【発明の効果】
【0009】
こうして、非対称の構成を提供することで、不適切な操作、特にエアフィルタハウジング内の不適切な装着を防止することができ、操作者が不適切な装着を認識できるか又は防止することができるフィルタエレメントを提供することができる。エアフィルタハウジング内のフィルタエレメントの不適切な装着の防止によってエアフィルタの誤動作を防止することができる。さらに、関連する接触面の封止構成が適切に適合し、フィルタエレメント内を通過してエアフィルタハウジングに至る漏れフローが確実に防止される。こうして、エアフィルタによって濾過しなければならない内燃機関にとって有害な微粒子によって引き起こされる内燃機関の重大な損傷が防止することができる。特に、そのような微粒子が濾過されないままエアフィルタハウジングを通過し内燃機関の燃焼室に達することを防止することができる。さらに、エアフィルタハウジング内のフィルタエレメントの不適切な装着によってフィルタエレメント自体も損傷し又はフィルタエレメントの濾過効率が低下することを防止することができる。特に、エアフィルタハウジング又はフィルタエレメントが互いに一致する幾何学構造の場合、不適切な装着によってエアフィルタハウジング内のフロー状況全体が変化しエアフィルタがもはや規定の方法で貫通せず、したがって、例えば、フィルタエレメントのある領域がフローを取り込み、又は所望の強さよりも強力に貫通し、これと対照的に、フィルタエレメントの他の領域は全く又はほとんど貫通しなくなる。不適切な装着を防止することで、特に負荷が強すぎる領域が濾過水によって迅速に閉塞される時に発生することがあり、その結果、エアフィルタ内のフロー状況が大幅に変化するフィルタエレメントの極めて不均等な負荷を防止することができる。特に、フロー抵抗が大幅に変化するので、エアフィルタの濾過効率が阻害されるだけでなく、必要な量の空気が内燃機関に供給されないため、内燃機関の運転効率も悪化する。さらに、エアフィルタハウジング内へのフィルタエレメントの不適切な装着を防止することで、フィルタエレメントのフィルタ媒体は所望の方法で貫通し、空気流によって機械的に変形したり破壊される可能性がなくなる。同時に、フィルタエレメント、したがって、エアフィルタ全体の濾過効率と信頼性が確保される。さらに、フィルタエレメント上に配置された封止構成の非対称の接触面によって、フィルタハウジング内のフィルタエレメントを交換する操作要員はフィルタエレメントがエアフィルタハウジング内に正しく挿入されているか否か、又は操作要員によって直ちに修正可能な不適切な可能性がある装着があるか否かを発見することができる。
【0010】
封止構成は実質的に剛性の接触面であってもよく、実質的に可撓性の接触面であってもよい。この場合、可撓性の接触面は、剛性及び可撓性の接触面の逆圧によって変形可能な接触面と理解すべきである。変形は、一方で可塑性又は非復元性であるが、他方で弾性又は自己復元性であってもよい。
【0011】
本発明の例示的な実施形態によれば、第1の接触面は、装着方向の平面への間隔が装着方向に単調に増大する表面に配置されている。
【0012】
言い換えれば、エアフィルタハウジング内へのフィルタエレメントの挿入時に封止構成の接触面の力の負荷が比較的遅い時点で実現されて封止表面の横断方向の摺動及び相互摩耗が実質的に防止されるように、第1の接触面は、装着方向に対して傾斜した平面内又は湾曲した面内に配置することができる。特に、特定の微粒子も封止表面に堆積する可能性がある塵埃が堆積した環境では、封止表面上に堆積した微粒子によって相互にこすれる封止表面が損傷することを防止するために対応する封止接触面相互の摩耗作用が防止されることは重要である。
【0013】
本発明の例示的な実施形態によれば、封止構成は湾曲した面内で延在する。
【0014】
湾曲した面内に封止構成を配置することで、傾斜して延在する平面と比較して装着の奥行きの低減が達成され、同時にエアフィルタハウジングの最も低い位置の装着位置から見た封止構成の信頼できる係合が確実に行われる。この低い位置は、一般に封止要素の挿入後は操作要員からはもはや容易に見えないので、特にこの領域では、封止要素の接触面の信頼できる係合が確実に行われなければならない。特に接触面の湾曲した構成によって、例えば、封止リップが偶然に折り畳まれ、信頼できる封止作用がもはや確実に行われないことを防止することができる。
【0015】
本発明の例示的な実施形態によれば、封止幾何学構造は周方向に変化する輪郭を有する。
【0016】
そのような周方向の輪郭の変化は、例えば、封止リップ又は接触面を広げることで、また弾性の封止要素のより厚い構成によって実現することができる。さらに、周方向の断面も変化するので、特に封止要素の断面のさまざまな位置を考慮しなければならない。特に、エアフィルタハウジングの下部領域で封止幾何学構造の半径方向の力の負荷を高めるように、一方、装着位置から見てエアフィルタハウジングの中央及び上部領域では、封止幾何学構造の軸方向の力の負荷を高めるように装着位置から見た輪郭を設計することができる。これによって周縁に沿った封止幾何学構造のさまざまな構成、特に変化する輪郭が可能になる。
【0017】
本発明の例示的な実施形態によれば、封止構成は、流出側に対向するフィルタエレメントの領域内に位置する。
【0018】
こうして、フィルタエレメントの外壁面は、特にフィルタエレメントが折り畳んだ蛇腹フィルタの時に吸気面としても使用することができる。フィルタエレメントが複数の折り畳んだ蛇腹のフィルタである実施形態では、さらに追加の中央の吸気通路が提供される。濾過された塵埃は濾過されていないガスの側に位置するので、濾過されていないガスの側には、大型の吸気面領域を提供しなければならない。これは、例えば、濾過されていないガスの側に2つの吸気通路を提供することで達成することができる。しかし、封止構成は、吸気側に対向するフィルタエレメントの領域内にも配置することができるが、この場合には、外壁面はもはや一般に吸気用に利用することができない。いわゆるコイルフィルタ又はコンパクト要素又は溝付フィルタを使用する時にはこれはあまり重要ではない。何故なら、一般にコンパクト要素又はコイルフィルタ又は溝付フィルタの場合、外壁面は吸気面として設計されず、吸気は主にフィルタエレメントの端面を通して実現するからである。
【0019】
本発明の例示的な実施形態によれば、フィルタエレメントは、半径方向の伸張方向平面内に第1のほぼ直線状の断面と第2のほぼ直線状の断面とを有し、第1のほぼ直線状の断面と第2のほぼ直線状の断面は、半径方向の伸張方向平面内で互いにテーパ状
に拡幅されている。
【0020】
こうして、特に半径方向の封止作用の場合に、ほぼ直線状の断面が早い時点でエアフィルタハウジングの対応する封止表面による力の負荷にさらされることなくエアフィルタハウジング内にフィルタエレメントを挿入することができる。こうして、特に封止表面上の塵埃又は微粒子の堆積の場合、封止表面間の長い摩擦路が実質的に防止され、封止幾何学構造の損傷が防止される。さらに、フィルタエレメントのこの楔状の構成によって、エアフィルタハウジングへのフィルタエレメントの容易で簡単な挿入を達成することができる。例えば半径方向の封止作用の場合、エアフィルタハウジングの蓋は、挿入開口の方向の対応する半径方向の封止作用を生成することができる。
【0021】
本発明の例示的な実施形態によれば、フィルタエレメントは、流出側のフィルタエレメントの端面全体にわたって半径方向の伸張方向平面内で少なくとも部分的に延在し、フィルタエレメントの外壁面全体にわたって軸方向に少なくとも部分的に延在する形状保持シェルを有する。
【0022】
そのような形状保持シェルは、一方で衝撃又は縁部保護デバイスとしての役割を果たすことができるが、画定された封止幾何学構造を提供するために封止構成を施してもよい。さらに、形状保持シェル上にエアバッフルなどのフロー誘導デバイスを提供して、フィルタエレメントと一緒にエアフィルタハウジングの内部に最適化されたフローの幾何学構造を提供することができる。例えば、フィルタエレメントが複数の蛇腹フィルタの形態で提供されると、形状保持シェルも、例えば、外側に折り畳んだ蛇腹の折り畳み部の奥行き全体にわたって延在できる。しかし、これによって吸気通路の有効吸気表面積が低減することがある。コイルフィルタ又はコンパクトフィルタなどの外壁面に吸気面が必要ないような構造に設計されたフィルタエレメントの場合、形状保持シェルは外壁面全体にわたっても延在できる。
【0023】
本発明の例示的な実施形態によれば、形状保持シェル上に封止構成が提供される。
【0024】
こうして、位置と幾何学構造に関して封止構成を安定化させるために形状保持シェルの形状安定性が使用されるので偶然に変形することはない。形状保持シェルは、フィルタエレメントの周縁に沿ってその輪郭が変わることがあり、例えば、形状保持シェル上に傾斜して位置する封止構成も実現することができる。これは、例えば、封止表面の横断的摩耗を防止するために傾斜した平面又は湾曲した面上に封止構成が配置される実施形態に特に関連する。
【0025】
本発明の例示的な実施形態によれば、封止構成の第1の接触面は弾性変形する。
【0026】
一般に、エアフィルタハウジング内のフィルタエレメントはエアフィルタの寿命の間に数回交換されるので、エアフィルタハウジング側の封止幾何学構造は、一般にフィルタエレメント側の封止幾何学構造よりも寿命が長い。一般に弾性変形する封止構成は損傷をより受けやすいため、損傷を受けやすい封止幾何学構造、この例ではフィルタエレメント上に提供された弾性変形封止構成がより頻繁に交換され、また交換性が向上することが重要である。特に、封止構成の弾性変形する部分で一般に発生する封止構成又は封止幾何学構造全体の損傷の場合、エアフィルタ全体を交換する代わりにフィルタエレメントだけを交換する方がはるかに簡単で低コストである。さらに、一般にエアフィルタの交換は熟練要員しか実行することができないが、フィルタエレメント自体の交換はそれに対応する内燃機関の操作者又は操作要員が実行することができる。
【0027】
本発明の例示的な実施形態によれば、第1の接触面は、対向する辺を備えた凹状の封止輪郭を有する。
【0028】
そのような封止輪郭は、封止表面を横断する比較的長い円弧距離が提供されるように、例えばウェブの形態の対応する封止表面を備えていてもよい。こうして、封止構成の封止特性が一般に向上する。特に、凹状の封止輪郭の対向する両方の辺によってエアフィルタハウジング内のフィルタエレメントの位置決めが改善され自己安定化安全作用が向上する。
【0029】
本発明の例示的な実施形態によれば、対向する辺の少なくとも一方は、周方向に延在する少なくとも1つの突出するリブを有する。
【0030】
こうして、特に突出するリブがエアフィルタハウジングによって封止幾何学構造の突出する縁部又はウェブのクランプを可能にする一定の弾性及び解放作用を有する時に、エアフィルタハウジングの対応する封止表面による凹状の封止構成の自己安全効果が達成することができる。周方向のいくつかの突出するリブを提供する際に、濾過されていないガスの側と濾過されたガスの側との漏れ防止の形の離間を向上させるいくつかの周方向に延在する封止線を提供することができる。さらに、突出するリブ間の挿入およびクランプによる自己安全効果が改善される。
【0031】
本発明の例示的な実施形態によれば、第1の接触面の押圧方向は、フィルタハウジング内にフィルタエレメントが装着可能な装着方向に実質的に垂直である。
【0032】
特にフロー方向を横断する装着方向の場合、エアフィルタハウジング内及びフィルタエレメント上の周方向に切れ目がない封止表面が提供され、濾過されたガスの側と濾過されていないガスの側とを漏れ防止の形で確実に離間させる2つの画定された封止表面が互いに接触する。流出方向に向いたフィルタエレメント上の接触面と、吸気方向に向いたエアフィルタハウジングのそれに対応する接触面とによって、押圧力は動作で引き起こされる空気流によってさらに増大し、こうして封止状況を改善することができる。
【0033】
本発明の例示的な実施形態によれば、フィルタエレメントは、フィルタエレメントに対して第1の移動位置から第2の移動位置へ移動可能な押圧力付勢デバイスを備え、第1の移動位置の押圧力付勢デバイスはフィルタハウジングへのフィルタエレメントの挿入を可能にするように設計され、第2の移動位置の押圧力付勢デバイスは、エアフィルタハウジング上に支持されてエアフィルタハウジングの封止構成へのフィルタエレメントの封止構成の押圧力付勢を生むように設計されている。
【0034】
こうして、押圧力付勢デバイスが第1の移動位置にある状態で、フィルタエレメントを、例えば、フロー方向を横断してエアフィルタハウジング内に導入することができる。第2の移動位置にある押圧力付勢デバイスを起動することで、対応する力をエアフィルタハウジング上に印加して支持することができ、エアフィルタハウジングの対応する封止表面に対してフィルタエレメントの封止構成の接触面を押し当てることができる。こうして、力を大きく消費せずにエアフィルタハウジングの適切な位置に先にフィルタエレメントを挿入し、その後で初めて、濾過されたガスの側と濾過されていないガスの側とを漏れ防止の形で離間させるために対応する封止構成に力を加える対応する押圧力付勢作用が実行される。
【0035】
本発明の例示的な実施形態によれば、押圧力付勢デバイスは、枢支軸を中心に枢動(回動)可能なようにフィルタエレメント上に取り付けられ、エアフィルタハウジングに力の負荷を与える表面を有し、枢動(回動)時に押圧力付勢表面は枢支軸に対して偏心運動(所定角度の回動)を行う。
【0036】
こうして、偏心を提供することで、封止構成上の押圧力が利用することができ、特定のてこ作用を用いて相対的に最小の力の消費で封止構成上の高い押圧力を達成することができる。枢支軸に対する押圧面の偏心構成(所定角度の回動)によって、力の増大がある種の楔作用によって生成される。押圧力付勢表面は、押圧力付勢作用が連続的な力によって実質的に実現するように湾曲していてもよい。さらに、押圧力付勢表面は、封止幾何学構造上の適切な押圧力付勢を達成するために押圧力付勢デバイスが超えなければならない特定のしきい値が提供されるように設計することができる。特に、そのようなしきい値を超えることでフィルタハウジング内へのフィルタエレメントの適切な導入と封止幾何学構造への適切な押圧力付勢が実行されたという認識可能な徴候を操作要員に提供する。
【0037】
本発明の例示的な実施形態によれば、押圧力付勢デバイスは、押圧力付勢デバイスが第1の移動位置から第2の移動位置へ、またその逆へ移動可能なように設計されたハンドルを有し、第1の移動位置のハンドルは、フィルタハウジングにフィルタエレメントを装着する又はフィルタハウジングからフィルタエレメントを取り外すためのグリップとして設計されている。
【0038】
こうして、ハンドルを備えた押圧力付勢デバイスは挿入工程の操作の助けとしても使用することができ、押圧力付勢デバイスのハンドルを装着と押圧力付勢のために使用することができる。さらに、押圧力付勢デバイスのハンドルが第1の移動位置でフィルタエレメントから半径方向に突出して手袋着用時にも簡単な起動と操作が可能である一方、第2の移動位置又は起動位置のハンドルがフィルタエレメントと面一に位置してもはやフィルタエレメントから半径方向に突出せず、第2の動作位置、すなわち、第2の移動位置のフィルタエレメントの装着サイズをコンパクトに保ちかつそのようにしてエアフィルタハウジングの外形寸法を小さく保つように押圧力付勢デバイスのハンドルを配置することができる。
【0039】
本発明の例示的な実施形態によれば、封止構成は、フィルタエレメントの下流側に配置された安全要素の濾過されていないガスの側からフィルタエレメントの濾過されたガスの側を漏れ防止の形で離間させるように設計された第2の接触面を有する。
【0040】
こうして、フィルタエレメント上に、エアフィルタハウジングに対してフィルタエレメントの封止作用を提供するだけでなく下流側の安全要素の封止構成も提供する封止構成を提供することができる。第1の接触面と第2の接触面とを備えたそのような封止構成は、特に形状保持シェル上に提供することもできる。封止構成上に第1の接触面と第2の接触面とを提供することで、交換式フィルタエレメントの封止構成全体を実質的に1つの周縁領域上に集中させることができる。さらに、特に頻繁に交換すべき消耗部品又は使い捨て部品として設計されたフィルタエレメント上に提供される時には、損傷しやすい封止幾何学構造を定期的に交換することが可能になる。
【0041】
本発明の例示的な実施形態によれば、第2の接触面は、弾性であるように設計され第1の接触面及び第2の接触面が一体化要素を形成する。こうして、第1の接触面と第2の接触面とを備えた封止構成の簡単な製造が可能になり、特に、摩耗と損傷を受けやすい第1の接触面と第2の接触面の弾性領域は、簡単に交換が可能である。さらに、第1の接触面と第2の接触面とを備えた封止構成をフィルタエレメント上に着脱可能に提供することができる。こうして、第1の接触面と第2の接触面とを備えたこの一体化要素を単独で交換するか又はフィルタエレメントだけを交換することができ、その間第1の接触面と第2の接触面とを有するそのままの一体化要素はエアフィルタハウジング内にあり、又はエアフィルタハウジング内に挿入される前に新たに挿入されたフィルタエレメントに少なくとも施すか又は接続することができる。
【0042】
本発明の例示的な実施形態によれば、本発明のフィルタエレメントとエアフィルタハウジングとを備えた内燃機関用のエアフィルタであって、エアフィルタハウジングがフィルタエレメントの封止構成に一致する第1の接触面を備えた封止構成を有するエアフィルタが提供される。
【0043】
本発明の例示的な実施形態によれば、内燃機関用のエアフィルタであって、エアフィルタハウジングがフィルタハウジングの力受け面上に作用する封止構成の押圧力付勢作用が吸収されるような方法でフィルタエレメントの押圧力付勢デバイスの押圧力付勢のための表面の力受け面を有するエアフィルタが提供される。
【0044】
当然ながら、上記の個々の特徴を互いに組み合わせて個々の効果の総計を超える有利な効果を部分的に得ることができることに留意されたい。
【0045】
本発明の上記及びその他の態様は、以下に説明する例示的な実施形態に関連して説明し開示する。