【実施例】
【0064】
下記スキームにより、中間体の化合物を得た(非特許文献1)。
[合成例1]
【0065】
【化37】
【0066】
化合物1(5mmol)を無水酢酸(25ml)に溶解後、リン酸5〜10滴を加え、50〜60℃で約20時間撹拌した。反応終了後、ジクロロメタンならびに水を加えた。有機層を水洗した後、溶媒を減圧留去して得られた殘渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して化合物2を得た(n=1,2,3の場合、夫々2a,2b,2cのように、化合物を表す数字の後ろにa,b,cを付加する。以下同様)。
【0067】
化合物2a:(収率(以下Yと称する):85%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):2.50(3H),6.91(1H),7.15(1H),7.30(1H)
化合物2b:(Y:80%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):2.55(3H),7.06(1H),7.17(1H),7.32−7.33(2H),7.58(1H).
化合物2c:(Y:56.5%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):2.60(3H),7.08(1H),7.18(1H),7.33−7.35(2H),7.45−7.48(2H),7.68(1H).
【0068】
化合物2(20mmol)を脱水THF(25ml)に溶解後、30分間撹拌及び氷水浴冷却を行い、NaH(30mmol(油中に濃度60%))を加え、室温で約8〜10時間撹拌した。反応終了後、1N塩酸を加えて(PH<1)ジクロロメタンで抽出し、有機層を水洗した後、溶媒を減圧留去して得られた残渣を、減圧蒸留により精製して化合物3を得た。
【0069】
化合物3a:(Y:72.3%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):6.48(1H),7.21(1H),7.76(1H),7.84(1H)
化合物3b:(Y:64.8%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):6.50(1H),7.23(1H),7.78(1H),7.88(1H),
8.58(1H),8.62(1H)
化合物3c:(Y:45.9%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):6.52(1H),7.23(1H),7.80(1H),7.90(1H),
8.60(1H),8.65(1H),8.90(1H),9.02(1H)
【0070】
[合成例2]
【0071】
【化38】
【0072】
化合物1(50mmol)を無水THF(15ml)に溶解後、−78℃に冷却し,n−ブチルリチウム(ヘキサン溶液、約1.6mol/L)20分間かけて滴下した。滴下終了後、−30℃にて約30分間攪拌し、その後室温まで反応温度を上昇させ、再度1時間撹拌し、1−ブロモオクタン(40mmol)を0℃にて約10分間滴下した。滴下終了後、ジクロロメタンで抽出し、有機層を水洗した後、溶媒を減圧留去して得られた茶褐色の油を力ラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物4を得た。
【0073】
化合物4a:(Y:80.6%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):0.88(t,3H),1.28(m,10H),1.67(m,2H),2.81,(m,2H),6.77(H),6.91(H),7.09(H)
化合物4b:(Y:75.03%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):0.90(t,3H),1.30(m,10H),1.68(2H),2.98,(m,2H),6.75(1H),6.98(1H),7.05(1H),7.10(1H),7.23(1H)
化合物4c:(Y:65.11%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):0.91(t,3H),1.35(m,10H),1.69(2H),2.90,(m,2H),6.71(H),7.01(1H),7.09(H),7.13(H)7.20(H),7.22(H),7.30(H)
【0074】
化合物5を化合物2と同じ合成方法を用いて合成した。
【0075】
化合物5a:(Y:68.9%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):0.91(t,3H),1.2−1.45(m,10H),1.68(m,2H),2.53(s,3H),2.85(2H),7.21(H),7.62(H)
化合物5b:(Y:62.8%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):0.92(t,3H),1.2−1.45(m,10H),1.68(m,2H),2.55(s,3H),2.87(2H),7.25(H),7.66(H)
化合物5c:(Y:57.3%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):0.92(t,3H),1.3−1.48(m,10H),1.69(m,2H),2.56(s,3H),2.88(2H),7.28(H),7.66(H)
【0076】
化合物6を化合物3と同じ合成方法を用いて合成した。
【0077】
化合物6a:(Y:54.6%)
1H−NMR(CDCl
3TMS/ppm):0.95(t,3H),1.25−1.47(m,10H),1.71(m,2H),6.53(1H),7.23(H),7.66(H)
化合物6b:(Y:42.5%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):0.96(t,3H),1.30−1.52(m,10H),1.72(m,2H),6.58(1H),7.27(H),7.69(H)
化合物6c:(Y:18.3%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):0.96(t,3H),1.30−1.55(m,10H),1.73(m,2H),6.58(1H),7.29(H),7.70(H)
【0078】
[合成例3]
下記スキームにより、色
素の化合物10を得た。
【0079】
【化39】
【化40】
【化41】
【0080】
[化合物10a(X=H)の合成](非特許文献2,3)
トリクロロ(4,4′,4″−トリメトキシカルボニル−2,2′;2″、6−テルピリジン)ルテニウム(II)化合物7のメタノールの溶液に4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チオフェン)−1,3−ブタンジオン6a(X=H)2当量とトリブチルアミンを加え加熱環流させることにより、2−テノイルトリフルオロ−1,3−ブタンジオンクロロ(4,4′,4″−トリメトキシカルボニル−2,2′;2″、6−テルピリジン)ルテニウム(II)を得た。メタノール溶媒をエバポレータで留去した後、ジメチルホルムアミドを加え、トリブチルアミンと3当量のチオシアン化カリウムの水溶液を加えて加熱した。さらに、トリブチルアミンを少々添加して、16時間加熱環流した。反応混合溶媒をエバポレータで留去し、残留固形物を希塩酸で酸性化した後、約1時間撹拌し、生成した固体を濾別し、水洗、乾燥することにより、目的とする錯体を得た。粗製品をシリカゲル力ラムクロマトグラフィーにより精製して化合物10a(X=H)を得た。
【0081】
化合物10a(X=H):(Y:42.5%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):0.78(24H),1.15(16H),1.41(16H),2.93(16H),7.80(1H),8.11(1H),8.12(2H),8.64(2H),8.79(1H),8.81(2H),9.48(1H),9.52(2H)
【0082】
[化合物10a(X=C
8H
17)の合成]
化合物10a(X=H)と同様の操作を行い、化合物10a(X=C
8H
17)を得た。
【0083】
化合物10a(X=C
8H
17):(Y:36.8%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):0.78(24H),0.88(3H),1.15(16H),1.28(m,10H),1.41(16H),1.67(2H),2.81(2H),2.93(16H),7.80(1H),8.11(1H),8.12(2H),8.64(2H),8.79(1H),8.81(2H),9.48(1H),9.52(2H)
【0084】
[化合物10b(X=H)の合成]
化合物10a(X=H)と同様の操作を行い、化合物10b(X=H)を得た。
【0085】
化合物10b(X=H):(Y:37,3%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):0.79(24H),1.15(16H),1.42(16H),
2.94(16H),7.86(1H),8.09(1H),8.12(2H),8.65(1H),8.70(1H),8.72(1H),8.78(1H),8.81(2H),9.48(1H),9.52(2H)
【0086】
[化合物10b(X=C
8H
17)の合成]
化合物10a(X=H)と同様の操作を行い、化合物10b(X=C
8H
17)を得た。
【0087】
化合物10b(X=C
8H
17):(Y:33.4%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):0.79(24H),0.89(3H),1.15(16H),1.29(m,10H)1.42(16H),1.68(2H),2.83(2H),2.94(16H),7.86(1H),8.09(1H),8.12(2H),8.65(1H),8.70(1H),8.72(1H),8.78(1H),8.81(2H),9.48(1H),9.52(2H)
【0088】
[化合物10c(X=H)の合成]
化合物10a(X=H)と同様の操作を行い、化合物10c(X=H)を得た。
【0089】
化合物10c(X=H):(Y:32.2%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):0.80(24H),1.15(16H),1.42(16H),2.94(16H),7.88(1H),8.10(1H),8.13(2H),8.661H),8.72(1H),8.75(1H),8.77(2H),8.78(1H),8.84(2H),9.49(1H),9.53(2H)
【0090】
[化合物10c(X=C
8H
17)の合成]
化合物10a(X=H)と同様の操作を行い、化合物10c(X=C
8H
17)を得た。
【0091】
化合物10c(X=C
8H
17):(Y:30.1%)
1H−NMR(CDCl
3,TMS/ppm):0.80(24H),0.89(3H),1.15(16H),1.23(m,10H),1.42(16H),1.68(2H),2.84(2H),2.94(16H),7.88(1H),8.10(1H),8.13(2H),8.661H),8.72(1H),8.75(1H),8.77(2H),8.78(1H),8.84(2H),9.49(1H),9.53(2H)
【0092】
[太陽電池の作製]
色素増感太陽電池の作製に当たっては、上で説明した増感色素を導電性ガラス表面に塗布した二酸化チタン多孔質膜に吸着させることにより、可視光応答の電極を構成する。導電性ガラス表面に白金を蒸着した対電極の間に電解質溶液をはさみ光電変換素子、すなわち太陽電池を作製する。
【0093】
上述したところの本発明の色素増感太陽電池を、
図1に基づき以下により具体的に説明する。
図1に示した色素増感太陽電池は、電気伝導性基板8、電気伝導性基板8上に形成され、光増感色素が吸着した多孔質光起電力層3、対向電極9、多孔質光起電力層3と対向電極9との間に充填されたホール輸送層4、太陽電池の横側をシールする漏洩防止剤7を設けた構造を有している。電気伝導基板8は支持基板1と透明導電性膜2とを有している。基板1に使用される材料は特に限定するものではないが、多種多様の透明材料を用いることができ、好ましくはガラスが使用できる。透明導電性膜2として使用される材料もまた特に限定するものではないが、フッ素をドープした酸化錫(SnO
2:F)、アンチモンをドープした酸化亜鉛(ZnO:Sb)、錫をドープした酸化インジウム(In
2O
3:Sn)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(ZnO:Al)、ガリウムをドープした酸化亜鉛(ZnO:Ga)等、透明で電気導電性を有する酸化物を電極として使用することが好ましい。基板1上に透明導電性膜2を形成する方法としては、構成材料を用いる真空蒸着法、スパッタ法、CVD(化学気相堆積)法、PVD(物理気相堆積)法、ゾル−ゲル材料を用いる塗布法等を使用することができる。
【0094】
多孔質光起電力層3として用いられる多孔質半導体層の材料は、n型半導体であれば特に限定するものではない。好ましくは、酸化チタン(TiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO
2)、酸化インジウム(In
2O
3)、酸化ニオブ(Nb
2O
3)のような酸化物半導体が好ましい。酸化物半導体は高性能太陽電池が得られる大面積が可能な点で好ましい。好ましくは、その酸化物半導体の粒子径が1から200nm、より好ましくは1以上50nm以下である。また、その酸化物半導体は比面積が5から100m
2/gであることが好ましい。その酸化物半導体は導電性表面に固定でき、少なくとも200nmの膜厚、好ましくは1000から20000nmの膜厚を有する多孔質性膜を形成する。
【0095】
本発明に基づく色素増感半導体電極は、適当な通常の手法により基板の導電性表面に本発明である先に記載した金属錯体を固定して得られる酸化物半導体の層または膜として形成される。導電性表面上への酸化物半導体の固定は、酸化物半導体を含む分散媒体またはスラリー状液体に浸漬、またはそれらを用いて塗布し、乾燥後焼成することにより行われる。表面活性剤、ポリエチレングリコールのような膨潤剤および適当な添加物を含む水溶性媒体は、通常、前出の分散媒体やスラリー状液体として用いることができる。焼成は通常300から900℃、好ましくは400から600℃で行う。
【0096】
金属錯体を以下のように半導体層に固定する。金属錯体をメタノール、エタノール、アセトニトリル、ノルマル−ブタノール、ターシャル−ブタノールまたはジメチルホルムアミド等の適当な溶媒に溶解する。上記に記載の半導体電極に、浸漬や塗布等の適当な方法にて溶液を浸みこませる。好ましくは、金属錯体を含む溶液を酸化物半導体の多孔質層の奥深くに浸みこませる。半導体電極にトラップされたガスを除去するため、真空中高温で処理することが好ましい。金属錯体は好ましくは酸化物半導体表面で単分子層を形成させる。
【0097】
対向電極9は基板5と対向電極層6から構成される。基板5に用いる材料は、基板1と同様に特に限定されるものではないし、多種多様の透明材料を用いることができ、好ましくはガラスを使用する。対向電極層6の材料もまた特に限定するものではないが、白金膜、炭素薄膜、フッ素をドープした酸化錫(SnO
2:F)、アンチモンをドープした酸化錫(Sn:Sb)、錫をドープした酸化インジウム(In
2O
3:Sn)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(ZnO:Al)、及びガリウムをドープした酸化亜鉛(ZnO:Ga)からなる群から選ばれた一つまたは複数の積層膜であり、好ましくはこれらの複合膜である。対向電極層6は対向電極から電解質に電子伝達することを容易にすることが役割である。対向電極膜6の形成法としては、電極材料を成分として真空蒸着法、スパッタ法、CVD(化学気相堆積)法、PVD(物理気相堆積)法等を用いて基板5の上に対向電極膜6を形成してもよいし、ゾル−ゲル法による塗布によっても形成される。透明電極や電解質を透過した光を反射するように対向電極を追加加工してもよい。更に、TiO
2層、色素、電解質を保護して長期安定性を確保するため、基板の外側をポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、また好ましくはポリカーボネート等のプラスチックで覆ってもよい。
【0098】
本発明ではホール輸送層4としてホールまたはイオンを用いる。ここで、ホール輸送層は電気導電性基板8の上に形成され、光増感色素を吸着させた多孔質半導体電極と対向電極9上の電子を輸送する材料である基板との間に充填されている。たとえば、ホール輸送材料としてはポリビニルカルバゾールを、電子輸送材料としてはテトラニトロフルオレノンを、電気伝導性高分子としてはポリピロールを、電解質の電気伝導材料としては高分子電解質を使用できる。
【0099】
液体電解質(レドックス電解質)の酸化還元対の例としては、I
−/I
3−、Br
−/Br
3−やキノン/ハイドロキノン対がある。たとえば、ヨウ化リチウムとヨウ素を使ってもよい。電解質の溶媒としては、アセトニトリルまたはプロピレンカーボネートの様に大量の電解質を溶解できる電気化学的に不活性な溶媒を使用できる。
【0100】
セルサイズ0.25cm
2の太陽電池を上記の電極と対極を用いて作製した。ここで、対極は白金電極であり、導電性ガラス基板上に白金を真空蒸着して形成した。白金層は20nmの膜厚とした。上記の2つの電極間を満たす電解液として、I
−/I
3−の酸化還元対を適用し、電解液は0.5Mの4−t−ブチルピリジン、0.1Mのヨウ化リチウム、0.6Mの1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム及び0.1Mのヨウ素を溶質としてアセトニトリルに溶解させた。
【0101】
このようにして作製した光電変換素子性能はソーラーシュミレーター(AM1.5,100mWcm
−2)を用いて評価した。室温に電流−電圧特性測定し,得られた短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)、及び形状因子(F.F.)を求め、これらから光電変換効率(η)を求めた。
本発明による代表的な色素及びBlack色素(Black dye)を用いたセル特性を表1に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
上の表から判るように、本発明の実施例の錯体(表1中では
I−7、I−24、I−29)を使用すると、何れの場合にもBlack色素よりも大きな短絡電流が得られた。これは、これらの錯体の吸収する光の波長域がBlack色素よりも長波長側まで伸びており、これによる光吸収量の増大が短絡電流の増大に寄与していることを示している。これにより、最終的には光電変換効率がBlack色素よりも高くなるという効果が得られた。