【文献】
経済産業省,株式会社デザイニウム,日本,2014年 3月31日,URL,http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/nichiyo-densan/designium/designium.html
【文献】
Mattel,Inc.,Apptivity WWE Rumblers,2013年 5月 9日,URL,https://itunes.apple.com/jp/app/apptivity-wwe-rumblers/id531810505?mt=8
【文献】
Mattel, Inc.,Apptivity Hot Wheels,2013年 6月20日,URL,https://itunes.apple.com/jp/app/apptivity-hot-wheels/id513292721?mt=8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の接触付与部分は、互いの位置間の距離に係る情報又は当該距離に係る情報の組が当該伝達情報を特定するような位置関係をもって配置されていることを特徴とする請求項1に記載の情報伝達システム。
当該オブジェクトは、該オブジェクトを識別するキャラクタ識別子としての伝達情報に対応付けられた位置関係をもって配置された複数の接触付与部分を有するキャラクタ表現体であり、
前記伝達情報取得手段は、前記接触検出面に置かれたキャラクタ表現体を識別するキャラクタ識別子を取得し、
前記応答情報決定手段は、取得されたキャラクタ識別子によって特定されるキャラクタ表現体に応じて発生すると予め設定された現象を表現した視覚情報、聴覚情報及び/又は触覚情報を応答情報として決定し、当該視覚情報、聴覚情報及び/又は触覚情報を対応する応答情報出力部に出力させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報伝達システム。
前記情報伝達システムは、前記接触検出部と、当該応答情報出力部と、前記伝達情報取得手段と、前記応答情報決定手段と、当該伝達情報に係る情報を他の装置との間で送受信可能な通信手段とを有する複数のユーザインタフェース装置を含み、
1つのユーザインタフェース装置の伝達情報取得手段は、該装置の接触検出面に接触又は近接したオブジェクトに係る伝達情報を取得し、
前記1つのユーザインタフェース装置の通信手段は、取得された伝達情報に係る情報を他のユーザインタフェース装置宛てに送信し、
前記他のユーザインタフェース装置の応答情報決定手段は、該装置の通信手段を介して受信された伝達情報に係る情報に対応した応答情報を決定し、該応答情報を該装置の応答情報出力部に出力させる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報伝達システム。
前記伝達情報取得手段は、前記複数の接触付与部分の位置関係に係る情報と当該伝達情報との対応関係を示す、予め記憶された対応情報を用いて、当該オブジェクトに係る伝達情報を取得することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報伝達システム。
前記オブジェクトにおける複数の接触付与部分の配置は、当該接触付与部分の移動によって、または当該接触付与部分の消去若しくは無効化及び/又は新たな位置での生成若しくは有効化によって変更可能であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の情報伝達システム。
接触検出面を有し、該接触検出面における複数の接触位置を同時に検出可能な接触検出部と、前記接触検出面に接触又は近接させることによって前記接触検出部に接触位置を検出させる複数の接触付与部分を、伝達すべき伝達情報に予め対応付けられた位置関係をもって配置した少なくとも1つのオブジェクトと、当該オブジェクトが前記接触検出面に接触又は近接した際、前記接触検出部から出力された複数の接触位置に係る情報に基づいて、該オブジェクトに係る伝達情報を取得する伝達情報取得手段とを有する情報伝達システムにおける情報伝達方法であって、
前記情報伝達システムは、
前記接触検出面に接触又は近接したオブジェクトに係る伝達情報に対応した応答情報を決定する応答情報決定手段と、
決定された応答情報を出力する少なくとも1つの応答情報出力部と
を更に有し、
当該応答情報出力部の1つは、前記接触検出面と重畳する又は一致する画面を有し、該画面に、当該オブジェクトに係る入力受付画像を含む画像を表示可能な画像表示部であり、
前記複数の接触付与部分は、当該オブジェクトについて合計した場合に当該入力受付画像の数を含めると同時検出可能な接触位置の上限数を超えることとなる数だけ設けられていて、前記接触検出面に接触又は近接したオブジェクトに対し指が接触している場合にのみ前記接触検出部が接触位置を検出し且つ当該オブジェクトから離した指をもって又は当該オブジェクトから離した指とは別の指をもって当該入力受付画像を発動させることができるように、当該オブジェクトにおける指の接触する箇所に電気的に接続されており、
前記情報伝達方法は、
前記伝達情報取得手段によって、取得した複数の接触位置の並進及び/又は回転の度合いに基づき、当該オブジェクトの前記接触検出面内における位置の移動及び/又は向きの転換に係る情報を算出し、
前記応答情報決定手段によって、当該オブジェクトに係る伝達情報に対応しており該オブジェクトを発信源とする現象を表す現象画像情報を決定し、当該入力受付画像が指で発動させられた際、指で挟んだまま又は指を接触させたまま当該オブジェクトを前記接触検出面に接触又は近接させている間にのみ算出された該オブジェクトの位置の移動及び/又は向きの転換に係る情報に基づいて決定された前記画面上の位置に、決定した現象画像情報を、発信源が該オブジェクトである形で表示させる
ことを特徴とする情報伝達方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、従来、マルチタッチパネルに複数の指を同時に接触させて様々な入力操作を行い、種々の入力情報を装置に受け入れさせる技術が開発されてきた。しかしながら、このような指による入力動作は、例えば物理キーを用いた動作と比較しても、誤操作となりやすい傾向にある。具体的には、ユーザが意図せずにマルチタッチパネルに触れた箇所も接触位置として検出されたり、接触の態様が規定の範囲に入らず、指を接触させても入力操作として受け入れられなかったりする場合がある。
【0008】
また、複数の指を用いた入力動作では、例えば特許文献1及び2に記載された技術のように、各指の位置関係を制御して入力操作を行わなければならない。具体的には、2つの指の接触位置間の距離や接触位置間の線分の角度、または複数の接触位置を結んで構成される多角形の面積を所定範囲内の値に調整しつつ入力操作を行う必要がある。この場合、特に操作に慣れないユーザ等は誤操作を行ってしまいがちである。
【0009】
さらに、このような誤操作の誘因となり得るマルチタッチパネルを用いて、予め設定された多数の入力情報のうちの1つ、例えばゲームに登場するキャラクタの識別情報、を装置に入力する場合、誤操作が更に生じやすくなる。この場合、例えば指の接触位置の距離や面積を相当に狭い範囲内の値に調整して入力操作を行わなければならず、所望の入力情報を装置に常時正確に受け入れさせることは難しい。
【0010】
また、このような誤操作を回避するため、例えば従来の文字入力方法を利用して入力操作を行うとすると、所定の入力情報を入力するのに相当の時間がかかってしまう。そもそもこの方法では、様々な入力操作を可能にするマルチタッチパネルの機能が生かせていない。
【0011】
そこで、本発明は、複数の接触位置を同時に検出可能な装置に対し、所定の入力情報を簡便且つ確実に伝達可能な情報伝達システム、オブジェクト及び情報伝達方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、接触検出面を有し、この接触検出面における複数の接触位置を同時に検出可能な接触検出部と、
接触検出面に接触又は近接させることによって接触検出部に接触位置を検出させる複数の接触付与部分を、伝達すべき伝達情報に予め対応付けられた位置関係をもって配置した少なくとも1つのオブジェクトと、
オブジェクトが接触検出面に接触又は近接した際、接触検出部から出力された複数の接触位置に係る情報に基づいて、このオブジェクトに係る伝達情報を取得する伝達情報取得手段と、
接触検出面に接触又は近接したオブジェクトに係る伝達情報に対応した応答情報を決定する応答情報決定手段と、
決定された応答情報を出力する少なくとも1つの応答情報出力部と
を有し、
応答情報出力部の1つは、接触検出面と重畳する又は一致する画面を有し、この画面に、オブジェクトに係る入力受付画像を含む画像を表示可能な画像表示部であり、
複数の接触付与部分は、
オブジェクトについて合計した場合に入力受付画像の数を含めると同時検出可能な接触位置の上限数を超えることとなる数だけ設けられていて、接触検出面に接触又は近接したオブジェクトに対し指が接触している場合にのみ接触検出部が接触位置を検出
し且つオブジェクトから離した指をもって又はオブジェクトから離した指とは別の指をもって入力受付画像を発動させることができるように、オブジェクトにおける指の接触する箇所に電気的に接続されており
、
伝達情報取得手段は、取得した複数の接触位置の並進及び/又は回転の度合いに基づいて、オブジェクトの接触検出面内における位置の移動及び/又は向きの転換に係る情報を算出し、
応答情報決定手段は、オブジェクトに係る伝達情報に対応しておりオブジェクトを発信源とする現象を表す現象画像情報を決定し、
入力受付画像が指で発動させられた際、指で挟んだまま又は指を接触させたままオブジェクトを接触検出面に接触又は近接させている間にのみ算出されたオブジェクトの位置の移動及び/又は向きの転換に係る情報に基づいて決定された画面上の位置に、決定した現象画像情報を、発信源がオブジェクトである形で表示させる
ことを特徴とする情報伝達システムが提供される。
【0013】
この情報伝達システムの一実施形態として、複数の接触付与部分は、互いの位置間の距離に係る情報又は当該距離に係る情報の組が伝達情報を特定するような位置関係をもって配置されていることも好ましい。
【0017】
さらに、応答情報を含む上記の実施形態において、オブジェクトは、このオブジェクトを識別するキャラクタ識別子としての伝達情報に対応付けられた位置関係をもって配置された複数の接触付与部分を有するキャラクタ表現体であり、
伝達情報取得手段は、接触検出面に置かれたキャラクタ表現体を識別するキャラクタ識別子を取得し、
応答情報決定手段は、取得されたキャラクタ識別子によって特定されるキャラクタ表現体に応じて発生すると予め設定された現象を表現した視覚情報、聴覚情報及び/又は触覚情報を応答情報として決定し、視覚情報、聴覚情報及び/又は触覚情報を対応する応答情報出力部に出力させることも好ましい。
【0018】
また、応答情報を含む上記の実施形態において、情報伝達システムは、接触検出部と、応答情報出力部と、伝達情報取得手段と、応答情報決定手段と、伝達情報に係る情報を他の装置との間で送受信可能な通信手段とを有する複数のユーザインタフェース装置を含み、
1つのユーザインタフェース装置の伝達情報取得手段は、この装置の接触検出面に接触又は近接したオブジェクトに係る伝達情報を取得し、
1つのユーザインタフェース装置の通信手段は、取得された伝達情報に係る情報を他のユーザインタフェース装置宛てに送信し、
他のユーザインタフェース装置の応答情報決定手段は、この装置の通信手段を介して受信された伝達情報に係る情報に対応した応答情報を決定し、この応答情報をこの装置の応答情報出力部に出力させることも好ましい。
【0019】
さらに、本発明の情報伝達システムの更なる他の実施形態として、伝達情報取得手段は、複数の接触付与部分の位置関係に係る情報と伝達情報との対応関係を示す、予め記憶された対応情報を用いて、オブジェクトに係る伝達情報を取得することも好ましい。
【0021】
このオブジェクトの一実施形態として、接触検出部は、接触検出面における複数の接触位置を静電容量の変化に基づいて同時に検出可能であり、
オブジェクトは、接触検出部に接触又は近接することによって静電容量の変化を引き起こす複数の接触付与部分が面内で配置された接触付与面であって、接触付与部分の配置が当該面上では視認されない接触付与面を有することも好ましい。
【0023】
また、本発明によるオブジェクトの更なる他の実施形態として、複数の接触付与部分の配置は、接触付与部分の移動によって、または接触付与部分の消去若しくは無効化及び/又は新たな位置での生成若しくは有効化によって変更可能であることも好ましい。
【0024】
本発明によれば、接触検出面を有し、この接触検出面における複数の接触位置を同時に検出可能な接触検出部と、接触検出面に接触又は近接させることによって接触検出部に接触位置を検出させる複数の接触付与部分を、伝達すべき伝達情報に予め対応付けられた位置関係をもって配置した少なくとも1つのオブジェクトと、オブジェクトが接触検出面に接触又は近接した際、接触検出部から出力された複数の接触位置に係る情報に基づいて、オブジェクトに係る伝達情報を取得する伝達情報取得手段とを有する情報伝達システムにおける情報伝達方法であって、
この情報伝達システムは、
接触検出面に接触又は近接したオブジェクトに係る伝達情報に対応した応答情報を決定する応答情報決定手段と、
決定された応答情報を出力する少なくとも1つの応答情報出力部と
を更に有し、
応答情報出力部の1つは、接触検出面と重畳する又は一致する画面を有し、この画面に、オブジェクトに係る入力受付画像を含む画像を表示可能な画像表示部であり、
複数の接触付与部分は、
オブジェクトについて合計した場合に入力受付画像の数を含めると同時検出可能な接触位置の上限数を超えることとなる数だけ設けられていて、接触検出面に接触又は近接したオブジェクトに対し指が接触している場合にのみ接触検出部が接触位置を検出
し且つオブジェクトから離した指をもって又はオブジェクトから離した指とは別の指をもって入力受付画像を発動させることができるように、オブジェクトにおける指の接触する箇所に電気的に接続されており
、
本情報伝達方法は、
伝達情報取得手段によって、取得した複数の接触位置の並進及び/又は回転の度合いに基づき、オブジェクトの接触検出面内における位置の移動及び/又は向きの転換に係る情報を算出し、
応答情報決定手段によって、オブジェクトに係る伝達情報に対応しておりオブジェクトを発信源とする現象を表す現象画像情報を決定し、
入力受付画像が指で発動させられた際、指で挟んだまま又は指を接触させたままオブジェクトを接触検出面に接触又は近接させている間にのみ算出されたオブジェクトの位置の移動及び/又は向きの転換に係る情報に基づいて決定された画面上の位置に、決定した現象画像情報を、発信源がオブジェクトである形で表示させる
ことを特徴とする情報伝達方法が提供される。
【発明の効果】
【0025】
本発明の情報伝達システム、オブジェクト及び情報伝達方法によれば、複数の接触位置を同時に検出可能な装置に対し、所定の入力情報を簡便且つ確実に伝達することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0028】
[情報伝達システム]
図1は、本発明による情報伝達システムの一実施形態を示す模式図である。
【0029】
図1によれば、本実施形態の情報伝達システムは、
(a)ユーザインタフェース装置であって、タッチパネル・ディスプレイ101を備えたタブレット型コンピュータ(タブレット)1と、
(b)オブジェクトとしてのキャラクタ表現体2と
を備えている。ここで、ユーザインタフェース装置は、本実施形態のタブレット1に限定されるものではなく、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、デジタルサイネージ、各種券売機やキャッシュディスペンサ等、接触検出(タッチパネル)機能を備えた情報機器ならば種々の形態のものが採用可能である。
【0030】
タッチパネル・ディスプレイ101は、接触検出面における複数の接触位置を同時に検出可能な(マルチタッチ機能を有する)接触検出部と、接触検出面と重畳する又は一致する画面を有し、この画面に画像を表示可能な画像表示部とを含む。尚、上記の「同時に検出可能」とは、同時点で発生している複数の接触現象について、いずれの接触現象に係る接触位置をも検出することができる意である。このタッチパネル・ディスプレイ101として、このような機能部が備えられていれば、外付け型、オン・セル型、イン・セル型等、種々の構造のものが採用可能である。また、以下の説明において「画像」には、静止画像のみならず動画像(映像)も含まれる。
【0031】
さらに、タッチパネル・ディスプレイ101の接触検出部は、本実施形態において投影型静電容量方式による接触検出を行う。変更態様として、デジタルマトリックス抵抗膜方式を用いた接触検出部であってもよい。また、マルチタッチ機能を発揮できるようにした他の抵抗膜方式、表面型静電容量方式、超音波表面弾性波方式、又は赤外線走査方式等を採用することも可能である。
【0032】
キャラクタ表現体2は、接触付与面21に(図示していない)複数の接触付与部分を有し、これらの接触付与部分を、伝達すべき「伝達情報」に予め対応付けられた位置関係をもって接触付与面21に配置している。ここで、各接触付与部分は、後に
図2を用いて説明するように、接触検出面に接触又は近接することによって、接触検出部(タッチパネル・ディスプレイ101)に接触位置を検出させる作用を及ぼす。また、「伝達情報」としては種々の情報が採用可能であるが、本実施形態では「伝達情報」は、キャラクタ表現体2を識別するキャラクタ識別子(ID)である。
【0033】
同じく
図1に示すように、ユーザは、キャラクタ表現体2を、例えば指で挟んで、タブレット1におけるタッチパネル・ディスプレイ101の接触検出面に置く。ここで、キャラクタ表現体2は、接触付与面21が接触検出面と接する又は対向するように置かれる。
【0034】
これにより、接触検出部(タッチパネル・ディスプレイ101)は、複数の接触付与部分の接触検出面に対する接触又は近接を検出し、対応する複数の接触位置を出力する。ここで、複数の接触付与部分は、互いに所定の位置関係を保つようにキャラクタ表現体2において固定されている。従って、出力される複数の接触位置は、複数の指を用いた接触操作での接触位置と比較しても、各段に高い確実性・再現性をもって「伝達情報」を反映したものとなる。
【0035】
さらに、タブレット1は、後に
図3を用いて説明するように伝達情報取得部111を有する。伝達情報取得部111は、キャラクタ表現体2が接触検出面に接触又は近接した際、接触検出部(タッチパネル・ディスプレイ101)から出力された複数の接触位置に係る情報に基づいて、キャラクタ表現体2のキャラクタID(伝達情報)を取得する。このように、本情報伝達システムでは、キャラクタ表現体2を接触検出面に置くだけという非常に簡便な操作でキャラクタID(伝達情報)が伝達可能となっている。
【0036】
ここで、接触検出面に置かれるキャラクタ表現体2は、1つであってもよく、複数置くことができる設定であってもよい。複数のキャラクタ表現体2が設置される場合、伝達情報取得部111は、置かれた各キャラクタ表現体2を、取得したキャラクタID(伝達情報)をもって識別することができる。
【0037】
以上に説明したように、本発明によれば、伝達すべき「伝達情報」に予め対応付けられた位置関係をもって配置された複数の接触付与部分を有するオブジェクトを用いることによって、複数の接触位置を同時に検出可能な(マルチタッチ機能を有する)装置に対し、所定の入力情報としての「伝達情報」を、非常に簡便に且つ高い確実性をもって伝達することが可能となる。
【0038】
さらに、タブレット1は、後に
図3を用いて説明するように応答情報決定部112を有することも好ましい。応答情報決定部112は、接触検出面に接触又は近接したキャラクタ表現体2に係るキャラクタID(伝達情報)に対応した「応答情報」を決定する。本実施形態では、「応答情報」として、キャラクタ表現体2に応じて発生すると予め設定された現象である攻撃波を表現した攻撃波画像3(視覚情報、画像情報)が決定される。尚、この場合、タッチパネル・ディスプレイ101の画像表示部は、決定された「応答情報」である攻撃波画像3を出力する応答情報出力部として機能する。
【0039】
応答情報決定部112は、さらに、決定した攻撃波画像3を、キャラクタ表現体2に係る複数の接触位置に基づいて決定された画面上の位置に表示させることも好ましい。具体的には、例えば
図1に示すように、キャラクタ表現体2における顔側である前方に、発信源がキャラクタ表現体2であるような形で攻撃波画像3が表示される。
【0040】
尚、「応答情報」は、上述した攻撃波画像3のような視覚情報(画像情報)に限定されるものではない。例えば、キャラクタ表現体2が発すると設定された音声を表現した聴覚情報であってもよい。この場合、例えば
図3に示したスピーカ(応答情報出力部)104から、聴覚情報に対応する音声が出力される。また、「応答情報」は、キャラクタ表現体2(の攻撃波)に応じて発生すると設定された衝撃(振動)を表現した触覚(体感)情報であってもよい。この場合、例えば
図3に示した振動機構部(応答情報出力部)105から、触覚情報に対応する振動が出力される。さらに、これらの視覚情報、聴覚情報及び触覚情報は、そのうちの2つ以上の組み合わせとして合わせて出力されてもよい。
【0041】
このように、「伝達情報」に対応した「応答情報」を出力することによって、特定のオブジェクトをユーザインタフェース装置に置くことに対応した種々の出力を提供することができる。尚、この場合、オブジェクトは、当該装置に対する一種の「鍵」又は「トリガ」して捉えることも可能である。
【0042】
また、以上に説明した実施形態は、アニメキャラクタの対戦ゲームや、力士キャラクタの相撲試合を装置上で実現する「次世代紙相撲」、さらにはロールプレイングゲーム(RPG)といったアプリケーションにおける入出力システムに適用することもできる。さらに、ユーザIDを含むオブジェクト(デジタルハンコ)を使用し、デジタルサイネージからユーザ固有の又はユーザに適した情報を入手したり、所定の券売機やキャッシュディスペンサに対してユーザIDの入力を行い、券購入や現金引き出し等の補助を行ったりすることも可能となる。
【0043】
特に、本実施形態では、オブジェクトを接触検出面に置くと直ちに「伝達情報」を読み込ませることができ、置いた位置も直ぐに特定される。その結果、例えばオブジェクトを置いた瞬間に、さらには動かした瞬間に、オブジェクトに応じた様々な映像演出を行うことも可能となる。
【0044】
[オブジェクト]
図2は、本発明によるオブジェクトの一実施形態を示す模式図である。
【0045】
図2(A)によれば、オブジェクトの一実施形態であるキャラクタ表現体2には、接触付与面21に、複数の(同図では4つの)接触付与体(接触付与部分)221が設けられている。ここで、キャラクタ表現体2を置く対象であるタッチパネル・ディスプレイ101は、例えば投影型静電容量方式で接触を検出するものとする。
【0046】
接触付与体221は、導電性を有する例えばシリコン系等のラバー又はカーボン系素材製であり、従来のタッチペンのペン先を利用して形成することも可能である。
図2(B)に示すように、キャラクタ表現体2の筐体(本体)の内部では、複数の接触付与体221が、接触付与面21において「伝達情報」に予め対応付けられた位置関係となるように導電固定プレート23に固定されている。また、接触付与体221の一端は、接触付与面21をなす筐体部分の内側に接触している。ここで、この筐体部分は、投影型静電容量方式タッチパネルを保護するシート(フィルム)と同様の素材で形成されており、且つ同様の厚みを有することも好ましい。
【0047】
さらに、接触付与体221は、導電固定プレート231及びアース線241を介して接地可能となっていることも好ましい。例えば、接触付与体221と、導電固定プレート231と、アース線241とが電気的に接続されていて、アース線241が、例えばキャラクタ表現体2の筐体の導電部分(であって指の接触する部分)に電気的に接続されていることも好ましい。この場合、例えば、ユーザがキャラクタ表現体2のこの導電部分を指で挟んだまま、キャラクタ表現体2をタブレット1(
図1)の接触検出面に置くことによって、タッチパネル・ディスプレイ101(
図1)からユーザ人体への電気回路が形成され、タッチパネル・ディスプレイ101での接触検出が容易に可能となる。
【0048】
また、変更態様として、
図2(C)に示すように、接触付与体221に代えて接触付与部分222を設けることも好ましい。この構成は、例えば、キャラクタ表現体2の筐体における接触付与面21部分の一部を、接触付与体221と同様の素材で形成された接触付与部分222で置き換えることによって形成される。または、当該筐体の接触付与面21部分を、光(レーザ光)を照射されることで導電性を発現又は向上させる導電性高分子等の素材を含む材料で形成し、所定の位置関係にある複数個所に光を照射して接触付与部分222を形成することも可能である。ここで、接触付与部分222も、上述した接触付与体221と同様に、導電プレート232及びアース線242を介して接地可能となっていることも好ましい。
【0049】
さらに、
図2(B)及び
図2(C)に示したいずれの実施形態においても、複数の接触付与部分(接触付与体)は、接触検出面に接触又は近接したキャラクタ表現体2に対し指が接触している場合にのみタッチパネル・ディスプレイ101に接触位置を検出されるように、キャラクタ表現体2の筐体(本体)に電気的に接続されていることも好ましい。
【0050】
即ち、接触付与部分(接触付与体)がキャラクタ表現体2の筐体に電気的に接続されている場合、
(a)ユーザがキャラクタ表現体2を指で挟んだままタブレット1の接触検出面に置いたり、
(b)接触検出面に置かれたタブレット1に指等で触れたり、
(c)置かれたタブレット1を指で挟んで接触検出面上で移動させたり
したときのみ、タッチパネル・ディスプレイ101が接触位置を検出するように調整されていてもよい。この場合、例えばゲーム・アプリケーション等で、ユーザがキャラクタ表現体2に触っているか否かを検知し、それに応じた動作、例えば触っている場合にのみゲームの状況に応じた効果音や音楽を出力する動作を実行させることも可能となる。
【0051】
さらに、
図2(B)及び
図2(C)に示したいずれの実施形態においても、接触付与面21上において、接触付与部分(接触付与体)の配置が視認されないことも好ましい。また、さらに触感でも感知されないことも好ましい。即ち、キャラクタ表現体2を外側から観察しても、接触付与部分(接触付与体)の位置が分からないように接触付与面21を形成することも好ましい。
図2(C)の実施形態では、この場合、例えば接触付与面21における接触付与部分もそうでない部分も、同じ色彩且つ同じ質感で仕上げてもよい。
【0052】
これにより、オブジェクトの有する「伝達情報」を容易に解読されたりコピーされたりする事態を回避することができる。例えばキャラクタ表現体(フィギュア)を販売するビジネスモデルにおいて、無断で容易に複製体を作製される不正行為を抑制することが可能となる。
【0053】
また、複数の接触付与部分(接触付与体)の配置は、当該接触付与部分(接触付与体)の移動によって変更可能となっていることも好ましい。さらに、
(a)当該接触付与部分(接触付与体)の消去若しくは無効化、及び
(b)当該接触付与部分(接触付与体)の新たな位置での生成若しくは有効化
のいずれか一方又は両方によって変更可能となっていることも好ましい。
【0054】
この場合、例えば、
図2(B)に示した実施形態において、キャラクタ表現体2の筐体を開け、内部の接触付与体221を、導電固定プレート231における異なる位置に移動させて再び固定してもよい。また、筐体の接触付与面21部分に接触した接触付与体221を当該部分から引き離して無効化したり、当該部分から離隔した接触付与体221を当該部分に接触させて有効化したりしてもよい。
【0055】
さらに、例えば、
図2(C)に示した実施形態において、キャラクタ表現体2の筐体の接触付与面21部分を、光照射によって導電性を発現又は向上させる材料で形成し、当該筐体の外側から光(レーザ)を所定の接触付与面21部分に照射して接触付与部分222を新たに生成してもよい。さらに、接触付与部分222をレーザ光等で加熱して所定の高温環境下に置き、導電性を劣化させて接触付与機能を無効化してもよい。
【0056】
これにより、オブジェクトに「伝達情報」を付与したり、保持した「伝達情報」を変更・更新したりすることができる。例えばキャラクタ表現体(フィギュア)を販売するビジネスモデルにおいて、販売店等で専用機器を用いてキャラクタIDの種類、例えばIDのグレードを変更するサービスが提供可能となる。また、「伝達情報」として、キャラクタIDに代えて又は加えて、キャラクタ表現体(フィギュア)のレベルや装備等のグレード情報を採用し、例えばゲームの進展状況に応じて、このグレード情報を変更するサービスを提供することができる。
【0057】
さらに、変更態様として、
図2(D)に示すように、接触付与面21上に、複数の(同図では4つの)接触付与突起(接触付与部分)223が設けられていることも好ましい。この場合、キャラクタ表現体2を置く対象であるタッチパネル・ディスプレイ101は、例えばデジタルマトリックス抵抗膜方式、超音波表面弾性波方式、又は赤外線走査方式等で接触を検出するものとする。
【0058】
接触付与突起223は、キャラクタ表現体2をタッチパネル・ディスプレイ101の接触検出面に置いた際、この接触検出面に所定の接触圧を与えることができるものならば種々の材料で形成可能である。接触付与突起223は、例えば、接触検出面に接触する突起部分とは反対側の端面を、キャラクタ表現体2の筐体(本体)に貼り合わせて固定されていてもよい。
【0059】
このように、接触付与部分として接触付与突起223を採用する場合、接触付与部分の導電性や接地の具合等を調整する必要はない。従って、接触付与突起223は、より簡単な構造をもって「伝達情報」に相当する配置に固定可能となる。
【0060】
[ユーザインタフェース装置]
図3は、本発明に係るユーザインタフェース装置の一実施形態における機能構成を示す機能ブロック図である。
【0061】
図3によれば、ユーザインタフェース装置であるタブレット1は、タッチパネル・ディスプレイ101と、通信インタフェース102と、伝達情報保存部103と、スピーカ104と、振動機構部105と、プロセッサ・メモリとを有する。ここで、プロセッサ・メモリは、タブレット1に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって、伝達情報及び応答情報の処理機能を実現させる。
【0062】
さらに、プロセッサ・メモリは、機能構成部として、伝達情報取得部111と、応答情報決定部112と、アプリケーション処理部113と、通信部114とを有する。また、このうち、伝達情報取得部111は、接触位置間距離解析部111aと、位置・向き解析部111bとを含むことも好ましい。尚、
図3において、各機能構成部を矢印で接続した処理の流れは、本発明による情報伝達方法の一実施形態としても理解される。
【0063】
タッチパネル・ディスプレイ101は、オブジェクトを置く面である接触検出面と、この接触検出面と重畳する又は一致する画面を有し、
(a)接触検出面における複数の接触位置を同時に検出可能な接触検出部と、
(b)画面に画像を表示可能な応答情報出力部としての画像表示部と
を有している。
【0064】
伝達情報保存部103は、「伝達情報」を保存・管理する。ここで、対戦ゲームのアイテムとなるキャラクタ表現体2のキャラクタIDを「伝達情報」として使用する場合を説明する。この場合、当該対戦ゲームのアプリケーションにおいて取扱い可能なキャラクタの種別毎に又は個体毎にキャラクタIDが決定されており、これらのキャラクタIDデータが伝達情報保存部103に保存・管理される。伝達情報保存部103は、このような「伝達情報」を、通信部114及び通信インタフェース102を介して別のタブレットやサーバ等との間でやり取りしてもよい。
【0065】
伝達情報取得部111は、オブジェクトがタッチパネル・ディスプレイ101の接触検出面に接触又は近接した際、接触検出部から出力された「複数の接触位置」に係る情報に基づいて、このオブジェクトに係る「伝達情報」を取得し、さらに、応答情報決定部112に出力する。この際、伝達情報取得部111は、オブジェクトにおける複数の接触付与部分の位置関係に係る情報と、「伝達情報」との対応関係を示す「対応情報」を用いて、このオブジェクトに係る「伝達情報」を取得することも好ましい。尚、「対応情報」は、例えば、伝達情報保存部103に記憶されていてもよく、後述するアプリケーション処理部113が保持していてもよい。
【0066】
ここで、「伝達情報」を取得する基となる「複数の接触位置」に係る情報について説明する。1つの実施形態として、1つのオブジェクトの有する複数の接触付与部分は、
(a)互いの位置間の距離、若しくは当該距離に係る情報、又は
(b)当該距離の組、若しくは当該距離に係る情報の組
が「伝達情報」を特定するような位置関係をもって配置されている。伝達情報取得部111の接触位置間距離解析部111aは、入力された「複数の接触位置」から、このような接触位置間の距離に係る情報(a)又は(b)を算出・決定する。
【0067】
図4は、接触位置間距離解析部111aの機能についての一実施形態を説明するための模式図である。
【0068】
図4には、1つのオブジェクトにおいて2つ、3つ及び4つの接触付与部分が配置されており、その結果、それぞれ2つ、3つ及び4つの接触位置が検出された場合が示されている。接触位置(接触付与部分)が2つの場合、接触位置間距離解析部111aは、タッチパネル・ディスプレイ101の接触検出面に設定された例えばXY座標系を利用して、これら2つの接触位置の座標値(Xa,Ya)及び(Xb,Yb)を求め、これらの座標値から、例えば次式
(1) d
1=((Xa−Xb)
2+(Ya−Yb)
2)
0.5
を用いて2つの接触位置間の距離d
1を算出する。このように、接触付与部分(接触位置)が2つの場合、接触位置間距離解析部111aは、1つのスカラー値としの距離d
1を、「伝達情報」を特定する情報として決定することができる。
【0069】
次に、接触位置(接触付与部分)が3つの場合、接触位置間距離解析部111aは、3つの接触位置のうちから2つを取り出して当該2つの間の距離を算出する。この場合、算出される距離は組み合わせの数
3C
2=3だけ存在する。従って、接触位置間距離解析部111aは、3つの距離d
1、d
2及びd
3を算出し、距離の組{d
1,d
2,d
3}を決定することができる。ここで、この距離の組は、要素の順番を情報とせずに(要素の順番の違いを区別せずに)並べた組み合わせとなっている。
【0070】
同様に、接触位置(接触付与部分)が4つの場合、接触位置間距離解析部111aは、算出可能な距離が組み合わせの数
4C
2=6だけ存在するので、6つの距離d
1、d
2、d
3、d
4、d
5及びd
6を算出し、距離の組{d
1,d
2,d
3,d
4,d
5,d
6}を決定することができる。さらに、接触位置が5つ以上の場合も同様に距離の組を算出することができる。但し、タッチパネル・ディスプレイ101の構造上又は接触位置出力の処理上の制限によって、同時に検出可能な接触位置の数の上限が通常設定されている。例えば、この上限が8の場合、2つのキャラクタ表現体2を接触検出面に置いて対戦ゲームを行うように設定されているとすると、1体当たりの接触付与部分(接触位置)の数は4つが上限となる。
【0071】
次いで、伝達情報取得部111(
図3)は、接触位置間距離解析部111aで決定された距離又は距離の組のデータを用いて「伝達情報」を取得する。例えば、接触位置(接触付与部分)が2つであって接触位置間距離解析部111aが1つのスカラー値としての距離d
1を決定する場合、例えば「対応情報」として、
(a)d
1<D
th1ならば、d
1に記号“a”を対応付け、
(b)D
th1≦d
1<D
th2ならば、d
1に記号“b”を対応付け、
・・・・・
といったように、距離の区間毎に所定の記号を予め割り当てておき、当該区間に含まれる距離d
1に、割り当てられた記号を対応付け、「伝達情報」とすることも好ましい。
【0072】
実際には、このような「対応情報」を予め設定した上で、「伝達情報」(例えばキャラクタID)として例えば記号X
iを決定し、2つの接触付与部分の間の距離を、この記号X
iを対応付けられた距離区間内の値に設定することになる。
【0073】
この場合、1つの距離d
1によって区別可能な記号X
iの数、即ち距離d
1の情報量は、区間の設定幅を狭くするほど大きくなる。従って、接触位置の解像度のより高いタッチパネル・ディスプレイ101を使用するほど、オブジェクトにより大きな情報量の「伝達情報」を付与することが可能となる。
【0074】
また、接触位置(接触付与部分)が3つ以上であって接触位置間距離解析部111aが複数のスカラー値の組として距離の組{d
1,d
2,d
3,・・・}を決定する場合、例えば「対応情報」として、各距離値に、上記の「対応情報」(a),(b)・・・を当てはめて各距離値に記号を対応付けてもよい。この場合、距離の組{d
1,d
2,d
3,・・・}に、複数の記号の組{X
1,X
2,X
3,・・・}が対応付けられる。
【0075】
実際には、このような「対応情報」を予め設定した上で、「伝達情報」(例えばキャラクタID)として例えば記号の組{X
1,X
2,X
3,・・・}を決定し、記号の数だけの接触付与部分を、そのうちの2つの間の距離の組が{d
1,d
2,d
3,・・・}となるように配置してもよい。これにより、複数の記号の組によって表現されるより大きな情報量の「伝達情報」を、オブジェクトに付与することが可能となる。
【0076】
また、変更態様として、例えば要素の順番の違いを区別する記号列X
1,X
2,X
3を「伝達情報」(例えばキャラクタID)とし、接触位置間の距離のうち、最も大きな値の距離d
m1が、記号X
1を対応付けた区間内の値となり、2番目に大きな値の距離d
m2が、記号X
2を対応付けた区間内の値となり、3番目に大きな値の距離d
m3が、記号X
3を対応付けた区間内の値となるように、3つ又はそれ以上の接触付与部分を配置することも好ましい。この場合、伝達情報取得部111(
図3)は、接触位置間距離解析部111aで決定された距離の組{d
1,d
2,d
3,・・・}から、要素の順番の違いを区別する距離の列dm
1,dm
2,dm
3を生成し、対応付けられた記号列X
1,X
2,X
3を「伝達情報」として決定する。
【0077】
このように、「伝達情報」を接触付与部分の配置に置き換える方法、及び接触位置間の距離に係る情報から「伝達情報」を決定する(解読する)方法は、上述のものに限定されるものではなく、種々の変更態様が実施可能である。いずれにしても、接触位置間の「距離」に焦点を当て、この「距離」に係る情報と、伝達すべき「伝達情報」とを対応付けることによって、オブジェクトを置く位置に依らずに、言い換えるとオブジェクトを接触又は近接させる接触検出面上での絶対位置(座標)に依存することなく、オブジェクトの保持する「伝達情報」を確実に伝達することができるのである。
【0078】
尚、接触位置間の距離に係る情報は、距離そのものに限定されるものではなく、例えば、2つの接触位置を結ぶ線分が横切るピクセルの数等とすることも可能である。また、「複数の接触位置」に係る情報として、複数の接触位置の点集合の中で最も外側にある点を直線で結んでできる線分の集合である凸包の面積、又は凸包である多角形の内角(外角)とすることも可能である。しかしながら、距離ならば、2つの接触位置からでも算出することができ、また、計算処理が比較的容易であって情報量も十分に大きく設定することができる。
【0079】
図3に戻って、伝達情報取得部111の位置・向き解析部111bは、取得した複数の接触位置の並進及び/又は回転の度合いに基づいて、オブジェクトの接触検出面内における「位置の移動及び/又は向きの転換に係る情報」を算出する。
【0080】
応答情報決定部112は、接触検出面に接触又は近接したオブジェクトに係る「伝達情報」に対応した「応答情報」を決定する。例えば、「応答情報」として画像情報を決定し、この画像情報を、このオブジェクトに係る複数の接触位置に基づいて決定された画面上の位置に表示させる。応答情報決定部112は、さらに、伝達情報取得部111(位置・向き解析部111b)からオブジェクトの接触検出面内における「位置の移動及び/又は向きの転換に係る情報」を入力した際、決定した「応答情報」としての画像情報を、当該「位置の移動及び/又は向きの転換に係る情報」に基づいて決定された画面上の位置に表示させることも好ましい。
【0081】
ここで、応答情報決定部112の出力制御部112aは、決定された「応答情報」を、その出力形態に応じて、例えばタッチパネル・ディスプレイ101、スピーカ104、振動機構部105及び通信部104のうちの1つ又は複数に出力する。
【0082】
図5は、位置・向き解析部111b及び応答情報決定部112の機能についての一実施形態を説明するための模式図である。
【0083】
図5によれば、最初に、ユーザが、キャラクタ表現体2を指で挟んで、タブレット1の接触検出面(且つ画面)に置いている。ここで、応答情報決定部112(
図3)は、このキャラクタ表現体2から取得された「伝達情報」に基づいて、対応する「応答情報」としての第1の攻撃波画像情報を決定する。この際、応答情報決定部112は、「伝達情報」(例えばキャラクタID)と「応答情報」とを予め対応付けた「対応情報」を参照して、「応答情報」を決定することができる。この「対応情報」は、例えばアプリケーション処理部(
図3)が保持していてもよい。
【0084】
次いで、応答情報決定部112は、決定した第1の攻撃波画像情報を、第1の攻撃波画像31として、キャラクタ表現体2に係る複数の接触位置に基づいて決定された画面上の位置に表示させる。これにより、設置されたキャラクタ表現体2がまさに、第1の攻撃波を放射したように表現することが可能となる。因みに、キャラクタ表現体2の画面(接触検出面)上の位置は、キャラクタ表現体2に係る複数の接触位置によって形成される凸包(多角形)の重心位置とすることができる。
【0085】
同じく
図5によれば、ユーザは、さらに、接触検出面(画面)上に置かれたキャラクタ表現体2を再び指で挟んで、このキャラクタ表現体2を接触検出面上で向きを転換させつつ移動させている。この際、位置・向き解析部111b(
図3)は、複数の接触位置の集合全体における並進及び回転の度合いを取得する。ここで、並進の度合いは、例えば複数の接触位置によって形成される凸包(多角形)の重心位置の移動分によって決定することができる。また、回転の度合いは、例えば当該凸包(多角形)の1つの辺の向きの変化分によって決定可能である。
【0086】
尚、タッチパネル・ディスプレイ101が投影型静電容量方式で駆動しており、ユーザの指がキャラクタ表現体2に接触している際にのみ接触位置が検出される場合でも、キャラクタ表現体2を指で挟んで移動させたり向きを変えたりしているので、その間、複数の接触位置が確実に検出される。
【0087】
次いで、位置・向き解析部111bは、取得した複数の接触位置の並進及び/又は回転の度合いに基づいて、オブジェクトの接触検出面内における「位置の移動及び/又は向きの転換に係る情報」を算出する。さらに、応答情報決定部112は、算出された「位置の移動及び/又は向きの転換に係る情報」を入力した際、決定した「応答情報」としての第2の攻撃波画像情報を、第2の攻撃波画像32として、この「位置の移動及び/又は向きの転換に係る情報」に基づいて決定された画面上の位置に表示させる。これにより、キャラクタ表現体2がまさに、移動した先において転換した向きの前方に、第2の攻撃波を放射したように表現することが可能となる。
【0088】
同じく
図5に示すように、応答情報決定部112(
図3)は、キャラクタ表現体2が接触検出面に置かれた際、このキャラクタ表現体2に係る「伝達情報」(キャラクタID)に対応した「応答情報」(画像情報)として、第1の入力アイコン画像情報と、第2の入力アイコン画像情報と、キャラクタ属性表示画像情報とを決定し、第1の入力アイコン41と、第2の入力アイコン42と、キャラクタ属性表示画像5とを画面上の所定の位置に表示させることも好ましい。
【0089】
第1の入力アイコン41及び第2の入力アイコン42は、タップされることによって、キャラクタ表現体2に、それぞれ異なる所定の種類の攻撃動作を実行させる設定となっている。ここで、タッチパネル・ディスプレイ101における同時に検出可能な接触位置の数の上限が例えば8であって、且つ3つの接触付与部分を有するキャラクタ表現体2を2体まで接触検出面に設置可能なように設定されているとする。この場合、2つ(=8−3×2)の接触位置が更に同時に検出可能であるので、第1の入力アイコン41及び第2の入力アイコン42を同時にタップして、両方の種類の攻撃動作を実行させることもできる。また、例えば、2つの入力アイコンをそれぞれ、互いに対戦する各キャラクタ表現体2での攻撃動作の発動用としてもよい。
【0090】
尚、タッチパネル・ディスプレイ101が投影型静電容量方式で駆動しており、ユーザの指がキャラクタ表現体2に接触している際にのみ接触位置が検出される場合、キャラクタ表現体2が指から離れて接触検出面上に置かれている状況ならば、上記のような入力アイコンは、最大8つまで設定することができる。
【0091】
また、タブレット1が(図示していないが)マイクを備えており、ユーザによる音声を入力情報且つトリガとして、例えば特定のキャラクタ表現体2について表示される攻撃波等の画像情報を表示させることも好ましい。例えば、ユーザが「キャラクタNo.18、第2の攻撃波だ!」との音声を入力すると、該当するキャラクタ表現体2が第2の攻撃波を発したように表示されてもよい。
【0092】
図3に戻って、スピーカ104は、応答情報決定部112の出力制御部112aから「応答情報」としての聴覚情報を入力し、例えば、キャラクタ表現体2の「伝達情報」(キャラクタID)に応じた音声を出力する応答情報出力部である。
【0093】
振動機構部105は、応答情報決定部112の出力制御部112aから「応答情報」としての触覚(体感)情報を入力し、例えば、キャラクタ表現体2の「伝達情報」(キャラクタID)に対応した攻撃動作(現象)に応じた振動を出力する応答情報出力部である。振動機構部105は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系等の圧電材料を用いて形成された圧電アクチュエータを含む機構部とすることができる。
【0094】
アプリケーション処理部113は、起動しているアプリケーションからの指示や当該アプリケーションでの設定情報(「対応情報」等)を、伝達情報取得部111及び応答情報決定部112に伝える。また、伝達情報取得部111及び応答情報決定部112で取得・決定された情報、例えば、あるキャラクタIDのキャラクタ表現体2が設置された旨の情報等をアプリケーションに返す。これにより、本実施形態の情報伝達システムは起動中のアプリケーションの入出力機能を果たすことが可能となる。
【0095】
通信部114は、通信インタフェース102を介し、装置外部から「伝達情報」や伝達情報に対応する「対応情報」等を受信し、例えば伝達情報保存部103に出力して保存させる。また、応答情報決定部112の出力制御部112aから「応答情報」を入力し、通信インタフェース102を介して外部のサーバや端末等宛てに送信する。通信部114は、さらに、後に
図6を用いて説明する複数のタブレット1を用いた実施形態において、タブレット1間で、「伝達情報」、「応答情報」、「位置・向き情報」等の情報をやり取りする機能を果たしてもよい。
【0096】
通信インタフェース102は、Wi-Fi(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)、3G(3rd Generation)、又はBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信等に対応した無線インタフェースである。変更態様として、例えば光ファイバ網、又はADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)等の固定系ネットワークに対応した有線インタフェースであってもよい。
【0097】
[複数の装置を含む情報伝達システム]
図6は、本発明による情報伝達システムの他の実施形態を示す模式図である。
【0098】
図6に示すように、本実施形態の情報伝達システムは、複数の(
図6では2つの)ユーザインタフェース装置である第1のタブレット11及び第2のタブレット12と、これらのタブレットの接触検出面上にそれぞれ置かれる第1のキャラクタ表現体25及び第2のキャラクタ表現体26とを有する。
【0099】
第1のタブレット11及び第2のタブレット12は、例えばインターネット、事業者通信網、LAN、又は近距離無線通信ネットワーク等を介して相互に通信接続されている。一方のタブレットの通信部は、「伝達情報」(キャラクタID)、「応答情報」、「位置・向き情報」といった伝達情報に係る情報を、他方のタブレットの通信部との間で送受信可能となっている。
【0100】
具体的に、
図6によれば、第1のタブレット11の伝達情報取得部は、第1のタブレット11の接触検出面に置かれた第1のキャラクタ表現体25の「伝達情報」であるキャラクタIDを取得する。次いで、第1のタブレット11の応答情報決定部は、対応する「応答情報」の画像である入力アイコン4を画面に表示する。また、同じく「応答情報」の画像であるキャラクタ表現体画像25’の情報を、通信部を介して第2のタブレット12宛てに送信し、キャラクタ表現体画像25’を第2のタブレット12の画面に表示させる。尚、全く逆の形で、第2のタブレット12に置かれた第2のキャラクタ表現体26の「応答情報」の画像であるキャラクタ表現体画像26’が第1のタブレット11で受信され、第1のタブレット11の画面に表示されることも好ましい。さらに、第1のタブレット11の応答情報決定部は、ユーザによって入力アイコン4がタップされた際、「応答情報」の画像である攻撃波画像33を更に表示する。
【0101】
ここで、変更態様として、第1のタブレット11の通信部は、取得されたキャラクタIDに係る情報(例えば、第1のキャラクタ表現体25のキャラクタID及び位置・向き情報、並びに攻撃波画像33の情報)を第2のタブレット12宛てに送信することも好ましい。この場合、第2のタブレット12の応答情報決定部は、第2のタブレット12の通信部を介して受信されたキャラクタIDに係る情報(第1のキャラクタ表現体25のキャラクタID及び位置・向き情報、並びに攻撃波画像33の情報)に対応した「応答情報」を決定する。この変更態様では、この「応答情報」としてキャラクタ表現体画像25’と対応攻撃波画像33’とが決定され、第2のタブレット12の画面に表示される。
【0102】
以上に説明したような実施形態によれば、複数のユーザインタフェース装置が、取得した「伝達情報」や決定した「応答情報」を、通信を介して共有し又は対応付けて出力することができる。その結果、オブジェクトを直接接触又は近接させることのできない装置との間でも、オブジェクトの有する「伝達情報」に基づいたコミュニケーションを実施することが可能となる。例えば、本実施形態の情報伝達システムは、ネットワークを介して複数のプレイヤが参加するタイプのアプリケーションの入出力システムに適用可能である。
【0103】
[デジタルサイネージを含む情報伝達システム]
図7は、本発明による情報伝達システムの更なる他の実施形態を示す模式図である。
【0104】
図7によれば、本実施形態の情報伝達システムは、ユーザインタフェース装置としてのデジタルサイネージ6と、ユーザの所持するオブジェクトであるデジタルハンコ27とを含む。デジタルサイネージ6は、接触検出面及び画面を有しておりマルチタッチ機能を備えたタッチパネル・ディスプレイ601を有し、さらに、内蔵した通信部及び通信インタフェースによって、例えばインターネットを介し、外部のサーバ7と通信接続が可能となっている。
【0105】
デジタルハンコ27は、「伝達情報」としてのユーザIDに対応付けられた位置関係をもって配置された複数の接触付与部分を有する。ユーザは、デジタルハンコ27におけるこれらの接触付与部分が配置された接触付与面(ハンコ面)を、デジタルサイネージ6のタッチパネル・ディスプレイ601に当てる(接触又は近接させる)。次いで、デジタルサイネージ6の伝達情報取得部は、当てられたデジタルハンコ27のユーザID(「伝達情報」)を取得し、取得したユーザIDをサーバ7宛てに送信する。
【0106】
サーバ7は、例えば特定のサービスの提供を目的として予めユーザ(ユーザID)の登録を記録している。例えば、ユーザID毎に、当該ユーザIDに対応するユーザが入手したい種類の情報や、ユーザの嗜好する又は興味を持つ情報を対応付けて記録しておく。このようなユーザに係る情報は、例えば定期的に実施されるアンケートの結果から取得されてもよく、他の情報源となるサーバに問い合わせをして情報を受け取ってもよい。また、定期的に更新されることも好ましい。
【0107】
サーバ7は、デジタルサイネージ6からユーザIDを受信すると、受信したユーザIDに対応付けられた情報を「応答情報」に決定し、決定した「応答情報」を、ユーザIDの送信元のデジタルサイネージ6宛てに送信する。この場合、サーバ7は、応答情報決定部として機能することになる。
【0108】
決定された「応答情報」を受信したデジタルサイネージ6は、受信したユーザ個人向けの「応答情報」を、それまでの表示内容を切り替えてタッチパネル・ディスプレイ601に表示する。これにより、ユーザは、デジタルハンコ27をデジタルサイネージ6に当てるだけで、例えば自ら所望する個人的な情報を、例えば公共空間にいながら画像情報として知得することができる。これは、例えば顔認証を用いた個人情報の提供と比較して、デジタルハンコ27の使用というユーザの意思に基づく行動を起因としている点からして、ユーザに配慮したより適切なサービスの提供となる。
【0109】
また、サーバ7は、デジタルハンコ27が当てられたデジタルサイネージ6の設置場所に応じて、送信する「応答情報」を選択することも好ましい。例えば、ユーザは、現在位置の近隣にあって所望の書籍を扱っている書店を知りたいとし、サーバ7にユーザIDと所望する書籍の種類とを対応付けて予め登録しているとする。また、サーバ7は、書店とデジタルサイネージ6の設置場所とが記録された地図情報と、各書店の扱っている書籍の情報とを保持しているとする。この場合、ユーザIDを受信したサーバ7は、この地図情報及び書籍情報に基づいて、このユーザIDに対応付けられた種類の書籍を扱っており且つこのユーザIDの送信元のデジタルサイネージ6に最も近い書店の情報を「応答情報」として、デジタルサイネージ6に送信し、ユーザに提供することも好ましい。
【0110】
以上、詳細に説明したように、本発明の情報伝達システム、オブジェクト及び情報伝達方法によれば、複数の接触位置を同時に検出可能な装置に対し、所定の入力情報を簡便且つ確実に伝達することができる。また、それ故に、そのような装置を使用し得る環境ならば、本発明は、ゲーム・アプリケーションのみならず、様々な分野での情報伝達/入出力手段として応用されることができる。
【0111】
以上に述べた本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲内での種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。上述の説明はあくまで例であって、本発明を何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【解決手段】本情報伝達システムは、接触検出面を有し、この接触検出面における複数の接触位置を同時に検出可能な接触検出部と、接触検出面に接触又は近接させることによって接触検出部に接触位置を検出させる複数の接触付与部分を、伝達すべき伝達情報に予め対応付けられた位置関係をもって配置した少なくとも1つのオブジェクトと、オブジェクトが接触検出面に接触又は近接した際、接触検出部から出力された複数の接触位置に係る情報に基づいて、このオブジェクトに係る伝達情報を取得する伝達情報取得手段とを有する。ここで、複数の接触付与部分は、互いの位置間の距離に係る情報又は当該距離に係る情報の組が伝達情報を特定するような位置関係をもって配置されていることも好ましい。