(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5712972
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】車両用熱交換装置
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20150416BHJP
F28F 9/26 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
F28F9/02 301G
F28F9/26
F28F9/02 301Z
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-145399(P2012-145399)
(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公開番号】特開2014-9847(P2014-9847A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2014年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 充
(72)【発明者】
【氏名】松平 範光
【審査官】
柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−148794(JP,A)
【文献】
特開2010−127508(JP,A)
【文献】
特開平09−166021(JP,A)
【文献】
特開2004−351985(JP,A)
【文献】
特開平10−175426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02
F28F 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を第1冷媒が流れる第1熱交換器(6)と、
前記第1熱交換器(6)のタンク部(64)内に収容され、内部を高圧の第2冷媒が流れ、第2冷媒と第1冷媒の間で熱交換を行う第2熱交換器(7)とを備えた車両用熱交換装置(4A)であって、
前記第1熱交換器(6)の前記タンク部(64)の上部に設けられ、内部圧力が規定圧力を超えると内部を大気に開放する圧力開放弁(65)と、
前記圧力開放弁(65)から噴出する冷媒の噴出方向を規制する噴出方向規制部とを備え、
前記噴出方向規制部は、前記第1熱交換器(6)の上方に配置されるアッパーガード(24)に設けられた凹部(25)であり、
前記凹部(25)が前記圧力開放弁(65)の上方を囲む位置に配置されていることを特徴とする車両用熱交換装置(4A)。
【請求項2】
内部を第1冷媒が流れる第1熱交換器(6)と、
前記第1熱交換器(6)のタンク部(64)内に収容され、内部を高圧の第2冷媒が流れ、第2冷媒と第1冷媒の間で熱交換を行う第2熱交換器(7)とを備えた車両用熱交換装置(4B)であって、
前記第1熱交換器(6)の前記タンク部(64)の上部に設けられ、内部圧力が規定圧力を超えると内部を大気に開放する圧力開放弁(65)と、
前記圧力開放弁(65)から噴出する冷媒の噴出方向を規制する噴出方向規制部とを備え、
前記噴出方向規制部は、前記第1熱交換器(6)の上方に配置されるアッパーガード(24)と、
前記アッパーガード(24)に設けられた規制壁(27)であり、
前記規制壁(27)が前記圧力開放弁(65)の車両後方に配置されていることを特徴とする車両用熱交換装置(4B)。
【請求項3】
内部を第1冷媒が流れる第1熱交換器(6)と、
前記第1熱交換器(6)のタンク部(64)内に収容され、内部を高圧の第2冷媒が流れ、第2冷媒と第1冷媒の間で熱交換を行う第2熱交換器(7)とを備えた車両用熱交換装置(4C)であって、
前記第1熱交換器(6)の前記タンク部(64)の上部に設けられ、内部圧力が規定圧力を超えると内部を大気に開放する圧力開放弁(65)と、
前記圧力開放弁(65)から噴出する冷媒の噴出方向を規制する噴出方向規制部とを備え、
前記噴出方向規制部は、前記第1熱交換器(6)の上方に配置されるアッパーガード(24)と、
前記第1熱交換器(6)の前記タンク部(64)より突出する規制壁(66)であり、
前記規制壁(66)が前記圧力開放弁(65)の車両後方に配置されていることを特徴とする車両用熱交換装置(4C)。
【請求項4】
内部を第1冷媒が流れる第1熱交換器(6)と、
前記第1熱交換器(6)のタンク部(64)内に収容され、内部を高圧の第2冷媒が流れ、第2冷媒と第1冷媒の間で熱交換を行う第2熱交換器(7)とを備えた車両用熱交換装置(4D)であって、
前記第1熱交換器(6)の前記タンク部(64)の上部に設けられ、内部圧力が規定圧力を超えると内部を大気に開放する圧力開放弁(65)と、
前記圧力開放弁(65)から噴出する冷媒の噴出方向を規制する噴出方向規制部とを備え、
前記噴出方向規制部は、前記第1熱交換器(6)の前記タンク部(64)より突出する規制壁(67)であり、
前記規制壁(67)が前記圧力開放弁(65)の車両後方に配置されていることを特徴とする車両用熱交換装置(4D)。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の車両用熱交換装置(4E)であって、
前記圧力開放弁(65)は、前記第1熱交換器(6)の前記タンク部(64)の冷媒用孔(68)に装着されるキャップ(69)に設けられたことを特徴とする車両用熱交換装置(4E)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の熱交換器を備えた車両用熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の車両用熱交換装置としては、特許文献1に開示されたものがある。この車両用熱交換装置100は、図示しない車両のエンジンルーム内に設けられ、
図15及び
図16に示すように、サブラジエータ101のタンク部102内に冷凍サイクルの水冷コンデンサ103を収容している。サブラジエータ101は、複数のチューブ104と、この隣り合うチューブ104間に配置された複数のアウターフィン105と、複数のチューブ104の長手方向の両端に配置された一対の入口側タンク部106、及び出口側タンク部102とを備えている。入口側タンク部106には、図示しない制御機器用の冷却水が流入する流入口107が設けられ、出口側タンク部102には、冷却水が流出する流出口108が設けられている。水冷コンデンサ103は、冷却水が流通する間隔を置いて積層された複数のチューブ111を有する。この各チューブ111の両端位置に、車室空調用の冷媒が流出入する流入口109と流出口110が設けられている。
【0003】
上記構成において、流入口107より流入された制御機器用の冷却水は、一方のタンク部106内より複数のチューブ104内を通って他方のタンク部102に流れて流出口108より排出される。このようにサブラジエータ101内を流れる冷媒は、各チューブ104の通過過程でこれらチューブ104外を通る外部空気と積極的に熱交換し、これによって、制御機器用の冷却水の温度が低下される。また、流入口109より流入された車室空調用の冷媒は、水冷コンデンサ103の各チューブ111内を通って流出口110より排出される。この水冷コンデンサ103のチューブ111内の通過過程でタンク部102内を通る冷却水と熱交換し、これによって、車室空調用の冷媒の温度が低下される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−127508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、サブラジエータ101のタンク部102内に冷凍サイクルの水冷コンデンサ103を収容した車両用熱交換装置100にあって、水冷コンデンサ103が破損して高圧冷媒がサブラジエータ101のタンク部102内に漏れると、タンク部102内の圧力が高圧となってサブラジエータ101などが破損し、冷媒がサブラジエータ101より車両のエンジンルーム内に噴出するというおそれがある。これにより、噴出した冷媒内には冷凍サイクルの気相冷媒及びオイルが含まれているため、このオイルがエンジンルーム内の例えば補機類を駆動するためのベルトに掛かると、ベルトスリップ等の原因になるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、第1熱交換器から噴出した冷媒がエンジンルーム内の装置に掛かることに起因する不具合を極力防止することができる車両用熱交換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内部を第1冷媒が流れる第1熱交換器と、前記第1熱交換器のタンク部内に収容され、内部を高圧の第2冷媒が流れ、第2冷媒と第1冷媒の間で熱交換を行う第2熱交換器とを備えた車両用熱交換装置であって、前記第1熱交換器の前記タンク部の上部に設けられ、内部圧力が規定圧力を超えると内部を大気に開放する圧力開放弁と、前記圧力開放弁から噴出する冷媒の噴出方向を規制する噴出方向規制部とを備え
、前記噴出方向規制部は、前記第1熱交換器の上方に配置されるアッパーガードに設けられた凹部であり、前記凹部が前記圧力開放弁の上方を囲む位置に配置されていることを特徴とする。
【0009】
前記噴出方向規制部は、前記第1熱交換器の前記タンク部の上方に配置されるアッパーガードと、前記アッパーガードに設けられた規制壁であり、前記規制壁が前記圧力開放弁の車両後方に配置されていることが好ましい。
【0010】
前記噴出方向規制部は、前記第1熱交換器の前記タンク部の上方に配置されるアッパーガードと、前記タンク部より突出して前記アッパーガードに接触する規制壁であり、前記規制壁が前記圧力開放弁の車両後方に配置されていることが好ましい。
【0011】
前記噴出方向規制部は、前記第1熱交換器の前記タンク部より突出する規制壁であり、前記規制壁が前記圧力開放弁の車両後方に配置されていることが好ましい。
【0012】
前記圧力開放弁は、前記第1熱交換器の前記タンク部に装着されるキャップに設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第2熱交換器の高圧冷媒が第1熱交換器のタンク部内に漏れて、タンク部の内部圧力が規定圧力を超えると、圧力開放弁によりタンク部の内部を大気に開放するので、第1熱交換器などが破損して冷媒が車両のエンジンルーム内に噴出することを防止できる。また、前記圧力開放弁からの冷媒の噴出方向は噴射方向規制部により規制されるので、噴射された冷媒内に含まれるオイルがエンジンルーム内の例えば補機類を駆動するためのベルトに掛かることが防止される。これにより、第1熱交換器から噴出した冷媒がエンジンルーム内の装置に掛かることに起因する不具合を極力防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施の形態を示し、車両用熱交換装置を備える車両前部の斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態を示し、フロントエンドモジュールの分解斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態を示し、車両用熱交換装置の構成図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態を示し、車両用熱交換装置の概略斜視図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態を示し、車両用熱交換装置とアッパーガードの要部斜視図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態を示し、(a)は車両用熱交換装置の概略側面図、(b)はアッパーガードの断面形状を説明する図である。
【
図7】本発明の第2の実施の形態を示し、車両用熱交換装置とアッパーガードの要部斜視図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態を示し、車両用熱交換装置の概略側面図である。
【
図9】本発明の第3の実施の形態を示し、車両用熱交換装置とアッパーガードの要部斜視図である。
【
図10】本発明の第3の実施の形態を示し、車両用熱交換装置の概略側面図である。
【
図11】本発明の第4の実施の形態を示し、車両用熱交換装置の要部斜視図である。
【
図12】本発明の第4の実施の形態を示し、車両用熱交換装置の概略側面図である。
【
図13】本発明の第5の実施の形態を示し、車両用熱交換装置の要部斜視図である。
【
図14】本発明の第5の実施の形態を示し、サブラジエータのタンク部の断面図である。
【
図15】従来例の車両用熱交換装置の斜視図である。
【
図16】従来例の車両用熱交換装置に設けられるサブラジエータのタンク部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1〜
図6は本発明の第1の実施の形態を示す。
【0017】
車両1の前部には、
図1及び
図2に示すように、フロントエンドモジュール2が設けられている。このフロントエンドモジュール2の後方には、原動機であるエンジン3を収容するエンジンルーム30が形成され、上部がボンネットカバー31により覆われている。エンジン3の前側には、補機類(図示せず)を駆動するためのベルト32が装着されている。フロントエンドモジュール2は、バンパーフェーシア21と、このバンパーフェーシア21を補強するバンパーレインフォース22と、このバンパーレインフォース22に取付けられる熱交換類サポート23とから構成される。この熱交換類サポート23は、後述するサブラジエータ6の上方に設けられるアッパーガード24を含んでいる。
【0018】
車両用熱交換装置4Aは、エンジン3の車両前方に設けられ、熱交換類サポート23などに取付けられており、
図3及び
図4に示すように、内部に第1冷媒(冷却水、不凍液)が流れ、電動駆動部5を冷却するためのサブラジエータ6(第1熱交換器)と、内部に第2冷媒(空調用冷媒)が流れ、車室内を冷却するための、つまり、空気調和装置用の水冷式コンデンサ7(第2熱交換器)とを備えている。
【0019】
車両用熱交換器4Aは、エンジン3を冷却するためのメインラジエータ8と、空気調和装置用の他のコンデンサである空冷式コンデンサ9を備えている。
【0020】
水冷式のコンデンサ7と空冷式のコンデンサ9とは、水冷式のコンデンサ7を上流として冷凍サイクル内に直列に接続されている。圧縮機によって高温高圧とされた第2冷媒は、先ず水冷式のコンデンサ7に流入し、その後、空冷式のコンデンサ9に流入する。
【0021】
サブラジエータ6は、メインラジエータ8の冷却風の上流面側で、且つ、上半分領域に配置されている。サブラジエータ6は、チューブ61とアウターフィン62が交互に積層されたコア部と、このコア部の両端に固定された一対のタンク部63,64とから主に構成されている。
【0022】
空冷式のコンデンサ9は、メインラジエータ8の冷却風の上流面側で、且つ、下半分領域に配置されている。空冷式のコンデンサ9は、チューブ91とアウターフィン92が交互に積層されたコア部と、このコア部の両端に固定された一対のタンク部93、94とから主に構成されている。
【0023】
メインラジエータ8は、チューブ(図示せず)とアウターフィン(図示せず)が交互に積層されたコア部と、このコア部の両端に固定された一対のタンク部83,84とから主に構成されている。そして、前記チューブ(図示せず),61,91内を流れる第1冷媒と、前記チューブ(図示せず),61,91の外側を流れる冷却風との間で熱交換を行うことによって第1冷媒が冷却される。
【0024】
次に、水冷式のコンデンサ7について説明する。水冷式のコンデンサ7は、サブラジエータ6の出口側タンク部64内に配置されている。水冷式のコンデンサ7は、間隔を置いて並列配置された複数のチューブ(図示せず)を有する。このチューブ内の両端位置には、互いのチューブ内を連通する冷媒出入口用連通孔が設けられている。この一対の冷媒出入口用連通孔を介して冷媒がチューブ内に流出入される。
【0025】
このように構成した水冷式のコンデンサ7では、その内部を流れる第2冷媒がコンデンサ7のタンク内を流れる第1冷媒との間で熱交換され、第2冷媒が冷却される。
【0026】
また、
図5及び
図6に示すように、サブラジエータ6のタンク部64の上部には、タンク部64の内部圧力が規定圧力を超えると内部を大気に開放する圧力開放弁65が設けられる。この圧力開放弁65の上方に配置されるアッパーガード24の位置には、噴出方向規制部としても凹部25が設けられている。凹部25は、圧力開放弁65の上方を囲むよう配置されている。凹部25は、プレス加工によって形成されるため、アッパーガード24の表面に上方へ突出する凸部26が形成されている。
【0027】
以上の構成によって、水冷式のコンデンサ7の高圧冷媒がサブラジエータ6のタンク部64内に漏れ、タンク部64の内部圧力が規定圧力を超えると、圧力開放弁65によりタンク部64の内部を大気に開放し、タンク部64の内部圧力が低下するので、サブラジエータ6などが破損して冷媒が車両1のエンジンルーム30内に噴出することを防止できる。また、タンク部64の内部圧力が規定圧力を超えたために圧力開放弁65から噴出した冷媒は、圧力開放弁65の上方を囲む位置に配置されるアッパーガード24の凹部25に遮られるので、冷媒が圧力開放弁65から車両後方に直接に噴射されることが規制されると共に、圧力開放弁65から上方に噴射し、その後に車両後方に落下したり散らばることも規制される。
【0028】
以上、この第1の実施の形態では、サブラジエータ6から噴出した冷媒がエンジンルーム30内のエンジン3やベルト32などの装置に掛かることに起因する不具合を極力防止することができる。
【0029】
(第2の実施の形態)
図7及び
図8は本発明の第2の実施の形態を示す。この第2の実施の形態に係る車両用熱交換装置4Bにおいて、第1の実施の形態のものと同一構成箇所には同一符号を付してその説明を省略し、異なる構成箇所のみを説明する。
【0030】
図7及び
図8に示すように、本実施形態の車両用熱交換装置4Bは、圧力開放弁65から噴出する冷媒の噴出方向を規制する噴出方向規制部として、圧力開放弁65の上方に配置されるアッパーガード24と、このアッパーガード24に設けられた規制壁27を備えている。この規制壁27は、圧力開放弁65の車両後方に配置されている。
【0031】
他の構成は、前記第1の実施の形態と同様であるため、重複説明を回避するべく説明を省略する。図面上の同一構成箇所には同一符号を付して明確化を図る。
【0032】
この第2の実施の形態でも、前記第1の実施の形態と同様に、水冷式のコンデンサ7の高圧冷媒がサブラジエータ6のタンク部64内に漏れ、タンク部64の内部圧力が規定圧力を超えると、圧力開放弁65によりタンク部64の内部を大気に開放し、タンク部64の内部圧力が低下するので、サブラジエータ6などが破損して冷媒が車両1のエンジンルーム30内に噴出することを防止できる。また、タンク部64の内部圧力が規定圧力を超えたために圧力開放弁65から噴出した冷媒は、圧力開放弁65の車両後方の規制壁27や上方のアッパーガード24により遮られるので、冷媒が圧力開放弁65から車両後方に直接に噴射されることが規制されると共に、圧力開放弁65から上方に噴射し、その後に車両後方に落下したり散らばることも規制される。
【0033】
以上、この第2の実施の形態でも、サブラジエータ6から噴出した冷媒がエンジンルーム30内のエンジン3やベルト32などの装置に掛かることに起因する不具合を極力防止することができる。
【0034】
(第3の実施の形態)
図9及び
図10は本発明の第3の実施の形態を示す。この第3の実施の形態に係る車両用熱交換装置4Cにおいて、第1の実施の形態のものと同一構成箇所には同一符号を付してその説明を省略し、異なる構成箇所のみを説明する。
【0035】
図9及び
図10に示すように、本実施形態の車両用熱交換装置4Cは、圧力開放弁65から噴出する冷媒の噴出方向を規制する噴出方向規制部として、圧力開放弁65の上方に配置されるアッパーガード24と、タンク部64より突出し、上端がアッパーガード24の受入部28に挿入される規制壁66を備えている。この規制壁66は、圧力開放弁65の車両後方に配置されている。
【0036】
他の構成は、前記第1の実施の形態と同様であるため、重複説明を回避するべく説明を省略する。図面上の同一構成箇所には同一符号を付して明確化を図る。
【0037】
この第3の実施の形態でも、前記第1の実施の形態と同様、水冷式のコンデンサ7の高圧冷媒がサブラジエータ6のタンク部64内に漏れ、タンク部64の内部圧力が規定圧力を超えると、圧力開放弁65により内部を大気に開放し、タンク部64の内部圧力が低下するので、サブラジエータ6が破損して冷媒が車両1のエンジンルーム30内に噴出することを防止できる。また、タンク部64の内部圧力が規定圧力を超えたために圧力開放弁65から噴出した冷媒は、圧力開放弁65の車両後方の規制壁66や上方のアッパーガード24で遮られるので、冷媒が圧力開放弁65から車両後方に直接に噴射されることが規制されると共に、圧力開放弁65から上方に噴射し、その後に車両後方に落下したり散らばることも規制される。
【0038】
以上、この第3の実施の形態でも、サブラジエータ6から噴出した冷媒がエンジンルーム30内のエンジン3やベルト32などの装置に掛かることに起因する不具合を極力防止することができる。
【0039】
(第4の実施の形態)
図11及び
図12は本発明の第4の実施の形態を示す。この第4の実施の形態に係る車両用熱交換装置4Dにおいて、第1の実施の形態のものと同一構成箇所には同一符号を付してその説明を省略し、異なる構成箇所のみを説明する。
【0040】
図11及び
図12に示すように、本実施形態の車両用熱交換装置4Dは、圧力開放弁65から噴出する冷媒の噴出方向を規制する噴出方向規制部として、サブラジエータ6のタンク部64より突出する規制壁67を備えている。この規制壁67は、圧力開放弁65の車両後方に配置されている。
【0041】
他の構成は、前記第1の実施の形態と同様であるため、重複説明を回避するべく説明を省略する。図面上の同一構成箇所には同一符号を付して明確化を図る。
【0042】
この第4の実施の形態でも、水冷式のコンデンサ7の高圧冷媒がサブラジエータ6のタンク部64内に漏れ、タンク部64の内部圧力が規定圧力を超えると、圧力開放弁65によりタンク部64の内部を大気に開放し、タンク部64の内部圧力が低下するので、サブラジエータ6などが破損して冷媒が車両1のエンジンルーム30内に噴出することを防止できる。また、タンク部64の内部圧力が規定圧力を超えたために圧力開放弁65から噴出した冷媒は、車両後方の規制壁67で遮られるので、冷媒が圧力開放弁65から車両後方に直接に噴射されることが規制される。
【0043】
以上、この第4の実施の形態でも、サブラジエータ6から噴出した冷媒がエンジンルーム30内のエンジン3やベルト32などの装置に掛かることに起因する不具合を極力防止することができる。
【0044】
(第5の実施の形態)
図13及び
図14は本発明の第5の実施の形態を示す。この第5の実施の形態に係る車両用熱交換装置4Eにおいて、第1の実施の形態のものと同一構成箇所には同一符号を付してその説明を省略し、異なる構成箇所のみを説明する。
【0045】
図13及び
図14に示すように、本実施形態の車両用熱交換装置4Eでは、圧力開放弁65が、サブラジエータ6のタンク部64上部の冷媒用孔68に装着されるキャップ69に設けられる。なお、前記冷媒用孔68は、電動駆動部5などを冷却するための冷却水サイクルに第1冷媒(冷却液)を注入するために設けられている。
【0046】
他の構成は、噴出方向規制部の構成を含めて前記第1の実施の形態と同様であるため、重複説明を回避するべく説明を省略する。図面上の同一構成箇所には同一符号を付して明確化を図る。
【0047】
この第5の実施の形態でも、前記第1の実施の形態と同様に、水冷式のコンデンサ7の高圧冷媒がサブラジエータ6のタンク部64内に漏れ、タンク部64の内部圧力が規定圧力を超えると、タンク部64上部のキャップ69に設けられる圧力開放弁65により内部を大気に開放し、タンク部64の内部圧力が低下するので、サブラジエータ6の破損に伴って冷媒が車両1のエンジンルーム30内に噴出することを防止できる。
【0048】
サブラジエータ6から噴出した冷媒がエンジンルーム30内のエンジン3やベルト32などの装置に掛かることに起因する不具合を極力防止することができる。
【0049】
この第5の実施の形態では、圧力開放弁65をサブラジエータ6のタンク部64上部の冷媒用孔68に装着されるキャップ69に設けたので、サブラジエータ6のタンク部64の加工を特に要せずに、圧力開放弁65をサブラジエータ6のタンク部64に設けることができ、コストの低減を図ることができる。
【0050】
又、第5の実施の形態にあって、噴出方向規制部の構成は、第2〜第4の実施の形態のものを適用してもよい。
【符号の説明】
【0051】
4A〜4E 車両用熱交換装置
6 サブラジエータ(第1熱交換器)
7 水冷式コンデンサ(第2熱交換器)
24 アッパーガード(噴出方向規制部)
25 凹部(噴出方向規制部)
27,66,67 規制壁(噴出方向規制部)
64 タンク部
65 圧力開放弁
68 冷媒用孔
69 キャップ