(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の照明器具のリニューアル方法では、天井面に取付ける収納ケースや照明器具を、既設の照明器具の形状などの規格に合わせる必要がある。また、特許文献2に記載の照明器具のリニューアル方法では、既設の反射板を利用するため、既設の照明器具の規格に拘らず照明器具をリニューアルできるものの、新たに取付けられる蛍光ランプは、既設の反射板を利用して室内を照らすため、既設の照明器具と同様の数や種類の蛍光ランプを用いる必要がある。例えば、2本の蛍光ランプが取付けられる照明器具を、特許文献2に記載の照明器具のリニューアル方法を用いて1本の蛍光ランプが取付けられるようにリニューアルした場合、既設の反射板は、蛍光ランプが2本取付けられたときに効率よく室内を照らすように設計されているから、リニューアルされて1本の蛍光ランプが取付けられたときに、室内を効率よく照らすことができないおそれがある。
【0006】
本発明は、こうした背景に鑑みて成されたものであり、既設の照明器具の規格に拘らずに照明器具をリニューアルすることができ且つリニューアルして取付ける照明灯を変更できる照明器具のリニューアルキット、照明器具、及び、照明器具のリニューアル方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点に係る照明器具のリニューアルキットは、
設置面に反射板が取付けられている照明器具をリニューアルするための照明器具のリニューアルキットであって、
リニューアル後の照明灯を点灯させるための駆動回路と、
前記駆動回路が載置され、リニューアル対象の照明器具が備える反射板の室外側に取付けられる第1の部材と、
前記リニューアル後の照明灯を取付けるソケットを有し、前記リニューアル対象の照明器具が備える反射板の室内側に取付けられる第2の部材と、
前記ソケットを室内側に露出させて前記第2の部材に取付けられるリニューアル用の反射板と、
を備え、前記リニューアル対象の照明器具が備える反射板によって前記設置面に固定されることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の観点に係る照明器具は、
設置面に取付けられた照明器具の既設の反射板と、
リニューアル後の照明灯を点灯させるための駆動回路と、
前記駆動回路が載置され、前記既設の反射板の室外側に取付けられた第1の部材と、
前記照明灯を取付けるソケットを有し、前記既設の反射板の室内側に取付けられた第2の部材と、
前記ソケットを室内側に露出させて前記第2の部材に取付けられた新たな反射板と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の観点に係る照明器具のリニューアル方法は、
設置面に反射板が取付けられている照明器具をリニューアルする照明器具のリニューアル方法であって、
前記設置面から前記反射板を取り外す工程と、
取り外した前記反射板の室外側に、リニューアル後の照明灯を点灯させるための駆動回路が載置された第1の部材を取付け、前記反射板の室内側に、前記照明灯を取付けるソケットを含む第2の部材を取付ける工程と、
壁面又は天井面に前記反射板を再び取付ける工程と、
前記第2の部材にリニューアル用の反射板を取付ける工程と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、既設の照明器具の規格に拘らずに照明器具をリニューアルすることができ、且つ、リニューアルして取付ける照明灯を選択することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る照明器具20を室内側から見た様子を示す斜視図であり、
図2は、照明器具20を
図1中のII−II方向から見た様子を示す図であり、
図3は、照明器具20を構成要素毎に示す分解図であり、
図4は、リニューアル前の(既設の)照明器具10の様子の一例を示す図である。
【0014】
本実施形態の照明器具20は、
図1に示すように壁や天井などの設置面Cに直に固定され、一本の直管型の蛍光ランプLを点灯させることによって室内を照らす。この照明器具20は、
図4に示す既設の照明器具10をリニューアルして構成されている。以下、まず、リニューアル後の照明器具20について説明し、その後、リニューアルの基となった照明器具10や、照明器具10から照明器具20へのリニューアル方法について説明する。
【0015】
リニューアル後の照明器具20は、
図1から
図3に示すように、天井などの設置面Cに設置された筐体12(
図1では、図示せず)と、筐体12を介して設置面Cに取付けられた反射板18と、反射板18の室外側(
図2及び
図3中、上側)に取付けられた外側部材31(
図1では、図示せず)と、反射板18の室内側(
図2及び
図3中、下側)に取付けられた内側部材35と、内側部材35に取付けられたリニューアル用の反射板38と、を備える。このうち、筐体12と反射板18は、リニューアルの基となった既設の照明器具10の部品であり、外側部材31と内側部材35とリニューアル用の反射板38は、既設の照明器具10のリニューアルに用いたリニューアルキット30に含まれている部品である。
【0016】
筺体12は、室内側に開口する箱状であり、天井などの設置面Cに直に固定されて照明器具20の外縁を構成する。筐体12には、蛍光ランプLに電力を供給する図示しない電力線が配線されている。反射板18は、室内側に開口する箱状又は蛍光ランプLの長手方向に対して垂直な方向の両端が室内側に曲げられた板状であり、ボルトなどの取付具19によって筐体12に取付けられることにより、間接的に設置面Cに取付けられている。
【0017】
外側部材31は、反射板18の室外側に位置し、載置台32と、駆動回路34とを有する。載置台32は、例えば金属や樹脂などによって形成された板状の台であり、駆動回路34からの図示しない電気配線を押さえる線押さえ33aや、取付具40(例えば、ボルトなど)を取付けるための取付部33b(例えば、ボルトが螺合する穴)を所定位置に有する。駆動回路34は、照明ランプLを点灯させるための回路であり、載置台32に支持され、設置面Cの図示しない電力線に電気的に接続される。駆動回路34は、実施形態では、照明ランプLを低エネルギーで駆動できるインバータ式の安定器を用いている。なお、駆動回路34としては、ラピッドストリーム式など、蛍光ランプLを駆動するための回路であれば、如何なるものを用いてもよい。
【0018】
内側部材35は、反射板18の室内側に位置し、支持板37と、支持板37に支持された一対のソケット36を有する。支持板37は、例えば金属や樹脂などによって板状に形成され、取付具40が通る穴37aや、取付具41(例えば、ボルトなど)を取付けるための図示しない取付部(例えば、ボルトが螺合する穴)を所定位置に有する。ソケット36は、反射板18の長手方向の対抗する位置に一つずつ設けられ、一本の直管型の蛍光ランプLを取付けることができる。ソケット36は、外側部材31の駆動回路34と図示しない電気配線で電気的に接続されている。
【0019】
外側部材31と内側部材35とは、反射板18を挟んで取付具40によって互いに連結され、反射板18に一体に取付けられている。なお、本実施形態では、反射板18に設けられた既存の穴(後述するソケット16を通すための穴)を通って、取付具40は、外側部材31と内側部材35とを連結する。
【0020】
リニューアル用の反射板38は、内側部材35の室内側に位置し、例えばアルミニウムなどの材料により形成され、室内側となる表面が、蛍光ランプLの明かりを効率よく室内に反射させるように加工されている。リニューアル用の反射板38は、
図1乃至
図3に示すように、蛍光ランプLの長手方向に沿って見たときに、中央(ソケット36に対向する位置)に室内側に凸となる凸部を有し、全体としては室外側に凸となる左右対称な半円状の形状に形成されている。なお、リニューアル用の反射板38は、ソケット36に取付けられる蛍光ランプLの明かりを効率よく室内に反射する形状であれば、その他の形状としてもよい。リニューアル用の反射板38には、ソケット36を通すための図示しない挿入穴が開けられており、この挿入穴からソケット36が室内側に露出するように配置され、取付具41によって内側部材35に取付けられている。
【0021】
一方、リニューアルの基となった既設の照明器具10は、
図4に示すように、天井などの設置面Cに直に取付けられた筐体12に、蛍光灯Lを点灯させるための図示しない駆動回路やソケット16が取付けられ、更に室内側から反射板18が取付けられて構成されている。反射板18には、ソケット16を通すための図示しない挿入穴が開けられている。リニューアルの基となった照明器具10は、反射板18の長手方向に対抗する位置に二つずつソケット16を有し、二本の直管型の蛍光ランプLを取付けられるように構成されている。このため、反射板18は、取付けられた二本の蛍光ランプLの明かりが効率よく室内に反射されるようにその形状が定められている。
【0022】
既設の照明器具10をリニューアルするときには、まず、照明器具10から二本の蛍光ランプLを取り外し、
図5に示すように、筐体12から反射板18を取り外して、筐体12に固定されているソケット16や図示しない駆動回路を取り外す。このとき、例えば、リニューアル後に再び既設の照明器具10へと現状復帰させることが望まれる可能性がある場合などには、リニューアルの妨げとならない限り、既設の駆動回路を筐体12から取り外さなくてもよい。
【0023】
続いて、
図6に示すように、取り外した既存の反射板18の室外側(
図6中、上側)の面に、リニューアルキット30の外側部材31を配置し、反射板18の室内側(
図6中、下側)の面にリニューアルキット30の内側部材35を配置し、外側部材31の駆動回路34と内側部材35のソケット36とを電気的に接続すると共に外側部材31と内側部材35とを取付具40で互いに連結させる。このように外側部材31と内側部材35とで反射板18を挟んで互いに連結させることにより、外側部材31と内側部材35とが反射板18に取付けられる。
【0024】
次に、
図7に示すように、外側部材31と内側部材35とが取付けられた既存の反射板18を、再び天井面などの設置面Cに取付ける。このとき、まず、外側部材31における蛍光ランプLを駆動するための駆動回路34と、設置面Cの図示しない電力線とを電気的に接続し、その後、もともと反射板18が設置面Cに取付けられていたように、取付具19を用いて反射板18を設置面Cに取付ける。そして、リニューアル用のリニューアルキット30の反射板38を、ソケット36が室内側に露出するように取付具41を用いて内側部材35に取付け、内側部材35のソケット36に蛍光灯Lを差し込むことで、既設の照明器具10が照明器具20へとリニューアルされる。
【0025】
以上説明した本実施形態のリニューアルキット30を用いてリニューアルした照明器具20では、既存の反射板18に外側部材31と内側部材35とを取付けて、既存の反射板18を再び天井などの設置面Cに取付けることにより、既存の反射板18によって外側部材31や内側部材35を設置面Cに取付けるから、既存の反射板18の取付具19を用いて外側部材31や内側部材35を設置面Cに取付けることができ、既設の照明器具10の規格に拘らず照明器具のリニューアルをすることができる。また、内側部材35にリニューアル用の新たな反射板38を取付けるから、既設の反射板18の形状などに拘わらず新たな反射板38に適した数や種類の蛍光ランプLを取付けることができ、リニューアル後に取付ける蛍光ランプを変更することができる。また、内側部材35を反射板18の内側に取付けるから、ソケット36を通すための穴を反射板18に新たに設ける必要もない。これにより、例えば、取付ける蛍光ランプの数を減らして省エネルギー化を図ったり、デザイン性を重視するなど、利用者に合わせてリニューアル後に取付ける蛍光ランプを選択することができる。
【0026】
さらに、本実施形態のリニューアルキット30を用いてリニューアルした照明器具20では、駆動回路34を有する外側部材31を反射板18に取付けて、反射板18を設置面Cに取付けるから、天井などの設置面Cで駆動回路34を固定する作業を行う必要がなく、不安定な場所での作業を減らして容易に照明器具をリニューアルすることができる。また、リニューアル後に既設の照明器具10に戻したい場合にも容易に戻すことができる。
【0027】
上述したリニューアルキット30では、外側部材31と内側部材35とで既存の反射板18を挟んで互いに連結させることにより外側部材31と内側部材35とを反射板18に取付けるものとしたが、外側部材31と内側部材35とをそれぞれに反射板18に連結させてもよい。なお、外側部材31の載置台32は、駆動回路34を支持できれば如何なる形状でもよい。また、内側部材35の支持板37は、ソケット36とリニューアル用の反射板38とを支持できれば如何なる形状でもよい。
【0028】
上述したリニューアルキット30では、一本の直管型の蛍光ランプが取付けられるように反射板18の長手方向の対抗する位置に一つずつ(つまり、一対の)ソケット36が設けるものとしたが、スペースが許す限り二対以上のソケットを設けてもよい。また、U字型の蛍光ランプが取付けられるように反射板18の短手方向に二つのソケットを設けるなど、直管型以外の蛍光ランプを取付け可能にしてもよい。
【0029】
また、外側部材31は、
図8に示すように、カセットなどの複数(
図8の例では4箇所)の取付部131aを有し、リニューアル後に取付ける照明灯の数や出力などのタイプに応じて駆動回路34が取付部131aに取付けられてもよい。この場合、駆動回路34は、例えば、照明灯の出力などの種類や駆動対象の照明灯の種類によらず、外形形状及びサイズを共通として、取付部131aに共通に取り付け可能に形成されることが望ましい。なお、取り付け手法は任意である。例えば、載置台32に予め容器状の収容部や係合部を形成しておき、ここに駆動回路34を収容したり係合させたりしてもよい。
さらに、内側部材35は、リニューアル後に取付ける照明灯の数やタイプ毎に複数の形態(
図8の例では、リニューアル後に取付ける照明灯の長さ(出力)と数に応じた内側部材35〜335の4種類)が設けられてもよいし、リニューアル用の反射板38は、リニューアル後に取付ける照明灯やデザイン毎に複数の形態(
図8の例では、リニューアル後に取付ける照明灯の長さ(出力)と数に応じた反射板38〜338の4種類)が設けられてもよい。こうすれば、利用者は、リニューアル後に取付ける照明灯に基づいて、内側部材と反射板を選択すると共に駆動回路34を取付部131aに取付けることで、既設の照明器具を容易にリニューアルすることができる。なお、外側部材31も同様に複数のサイズが用意されてもよい。
【0030】
上述の実施形態では、天井などの設置面Cに筐体12を介して箱状の反射板18が取付けられた照明器具10をリニューアルする場合について説明したが、本発明を、室外側または室内側に凸となるV字状またはU字状の面を有し、設置面Cに直接固定された反射板を備える照明器具をリニューアルする場合に適用してもよい。また、照明器具にグローブ(カバー)が取付けられている場合に適用してもよい。
【0031】
上述した実施形態では、リニューアル前後の照明器具10,20は、直管型の蛍光ランプLが取付けられるものとしたが、リニューアル前後の照明器具10,20の少なくとも一方は、U字型や円型の蛍光ランプなど、直管型の蛍光ランプL以外の蛍光ランプが取付けられてもよい。また、照明器具10,20の少なくとも一方は、LED(Light Emitting Diode)など、蛍光ランプL以外の照明灯が取付けられてもよい。なお、リニューアル後の照明器具20に蛍光ランプL以外の照明灯が取付けられる場合、リニューアルキット30の駆動回路34やソケット36は、取付ける照明灯に適したものが用いられればよい。
【0032】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、様々な変更(構成要素の削除等を含む)をなし得ることはいうまでもない。
【0033】
なお、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0034】
(付記1)設置面に反射板が取付けられている照明器具をリニューアルするための照明器具のリニューアルキットであって、
リニューアル後の照明灯を点灯させるための駆動回路と、
前記駆動回路が載置され、リニューアル対象の照明器具が備える反射板の室外側に取付けられる第1の部材と、
前記リニューアル後の照明灯を取付けるソケットを有し、前記リニューアル対象の照明器具が備える反射板の室内側に取付けられる第2の部材と、
前記ソケットを室内側に露出させて前記第2の部材に取付けられるリニューアル用の反射板と、
を備え、前記リニューアル対象の照明器具が備える反射板によって前記設置面に固定されることを特徴とするリニューアルキット。
【0035】
(付記2)前記第1の部材と前記第2の部材とは、前記反射板を挟んで互いに連結されることにより前記反射板に取付けられる、
ことを特徴とする付記1に記載のリニューアルキット。
【0036】
(付記3)前記駆動回路は、インバータ式である、
ことを特徴とする付記1又は2に記載のリニューアルキット。
【0037】
(付記4)設置面に取付けられた照明器具の既設の反射板と、
リニューアル後の照明灯を点灯させるための駆動回路と、
前記駆動回路が載置され、前記既設の反射板の室外側に取付けられた第1の部材と、
前記照明灯を取付けるソケットを有し、前記既設の反射板の室内側に取付けられた第2の部材と、
前記ソケットを室内側に露出させて前記第2の部材に取付けられた新たな反射板と、
を備えることを特徴とする照明器具。
【0038】
(付記5)設置面に反射板が取付けられている照明器具をリニューアルする照明器具のリニューアル方法であって、
前記設置面から前記反射板を取り外す工程と、
取り外した前記反射板の室外側に、リニューアル後の照明灯を点灯させるための駆動回路が載置された第1の部材を取付け、前記反射板の室内側に、前記照明灯を取付けるソケットを含む第2の部材を取付ける工程と、
壁面又は天井面に前記反射板を再び取付ける工程と、
前記第2の部材にリニューアル用の反射板を取付ける工程と、
を備えることを特徴とする照明器具のリニューアル方法。