【実施例1】
【0014】
次に、
図1に基づいて、上記プリンタ10が備える電装部100の構成を説明する。
図1は、実施例1による電装部の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施例の電装部100は、制御部101と、該制御部101に接続されたスペースモータドライバ102、I/F部(通信部)103、I/Fドライバ104、印字データ格納部105、状態監視部106、タイマカウント部(タイマ部)107、Auto OFF移行判断部(自動電源オフ決定部)108、Headドライバ(印刷部)109、電源部110、操作部111等で構成されている。
また、スペースモータドライバ102には、スペースモータ5(
図7)が接続され、Headドライバ109には、印字Head6(
図7)が接続されている。
【0015】
制御部101は、CPUを搭載して、上記電装部100を構成する各機能部の動作を一括制御する。
【0016】
I/F部103は、通信ケーブル120を介して外部装置としてのPC300と接続され、I/Fドライバ104の通信制御により、所定のインターフェース規約に準じて、PC300との間で各種データ、情報、コマンド等の授受を行う。
本実施例では、インターフェース規約として、セントロニクス(IEEE1284)インターフェースやUSBインターフェース等、インターフェース信号にBUSY信号、或いはこれに準ずる信号を備えたものが使用可能である。
【0017】
I/F部103が受信した印字データは、I/Fドライバ104より制御部101に送られ、制御部101のメモリ制御により、印字データ格納部(例えば、DRAM:Dynamic Random Access Memory)105に一時格納される。
【0018】
Headドライバ109は、制御部101から送信される印字データに基づいて印字Head6(
図7)を駆動し、記録媒体に印字を行う。
スペースモータドライバ102は、該印字動作に同期して、制御部101より送信される主走査信号に基づいてスペースモータ5(
図7)を回転駆動し、キャリッジユニット2(
図7)を記録媒体の幅方向に移動させる。
【0019】
状態監視部106は、現在のプリンタの状態、すなわち、待機状態、印字状態、Sleep状態、自動電源オフ状態の各状態を検出する。制御部101は、状態監視部106からの検出情報を取得し、それぞれの状態に応じた制御を行う。
ここで、待機状態とは、PC300からのデータ受信待ち状態のことである。
印字状態とは、受信データに基づく印字動作を実施している状態のことである。
Sleep状態とは、比較的電力消費の大きい素子への電力供給が停止された低電力状態のことである。但し、Sleep状態においてCPUは動作可能であり、PC300とのデータ通信は可能とされている。
自動電源オフ状態とは、装置の電源が自動切断されている状態である。
【0020】
タイマカウント部107は、例えば、待機状態からSleep状態への移行経過時間やSleep状態から自動電源オフ決断への移行経過時間等をカウントする。
尚、上記各状態からの移行時間は、ユーザが操作部111のメニュー設定部(図示せず)により、任意に設定可能である。
また、タイマカウント部107は、PC300からのデータ受信時やユーザによる操作部111のボタン操作時にリセットされる。
【0021】
Auto OFF移行判断部108は、タイマカウント部107のカウント結果に基づいて、自動電源オフ処理への移行を決断する。すなわち、Sleep状態が予め定められた一定時間継続すると、自動電源オフ処理への移行を決断する。
該自動電源オフ処理は、自動電源オフ処理への移行を決断後、プリンタのBUSY信号を有効にした状態で所定の時間PC300からデータを受信しなかった場合に実施される。所定時間内にデータを受信した場合は、自動電源オフ処理は中止され、データの受信を継続して行う。
【0022】
電源部110は、AC電源を所定のDC電源に変換して、プリンタ内の各素子や各駆動系に供給する。各素子や各駆動系への電力供給は、制御部101の指示に従って行われる。
自動電源オフ処理が実施された場合やSleep状態への移行時には、制御部101から電源オフ信号、或いはDC出力停止信号が発行される。電源部110は、これらの信号に基づいて、電源の供給停止、或いは所定のDC出力の供給停止を行う。
【0023】
操作部111は、各種操作スイッチや操作ボタン、状態表示等を行う表示部等を備え、プリンタ10とユーザとの間でマンマシンインターフェースの役割を果たす。
【0024】
次に、
図2に基づいて、上記構成による実施例1の動作を説明する。
図2は、実施例1の動作を示すフローチャートである。尚、以下の処理は、制御部101の制御により実施される。具体的には、制御部101のCPUが所定の制御プロクラムを実行することにより行われる。
【0025】
図2において、プリンタ10のACスイッチをオンすると(S101)、プリンタ10(電装部100)の初期化が実施される(S102)。
次に、タイマカウント部107が一旦リセットされ、その後、タイマカウント部107に所定の時間(待機状態からSleep状態への移行時間:例えば、5分)がセットされカウント動作が開始される(S103)。以降、プリンタ10は、待機状態となる(S104)。
【0026】
待機状態中にPC300から印字データを受信すると(S105)、該受信データに基づく印字動作が実施される(S106)。尚、受信データは、一旦、印字データ格納部105に格納された後、適宜読み出されて印字動作が実施される。この間、プリンタ10は、印字状態となっている。
印字動作が終了すると、タイマカウント部107はリセットされ、再度、所定のタイマ設定時間にてカウント動作が開始されて、プリンタ10を待機状態に移行させると共に(S104)、PC300からのデータ受信を監視しながら待機する(S104〜S105)。
【0027】
また、先のS104〜S105において、所定の時間内にPC300からデータを受信しなかった場合、プリンタ10は、Sleep状態に移行し(S107)、PC300からのデータ受信を監視しながら待機する(S107〜S108)。尚、この場合、タイマカウント部107は、予め設定された所定時間(Sleep状態から自動電源オフ決断への移行時間:例えば、5分)によるカウント動作が行われる。
ここで、Sleep状態とは、各モータドライバやセンサ等、比較的電力消費の大きい素子への電力供給が停止された低電力状態のことである。但し、Sleep状態においては、PC300とのデータ通信は可能とされている。
【0028】
Sleep状態中にPC300から印字データを受信すると(S108)、受信データに基づく印字動作が実施される(S106)。印刷終了後、タイマカウント部107がリセットされると共に、再度所定のタイマ設定時間(待機状態からSleep状態への移行時間)にてカウント動作が開始され、プリンタ10を待機状態に移行させる(S104)。
【0029】
また、先のS107〜S108において、所定時間内にPC300からデータを受信しなかった場合、Auto OFF移行判断部108は、自動電源オフ処理への移行を決断すると共に、操作部111の表示部に『Auto OFFの待機中』を表示し(S109)、PC300に対してデータ送信の禁止を指示する。例えば、インターフェース規約がセントロニクスインターフェースに準ずるものであれば、BUSY信号を有効(ON)として、PCからのデータ受信を拒否する(S110)。
【0030】
Auto OFF移行判断部108は、BUSY信号のONと同時にPC300からのデータ送信を監視する(S111)。データの送信は、STB信号のONで認識する。
所定の時間内にPC300からのデータ送信を認識すると、直ちにBUSY信号を無効(OFF)とすると共に、PC300からのデータ受信を継続し(S112)、その後、該受信データに基づく印字動作を実施する(S106)。
【0031】
また、BUSY信号のONより所定時間が経過してもPC300からのデータ送信が認識できない場合、Auto OFF移行判断部108は、先のBUSY信号のONによってPC300がデータを送信しない状態に確定されたものと判断する。この状態で、Auto
OFF移行判断部108は、自動電源オフ処理を実施し(S113)、制御部101の電源オフ指示により、電源部110による電源供給を停止させる(S114)。
【0032】
ここで、Auto OFF移行判断部108による自動電源オフ処理につき、
図3を用いて補足説明する。
図3は、実施例1による電装部の動作を示すタイムチャートである。本動作は、セントロニクスインターフェース規約に準ずるものである。
【0033】
先ず、通常の自動電源オフ処理への移行動作(
図2のS109〜S114の処理)につき、
図3(a)に基づいて説明する。
【0034】
Auto OFF移行判断部108が、自動電源オフ処理への移行を決断すると(S109)、BUSY−P信号を“H”(データ受信拒否状態)とする。
PC300は、BUSY信号の“H”を認識し、STB−N(データラッチ信号)を“H”に維持して、データの送信を停止する。
所定時間経過後、PC300からのデータ送信(STB−Nの“L”)が認識できない場合、制御部101は、電源部110にAUTO OFF−P信号を発行し、電源の供給を停止する(S113、S114)。尚、上記所定時間とは、通信時に通信ケーブル120で生じる信号の伝送遅延分を補償するための時間であって、例えば、数msに設定されている。この間、操作部111の表示部には、『Auto OFFの待機中』が表示される。
【0035】
次に、Auto OFF移行判断部108が、自動電源オフへの移行を決断した時、同時に、PC300よりデータが送信された場合の動作(
図2のS109〜S106の処理)につき、
図3(b)に基づいて説明する。
【0036】
Auto OFF移行判断部108が、自動電源オフへの移行を決断すると(S109)、BUSY−P信号を“H”(データ受信拒否状態)とするが、ここでは、BUSY−P信号を“H”にするのと同時に、PC300のSTB−N信号(データラッチ)が“L”(データ送信状態)とされる。すなわち、PC300からデータが送信される。
STB−N信号の“L”により、プリンタ10は、データ受信状態に移行し、直ちにBUSY−P信号を“H”から“L”に変更して、データの受信を可能な状態とする。以降、データ受信動作が継続的に行われる。尚、
図3(b)のACK−N信号の“L”は、データを正常に受信したことを示すPC300への応答信号である。
この動作において、制御部101は、電源部110に対してAuto OFF信号を発行せず、PC300からデータを全て受信した後、適宜印字動作に移行する(S106)。
【0037】
以上、実施例1によれば、プリンタ10において自動電源オフ処理への移行が決断されると、PC300に対してデータ送信の禁止を通知し、その後、所定時間内にデータを受信しなかった場合に限り、自動電源オフ処理を実施するようにしたので、自動電源オフの直前にPC300よりデータが送信されたとしても、該データを確実に受信して処理することができる。
【実施例2】
【0038】
次に、
図4に基づき、実施例2による電装部200の構成を説明する。
図2は、実施例2による電装部の構成を示すブロック図である
図4に示すように、本実施例による電装部200は、制御部101にAuto OFFコマンド送信部(コマンド送信部)112が新たに接続された点で実施例1(
図1)と相違している。尚、実施例1と同じ機能部については、同じ番号を付して説明は省略する。
【0039】
上記Auto OFFコマンド送信部112は、自動電源オフ処理への移行時にPC300に対して自動電源オフ移行への可否判断と、自動電源オフ状態の表示を要求するコマンドを送信する。
【0040】
次に、
図5、
図6に基づいて、上記構成による実施例2の動作を説明する。
図5、
図6は、実施例2による電装部の動作を示すフローチャートである。尚、以下の処理は、実施例1と同様、制御部101(CPU)の制御により実施されるものである。
図5において、S201〜S208の処理は、実施例1の処理(
図2のS101〜S108の処理)と同様であるため説明は省略し、実施例1と相違する部分のみ説明を行う。
【0041】
図5のS209において、Auto OFF移行判断部108は自動電源オフ処理への移行を決断すると、BUSY信号を有効(ON)として、PC300からのデータ受信を拒否する。
Auto OFFコマンド送信部112は、I/Fドライバ104を介し、PC300に対してAuto OFF(自動電源オフ)移行への可否判断を要求するコマンドを送信する(S210)。
【0042】
PC300は、この要求コマンドを受信すると、PC300のステータスモニタにAuto OFF移行に対する可否を判断するための選択画面を表示させる(S211)。
例えば、ステータスモニタに『数秒後、Auto OFFに移行します。移行しても良い場合は“OK”を、移行してはいけない場合は“NG”を選択してください』と表示させる。
【0043】
上記要求コマンドに対し、PC300から“OK”(Auto OFF可)を受信すると(S212)、S216の処理に進む。
或いは、PC300からの応答を待って所定時間が経過すると、ユーザの判断を問わずにS216の処理に進む。これは、Auto OFFへ移行するまでは、ユーザがプリンタ10を使用していないか、PC300を操作していないかの何れかである可能性が大きいからである。
【0044】
S216で、Auto OFFコマンド送信部112は、I/Fドライバ104を介し、PC300に対してAuto OFF移行を通知するコマンドを送信する(S216)。
【0045】
PC300は、この通知コマンドを受信すると、PC300のステータスモニタにプリンタ10がAuto OFF状態であることを表示する。
次に、Auto OFF移行判断部108は、自動電源オフ処理を実施し(S218)、制御部101の指示(Auto OFF信号の発行)により、電源部110による電源供給を停止させる(S219)。
【0046】
他方、S210における要求コマンドの送信に対して、PC300から“NG”(Auto OFF不可)を受信した場合は、S203に移行する(S220)。S203において、タイマカウント部107がリセットされた後、所定の時間がセットされカウント動作が開始されて、プリンタ10は、待機状態に移行する(S204)。これにより、一旦決断された自動電源オフ処理への移行は中止される。
【0047】
尚、この場合、Auto OFF移行判断部108は、ユーザが自動電源オフ処理を望まないと判断して、自動電源オフ処理の機能を無効にしたり、自動電源オフ処理への移行時間を長くしたりするようにしても良い。
【0048】
また、PC300からAuto OFF移行可否の応答がなく、且つ所定の時間が経過していない状態において、PC300から印字データを受信すると(S221のYES)、ユーザにAuto OFF移行への意思がないものと判断し、直ちにBUSY信号を無効(OFF)とすると共に、PC300からのデータを継続的に受信する(S215)。一連のデータを受信した後、受信データに基づく印字動作を実施する(S206)。
このとき、PC300においては、ステータスモニタに表示されているAuto OFF移行に対する可否判断のための選択画面は消されている(S222)。
【0049】
ところで、先の実施例1においては、プリンタ10において自動電源オフが実施されても、PC300側からこれを確認できないため、ユーザは、プリンタ10が電源オフ状態であるにも係わらずデータを送信してしまう可能性がある。
プリンタ10の電源オフを確認するには、ユーザがプリンタ10の設置場所まで出向いて行って、プリンタ10のパワーランプ表示等より判断する必要があるため、特に、プリンタ10が遠く離れた場所に置かれている場合には、極めて面倒な確認作業となる。
【0050】
この点、実施例2では、PC300のステータスモニタにプリンタ10が自動電源オフ状態であることを表示するようにしたので、ユーザは、このステータスモニタの表示により、その場にてプリンタの電源オフを確認することが可能である。従って、実施例2によれば、実施例1の効果に加え、プリンタ10が電源オフ状態であるにも係わらずPC300からデータを送信するという誤操作を回避することができ、実施例1に比べて操作性を向上できる。
また、プリンタ10における自動電源オフの可否をユーザがPC300側で選択できるようにしたので、PC300側に送信したいデータがあるにも関わらず、不本意にプリンタ10の電源が自動オフされるという不都合を回避できる。