【実施例1】
【0057】
(実施例1)
まず、テトラメトキシシラン(TMOS)8.08g(0.053モル)に塩酸を用いて調整したpH2の水1.90ml(0.106モル)を加え、50℃で6時間加水分解して、ゾルを作製した。
更に、ゾルに塩化テルル(TeCl
4)1.43g(0.0053モル)を添加してから、室温(26℃:反応温度)で5分攪拌した後、SiAlON蛍光体を0.08g添加して、蛍光体分散ゾルを作製した。
次に、蛍光体分散ゾルを26℃で1時間放置して、蛍光体分散ゲルを作製した。室温で12h放置し、熟成を行った。
次に、蛍光体分散ゲルを電気炉内に配置し、26℃から80℃まで、昇温速度2.7℃/hで昇温した後、80℃で1日乾燥を行った。
更に、80℃から150℃まで、昇温速度2.9℃/hで昇温した後、150℃で1日間保持し、乾燥ゲルを得た。
更に、昇温速度20℃/hで150℃から400℃まで昇温し、400℃で2時間保持した後、電気炉の中で放冷して、蛍光体分散ガラスを作製した。
【0058】
次に、この蛍光体分散ガラスを、厚みが3mm、大きさが5mm×10mmの平板状に加工してから、両面を鏡面状に研磨して、実施例1の蛍光体分散ガラスを作製した。
【0059】
SiAlON蛍光体の励起波長である450nmで励起したところ、585nmをピークに、500nm〜780nmの広い範囲にわたって発光が認められた。色度座標はx=0.40,y=0.32になり、ほぼ白色であった。
また、発光効率は28%であった。この発光効率は、励起光をサンプルに照射したときのエネルギーと積分球によって測定した発光のエネルギーの比率をパーセント表示したものである。
【0060】
(実施例2)
3時間加水分解した他は実施例1と同様にして、実施例2の蛍光体分散ガラスを作製した。
【0061】
(実施例3)
10時間加水分解した他は実施例1と同様にして、実施例3の蛍光体分散ガラスを作製した。
【0062】
(実施例4)
塩化テルル3.58g(0.013モル)とした他は実施例1と同様にして、実施例4の蛍光体分散ガラスを作製した。
【0063】
(実施例5)
まず、テトラメトキシシラン8.08g(0.053モル)と塩化テルル1.43g(0.0053モル)を混合した後、塩酸で調整したpH2の水1.90ml(0.106モル)で、26℃で20分加水分解した後、SiAlON蛍光体を0.08g添加した。
次に、蛍光体分散ゾルを26℃で1時間放置して、蛍光体分散ゲルを作製した。
次に、室温から80℃まで2.7℃/hで昇温した後、1日乾燥を行った。次に、150℃まで2.9℃/hで昇温し、1日間乾燥した。次に、20℃/hで400℃まで昇温し、2時間保持した後、電気炉の中で放冷して、蛍光体分散ガラスを作製した。実施例1と同様に加工を行い、実施例5の蛍光体分散ガラスを作製した。
【0064】
(実施例6)
SiAlON蛍光体を0.02g添加した他は実施例1と同様にして、実施例6の蛍光体分散ガラスを作製した。
【0065】
(実施例7)
SiAlON蛍光体を0.2g添加した他は実施例1と同様にして、実施例7の蛍光体分散ガラスを作製した。
【0066】
(実施例8)
pH3の水を用いた他は実施例1と同様にして、実施例8の蛍光体分散ガラスを作製した。
【0067】
(実施例9)
pH4の水を用いた他は実施例1と同様にして、実施例9の蛍光体分散ガラスを作製した。
【0068】
(実施例10)
まず、テトラメトキシシラン4.57g(0.03モル)と塩化テルル0.898g(0.0033モル)を混合した後、塩酸で調整したpH2の水1.20ml(0.067モル)で、26℃で3時間加水分解した後、SiAlON蛍光体を0.04g添加した。
次に、蛍光体分散ゾルを26℃で1時間放置して、蛍光体分散ゲルを作製した。
次に、室温から80℃まで2.7℃/hで昇温した後、1日乾燥を行った。次に、150℃まで2.9℃/hで昇温し、1日間乾燥した。次に、20℃/hで400℃まで昇温し、2時間保持した後、電気炉の中で放冷して、蛍光体分散ガラスを作製した。実施例1と同様に加工を行い、実施例10の蛍光体分散ガラスを作製した。
【0069】
(実施例11)
蛍光体添加前の加水分解を50℃で3時間行った以外は、実施例10と同様にして、実施例11の蛍光体分散ガラスを作製した。
【0070】
(実施例12)
アンモニアで調整したpH10の水を加水分解に用いた以外は、実施例10と同様にして、実施例12の蛍光体分散ガラスを作製した。
(実施例13)
アンモニアで調整したpH10の水を加水分解に用い、蛍光体添加前の加水分解を50℃で3時間行った以外は、実施例10と同様にして、実施例13の蛍光体分散ガラスを作製した。
【0071】
(実施例14)
まず、テトラメトキシシラン4.04g(0.027モル)をpH2の水0.972ml(0.054モル)で、50℃で6時間加水分解した後、塩化テルル0.727g(0.0027モル)をメタノール0.864g(0.027モル)に26℃で1時間攪拌して溶解した溶液に添加した。
次に、26℃で5分攪拌した後、SiAlON蛍光体を0.08g添加した。
次に、室温から80℃まで2.7℃/hで昇温した後、1日熟成を行った。次に、150℃まで2.9℃/hで昇温し、3日間乾燥した。次に、得られた乾燥ゲルを20℃/hで400℃まで昇温し、2時間保持した後、電気炉の中で放冷して、実施例1と同様に加工を行い、実施例14の蛍光体分散ガラスを作製した。
【0072】
(実施例15)
まず、テトラメトキシシラン4.57g(0.03モル)を塩酸で調整したpH2の水1.08ml(0.06モル)で、50℃で7時間加水分解した後、塩化テルル0.898g(0.0033モル)をメタノール1.92g(0.06モル)に26℃で1時間攪拌して溶解した溶液に添加した。
次に、26℃で5分攪拌した後、SiAlON蛍光体を0.04g添加した。
次に、室温から80℃まで2.7℃/hで昇温した後、1日熟成を行った。次に、150℃まで2.9℃/hで昇温し、3日間乾燥した。次に、得られた乾燥ゲルを20℃/hで400℃まで昇温し、2時間保持した後、電気炉の中で放冷して、実施例1と同様に加工を行い、実施例15の蛍光体分散ガラスを作製した。
【0073】
(実施例16)
テトラメトキシシランの加水分解を50℃で3時間の条件で行った以外は、実施例15と同様にして、実施例16の蛍光体分散ガラスを作製した。
(実施例17)
テトラメトキシシランの加水分解を50℃で3時間の条件で行い、塩化テルルを溶解するメタノールの量を3.84g(0.12モル)とした以外は、実施例15と同様にして、実施例17の蛍光体分散ガラスを作製した。
【0074】
(実施例18)
テトラメトキシシラン4.04g(0.027モル)とメタノール1.94g(0.0108モル)にアンモニアで調整したpH10の水0.972ml(0.054モル)を添加し、26℃で1時間加水分解した後、塩化テルル0.727g(0.0027モル)と混合した。26℃で5分攪拌した後、SiAlON蛍光体を0.08g添加した。実施例1と同様に乾燥させ、実施例18の蛍光体分散ガラスを作製した。
【0075】
(実施例19)
テトラエトキシシラン3.12g(0.015モル)とエタノール2.76g(0.006モル)に塩酸で調整したpH2の水0.54g(0.03モル)を添加し、50℃で6時間攪拌した。塩化テルル0.404g(0.0015モル)を加えて、24時間攪拌し、SiAlON蛍光体を0.08g添加した。実施例1と同様に乾燥させ、実施例19の蛍光体分散ガラスを作製した。
(実施例20)
SiAlON蛍光体を0.044g添加した以外は、実施例19と同様にして、実施例20の蛍光体分散ガラスを作製した。
【0076】
(比較例1)
テトラメトキシシラン8.08g(0.053モル)とし、pH2の水1.90ml(0.106モル)とし、塩化テルル6.14g(0.023モル)とした他は実施例1と同様にして、酸窒化物蛍光体ガラスの作製を試みた。しかし、塩化テルルは完全に溶けなかった。
【0077】
(比較例2)
テトラメトキシシラン8.08g(0.053モル)とし、pH2の水1.90ml(0.0053モル)とし、塩化テルル14.27g(0.053モル)とした他は実施例1と同様にして、酸窒化物蛍光体ガラスの作製を試みた。しかし、塩化テルルは完全に溶けなかった。
【0078】
(比較例3)
まず、テトラメトキシシラン8.08g(0.053モル)に塩化テルル1.43g(0.0053モル)を混合した。
次に、室温で1時間攪拌した後、SiAlON蛍光体を0.08g添加した。次に、室温から80℃まで80℃/hで昇温した後40分攪拌を行った。次に、150℃まで2.9℃/hで昇温したところ、灰色に変化した乾燥ゲルが得られた。乾燥ゲルからはTe
6O
11Cl
2結晶の析出が確認された。
【0079】
(比較例4)
テトラメトキシシラン8.08g(0.053モル)とし、塩化テルル6.14g(0.023モル)とし、26℃とした他は比較例3と同様にして、酸窒化物蛍光体ガラスの作製を試みた。灰色に変化した乾燥ゲルが得られた。
【0080】
(比較例5)
塩化テルル3.07g(0.211モル)、メタノール6.76g(0.211モル)とした他は実施例14と同様にして、酸窒化物蛍光体ガラスの作製を試みた。しかし、ガラス部分からTeO
2が析出し、白色がかっていた。
【0081】
(比較例6)
反応温度を80℃とした他は比較例5と同様にして、比較例6の窒化物蛍光体ガラスの作製を試みた。
しかし、粉末状となり、比較例6の酸窒化物蛍光体ガラスを形成できなかった。
【0082】
(比較例7)
TeCl
4の代わりにTeO
20.846g(0.0053モル)を用いた他は実施例1と同様にして、比較例7の酸窒化物蛍光体ガラスの作製を試みた。TeO
2はゾルに溶解しなかった。
【0083】
(比較例8)
水を1.08g(0.06モル)とし、テトラメトキシシランの加水分解を50℃で6時間の条件で行い、塩化テルルを3.46g(0.013モル)とし、塩化テルルを溶解するメタノールの量を4.11g(0.128モル)とした以外は、実施例15と同様にして、酸窒化物蛍光体ガラスの作製を試みた。しかしガラスは析出物により失透し、白色がかっていた。
【0084】
(比較例9)
水を1.08g(0.06モル)とし、塩化テルルを3.46g(0.013モル)とし、蛍光体添加前の加水分解を50℃で3時間行った以外は、実施例10と同様にして、酸窒化物蛍光体ガラスの作製を試みた。しかしガラスは析出物により失透し、白色がかっていた。
【0085】
(比較例10)
塩化テルル2.18g(0.0081モル)とし、実施例1
8と同様に蛍光体分散ガラスを作製したところ、ガラスは白色になり、TeO
2およびTe
6O
11Cl
12が形成された。
表1、表2、表3に、実験条件及び実験結果をまとめた。表の加水分解工程の欄で、Iは、テトラメトキシシラン(TMOS)を加水分解後、TeCl
4を混合する場合を、IIはTMOSにTeCl
4を混合後、加水分解する場合を、IIIはTMOSを加水分解後、メタノールに溶解したTeCl
4と混合する場合を、IVはTMOSにメタノールを添加して加水分解後、TeCl
4を混合する場合を、Vはテトラエトキシシラン(TEOS)にエタノールを添加して加水分解後、TeCl
4を混合する場合をそれぞれ示している。I’はTMOSを加水分解後、TeO
2を混合する場合を示している。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
(実施例21)
テトラメトキシラン2.74g(0.018モル)と塩化チタン0.114g(0.0006モル)、チタンイソプロポキシド0.398g(0.0014モル)を混合した液に、塩酸で調整したpH1の水を1.8g(0.1モル)滴下し、メタノール1.8g(0.056モル)加え、攪拌する。その後プロピレンカーボネート6.12g(0.06モル)加えて粘度が1000mPa・s以上に上昇するまで26℃で150時間攪拌した。SiAlON蛍光体0.062gを添加し、ゲル化させた。ゲルを1.7℃/hで昇温し、120℃で1時間乾燥させて乾燥ゲルを得た。乾燥ゲルは4.2℃/hで400℃まで昇温し、さらに8.3℃/hで1000℃まで昇温した後、1時間保持した後、電気炉の中で放冷して実施例21の酸窒化物蛍光体ガラスを作製した。
【0090】
(実施例22)
SiAlONを0.012g添加した他は実施例21と同様にして実施例22の蛍光体ガラスを作製した。
(実施例23)
SiAlONを0.12g添加した他は実施例22と同様にして実施例23の蛍光体ガラスを作製した。
【0091】
(実施例24)
テトラメトキシシランを2.13g(0.014モル)、塩化チタンを0.34g(0.0018モル)、チタンイソプロポキシドを1.19g(0.0042モル)、炭酸プロピレンを5.94g(0.058モル)とした以外は、実施例21と同様にして、実施例24の酸窒化物蛍光体ガラスを作製した。
【0092】
(実施例25)
テトラメトキシラン2.44g(0.016モル)と塩化チタン0.23g(0.0012モル)、チタンイソプロポキシド0.80g(0.0028モル)とした他は実施例21と同様に実施例25の酸窒化物蛍光体ガラスを作製した。
(実施例26)
炭酸プロピレンを5.76g(0.056モル)とした以外は、実施例25と同様にして実施例26の酸窒化物蛍光体ガラスを作製した。
(実施例27)
炭酸プロピレンを5.94g(0.058モル)とした以外は、実施例25と同様にして実施例27の酸窒化物蛍光体ガラスを作製した。
【0093】
(実施例28)
プロピレンカーボネート2.04g(0.02モル)とした他は実施例21と同様にして、実施例28の酸窒化物蛍光体ガラスを作製した。
(実施例29)
塩化チタン0.15g(0.0008モル)、チタンイソプロポキシド0.34g(0.0012モル)、プロピレンカーボネート1.96g(0.019モル)とした以外は、実施例21と同様にして、実施例29の酸窒化物蛍光体ガラスを作製した。
【0094】
(実施例30)
塩化チタン0.15g(0.0008モル)、チタンイソプロポキシド0.34g(0.0012モル)とした他は実施例21と同様にして、実施例30の蛍光体ガラスを作製した。
(実施例31)
塩化チタン0.08g(0.0004モル)、チタンイソプロポキシド0.45g(0.0016モル)とした他は実施例21と同様にして、実施例31の蛍光体ガラスを作製した。
【0095】
(実施例32)
塩化チタン0.08g(0.0004モル)、チタンイソプロポキシド0.45g(0.0016モル)、プロピレンカーボネート2.00g(0.02モル)とした他は実施例21と同様にして、実施例32の蛍光体ガラスを作製した。
(実施例33)
pH2の水を用いた他は実施例21と同様にして、実施例33の蛍光体ガラスを作製した。
【0096】
(実施例34)
テトラメトキシラン2.74g(0.018モル)と塩化チタン0.114g(0.0006モル)、チタンイソプロポキシド0.398g(0.0014モル)を混合した液に、塩酸で調整したpH1の水を1.8g(0.1モル)滴下し、メタノール1.8g(0.056モル)加え、実施例21と同様に攪拌する。その後ジメチルフォルムアミド(DMF)4.30g(0.059モル)加えて実施例21と同様に実施例34の蛍光体ガラスを作製した。
【0097】
(比較例11)
テトラメトキシラン1.83g(0.012モル)と塩化チタン0.303g(0.0016モル)、チタンイソプロポキシド1.82g(0.0064モル)とした他は実施例21と同様にして、比較例11の蛍光体ガラスを作製したところ、不透明な焼結体が得られた。
【0098】
(比較例12)
テトラメトキシラン1.22g(0.008モル)と塩化チタン0.455g(0.0024モル)、チタンイソプロポキシド2.73g(0.0096モル)とした他は実施例21と同様にして、ゾルを作製したものの、ゲル化が起こらず、ガラスを作製することが出来なかった。
【0099】
(比較例13)
pH3の水を用いた他は実施例21と同様にしたところ、ゾルを形成する際に、沈殿が生じてしまい、均質なゲルを作製することが出来なかった。
表4、表5に、実験条件及び実験結果をまとめた。表でTi(OiPr)
4はチタンイソプロポキシドをDMFはジメチルフォルムアミドを示す。
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
(実施例35)
テトラメトキシシラン4.57g(0.03モル)と塩化スズ二水和物0.75g(0.003モル)、メタノール1.07g(0.03モル)を攪拌し、pH2に調整した水を滴下し、さらに攪拌した。SiAlONを0.11g添加し、攪拌し,蛍光体分散ゾルを得た。次に、蛍光体分散ゾルを26℃で1時間放置して、蛍光体分散ゲルを作製した。実施例1と同様に乾燥、焼結を行い、実施例35の蛍光体分散ガラスを作製したところ、透明なガラスを得ることができた。
【0103】
上記の説明および、表1〜表5に示したように、本願の実施例では、ガラス化に成功したが、比較例では沈殿物の形成や析出物の形成、粉末化などにより、透明なバルクガラスは形成されなかった。