【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、タンパク質を可逆的にカチオン化しうる試薬について種々検討したところ、1分子内に第4級アンモニウム基に由来するカチオンを3個以上有するチオスルホナート化合物が、これまでにない新規な化合物であって、上記課題をみごとに解決することができることを見いだした。このような化合物は、タンパク質が有する1ヶ所のCys残基に、第4級アンモニウム基に由来する3個以上のカチオンを導入することができることに起因して、主に、次の4つの作用効果を発現することができる。
(1)疎水性のタンパク質の可溶化が容易になり、より広範な変性状態のタンパク質にも高い溶解性を付与することができる。
(2)本発明の新規化合物は、構造上、一分子あたりのカチオンの数が明確であり、かつ構造上立体障害等を受けにくく、全Cys残基と反応することが可能であるため、電荷が明確で定量的な処理が可能で、タンパク質やペプチドのシステイン残基に正確にカチオンを導入してカチオン化でき、可溶化することが可能である。
(3)従来法により可逆的にカチオン化された変性タンパク質は、純水中では比較的高い溶解性を示すが、溶媒のイオン強度が上がると充分な溶解性を示さなかった。しかし、本発明の新規化合物を用いて得られるカチオン化変性タンパク質は、生理食塩水等の生理的な塩溶液中でも高い溶解性を示し、かつ、凍結乾燥等の濃縮工程にも耐え得る。
(4)本発明の新規化合物を用いることにより(好ましくは、更に逆相HPLC等の高度可溶化プロトコルと組み合わせて)、核酸を含まない細胞内総タンパク質(好ましくは変性状態の細胞内総タンパク質)を可逆的に可溶化することが可能である。また、上記(3)に記載のとおり、カチオン化タンパク質は生理食塩水中でも高い溶解性を示すため、生理的な条件下でのタンパク質の高純度な精製、回収等が可能である。また、凍結乾燥後の可逆的な水和等の操作にも耐え得る。
【0011】
本発明者等はまた、これらの作用効果が、タンパク質のみならずペプチドに適用した場合にも発揮されることを見いだし、本発明の新規化合物がタンパク質及び/又はペプチドを可逆的にカチオン化させる試薬、すなわちタンパク質及び/又はペプチドの可逆的カチオン化剤として有用であることを見いだした。中でも特に、疎水性の高い変性状態のタンパク質及び/又はペプチド、具体的には大腸菌等により生産された組み換えタンパク質や動物細胞の全タンパク質・ペプチド等の可逆的カチオン化剤として有用である。また、この可逆的カチオン化剤は、タンパク質及び/又はペプチドの可溶化剤として有用であり、該可溶化剤を用いてタンパク質及び/又はペプチドを可溶化する方法は、タンパク質及び/又はペプチドを扱う分野で極めて有用な技術である。このような本発明の技術は、細胞内のタンパク質の解析や、樹状細胞を用いる癌免疫療法への応用等、基礎研究及び臨床の両分野で有用であり、化学の研究、医療その他の応用範囲は広いと考えられる。例えば、脊髄等の組織への投与、癌細胞又は癌組織と樹状細胞を用いる癌の免疫療法等において、より効率よく目的の樹状細胞ワクチンを調製し、治療効果の向上に寄与し得る等、多大な可能性・発展性を持つ技術といえる。
【0012】
すなわち本発明は、1分子内に、第4級アンモニウム基に由来するカチオンを3個以上有するチオスルホナート化合物である。
本発明はまた、タンパク質及び/又はペプチドを可逆的にカチオン化するための可逆的カチオン化剤であって、該可逆的カチオン化剤は、上記チオスルホナート化合物を含むタンパク質及び/又はペプチドの可逆的カチオン化剤でもある。
本発明は更に、タンパク質及び/又はペプチドを可溶化する方法であって、該可溶化方法は、上記タンパク質及び/又はペプチドの可逆的カチオン化剤を用いるタンパク質及び/又はペプチドの可溶化方法でもある。
本発明はそして、培養細胞及び/又は生体組織から抽出した変性状態の総タンパク質の混合物を生理的な塩溶液中に可溶化する方法であって、該可溶化方法は、上記タンパク質及び/又はペプチドの可逆的カチオン化剤を用いる可溶化方法でもある。
以下に本発明を詳述する。
【0013】
<チオスルホナート化合物>
本発明のチオスルホナート化合物は、1分子内に、第4級アンモニウム基に由来するカチオンを3個以上有し、かつ、チオスルホナート基を有する化合物である。また、対アニオンとして、ハロゲンイオン等を有する形態が好適である。なお、本発明の化合物の構造は、NMRや元素分析等により確認することができる。
上記チオスルホナート化合物は、好ましくは、下記一般式(1):
【0014】
【化1】
(式中、R
1は、同一又は異なって、炭素原子数2〜20のアルキレン基を表す。R
2は、低級アルキル基を表す。nは、3以上の整数である。)で表される。
【0015】
上記一般式(1)中のnは、第4級アンモニウム基に由来するカチオンの数を表す。このカチオンの数が多すぎると、立体障害等によってタンパク質及び/又はペプチドを定量的にカチオン化することが難しくなると考えられる。従って、本発明のチオスルホナート化合物をタンパク質及び/又はペプチドの可逆的カチオン化剤や可溶化剤等として用いる場合には、タンパク質及び/又はペプチドとの反応の定量性と、可溶化可能なタンパク質及び/又はペプチドの適用範囲との関係から、nは3〜10が好ましい。より好ましくは、nは3〜8であり、更に好ましくは3〜5、特に好ましくは3である。
【0016】
また上記一般式(1)中のR
1は、同一又は異なって、炭素原子数2〜20のアルキレン基を表す。このようなアルキレン基は直鎖アルキレン基であってもよいし、分岐鎖又は環状鎖を有するアルキレン基のいずれであってもよい。本発明のチオスルホナート化合物をタンパク質及び/又はペプチドの可逆的カチオン化剤や可溶化剤等として用いる場合には、直鎖アルキレン基か、又は、分岐鎖を有する低級アルキレン基であることが好適である。これは、立体障害が大きくなることによって上記チオスルホナート化合物とタンパク質及び/又はペプチドとの反応性が不充分になり、使い勝手が影響を受ける可能性(例えば、凍結乾燥等の過程が使えない等)を考慮したものである。
【0017】
上記R
1で表されるアルキレン基は、炭素原子数が大きくなればなるほど上記チオスルホナート化合物の疎水性が向上するため、タンパク質及び/又はペプチドの可逆的カチオン化剤や可溶化剤等として用いる場合の目的、すなわちカチオン化で親水性を向上させるという目的と相反することから、10以下であることが好適である。また、安定性をも考慮して、上記R
1で表されるアルキレン基の炭素数は2〜10、好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4から選択される。R
1としては直鎖状アルキレンが好ましく、プロピレン基が特に好ましい。R
1が互いに異なる場合、上記一般式(1)で表される化合物の構造中におけるそれらの結合順序は任意である。
上記R
2で表される低級アルキル基としては、メチル基が好ましい。
【0018】
上記チオスルホナート化合物の分子量としては、例えば、300〜3000であることが好適である。中でも、タンパク質及び/又はペプチドの可逆的カチオン化剤や可溶化剤として使用する場合は、立体障害等を考慮して、300〜2000であることがより好ましい。更に好ましくは300〜1000である。
ここでいう分子量は、構成する元素の原子量の総和として計算された値である。
【0019】
上記チオスルホナート化合物の製造方法(合成方法)としては、例えば、1分子内に第4級アンモニウム基に由来するカチオンを1個以上有するアンモニオアルキルハライド(例えば、(3−ブロモプロピル)トリメチルアンモニウム ブロマイド等)に、トリメチルジアミンやトリエチルジアミン等のトリアルキルジアミンを反応させた後、ジブロモプロパン等のジハロアルカンを反応させ、次いで、メタンチオスルホン酸ナトリウム塩等のチオスルホネート塩を反応させることにより得ることができる。なお、目的とするチオスルホナート化合物中の第4級アンモニウム基由来カチオンの数に応じて、アンモニオアルキルハライドのカチオンの数を変えて反応させてもよい。
【0020】
<タンパク質及び/又はペプチドの可逆的カチオン化剤>
本発明のタンパク質及び/又はペプチドの可逆的カチオン化剤は、上述した本発明のチオスルホナート化合物を含む。すなわち、本発明のチオスルホナート化合物をタンパク質及び/又はペプチドの可逆的カチオン化剤に用いることになる。このような可逆的カチオン化剤は、従来の試薬に比べ、疎水性の高い変性タンパク質やペプチドの可逆的カチオン化に非常に有効である。また、構造上、一分子あたりのカチオンの数が明確であり、かつ立体障害等を受けにくいことから、全Cys残基と反応することが可能である。このように、本発明の可逆的カチオン化剤は電荷が明確で定量的な処理が可能であることから、タンパク質やペプチドのシステイン残基に正確にカチオンを導入してカチオン化し、可溶化することが可能となる。更に、おそらくこれらの利点に関連して、水以外の生理食塩水のような変性状態のタンパク質や疎水性の高いペプチド等の可溶化が困難な条件下でも可溶化させることができるうえ、細胞や組織の、核酸不含の変性状態の全タンパク質やペプチドを、生理食塩水中で可溶化、精製、回収することができる。つまり、必要に応じて、試験管内又は細胞内でリフォールディングし、目的のタンパク質又はペプチドを単離、精製することができる。そのため、生化学の研究、医療、その他、応用範囲は広いと考えられる。例えば、脊髄等の組織への投与、癌細胞又は癌組織と樹状細胞を用いる癌の免疫療法等において、より効率よく目的の樹状細胞を調製し、治療効果の向上に寄与することができると考えられる。特に癌の免疫治療においては、癌抗原タンパク質を効率的に可溶化することが望ましいが、従来の凍結融解法ではその全てを可溶化することは容易ではない。例えば、マウスメラノーマ細胞を凍結融解法で処理した場合、をモデルとして実施した例では、癌抗原タンパク質であるgp100の約50%が凍結融解後に不溶性となることが確認されている(
図9参照)。この課題に対し、本発明により開発した可溶化技術を活用すれば、細胞内の総タンパク質の可溶化が可能で、実際にがん抗原となり得るEGF受容体、TRP2及びgp100の各タンパク質を、定量的に、生理食塩水中に可溶化できることが確認されている(
図8参照)。
なお、本発明のタンパク質及び/又はペプチドの可逆的カチオン化剤は、本発明のチオスルホナート化合物を含む限り、更に該チオスルホナート化合物以外の他の成分を1種又は2種以上含んでもよく、含まなくてもよい。
【0021】
ここで、本発明においてタンパク質及び/又はペプチドを可逆的にカチオン化するとは、可逆的な結合を介して正電荷を導入することを意味し、例えば、タンパク質及び/又はペプチドが有するメルカプト基をジスルフィド化して正電荷を導入する形態が挙げられる。
【0022】
また本発明において、タンパク質及び/又はペプチドとは、2個以上のアミノ酸がペプチド結合により結合して生じる化合物を意味し、例えば、糖鎖、脂質、リン酸基等が結合した複合タンパク質及び/又はペプチドであってもよい。このようなタンパク質及び/又はペプチドとしては、例えば、ペプチド、酵素、抗体、その他機能性(薬理作用等の生理活性)を有し、医薬・薬物として有用なタンパク質及び/又はペプチド等を用いることができ、その分子量としては、100〜1000000であることが好ましい。
【0023】
上記可逆的カチオン化剤は任意の態様のタンパク質及び/又はペプチドの可溶化に用いることができるが、変性状態のタンパク質及び/又はペプチドの可溶化に用いることが好適である。すなわち、上記可逆的カチオン化剤が可逆的にカチオン化しようとするタンパク質及び/又はペプチドが、変性状態のタンパク質及び/又はペプチド(変性タンパク質及び/又は変性ペプチド)であることが好ましい。これによって、上述した効果の発現をより確認することができる。
【0024】
上記変性状態としては、タンパク質及び/又はペプチド分子がほぼ生理的条件下で示す、天然状態(ネイティブ状態)に相当する固有の立体構造が、共有結合の切断を伴わずに失われた状態が挙げられる。このような状態のタンパク質及び/又はペプチドとしては、例えば、ネイティブ状態のものの取得が困難なタンパク質及び/又はペプチド;細胞内に導入するためにタンパク質及び/又はペプチドをカチオン化する過程で変性・沈殿を生じてしまうタンパク質及び/又はペプチド;大腸菌等によりインクルージョンボディとして発現されたタンパク質及び/又はペプチド等が挙げられる。中でも、メルカプト基を有するものであることが好ましく、システイン残基を有するものが好適である。
【0025】
<タンパク質及び/又はペプチドの可溶化方法>
本発明のタンパク質及び/又はペプチドの可溶化方法では、上記タンパク質及び/又はペプチドの可逆的カチオン化剤を用いることになる。上記可溶化方法は特に、変性状態のタンパク質及び/又はペプチドを可溶化する方法であることが好適である。すなわち、上記可溶化方法が可溶化しようとするタンパク質及び/又はペプチドが、変性状態のタンパク質及び/又はペプチド(変性タンパク質及び/又は変性ペプチド)であることが好ましい。これによって、上述した効果の発現をより確認することができる。なお、変性剤として、例えば、尿素、塩酸グアニジンを用いることができる。
【0026】
上記可溶化方法では、可溶化しようとするタンパク質及び/又はペプチド(目的とするタンパク質及び/又はペプチド)と、上記可逆的カチオン化剤とを反応させることが好適である。この可逆的カチオン化反応における可逆的カチオン化剤の使用量としては、目的とするタンパク質及び/又はペプチドが有するメルカプト基のモル濃度に対して、可逆的カチオン化剤が1〜100倍のモル濃度となるように設定することが好ましい。より好ましくは、1.1〜2倍である。
【0027】
上記可溶化方法において、可逆的カチオン化反応を変性剤及び還元剤の存在下で行うこと、又は、該可逆的カチオン化反応の後に還元剤を反応させることも好ましい。還元剤としては、例えば、DTT(ジチオトレイトール)、β−メルカプトエタノールを用いることが好適である。ただし、還元剤存在下で上記可逆的カチオン化反応を行う場合は、反応液中に含まれる還元剤とタンパク質及び/又はペプチドが有するメルカプト基の総モル濃度を考慮して、可逆的カチオン化剤を1.1〜2倍量添加して反応させることが好ましい。また、可逆的カチオン化反応を行う際の温度としては、5〜40℃とすることが好適である。より好ましくは25℃である。
【0028】
上記可溶化方法ではまた、上記可逆的カチオン化反応後に、透析やカラムクロマトグラフィー等の常法により可逆的にカチオン化したタンパク質及び/又はペプチドを精製することができる。精製は、酸性条件下で行うことが好ましい。酸性条件下で透析を行うことにより、ジスルフィド結合は充分に安定化され、得られる可逆的カチオン化タンパク質及び/又はペプチドの溶解性・収率が向上するため、例えば可逆的カチオン化タンパク質及び/又はペプチドを細胞内に導入する場合に、細胞内での活性化が容易に行える。また大腸菌により発現させたタンパク質及び/又はペプチドを用いる場合は、大腸菌由来の夾雑物(核酸、糖、脂質)が酸性条件下で不溶化しやすく、その後の精製を更に容易に行うことが可能となる。より好ましくはpH6以下の条件下で精製することである。
【0029】
また、生体組織や培養細胞に由来する総タンパク質を材料として可溶化する場合は、Trizol試薬(Invitrogen社製、フェノール/グアニジンイソチオシアナート)等を活用して、予め核酸を除去した総タンパク質を材料とすることが望ましく、その可溶化手順は上記可逆的変性カチオン化法に準ずる。これらの可逆的変性カチオン化タンパク質の溶媒は純水が好ましいが、生理的な塩溶液に置換する必要がある場合は、透析手順や精製方法を工夫することで高い溶解性を維持することができる。例えば、純水中に溶解した可逆的変性カチオン化タンパク質の溶媒に生理的な濃度の塩を添加して沈殿を生じた場合は、これを再び尿素、グアニジン塩酸塩等の変性剤に溶解し、置換したい生理的な塩溶液対して透析することにより、目的の塩溶液に対する溶解度を向上させることができる。また、逆相HPLC等を用いて高純度に精製することにより、溶解性を向上させることもできる。
【0030】
このように、本発明のカチオン化剤を用いれば、複数のタンパク質の可溶化、精製等に用いられるプロトコル(例えば、透析、HPLC等)を組み合わせてなる多段階プロトコルを適用することにより、種々の塩溶液中でタンパク質等を可溶化することが可能になる。そのようなプロトコルや条件は当業者に既知である。また、プロトコルの数や組み合わせは特に限定されない。
【0031】
本発明の可溶化方法においては、可溶化の途中で又は可溶化終了後に、生成物を凍結乾燥等により濃縮してもよい。凍結乾燥した場合、得られた生成物はそのまま、再構成可能な状態で安定的に保存することが可能である。凍結乾燥品は、必要に応じて適当な溶媒で再構成して使用するか、さらに精製することができる。本発明の可溶化剤を使用すると、凍結乾燥による品質の低下がほとんど無いことが確認されている(データ示さず)。
【0032】
上記可溶化方法では更に、必要に応じて、可逆的にカチオン化されたタンパク質及び/又はペプチドから上記可逆的カチオン化剤を解離してもよい。可逆的カチオン化剤の解離は、触媒の存在下、SH/SS交換反応を利用して行うこともできるし、また、細胞質内の還元的な環境等では自発的に解離することもある。
【0033】
例えば、タンパク質及び/又はペプチドとして卵白リゾチームを用いる場合は、酸化型グルタチオン:還元型グルタチオン=1:4(モル量比)で混合した溶媒中で、SH/SS交換反応を行うことが好ましいが、このSH/SS交換反応の過程で可逆的カチオン化剤は解離することになる。活性構造の卵白リゾチームは1分子内に4組のSS結合が存在し、正しい組み合わせに巻き戻す必要があるが、活性構造の卵白リゾチームは自由エネルギーが最も低い(=安定な)構造になるため、最終的に可逆的カチオン化剤が解離して正しい4組のSS結合を形成した分子が生理活性を発現することになる。なお、後述する実験例1での「巻き戻し率」は、リゾチームが示す溶菌活性(酵素活性)で評価している。
【0034】
上記のように、本発明は、培養細胞及び/又は生体組織から抽出した変性状態の総タンパク質の混合物を生理的な塩溶液中に可溶化する方法を提供する。このような可溶化方法においては、上記一般式(1)で表される基を有するチオスルホナート化合物を含むタンパク質及び/又はペプチドの可逆的カチオン化剤を用いることが好ましい。
すなわち、培養細胞及び/又は生体組織から抽出した変性状態の総タンパク質の混合物を生理的な塩溶液中に可溶化する方法であって、該可溶化方法は、上記タンパク質及び/又はペプチドの可逆的カチオン化剤を用いる可溶化方法もまた、本発明の1つである。
上記チオスルホナート化合物は、一般式(1)中のR
2がメチル基であるチオスルホナート化合物であることが好ましい。また、上記可溶化方法は、必要に応じて1又は2以上の上記精製プロトコルを組み合わせて用いることが好適である。