特許第5713458号(P5713458)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5713458-地熱利用装置 図000002
  • 特許5713458-地熱利用装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5713458
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】地熱利用装置
(51)【国際特許分類】
   F24J 3/08 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
   F24J3/08
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2012-88850(P2012-88850)
(22)【出願日】2012年4月9日
(65)【公開番号】特開2013-217581(P2013-217581A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2014年12月20日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509033697
【氏名又は名称】佐々木 典政
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 典政
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−139370(JP,A)
【文献】 特開2006−84097(JP,A)
【文献】 特開2006−84093(JP,A)
【文献】 特開2004−169985(JP,A)
【文献】 特開平11−182943(JP,A)
【文献】 特開2006−207919(JP,A)
【文献】 特開2005−351514(JP,A)
【文献】 特開平1−269862(JP,A)
【文献】 特開平10−274444(JP,A)
【文献】 特開2011−141107(JP,A)
【文献】 特開2011−226754(JP,A)
【文献】 特開2012−26723(JP,A)
【文献】 特開2013−64597(JP,A)
【文献】 特開2013−7550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24J 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地熱利用部から地中に、内部が中央の隔壁で左右に区切られて2室になっており、その隔壁の両面、空気が下降するする側の下側のおおむね半分の内部及び空気が上昇する側の上側のおおむね半分の内部が断熱性に優れる塗料で塗装してあり、下部において左右の2室がつながっており、地熱利用部に当該2室にそれぞれつながる空気吸入口と空気排出口を有する管を埋める構成の地熱利用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地熱利用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地熱利用装置には熱媒体をポンプで循環させるものやヒートパイプがあるが、熱媒体をポンプで循環させて地熱を利用する装置においては、ポンプを動かすために電力が必要であり、ヒートパイプにおいては、ポンプは使用しないので電力は不要であるが、特別な作動液を使用するため、作動液の漏出による環境への影響や撤去時の処理のコストの問題がある。このため、動力も特別な作動液も使用せずに簡易な構造で地熱を利用する装置を実現することを目的として、地熱利用部から地中に、二重になっており、途中で内側と外側が交替し、下部において内側の管と外側の管との開口部がある管を埋める地熱利用装置が考案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−141107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二重管を使用するものは、地熱を汲み上げる効率は高いものの、二重管の内側と外側が交替する部分の構造が複雑であるため製造のコストが高くなってしまう。本発明は、さらに簡易な構造である、動力も特別な作動液も使用せずに地熱を利用する装置を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の地熱利用装置は、地熱利用部から地中に、内部が中央の隔壁で左右に区切られて2室になっており、その隔壁の両面、空気が下降するする側の下側のおおむね半分の内部及び空気が上昇する側の上側のおおむね半分の内部が断熱性に優れる塗料(以下、「断熱塗料」という。)で塗装してあり、下部において左右の2室がつながっており、地熱利用部に当該2室にそれぞれつながる空気吸入口と空気排出口を有する管を埋める構成とした。
【発明の効果】
【0006】
特許文献1の地熱利用装置の地中埋設管は、その上部では空気下降室は外側にあって内側にある空気上昇室より比較的低温の地中熱の影響を受けやすく、その下部では空気下降室は内側にあって外側にある空気上昇室より比較的高温の地中熱の影響を受けにくく、全体として、空気下降室内の空気が空気上昇室内の空気より重くなることは、本発明と同じであるが、本発明の地中埋設管の方が構造が単純であり、製造のコストを下げることができるし、地中埋設の施工もしやすい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の地熱利用装置の側面断面図である。
図2】地中埋設管の下部の平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図1及び図2に基づいて説明する。
【0009】
図においては、1は地中埋設管で、隔壁2により空気下降室3と空気上昇室4に分かたれている。空気下降室3と空気上昇室4とは最下部の開口部5でつながっている。隔壁2の両面並びに空気下降室3の下部の内側の面及び空気上昇室4の上部の内側の面は、断熱塗料で塗装されている。空気下降室3は空気吸入口7で地熱利用部9につながっている。空気上昇室4は空気排出口8で地熱利用部9につながっている。
【0010】
以下、上記構成の動作を説明する。
【0011】
本発明の地熱利用装置に使用する地中埋設管1を地中に埋めた状態では、地中埋設管1の上部では、地中温度が相対的に低く、地中埋設管1の下部では、地中温度が相対的に高くなっている。
【0012】
地中温度は、地下の浅い部分においてはほぼ外気温に等しく、地下5メートル付近では1年を通してほぼ一定であり、その地域の年平均気温にほぼ等しくなっている。さらに深くなると、地域によって変動はあるものの、おおむね30メートルにつき1℃ずつ高くなっていく。したがって、冬季においては、地下深くなればなるほど地中温度が高い状態になっている。地表付近と地下の深いところの間で空気を循環させれば、地熱を利用することができる。
【0013】
本発明の地熱利用装置に使用する地中埋設管1は、隔壁2によって空気下降室3と空気上昇室4とに分かれているが、空気下降室3の下部の地中に接している管壁の内側には断熱塗料が塗られており、地熱が空気下降室3の内部の空気に伝わりにくくなっている。一方、空気上昇室4の下部の地中に接している管壁の内側には断熱塗料が塗られておらず、地熱が空気上昇室4の内部の空気に伝わりやすくなっている。このため、地中埋設管1の下部では、空気上昇室4内の空気の温度が空気下降室3内の空気の温度より高くなる。また、空気下降室3の上部の地中に接している管壁の内側には断熱塗料が塗られておらず、相対的に低い地中温度の影響を受けやすくなっている。一方、空気上昇室4の上部の地中に接している管壁の内側には断熱塗料が塗られており、相対的に低い地中温度の影響を受けにくくなっている。このため、地中埋設管1の上部では、空気上昇室4内の空気の温度が空気下降室3内の空気の温度より高くなる。従って、上部下部を通じて、空気上昇室4内の空気の温度が空気下降室3内の空気の温度より高くなる。温度の低い空気は温度の高い空気より重いので、地中埋設管1の下部で空気下降室3と空気上昇室4とがつながる開口部5で空気が空気下降室3から空気上昇室4に流れていく。この過程が連続し、空気吸入口7から取り入れられた空気が、地中埋設管1を通過する間に暖められて、空気排出口8から排出され、結果として、地熱が地熱利用部9に運ばれる。
【符号の説明】
【0014】
1 地中埋設管
2 隔壁
3 空気下降室
4 空気上昇室
5 開口部
6 断熱塗料
7 空気吸入口
8 空気排出口
9 地熱利用部
10 空気の流れ
11 地中
図1
図2