(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラックアンドピニオン機構を用いて装飾体を移動させる場合、移動させる装飾体の重さによって、ラックおよびピニオンに負荷がかかる。その結果、装飾体が意図しない角度に傾く不具合、演出の実行中に装飾体がラックを中心にして揺動する不具合、ラックアンドピニオン機構の変形および破損等が生じるという問題点があった。
【0005】
本発明は、装飾体の重さによる負荷の影響を低減させて、ラックアンドピニオン機構を用いた演出動作をスムーズに実行することができる演出装置、および当該演出装置を備えた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様に係る演出装置は、正逆回転可能なモータを備え、前記モータの動力で装飾体を原点位置から移動させることで演出を行う演出装置であって、前記モータの動力によって軸回りに回転する第一ピニオンと、前記装飾体に設けられ、前記第一ピニオンの回転軸に対して垂直な
上下方向に延び、前記第一ピニオンに噛み合う歯部を有する第一ラックと、
前記第一ピニオンに噛み合う歯部を有し、前記第一ピニオンのうち前記第一ラックが噛み合う側の反対側に噛み合う上昇補助ラックと、前記第一ピニオンの回転軸上において前記第一ピニオンから直線状に延び、前記第一ピニオンと共に回転する連結軸と、前記連結軸の前記第一ピニオンから離間した位置に固定され、前記モータの動力によって前記第一ピニオンと共に回転する第二ピニオンと、前記装飾体に設けられ、前記第一ラックと平行な方向に延び、前記第二ピニオンに噛み合う歯部を有する第二ラックとを備えている。
【0007】
第一の態様に係る演出装置では、2つのラックが平行に装飾体に設けられている。第一ラックに噛み合う第一ピニオンと、第二ラックに噛み合う第二ピニオンとは、連結軸によって連結されている。モータが駆動して第一ピニオンおよび第二ピニオンが回転すると、第一ラックおよび第二ラックが同一方向に同一距離移動する。これにより、当該演出装置は、装飾体の重さによる負荷を第一ラックおよび第二ラックに分散させることができる。その結果、装飾体の傾き、移動中の装飾体の揺動、ラックアンドピニオン機構の変形および破損等の不具合が生じる可能性を低下させることができる。よって、当該演出装置は、1つのモータのみを用いた簡易な構成で、スムーズな演出を実行することができる。
また、装飾体を重力に反して上方に移動させる場合に、上昇補助ラックが第一ピニオンの回転を補助する。従って、演出装置は、モータに掛かる負荷を低下させてスムーズに装飾体を移動させることができる。
前記装飾体の原点位置は、前記演出装置が装着される遊技機のうち、画像を表示する表示手段よりも上方に位置してもよい。前記モータは、前記表示手段よりも左方または右方に配置されてもよい。この場合、モータを表示手段よりも左方または右方に配置することで、遊技機の中央部のスペースを有効に活用することができ、且つ1つのモータでスムーズに装飾体を移動させることができる。
【0008】
前記演出装置は、前記装飾体が前記原点位置にある状態で前記装飾体の一部に接触する接触部と、前記接触部および前記装飾体の一部の一方に設けられた第一磁石と、前記接触部および前記装飾体の一部のうちの他方に設けられ、前記第一磁石に吸着する第二磁石または磁性体とをさらに備えてもよい。この場合、演出が行われていない場合の装飾体の待機位置である原点位置に装飾体が移動すると、装飾体の一部が磁力によって接触部に吸着され、装飾体が原点位置で保持される。従って、演出装置は、演出が行われていない場合に装飾体が原点位置から離間する可能性を低下させることができる。よって、例えば遊技者が遊技機に衝撃を加えた場合でも、演出装置は装飾体を原点位置で強固に保持することができる。
【0009】
前記演出装置は、前記第一ラックおよび前記第二ラックの少なくとも一部から、前記第一ラックおよび前記第二ラックの伸張方向に交差する方向に突出する爪部をさらに備えてもよい。前記爪部は、前記装飾体が移動範囲の終点位置へ移動した場合に、前記第一ラックおよび前記第二ラックの少なくとも一方の往復移動を案内する案内部に接触することで、前記第一ラックと前記第一ピニオンとの噛み合い、および前記第二ラックと前記第二ピニオンとの噛み合いが外れることを防止してもよい。この場合、演出装置は、2組のラックおよびピニオンの噛み合いが外れることを、爪部によって確実に防止することができる。よって、演出装置は、噛み合いが外れて演出を実行できなくことがなく、安定して演出を行うことができる。第一ラックおよび第二ラックの長さを、噛み合いが外れることを防止する目的で余分に長く形成する必要がないため、装置を小型化することもできる。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
前記演出装置は、前記装飾体が原点位置にあるか否かを検出する原点センサと、前記装飾体が移動範囲の終点位置にあるか否かを検出する終点センサと、前記装飾体に設けられ、前記装飾体が原点位置にある場合に前記原点センサの配設箇所に位置する第一被検出片と、前記装飾体のうち、前記第一被検出片から離間した位置に設けられ、前記装飾体が終点位置にある場合に前記終点センサの配設箇所に位置する第二被検出片とをさらに備えてもよい。この場合、原点センサと終点センサとが同一の被検出片を検出する場合とは異なり、原点センサおよび終点センサの配設位置の自由度を高めることができる。従って、配線等の他の部材の配設位置が制約されることがなく、スペースを有効に活用することができる。
【0014】
本発明の第二の態様に係る遊技機は、前記演出装置と、前記モータの回転を制御することで前記演出装置による演出の実行を制御する制御手段とを備えている。従って、当該遊技機は、前記演出装置と同様の作用効果を奏することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施の形態である演出装置20、および演出装置20を備えたパチンコ機1について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。パチンコ機1の上半分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は略正方形であり、透明なガラス板を保持したガラス枠3によって前面を保護されている。遊技盤2の下方部には、発射機に遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける上皿5が設けられている。上皿5の直下には、賞品球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。ガラス枠3の上部の左右の角にはスピーカ8がそれぞれ設けられている。
【0018】
遊技盤2の前面には、ガイドレール9で囲まれた略円形の遊技領域が形成されている。遊技領域の略中央には、LCDである表示装置10が設けられている。表示装置10の表示領域では、大当たり判定の結果を遊技者に報知するための報知演出、大当たり遊技中の演出等、様々な演出の映像が表示される。
【0019】
表示装置10の外縁を取り囲むように、各種演出を行う演出装置20(
図2等参照)が設けられている。演出装置20は、表示装置10およびスピーカ8等と連動して、報知演出等の様々な演出を実行する。表示装置10の下方には特別図柄始動電動役物12が配設されている。特別図柄始動電動役物12に遊技球が入賞することを契機として、大当たり判定が行われる。特別図柄始動電動役物12の下方には、大入賞口13が設けられている。大入賞口13には開閉部材が設けられており、この開閉部材がソレノイドによって開放されると、大入賞口13への遊技球の入賞が可能となる。大入賞口13の開閉部材は、大当たり判定によって当たりと判定されることで開放される。特別図柄始動電動役物12および大入賞口13に遊技球が入賞すると、所定数の遊技球が払い出される。さらに、遊技盤2には、上記以外に種々の入賞口、電飾ランプ、風車、および遊技釘等が設けられている。
【0020】
図示しないが、パチンコ機1の背面側には、各種基板を備えた制御部が設けられている。制御部の各基板はCPU、RAM、ROM等を備えており、パチンコ機1の各種動作を制御する。例えば、主基板は、大当たり判定、大入賞口13の開閉部材の開閉等を行い、パチンコ機1の主制御を司る。サブ制御基板は、主基板で行われた制御結果に基づいて、後述するステップモータ32(
図5および
図6参照)の動作等を制御し、演出装置20による演出を実行させる。
【0021】
以下、演出装置20について説明する。まず、
図2から
図4を参照して、演出装置20の概要について説明する。
図2および
図4の紙面左斜め手前側を、演出装置20の正面側とする。
図2および
図4の紙面右斜め奥側を、演出装置20の背面側とする。
図3の紙面手前側を演出装置20の正面側とし、
図3の紙面奥側を演出装置20の背面側とする。
【0022】
演出装置20は、正面視矩形の支持枠21によって支持されており、パチンコ機1の遊技盤2(
図1参照)に装着される。
図2に示すように、演出装置20の正面には、環状に形成された飾り枠22が装着される。飾り枠22は、遊技盤2の左部から中央へ遊技球を誘導する誘導路、特別図柄始動電動役物12(
図1参照)へ遊技球を誘導する誘導路等を備えている。よって、飾り枠22は、装飾によって遊技者を楽しませるだけでなく、遊技球に種々の動きを実現させて遊技者の興趣を惹き付けることができる。
【0023】
図3に示すように、演出装置20の中心には、正面視矩形の開口部23が形成されている。演出装置20は、表示装置10(
図1参照)の表示領域と開口部23とが一致するように、表示装置10の正面側に配置される。従って、遊技者は、開口部23を通じて正面側から表示装置10を視認することができる。演出装置20は、主に表示装置10の表示領域の周囲で各種演出を実行する。詳細には、演出装置20は、
図4に示すように、砲撃部24、手榴弾回転部26、および装飾体可動部30を表示領域の周囲に備える。
【0024】
砲撃部24は、表示領域の左下の角に位置する。砲撃部24は、バズーカの先端を模した振動体25を備えており、内部に設けられたソレノイド(図示せず)によって振動体25を振動させる。演出装置20の動作を制御するパチンコ機1の制御部は、振動体25を振動させると共に、表示装置10の表示領域の左下から右上へ向けて砲弾を表示させる。その結果、パチンコ機1は、表示装置10のみを用いて砲弾を表示する場合に比べて強い印象を遊技者に与えることができる。
【0025】
手榴弾回転部26は、表示領域の右側に位置する。手榴弾回転部26は、手榴弾の形状を成す回転体27を備えており、内部に設けられたモータ(図示せず)によって回転体27を回転させる。回転体27の背面には、正面の装飾とは異なる装飾が施されており、回転体27を回転させることで種々の演出を実行することができる。
【0026】
装飾体可動部30は、その全体が中枠38によって保持される。中枠38が支持枠21の左上に装着されることで、装飾体可動部30は、表示領域の左側および上側を覆うように配置される(
図2および
図3参照)。装飾体可動部30は、爆撃機の形状を模した装飾体31を備えている。装飾体可動部30は、後述するステップモータ32(
図5および
図6参照)を駆動させることで、装飾体31を上下に移動させる演出を行うことができる。詳細には、演出を実行していない場合の装飾体31の待機位置である原点位置は、
図1および
図2に示すように、表示装置10の表示領域よりも上方にある。よって、装飾体31が原点位置にある場合、遊技者は、開口部23を通じて表示装置10の表示領域の全てを視認することができる。演出を実行する場合、演出装置20はステップモータ32を駆動させて、装飾体31を原点位置から下方へ移動させる。これにより、装飾体31を表示領域の正面に位置させて表示領域を一時的に遮蔽し、遊技者に強い印象を与えることができる。
【0027】
図5および
図6を参照して、装飾体可動部30が装飾体31を上下動させるための構造について説明する。
図5および
図6に示すように、装飾体可動部30はステップモータ32を備える。ステップモータ32は、装飾体可動部30の左端部に配置されている。従って、演出装置20がパチンコ機1に装着された場合に、ステップモータ32は表示装置10(
図1参照)よりも左側に位置し、飾り枠22(
図2参照)等によって遮蔽される。パチンコ機1の中央部には表示装置10が配置されるため、中央部のスペースは限定されるが、ステップモータ32を表示装置10の左側に配置することで、パチンコ機1の中央部の部材を減らすことができる。さらに、演出装置20は、後述する2組のラックアンドピニオン機構を用いることで、ステップモータ32を端部に配置しつつ、パチンコ機1の中央部の装飾体31を円滑に上下動させることができる。
【0028】
ステップモータ32の出力軸は、ステップモータ32から右方へ延びており、出力軸にはギア33が固定される。ギア33には、第一ピニオン35が噛み合わされる。第一ピニオン35は、左右方向に延びる連結軸36の左端部に固定されており、連結軸36を中心として回転する。さらに、連結軸36の右端部には第二ピニオン37が固定されている。連結軸36は、装飾体可動部30を支持する中枠38(
図4参照)の一部によって回転可能に保持されている。ステップモータ32が回転すると、ステップモータ32の動力がギア33を介して第一ピニオン35に伝達され、第一ピニオン35が回転する。第一ピニオン35が回転すると、連結軸36も回転するため、第二ピニオン37も第一ピニオン35と同一角度回転する。なお、第一ピニオン35の径および歯部の形状と、第二ピニオン37の径および歯部の形状とは同一である。
【0029】
装飾体31は、本体41と、移動ガイド部42と、接続部43とを有する。本体41は、前述した爆撃機の形状をなす部分であり、正面側から視認できる状態でパチンコ機1の中央部に位置する。移動ガイド部42は、遊技者から視認されないように飾り枠22(
図2参照)の背面側に位置し、主に装飾体31の上下動を案内する。詳細には、移動ガイド部42は縦長の矩形に形成されており、上端部近傍および下端部近傍にガイド穴44を備える。
図5および
図6では、上端部近傍のガイド穴44のみ図示している。2つのガイド穴44には、上下方向に延びるガイド軸45が挿通される。ガイド軸45は、中枠38(
図4参照)に固定されている。移動ガイド部42がガイド軸45に沿って移動することで、装飾体31はスムーズに上下動することができる。接続部43は、本体41と移動ガイド部42とを接続する。
【0030】
また、移動ガイド部42の背面には第一ラック47が固定されている。第一ラック47は、第一ピニオン35の回転軸に対して垂直な方向である上下方向に延びる。第一ラック47の背面側の歯部は、第一ピニオン35に噛み合う。従って、第一ピニオン35が回転すると、移動ガイド部42は、ガイド軸45に沿って上下方向に移動する。
【0031】
また、装飾体可動部30は、正面視略円形の遮蔽板49を備える。遮蔽板49は、装飾体31の本体41の背面側において、中枠38(
図4参照)に固定される。第二ピニオン37等の機構は、遮蔽板49によって遮蔽される。さらに、本体41の背面には第二ラック50が固定されている。第二ラック50は、第一ラック47と平行に上下方向に延びており、第二ラック50の背面側の歯部は第二ピニオン37に噛み合う。前述した遮蔽板49の背面には、第二ラック50の上下動をガイドするためのガイドレール51が固定されている。従って、第二ピニオン37が回転すると、本体41は、ガイドレール51に沿って上下方向に移動する。
【0032】
従来のように、1組のラックアンドピニオン機構のみ(例えば、第一ピニオン35および第一ラック47のみ)を演出装置20に採用したと仮定すると、装飾体31は、移動ガイド部42およびその近傍の構造のみによって支持されることになる。すると、装飾体31の重量が、移動ガイド部42、ガイド軸45、第一ピニオン35、および第一ラック47等に集中する。その結果、装飾体31の傾き、装飾体31の揺動、ラックアンドピニオン機構の変形および破損等の不具合が生じる可能性がある。本実施の形態に係る演出装置20は、2組のラックアンドピニオン機構を用いることで、ステップモータ32を1つだけ用いる簡易な構成で、スムーズな演出を実行することができる。
【0033】
図5および
図6を参照して、装飾体31を原点位置で保持するための構造について説明する。
図6に示すように、装飾体可動部30は接触部53を備える。接触部53は、移動ガイド部42の鉛直上方において、中枠38(
図4参照)に固定される。接触部53の底面には磁石54が固定されている。また、装飾体31の一部である移動ガイド部42の上端部にも、磁石55が固定されている。演出装置20がステップモータ32を駆動し、装飾体31を原点位置(上下に延びる可動範囲の上端)に移動させると、
図5に示すように、装飾体31の移動ガイド部42の上端が、中枠38に固定された接触部53に接触する。その結果、接触部53の磁石54と移動ガイド部42の磁石55とが吸着し、装飾体31が原点位置で強固に保持される。
【0034】
図6を参照して、装飾体31の上昇を補助するための構造について説明する。装飾体可動部30は、引張りバネ56を備える。引張りバネ56は、装飾体31の一部である移動ガイド部42の下部と、移動ガイド部42よりも上方に位置する接触部53との間に介在し、移動ガイド部42を上方へ付勢する。従って、演出装置20が装飾体31を上昇させる場合に、装飾体31の上昇は引張りバネ56によって補助される。
【0035】
図7および
図8を参照して、第二ラック50と第二ピニオン37との離脱を防止するための構造について説明する。
図7に示すように、第二ラック50の上端部には、第二ラック50の伸張方向(上下方向)と垂直な方向である前方(
図7における左方)に突出する爪部60が形成されている。また、遮蔽板49に固定されたガイドレール51の下端には、後方へ向けて突出する当接部61が形成されている。
図7に示すように、装飾体31が原点位置にある状態では、爪部60と当接部61とは離間している。
図8に示すように、移動範囲の終点位置に装飾体31が移動すると、爪部60が当接部61に接触し、第二ラック50の下方への移動が制限される。従って、第一ラック47と第一ピニオン35との噛み合い、および第二ラック50と第二ピニオン37との噛み合いが外れることを、確実に防止することができる。
【0036】
図5、
図6、
図9、および
図10を参照して、装飾体31の位置を検出するための構造について説明する。
図9および
図10に示すように、装飾体可動部30を支持する中枠38の上部正面側には、光学センサである原点センサ63が固定されている。中枠38のうち、原点センサ63の固定位置の鉛直下方には、光学センサである終点センサ64が固定されている。また、
図5に示すように、装飾体31の移動ガイド部42の左側上部には、板状の第一被検出片66が形成されている。
図6に示すように、移動ガイド部42の左側下部には、第一被検出片66と同様の形状の第二被検出片67が形成されている。
【0037】
図5に示すように、装飾体31が原点位置にある場合には、第一被検出片66は原点センサ63の配設箇所に位置する。従って、原点センサ63は、第一被検出片66を検出しているか否かによって、装飾体31が原点位置にあるか否かを検出することができる。また、
図6に示すように、装飾体31が終点位置にある場合には、第二被検出片67は終点センサ64の配設箇所に位置する。従って、終点センサ64は、第二被検出片67を検出しているか否かによって、装飾体31が終点位置にあるか否かを検出することができる。
【0038】
図9および
図10に示すように、第一被検出片66と第二被検出片67とは、上下方向に離間した位置に設けられている。従って、原点センサ63と終点センサ64とが同一の被検出片を検出する場合とは異なり、原点センサ63および終点センサ64の配設位置の自由度を高めることができる。本実施の形態では、第一被検出片66よりも下方に第二被検出片67を設けることで、原点センサ63と終点センサ64との間の距離を長くしている。その結果、原点センサ63と終点センサ64との間のスペースが大きくなる。このスペースには、装飾体31の本体41内のLEDに電気的に接続するフレキシブル配線70が配置されている。
図9および
図10に示すように、装飾体31が移動すると、フレキシブル配線70の位置は変化する。しかし、原点センサ63と終点センサ64との間のスペースが広いため、フレキシブル配線70が装飾体31の上下動を阻害することはない。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態の演出装置20では、第一ラック47と第二ラック50とが平行に装飾体31に設けられている。第一ラック47に噛み合う第一ピニオン35と、第二ラック50に噛み合う第二ピニオン37とは、連結軸36によって連結されている。ステップモータ32が駆動して第一ピニオン35および第二ピニオン37が回転すると、第一ラック47および第二ラック50が同一方向に同一距離移動する。これにより、演出装置20は、装飾体31の重さによる負荷を第一ラック47および第二ラック50に分散させることができる。その結果、装飾体31の傾き、移動中の装飾体31の揺動、ラックアンドピニオン機構の変形および破損、ガイド穴44の変形および破損等の不具合が生じる可能性を低下させることができる。よって、演出装置20は、1つのステップモータ32のみを用いた簡易な構成で、スムーズな演出を実行することができる。
【0040】
装飾体31が原点位置に移動すると、装飾体31の移動ガイド部42と中枠38の接触部53とが接触する。移動ガイド部42の磁石55と接触部53の磁石54とが吸着し、装飾体31が原点位置で保持される。従って、演出装置20は、演出が行われていない場合に装飾体31が原点位置から離間する可能性を低下させることができる。よって、例えば遊技者が遊技機を叩いたり揺らしたりした場合でも、演出装置20は装飾体31を原点位置で強固に保持することができる。
【0041】
装飾体31が終点位置に移動すると、第二ラック50の爪部60が、ガイドレール51の当接部61に上方から接触する。従って、演出装置20は、2組のラックアンドピニオン機構の噛み合いが外れることを、爪部60によって確実に防止することができ、安定して演出を実行することができる。第一ラック47および第二ラック50の長さを、噛み合いが外れることを防止する目的で余分に長く形成する必要がないため、装置を小型化することもできる。
【0042】
装飾体31の移動方向は上下方向であり、ステップモータ32は表示装置10よりも左方に配置される。従って、表示装置10を配置する必要があるパチンコ機1の中央部のスペースを無駄にすることなく、1つのステップモータ32でスムーズに装飾体31を上下動させることができる。さらに、演出装置20は、装飾体31を重力に反して上昇させる場合に、引張りバネ56の牽引力によってステップモータ32にかかる負荷を低下させることができる。
【0043】
演出装置20では、原点センサ63によって検出される第一被検出片66と、終点センサ64によって検出される第二被検出片67とが、装飾体31のうち互いに離間した位置に設けられている。その結果、原点センサ63と終点センサ64とが同一の被検出片を検出する場合とは異なり、原点センサ63および終点センサ64の配設位置の自由度を高めることができる。従って、フレキシブル配線70等の他の部材の配設位置が制約されることがなく、スペースを有効に活用することができる。
【0044】
なお、本実施の形態におけるステップモータ32が本発明の「モータ」に相当する。磁石55が「第一磁石」に相当し、磁石54が「第二磁石」に相当する。ガイドレール51が本発明の「案内部」に相当する。表示装置10が本発明の「表示手段」に相当する。引張りバネ56を保持する接触部53が「バネ固定部」に相当する。パチンコ機1が「遊技機」に相当する。
【0045】
本発明は、以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。まず、
図11を参照して、上記実施の形態の変形例について説明する。変形例に係る演出装置120は、引張りバネ56(
図6参照)の代わりに上昇補助ラック121を用いて装飾体31の上昇を補助する点のみが、上記実施の形態の演出装置20とは異なる。よって、同一の構成については同一の番号を付し、説明を省略する。
【0046】
図11に示すように、変形例に係る演出装置120は、上昇補助ラック121を備えている。上昇補助ラック121は上下方向に延びており、中枠38(
図4参照)によって上下方向に移動可能に支持されている。上昇補助ラック121は、正面(
図11の右側の面)に歯部を有する。第一ピニオン35のうち、第一ラック47に噛み合う側の反対側が、上昇補助ラック121の歯部に噛み合う。上昇補助ラック121は所定の重さ(例えば、装飾体31と同じ重さ)を有するため、第一ピニオン35には、第一ラック47を上昇させる方向への力が加わる。従って、演出装置120は、ステップモータ32(
図5および
図6参照)にかかる負荷を、上昇補助ラック121によって低下させることができる。また、引張りバネ56を用いる場合とは異なり、第一ラック47の上昇を補助する力は、装飾体31の位置によって変化することがないため、装飾体31を安定した状態で上下動させることができる。
【0047】
上記実施の形態は、他の変更も可能である。例えば、上記実施の形態では、第一ラック47および第二ラック50は上下方向に延びており、装飾体31は上下方向に移動する。しかし、装飾体31の移動方向は上下方向に限られず、左右方向、前後方向、斜め方向であってもよい。また、上記実施の形態では、装飾体31の原点位置は移動範囲の上端である。しかし、移動範囲の下端、または上端および下端以外の位置を、装飾体31の原点位置としてもよい。
【0048】
上記実施の形態の演出装置20は、装飾体31の移動ガイド部42の上端、および中枠38の接触部53のそれぞれに磁石54,55を備えることで、装飾体31を原点位置で保持する。しかし、移動ガイド部42および接触部53のいずれか一方の磁石を鉄等の磁性体に変更しても、本発明は実現できる。移動ガイド部42自体、または接触部53自体を磁性体で形成した場合も同様である。また、磁石を設ける位置も変更可能であり、中枠38と装飾体31とが接触する位置であればよい。
【0049】
上記実施の形態では、ラックアンドピニオン機構の離脱を防止するための爪部60は正面側に向けて突出している。しかし、爪部60が突出する方向は、第一ラック47および第二ラック50の伸張方向に交差する方向であればよい。装飾体31が終点位置に達した際に爪部60に当接する部位は、ガイドレール51に限られない。例えば、爪部60に当接するための他の部材を、ガイドレール51以外の中枠38等に形成してもよい。また、上記実施の形態では、ステップモータ32の動力が、ギア33を介して第一ピニオン35および第二ピニオン37に伝達される。しかし、ステップモータ32の動力を伝達するための構造も変更できる。例えば、ステップモータ32の出力軸に第一ピニオン35を直接固定してもよい。