(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
対象物の動きを感知し、電圧に変換して出力する人感センサが対象物を感知し始めてから所定時間内における当該人感センサの出力電圧のピーク値を検出するピーク値検出ステップと、
雨粒を感知したときの前記ピーク値からの前記出力電圧の変化に関する情報に基づき、前記ピーク値検出ステップにおいて前記ピーク値を検出してから所定時間後における雨粒を感知した場合の前記出力電圧に基づいて閾値を決定する閾値決定ステップと、
前記ピーク値検出ステップにおいて前記ピーク値を検出してから所定時間後における前記出力電圧と前記閾値に基づき、感知した対象物が雨粒であるか否かを判定する判定ステップとを備えることを特徴とする人感センサによる雨粒感知識別方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特に屋外に設置される自動販売機は降雨に晒される。そのため、人感センサが、感知範囲内の空間を落下する雨粒を利用者の動きと誤って感知してしまう不都合があった。
【0005】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、雨粒による人感センサの誤感知を効果的に解消したセンサユニット、自動販売機、又は、雨粒による人感センサの誤感知を効果的に解消する雨粒感知識別方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明のセンサユニットは、対象物の動きを感知し、電圧に変換して出力する人感センサを備えたものであって、人感センサが対象物を感知し始めてから所定時間内における当該人感センサの出力電圧のピーク値を検出するピーク値検出手段と、雨粒を感知したときのピーク値からの出力電圧の変化に関する情報を有し、ピーク値検出手段がピーク値を検出してから所定時間後における雨粒を感知した場合の出力電圧に基づいて閾値を決定する閾値決定手段と、ピーク値検出手段がピーク値を検出してから所定時間後における出力電圧と閾値に基づき、感知した対象物が雨粒であるか否かを判定する判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明のセンサユニットは、上記発明において自動販売機の前面側における利用者を感知するために当該自動販売機に設けられることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明のセンサユニットは、上記発明において自動販売機の外扉に設けられる金額表示器であることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明のセンサユニットは、請求項2又は請求項3の発明において、ピーク値検出手段、閾値決定手段、及び、判定手段をとして機能する制御手段を備え、この制御手段は、通信により状態情報を自動販売機側の制御手段に送信することを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明の自動販売機は、対象物の動きを感知し、電圧に変換して出力する人感センサを備えたものであって、人感センサが対象物を感知し始めてから所定時間内における当該人感センサの出力電圧のピーク値を検出するピーク値検出手段と、雨粒を感知したときのピーク値からの出力電圧の変化に関する情報を有し、ピーク値検出手段がピーク値を検出してから所定時間後における雨粒を感知した場合の出力電圧に基づいて閾値を決定する閾値決定手段と、ピーク値検出手段がピーク値を検出してから所定時間後における出力電圧と閾値に基づき、感知した対象物が利用者であるか雨粒であるかを判定する判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明の自動販売機は、上記発明において照明装置と、この照明装置の点灯を制御する照明装置制御手段とを備え、この照明装置制御手段は、判定手段による判定が雨粒である場合は照明装置を点灯せず、判定手段による判定が利用者である場合に照明装置を点灯すると共に、判定手段による雨粒の判定が一定時間内に所定回数以上行われた場合、降雨状態と判断して照明装置を点灯する降雨状態点灯制御を実行することを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明の自動販売機は、上記発明において照明装置制御手段は、降雨状態点灯制御において所定の点灯時間、照明装置を点灯すると共に、この点灯時間内に再度降雨状態と判断した場合、その時点から点灯時間を開始することを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明のセンサユニット又は自動販売機は、上記各発明において人感センサは、ドップラー式電波センサであることを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明の人感センサによる雨粒感知識別方法は、対象物の動きを感知し、電圧に変換して出力する人感センサが対象物を感知し始めてから所定時間内における当該人感センサの出力電圧のピーク値を検出するピーク値検出ステップと、雨粒を感知したときのピーク値からの出力電圧の変化に関する情報に基づき、ピーク値検出ステップにおいてピーク値を検出してから所定時間後における雨粒を感知した場合の出力電圧に基づいて閾値を決定する閾値決定ステップと、ピーク値検出ステップにおいてピーク値を検出してから所定時間後における出力電圧と閾値に基づき、感知した対象物が雨粒であるか否かを判定する判定ステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
対象物の動きを感知し、電圧に変換して出力する人感センサの出力電圧は、感知した対象物が雨粒である場合と自動販売機等の利用者(人)である場合とで、感知し始めてからの変化が大きく異なる。
【0016】
そこで、本発明のセンサユニット又は自動販売機又は雨粒感知識別方法によれば、人感センサが対象物を感知し始めてから所定時間内における当該人感センサの出力電圧のピーク値を検出するピーク値検出手段と、雨粒を感知したときのピーク値からの出力電圧の変化に関する情報を有し、ピーク値検出手段がピーク値を検出してから所定時間後における雨粒を感知した場合の出力電圧に基づいて閾値を決定する閾値決定手段と、ピーク値検出手段がピーク値を検出してから所定時間後における出力電圧と閾値に基づき、感知した対象物が雨粒であるか否かを判定する判定手段とを備えているので、人感センサの出力電圧の変化に基づいて、感知した対象物が雨粒であるか否かを的確に判定することができるようになる。
【0017】
また、人感センサが対象物を感知し始めてから所定時間内に出力電圧のピーク値を検出し、該ピーク値を検出してから所定時間後における出力電圧と、ピーク値を検出してから所定時間後における雨粒を感知した場合の出力電圧である閾値に基づいて判定するので、各所定時間を十分短い時間に設定することで、感知対象物が雨粒であるか否かを極めて迅速に判定することが可能となる。
【0018】
これにより、請求項2や請求項5の発明の如く自動販売機において、雨粒を自動販売機の前面側における利用者と誤って感知する不都合を迅速且つ的確に判定し、請求項6の如く照明装置制御手段が、判定手段による判定が雨粒である場合は照明装置を点灯せず、判定手段による判定が利用者である場合に照明装置を点灯する制御を実行する自動販売機において、照明装置の制御を最適に行うことができるようになる。
【0019】
また、請求項3の発明の如くセンサユニットを自動販売機の金額表示器とすれば、請求項1や請求項2の発明のセンサユニットを自動販売機に効率よく採用することができるようになると共に、自動販売機への組み付けも容易となる。
【0020】
更に、請求項4の発明の如くピーク値検出手段、閾値決定手段、及び、判定手段をとして機能する制御手段を備え、この制御手段が、通信により状態情報を自動販売機側の制御手段に送信するようにすれば、センサユニットの人感センサが感知した情報等を支障無く自動販売機側に通知し、自動販売機側における制御に供することが可能となる。
【0021】
特に、請求項6の発明の如く照明装置制御手段が、判定手段による雨粒の判定が一定時間内に所定回数以上行われた場合、降雨状態と判断して照明装置を点灯する降雨状態点灯制御を実行するようにすれば、降雨量が多くなり、判定手段による利用者であるか雨粒であるかの判定が困難な状況となった場合に、照明装置が点消灯を繰り返す不都合を未然に回避することができるようになる。
【0022】
また、降雨量が多い状況では自動販売機周辺も暗くなるので、照明装置により明るく周囲を照らして商品のアピール効果を向上させることが可能となる。この場合、請求項7の発明の如く照明装置制御手段が、降雨状態点灯制御において所定の点灯時間、照明装置を点灯すると共に、この点灯時間内に再度降雨状態と判断した場合、その時点から点灯時間を開始するようにすれば、降雨状態が続く限り点灯時間を更新し、照明装置の点灯を延長することができるようになる。
【0023】
そして、以上のことは請求項8の発明の如き人感センサとしてドップラー式電波センサを用いたときに特に有効である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0026】
図1は本発明を適用した一実施例の自動販売機1の正面図を示している。実施例の自動販売機1は、前面が開口した断熱性の本体2と、この本体2の前面を開閉自在に閉塞する外扉3を備えており、屋外に設置される。本体2内に図示しない商品収納庫が構成され、この商品収納庫内に販売する缶飲料、ペットボトル飲料等の商品が収納されている。また、商品収納庫の下側には図示しない機械室が構成され、この機械室内には商品収納庫内を冷却又は加温するための冷凍機が設置されている。尚、商品収納庫の前面開口はこれも図示しない断熱性の内扉で開閉自在に閉塞されている。
【0027】
外扉3は係る内扉の前側に間隔を存して位置しており、実施例では向かって左側が本体2に回動自在に枢支されている。外扉3の前面上部には商品サンプル室4が構成されており、この商品サンプル室4内に陳列された複数の各商品サンプルに対応して複数の商品選択スイッチ6が配置されている。また、商品サンプル室4の下側の外扉3前面には、広告パネル(広告表示部)5が構成されており、この広告パネル5の下側の外扉3前面下部には商品取出口7が構成されている。
【0028】
更に、外扉3前面の向かって右側(非枢支側)中央部には化粧パネル8が取り付けられており、この化粧パネル8内に位置して硬貨投入口9、返却レバー11が設けられている。また、この化粧パネル8の向かって左側の外扉3前面には、本発明におけるセンサユニットの実施例としての金額表示器12が取り付けられている。この金額表示器12については後に詳述する。
【0029】
更に、この金額表示器12の下側の外扉3前面には紙幣識別装置(ビルバリ)19が取り付けられている。また、商品取出口7の向かって右側の外扉3前面には硬貨返却口13が構成されている。
【0030】
商品サンプル室4の各商品選択スイッチ6の後側には蛍光灯やLEDから成る商品サンプル室照明装置18が取り付けられ、商品サンプル室4内の商品サンプルを照明している。また、商品サンプル室4内上部には飲料メーカー名等が表示されたロゴパネル(広告表示部)14が配置されている。そして、このロゴパネル14や広告パネル5には、蛍光灯やLEDから成る広告用照明装置16、17がそれぞれ設けられている。尚、本出願における照明装置としては係る蛍光灯やLEDの他に、液晶パネルや有機EL等も採用できる。
【0031】
次に、
図2は前記金額表示器(本発明のセンサユニット)12の正面図を示している。金額表示器12内には後述する金額表示器側制御装置(センサユニット側制御装置)21の基板(回路基板)の他、投入金額や商品収納庫内の温度等を表示するための7セグLED表示器22や赤外線通信を行うためのLED23と、本発明に係る人感センサ24が取り付けられている。
【0032】
尚、実施例の人感センサ24としてはドップラー式電波センサが採用されている。人感センサ24は外扉3の前面側における感知範囲内での感知対象物の動きを反射して来る電波によって感知し、電圧に変換して信号を出力(出力電圧が変化)する。本発明において人感センサ24は、その出力電圧の変化に基づいて後述する如く自動販売機1の外扉3の前面側に利用者が到来したことを感知するために用いられるものである。
【0033】
次に、
図3は自動販売機1の人感センサ24に係る電気回路を示している。金額表示器12に設けられたマイクロコンピュータから成る金額表示器側制御装置21(センサユニット側の制御手段)の入力には人感センサ24が接続されている。この金額表示器側制御装置21は、自動販売機1の商品販売制御を司る自動販売機側制御装置27(自動販売機側の制御手段)と通信によりデータ(状態情報)の送受信を行う。自動販売機側制御装置27には前述した各照明装置16〜18が接続され、自動販売機側制御装置27は照明装置制御手段として機能すると共に、更に図示しないが自動販売機1の商品温度制御から商品販売制御に係る各種機器が接続されている。
【0034】
尚、後述する人感センサ24に係る動作説明では、金額表示器側制御装置21が本発明におけるピーク値決定手段、閾値決定手段、及び、判定手段として機能するかたちで説明するが、それに限らず、金額表示器側制御装置21からは人感センサ24の出力電圧に関するデータのみが自動販売機側制御装置27に送られ、この自動販売機側制御装置27が本発明におけるピーク値決定手段、閾値決定手段、及び、判定手段として機能するようにしてもよい。
【0035】
(I)人感センサによる対象物の感知と金額表示器側制御装置による判定制御
次に、
図4及び
図5を参照しながら金額表示器(センサユニット)12に設けられた人感センサ24による対象物の感知と金額表示器側制御装置21による判定制御(雨粒感知識別の方法)について説明する。
図4の縦軸は人感センサ24の出力電圧、横軸は時間である。また、図中の実線は雨粒感知波形(人感センサ24が雨粒を対象物として感知したときの出力電圧の変化)を示し、破線は人(利用者)感知波形(人感センサ24が人(利用者)を対象物として感知したときの出力電圧の変化)を示している。
【0036】
尚、雨粒及び人の何れの場合にも、人感センサ24からの距離や移動速度、寸法等によって波形は異なって来るが、雨粒であるときと人であるときとのそれぞれにおいて傾向は似通って来る。雨粒の場合には人感センサ24が感知し始めてから出力電圧は急激に上昇し、ピーク値を迎えた後、或る時定数で減少する尖った波形の傾向となる(
図4の実線)。一方、人の場合には感知し始めてから出力電圧は比較的緩やかに上昇していき、ピーク値からやがて緩やかに減少していく山形波形の傾向となる(
図4の破線)。そこで、
図4は何れも代表的な波形を示している。
【0037】
また、金額表示器側制御装置21は、人感センサ24が雨粒を感知したときの、ピーク値からの出力電圧の変化に関する情報として、ピーク値から所定時間後の出力電圧の値Bに関する情報を予め保有している。尚、この所定時間は自動販売機1において利用者を感知する場合の十分に短い所定時間であり、例えば100msに設定される。このピーク値から所定時間後の出力電圧の値Bは、その時点で最も出力電圧が高くなる雨粒(例えば、現実的に想定される常識的な雨粒の大きさよりも更に大きい雨粒)を感知したときの出力電圧を予め実験により測定しておいた数値であり、ピーク値の値は距離等によっても異なって来るので、金額表示器側制御装置21には各ピーク値に対応して値Bが決定され、データテーブルとして書き込まれている。
【0038】
尚、係るデータテーブルでは無く、計算式を金額表示器側制御装置21に保有させておき、金額表示器側制御装置21がこの計算式を用い、ピーク値に基づいて値Bを算出するようにしてもよい。また、ピーク値から所定時間後の出力電圧をそのまま値Bとするのでは無く、それに基づいて決定した値、例えばその値に+αした値を値Bとしてもよい。
【0039】
次に、金額表示器側制御装置21の実際の動作を説明する。金額表示器側制御装置21は、人感センサ24が対象物を感知し始めてから所定のピーク値検出時間内における出力電圧の最大値をピーク値として検出する(ピーク値検出手段、ピーク値検出ステップ)。このピーク値検出時間も自動販売機1において利用者を感知する場合の十分に短い所定時間であり、例えば50ms程に設定される(
図4及び
図5でハッチングで示す範囲)。
【0040】
今、対象物が雨粒であった場合、人感センサ24の出力電圧(実線)は感知し始めてから急激に上昇し、このピーク値検出時間内でピーク値となり、そこから所定の時定数で降下していく。一方、対象物が人(利用者)であった場合、人感センサ24の出力電圧(破線)は感知し始めてから比較的緩やかに上昇していくので、この短いピーク値検出時間内ではピークを迎えず、その後も上昇していくことになる。従って、人であった場合には、金額表示器側制御装置21はピーク値検出時間が経過する時点での出力電圧をピーク値として決定することになる。
【0041】
次に、金額表示器側制御装置21は上述した如く検出したピーク値に基づき、前記データテーブルから当該ピーク値に対応して書き込まれている該ピーク値から所定時間(100ms)後における出力電圧Bを読み出し、それを雨粒判定用閾値Bとして決定する(閾値決定手段、閾値決定ステップ)。
【0042】
次に、金額表示器側制御装置21は上述の如く検出したピーク値から前記所定時間(100ms)後における人感センサ24の出力電圧Cを取り込む。そして、この取り込んだ出力電圧Cと前述した雨粒判定用閾値Bとを比較し、C≧Bの場合は対象物を人(利用者)と判定し、C<Bの場合には対象物を雨粒と判定する(判定手段、判定ステップ)。
【0043】
人感センサ24が実際に感知した対象物が常識的な大きさ以下の雨粒であれば、出力電圧は検出したピーク値から急速に減少し、閾値Bよりも出力電圧Cは十分に低くなる。一方、対象物が人(利用者)であった場合、出力電圧は検出したピーク値から更に上昇していく。一方、人を感知した場合のピーク値に基づく閾値B(人を感知した場合のピーク値に基づく雨粒判定用閾値B)は、人を感知したときのピーク値より低い値となるので、出力電圧Cはこの場合の閾値Bよりも確実に大きくなる(
図5参照。C≧B)。これにより、金額表示器側制御装置21は人感センサ24が感知した対象物が人(利用者)であるか、雨粒であるかを的確に判定することができる。
【0044】
(II)自動販売機側制御装置による照明制御
このように判定された結果は金額表示器側制御装置21から自動販売機側制御装置27に人感センサ感知状態データ(状態情報)として送信される。
図6には実際の送信状況が示されている。この図においてD1は判定結果が雨粒であった場合の人感センサ感知状態データであり、D2は人(利用者)であった場合の人感センサ感知状態データを示している。
【0045】
自動販売機側制御装置27は、金額表示器側制御装置21から送信された人感センサ感知状態データがD1であった場合(雨粒の場合)、照明装置16〜18は点灯しない。一方、金額表示器側制御装置21から送信された人感センサ感知状態データがD2であった場合(利用者の場合)、自動販売機側制御装置27は照明装置16〜18を所定時間(例えば10s)点灯する(同時に所定の演出効果を実行してもよい)。これにより、利用者に商品をアピールすると共に、利用者が商品を選択し易い状態とする。
【0046】
一方、雨が激しくなり、降り注ぐ雨粒が多くなって、一定時間(例えば60s、即ち、1分)内に所定回数(例えば(1)〜(10)の10回)以上人感センサ24が雨粒を感知し(降雨条件の成立)、金額表示器側制御装置21から人感センサ感知状態データとしてD1が送信された場合、自動販売機側制御装置27は天候が本格的な降雨状態となったものと判断し、照明装置16〜18を所定の点灯時間(例えば600s、即ち、10分)だけ点灯させる降雨状態点灯制御を実行する。これにより、降雨状態においても自動販売機1を認識し易くなり、自動販売機1の周辺も明るくなる。
【0047】
尚、この降雨状態点灯制御を実行している間に、再度上記降雨条件が成立して降雨状態の判断した場合、自動販売機側制御装置27はその時点から点灯時間(600s)を開始するものである。
【0048】
以上詳述した如く本発明の自動販売機1の金額表示器12は、金額表示器側制御装置21が人感センサ24が対象物を感知し始めてから所定時間内における当該人感センサ24の出力電圧のピーク値を検出し、雨粒を感知したときのピーク値からの出力電圧の変化に関する情報を有し、ピーク値を検出してから所定時間後における雨粒を感知した場合の出力電圧に基づいて閾値を決定し、ピーク値を検出してから所定時間後における出力電圧と閾値に基づき、感知した対象物が雨粒であるか否かを判定するようにしたので、人感センサ24の出力電圧の変化に基づいて、感知した対象物が雨粒であるか否かを的確に判定することができるようになる。
【0049】
また、人感センサ24が対象物を感知し始めてから所定時間内に出力電圧のピーク値を検出し、該ピーク値を検出してから所定時間後における出力電圧と、ピーク値を検出してから所定時間後における雨粒を感知した場合の出力電圧である閾値に基づいて判定するので、十分短い各所定時間において感知対象物が雨粒であるか否かを極めて迅速に判定することが可能となる。
【0050】
これにより、雨粒を自動販売機1の前面側における利用者と誤って感知する不都合を迅速且つ的確に判定し、自動販売機側制御装置27が雨粒である場合は照明装置16〜18を点灯せず、利用者である場合に照明装置16〜18を点灯する制御を実行する自動販売機1において、照明装置16〜18の制御を最適に行うことができるようになる。
【0051】
また、実施例では自動販売機1の金額表示器12を人感センサ24を備えたセンサユニットとしているので、金額表示器とは別々に人感センサを取り付ける場合に比して、自動販売機1に効率よく採用することができるようになると共に、自動販売機1への組み付けも容易となる。
【0052】
特に、自動販売機側制御装置27は、雨粒の判定が一定時間内に所定回数以上行われた場合、降雨状態と判断して照明装置16〜18を点灯する降雨状態点灯制御を実行するので、降雨量が多くなり、利用者であるか雨粒であるかの判定が困難な状況となった場合に、照明装置16〜18が点消灯を繰り返す不都合を未然に回避することができるようになる。
【0053】
また、降雨量が多い状況では自動販売機1周辺も暗くなるので、照明装置16〜18により明るく周囲を照らして商品のアピール効果を向上させることが可能となる。更に、自動販売機側制御装置27は、降雨状態点灯制御において所定の点灯時間、照明装置16〜18を点灯するものであるが、この点灯時間内に再度降雨状態と判断した場合、その時点から点灯時間を開始するようにしているので、降雨状態が続く限り点灯時間を更新し、照明装置16〜18の点灯を延長することができるようになる。
【0054】
尚、以上詳述した本出願から把握される発明としては、以下のものが考えられる。即ち、
対象物の動きを感知し、電圧に変換して出力する人感センサを備えた自動販売機において、
照明装置と、
該照明装置の点灯を制御する照明装置制御手段と、
前記人感センサが感知した対象物が利用者であるか雨粒であるかを判定する判定手段とを備え、
前記照明装置制御手段は、前記判定手段による判定が雨粒である場合は前記照明装置を点灯せず、前記判定手段による判定が利用者である場合に前記照明装置を点灯すると共に、
前記判定手段による雨粒の判定が一定時間内に所定回数以上行われた場合、降雨状態と判断して前記照明装置を点灯する降雨状態点灯制御を実行することを特徴とする自動販売機。
【0055】
前記照明装置制御手段は、前記降雨状態点灯制御において所定の点灯時間、前記照明装置を点灯すると共に、
該点灯時間内に再度前記降雨状態と判断した場合、その時点から前記点灯時間を開始することを特徴とする上記に記載の自動販売機。
【0056】
前記人感センサは、ドップラー式電波センサであることを特徴とする上記のうちの何れかに記載の自動販売機。
【0057】
上記の如き構成によっても、降雨量が多くなり、判定手段による利用者であるか雨粒であるかの判定が困難な状況となった場合に、照明装置が点消灯を繰り返す不都合を未然に回避することができるようになる。
【0058】
また、降雨量が多い状況では自動販売機周辺も暗くなるので、照明装置により明るく周囲を照らして商品のアピール効果を向上させることが可能となる。この場合、照明装置制御手段が、降雨状態点灯制御において所定の点灯時間、照明装置を点灯すると共に、この点灯時間内に再度降雨状態と判断した場合、その時点から点灯時間を開始するようにすれば、降雨状態が続く限り点灯時間を更新し、照明装置の点灯を延長することができるようになる。
【0059】
そして、以上のことは人感センサとしてドップラー式電波センサを用いたときに特に有効である。