試料セル5は、平板形状(厚さt、横Y、縦X)の透明なガラスプレート(第一基板)11と、平板形状(厚さt、横Y、縦X)の透明なガラスプレート(第二基板)13とを備える。ガラスプレート11の上面の中央部には、サンプルSが収容されるための凹部(測定用凹部)12が形成されている。凹部12は平面視で断面積が約1cmである円形状であり、凹部12の深さは設定距離Δt(例えば、0.1mm以上0.5mm以下)となっている。
【0008】
ガラスプレート13の下面は、ガラスプレート11の上面と当接するように配置されることにより、ガラスプレート13の下面と凹部12の底面との間の距離が設定距離Δtとなる。よって、このような試料セル5によれば、凹部12にサンプルSを収容すれば、レーザ光の光軸に対し、サンプルSの厚さを所定の薄さΔtとすることができ、その結果、多重散乱光の発生を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−72841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したような粒度分布測定装置109では、高濃度で粒子群を含有する少量のサンプルSにおける粒子群の粒度分布を測定することができるので、バイオ医薬品等のタンパク質等は少量かつ高濃度なサンプルSであることが多いため、粒度分布測定装置109を用いてタンパク質の分散・凝集特性を測定することが考えられる。ところが、タンパク質の分散・凝集特性は温度によって異なり、種々の設定温度(例えば4℃やヒトの体温等)で評価される必要がある。しかしながら、粒度分布測定装置109では、設置台130に温度調整部材(ペルチェ素子を有する金属板)を取り付けても、レーザ光や回折・散乱光が通過する光路(凹部12)の断面積が大きく凹部12からの熱の放射が大きくなるため、タンパク質等のサンプルSが設定温度を維持できず、タンパク質の分散・凝集特性を正確に評価することができないという問題点が生じた。
【0011】
また、上述したような粒度分布測定装置109では、高濃度で粒子群を含有する少量のサンプルSを測定するため、試料セル5の凹部12内に攪拌機構を取り付けることは不可能である。よって、タンパク質等のサンプルSは粘性を有するため、対流もほとんど生じないので、サンプルS全体の温度が均一でなくサンプルSの位置によって温度が異なるという問題点も生じた。
そこで、本発明は、所望の温度で試料に含まれる被測定粒子群の粒度分布を算出することができる粒度分布測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するためになされた本発明の粒度分布測定装置は、測定光を出射する光源と、光強度分布を検出する検出器と、被測定粒子群を含む試料が収容された試料セルを光源と検出器との間の光路上に配置する試料セル配置部と、前記光源からの測定光を試料に照射することにより発生する光強度分布を検出器で検出して取得する光強度分布取得部と、前記光強度分布取得部で取得された光強度分布を用いて、前記試料に含まれる被測定粒子群の粒度分布を算出する粒度分布算出部とを備える粒度分布測定装置であって、前記試料セルの温度を調整する温度調整部材を備え、前記温度調整部材は、前記試料セルの周囲で光路上となる第一位置と、当該光路上でない第二位置とに移動可能となっており、前記光源からの測定光を試料に照射する際には、前記温度調整部材を第二位置に移動させるようにしている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の粒度分布測定装置によれば、光源からの測定光を試料に照射しないときには、所望の設定温度の温度調整部材が第一位置に配置されているため、所望の設定温度に試料を維持することができる。そして、光源からの測定光を試料に照射する際には、ヒトが手動で若しくは制御部が自動で温度調整部材を、光路上でない第二位置に移動させる。これにより、所望の設定温度で試料に含まれる被測定粒子群の粒度分布を算出することができる。なお、光源からの測定光を試料に照射する際には、温度調整部材を第二位置に移動させるが、測定時間(例えば数秒間)は短いため問題とならない。
【0014】
(その他の課題を解決するための手段及び効果)
また、本発明の粒度分布測定装置は、前記光強度分布取得部が、前記温度調整部材を第二位置に移動させることを実行するようにしてもよい。
本発明の粒度分布測定装置によれば、測定光を試料に照射する際には、自動的に光強度分布取得部が温度調整部材を第二位置に移動させることになる。
【0015】
そして、本発明の粒度分布測定装置は、前記試料セルは、平板形状の透明な第一基板と、平板形状の透明な第二基板とを備え、前記第一基板の上面には、前記試料が収容されるための測定用凹部が形成されており、前記第二基板の下面は、前記第一基板の上面と当接するように配置されることにより、前記第二基板の下面と測定用凹部の底面との間の距離が設定距離となるようにしてもよい。
ここで、「設定距離」とは、試料セルの設計者等によって測定する試料を考慮して予め決められた任意の距離であり、例えば、0.1mm以上0.5mm以下等となる。なお、設定距離は、試料に含まれる粒子の最大粒子直径と略同一であるか、あるいは、最大粒子直径の数倍(2倍〜3倍)程度であることが好ましい。
【0016】
さらに、本発明の粒度分布測定装置は、前記温度調整部材は、温度が調整可能な平板形状基板を備え、前記平板形状基板は、前記第一基板又は前記第二基板と当接するように配置される第一位置と、前記第一基板又は前記第二基板と当接しないように配置される第二位置とに移動可能となっているようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る粒度分布測定装置の一例を示す概略構成図。
図2図1に示す試料セル配置部の正面図。
図3図1に示す試料セル配置部の斜視図。
図4】試料セルの一例を示す概略構成図。
図5】従来の粒度分布測定装置を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれる。
【0019】
図1は、本発明に係る粒度分布測定装置の一例を示す概略構成図である。また、図2は、図1に示す試料セル配置部の正面図であり、図3は、図1に示す試料セル配置部の一部の斜視図である。なお、図1では、地面に水平な一方向である右方向をZ方向とし、地面に水平でZ方向と垂直な方向をY方向とし、Z方向とY方向とに垂直な上方向をX方向とする。また、上述した粒度分布測定装置109と同様のものについては、同じ符号を付している。
粒度分布測定装置9は、サンプル(試料)Sが収容される試料セル5と、試料セル5を配置するための試料セル配置部30と、レーザ光源1とコリメータ2と透明カバー3とを有する照射光学系10と、集光レンズ6とリングディテクタ(前方回折/散乱光センサ)7とを有する測定光学系20と、粒度分布測定装置9全体を制御する制御部40とを備える。
【0020】
粒度分布測定装置9の左部には、照射光学系10として、左から順にレーザ光源1とコリメータ2と透明カバー3とが配置されている。このような照射光学系10の構成において、レーザ光源1で発生されたレーザ光は、コリメータ2を通過して平行光とされ、右方向(Z方向)へ向かうように試料セル5に照射される。なお、平行光は、光軸に垂直な断面積が約1cmであり、円形状となる。
【0021】
粒度分布測定装置9の右部には、測定光学系20として、左から順に集光レンズ6とリングディテクタ7とが配置されている。リングディテクタ7は、互いに異なる半径を持つリング状ないしは半リング状の受光面を持つ複数(例えば、64個)の光検出素子を、光軸を中心とするように同心円状に配置してあり、各光検出素子には、それぞれの位置に応じた回折・散乱角度を持つ光が入射するようにしてある。したがって、各光検出素子の出力信号は、各回折・散乱角度ごとの光の強度を表すことになる。このような測定光学系20の構成において、光軸から60°以内の回折・散乱光は、集光レンズ6を介してリングディテクタ7の受光面上に集光されて、リング状の回折・散乱像を結ぶようになる。
【0022】
粒度分布測定装置9の左右方向の中央部には、試料セル配置部30が配置されている。試料セル配置部30は、上面に凹部33aが形成された取付部材33と、試料セル5の温度を調整する温度調整部材31、32とを備える。
取付部材33の凹部33aには、試料セル5の下端部が挿入されるようになっている。これにより、試料セル5の凹部12が、レーザ光源1とリングディテクタ7との間の光路上に配置される。
【0023】
温度調整部材31、32は、平板形状(横Y+β、縦X+α)の前面プレート31と、平板形状(横Y+β、縦X+α)の後面プレート32とを備える。前面プレート31は、取付部材33の凹部33aに挿入された試料セル5のガラスプレート(第二基板)13の前面(左)側と接触するように、取付部材33の上面に立設されるとともに、後面プレート32は、取付部材33の凹部33aに挿入された試料セル5のガラスプレート(第一基板)11の後面(右)側と接触するように、取付部材33の上面に立設されている。
【0024】
前面プレート31は、平板形状の上部固定ジャケット部分31bと、第一位置と第二位置とに移動可能になっている平板形状(横Y+β、縦X)の中部シャッタ部分(平板形状基板)31aと、平板形状の下部固定ジャケット部分31cとを有する。第一位置は、レーザ光源1とリングディテクタ7との間の光路上となる位置となり、第二位置は、レーザ光源1とリングディテクタ7との間の光路上でない位置となり、中部シャッタ部分31aは第一位置と第二位置とに制御部40からの制御信号によってY方向にスライドするようになっている。
また、中部シャッタ部分31aや上部固定ジャケット部分31bや下部固定ジャケット部分31cは、制御部40からの制御信号によって温度が所望の温度に調整可能となっており、例えば、ペルチェ素子、各種ヒータ、配管接続された循環恒温槽等を有する金属板等である。
【0025】
後面プレート32は、平板形状の上部固定ジャケット部分32bと、第一位置と第二位置とに移動可能になっている平板形状(横Y+β、縦X)の中部シャッタ部分(平板形状基板)32aと、平板形状の下部固定ジャケット部分32cとを有する。第一位置は、レーザ光源1とリングディテクタ7との間の光路上となる位置となり、第二位置は、レーザ光源1とリングディテクタ7との間の光路上でない位置となり、中部シャッタ部分32aは第一位置と第二位置とに制御部40からの制御信号によってY方向にスライドするようになっている。なお、試料セル5の凹部12からは回折・散乱光が出射されるため、中部シャッタ部分32aの縦Xは、中部シャッタ部分31aの縦Xより大きくなっている。
また、中部シャッタ部分32aや上部固定ジャケット部分32bや下部固定ジャケット部分32cは、制御部40からの制御信号によって温度が所望の温度に調整可能となっており、例えば、ペルチェ素子、各種ヒータ、配管接続された循環恒温槽等を有する金属板等である。
【0026】
制御部40は、CPU41を備え、さらにモニタ画面等を有する表示装置43と、キーボードやマウス等を有する入力装置42とが連結されている。また、CPU41が処理する機能をブロック化して説明すると、光強度分布をリングディテクタ7で検出して取得する光強度分布取得部41aと、被測定粒子群の粒度分布を算出する粒度分布算出部41bとを有する。
【0027】
光強度分布取得部41aは、温度調整部材31、32の中部シャッタ部分31a、32aを第二位置に移動させた直後に、レーザ光源1からのレーザ光をサンプルSに照射することにより発生する光強度分布をリングディテクタ7で検出して取得する制御を行う。
例えば、まず、温度調整部材31の中部シャッタ部分31aを第一位置に配置させるとともに温度調整部材32の中部シャッタ部分32aを第一位置に配置させておく。次に、入力装置42を用いて設定温度が入力されることにより、中部シャッタ部分31aと上部固定ジャケット部分31bと下部固定ジャケット部分31cとの温度を設定温度にするとともに、中部シャッタ部分32aと上部固定ジャケット部分32bと下部固定ジャケット部分32cとの温度を設定温度にする。次に、試料セル5の下端部が挿入される。そして、サンプルSが所望の設定温度になれば、温度調整部材31の中部シャッタ部分31aを第二位置にスライドさせるとともに、温度調整部材32の中部シャッタ部分32aを第二位置にスライドさせた直後に、レーザ光源1からのレーザ光をサンプルSに照射する。これにより、光強度分布をリングディテクタ7で検出して取得する。
【0028】
粒度分布算出部41bは、光強度分布取得部41aで取得された光強度分布を用いて、被測定粒子群の粒度分布を算出する制御を行う。
以上のように、粒度分布測定装置9によれば、所望の設定温度でサンプルSに含まれる被測定粒子群の粒度分布を算出することができる。
【0029】
<他の実施形態>
(1)上述した粒度分布測定装置9では、試料セル5の前後側に温度調整部材31、32が設けられる構成を示したが、試料セル5の片側のみに温度調整部材が設けられるような構成としてもよい。
【0030】
(2)上述した粒度分布測定装置9では、前面プレート31や後面プレート32は、上部固定ジャケット部分と中部シャッタ部分と下部固定ジャケット部分とを有する構成を示したが、上部固定ジャケット部分と中部シャッタ部分と下部固定ジャケット部分とを一体化させて全ての部分を移動させるような構成としてもよい。
(3)上述した粒度分布測定装置9では、光強度分布取得部41aは、温度調整部材31、32の中部シャッタ部分31a、32aを第二位置に移動させる構成を示したが、ヒトが手動で温度調整部材31、32の中部シャッタ部分31a、32aを第二位置に移動させるような構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、試料における粒子群の粒度分布を測定するレーザ回折式粒度分布測定装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1: レーザ光源
5: 試料セル
7: リングディテクタ(検出器)
9: レーザ回折式粒度分布測定装置
30: 試料セル配置部
31、32: 温度調整部材
41a: 光強度分布取得部
41b: 粒度分布算出部
図1
図2
図3
図4
図5