特許第5712965号(P5712965)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5712965
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】車両用発音器
(51)【国際特許分類】
   G10K 9/22 20060101AFI20150416BHJP
   B60Q 5/00 20060101ALI20150416BHJP
   G10K 9/12 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   G10K9/22 A
   B60Q5/00 670Z
   G10K9/12 C
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-118880(P2012-118880)
(22)【出願日】2012年5月24日
(65)【公開番号】特開2013-29814(P2013-29814A)
(43)【公開日】2013年2月7日
【審査請求日】2014年7月25日
(31)【優先権主張番号】特願2011-138497(P2011-138497)
(32)【優先日】2011年6月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390001812
【氏名又は名称】アンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 誠
(72)【発明者】
【氏名】宮田 晋
(72)【発明者】
【氏名】土屋 優
【審査官】 鈴木 圭一郎
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭57−004534(JP,Y1)
【文献】 特開2002−135872(JP,A)
【文献】 実開昭61−199000(JP,U)
【文献】 実開昭50−138922(JP,U)
【文献】 実開昭51−144103(JP,U)
【文献】 特開平09−070088(JP,A)
【文献】 実公昭51−022611(JP,Y1)
【文献】 実開昭58−129798(JP,U)
【文献】 米国特許第04963855(US,A)
【文献】 特表2008−521225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 9/00−9/22
H04R 1/00−1/02
B60Q 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース筒部(11)内が隔壁(12)によって第1空間(4)と第2空間(5)に分割されたケース(1、2)を備え、前記隔壁(12)には、前記第1空間(4)と前記第2空間(5)とを連通させる貫通孔(13)が形成され、音を発生させる発音体(6)が前記貫通孔(13)を塞ぐようにして前記第1空間(4)に配置され、前記ケース筒部(11)における前記第2空間(5)側の開口部がカバー(3)によって覆われた車両用発音器において、
前記ケース(1、2)は、前記第2空間(5)に配置されて、前記貫通孔(13)を囲み前記隔壁(12)から前記カバー(3)側に向かって突出する遮蔽筒部(14)を備え、
前記カバー(3)は、前記貫通孔(13)を覆うようにして前記遮蔽筒部(14)内に配置されて、前記発音体(6)が発生させた音が通過する第1音通路(81)を前記遮蔽筒部(14)の内周面との間に形成する第1遮蔽板(31)と、前記第1音通路(81)を覆うようにして前記遮蔽筒部(14)の開口部に対向して配置されて、前記第1音通路(81)を通過した音が通過する第2音通路(82)を前記遮蔽筒部(14)の開口部端面との間に形成する第2遮蔽板(32)とを備え、
前記ケース筒部(11)および前記カバー(3)の少なくとも一方に、前記第2音通路(82)を通過した音を外部に放出させる放音孔(83、84)が形成され、
前記放音孔(83、84)側から前記第1音通路(81)側を見たときに、前記放音孔(83、84)と前記第1音通路(81)との間が前記第2遮蔽板(32)および前記遮蔽筒部(14)によって遮られている構成であることを特徴とする車両用発音器。
【請求項2】
前記放音孔(84)は、前記第2空間(5)の最下部位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用発音器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用警報器や車両用接近通報装置等に用いられる車両用発音器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用発音器は、ケース内に発音体が配置され、発音体における音放出面側が、放音孔を有するカバーにより覆われている。そして、発音器が車両のフロントバンパー内に搭載される場合、高圧洗車時に水流が放音孔を通過して発音体に衝突する虞があるため、放音孔から発音体に向かう水流を受け止める遮蔽板がカバーに設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−101287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の発音器は、カバーの正面からの水流は受け止めることができるが、カバーに対して斜め方向からの水流に対しては遮蔽板が有効に作用せず、水流が発音体に衝突してしまい、発音体が破損する虞があった。
【0005】
また、カバー表面に付着した雪が、車両走行時の風圧によって放音孔から内部に押し込まれて発音体に付着し、機能障害(意図しない音圧および音質の変化)が発生したり、発音体が破損する虞があった。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、水の付着による発音体の破損および機能障害を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ケース筒部(11)内が隔壁(12)によって第1空間(4)と第2空間(5)に分割されたケース(1、2)を備え、隔壁(12)には、第1空間(4)と第2空間(5)とを連通させる貫通孔(13)が形成され、音を発生させる発音体(6)が貫通孔(13)を塞ぐようにして第1空間(4)に配置され、ケース筒部(11)における第2空間(5)側の開口部がカバー(3)によって覆われた車両用発音器において、ケース(1、2)は、第2空間(5)に配置されて、貫通孔(13)を囲み隔壁(12)からカバー(3)側に向かって突出する遮蔽筒部(14)を備え、カバー(3)は、貫通孔(13)を覆うようにして遮蔽筒部(14)内に配置されて、発音体(6)が発生させた音が通過する第1音通路(81)を遮蔽筒部(14)の内周面との間に形成する第1遮蔽板(31)と、第1音通路(81)を覆うようにして遮蔽筒部(14)の開口部に対向して配置されて、第1音通路(81)を通過した音が通過する第2音通路(82)を遮蔽筒部(14)の開口部端面との間に形成する第2遮蔽板(32)とを備え、ケース筒部(11)およびカバー(3)の少なくとも一方に、第2音通路(82)を通過した音を外部に放出させる放音孔(83、84)が形成され、放音孔(83、84)側から第1音通路(81)側を見たときに、放音孔(83、84)と第1音通路(81)との間が第2遮蔽板(32)および遮蔽筒部(14)によって遮られている構成であることを特徴とする。
【0008】
これによると、高圧洗車時に放音孔(83、84)から第2空間(5)に浸入した水流は、第2遮蔽板(32)および遮蔽筒部(14)によって受け止められて第1音通路(81)への流入が阻止されるため、水の付着による発音体(6)の破損を防止することができる。
【0009】
また、車両走行時の風圧によって放音孔(83、84)から第2空間(5)に押し込まれた雪は、遮蔽筒部(14)および第1遮蔽板(31)により遮蔽筒部(14)内への流入が阻止されるため、雪の付着による発音体(6)の破損および機能障害を防止することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の車両用発音器において、放音孔(84)は、第2空間(5)の最下部位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
これによると、第2空間(5)に侵入した水や雪を確実に排出することができる。
【0012】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る発音器の斜視図である。
図2】(a)は図1の発音器の正面図、(b)は図1の発音器の側面図、(c)は図1の発音器の下面図である。
図3図2(a)のA−A線に沿う断面図である。
図4図2(a)のB−B線に沿う断面図である。
図5図1の発音器におけるカバーを外した状態の正面図である。
図6】(a)は図1の発音器におけるカバーの正面図、(b)は図1の発音器におけるカバーの右側面図、(c)は図1の発音器におけるカバーの背面図である。
図7図6(a)のC−C線に沿う断面図である。
図8図6(a)のD−D線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態について、図1〜8に基づいて説明する。なお、図2に示した天地方向は、発音器を車両に装着した状態での方向を示している。
【0015】
図1〜8に示すように、発音器は、樹脂製の第1ケース1、樹脂製の第2ケース2、および樹脂製のカバー3によって、筐体が構成されている。
【0016】
第1ケース1は、略円筒状のケース筒部11を備え、このケース筒部11の一端側開口部に、円板状の第2ケース2が溶着にて気密的に接合され、ケース筒部11の他端側開口部に、この開口部を覆う円板状のカバー3が嵌合されている。
【0017】
ケース筒部11内の空間は、ケース筒部11内に設けられた隔壁12により軸方向に2分割されている。より詳細には、ケース筒部11と隔壁12と第2ケース2とによって第1空間4が形成され、ケース筒部11と隔壁12とカバー3とによって第2空間5が形成されている。
【0018】
隔壁12には、第1空間4と第2空間5とを連通させる円形の貫通孔13が形成されている。そして、電気信号に基づいて音を発生させる発音体6が、貫通孔13を塞ぐようにして第1空間4に配置されている。発音体6は、隔壁12に接着にて気密的に接合されている。第1ケース1には、発音体6と図示しない外部ハーネスとを電気的に接続する接続端子7が圧入されている。
【0019】
第1ケース1は、貫通孔13を囲み隔壁12からカバー3側に向かって突出する円筒状の遮蔽筒部14を備えている。この遮蔽筒部14は、第2空間5に配置されている。
【0020】
カバー3は、貫通孔13を覆うようにして遮蔽筒部14内に配置された円盤状の第1遮蔽板31を備えている。より詳細には、遮蔽筒部14におけるカバー3側の先端(すなわち、開口部端面)は、第1遮蔽板31よりもカバー3側まで延びており、第1遮蔽板31はその全体が遮蔽筒部14内に収容されている。そして、この第1遮蔽板31の外周面と遮蔽筒部14の内周面との間に、発音体6が発生させた音を通過させる第1音通路81が形成されている。この第1音通路81は、遮蔽筒部14の周方向に沿って連続している。
【0021】
カバー3は、第1遮蔽板31および第1音通路81を覆うようにして遮蔽筒部14の開口部に対向して配置された円盤状の第2遮蔽板32を備えている。第1遮蔽板31と第2遮蔽板32は、遮蔽筒部14の軸線方向に沿って積層配置されている。第1遮蔽板31の直径は第2遮蔽板32の直径よりも小さくなっている。また、第1遮蔽板31の中心と第2遮蔽板32の中心はずれている。より詳細には、第1遮蔽板31は発音体6と同軸に配置され、第2遮蔽板32の中心は発音体6の中心からずれている。
【0022】
そして、この第2遮蔽板32の一端面と遮蔽筒部14の開口部端面との間に、第1音通路81を通過した音を通過させる第2音通路82が形成されている。この第2音通路82は、遮蔽筒部14の周方向に沿って連続している。
【0023】
カバー3は、第2遮蔽板32の外周縁部から遮蔽筒部14の軸線方向に沿って反第2ケース側に向かって延びる円筒状のカバー筒部33、および、カバー筒部33の反第2ケース側端部から径方向外側に向かって延びるカバー鍔部34を備えている。
【0024】
カバー筒部33には、第2音通路82を通過した音を外部に放出させるカバー部放音孔83が形成されている。このカバー部放音孔83は、円筒状のカバー筒部33における周方向の一部が切りかかれて形成された開口であり、カバー筒部33における天地方向中央部よりもやや上部に2つ配置されている。なお、図1および図6(b)では、カバー部放音孔83の位置や範囲を明瞭にするために、カバー部放音孔83の部位を便宜的に綾目模様で示している。
【0025】
ケース筒部11におけるカバー3側の端部には、第2音通路82を通過した音を外部に放出させるケース部放音孔84が形成されている。このケース部放音孔84は、ケース筒部11の周方向に沿って複数個設けられ、そのうちの1つは、第2空間5の最下部位置に配置されている。
【0026】
カバー部放音孔83およびケース部放音孔84は、発音器の外部に連通しており、発音体6が発した音はカバー部放音孔83およびケース部放音孔84から外部に放出されるようになっている。
【0027】
第2遮蔽板32と第1音通路81とカバー部放音孔83との位置関係は、カバー部放音孔83側から第1音通路81側を見たときに、カバー部放音孔83と第1音通路81との間が第2遮蔽板32によって発音体6が視認できないように遮られるような位置関係になっている。
【0028】
また、第2遮蔽板32と遮蔽筒部14と第1音通路81とケース部放音孔84との位置関係は、ケース部放音孔84側から第1音通路81側を見たときに、ケース部放音孔84と第1音通路81との間が第2遮蔽板32および遮蔽筒部14によって発音体6が視認できないように遮られるような位置関係になっている。
【0029】
上記構成になる発音器は、車室外に配置され、より詳細には、第1ケース1および第2ケース2よりもカバー3が車両前方側に位置するようにして、車両のフロントバンパー内に配置される。そして、通電により発音体6が発した音は、第1音通路81および第2音通路82を通過した後、カバー部放音孔83およびケース部放音孔84から警報音として外部に放出される。
【0030】
ところで、高圧洗車時に水流がカバー部放音孔83やケース部放音孔84を通って第2空間5に浸入した場合、第1音通路81に向かう水流は、第2遮蔽板32によって受け止められて第1音通路81への流入が阻止され、第2空間5の最下部に位置するケース部放音孔84から外部に排出される。したがって、水は発音体6に到達せず、水の付着による発音体6の破損を防止することができる。
【0031】
また、カバー3の表面に付着した雪が、車両走行時の風圧によってカバー部放音孔83やケース部放音孔84から第2空間5に押し込まれた場合、遮蔽筒部14および第1遮蔽板31により遮蔽筒部14内への雪の流入が阻止され、その雪はやがて溶けて第2空間5の最下部に位置するケース部放音孔84から外部に排出される。したがって、雪は発音体6に到達せず、雪の付着による発音体6の破損および機能障害を防止することができる。
【0032】
なお、上記実施形態では、カバー筒部33およびケース筒部11の両方に放音孔83、84を設けたが、放音孔はカバー筒部33およびケース筒部11のいずれか一方のみに設けてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 第1ケース
2 第2ケース
3 カバー
4 第1空間
5 第2空間
6 発音体
11 ケース筒部
12 隔壁
13 貫通孔
14 遮蔽筒部
31 第1遮蔽板
32 第2遮蔽板
81 第1音通路
82 第2音通路
83 カバー部放音孔
84 ケース部放音孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8