特許第5713320号(P5713320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5713320
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】チューブコネクタ
(51)【国際特許分類】
   F16L 19/02 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
   F16L19/02
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-552934(P2011-552934)
(86)(22)【出願日】2010年3月1日
(65)【公表番号】特表2012-519814(P2012-519814A)
(43)【公表日】2012年8月30日
(86)【国際出願番号】US2010000616
(87)【国際公開番号】WO2010101617
(87)【国際公開日】20100910
【審査請求日】2011年9月8日
【審判番号】不服2014-6352(P2014-6352/J1)
【審判請求日】2014年4月7日
(31)【優先権主張番号】12/380,920
(32)【優先日】2009年3月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504005091
【氏名又は名称】ゲイツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(72)【発明者】
【氏名】スウィフト,ジョナサン クラーク
(72)【発明者】
【氏名】ホーワス,カーティス エム.
(72)【発明者】
【氏名】トトンチャン,シャーラム
【合議体】
【審判長】 丸山 英行
【審判官】 氏原 康宏
【審判官】 出口 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−76979(JP,U)
【文献】 特開2001−248767(JP,A)
【文献】 特開2000−240863(JP,A)
【文献】 特開平10−103189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 17/00-19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面に雄ネジ(11)を有する雄部(10)と、
チューブのコネクタ中心線(A-A)に対して約37°のシート角(θ)で配置された第1のチューブ面(32)を有する第1のチューブ(30)とを備え、
前記雄部は前記第1のチューブに対してクリアランスをもって係合し、
第2のチューブ(40)に対してクリアランスをもって係合し、前記雄ネジに係合可能なナット(20)を備え、
前記第2のチューブは、x=+0°から1°であって(θ’)=(θ+x)°の範囲にあるシート角(θ’)で配置された第2のチューブ面(41)を有し、
前記第1のチューブ面は、前記第1のチューブ面と前記第2のチューブ面の間のシール係合のために、前記ナットと前記雄部によって前記第2のチューブ面に対して押圧され、
前記雄部の押圧面(13)は前記第1のチューブの被押圧面(33)に係合し、前記雄部の押圧面と前記第1のチューブの被押圧面とは前記中心線に対して垂直であり、
前記ナットの肩部(22)の押圧面は前記第2のチューブの肩部(42)の被押圧面に係合し、前記ナットの肩部の押圧面と前記第2のチューブの肩部の被押圧面とは、前記中心線に対して垂直である
チューブコネクタ。
【請求項2】
前記雄部が、レンチに係合するための六角部を備える請求項1に記載のチューブコネクタ。
【請求項3】
前記ナットが、レンチに係合するための六角部を備える請求項1に記載のチューブコネクタ。
【請求項4】
外面に雄ネジ(11)を有する雄部(10)と、
チューブのコネクタ中心線(A-A)に対して約45°のシート角(θ)で配置された第1のチューブ面(32)を有する第1のチューブ(30)とを備え、
前記雄部は前記第1のチューブに対してクリアランスをもって係合し、
第2のチューブ(40)に対してクリアランスをもって係合し、前記雄ネジに係合可能なナット(20)を備え、
前記第2のチューブは、x=+0°から1°であって(θ’)=(θ+x)°の範囲にあるシート角(θ’)で配置された第2のチューブ面(41)を有し、
前記第1のチューブ面は、前記第1のチューブ面と前記第2のチューブ面の間のシール係合のために、前記ナットと前記雄部によって前記第2のチューブ面に対して押圧され、
前記雄部の押圧面(13)は前記第1のチューブの被押圧面(33)に係合し、前記雄部の押圧面と前記第1のチューブの被押圧面とは前記中心線に対して垂直であり、
前記ナットの肩部(22)の押圧面は前記第2のチューブの肩部(42)の被押圧面に係合し、前記ナットの肩部の押圧面と前記第2のチューブの肩部の被押圧面とは、前記中心線に対して垂直である
チューブコネクタ。
【請求項5】
前記雄部が、レンチに係合するための六角部をさらに備える請求項4に記載のチューブコネクタ。
【請求項6】
前記ナットが、レンチに係合するための六角部を備える請求項4に記載のチューブコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナットに係合可能な雄部を有するコネクタに関し、約37°のシート角を有する第1のチューブ面は、第1のチューブ面と第2のチューブ面の間のシール係合のためナットと雄部の間において、協同する第2のチューブ面に対して押圧される。
【背景技術】
【0002】
一般的に、チューブジョイントを成形する目的のため、接続されるチューブの外側端部に、通常ろう付けあるいは溶接によってチューブの端部に固定される、ろう付けあるいは溶接スパッドと呼ばれる円筒状のスリーブがまず設けられる。特にチューブが薄い壁厚であるとき、チューブへのスリーブの固定が、減少した強度のラインや区域の形成を引き起こさないことが必須である。
【0003】
他の連結は、チューブが初めにフレア加工される取付けである。フレア加工される前にチューブ端部は雄ネジ部を介して挿入される。ネジ部は、シールを形成するために協同面に対してフレア加工された端部を押圧する。
【0004】
従来技術の代表は、流体ブレーキシステムにおいてフレア加工されたチューブをネジ部へ連結するための雄チューブナットを開示するSAE国際規格J1290(2002年10月)である。
【0005】
必要であるものは、ナットに係合可能な雄部と、第1のチューブ面と第2のチューブ面の間のシール係合のために、ナットと雄部の間において、協同する第2のチューブ面または連結面に対して押圧される、約37°のシート角を有する第1のチューブ面とを有するコネクタである。本発明はこの要求に合致する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主要な特徴は、ナットに係合可能な雄部を有するコネクタであり、約37°のシート角を有する第1のチューブ面は、第1のチューブ面と第2のチューブあるいは結合面の間のシール係合のため、ナットと雄部の間において、協同する第2のチューブまたは結合面に対して押圧される。
【0007】
本発明の他の特徴は、本発明の以下の説明と添付された図面により指摘され明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、外面に雄ネジを有する雄部と、チューブのコネクタ中心線に対して約37°のシート角(θ)で配置された第1のチューブ面を有する第1のチューブとを備え、雄部が第1のチューブに対してクリアランスをもって係合し、第2のチューブに対してクリアランスをもって係合する雄ネジに係合可能なナットを備え、第2のチューブが、x=+0°から1°であって(θ’)=(θ+x)°の範囲にあるシート角(θ’)で配置された第2のチューブ面を有し、第1のチューブ面が第1のチューブ面と第2のチューブ面の間のシール係合のためにナットと雄部によって第2のチューブ面に対して押圧されるチューブコネクタである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
この明細書に組み込まれその一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、説明とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
図1】従来技術の断面図である。
図2】厚壁チューブを用いた改良カップリングの断面図である。
図3】薄壁チューブを用いた改良カップリングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は従来技術の断面図である。従来公知の37°JIC(Joint Engineering Council)カップリング(A)がチューブあるいはカップリング(C)に連結されて示されている。ネジ付きナット(B)はJICコネクタ(A)に協同ネジ(E)で係合する。(D)におけるチューブ(C)とコネクタ(A)の間の協同面は、コネクタ中心線A−Aに対して約37°のシート角(θ)で設けられる。ネジ部(E)は雌ナット(B)に係合するための雄構造を有する。
【0011】
従来技術のコネクタは、コネクタ(A)のソケット端(G)に別個に連結されるチューブ(F)を必要とする。連結は通常、漏れの生じない連結を得るために、ろう付けあるいは溶接により果たされる。チューブ(F)はチューブあるいはカップリング(C)に接触せず、係合もしない。連結部分はJICコネクタ(A)とチューブまたはカップリング(C)の間での接触によりシールされる。
【0012】
図2は厚壁チューブを用いた改良カップリングの断面図である。
【0013】
コネクタ100は雄コネクタ部10、雌ナット部20、チューブ30およびチューブ40を備える。コネクタの目的はチューブ30とチューブ40の間で高圧連結を実現することである。
【0014】
コネクタ部10は、雌ナット部20の内面においてネジ21に協同的に係合する外面にネジ11を備える。コネクタ部10は、チューブ30の外径(OD1)よりわずかに大きい内径(ID1)を有し、これはクリアランス14を形成することとなり、コネクタ部10とチューブ30の間に摺動嵌合を生じる。ナット20とチューブ40の間に設けられた径方向クリアランス23があり、これにより、雄コネクタ部10への取付け中に、チューブ40がチューブ30に引き寄せられるときにナット20が回転することができる。
【0015】
これに代えて、チューブ30は従来技術の方法を用いてコネクタ部10内で機械的に拡張されてもよく、それによりナット20にトルクを与えるときに、チューブ30に対するコネクタ部10の回転を防ぐ。代案として、コネクタ部10は同じ結果を得るためにチューブ30に対して締付け固定されたり圧縮されてもよい。他の固定方法は、ろう付け、溶接、はんだ付け、接着あるいは締りばめを含む。
【0016】
チューブ30の端部31はフレア面32を備える。面32はコネクタ中心線A−Aに対して約37°から39°のシート角(θ)で設けられる。
【0017】
チューブあるいはカップリング40の端部43はフレア状に広げられ、すなわち機械加工される。肩部42の外径(OD42)はチューブ40の外径(OD40)よりも大きい。図3参照。チューブ40の面41は面32を協同的に受容し、かつ係合するために、約37°から39°のシート角(θ)を有する。ナット20の肩部22は、コネクタが成形されるときにチューブ40の肩部42に機械的に係合する。
【0018】
他の実施形態において、面32と面41は約45°から47°の範囲のシート角(θ)を有する。
【0019】
端部43は、従来公知であるSAE二重角構造またはSAEユニバーサル構造を有していてもよい。
【0020】
面41、32はコネクタの液密に対して機能を果たすシール面である。ナット20はコネクタ部10に螺合され、これにより肩部22が肩部42を押圧する。肩部15は面13を介して、端部31と面32を面41と肩部42に対して押圧し、それにより押圧シールを生じる。
【0021】
シールを最適化するために、面41の角度は、面32の角度よりもわずかに大きく、約+0°から+1°の範囲において不一致でもよい。他の方法は、面41の角度が以下の範囲であることである。
(θ’)=(θ+x)°
ここでx=+0°から1°
【0022】
さらに、連結部分が十分に回転させられているときに端部31と端部43はいくらか制限された融通性を有し、これによりコネクタは、シール面41、32とそれらの相互位置におけるある程度の製造誤差が緩和される。これは、公差を管理する必要性を減らすことによってコネクタを製造するためのコストが減少することに役立つ。
【0023】
面13と面33はA−Aに実質的に垂直に、径方向に延びて示されているが、他の実施形態では、面33と面13は約30°から50°の角度(φ)で延びていてもよい。
【0024】
ナット20はレンチに係合するためにA−Aに垂直な断面図において六角形状を有する。六角端部12も、コネクタを締めるためにレンチとともに用いられてもよい。
【0025】
本実施形態において、くぼみ34は最小であるか、または存在しない。これは厚壁チューブの相対厚さ(T)のためであり、フレア工程の結果である。フレア端部31の成形において、厚壁チューブの肩部35における材料は、かなり大きいくぼみ34の形成を避けるのに十分である程度に、多少押圧される。“厚壁”チューブとは、0.5インチから2インチまでの壁厚(T)を有するチューブを指す。
【0026】
図3は薄壁チューブを用いた改善カップリングの断面図である。“薄壁”チューブとは、0.2インチから2インチまでの壁厚(T2)を有するチューブを指す。
【0027】
この他の実施形態では、コネクタは下記を除いて図2に示されたものと同様である。厚さT2は薄壁チューブに対して特徴的であり、すなわちT2<Tである。くぼみ34は端部31がフレア成形あるいはロール成形されて形成される。フレア部310は、チューブのフレアがない部分と実質的に同じ厚さT2を有する。
【0028】
その薄い断面のために、コネクタが回転させられるときに、端部310がA−Aに向かって内側に曲がることによりわずかに変形するのを許容するように、端部310はいくらか柔軟である。面320が面41に係合する力は、端部310のバネ定数の関数である。バネ定数は、厚みT2と端部310の片持ち梁の特性と面41および面320の間の接触状態との関数である。図1に関して記載したように、連結部分が十分に回転させられているときに端部310と端部43はいくらか制限された融通性を有し、これによりコネクタは、シール面41、320および/またはそれらの相互位置におけるある程度の製造誤差が緩和される。これは、コネクタを製造するためのコストが減少することに役立つ。
【0029】
図1および図2の実施形態において、圧力境界を形成するために、チューブ30は面32(あるいは320)と面41においてチューブ40に直接接触する。これにより、本コネクタは、チューブ30をコネクタ10のソケット端に取付けるためにろう付けの使用が回避される。例えば図1の(F)、(G)および(A)を参照。同様に、適切なシールのために厳しい製造公差が要求される面は、面32(あるいは320)、41、そして角度(θ)に制限される。コネクタ部10とチューブ30の間、およびコネクタ部20とチューブ40の間の係合は、ネジ結合のために、緩く、クリアランスのある嵌合であることだけが必要である。この簡略化した構造は製造時間とコストを減少させる。
【0030】
ここでは、本発明の1つ形態について説明されたが、当業者にとっては、ここで説明された本発明の趣旨と範囲を逸脱することなく、その構成や構成部の関係を様々に変形することは容易である。
図1
図2
図3