(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5713293
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】ワイヤリング装置
(51)【国際特許分類】
H01F 41/06 20060101AFI20150416BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20150416BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
H01F41/06 C
H01F41/04 F
H05K3/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-235715(P2011-235715)
(22)【出願日】2011年10月27日
(65)【公開番号】特開2013-93492(P2013-93492A)
(43)【公開日】2013年5月16日
【審査請求日】2014年9月17日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314000280
【氏名又は名称】株式会社アンド
(72)【発明者】
【氏名】海老澤 満男
【審査官】
五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−154769(JP,A)
【文献】
実開昭62−41366(JP,U)
【文献】
特開平7−146266(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0175802(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/06
H01F 41/04
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライヤー(6)を用いて一本の線材をパネル(4)の両端の複数の突起部(3)に張り渡すワイヤリング方法であって、
a)フライヤー(6)は、パネル(4)の両端の外側に設置された2つのピン(8)の周りをそれぞれ異なった方向に360度公転しながら8の字を描く軌跡(61)で往復運動を行い、
b)フライヤー(6)が、一対の突起部(3)に線材を張り渡した後、突起部(3)のピッチ寸法だけパネル(4)の位置が移動し、
c)フライヤー(6)がピン(8)の周りを360度公転しながら往復運動における移動方向を反転し、ピン(8)に線材を廻し架け、
d)線材を廻し架けられたピン(8)が降下し、線材が突起部(3)を挟む形になり、
e)ピン(8)の上部がピンのガイド(11)の中に埋没することにより、ピン(8)に廻し架けられた線材が、ピン(8)を離れて突起部(3)に移動し、
f)線材が離れたピン(8)は、上昇し元のピンの位置に戻り、
g)パネルの両端に設置されたピンを使用し、上記a)〜f)の操作により、一本の線材をパネルの両端の突起部に張り渡して行く、
ことを特徴とする、ワイヤリング方法。
【請求項2】
線材の径が、0.03〜0.9mmであることを特徴とする、請求項1に記載のワイヤリング方法。
【請求項3】
前記ピッチ寸法に対応する方向に関する突起部間の間隔が0.2〜2.0mmであることを特徴とする、請求項1または2に記載のワイヤリング方法。
【請求項4】
突起部の厚みが、0.2〜2.0mmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のワイヤリング方法。
【請求項5】
フライヤー(6)を用いるワイヤリング装置であって、
a)パネル(4)の両端の外側に設置された2つのピン(8)の周りをそれぞれ異なった方向に360度公転しながら8の字を描く軌跡(61)で往復運動を行うための、フライヤー(6)とフライヤー駆動装置(7)を有し、
b)ピン(8)には、ピンを上下させる駆動装置(9)が設置されており、
c)パネル(4)はキャスター(10)に設置されて、フライヤー(6)が、一対の突起部(3)に線材を張り渡した後、突起部(3)のピッチ寸法だけパネル(4)の位置を移動させる移動装置を有し、
d)フライヤー(6)がピン(8)の周りを360度公転しながら往復運動における移動方向を反転し、ピン(8)に線材を廻し架けた後、線材を廻し架けられたピン(8)が降下し、線材が突起部(3)を挟む形になると共に、更にピン(8)の上部がピンのガイド(11)の中に埋没することにより、ピンに廻し架けられた線材が、ピンを離れて突起部(3)に移動できるように、線材に一定の張力を保持する装置を有し、
e)線材が離れたピンは、ピンを上下させる駆動装置により、上昇し元のピンの位置に戻り、
f)フライヤー(6)とピン(8)、パネル(4)の動きがc)〜e)の操作を実施可能に設定されており、
一本の線材をパネル(4)の両端の突起部(3)に張り渡して行くことを特徴とする、ワイヤリング装置。
【請求項6】
線材の径が、0.03〜0.9mmであることを特徴とする、請求項5に記載のワイヤリング装置。
【請求項7】
前記ピッチ寸法に対応する方向に関する突起部間の間隔が0.2〜2.0mmであることを特徴とする、請求項5または6に記載のワイヤリング装置。
【請求項8】
突起部の厚みが、0.2〜2.0mmであることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載のワイヤリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線材のワイヤリング装置に関するものである。特に、細い線材を用いて、狭い線材の間隔に横糸を張っていく操作を行うワイヤリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フライヤーを用いた多極電機子の巻線機は良く知られている(特許文献1、2)。しかし、線材をフライヤーで巻き付けるのではなく、フライヤーを織機の杼のように左右に動かして横糸を張るように、線材を平行に張って行くことは、これまで報告されていない。
しかも、温度感知センサー等のセンサー類に使用する場合には、線材の径が細く、線材と線材の間隔が狭いものが求められていた。しかし、線材の径が0.5mm以下で、線材と線材との間隔が1mm以下の微細なワイヤリングを実施するには、フライヤーを用いて行なう微細ワイヤリング装置の先行事例がなく、フライヤーを用いたワイヤリング方法も見出されていなかった。
なお、類似のものとして、一本の線材を等間隔の蚊取り線香状に巻いたコイルが知られており、被接触式ICカードに使用されている(特許文献3)。しかし、これらの間隔巻きコイルは、巻線コイルの一つであり、線材を平行に張って行くものとは、製法も大きく異なっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−57056
【特許文献2】特開2001−169515
【特許文献2】特開2002−342730
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、フライヤーを用いた、線材を平行に張って行くためのワイヤリング装置を提供することである。特に、線材の径が細く、線材と線材の間隔が1mm以下の微細ワイヤリングに関して、新たな方法を提供すると共に、それを用いた装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、
図1のような線材が張られたパネルの製造方法とそれを用いるワイヤリング装置に関して鋭意検討を進めてきた。その結果、本発明者は、フライヤー(6)でパネルの突起部(3)に線材を直接張り渡して行くのではなく、作業の容易性を考慮して、突起部(3)間の隙間に制約されない適切な太さのフライヤー(6)で先ず、外部に設置されたピン(8)に線材を張り渡すことを考えた。そして、その後に、突起部(3)に線材を移動させて行く、2段階方式でのワイヤリング方法が適切であることを見出した。即ち、
図4に示されるように、フライヤー(6)から出た線材が、まず外部に設置されたピン(8)に廻し架けられる(aの工程)。線材の掛かったピンが下降し、廻し架けられた線材が上記パネルの突起部(3)を挟むようになる(bの工程)。次に、ピンの上部がピンのガイド(11)の中に沈むと、線材には一定の張力が掛かっているため、線材はピンから外れて、パネルの突起部(3)に架けられることになる(cの工程)。フライヤーは、次に反対側のピンの外側で反転し、ピンに線材を廻し架けて、元の位置に戻っていく(dの工程)。以降は、同じ操作が繰り返し行われて、上記のパネルに一本の線材がパネルの突起部に順次張られて行くことになる。
本発明者は、更に線材の直径とパネルの突起部の間隔について鋭意検討を行ない、パネルの突起部の間隔が1mm以下であっても、ピンの厚みと形状を工夫することにより、容易に線材をパネルに張ることができることを見出した。本発明者は、これらの知見に基いて、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1]以下の工程からなる、一本の線材をパネルの両端の複数の突起部(3)に張り渡すことを特徴とする、フライヤー(6)を用いるワイヤリング方法であって、
a)フライヤー(6)は、パネル(4)の両端の外側に設置された2つのピン(8)の周りをそれぞれ異なった方向に360度公転しながら8の字を描く軌跡(61)で往復運動を行う、
b)フライヤー(6)が、一対の突起部(3)に線材を張り渡した後、突起部(3)のピッチ寸法だけパネル(4)の位置が移動する、
c)フライヤー(6)がピン(8)の周りを360度公転しながら反対方向に移動し、ピン(8)に線材を廻し架ける、
d)線材を廻し架けられたピン(8)が降下し、線材が突起部(3)を挟む形になる、
e)ピン(8)の上部がピンのガイド(11)の中に埋没することにより、ピンに廻し架けられた線材が、ピンを離れて突起部(3)に移動する、
f)線材が離れたピンは、上昇し元のピンの位置に戻る、
g)パネルの両端に設置されたピンを使用し、上記a)〜f)の操作により、一本の線材をパネルの両端の突起部に張り渡して行く、
ことを特徴とする、ワイヤリング方法。
[2]線材の径が、0.03〜0.9mmであることを特徴とする、上記[1]に記載のワイヤリング方法。
[3]突起部間の間隔が0.2〜2.0mmであることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載のワイヤリング方法。
[4]突起部の厚みが、0.2〜2.0mmであることを特徴とする、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のワイヤリング方法。
【0007】
[5]フライヤー(6)を用いて、パネルの両端の複数の突起部(3)に一本の線材(1)を張り渡すために、以下の装置を備えたことを特徴とする、ワイヤリング装置であって、
a)パネル(4)の両端の外側に設置された2つのピン(8)の周りをそれぞれ異なった方向に360度公転しながら8の字を描く形で往復運動を行うための、フライヤー(6)とフライヤー駆動装置(7)を有し、
b)ピン(8)には、ピンを上下させる駆動装置が設置されている、
c)パネル(4)はキャスター(10)に設置されて、フライヤー(6)が、一対の突起部(3)に線材を張り渡した時、突起部(3)のピッチ寸法だけパネル(4)の位置を移動させる移動装置を有し、
d)フライヤー(6)がピン(8)の周りを360度公転しながら反対方向に移動し、ピン(8)に線材を廻し架けた後、
線材を廻し架けられたピン(8)が降下し、線材が突起部(3)を挟む形になると共に、更にピン(8)の上部がピンのガイド(11)の中に埋没することにより、ピンに廻し架けられた線材が、ピンを離れて突起部(3)に移動できるように、線材に一定の張力を保持する装置を有し、
e)線材が離れたピンは、ピンを上下させる駆動装置により、上昇し元のピンの位置に戻る、
f)フライヤー(6)とピン(8)、パネル(4)の動きがc)〜e)の操作を実施可能に設定されており、
一本の線材をパネルの両端の突起部に張り渡して行くことを特徴とする、ワイヤリング装置。
[6]線材の径が、0.03〜0.9mmであることを特徴とする、上記[5]に記載のワイヤリング装置。
[7]突起部間の間隔が0.2〜2.0mmであることを特徴とする、上記[5]または[6]に記載のワイヤリング装置。
[8]突起部の厚みが、0.2〜2.0mmであることを特徴とする、上記[5]〜[7]のいずれかに記載のワイヤリング装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明の2段階のワイヤリング方法とそれを用いたワイヤリング装置は、
図4と
図2に示されるように、線材(導線)の径が約0.5mm以下の細いものであっても、また、突起部の厚みや、突起部間の間隔が約2mm以下の微細なものであっても、フライヤーを用いて容易に線材(導線)を張り渡して行くことができる。その結果、フライヤーを用いた自動化が可能となり、安定した品質で大量製造が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のワイヤリング装置で製造される、線材をネット状に張ったパネルの一例を表わした斜視図である。
【
図2】本発明のワイヤリング装置の一例を表わした斜視図である。
【
図3】本発明のワイヤリング装置のパネル部分を拡大した斜視図である。
【
図4】本発明のワイヤリング方法の工程を(a)〜(d)順に示した概略図(断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
−本発明の第一の態様−
本発明の第一の態様は、一本の線材をネット状に張り渡して行く、ワイヤリング方法に関するものである。本発明のワイヤリング方法を、
図2〜4の図面を参照して詳細に説明する。
図4は、一対のピンと、パネルの一対の突起部を含む断面図であり、本発明のワイヤリング方法に関する一つの実施形態を示す図である。即ち、
図4の(a)で示されるように、フライヤー(6)から出た線材が、まず外部に設置されたピン(8)に廻し架けられる。その時、フライヤー(6)とピン(8)、パネル(4)は、次のように動作する。
まず、一対の突起部(3)に線材が張り渡された後、パネル(4)は突起部(3)のピッチ寸法だけ移動する。つまり線材が張り渡されていない新たな突起部(3)がピン(8)の位置に移動する。移動の方向はフライヤーの移動の方向と直交する方向である。その後、フライヤー(6)はピン(8)の周りを360度公転し反対方向に移動する。その結果、線材がピン(8)に廻し架けられることになる。
次に、
図4の(b)では、線材の掛かったピン(8)が下降し、廻し架けられた線材が上記パネルの突起部(3)を挟むようになる。
更にピンが下降すると、
図4の(c)に示されるように、ピンの上部がピンのガイド(11)の中に沈むことになる。その状態になると、線材はピンから外れる。線材には一定の張力が掛かっているため、ピンから外れた線材は、パネルの突起部(3)に架かることになる。その後、フライヤーは、反対側のピンを逆方向に360度公転する。つまり
図3に示されるように、フライヤーは2つのピンの周りをそれぞれ異なった方向に公転し8の字を描くような軌跡(61)で反転する。
次に、
図4の(d)では、フライヤーが途中まで移動している状態を表わしている。この状態は、
図4の(a)と位置関係は180度異なるが、同じ状況である。従って、これ以降は、同じ操作が繰り返し行われて、上記のパネルの突起部に一本の線材が順次張られて行くことになる。
なお、線材の最初と最後は、
図1に示されるように、絡げピン(2)に播き付けられている。このようにして、一本の線材で張り渡されたネットが一定の張力で維持できるようになっている。
【0011】
本発明の「線材」とは、金属製の導線に使用できるものであれば、特に限定はされない。絶縁材で被覆されていてもよい。例えば、金属製の導線としては、金、銀、銅、鉄、アルミニウム等の一般的なものを使用することができる。好ましいものとしては、被覆された銅線と被覆された銀線を挙げることができる。
線材の断面の形状としては、適宜、目的に応じて使用可能であり、好ましくは円形のものを挙げることができる。線材の径としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、0.03〜0.9mmのものを挙げることができる。より好ましくは、0.05〜0.5mmのものを挙げることができる。
本発明の「フライヤー」とは、線材を誘導するノズルのことである。フライヤーから引き出される線材には、一定の張力が掛かっており、パネル両端の突起部の間に、線材が弛むことなく張り渡されるようになっている。
本発明の「ピン」とは、フライヤーから引き出される線材が先ず廻し架けられる部材のことである。ピンの形状は、機能を果たすものであれば特に限定はされないが、円柱状、楕円柱状のものが使用される。
本発明の「ピンのガイド」とは、ピンを固定すると共に、ピンが上下運動する際に、ピンを収納できるスペースを確保するための役割を果たすものである。この役割を果たせるものであれば、その形状は特に問題にはならない。ピンが下降して、ピンの上端がピンのガイドの中に埋没すると、ピンに廻し架けられている線材は、ピンから外れることになる。ピンから外れた線材は、一定の張力が掛かっているため、フライヤーの方に引き寄せられる。そうすると、途中に存在する突起部(3)に係留される結果となる。
本発明の「絡げピン」とは、線材の最初と最後を括り付け固定する部材のことであり、その機能を果たす限り、形状は目的に応じて適宜選択することが出来る。
【0012】
本発明の「突起部」とは、パネルの両端で線材を留める役割を果たす部材のことであり、パネルと一体に成形されているものである。突起部の形状は上記の役割を果たすものであれば、特に限定はされない。好ましくは、線材の切断等の損傷を回避するために、突起部断面のピン側の形状が、円弧状であり、角張っていないことが望ましい。
本発明の「突起部の厚さ」とは、線材が廻し架けられる突起部の幅のことであり、言い換えると、往復する線材の間隔から線材の径を減じた値のことをいう。突起部の厚さが小さくなれば、その分だけ、稠密な線材のネットが張り渡されることになる。好ましい突起部の厚さとは、0.2〜2.0mmである。より好ましくは、0.5〜1.5mmである。なお、
図4の(a)〜(c)に示されるように、最初にピンに廻し架けられた線材を(b)の状態に移行し易くするために、突起部の厚みは、ピンの径と同等以下でなければならない。
本発明の「突起部間の間隔」とは、突起部と突起部のピッチ寸法のことを言う。突起部間の間隔は、線材の径と必要とされる線材間の間隔により適宜決定される。稠密な線材のネットが必要な場合には、突起部の厚みと共に、突起部間の間隔を小さくするとよい。その際には線材の径も、それに合わせて小さいものとする。好ましい突起部間の間隔とは、0.2〜2.0mmである。より好ましくは、0.2〜1.5mmである。
【0013】
−本発明の第二の態様−
本発明の第二の態様は、前述の2段階方式のワイヤリング方法を実施できるワイヤリング装置に関するものである。本発明のワイヤリング装置を、
図2〜3の図面を参照して詳細に説明する。本発明の特徴は、フライヤー(6)を用いて、パネルの両端の複数の突起部(3)に一本の線材(1)を張り渡すために、以下の装置を備えたことを特徴とする、ワイヤリング装置である。即ち、a)パネル(4)の両端の外側に設置された2つのピン(8)の周りをそれぞれ異なった方向に公転し8の字を描く軌跡(61)で往復運動を行うための、フライヤー(6)とフライヤー駆動装置(7)を有し、
b)ピン(8)には、ピンを上下させる駆動装置(9)が設置されている、
c)パネル(4)はキャスター(10)に設置されて、一対の突起部(3)に線材を張り渡した後、突起部(3)のピッチ寸法だけ、パネル(4)の位置を移動させる移動装置を有し、
d)フライヤー(6)がピン(8)の周りを360度公転しながら反対方向に移動し、ピン(8)に線材を廻し架けた後、
線材を廻し架けられたピン(8)が降下し、線材が突起部(3)を挟む形になると共に、更にピン(8)の上部がピンのガイド(11)の中に埋没することにより、ピン(8)に廻し架けられた線材が、ピン(8)を離れて突起部(3)に移動できるように、線材に一定の張力を保持する装置を有し、
e)線材が離れたピン(8)は、ピン(8)を上下させる駆動装置により、上昇し元のピン(8)の位置にる、
f)フライヤー(6)とピン(8)、パネル(4)の動きがc)〜e)の操作を実施可能に設定されており、
一本の線材をパネルの両端の突起部に張り渡して行くことを特徴とする、ワイヤリング装置のことである。
なお、本発明の装置のために使用される、フライヤーの駆動装置(7)やピンの上下駆動装置(9)、ピンとピンのガイドを往復運動させる装置等については、汎用のものを適宜組み合せて使用することができる。
また、本発明の用語で、第一の態様と共通するものは、前述と同じ意味を表わす。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の2段階方式のワイヤリング方法とそれを実施するためのワイヤリング装置は、フライヤーを用いることにより、パネルに線材のネットを全自動で効率的に張り渡すことができるようになった。それ故、品質の安定したものが安価に製造できるため、温度感知センサー等のセンサーに汎用可能となった。