特許第5713259号(P5713259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5713259
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】管継手の止水構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 21/02 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
   F16L21/02 F
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-75368(P2011-75368)
(22)【出願日】2011年3月30日
(65)【公開番号】特開2012-154480(P2012-154480A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2014年1月20日
(31)【優先権主張番号】特願2011-1271(P2011-1271)
(32)【優先日】2011年1月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】590005771
【氏名又は名称】株式会社富田製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鐵住金建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089886
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 雅雄
(72)【発明者】
【氏名】林 昇
(72)【発明者】
【氏名】須田 久美子
(72)【発明者】
【氏名】三室 恵史
(72)【発明者】
【氏名】平 陽兵
(72)【発明者】
【氏名】富田 英雄
(72)【発明者】
【氏名】田附 正文
(72)【発明者】
【氏名】川端 規之
(72)【発明者】
【氏名】大高 範寛
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−286693(JP,A)
【文献】 実開平05−003789(JP,U)
【文献】 実開平04−133088(JP,U)
【文献】 特開昭61−096281(JP,A)
【文献】 特開平07−139669(JP,A)
【文献】 特開2005−172147(JP,A)
【文献】 特開2001−050444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 21/00−21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の管体端部に支持された外側継手部材内に他方の管体端部に支持された内側継手部材が挿入され、該内側継手部材の先端部を前記外側継手部材の内周面に固定された止水材に当接させて前記内外両継手部材間を止水するようにしてなる管継手の止水構造において、
前記外側継手部材は、該外側継手部材の内周部に支持されて内面側に立ち上げられた環状の止水材受け部を有する止水補助部材を備え、前記止水材を前記止水材受け部の内側継手部材の挿入方向手前側に配置し、前記両継手部材の嵌合時に、前記止水材が内側継手部材の先端部にて止水受け部材側に押し付けられるようにしたことを特徴としてなる管継手の止水構造。
【請求項2】
前記止水補助部材は、前記止水材受け部の内縁部より連結方向相手管側に向けて折り曲げた配置の筒状をした変形抑制部を有し、該変形抑制部が前記止水材の内側に配置されるようにした請求項1に記載の管継手の止水構造。
【請求項3】
前記止水補助部材は、前記止水材受け部の外縁部より連結方向相手管側に向けて折り曲げた配置の筒状をした外側管部を有し、該外側管部の内周面に前記止水材を固定させた請求項1又は2に記載の管継手の止水構造。
【請求項4】
前記止水材受け部は、円形断面が周方向に連続して環状を成すように形成された請求項1に記載の管継手の止水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にパイプルーフ工法用のパイプや杭又は水道管等に使用される鋼管を互いに連結する管継手の止水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の管継手においては、互いに連結される鋼管の一方の端部に支持された外側継手部材内に他方の鋼管の端部に支持された内側継手部材を挿入し、両継手部材を固定用ピン等の固定用部材により固定して鋼管の端部間を連結する構造のものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような管継手においては、例えば図12に示すように、外側継手部材100の内側面にリング状の止水材101を固定しておき、外側継手部材100内に挿入された内側継手部材102の先端部を止水材101に当接させて内外両継手部材間の止水を行う。尚、図中符号103は止水材固定用溝である(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−48583号公報
【特許文献2】実開昭59−152289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述の如き従来の技術では、水圧や内側継手部材による押圧に対抗するために外側継手部材の内周面に止水材101を固定する為の溝103を形成する必要があり、その加工費にコストが嵩むという問題がある。
【0006】
また、上述した従来の管継手は、外側継手部材100と内側継手部材102との間に止水材101を取り付ける構造であるため、両継手部材100,102の嵌合時に止水材101が噛んで嵌め込みにくく、場合によっては両継手部材の嵌合時に止水材101がずれてしまい、充分に止水機能を発揮しない虞があった。更に、鋼管の外側より止水材101に高い水圧が加わると、止水材が外側継手部材より剥がれてしまったり、想定外の変形をしてしまったりして止水効果に支障をきたす虞があるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題に鑑み、止水材の意図しない変形を抑制し、安定した止水効果が得られる管継手の止水構造の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、一方の管体端部に支持された外側継手部材内に他方の管体端部に支持された内側継手部材が挿入され、該内側継手部材の先端部を前記外側継手部材の内周面に固定された止水材に当接させて前記内外両継手部材間を止水するようにしてなる管継手の止水構造において、前記外側継手部材は、該外側継手部材の内周部に支持されて内面側に立ち上げられた環状の止水材受け部を有する止水補助部材を備え、前記止水材を前記止水材受け部の内側継手部材の挿入方向手前側に配置し、前記両継手部材の嵌合時に、前記止水材が内側継手部材の先端部にて止水受け部材側に押し付けられるようにしたことにある。
【0009】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1に記載の構成に加え、前記止水補助部材は、前記止水材受け部の内縁部より内側継手部材側に向けて折り曲げた配置の筒状をした変形抑制部を有し、該変形抑制部が前記止水材の内側に配置されるようにしたことにある。
【0010】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記止水補助部材は、前記止水材受け部の外縁部より連結方向相手管側に向けて折り曲げた配置の筒状をした外側管部を有し、該外側管部の内周面に前記止水材を固定させたことにある。
【0011】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記止水材受け部は、円形断面が周方向に連続して環状を成すように形成されたことにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る管継手の止水構造は、上述したように、一方の管体端部に支持された外側継手部材内に他方の管体端部に支持された内側継手部材が挿入され、該内側継手部材の先端部を前記外側継手部材の内周面に固定された止水材に当接させて前記内外両継手部材間を止水するようにしてなる管継手の止水構造において、前記外側継手部材は、該外側継手部材の内周部に支持されて内面側に立ち上げられた環状の止水材受け部を有する止水補助部材を備え、前記止水材を前記止水材受け部の内側継手部材の挿入方向手前側に配置し、前記両継手部材の嵌合時に、前記止水材が内側継手部材の先端部にて止水受け部材側に押し付けられるようにしたことにより、水圧及び内側継手部材の押圧による止水材の移動を抑制し、内側継手部材と止水材とが安定した接触状態を維持して好適な止水効果が得られる。また、止水材を固定するための溝が不要となり、その加工費が不要となる。
【0013】
また、本発明において、前記止水補助部材は、前記止水材受け部の内縁部より内側継手部材側に向けて折り曲げた配置の筒状をした変形抑制部を有し、該変形抑制部が前記止水材の内側に配置されるようにしたことにより、止水材の意図しない移動及び変形を好適に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る管継手の止水構造を用いた管継手の第一実施例を示す側面図である。
図2】同上の縦断面図である。
図3】同上の横断面図である。
図4図2中の外側継手部材の止水構造部分を示す部分拡大断面図である。
図5】同上の外側継手部材内に内側継手部材を嵌合させた状態を示す部分拡大断面図である。
図6】本発明に係る管継手の第二実施例の外側継手部材の止水構造部分を示す部分拡大断面図である。
図7】同上の外側継手部材内に内側継手部材を嵌合させた状態を示す部分拡大断面図である。
図8】本発明に係る管継手の第三実施例の外側継手部材の止水構造部分を示す部分拡大断面図である。
図9】同上の外側継手部材内に内側継手部材を嵌合させた状態を示す部分拡大断面図である。
図10】本発明に係る管継手の第四実施例の外側継手部材の止水構造部分を示す部分拡大断面図である。
図11】同上の外側継手部材内に内側継手部材を嵌合させた状態を示す部分拡大断面図である。
図12】従来の管継手の止水構造部分の一例を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る管継手の止水構造の実施の態様を図面に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1は鋼管である。
【0016】
各鋼管1,1は、円筒状に形成され、連続する鋼管1,1の互いに対向する端部間を管継手2により連結されている。
【0017】
管継手2は、図2,3に示すように、一方の鋼管1の端部に支持された外側継手部材3と、他方の鋼管の端部に支持された内側継手部材4とをもって構成され、外側継手部材3内に内側継手部材4を挿入し、外内両継手部材3,4間を固定部材5,5...により固定することにより両鋼管1,1が連結されるようになっている。
【0018】
外内両側継手部材3,4には、それぞれその周方向に間隔を置いて貫通孔6,7が形成され、両貫通孔6,7に固定部材5を貫通させ、固定部材5の両端を外側継手部材外周面及び内側継手部材内周面にそれぞれ定着させることにより両継手部材3,4が固定されるようになっている。尚、固定部材5の定着部に図示しないパッキン等の止水材を噛ませる等して貫通孔6,7には止水がなされている。
【0019】
外側継手部材3は、鋼材をもって円筒状に形成され、一方の端面を鋼管1の端面に突き合わせた配置に溶接により鋼管端部に固定されている。尚、外側継手部材3の内径は、鋼管1の内径より小さく形成されている。
【0020】
また、外側継手部材3の鋼管1との接合部分内側面には、リング状の止水材8がその外周面8aを外側継手部材3の内周面に接着剤等により貼着することにより固定されている。
【0021】
止水材8は、ゴム材等の弾性素材をもって形成され、例えば図4に示すように内側継手部材側にテーパ部8bを有する形状に形成され、このテーパ部8bが内側継手部材4の先端部に押圧されて弾性的に当接し、外内両側継手部材3,4間が止水されるようになっている。
【0022】
また、この外側継手部材3は、内部に止水補強部材9が固定され、水圧及び内側継手部材4の押圧による止水材8の意図しない変形や脱落を防止するようになっている。
【0023】
止水補強部材9は、鋼材をもって一体に形成され、円筒状の変形抑制部9aと、平板環状をなし、外側継手部材3の内周面に支持され、その内面側に立ち上げた止水材受け部9bとをもって構成され、変形抑制部9aが止水材受け部9bの内縁部より連結方向相手管側に向けて折り曲げた形状、即ちL字型の断面が周方向に連続した形状となっている。
【0024】
この止水補強部材9は、変形抑制部9aが止水材8の内側に配置され、且つ止水材受け部9bが止水材8の内側継手部材挿入方向奥側、即ち外側継手部材と鋼管との接合部側に配置され、止水材受け部9bの外周縁を外側継手部材3の内周面に溶接にすることにより外側継手部材3内に固定されている。
【0025】
内側継手部材4は、外側継手部材3内に挿入される縮径部4aを有する段付き筒状に形成され、端部が鋼管1端部に溶接により固定されている。
【0026】
また、内側継手部材4の先端部には、外周より内周先端側に向けて傾斜したテーパ面4bが形成されており、内側継手部材4(縮径部4a)が外側継手部材3内に嵌合された際に、内側継手部材の先端のテーパ面4bで止水材8を押圧し、止水受け部材9b側に押し付けられるようになっている。
【0027】
このように構成された管継手2の止水構造では、外側継手部材3内に内側継手部材4の縮径部4aを挿入すると、図5に示すように、内側継手部材先端部が外側継手部材3と止水補強部材8とに囲まれた溝部10に嵌り込み、内側継手部材4の先端部が止水材8のテーパ部8bに弾性的に当接するようになっている。
【0028】
このとき、止水補強部材9の止水材受け部9bが止水材8の挿入方向奥側縁部を支持することで水圧及び内側継手部材4による内側継手部材挿入方向の押圧に対抗でき、止水材8が外側継手部材3の内側面より剥がれるのを防止できるようになっている。
【0029】
また、止水材8が止水補助部材9により囲まれているので、水圧及び内側継手部材4による意図しない方向に止水材8が変形するのを抑制することができ、止水材8と内側継手部材4との間の接触を安定した状態に維持することができ、止水効果に支障を来すことを防止することができる。
【0030】
尚、上述の実施例では、止水補助部材を環状の止水材受け部9bと、止水材受け部9bの内縁より連結方向相手管側に向けて折り曲げた配置の筒状をした変形抑制部9aとを以てL字型断面が周方向に連続した形状に形成した例について説明したが、止水補助部材は、図6図7に示すように、変形抑制部9aを有さず止水材受け部9bのみで構成したものであってもよい。
【0031】
また、止水補助部材は、上述した止水材受け部9b、変形抑制部9aの構成に加え、図8図9に示すように、止水材受け部9bの外縁部より連結方向相手管側に折り曲げた形状の筒状をした外側管部9cを備え、コ字型断面が周方向に連続した形状のものであってもよい。
【0032】
この場合、外側管部9cの外周面を外側継手部材3の内側面に溶接等により固定するとともに、止水材8を外側管部9cの内側面に固定する。
【0033】
更に、止水補助部材11は、図10図11に示すように、止水材受け部が円形断面が周方向に連続して環状をなすように形成してもよい。
【0034】
尚、上述の実施例では、鋼管及び管継手が円筒状の場合について説明したが、角筒状その他多角形筒状に形成されたものであってもよい。
【0035】
また、上述の実施例では、管体として鋼管を用いた例について説明したが、ヒューム管等のコンクリート管等であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 鋼管
2 管継手
3 外側継手部材
4 内側継手部材
4a テーパ面
5 固定部材
6,7 貫通孔
8 止水材
9 止水補助部材
10 溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12