(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行方向に沿って走行する走行台車と、前記走行台車における前記走行方向一方側の端部に立設された支柱に沿って昇降する昇降台と、前記支柱の前記走行方向一方側に位置して作業者が昇り降り可能な昇降具とを備えて構成されたスタッカークレーンが設けられ、
物品を搬送するときに前記スタッカークレーンが走行する搬送用範囲と、当該搬送用範囲を含み且つ前記搬送用範囲より前記走行方向の両側に延びるスタッカークレーンが走行可能な走行用範囲とが設定されている物品搬送設備であって、
前記昇降具が、作業者が昇り降りする上下方向に沿って設けられた梯子と、その梯子を昇り降りする作業者の乗降経路の前記走行方向の一方側及び前記走行方向と交差する横幅方向の両側を覆う落下防止用の落下防止体とを備えて構成され、
前記走行用範囲が、前記スタッカークレーンが前記走行用範囲の前記走行方向一方側の端部に位置する状態において、前記支柱とその支柱より前記走行方向一方側に設置された設置物との間に干渉防止用の間隔が形成されるように設定され、
前記昇降具が、前記支柱から前記昇降具の前記走行方向一方側の端部までの幅を前記干渉防止用の間隔より広くした幅広状態と、前記支柱から前記昇降具の前記走行方向一方側端部までの幅を前記干渉防止用の隙間より狭くした幅狭状態とに切り換え可能に構成されている物品搬送設備。
前記落下防止体を支持する支持手段が、前記落下防止体が前記離間位置から前記走行方向一方側に移動することを規制する規制部材と、前記落下防止体の前記離間位置から前記走行方向他方側となる近接位置側への移動を許容する状態で前記落下防止体を離間位置に保持する保持部材とを備えて構成されている請求項2記載の物品搬送設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように従来では、昇降具を、作業者が昇り降りする梯子にて構成されているが、その昇降具に、梯子を昇り降りする作業者の乗降経路の走行方向一方側及び横幅方向の両側を覆う落下防止用の落下防止体を備えて、梯子を昇り降りする作業者が落下することを防止することが考えられる。
しかし、昇降具に上記のような落下防止体を備えると、支柱から昇降具の走行方向一方側の端部までの幅が大きくなるため、スタッカークレーンが走行用範囲の走行方向一方側の端部まで走行しても昇降具が設置物に接触しないように、干渉防止用の隙間を、落下防止体を備えた昇降具の支柱から走行方向一方側の端部までの幅より大きくする必要がある。
ちなみに、干渉防止用の隙間を大きくすると、設置物を走行用範囲から大きく離して設置する必要があるために物品搬送設備が走行方向に大型化するという不都合や、走行用範囲を設置物近くまで設定することができないために走行用範囲が走行方向に狭くなるため結果として搬送用範囲が狭くなるといった不都合が生じる。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、昇降具に落下防止体を備えながらも干渉防止用の隙間を小さくできる物品搬送設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる物品搬送設備は、走行方向に沿って走行する走行台車と、前記走行台車における前記走行方向一方側の端部に立設された支柱に沿って昇降する昇降台と、前記支柱の前記走行方向一方側に位置して作業者が昇り降り可能な昇降具とを備えて構成されたスタッカークレーンが設けられ、物品を搬送するときに前記スタッカークレーンが走行する搬送用範囲と、当該搬送用範囲を含み且つ前記搬送用範囲より前記走行方向の両側に延びるスタッカークレーンが走行可能な走行用範囲とが設定されているものであって、その第1特徴構成は、
前記昇降具が、作業者が昇り降りする上下方向に沿って設けられた梯子と、その梯子を昇り降りする作業者の乗降経路の前記走行方向の一方側及び前記走行方向と交差する横幅方向の両側を覆う落下防止用の落下防止体とを備えて構成され、前記走行用範囲が、前記スタッカークレーンが前記走行用範囲の前記走行方向一方側の端部に位置する状態において、前記支柱とその支柱より前記走行方向一方側に設置された設置物との間に干渉防止用の間隔が形成されるように設定され、前記昇降具が、前記支柱から
前記昇降具の前記走行方向一方側の端部までの幅を前記干渉防止用の間隔より広くした幅広状態と、前記支柱から
前記昇降具の前記走行方向一方側端部までの幅を前記干渉
防止用の隙間より狭くした幅狭状態とに切り換え可能に構成されている点にある。
【0007】
すなわち、昇降具が、作業者が昇り降りする梯子に加えて、その梯子を昇り降りする乗降経路を覆う落下防止用の落下防止体を備えて構成されているため、この落下防止体で作業者を受け止めることで昇降具から作業者が転落することを防止できる。
【0008】
そして、このように落下防止体が備えられた昇降具は、支柱から走行方向一方側の端部までの幅を干渉防止用の間隔より広くした幅広状態と、支柱から走行方向一方側端部までの幅を干渉回避用の隙間より狭くした幅狭状態とに切り換え可能に構成されている。つまり、昇降具を幅狭状態に切り換えておくことで、スタッカークレーンを走行用範囲の走行方向一方側の端部まで走行したとしても、昇降具が設置物に接触することを回避することができる。
【0009】
また、干渉防止用の隙間は、昇降具を幅狭状態に切り換えられた状態における支柱から昇降具の走行方向一方側の端部までの幅より大きければよく、干渉防止用の隙間を幅広状態に切り換えられた昇降具の支柱から走行方向一方側の端部までの幅より大きくする場合に比べて、干渉防止用の隙間を小さくできる。
【0010】
従って、昇降具に落下防止体を備えながらも干渉防止用の隙間を小さくできる物品搬送設備を提供することができるに至った。
【0011】
本発明にかかる物品搬送設備の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記梯子が、前記支柱に固定状態で連結支持され、前記落下防止体が、前記走行方向一方側に移動させて前記梯子から離間させた離間位置と、前記走行方向他方側に移動させて前記梯子に近接させた近接位置とに移動可能に構成され、前記昇降具が、前記落下防止体を前記離間位置に移動させることで前記幅広状態に切り換えられ、前記落下防止体を前記近接位置に移動させることで前記幅狭状態に切り換えられるように構成されている点にある。
【0012】
すなわち、梯子が支柱に固定状態で連結支持されているため、作業者が梯子を昇り降りするときに梯子ががたつき難く、作業者が上り下りし易いものとなる。また、落下防止体を離間位置と近接位置に移動させることで、梯子を動かすことなく昇降具を幅広状態と幅狭状態に切り換えることができるため、落下防止体と梯子とを一体的に移動させて昇降具を切り換えるものに比べて、軽い力で昇降具を幅広状態と幅狭状態とに切り換えることができる。
【0013】
本発明にかかる物品搬送設備の第3特徴構成は、第2特徴構成において、前記落下防止体を支持する支持手段が、前記落下防止体が前記離間位置から前記走行方向一方側に移動することを規制する規制部材と、前記落下防止体の前記離間位置から前記走行方向他方側となる近接位置側への移動を許容する状態で前記落下防止体を離間位置に保持する保持部材とを備えて構成されている点にある。
【0014】
すなわち、落下防止体は、規制部材と保持部材とで離間位置で保持されているため、作業者が昇降具を昇り降りしているときに落下防止体が不意に離間位置から移動することを防止することができる。
そして、昇降具が幅広状態に切り換えられた状態でスタッカークレーンが搬送用範囲からオーバーランして走行用範囲の走行方向一方側の端部まで走行したとしても、その端部に走行する手前で落下防止体に設置物が当接した後は、スタッカークレーンの走行方向一方側への移動によって落下防止体が走行方向他方側に押し操作されるため、落下防止体を近接位置に移動させることができる。よって、昇降具が幅広状態に切り換えられている状態でスタッカークレーンが走行用範囲の走行方向一方側の端部まで走行しても、昇降具が幅広状態から幅狭状態に切り換えられることで、昇降具の破損を防止することができる。
【0015】
本発明にかかる物品搬送設備の第4特徴構成は、第3特徴構成において、前記落下防止体が、前記支持手段にて前記梯子に連結されている点にある。
【0016】
すなわち、落下防止体は、支持手段にて梯子に連結されているため、その梯子より走行方向他方側に位置する支柱に落下防止体を連結する場合に比べて、落下防止体を走行方向にコンパクトに構成して、昇降具の軽量化を図ることができる。
【0017】
本発明にかかる物品搬送設備の第5特徴構成は、第3又は第4特徴構成において、前記保持部材が、近接位置に移動した前記落下防止体を前記近接位置に保持するように構成されている点にある。
【0018】
すなわち、落下防止体が近接位置に移動したときにその落下防止体を保持手段にて近接位置に保持することができるため、落下防止体が近接位置に移動した後に落下防止体が走行方向に移動することを防止できるため、スタッカークレーンが走行用範囲の走行方向一方側の端部から離れた場合でも、落下防止体の状態からスタッカークレーンが走行用範囲の走行方向一方側の端部まで走行したことを作業者が認識することができる。
【0019】
本発明にかかる物品搬送設備の第6特徴構成は、第1特徴構成において、前記梯子が、非使用時に位置させる収納位置とこの収納位置より下方の使用位置とに移動操作可能に構成され、前記昇降具が、前記梯子が前記使用位置に移動操作されるに伴って前記落下防止体が前記梯子から離間して前記幅広状態に切り換えられ、且つ、前記梯子が前記収納位置に移動操作されるに伴って前記落下防止体が前記梯子に近接して前記幅狭状態に切り換えられるべく、前記梯子と前記落下防止体とを連動連結する連動手段を備えて構成されている点にある。
【0020】
すなわち、梯子を下方の使用位置に移動操作することで、落下防止体が離間位置に移動して昇降具が幅広状態に切り換えられ、梯子を上方の収納位置に移動操作することで、落下防止体が近接位置に移動して昇降具が幅狭状態に切り換えられる。
よって、作業者が梯子を昇り降りするときには、梯子を使用位置に移動操作することにより落下防止体が梯子から離間して作業者の乗降経路が形成されるため、作業者は梯子を昇り降りし易くなり、作業者が梯子を昇り降りしないときには、梯子を格納状態に移動操作することにより落下防止体が梯子に近接して昇降具が幅狭状態に切り換えられるため、スタッカークレーンが走行用範囲の走行方向一方側の端部まで走行したときに昇降具が設置物に接触することを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
次に、本発明の物品搬送設備の第1実施形態について図面に基づいて説明する。
図1及び
図2に示すように、物品搬送設備には、物品収納用の収納部を棚横幅方向及び上下方向に並べて備えた収納棚1と、収納棚1の前方側を収納棚1の横幅方向に延びる走行経路に沿って走行するスタッカークレーン2と、スタッカークレーン2の走行経路に対して収納棚1が存在する側とは反対側に配設された荷受台3とが設けられている。
以下、スタッカークレーン2の走行方向一方側を前方側(
図2における下側)、スタッカークレーン2の走行方向他方側を後方側(
図2における上側)と称し、走行方向と直交する水平方向を横幅方向と称して説明する。
【0023】
収納棚1及びスタッカークレーン2は、建屋の1階の床面上に設置されており、建屋における収納棚1及びスタッカークレーン2が設置される箇所は、1階から3階まで吹き抜けとなっている。また、収納棚1及びスタッカークレーン2は、1階の床面上に立設された周壁4の内側に設けられている。荷受台3は、建屋の1階、2階及び3階の夫々の床面上設置されており、周壁4の外側に設けられている。
【0024】
スタッカークレーン2には、1F床面上に設置された走行レール6上を走行方向に沿って走行する走行台車7と、走行台車7における走行方向の両側端部の夫々に立設された一対の支柱8に沿って昇降する昇降台9と、昇降台9に支持されて自己と収納棚1及び荷受台3との間で物品を移載する移載装置10とが備えられている。そして、スタッカークレーン2は、走行台車7の走行、昇降台9の昇降及び移載装置10の作動により、収納棚1と各階に設置された荷受台3との間で物品を搬送するように構成されている。
【0025】
物品搬送設備には、スタッカークレーン2の作動を制御する制御手段(図示せず)が設けられており、この制御手段は、収納棚1と各階の荷受台3との間で物品を搬送するべくスタッカークレーン2の作動を制御する搬送処理を実行するように構成されている。そして、このように制御手段にて搬送処理が実行されてスタッカークレーン2が走行する範囲が、物品を搬送するときにスタッカークレーン2が走行する搬送用範囲Aとして設定されている。
【0026】
また、走行レール6の両端部に対応する箇所の夫々には、スタッカークレーン2の走行台車7に当接してスタッカークレーン2が走行用範囲Bからオーバーランすることを規制する一対のストッパ11が設けられており、誤動作等によりスタッカークレーン2が搬送用範囲Aからオーバーランした場合でも、走行用範囲Bからオーバーランすることをストッパ11により規制して、スタッカークレーン2が周壁4に衝突しないように構成されている。そして、一対のストッパ11の間のスタッカークレーン2が物理的に走行可能な範囲が、搬送用範囲Aを含み且つ搬送用範囲Aより走行方向の両側に延びるスタッカークレーン2が走行可能な走行用範囲Bとして設定されている。
【0027】
走行用範囲Bは、
図4に示すようにスタッカークレーン2が走行用範囲Bの前方側端部に位置する状態において、一対の支柱8における前方側の支柱8aとその前方側の支柱8aより前方側に設置された周壁4の前壁部分4aとの間に干渉防止用の間隔Cが形成されるように設定されている。尚、周壁4が設置物に相当し、周壁4における前壁部分4aからは階間にある梁4bが後方側に張り出しており、この梁4bと前方側の支柱8aとの間に干渉防止用の間隔Cが形成されている。また、搬送用範囲Aは、
図3に示すようにスタッカークレーン2が搬送用範囲Aの前方側端部に位置する状態において、前方側の支柱8aと梁4bとの間に、干渉防止用の間隔Cより広い間隔Dが形成されている。
【0028】
図3及び
図4に示すように、スタッカークレーン2には、前方側の支柱8aを走行台車7における前方側の端部に立設された支柱8として、その前方側の支柱8aの走行方向一方側に位置して作業者が昇り降り可能な昇降具12が備えられている。
【0029】
図5に示すように、昇降具12は、作業者が昇り降りする上下方向に沿って設けられた梯子14と、その梯子14を昇り降りする作業者の乗降経路Sの前方側及び横幅方向の両側を覆う落下防止用の落下防止体15とを備えて構成されている。
そして、落下防止体15は、前方側に移動させて梯子14から離間させた離間位置(
図3及び
図6参照)と、後方側に移動させて梯子14に近接させた近接位置(
図4及び
図7参照)とに前後方向に移動可能に構成されており、昇降具12は、落下防止体15を離間位置に移動させることで支柱8から前方側の端部までの幅Eを干渉防止用の間隔Cより広く且つ間隔Dより狭くした幅広状態(
図3参照)に切り換えられ、落下防止体15を近接位置に移動させることで支柱8から前方側の端部までの幅Fを干渉防止用の間隔Cより狭くした幅狭状態(
図4参照)に切り換えられるように構成されている。
つまり、昇降具12は、落下防止体15を前後方向に移動させることにより、幅広状態と幅狭状態とに切り換え可能に構成されている。ちなみに、
図4では、落下防止体15を部分的に後方側に移動させて、昇降具12を部分的に幅狭状態に切り換えられている。
【0030】
また、
図5に示すように、昇降具12は、落下防止体15が離間位置に移動させて幅広状態に切り換えられた状態では、落下防止体15の内側に作業者の乗降経路Sが形成されて、作業者が昇り降り可能な状態となり、落下防止体15が近接位置に移動させて幅狭状態に切り換えられた状態では、落下防止体15が乗降経路Sに位置して、作業者が昇り降りすることを規制するようになっている。
【0031】
次に、昇降具12について説明を加える。
図5〜
図7に示すように、梯子14は、左右一対の縦枠14aを上下方向に複数並設される横枠14bにて連結して構成されている。そして、梯子連結部材17にて縦枠14aと支柱8とが連結されており、このように梯子14は、梯子連結部材17にて支柱8に固定状態で連結支持されている。尚、梯子14は、走行台車7の前方側端部より前方側に突出しない状態で設けられている。
【0032】
落下防止体15は、上下方向に複数並設される平面視U字状の背カゴ枠15aにて構成されている。そして、複数の背カゴ枠15aの夫々は、その後端部が防止体連結部材18にて梯子14の縦枠14aに連結されており、このように落下防止体15は、防止体連結部材18にて梯子14に連結されている。尚、防止体連結部材18が、落下防止体15を支持する支持手段に相当する。また、落下防止体15は、走行台車7の前方側端部より前方側に突出する状態で設けられている。
【0033】
複数の背カゴ枠15aの夫々は、前後方向にスライド移動可能に防止体連結部材18に連結支持されており、複数の背カゴ枠15aの一部又は全部を防止体連結部材18に対して前方側にスライド移動させることで落下防止体15が離間位置に移動し、複数の背カゴ枠15aの一部又は全部を防止体連結部材18に対して後方側にスライド移動させることで、落下防止体15が近接位置に移動するように構成されている。
また、防止体連結部材18には、落下防止体15が離間位置から前方側に移動することを規制する規制部材21と、落下防止体15を離間位置及び近接位置で保持する保持部材22とを備えて構成されている。
【0034】
次に、落下防止体15と防止体連結部材18との連結構造について説明を加える。
図8に示すように、背カゴ枠15aにおける前後方向に延びる部分の後端部及び防止体連結部材18の前端部の夫々は筒状に形成されており、その背カゴ枠15aの後端部が防止体連結部材18の前端部に嵌合されている。
【0035】
防止体連結部材18には、上方に突出する状態で且つ上下方向に移動不能な状態で規制部材21が取り付けられている。この規制部材21は、前面及び後面が鉛直面に形成されており、落下防止体15が離間位置や近接位置に位置している状態では、落下防止体15の上部に形成された被係合孔15bに位置している。そして、落下防止体15が離間位置に位置している状態では、規制部材21の後面が落下防止体15に当接することで落下防止体15が離間位置より前方側に移動することが規制され、落下防止体15が近接位置に位置している状態では、規制部材21の前面が落下防止体15に当接することで落下防止体15が近接位置より後方側に移動することが規制される。
【0036】
また、防止体連結部材18には、規制部材21が取り付けられた箇所より後方側に、上方に突出する状態で且つ上下方向に移動可能な状態で保持部材22が取り付けられている。この保持部材22は、前面が前方側ほど下方に位置する傾斜面に形成され且つ後面が鉛直面に形成されており、落下防止体15が離間位置に位置している状態では落下防止体15より後方側に位置し、また、落下防止体15が近接位置に位置している状態では、落下防止体15の被係合孔15bに位置している。そして、落下防止体15が離間位置に位置している状態では、保持部材22の前面が落下防止体15に当接することで落下防止体15が離間位置より後方側に移動しないように保持され、落下防止体15が近接位置に位置している状態では、保持部材22の後面が落下防止体15に当接することで落下防止体15が近接位置より前方側に移動しないように保持されている。
【0037】
保持部材22による保持について説明を加えると、
図8に示すように、落下防止体15が離間位置に位置している状態では、保持部材22の前面が落下防止体15に当接することで落下防止体15が離間位置より後方側に移動しないように保持されているが、落下防止体15が設定力以上の操作力で後方側に押し操作させることにより、落下防止体15が保持部材22を押し下げながら後方側に移動するように保持されている。そして、落下防止体15が近接位置に移動するに伴って、落下防止体15による保持部材22に対する押圧が解除されて図外の付勢手段の付勢力により保持部材22が被係合孔15bから上方に突出することで、落下防止体15が近接位置で保持されるように構成されている。
つまり、保持部材22は、落下防止体15が後方側に設定力以上の操作力で後方側に向けて押し操作されることで、落下防止体15の離間位置から後方側となる近接位置側への移動を許容する状態で、落下防止体15を離間位置で保持するように構成されている。
ちなみに、落下防止体15を近接位置から前方側に移動させるときは、作業者が保持部材22を押し下げた状態で落下防止体15を前方側に移動操作する。
【0038】
従って、
図3に示すように、昇降具12が幅広状態に切り換えられていても、その昇降具12の支柱8aから前方側の端部までの幅Eが間隔Dより狭いため、スタッカークレーン2が物品を搬送するべく搬送用範囲Aを走行したときに昇降具12が周壁4に当接することを回避することができる。
また、昇降具12が幅広状態に切り換えられていると、スタッカークレーン2が搬送用範囲Aから前方側にオーバーランして走行用範囲Bの前方側の端部まで走行した場合に昇降具12の一部が周壁4に当接するが、スタッカークレーン2が前方側に走行して離間位置に位置する落下防止体15に周壁4に当接して当該周壁4にて落下防止体15が設定力以上の操作力で後方側に向けて押し操作されることで、落下防止体15が離間位置から近接位置に部分的に移動して、
図4に示すように昇降具12が幅狭状態に切り換えられる。このようにスタッカークレーン2が前方側の端部に走行して落下防止体15が周壁4に接触しても、そのスタッカークレーン2の走行によって昇降具12が幅広状態から幅狭状態に切り換えられるため、昇降具12が周壁4に接触することにより破損することを回避できる。
ちなみに、
図4では、スタッカークレーン2の走行による押し操作が解除された後も慣性力によって背カゴ枠15aが後方側に移動して落下防止体15が部分的に近接位置に移動した状態を示したが、スタッカークレーン2の走行速度が遅い場合等では、スタッカークレーン2による押し操作が解除されるに伴って背カゴ枠15aがその場所に停止して落下防止体15が部分的に離間位置と近接位置との途中の位置で停止する場合もある。
【0039】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の物品搬送設備の第2実施形態について図面に基づいて説明する。
尚、第2実施形態は、昇降具12の構成が異なる以外は第1実施形態と同様に構成されているため、第1実施形態と同様の構成については同じ符号をつけて説明は省略し、主に第1実施形態と異なる構成を説明する。
【0040】
図9及び
図10に示すように、連結部材24にて背カゴ枠15aの前後中央部と前方側の支柱8aとが横幅方向に沿う軸心周りに揺動自在に連結されており、このように落下防止体15は、連結部材24にて前方側の支柱8aに横軸心周りに揺動自在に連結されている。
【0041】
複数の背カゴ枠15aの夫々は、横軸心周りに揺動することで、水平姿勢(
図10(a)参照)とこの水平姿勢から後方側端部が上方に移動し且つ前方側端部が下方に移動した傾斜姿勢(
図10(b)参照)とに姿勢変更されるように構成されており、背カゴ枠15aが水平姿勢に姿勢変更されることで落下防止体15の前端部が梯子14から離間するため、昇降具12が幅広状態に切り換えられ、背カゴ枠15aが傾斜姿勢に姿勢変更されることで落下防止体15の前端部が梯子14に近接するため、昇降具12が幅狭状態に切り換えられる。
【0042】
背カゴ枠15aの後方側端部に、梯子14が横幅方向に沿う軸心周りに揺動自在に連結されており、梯子14は、収納位置(
図10(b)参照)とこの収納位置より下方の使用位置(
図10(a)参照)とに上下方向に移動操作可能に構成されている。また、梯子14は、図外の弦巻バネ等の付勢部材にて収納位置に付勢されており、付勢部材の付勢力に抗して作業者の手動操作にて梯子14が引き下げられることにより梯子14が使用位置に移動操作され、また、作業者が梯子14から手を離すことで付勢部材の付勢力により収納位置に移動操作されるように構成されている。
【0043】
そして、梯子14が使用位置に移動操作されるに伴って落下防止体15が水平姿勢に姿勢変更されて、昇降具12が幅広状態に切り換えられ、梯子14が収納位置に移動操作されるに伴って落下防止体15が傾斜姿勢に姿勢変更されて、昇降具12が幅狭状態に切り換えられるべく、昇降具12には梯子14と落下防止体15とを連動連結する連動手段25を備えられている。この連動手段25は、梯子14と落下防止体15と連結部材24とで構成されている。
【0044】
また、詳細な説明は省略するが、昇降具12には、昇降具12が幅狭状態か否かを検出する検出手段として、梯子14を収納位置に移動させるに伴ってオン操作されるリミットスイッチが設けられており、制御手段は、リミットスイッチがオン操作されている状態では搬送処理を実行し、リミットスイッチがオン操作されていない状態では搬送処理を実行しないように構成されている。
【0045】
従って、
図10(a)に示すように、作業者が梯子14を使用位置に移動操作することで、落下防止体15が離間位置に移動して昇降具12が幅広状態に切り換えられ、また、このように梯子14を使用位置に移動操作された状態では搬送処理が実行されずにスタッカークレーン2が停止しているため、スタッカークレーン2が停止している状態で作業者は梯子14を昇り降りすることができる。
また、
図10(b)に示すように、付勢部材の付勢力により梯子14を収納位置に移動操作することで、落下防止体15が接近位置に移動して昇降具12が幅狭状態に切り換えられ、このように昇降具12が幅狭状態に切り換えられている状態で搬送処理が実行されるため、スタッカークレーン2が搬送用範囲Aから前方側にオーバーランして走行用範囲Bの前方側の端部まで走行した場合でも昇降具12が周壁4に当接することがないようにできる。
【0046】
〔別実施形態〕
(1) 上記第1実施形態では、複数の背カゴ枠15aの夫々を前後方向にスライド移動可能に構成して、落下防止体15を全体的に離間位置と近接位置とに移動可能にし、昇降具12を全体的に幅広状態と幅狭状態とに切り換え可能に構成したが、複数の背カゴ枠15aのうちの一部を前後方向にスライド移動可能に構成して、落下防止体15を部分的に離間位置と近接位置とに移動可能に構成し、昇降具12を部分的に幅広状態と幅狭状態とに切り換え可能に構成してもよい。
具体的には、例えば、複数の背カゴ枠15aのうちの設置物に当接する虞がある背カゴ枠15aを前後方向にスライド移動可能に防止体連結部材18に連結支持し、設置物に当接する虞のない背カゴ枠15aを前後方向にスライド移動不能に防止体連結部材18に連結支持してもよい。
【0047】
また、上記第1実施形態のように複数の背カゴ枠15aの夫々を前後方向にスライド移動可能に構成して、昇降具12の全体を前後方向の幅を幅広状態と幅狭状態とに切り換え可能に構成した場合、複数の背カゴ枠15aを複数本の連結杆にて連結して、複数の背カゴ枠15aが一体的に前後方向にスライド移動するように構成してもよい。
【0048】
(2) 上記第1実施形態では、支持部材に規制部材21と保持部材22とを備えて構成したが、落下防止体15に規制部材21と保持部材22とを備えて構成してもよい。つまり、落下防止体15に規制部材21と保持部材22とを備え、規制部材21が支持部材に当接することで落下防止体15が離間位置から走行方向一方側に移動することを規制し、保持部材22が支持部材に当接することで離間位置に保持するように構成してもよい。
【0049】
(3) 上記第1実施形態では、梯子14を、前方側の支柱8aに固定状態で連結支持し、落下防止体15を、離間位置と近接位置とに前後方向に移動可能に梯子14に連結支持して、梯子14と落下防止体15とのうちの落下防止体15のみを前後方向に移動させることで、昇降具12を幅広状態と幅狭状態とに切り換えるように構成したが、梯子14を、前方側の支柱8aに近接させた位置と前方側の支柱8aから離間させた位置とに前後方向に移動可能に前方側の支柱8aに連結支持し、落下防止体15を、梯子14に固定状態で連結支持して、梯子14と落下防止体15とを一体的に前後方向に移動させることで、昇降具12を幅広状態と幅狭状態とに切り換えるように構成してもよい。
【0050】
(4) 上記第1実施形態では、落下防止体15を防止体連結部材18にて梯子14に連結したが、落下防止体15を防止体連結部材18にて前方側の支柱8aに連結してもよい。
【0051】
(5) 上記第1実施形態では、保持部材22を、近接位置に移動した落下防止体15を近接位置に保持するように構成したが、保持部材22を、近接位置に移動した落下防止体15を近接位置に保持しないように構成してもよい。具体的には、例えば、保持部材22として、落下防止体15を前方側に付勢する圧縮スプリングを設けて、圧縮スプリングの付勢力に抗して設置物にて落下防止体15が押し操作されることで落下防止体15が離間位置から近接位置側に移動し、設置物による押し操作が解除されるに伴って圧縮スプリングの付勢力により落下防止体15が離間位置に復帰するように構成してもよい。